週刊経済指標 経済の動きをグラフで見てみましょう。 毎週火曜日夕方発行 発行日 金も原油も下落 : 2017/4/25 4月24日のNY金6月限は▲11.6ドル安の1277.5ドル。仏大統領選挙で中道マクロン候補が決戦投票に進む見通 しが報じられ、逃避買いの解消で約2週間ぶりの安値に沈んだ。ただ、北朝鮮問題などで持ち直した。時間外取引を 1280.0~1266.0ドルのレンジで推移し、前週末比20.1ドル安の1269.0ドルとなった。6月限は、金曜安値 (1280.0ドル)で始まり、売りが殺到して先週安値(1275.4ドル)も割り込み、4月11日以来の安値に沈んだ。 仏大統領選で、中道候補のマクロン前経済相が5月の決選投票に進む見通しとなったことから逃避買いの解消が進ん だ。米株価指数先物の急伸も弱材料。対ユーロのドル急落で急回復したが、寄り付き値にとどかず、ドル反発で下落 が再開した。 立会時間は、1268.7ドルまで軟化したが、安値拾いの買いで戻り歩調となり、1277.9ドルまで持ち直した。ドル の戻りや原油反落が圧迫したが、米株価指数先物の押しや、北朝鮮の核実験・ミサイル発射懸念による地政学的リス クの高まりが逃避買いを誘った。急上昇した米10年債利回りが、上げ幅を急速に縮小したことも押し目買いを促し た。ただ、仏大統領選挙でマクロン前経済相の優勢が伝えられ、逃避買いの解消が殺到した時間外取引の急落から回 復できなかった。仏大統領選は、欧州連合(EU)離脱を主張する極右、極左候補の二人が決戦投票に進む最悪のシ ナリオが懸念されたが、EU支持のマクロン候補が決選投票に駒を進めたことから、逃避買いの解消が進んだ。何が 起こるかわからないのが選挙であるが、今のところ、マクロン候補の圧勝が予想され、金融市場にもリスク選好の取 引が復活した。一方の北朝鮮であるが、明日25日は北朝鮮軍創設85周年に当り、何らかの示威行為が予想されてい る。トランプ米大統領が日中首脳に電話会談を行うなど、慌しい動きを示していることが、逆に切迫感を醸し出して いる。オバマ前大統領との会談では核心的利益を尊重などと主張していた中国だが、シリアを空爆したトランプ大統 領の要求に懸命に従っているようすがうかがえる。 今日の材料 ・大口投機家の金の先物建玉は19万5768枚の買い越しに拡大。 ・大口投機家の銀の先物建玉は10万3887枚の買い越しに縮小。 ・仏大統領選、中道マクロン前経済相と極右ルペン党首が5月7日の決選投票に進む。 ・安倍首相とトランプ米大統領、北朝鮮に挑発行為の自制を強く求めることで一致。 ・中国上海総合指数は前週末比43.62安(1.37%)の3129.53。 ・4月の独IFO業況指数は112.9に上昇、予想の112.5を上回る。2011年7月以来約6年ぶり高水準。 ・米ミネアポリス連銀総裁、道路や空港などのインフラへの投資の拡充は必ずしも米経済成長の加速につながるわけ ではないとの考えを示す。(つづく) - 1 - 24日のNY原油6月限は▲0.39ドル安の49.23ドル。石油輸出国機構(OPEC)主導の協調減産の延長の可能性の 高まりや、仏大統領選第1回目投票を好感した株高・ドル安進行なども、引き続き供給過剰が長引くのではとの思惑な どが重しとなり、一段と下値が切り下がった。 6月限は、夜間取引では一時、50.22ドルへ上昇。事情に詳しい関係者の話によると、OPECと非加盟産油国の5カ 国から成る減産順守監視委員会は21日にウィーンで会合し、(7月から)6カ月の減産延長が必要だとの結論に至っ たとのことで、来月のOPEC総会での協調減産延長の可能性の高まりが下支えした。また、23日に行われた仏大統領 選第1回目投票で、独立系中道候補のマクロン元経済産業デジタル相が首位となり、欧州連合(EU)離脱のリスクが 後退し、世界的な株高や主要6通貨に対するドル指数が1カ月ぶりの水準に低下したことなども一因。しかし、立会い 開始後は下げに転じた。相場を押し上げていくだけの決め手を欠く一方で、引き続き供給過剰の解消には時間がかか るとの思惑が重しとなった。21日時点の米石油リグ稼動数は前週比5基増の688基と2015年4月24日以来の高水準 となり、米エネルギー情報局(EIA)によると、5月の米シェールオイル生産は月間ベースで2年ぶりの大幅な増加と なる見通し。大幅な買い越し状態にある投機筋の手じまいの動きなどにも押されることとなり、一時、49.03ドルと 期近ベースで3月29日以来の水準へ下落した。 石油製品は続落。期近5月限が28日に納会を控えるなか、原油相場の軟調さやガソリン需給の弱さなどが嫌気され、 一時、ヒーティングオイル6月限は3月30日以来、改質ガソリン6月限は3月27日以来の水準まで下落した。 ブレント原油7月限は続落。6月限納会を28日に控え、米市場に追随する格好となり、7月限は中盤に53.06ドルへ 強含んだのが精一杯で、その後は戻りを売られると、一時、51.95ドルと3月29日以来の安値を付けた。 今日の材料 ・減産順守委員会、6カ月の減産延長が必要 ・イラン、5月の原油輸出は14カ月ぶりの低水準へ (日本先物情報ネットワーク) TOPICs 米国の経済指標 景況感指数 4月の米ミシガン大消費者信頼感指数速報値は98.0と前月の96.9から上昇した。景気現況指数画2000年11月以来 の高水準となったことで押し上げられ、アナリスト予想(96.5)に反して上昇した。景気現況指数は115.2と、予想 の112.4を上回った。消費者期待指数も86.9と、予想の86.0を上回った。 - 2 - 米サプライマネジメント協会(ISM)が5日発表した3月の非製造業景況感指数は55.2となり、前月から2.4ポイ ント低下した。2カ月ぶりの低下で、市場予測(57.0程度)を下回った。指数は50が非製造業の好不況の分岐点と なる。3月の結果は好況を維持したものの、前月より好況感が後退したことを示す。個別指数では「事業活動・生 産」「新規受注」「雇用」が低下した。 TOPICs 米国の人口動態統計 by 5歳刻みの人口群の多い順 Calculated 右の表は、商務省Census Bureauが公表した人口動 態統計を元に、2010年、16年、20年、30年の11の 5歳区切りの総人口を表したものである。 2020年までに、10の5歳区切りの人口群のうち、8 つが40歳以下となっている。つまり、ベビーブーマー は、消え去っている。2030年には5歳区切りの年齢層 は若い順から数えて11群となっている。 2020年や2030年には多くの白髪の労働者が見かけ られるが、それでもみな主力の労働年齢にあるというこ とだ。つまり、住宅や経済にとってはとても力強いこと 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 右のグラフは、2016年7月を規準とした米国の年齢別 人口を表したものである。 これを見ると最も多いのは20台半ばであることがわか る。 2010年 2016年 2020年 2030年 45歳~49歳 50歳~54歳 15歳~19歳 20歳~24歳 25歳~29歳 40歳~44歳 10歳~14歳 5歳~9歳 5歳以下 35歳~39歳 30歳~34歳 25歳~29歳 20歳~24歳 55歳~59歳 50歳~54歳 30歳~34歳 15歳~19歳 45歳~49歳 35歳~39歳 10歳~14歳 5歳~9歳 5歳以下 25歳~29歳 30歳~34歳 35歳~39歳 5歳以下 55歳~59歳 20歳~24歳 5歳~9歳 60歳~64歳 15歳~19歳 10歳~14歳 50歳~54歳 35歳~39歳 40歳~44歳 30歳~34歳 25歳~29歳 5歳~9歳 10歳~14歳 5歳以下 15歳~19歳 20歳~24歳 45歳~49歳 50歳~54歳 人口 2016年の米国の年齢別人口 人口の最も多い年齢 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 2010年 2016年 2020年 2030年 50歳 49歳 20歳 19歳 47歳 46歳 48歳 51歳 18歳 52歳 25歳 26歳 24歳 27歳 23歳 56歳 55歳 22歳 52歳 28歳 29歳 30歳 28歳 27歳 31歳 26歳 32歳 25歳 35歳 34歳 39歳 40歳 38歳 37歳 36歳 35歳 41歳 30歳 34歳 33歳 年齢 上の表は、各年で最も人口の多い年齢を表したものである。2010年はまだ若いベビーブーマーがいた。2016年に はみれにある世代は姿を消し、2020年までにベビーブーマーはいなくなる。 - 3 - TOPICs 3月のシカゴ連銀による全国経済活動指数は、ゆっくりした成長を示している。 3月のシカゴ連銀による全国経済活動指数 は、ゆっくりした成長を示している。 ゆっくりした雇用の改善に導かれて、3月のシ カゴ全国経済活動指数(CFNAI)は+0.08 上昇した。2月は+0.27だった。4つの広域 カテゴリー指数のうち二つが下落している。 3ヵ月移動平均(CFNAI-MA3)は、2月の+ 0.16から3月は+0.03に低下したが、まだ 4ヶ月連続のプラス圏内にある。 指数は、以下の四つの広域カテゴリーから 全国の経済活動を示す85の指数の加重平均で 表される。 1)生産と収入 2)雇用と失業と労働時間 3)個人消費と住宅 4)販売、受注、及び在庫 ゼロは過去の平均と同じことを示し、プラス は過去の平均よりも良く成長しており、、マ イナスは悪いことを示している。 TOPICs Black Nightの住宅価格は金融危機後最高値になった 住宅価格を示す指数には、ケースシラー、CoreLogic、Black Knight、Zillow、FHFA、FNC等があるが、Black Knightの指数は、現在の月の最後の日の価格指数である。ケースシラーのように3ヶ月移動平均ではなく、 CoreLogicのように加重平均でもない。ただし、短期売買やREOは除いてあり、また季節調整は行われていない。 2月のBlack Knight Home Price Index Reportによれば、前月比+0.8、前年同期比+5.7で金融危機以来の最高 値となった。 全米平均住宅価格は26万8千ドル。2006年6月を上回った。 58ヵ月連続で年間全国住宅価格を上回っている。 20大都市のうち、6都市で過去最高値を付け、40州都のうち14州都で過去最高値となった。 前年比の伸びは昨年2月とほぼ同じ。 TOPICs 住宅価格はバブルのピークを少し上回ったが、インフレ率を加味した価格ではまだ上回っていない。 - 4 - TOPICs FRBは息をついている by Merrill Lynch FRBは今年おそらく6月と9月の二回利上げをし、昨年12月のFOMCで公表したFRBのがランスシート調整政策を その後行うだろうというのが一般的な見解である。 一方Merrill LynchはFRBは一息ついているという。FRBはバランスシートの調整政策を市場に準備している。こ れはFRBによる、ゆっくり政策の変更のヒントを与え、市場の反応を見るというより大きな対話政策である。Merrill Lynchの見解は、FRBは利上げを先に行い、金利を少なくとも1.25~1.50%にする、つまりもう二回利上げをす る。その後バランスシートの縮小を行うというものである。2回の利上げは、2018年初めに行われるバランスシー ト調整とセットになっている。 FRBは6月の利上げは見送るだろうと思っている。9月と12月に二度利上げをするだろう。6月はトリガーを引く にはデータがまだ完全に強くない。FRBはバランスシートの調整の見通しを9月に行い、再投資の詳細を述べる。そ して、12月にもう一度利上げして正式なバランスシートの調整計画を示し、3月に変更の公式発表をして4月から実 行するというのが予想である。 今後の予想 金市場はフランス大統領選挙で肩透かしをくらい、下落している。原油価格も強気の見通しが少なく、米国の増産 やOPECの減産継続に対する懐疑的な見方から上値は重くなっている。北朝鮮は未知の地政学的リスクであるので、 今後何が起きるかわからない。中国等の出方が微妙になっており、空母カールビンソンは次第に韓国に近づきつつあ る。何も起こらないかもしれないし、もしかしたら、キナ臭いこともあるかもしれない。現場に近いだけに、そう なってほしくはないが、そうなれば金価格は高騰するだろう。米国は今週で暫定予算が切れるので、メキシコの壁建 設にこだわる限り、米国官庁の閉鎖の恐れはあるが、人間が決めることなので、それほど切羽詰まったことにはなら ないかもしれない。いずれにせよ不透明な近未来に対して、備えておくことは必要であろう。 米国は人口動態が正常なのだということを初めて知った。高齢化どころか、今後若年層が主流になる。その意味だ けでも米国の将来の経済見通しは明るい。 掲載される情報は株式会社コモディティー インテリジェンス (以下「COMMi」という) が信頼できると判断した情報源をもとにCOMMiが作 成・表示したものですが、その内容及び情報の正確性、完全性、適時性について、COMMiは保証を行なっておらず、また、いかなる責任を持つも のでもありません。 本資料に記載された内容は、資料作成時点において作成されたものであり、予告なく変更する場合があります。 本文およびデータ等の著作権を含む知的所有権はCOMMiに帰属し、事前にCOMMiへの書面による承諾を得ることなく本資料およびその複製物 に修正・加工することは堅く禁じられています。また、本資料およびその複製物を送信、複製および配布・譲渡することは堅く禁じられています。 COMMiが提供する投資情報は、あくまで情報提供を目的としたものであり、投資その他の行動を勧誘するものではありません。 本資料に掲載される株式、債券、為替および商品等金融商品は、企業の活動内容、経済政策や世界情勢などの影響により、その価値を増大または 減少することもあり、価値を失う場合があります。 本資料は、投資された資金がその価値を維持または増大を補償するものではなく、本資料に基づいて投資を行った結果、お客様に何らかの障害が 発生した場合でも、COMMiは、理由のいかんを問わず、責任を負いません。 COMMiおよび関連会社とその取締役、役員、従業員は、本資料に掲載されている金融商品について保有している場合があります。 投資対象および銘柄の選択、売買価格などの投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。 発行元 : 株式会社コモディティー インテリジェンス 〒103-0014東京都中央区日本橋蛎殼町1丁目11-3-310 会社電話: 03-3667-6130 会社ファックス 03-3667-3692 メールアドレス: [email protected] - 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