Ⅲ.2015年度の環境報道、活動 2015年度の環境報道 朝日新聞は、環境問題を最重要の報道テーマとして位置づけてきました。とりわけ近年は、東 京電力福島第一原発事故がもたらした自然環境への放射能汚染、再生可能エネルギーを含む エネルギー問題、世界で関心の高まる地球温暖化問題の報道を充実させています。 ◇組織 報道・編成局は、関係出稿部のデスクや編集委員による環境デスク会を定期的に開いていま す。直近の出稿予定を情報交換したり企画のアイデアを出し合ったりして、各部が連携して取り 組むことを心がけています。これとは別に、東日本大震災の復興や原発をめぐる問題を主なテ ーマとする復興・原発デスク会も毎週開催しています。 ◇報道 2015年度は、地球温暖化問題で歴史的な進展がありました。年末にパリで開かれた国連気 候変動会議(COP21)で、20年以降の温暖化対策の新枠組み「パリ協定」が採択されました。 中国やインドなどの新興国を含むすべての国が参加し、世界全体の温室効果ガス排出を今世 紀後半に実質ゼロにすることを目指します。 15年は、14年に続いて2年連続で世界の平均気温が過去最高を更新しました。温暖化対策 は待ったなしの状況で、パリ協定は早期発効の機運が高まっています。私たちは、脱炭素社会 へ向かう経済社会の最新動向や国際交渉の流れなどをさまざまな角度から報じることで、読者 に考える材料を提供しようと心がけています。 福島第一原発事故の関連では、福島県内の除染で出た汚染土を保管する中間貯蔵施設が 焦点でした。事故発生から4年を迎え、「仮置き」の早期解消と、中間貯蔵が「永久保管」になる のではないかという不安の間で揺れる住民の思いをきめ細かく報じました。 07年から続けている大型企画「地球異変」では、永久凍土が溶けてできたとみられるシベリア の巨大な穴と、急速に海岸浸食が進むベトナム沿岸部を紹介しました。 ◇イベント 10月に毎年開催している朝日地球環境フォーラムは、「京都からパリへ―やさしい明日へ ~脱炭素社会への道筋」がテーマでした。パリ協定に向けた国際情勢をメインの議題とした全体 会議とテーマ別セッションを2日間にわたって行いました。紙面では、当日に加え、事前と事後 に特集ページを組み、活発な議論の詳細を読者に伝えました。 環境教育プロジェクト「地球教室」では、ふだん環境報道にあたる担当記者らが全国の小学校 で出張授業を行うなどしました。 (編成局長補佐 佐野哲夫)
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