(別冊)住宅の換気設計事例集 目次 1. はじめに 1 はじめに 1. はじめに 1 建築基準法が平成14年に改正され、平成15年7月1日から施行されることとなりました。そ のポイントは、 2. モデル住宅 2 3. 全般換気対象エリア 4 4. 換気方式の概要 5 (参考)換気方式の選定のガイド 6 5. モデル住宅別設計事例 ①ホルムアルデヒド対策 対策 1 内装仕上げの制限 対策 2 換気設備の設置の義務付け 対策 3 天井裏等の制限(発散量の少ない建材の使用又は換気設備の設置など) ②クロルピリホスの使用の禁止 と整理することができます。 このうち、換気設備の設置の義務付けについては、居室のある建築物を対象として適用されます が、特に住宅については、工事件数が多いだけでなく、個別散在的であり、また、これまで本格的 (1)戸建て住宅 標準的規模住宅 2 階建て(約 38 坪) 7 な導入が進んでいなかったことから、どのように換気設備を設計したらよいのか不案内な方も多い ものと思われます。 (2)戸建て住宅 標準的規模住宅 3 階建て(約 38 坪) 14 そこで、学識経験者、国土交通省、換気設備メーカー等からなる「換気マニュアル作成委員会」 (事務局(財)ベターリビング)を昨年 3 月に設置し、 「住宅の換気設備マニュアル」の別冊として、 (3)戸建て住宅 大規模住宅 2 階建て(約 55 坪) 18 この「住宅の換気設計事例集」を作成しました。 この事例集は、換気メーカーや住宅メーカーによる事例の提案、換気の実務者、消費者等も参加 (4)マンション 標準的規模住宅 (約 25 坪) 22 したワークショップの開催、インターネットによる意見募集を経て作成されたものです。 「住宅の 換気設備マニュアル」とあわせてご活用ください。 1 2. モデル住宅 2 モデル住宅 ①モデルとなる住宅の設定 この事例集では、モデル住宅を設定し、換気経路の設定、居室等となる部分、ファンや給気 口・排気口の設置位置、ダクトのルート等について、典型的な設計事例を示しています。 モデル住宅は、戸建て住宅とマンションについて、それぞれ標準的な規模や間取りの住宅を 設計事例一覧表 住宅モデル 延べ床面積 階数 換気方式 事例 No. 頁 A-1-1 7 A-1-2 8 一部給排気ファン ダクト:有り A-1-3 9 熱交換有り 第2種換気 ダクト:有り A-2-1 10 第3種換気 ダクト:無し A-3-1 11 A-3-2 12 ダクト:有り A-3-3 13 3階建て 第1種換気 ダクト:無し B-1-1 14 ダクト:有り B-1-2 15 第3種換気 ダクト:無し B-3-1 16 ダクト:有り B-3-2 17 (大規模) 2階建て 第1種換気 ダクト:無し C-1-1 18 一部ダクト有り 約55坪 ダクト:有り C-1-2 19 熱交換有り 第3種換気 ダクト:無し C-3-1 20 一部ダクト有り ダクト:有り C-3-2 21 第1種換気 ダクト:有り D-1-1 22 約25坪 D-1-2 23 (82m2) D-1-3 24 D-3-1 25 D-3-2 26 戸建て住宅 (標準的規模) 2階建て 第1種換気 ダクト:無し 設定しました。 約38坪 戸建て住宅については、上下に換気経路が長くなる 3 階建ての住宅、大きな換気量が必要 (124m2) となる大規模な住宅についてもモデル住宅として設定しました。 ・戸建て住宅 A 標準的規模(約 38 坪、124m2)、2 階建て B 標準的規模(約 38 坪、124m2)、3 階建て C 大規模(約 55 坪、183m2)、2 階建て ・マンション 2 D 標準的規模(約 25 坪、82m ) ②天井裏等の措置 この事例集では、設計事例が複雑にならないよう、気密層や通気止めによる対策及び建材に よる対策を行うことを共通の前提条件として事例を作成しています。なお、今回の改正建築基 準法令では、天井裏等について、気密層や通気止めによる対策、建材による対策又は換気設備 による対策のいずれかの対策が義務づけられていますので、この事例集の前提と異なる場合、 適宜、換気設備の設置等を行ってください。 (183m2) マンション (標準的規模) 第3種換気 ダクト:有り 備考 熱交換有り 給気はダクト無し 熱交換有り 2 A 戸建て住宅 2 階建て 標準的規模 (約 38 坪、124m2) B 戸建て住宅 3 階建て 標準的規模 (約 38 坪、124m2) C 戸建て住宅 2 階建て 大規模 (約 55 坪、183m2) D マンション 標準的規模 (約 25 坪、82m2) UP UP UP ※ 各設計事例ともに、天井裏等は気密層や通気止めによる対策、建材による対策(F ☆☆☆又は F ☆☆☆☆を使用)を行うことを共通の前提条件としています。 3 3. 全般換気対象エリア 3 全般換気対象エリア ②居室のみを換気対象エリアとするケース 居室とは、居間、寝室、子供室、台所、書斎など居住、執務、作業等に継続的に使用する室です が、居室でない廊下やトイレ、浴室についても、居室の換気のための換気経路となっている場合は、 居室と一体として扱われます。 このため、全般換気対象エリアや必要換気量は、例えば以下の①②のように換気の経路の設定状 況により異なることとなります。 ①押入れ、納戸等の収納以外の室全てを換気対象エリアとするケース このトイレは、居室の換気の この洗面所・浴室は、居室の換 ための換気経路としています 気のための換気経路としていま ので、居室と一体として全般 すので、居室と一体として全般 換気が必要です。また、トイ 換気が必要です。また、洗面所、 レの建具は 「 通気が確保され 浴室の建具は 「 通気が確保され る建具 」 とする必要がありま る建具 」 とする必要があります。 す。 この廊下、階段室は、居室の 換気のための換気経路として いますので、居室と一体とし て全般換気が必要です。また、 廊 下 とダイニングリビング・ この納戸は、居室の換気のた キッチン、和室の間の建具は めの換気経路としていますが、 「 通気が確保される建具 」 とす 給気ではなく排気のための経 る必要があります。 路なので全般換気の対象とは この縁側は、和室との間の建具が障子ですので、 なりません。なお、納戸の建 和室と一体であり全般換気が必要となります。 具は 「 通気が確保される建具 」 全般換気対象外のエリア とする必要があります。 このトイレは、居室の換気の 全般換気対象エリア 床面積 77m2 ための換気経路としています 必要換気量(0.5回/hの場合)96m3 ので、居室と一体として全般 換気が必要です。また、トイ レの建具は 「 通気が確保され る建具 」 とする必要がありま 通気が確保される建具 ※開き戸には、換気ガラリ設置、アンダーカット等の措置が必要です。 す。 この廊下、階段室は、居室の 換気のための換気経路として いますので、居室と一体とし て全般換気が必要です。また、 全般換気対象外のエリア 全般換気対象エリア 床面積 112m2 必要換気量(0.5回/hの場合)141m3 廊 下 と各洋室 の 間の建具は 「 通気が確保される建具 」 と する必要があります。 換気ガラリ アンダーカット 折れ戸 引き戸 ふすま・障子 4 4. 換気方式の概要 第 1 種換気 第 1 種換気設備は、給気と排気の両方をファンで行うものです。 【第 1 種換気方式 / ダクト無し】 給気ファン 事例 No. 【第 1 種換気 / ダクト有り ( 熱交換有り )】 事例 No. A-1-1 D-1-1 A-1-3 A-1-2 D-1-2 B-1-2 事例 No. 【第 1 種換気 / ダクト:有り】 B-1-1 C-1-2 C-1-1 D-1-3 排気ファン 給気ファン 排気ファン 給排気ファン 第 2 種換気 第 3 種換気 第 2 種換気設備は、給気ファンと排気口から成るものです。 第 3 種換気設備は、排気ファンと給気口から成るものです。 【第 2 種換気 / ダクト:有り】 事例 No. 【第 3 種換気 / ダクト:無し】 A-2-1 事例 No. 【第 3 種換気 / ダクト:有り】 事例 No. A-3-1 A-3-3 A-3-2 B-3-2 B-3-1 C-3-2 C-3-1 D-3-1 D-3-2 排気口 給気ファン 給気口 排気ファン 給気口 排気ファン 5 (参考)換気方式の選定のガイド (参考) 換気方式の選定のガイド この表は、換気方式を選定するためのガイドとして作成したものです。 最適な方式を選定する参考としてください。 ◎ お奨めです △ どちらともいえません ○ ややお奨めです ・ あまりお奨めできません なお、建設地、居住者の生活の仕方、周辺環境などによって異なることがございますので、 詳細については、換気設備設計技術者、施工技術者、換気メーカー等と相談しながら決めてください。 第1種換気 居住者の要望 換気設備のイニシャルコスト(建築費用)をできるだけ安くしたい 換気設備による 費用を安く済ませたい 換気設備のランニングコストをできるだけ安くしたい。 メンテナンス費用をできるだけ安くしたい 確実な換気をしたい 快適な生活環境 を保ちたい 化学物質が気になるので各部屋の確実な換気をしたい ダ ク ト 有 り 熱 交 換 無 し ダ ク ト 有 り 熱 交 換 有 り ダ ク ト 無 し 熱 交 換 無 し ダ ク ト 無 し ダ ク ト 有 り ダ ク ト 無 し 第3種換気 ダ ク ト 有 り ダ ク ト 無 し △ △ △ ○ ○ ◎ ○ ◎ △ ○ △ ○ ○ ◎ ○ ◎ △ △ △ ○ △ ◎ △ ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ○ ・ ○ ・ 備 考 ダクト対応のファンには、消費電力を押さえた直流モーターを使用したものもありま す。また、熱交換有りのものについては、寒冷地等において暖房費を抑えることが出 来ます。 天井内、高所に取り付けられた機器は、メンテナンス業者等に任せることが望ましい です。 部屋単位で換気が行なわれる場合は、各方式ともお奨めできます。なお、気密の低い 建物では、部屋単位での換気がお奨めです。 外壁の給排気口からの騒音の浸入を少なくしたい ◎ ◎ △ ・ ・ ・ ・ ・ 熱交換を行なう部分(熱交換素子の場合)は、構造上遮音効果をもっているものがあ ります。 ファンの騒音や、吹出口の風切音等の騒音の発生を小さくしたい(※) ◎ ◎ △ △ ○ △ ○ △ 運転騒音値の低いもの、弱ノッチを備えたものを選ぶことがお奨めです。 部屋間の音と光の漏れを防ぎプライバシーを確保したい(アンダーカット等の場合) 汚れた外気の浸入を防げるシステムにしたい デザインや空間利用の 制約を少なくしたい 熱 交 換 有 り 第2種換気 (部屋単位で換気が行われる場合は、どの方式でも対応できます) (フィルターの性能によって変わります) 冷たい外気を住宅内に直接入れたくない ◎ ・ ◎ ・ ・ ・ ・ ・ 外観やインテリアのデザインを良くするため給排気口の数をできるだけ少なくしたい。 ◎ ◎ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 天井を高くする、収納スペースを広くとる等、空間を有効に広く使いたい ・ ・ ◎ ◎ ・ ◎ ・ ◎ 1種及び2種のダクト有りのものは、外気給気口から居室の吹出し口までの間にヒータ ー等を設置し、加温することも考えられます。 (※)防音フードや消音ダクトを利用することにより騒音値を下げることができます。 6
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