課題別運動方針 - JTBグループ労働組合連合会

【第2号議案】 2016年度課題別運動方針
●組織
労働条件改善向上にむけた主体的な活動や、労使間の実効性ある協議を実現するための組織を
構築・運営しなければなりません。そのためには、人・機関・組織・企業・社会など組織内外の
関係者の信頼確保が重要です。活動を進めるためには、相互に健全性を認め合えることが重要で
あり、意見を出し合い、まとめるための仕組みを持ち、充分に機能していることが必要です。ま
た、社との真摯な協議を実現するためには、互いの機能・立場を認め合うと共に、それに適う組
織機能を持つことが前提となります。さらに、それらの基盤として、広く社会から認められる組
織であることが重要です。
以上をふまえ、信頼確保にむけた組織強化として、組織の適法性・民主性・効率性の維持向上
のための基盤整備、効果的・効率的な成果創出にむけた能力強化、活動の根幹となる連帯強化に
取り組み続けることが重要です。また、組織活動においても、民主性確保はもちろん、効果・効
率を高める活動強化、および社会の公器としての社会的役割・責任を果たす取り組みを進展させ
ることが必要です。
2015年度は「活動の新たなステージ」を支えうる組織の構築にむけ、本部と加盟組合の連
携のもと、着実に取り組みを進めました。
組織基盤の整備と拡充に関して、
「組織拡大」は計画・進捗を相互確認しつつ、全体で協力して
取り組みました。その結果、新規結成(220 名)
、事業会社再編に伴う社員ユシ化(約 190 名)
、
加盟組合組織内拡大12組織(142 名)と連帯を拡げて6月1日時点で組織率59.2%とし、
中期運動方針における段階目標(60%)を見通せる状態まで取り組みを進められました。
「規約・
協約類整備」は、各モデルの精査を行うとともに、グループ労協の拡充議論を行った上でグルー
プ労使協議を開始し、高次な労使関係構築にむけた取り組みを進展させました。
活動の進展にむけた相互支援活動に関して、
「人財育成」においては計画的な取り組みを継続し
つつ、各種アカデミーの講座内容・運営をさらに精査し、派遣型アカデミーの実施(38 回)、各
集合型アカデミー(12・4 月)の参加者増加(前年比 118%)と、質・量ともに充実させました。
「連携促進」については、情宣物の内容精査・ホームページの改修による情報発信の充実、およ
び「活動事例共有」
「連合会ひろば」の拡充による加盟組合情報共有の充実を果たすとともに、着
実にエリア連携の取り組みを進めました。
「活動活性化」については、Web会議システムなどの
ツール整備を行いましたが、各会議に関しては、議論を深めるためのさらなる工夫が必要です。
連帯と社会貢献活動については、啓蒙活動や産別加盟支援に取り組むとともに、各社会貢献活
動の継続、および観光資源保全活動や国際親善活動などの新たな取り組みを進めました。さらに、
グローバル企業に対置する組織としての社会的責任を果たすために「グローバル対応方針」を策
定し、新たな一歩を踏み出しました。
2016年度は中期運動方針の完遂にむけて、組織強化と活動強化を継続し、連合会組織全体
の進化を志向した取り組みを進めます。
グループで働くなかまの代表組織として、グループ内における集団的労使関係構築を支援し、
その結果としてグループ経営に対してより多くの声を集め、意見を反映させることができる組織
を構築することとし、連合会全体で計画的な取り組みを進めます。加えて、グループ労使協議の
基盤となる労働協約の拡充、各社労使間の労働協約拡充支援の強化、および組織内議論の活性化
に取り組み、より高次な労使関係の構築を図ります。
加盟組合それぞれが組織強化、活動強化を実現することが連合会全体の進化につながります。
効果的・効率的な強化にむけ、連合会全体に蓄積された知識・スキル・経験を情報としてまとめ、
加盟組合相互に共有・活用します。具体的には、人財育成、基盤整備、情報共有について、連合
会全体で企画運営する取り組みと、個々の加盟組合の状況に即した本部個別支援の双方をつうじ
て取り組むこととします。
グループ外で働くなかまとの連帯強化にむけて、産別活動に積極的に参加するとともに、そ
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の意義を含めて連合会組織内へ広く啓蒙していきます。また、社会の公器として中長期的に取り
組んできた社会貢献活動を継続し、状況に応じて災害被災地に対する支援活動に取り組みます。
さらに、グローバル企業グループに対置する組織としての責任を果たすための対応方針を内外に
周知し、社との協議に備えます。
2016年度運動方針(案)
1. グループ経営への対置の強化、およびより高次な労使関係の構築にむけて、グループで
働くなかまの代表組織としての組織強化・活動強化に取り組む。
2. 加盟組合の自立と組織強化・活動強化にむけて、連帯活動と本部個別支援による充実し
た相互支援活動に取り組む。
3. 産業・社会で働くなかまとの連帯を深めるとともに、労働組合としての社会的役割・責
任を果たすための取り組みを進める。
≪具体的取り組み内容 ≫
□ グループ内組織率65%(2017 年度)への段階目標(2016 年度:63%)にむけた組
織拡大の取り組み
□ グループにおける労使関係の高度化にむけた取り組み
□ グループ本社への対置強化にむけた組織活動の強化
□ 連合会教育体系に基づく戦略的な人財育成の実施
□ 加盟組合の組織基盤整備、活動強化にむけた相互支援の取り組み
□ 産業および社会全体で働くなかまとの連帯
□ 社会の公器としての役割・責任を果たすための取り組み
□ 「グローバル対応方針」体現にむけた取り組み
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●グループ戦略・政策/経営戦略
私たちは、地球を舞台に世界で働くグループの仲間の代表として、労働条件・環境の改善を実
現するために、グループの将来にわたる成長と発展を目指しています。そのために、激しく変化
するマーケットに正対する働くものの目線で、グループ企業価値の最大化を実現するためのある
べき姿やそのための打ち手について革新的な精神に基づく主体的な議論を行い、経営に対して真
摯な協議を通じて意見反映に取り組むことが重要です。
活動の基本目標である「将来にわたるくらしと仕事の安定化・働きがいと職場の確保」を実現
する主体者は、他の誰でもなく、私たち自身に他なりません。だからこそ、グループの経営政策
課題について主体的かつ先進的な議論に取り組み、グループ経営に対する政策提言力を高めてい
く必要があると考えます。グループ経営への対置にむけては、中長期的・俯瞰的な視点を持って、
グループの実態を常に正しく把握することが必要であり、そのための情報収集力を高めグループ
経営、産業政策に関する知見を広めることが必要だと考えます。また、産業を牽引する企業とし
て産業全体の魅力度を高め、産業の発展・成長を実現するために主体的に考えると共に、産業を
牽引するグループ経営の実現にむけ取り組むことが必要であると考えます。
2015年度は、
『新たな活動のステージへ・活動の定着と充実』を目指し、グループ経営への
意見反映サイクルを継続的に進化させることを志向し、加盟組合と一体となって活動を進めてき
ました。特に、2015年度は前中期経営計画の最終年として、その計画の完遂と、2020年
ビジョン実現に向けた新たな中期経営計画策定に対し、これまでの提言に基づき、グループの事
業の担い手である私たち一人ひとりの計画への納得感と計画の推進力の向上につなげるための意
見反映に取り組みました。具体的には中央経営協議会(1 回)
、グループ経営懇談会(1 回)
、事業
別経営懇談会(4 回)
、個別の経営協議(8 回)を通じ、事業の拡大・深化にむけて必要な重点推
進事項について「連携・スピード・強化」という観点で一貫性のある意見反映に取り組むことが
できました。また、グループ横断課題については主体的な議論に取り組んだものの対応領域によ
って議論深度に差が生じてしまったため、今後にむけてはより幅広い議論展開が必要です。加え
て、経営政策専門委員会を通じてグローバル企業としての2025年以降の人財戦略のあるべき
姿についてまとめました。更に、グローバル事業に関するRHQ、海外事業会社の実態調査をシ
ンガポール・タイにて行い、10回の外部セミナー参加によって知見を広めると共に連合会組織
内での知識の蓄積に取り組みました。また、加盟組合の主体的な将来議論、協議による、経営政
策課題に対する取り組みの充実にむけては、労連アカデミー派遣型などを通じて支援に取り組み、
全ての加盟組合が主体的な政策議論を行うことができました。提言策定または社との協議の実施
については86.5%に留まりました。また、産業の発展・成長に関する主体的議論への取り組
みについては、上部団体を通じた国政への意見反映にむけて産業政策提言(26 件(新規 18 件、
継続 8 件)
)を行いました。
2016年度は、中期運動方針の完遂にむけ、経営政策課題に対する議論と意見反映の進化を
志向し、
「新たな活動のステージへ・活動の定着と充実」を実現するための政策議論の深化を目指
します。「GLOBALVISON2020」の実現にむけた、現中期経営計画の経営課題に対応していくととも
に、将来の成長にむけた議論・検討に先行的に着手していきます。具体的には、これまで取り纏
めてきた政策提言を基に、グループの中長期な成長を期するグループの事業全体を俯瞰した、横
断政策課題への主体的な議論の充実と意見反映に取り組むと共に、グループ経営におけるグロー
バル対応方針に関する協議を進めることとします。加えて、グループとグループで働く仲間の中
長期な成長を志向した、2020年より先のグループの目指すべき方向性について、進取の気性
による主体的な議論に取り組むこととします。
また、グループ全体としてミッション経営の進化に取り組むことを踏まえ、加盟組合における
各社経営への意見反映にむけた相互支援により、対置する各社との協議の充実や、経営政策課題
への対応力強化に取り組みます。具体的には、全加盟組合における将来議論の実施や政策提言策
定の取り組みを実現するために派遣型アカデミーの実施や加盟組合における政策議論への参画、
主体的議論を支える議論素材の提供と相互共有に取り組むこととします。
加えて、観光立国実現にむけた取り組みが国策として進められる中で、産業別労働組合にお
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ける中核組織として、産業の魅力度向上と成長・発展につながる主体的な議論を行い、連帯活動
をつうじて国政への意見反映に取り組むこととします。そのためにも、引き続きグループ外の組
織・団体における議論や勉強会をつうじて、連合会の政策議論の強化をはかると共に労働者の社
会的地位向上に取り組むこととします。
2016年度運動方針(案)
1. 主体的かつ先進的な議論に基づいた中期経営計画完遂にむけた協議に取り組む。
2. 次期中期経営計画を含む将来を見据えた、グループが進むべき方向性について、あるべ
き姿と課題解決にむけた議論に取り組む。
3. 2020年ビジョン実現にむけた事業の拡大・深化を進めるための、グループ横断的事
業政策に関わる主体的な議論・協議に取り組む。
4. 経営戦略課題における議論・協議の充実にむけ、情報収集・知識の蓄積と組織内共有に
取り組む。
5. 全加盟組合における革新的な精神に基づく主体的な将来議論、協議により、経営政策課
題に対する取り組みを充実させる。
6. 産業別労働組合活動をつうじて、産業の発展・成長に関する主体的な議論、国政への意
見反映に取り組む。
≪具体的取り組み内容 ≫
□ グループ経営計画(2013-2020)
、中期経営計画(2016-2018)の進捗確認、完遂にむ
けた意見反映
□ 中長期的な将来の成長を見据えた先行議論
□ グループ内横断的事業政策に関する意見反映
□ グループ実態の調査・把握
□ グローバル視点での企業、産業の発展・成長に関する知識の蓄積
□ 経営政策議論に関する知識の蓄積
□ 加盟組合における、経営政策課題への対応と相互支援
□ 加盟組合の経営政策課題対応機能強化にむけた取り組み
□ 観光産業政策についての議論および行政への提言
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●グループ戦略・政策/労働条件・人財
私たち連合会は、
「働くものの豊かで安定した生活の実現を目指す」ことを理念に掲げ、活動し
ています。そして、私たちは主体的に議論し、働くものの意志をグループ経営に反映させながら、
働きがいと安心感を実感できる労働条件の維持向上や労働環境の整備に取り組んでいきます。こ
れらの実現には、グループの持続的な成長が不可欠であります。経営任せの受け身の姿勢や労働
者の利己的な活動では、一時的な改善を図れたとしても、砂上の楼閣になりかねません。このグ
ループは、働くもの一人ひとりが生み出す価値によって支えられています。私たち一人ひとりが
主役になり、生み出す付加価値を高められるよう、未来を創造する気概を持って活動していく必
要があると考えます。
2015年度は、これまで課題として認識しつつも具体的協議として進展できなかったグルー
プ人財戦略の推進と拡充に関する労使協議を重点的に実施することができました。また、Jスク
エアの各機関の運営およびグループ安全衛生委員会にむけて、連合会としての意見反映を行うこ
とができました。特に2016年度より導入されるストレスチェックの実施にむけては、法対応
を上回る全従業員を対象とした検査の実施など、働くものの声を反映させることができました。
一方、ダイバーシティ推進については、グループ本社の勤務全般に関して協議を目指しましたが、
グループ労使としてのダイバーシティ推進に関する協議には至りませんでした。グループ本社の
労働条件については、上述の勤務に関する協議および在外出向者規程に関する協議、役職者の休
務に関する覚書の締結などに取り組み、労働条件の維持向上につながる取り組みが実現しました。
加盟組合支援の観点では、労働条件実態調査および賃金実態調査の実施により、加盟組合の労
働条件の改善にむけた取り組みの材料として活用することができました。今後は調査内容の充実
を図る段階にあると捉えています。ダイバーシティ推進にむけては、派遣アカデミーの対応など
個別支援に努めましたが、より具体的な支援の要請にこたえることが必要であったと考えていま
す。また新たな取り組みとして、ライフデザインセミナーの企画については、実施に際しての準
備は整い、2016年度から本格的に稼働できる状態となりました。
2016年度についても、引き続きグループ全体の労働条件の維持向上と安心感と働きがいを
実感できる労働環境の整備にむけて取り組みを進めます。グループ本社への対置という役割にお
いては、グループの人財戦略に関する協議に臨みます。この協議に臨むにあたっては、働くもの
の意志を反映させるべく、主体的な議論・先進的な研究に取り組まなければなりません。また、
グループで働くなかまの豊かで安定した生活につながる福利厚生の充実や心身の健康の確保にむ
けた安全衛生管理の徹底を図るとともに、多様性を認め合いながら一人ひとりが活躍できるよう
労働環境の整備に取り組みます。また、労働条件に関する取り組みは債権債務を有する労働組合
が行うものであるため、グループ本社で働く従業員についてはグループで働くものの代表である
連合会本部が取り組むこととします。特に、活躍のフィールドが国境の垣根なく世界に求められ
る状況にあって、どこにおいても安心して働くことができるよう在外出向者に関する具体的交渉
を行います。
一方、各事業会社に雇用されている労働条件の維持向上にむけては、対置する各加盟組合の対
社協議によって実現を目指すことになります。各加盟組合のベンチマークとなるべく労働条件基
準の見直しを図るとともに、各々の主体的な取り組みにつながるように連合会全体で相互支援に
取り組んでいきます。また多様な人財がイキイキと働くことができる各加盟組合の労働環境の整
備、個人生活の充実にむけては、相互に認め合える意識改革や風土醸成にむけて連合会として主
体的な活動を行っていきたいと考えます。
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2016年度運動方針(案)
1. 主体的な議論と先進的な研究に基づく意見反映を行い、グループ人財戦略の進化にむけ
て労使協議に取り組む。
2. 「くらしと仕事の安定化」を支える福利厚生の充実・安全衛生管理の徹底と「ダイバー
シティ推進に対する提言」に基づいた労働環境整備にむけた取り組みを進める。
3. グループ本社で働く従業員の総合的労働条件の維持向上にむけて取り組む。
4. 「労働条件関連諸課題取り組み基準」の見直しと「労働条件実態調査」の活用により、
総合的労働条件の維持向上のための各加盟組合の主体的な取り組みにむけた相互支援活
動の充実に取り組む。
5. 人財の多様化に対応し得る労働環境の整備にむけた、加盟組合の主体的な活動を支援する。
≪具体的取り組み内容 ≫
□ グループ経営下における人財戦略に関する議論と協議の実施
□ グループ本社の各施策に対する意見反映
□ グループで働くなかまが安心して働ける環境の整備
□ 「ダイバーシティ推進に対する提言」に基づく具体的な取り組みの実践
□ グループ本社出向者臨給制度に関する具体的交渉
□ 在外出向者の労働条件に関する具体的交渉
□ グループ本社直接雇用従業員の労働条件維持・向上
□ 加盟組合の目標設定と実現にむけた支援の実施
□ 「労働条件諸課題に関する取り組み基準」に基づく取り組みの充実
□ 連合会「労働条件実態調査」の実施と活用
□ 加盟組合の労働環境整備にむけた主体的な活動の支援
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●秋・春闘
秋・春闘は、働くなかま全員で連帯し、産業や社会全体における総合的な労働条件の維持向上
のために、組織として持てる力のすべてを結集させる労働組合の集大成ともいえる取り組みです。
私たちは、これまで自らの労働条件について主体的に考え、議論し、働くなかまの連帯による
具体的な行動によって労働条件の確定に取り組んできました。これは対置する企業・グループと
将来のあるべき姿について語り合い、その目標にむけて労使で叡智を出し合うことによって、働
くなかまと社の成長を実現してきた証でもあります。これからも働くなかまが連帯し、グループ
や産業で働くなかまの総合的労働条件の維持向上を目指して主体的な取り組みを行うこととしま
す。
2015秋闘は、3組合が社への要求を行い、総合的労働条件の維持向上に取り組みました。
また、秋闘を組織しない組合においても、冬期臨給の確定交渉を中心に取り組みを行いました。
2016春闘は、16,059名分の賃金データ分析を行うと同時に、これまでの賃金改善の
取り組みの経緯や労働条件基準、社会情勢を勘案しながらグループ全体の賃金改善水準論拠を構
築しました。結果としては加盟組合加重平均で要求水準を上回ることができなかったものの、高
い賃金改善率を実現しました。また、グループや産業で働くなかまの生活を支える各種最低保障
賃金の確保について、取り組み基準を明確にし、全加盟組合で労使確認を行うことができました。
総実労働時間短縮について真摯に労使協議を積み重ね、一部を除き全ての加盟組合で制度改訂を
実現することができました。グループ本社の従業員については、管理監督者にある役職者の休務
に関する覚書の締結を実現することができました。
2016年度についても、労働組合としての力を結集させ、総合的な労働条件の維持向上の実
現を目指すこととします。具体的には、個々人や対置する企業の置かれた環境の違いを認識しつ
つも、連合会全体での交渉力の引き上げと底支えを意識し、取り組みの基軸となる連合会春闘方
針を策定することとします。その議論過程においては、各加盟組合の交渉手法、要求論拠、組織
運営に関する事例を連合会として情報を集約し、取り組みの相互支援を行うこととします。その
上で、連帯による相乗効果を発揮できる戦略的スケジュールを定めるとともに、一定の期間内に
合意を導きだすことができるように議論を深めつつ、グループにおける共闘態勢の強化を図るこ
ととします。
グループ本社に勤務する組合員の総合的労働条件の維持向上にむけて、グループ本社に対して
具体的な要求行動を行うと同時に、グループ本社出向者臨給支給制度の適用対象となる従業員の
臨給確定にむけて取り組むこととします。
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2016年度運動方針(案)
1. 2016秋闘に取り組む。
2. 2017春闘に取り組む。
≪具体的取り組み内容 ≫
□ 2016秋闘方針に則った、2016年冬期臨給の確定を中心とした取り組み
□ 2017春闘骨子に基づく連合会方針の策定
□ 連合会戦略的スケジュールの設定と実践
□ 総合的な労働条件向上にむけた統一的な対応
□ 加盟組合相互の情報共有と要求立案にむけた勉強会の実施
□ 加盟組合の取り組みにおける連携強化
□ グループ本社に勤務する組合員の労働条件改善にむけた要求
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●2016秋闘・2017春闘に臨むにあたって(案)
○グループを取り巻く環境
社会・経済環境は、世界経済に目をむけると、英国での国民投票によるEU離脱決定に伴う
市場への影響、中国をはじめとするアジア新興国の経済の先行き、原油価格の下落の影響、な
どに留意する必要があるものの、2017年にむけては全体として緩やかな回復が見込まれま
す。また日本経済については、新興国経済の景気下振れによるリスクはあるものの、緩やかな
回復基調が続いています。好調な企業収益を投資の増加や賃上げ・雇用環境の更なる改善等に
つなげ、地域や中小・小規模事業者も含めた経済の好循環の拡大させることが期待されていま
す。
産業を取り巻く環境は、世界規模でヒトの動きが活発になっている現状を捉えると、引き続
き産業全体にとって好機に溢れた環境が継続すると考えられます。特に、日本国内においては、
政府が「観光先進国」へむけた新たな観光ビジョンを策定しており、官民一体となった積極的
な観光政策が進められることで、私たちの産業への期待感が更に高まっているといえます。一
方で、このような急速な世界規模でのヒトの動きの活発化は、これまでの産業構造の変化にも
つながる可能性があり、圧倒的な仕入力の確保や迅速なIT化といった対策を打たなければ、
マーケットから取り残される危険性があるといえます。
私たちの生活環境は、物価上昇や社会保障に関連する負担増加により、景気動向の指標にあ
らわれるような豊かさやゆとりを実感できる状態にはありません。消費税の税率引き上げ延期
を判断せざるを得ない結果となった背景には、消費を支える実質賃金の改善にむけた足取りの
弱さが引き金となっており、景気回復に不可欠な消費の低迷が影響しています。日本経済の成
長とともに豊かな暮らしの実現のためには、働くものが働く意欲と安心感を持って働くことが
できる労働環境の整備と、安定的な成長を支える可処分所得の増大に取り組むことは正に社会
的な要請であるといえます。
○グループの状況
2015年度の連結決算は、売上高1兆3,437億円(前期比 101.5%)、経常利益223
億円(同 119.6%)
、と計画を達成することができ、当期純利益132億円(同 85.4%)もグ
ループ会社の売却益を得た前年度は下回るものの高い水準を確保することができました。これ
は中期経営計画における各種施策効果の表れと全ての従業員が自らの役割を果たしながら不
断の努力を重ねてきた成果であり、将来にわたるグループの成長にむけて、グループ全体で着
実に取り組んできた成果が現れたものと受け止められます。
2016年度は、これまでに築き上げた経営基盤に基づき、「GLOBAL VISION 2020」の実現
にむけた変革と飛躍を望む新中期経営計画「躍進 2018 計画(Evolution & Growth2018)」の
初年度としての重要な一年となります。
○2016秋闘方針
(基本的な考え方)
2016秋闘については、加盟組合それぞれの取り組み状況が異なる中において、グループ
全体の環境認識を踏まえたうえで、グループで働く仲間の生活の安定と、納得感のある成果の
反映という観点から取り組みを行います。具体的には、2016冬期臨給の確定を中心に取り
組むとともに、2016春闘の継続課題を含め、各加盟組合の状況に応じて、総合的労働条件
の改善にむけた取り組みを行うこととします。
(方針案)
1.2016年冬期臨給の確定を中心に取り組む。
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○2017春闘の基本的な考え方と具体的な取り組み
(基本的な考え方)
私たちを取り巻く社会は、社会全体の構成員である私たち自身の行動によって変化していくも
のであり、社会、産業、グループ・企業をよりよいものにしていくことができるのは、他の誰で
もなく私たち自身です。私たちは、働くことを通じて企業・グループの経営を支え、産業の成長
や社会への貢献を果たしているという自負を持ち、グループや産業で働くなかまの総合的労働条
件の向上を目指した主体的な取り組みを着実に進めていく必要があります。そのためにも、働く
なかまが相互に手を取り合い、個々人の生活改善だけを目的とするのではなく、自分たちの労働
条件の改善にむけた議論と社との話し合いを通じて、所属する企業・グループ、あるいは産業の
成長や社会への貢献をより一層現実的なものとするための具体的行動として、闘争体制を組織し
た上での要求行動を行います。誰かが自分のためにやってくれるのを待つのではなく、私たち自
身が、自らと仲間のために、互いの立場や価値観の違いを認め合い、組織一丸となって取り組み、
それぞれの立場で労働条件の改善を実感することが、グループ・企業の成長につながるものと確
信し、2017春闘の取り組みを進めることとします。
賃金改善については、働くなかまの生活基盤としての安定的改善はもとより、働くものが働き
がいを感じ続けられるよう、実質的な生活環境の維持・向上を目指して継続的に取り組んでいく
必要があります。具体的には、
「要求の底支え」として、社会・経済環境の検証に基づく生活改善
要素を踏まえ、グループ賃金基準に照らした改善水準を策定することとします。その上で、各加
盟組合がそれぞれの目標感を定め、雇用形態や職種を全体として捉えて必要とされる原資の確保
を目指すこととします。併せて、各社の賃金に関する考え方や制度理念、設計基準を踏まえ、働
くもの一人ひとりの賃金改善の実感に繋がるよう取り組むこととします。
臨給・一時金については、制度や労使共有の考え方がある場合はそれに則った支給水準の確定
を求めるとともに、生活慣習や文化を踏まえた季節給与として生活給的要素も含まれていること
を意識しつつ、年収ベースでの生活の安定と、働くものの努力と成果が反映されるよう、臨給の
確定にむけ取り組むこととします。
また、グループで働くなかまの総合的労働条件の向上にむけ、労働条件基準の取り組み実態や
法改正等の社会情勢を踏まえ、統一的な対応を図ることとし、具体的な内容については拡大執行
委員会で検討します。加えて、各加盟組合がそれぞれに当面する課題についても、連合会労働条
件基準に即した改善を目指し、主体的な取り組みを継続することとします。
なお、連合会2017春闘方針については、あらためて環境分析を行ったうえで、要求骨子案
を軸に1月の執行委員会において確認を行うこととします。また、連合会における共闘体制を強
め、加盟組合相互の情報共有も図りながら、有機的に連携した闘いを展開し、早期の合意にむけ
て取り組むこととします。
(要求骨子案)
1.策定した賃金改善水準を底支えに、雇用形態や職種を全体として捉えた原資の確保を目指す
とともに、各社の賃金に関する考え方や制度理念、設計基準を踏まえつつ、働くもの一人ひ
とりが生活の向上を実感できる賃金改善に取り組む。
2.年収ベースでの生活の安定と働くものの努力と成果が反映されるよう、臨給の確定にむけ取
り組む。
3.グループで働くなかまの総合的労働条件の向上にむけ、グループ全体や産業・社会への波及
効果も意識した取り組みを行う。
4.グループ本社で勤務する従業員の労働条件向上にむけ、具体的な取り組みを行う。
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