第 3 回 札幌イノベーションセミナー 「健康で安心して暮らせる社会へ」~介護・福祉における IT 利活用と社会との融合を考える~ 実施報告(抄) 開催日:2015 年 10 月 13 日(火)13:00~15:30 場 所:札幌市産業振興センター 産業振興棟 2 階 セミナールーム A 主 催:一般財団法人さっぽろ産業振興財団 後 援:札幌市、特定非営利活動法人 IT コーディネータ協会、北海道 IT コーディネータ協議会 参加者:69 社 85 名 プログラムと内容概略(以下、敬称略) <司会> 札幌市 IT イノベーション研究会 世話人/札幌学院大学 経営学部 特任教授/IT コーディネータ 赤羽 幸雄 1 主催者挨拶 一般財団法人さっぽろ産業振興財団 専務理事 福井 知克 2 【基調講演】 「健康で安心して暮らせる社会へ」~介護・福祉は IT と融合する時代へ~ 日経 BP 社 日経デジタルヘルス編集長 小谷 卓也 ○今、起きているパラダイムシフト 社会的課題:超高年齢化、医療費の高騰、生活習慣病の増加、医師不足・偏在 →この解題を解決すべく「新たな医療システムの構築」が必要:病院から地域そして家庭・個人へ →そのプロセスで必要な技術イノベーション:先端医療機器、簡易な診断・検査機器、次世代型健康 機器&サービス、未対応の医療ニーズの解決、ICT/クラウドの活用、介護ロボ/見守りシステム、等 ○技術が「時間」「空間」の制約を解き放つ ・「非日常的」日常生活空間に医療/ヘルスケアが溶け込む:携帯端末の活用やセンサ・無線技術の 進展で、「家」「地域」を軸としたインフラの再構築 ・「画一的」個人の体質などに応じた医療./ヘルスケアの細分化が進み、個人の情報を集約・一元管 理が可能:クラウドの普及、生体情報のデータマイニング、遺伝子診断技術の進化 ○コンビニ受診 ・商業のカテゴライズ:個人商店、百貨店、郊外のスーパー、コンビニ ・医療のカテゴライズ:医院、病院、郊外の病院、(コンビニに相当するものがあってもよい) ○ポケットドクター ○ソーシャルホスピタル 社会の中の全員が医療の参加者に:患者(生活者)、企業(サービス)→ここに新たな事業機会があ る →衣食住、街づくり、遠隔医療などで様々な事例が ○新しい動き ・対面診療が困難な離島・へき地→対象は離島・へき地に限る必要はない ・遠隔診療の対象が(例えば在宅糖尿病患者など 9 種類だったものが)広がる ・診療は医師と患者の直接対面→必ずしも前提条件とはならない。 ○地域包括ケア →多職種連携、見守り、CCRC(Continuing Care Retirement Community:高齢者が健康時から介護 時まで移転することなく継続的なケアが保障されるコミュニティ) ○拡大する条件+特有の条件 介護保険適用、安全性・信頼性の基準整備、ハードウェア/ソフトウェア技術の進展、導入現場にお ける環境整備 「+」 感じる、動く、考える、人に触れる ○サエ連携 エレクトロニクス企業とサービス事業者とのコラボに期待 3 【講演】 「介護・福祉業界における課題と IT 利活用の可能性」 「民間事業者の質を高める」一般社団法人 全国介護事業者協議会 副理事長 三井ヘルスサービス株式会社 代表取締役 平井 淳一 ○今後の介護をとりまく状況 ・2025 年:65 歳以上の高齢者数は 3,657 万人で全人口比 30%を超える。 ・2055 年:75 歳以上の高齢者数は 2,401 万人で全人口比 25%を超える。 ・年齢階層別の要介護(支援)認定率:65 歳以上は 18%、75 歳以上は 35% ・認知症高齢者や高齢者単独世帯や夫婦のみの世帯も増加が見込まれる。 ・その一方で保険料を負担する人口(40 歳以上)が 2021 年をピークに減少へ →介護医療費の確保が最重要課題 ○介護保険制度の見直し(社会保障審議会) ・地域包括ケアシステムの構築&介護保険制度の持続可能性の確保 ○地域包括ケアシステム ・国: 「医療費+介護費」という捉え方→徹底的に入院を減らし医療費抑制を実現させる ・2018 年:診療報酬&介護報酬の改定のタイミングがポイントに ○20 年後の社会と経済に対応するためのパラダイムシフト ・量の拡大→質の改善 ・インプット→アウトカム ・行政による規制→当事者による規律 ・キュア→ケア ・発散→統合 ○IT 利活用の可能性 ・IT の普及により社会、ライフスタイルは急激に変化。 ・テクノロジーの進展スピードは加速度的に早くなっている。 ・今後、20 年間の変化は私たちの想像をはるかに超えるだろう。 →介護は社会活動の一部であり、IT と無縁ではいられない。 ・省力化と利便性:介護サービスを提供する事業者やサービスを受ける利用者にとっても、その あたりがしっかりと享受できるかが重要なポイント 4 「介護・福祉を支える IT 利活用事例紹介」 <事例①>「日々の報告・実績管理はクラウドにお任せ」 ~通所介護業務支援「デイアシスト」~ 株式会社サジェコ 代表取締役社長 伊藤 直樹 ○デイアシスト:通所介護計画書、通所介護利用実績表を作成できる生活相談員支援のためのクラ ウド型のソフトウェア(利用者情報や居宅介護支援の事業者管理やスケジュール登録などに活用 →生活相談員の IT 化推進(通所介護計画書の作成や利用実績表の作成、 →その他:利用者情報管理、操作権限設定、通所介護計画書・モニタリング記録作成・印刷、利用 実績自動集計、利用状況報告書(居宅支援及び包括向け) 、モニタリング忘れ防止機能、作業カレン ダー作成、CSV データ出力、データバックアップ。 ・業務事務作業支援特化型のソフトウェア(伝送には未対応) ○利用制度 ・月額 1700 円(税抜) (利用者 30 人以下) ○主な特徴 ・契約および解約が簡単、外出先や自宅等でも利用可能、エクセルやワード等の「Office 製品は不 要」 ・必要なのはネット環境のみ ○導入が適している方 ・小~中規模事業者、国保連提供「介護伝送ソフト」などの伝送専用ソフトをお使いの方、ソフト ウェアのインストールやアップデートなどの手間が惜しい方 ○将来構想 ・介護日誌、送迎運転記録の実装、より直観的な操作を可能にするようなユーザーインターフェイ スの見直し、国保中央会介護伝送ソフトとの連携 ○無料体験可能 <事例②>「簡単操作で生活の安心・安全を見守る」~高齢者向け安否連絡サービス~ 株式会社シーエスアイ 福祉システム部 川名 秀和 ○この商材が目指すもの 地域の皆さんが助け合い、支え合う暮らしの実現、独り暮らしでも寂しくなくて安心感がある暮ら しの実現、離れて暮らすご家族様も安心できるような暮らしの実現 ○「通信」を利用した ICT・IOT 製品 ・iPad、アンドロイドなどの携帯通信端末を活用した安否連絡サービス「安タッチ」 ・人感センターや内容ネットカメラを利用した安否確認サービス。 「みと~ね」 ・自宅の液晶テレビを利用した安否連絡サービス。 ○「安タッチ」 ・高齢者様自身が、毎日の状況をご家族やご友人にメールで送信(離れて暮らす家族間のコミュニ ケーション) ・ 「安タッチ」を利用した事業者とのビジネス連携も可能(商品お届け、配食、デイケアサービス、 お薬情報、サポートセンター会社の設立(位置情報自動送信など:徘徊防止) ○「みと~ね」 ・いつでもどこからでも様子が確認できる ・異常時は画像付メールを送信 ・ 『見守り』というカテゴリ(事件が起こらないように注意してみる) ○液晶テレビを利用した安否連絡サービス ・テレビをアンドロイドコンピュータとして利用。テロップ、4 色ボタンなどを駆使した双方向サ ービス。 4 総括・閉会 <小谷氏による総括> ・平井さんの講演にもあったように、高齢化は間違いなく進む。それに見合った IT を活用したシステム は必要になる。 ・テクノロジーの進歩は進んでいる。それに連れて介護・福祉の事業やサービスなども急激に変化(発 達)していくことが考えられる。 ・テクノロジーが進んでいる象徴として、5 年前 10 年前ではかなりの費用が掛かるであろうサービスが、 フリーアプリやタブレットなどの大衆化したツールを使った形で実現できる時代になっている。 ・介護・福祉分野も含め様々な領域で、IT 活用の範囲は広い。決してとっつきにくいものではなく、最 先端の技術ではない汎用的な技術で業務を改善できる部分はかなりある。 ・地域特性に応じたシステム構築 G ヘルスケアと青森との組み合わせ→地域が持っている特質を生かした活用事例の先例がある。 札幌もそのキーとなる可能性があると思う。 【セミナーの模様】 以上
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