小野国際交流クラブ第42回例会(平成 21 年2月)例会のまとめ <日時> 平成21年2月21日(土) <会場> 小野市うるおい交流館エクラ Ⅰ 16:00∼18:00 2階中会議室 今月の話題:「イスラム教、イスラム文化」Khalid Almagrafi 氏(オマーン高等学校教師、兵庫教 育大学留学生) (司会・通訳:黒田世話人) 1 趣旨説明、Khalid 氏及び同氏妻 Fatima さん、娘さん Alreem さん紹介(村田世話人) 2 出席者自己紹介(英語で)、Khalid 氏自己紹介 3 進行について(黒田司会) アラビア語で「今日は」の挨拶。進行について Khalid に説明。 (1) イスラム教 (2) オマーン (3) 日本に留学しての感想 の順で進める。 4 Khalid 氏の話の概要 (1) 昨年来日。オマーンの高校で英語の教師をしている。2007年に日本留学の奨学金を獲得。 6ヶ月は神戸大学に、その後は兵庫教育大学で日本の教育経営を研究。来月離日する。 (2) イスラームとは何か。アラーとは何か。一神教だから唯一神。ムハンマドはどんな人物だっ たのか。どのようにして預言者になったか。イスラム教の原典は二つ:コーランとスナー(言 行録)。 イスラームは宗教ではなく、人の生き方。神が預言者を通して伝えたメッセージ。平和、慈 悲、寛容が中心。イスラームとはアラビア語で「帰依」「服従→平和」。旧約聖書創世記のア ダムからイスラム教は始まる。 (3) イスラム教徒は唯一神アラーを絶対の存在と信じている。イスラム教とユダヤ教の神は同じ 唯一神だが、どう信じるかに違いがある。 (4) 宇宙に何故神が存在するかを知るのか。太陽、月、四季の変化、地球上の現象全てにより知 る。 (5) ムハンマド:メッカに570に生まれた。幼い時に両親が死亡、叔父に育てられた。心が広 く、誠実、宗教心が厚い性格。一人で宇宙とは何かなどについて考えた。40 歳の時神からの 啓示を受けた。天使を通してアラビア語で。23 年後に迫害を逃れて 622 年、260 マイル先の メデイナに移住。 (6) コーラン:神が直接天使を通してムハンマドに伝え、書記がそれを記録した。114 章、600 ペ ージ。それ以来 1400 年間その内容は変わっていない。人間生活、等々すべてを網羅。行動規 範、経済、神が言ったことは本当かどうかについては、自分は本当だと信じている。 (7) Sunnah、言行録:この世の中のあらゆること:妻、動物など、全て、が述べられている。 (8) モスリムとは、神に帰依した人。15 億人のモスリムが世界にいる。ムハンマドは世界中の人々 がモスリムになるように教えた。何故なら、イスラムこそが人間の生き方だから。モスリム はアラブ人だけでない。アラブ出身者はモスリムの 20%。 (9) モスリムは唯一神のアラーのみを信じる。他の神は比較の対象にならない。 (10) 6信:(ムスリムが誰もその存在を信じなければならない6つの事柄) ① 唯一・絶対の神アッラー ② 天使 ③ 諸啓典(アッラーからの啓示) ④ 諸預言者 ⑤ 終末の日(世界の終わりと来世) ⑥ 定命(すべての人間の運命が神によって定められていること) (11)5柱:(ムスリムが誰も守らなければならない5つの信仰行為) ① 信仰告白(「アッラーのほかに神なし」 「ムハンマドはアッラーの使徒なり」と公に証言 すること) ② 1 日に五回の礼拝 ③ 喜捨(貧しい人に自分の財産から寄付する) ④ ラマダーン月の断食 ⑤ 生涯に一度のメッカ巡礼(肉体的・経済的に可能な人のみ) <質問・意見交換> ・神とは何か等についての議論が交わされた。宇宙を作ったのは同じ創造主であるとの意見等 も出た。 5 予め出されていた会員からの質問に対する Khalid 氏の回答等 (1)「コーランか死か」の教えは今でも生きているのか? →天国に行けることを目指してコーランの教えを守る。 (2) イスラームの教えは、ユダヤ教が元になっており、キリスト教とは兄弟のような関係ではな いかと思うのだが、ユダヤ教とキリスト教について、どう思われるか? →その通り。同じだが、アブラハム、モーゼ、イエス・キリストなどの預言者は特定の人 に神の啓示を伝えた。神の最後の預言者モハメドは世界の全ての人々に神の啓示を伝え ている。 (3) 豚肉のほかにイスラームでの食事の際のタブーはあるか? →鋭いかぎ爪、鋭い嘴を持つ動物(熊、猛獣、鷲、鷹等、人に危害を加える動物)は食べな い。 (4) イスラム原理主義について意見が分かれているが、原理主義についてどう思うか?また、原 理主義者が即過激派なのか? →イスラームには「原理主義」の考えは無い。過激派は神に反する者でありイスラム教徒で はない。ムハンマドは模範とすべき人である。しかし、現代ではイスラム教徒の範疇に 入ってはいるが、ムハンマドのような敬虔な生き方をしていない、修行が足りない人が いるのは遺憾ながら事実である。 (5) 私の経験では、イスラム教徒の中には自分の顔の撮影を望まぬ人がいるが、偶像崇拝禁止の 考えと関係があるのか? →写真を撮ることは差し支えないが、本来の目的以外の邪悪な目的に悪用してはいけない。 (以上はイスラーム教関係) (6) オマーンについて教えて欲しい。 →① オマーンは中東にあり、アラビア半島東南端に位置し、面積約 3102,000 平方㌔。人口 は 350 万。 ② サルタン(国王)はカブース。 ③ スンニ、イバーデイ(大半はこのセクト)。両派はほとんど同じ。国旗には二つの短刀。 ④ 石油産業に依存。15%はそれ以外、農業など。 ⑤ 海岸、山岳、砂漠の3地帯に分かれる。首都はマスカット。 (7) イラク戦争、今回のイスラエルのガザ地区への進攻等についてどう考えられるか? →政治的な問題なので答えられない。 (8) その他:オマーンは普通の国。平和で安全で日本人を含む訪問者が多い。 (以上はオマーン関係) (9) 来日して、日本について感じられたことは? ① 日本人は自国文化を愛している。 ② 日本人は礼儀正しいと思う。 ③ 日本の文化はレベルが高いと思う。 文部科学省の文化維持への意欲は立派。日系の 方々への配慮もよくされていると思う。 ④ 日本人の学生は概して熱心であるが、中には講義中に話を聴かなかったり、携帯電話 をいじっている人、眠っている人もいる。余り熱心な学生とは思えない。自分が既に 知っていることを話されているからかも知れない(現在留学している大学についての 感想ではあるが)。 6 当日出された質問に対する回答・説明 (1) オマーンにおける女性の立場は、男性と対等で学位などがあれば男と同等の働きができる。 (2) 女性の特質は男性とは全く異なっている。従って教育とか就職の点では女性は男性と同じで はないが、それは女性差別とは考えられない。 7 Khalid 氏からの情報提供と質問 (1) 東大のコウザイ・ヨシヒデ教授がコーランの中の二つの天文学上の記述に大変感銘を受けた と述べている。宇宙の天体、小さい物体を観るには望遠鏡が必要でそれを通して大宇宙を推 測しているが、コーランの中の記述には望遠鏡でも観られない部分が描かれていると言って いる。 (2) 世界には色々な宗教がありますが、それらは全て正しいと思いますか?「真実」は一つしか ありませんが、貴方かたがたはそれを信じますか? →正当な宗教と邪悪な宗教がある。「真実」は一つしかないと思う。/「真実」なるものは 作為的に作られる場合もあるので、Yes とも No とも言えない。 8 日本人で仏教を信仰する人は少なくなっていると思うが、オマーンではイスラム教を信じてそ れを実行している人は多いのですか? →オマーンの家族、社会、国全体で、それぞれを構成している一人一人が完全にコーラン の教えどおりに日々実践しているわけではない。世界のどこでもそれは言えると思う。 Ⅱ 話題提供者、参加者双方で出席に感謝して例会を終了した。 Ⅲ 次回の予定 1 3月例会 日時:平成21年3月14日(土)16:00∼17:30 会場:小野市うるおい交流館エクラ 2 話題:イスラム関係例会の整理と補足等+国際交流関係の自由な話題
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