え、 これも原因になるの！ 静脈瘤は なぜできる？ ● ● ● ● ● ● ● 足の皮膚の変色やボコボコ、むくみやだるさ…。 今回は静脈瘤の原因と症状について お話ししましょう。 原因は他にもあるの？ これ以外にも、さまざまな理由で静脈瘤にな が高まります。これは下 の筋力が衰えるだけで る場合があります。 なく、肝臓から出される修復ホルモン様の血管 例えば更年期を迎えて、女（男）性ホルモン 促進因子が静脈瘤をつくってしまうからです。 ● の分泌が減少すると、下垂体から性腺刺激ホル その他、高血圧の薬を使用すると動静脈瘻が ● モンという物質が過剰に出されます。すると肝 開きやすくなり、静脈への動脈血の流入が増加 臓からは静脈瘤ができやすくなる因子（血管促 して静脈瘤の原因になります。また、ぜんそく 進因子）が出されます。大きなケガをしたり、病 や甲状腺、胃潰瘍などの薬でも静脈瘤になりや 気などで手術を受けた場合も静脈瘤になるリスク すくなることもあります。 ● ● ● どうしてできるの？ 静脈瘤は昔から「立ち仕事の方に多い」と言 われてきました。それはなぜなのでしょう。 まずは静脈瘤の原因について、少し専門的に 静脈瘤の症状は？ 解説しておきましょう。静脈瘤には大きく分け さて、静脈瘤の症状には、機能的な面と美容 むくみ、だるさはすぐに慢性化するので、そ て３つの原因があります。 的な面の二つの側面があります。 れが普通だと思っている方が多くいます。治療 深部静脈 機能面では、むくむ、だるいという症状が代 してそれが解消すると、 「こんなに楽になるのか」 機能しなくなり、下肢に血 表的です。また、美容面では肌の変色や、血管 と驚かれますが、この治療法については次回に 液が下がってしまう場合。 がボコボコする症状が現れます。ここで重要な 詳しくお話ししましょう。 ①大伏在静脈の付け根の弁が ②大伏在静脈から脚の中央に のが、二つの症状はそれぞれ別の原因から起き 交通枝 ある深部静脈に流れ込む交 るということです。 通枝にある弁が機能しなく さて、静脈瘤は立ち仕事の方に多いと言いま 美容的な症状は、大伏在静脈とその枝を治療 なり、血液が逆流する場合。 したが、実際、男性は調理師、女性では美容師 すると治りますが、機能的な症状はそれでは治 の方に多く見られます。これは立ちっぱなしの りません。何故なら、むくみやだるさは、はじ 時間が長く、あまり歩かないことが原因です。 めに説明した上行説が原因で起きるからです。 ③アーチ状静脈に動脈血が流 れ込んでしまう動静脈瘻が ある場合。 大伏在静脈 アーチ状静脈 い ず れ も 静 脈 は う っ 下肢の静脈の血液は、歩くことでふくらはぎの むしろ、上行説が原因なのに、下行説の治療を 筋肉がポンプの役割を果たし、心臓まで送り返 すると、かえって症状を悪化させることもあり 血 を 起 こ し、拡 大 し て されるので、この機能が十分に働かないと、静 ます。 静脈瘤になります。また、このうち①を下行説、 脈はうっ血し、静脈瘤の原因となるわけです。 したがって静脈瘤の治療を行う場合、美容、 その意味では一日中イスに座りっぱなしで仕事 機能の両面からアプローチし、効果のある治療 をする人もリスクは高いと言えます。 をしなければなりません。 ②と③を上行説といい、上行説、下行説の患者 さんの割合はほぼ半々だと考えられます。 先生、教えて！気になる脚の Ｑ＆Ａ 気をつけたい Ｑ 飛行機に乗らなくてもエコノミークラス症候群になりますか？ A 足の甲のテーピング アーチ状静脈 むくみやだるさがある方は、足 の甲にテーピングをすることで 自己診断ができます。 数日間で、むくみがなくなった り、足が軽くなるようであれば、 上行説の静脈瘤の可能性があり ややきつめに巻いて下さい。 ます。ただし、テーピングで軽快 するようなら、しばらく様子をみてもよいでしょう。 しかし、テーピングによってむくみが治っても、 肌に痒みが出たときは注意が必要です。一度専門医 に相談しましょう。 靴と靴下選び かかとの高いハイヒールや膝下まであるブーツを履くと、足首が せまい飛行機の椅子に長時間座っていると起こ エコノミークラス症候群は同じ姿勢でいることに加 曲がりにくくなり、歩くときにふくらはぎの筋肉をあまり使わな るエコノミークラス症候群。これは下肢の還流 え、乾燥して脱水になることが原因になるので、空調の くなります。下肢の静脈の血液は、ふくらはぎの筋肉の運動に 障害による鬱血が原因で静脈に血栓ができ、そ 効いたオフィスでのデスクワークや電車などでも起こり よって心臓に戻るので、毎日ハイヒールやブーツをはいている れが歩行などをきっかけに足の血管から離れて血流に乗 ます。また、むくみやすい人や と、むくみやすくなり、静脈瘤の原因にもなります。また寒いこ り、肺を閉塞してしまうものです（肺塞栓症といいます）。 下肢静脈瘤がある人も注意が必要です。 の時期、保温靴下をはく方も多いようですが、これにも注意が必 肺の血管が詰まると、やがて呼吸困難や失神を引き起こ 長時間同じ姿勢でいるときは、こま 要です。一日中、足の甲を暖めていると、足の血管で血液の暴走 し危険な状態になります。また、血栓ができると下肢に めに水分を摂取し、かかとの上下動な 腫脹や痛みが出現します。いずれにしても早期に専門医 どの運動をしましょう。そして、でき とりがあるサイズで、締め付けを紐で調整できるタイプのものを の診察を受ける必要があります。 れば数分でも歩くようにしてください。 選びましょう。また暖めすぎないことを心がけてください。 Water テーピングで自己診断 が起こり、結果的にむくみや冷えを引き起こします。靴は少しゆ ハイヒールやブーツ、保温靴下にはむくみのリスクが。
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