<2016.5 月号> 株式会社フォーラムジャパン 東京都千代田区神田小川町 3-20 第 2 龍名館ビル 6F 改正労働契約法「無期転換ルール」に備える! ~平成 30 年 4 月 1 日から適用者が出始めます!企業は改正内容を理解しましょう!~ 1.無期転換ルールの認知度は高いが改正内容を知らない企業が4割 昨年 12 月、(独)労働政策研究・研修機構が実施した「改正労働契約法とその特例への対応状況及び多様な正 社員の活用状況に関する調査」について、その結果を発表しました。それによると、 「労働契約法が改正された こと自体を知っている」と回答した企業(下図①と②)の割合は9割を超えていたものの、 「改正された内容を 知らない」と回答した企業(下図②と③)の割合は4割を超える状況でした。 【無期転換ルールの認知度】 2.無期転換ルールとは?(労働契約法第 18 条) 同一の使用者との間で、有期労働契約が通算で 5 年を超えて反復継続された場合は、労働者の申込みにより、 期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールです。 ※5 年のカウントは、このルールの施行日以降に開始する有期労働契約が対象です。施行日(平成 25 年 4 月 1 日)前に既に開始している有期労働契約は 5 年のカウントに含めません。 【無期転換の申込みができる場合】 3.無期転換ルールに対する企業側の対応方針 前述の(独)労働政策研究・研修機構の調査では、フルタイム契約労働者を雇用している企業、パートタイ ム契約労働者を雇用している企業ともに、6 割を超える企業(66.1%)が「何らかの形で無期契約にしていく」 と回答しています。この回答は、前回調査(平成 25 年「高年齢社員や有期契約社員の法改正後の活用状況に関 する調査」の結果から約 1.5 倍増加しています。 4.無期転換ルールの特例 専門的知識等をもつ有期雇用労働者や、定年後引き続いて雇用される有期雇用労働者の方々を対象に能力 の有効な発揮を目指す観点から、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」(有期雇用 特別措置法)が、平成 27 年 4 月 1 日から施行されました。 通常は、同一の使用者との有期労働契約が通算 5 年を超えて反復更新された場合に無期転換申込権が発生 しますが、有期雇用特別措置法による特例によって、次のような場合には、無期転換申込権が発生しないこ ととされています。 ★専門的知識等を持つ有期雇用労働者 → 一定の期間内に完了することが予定されている業務に就く期間(上限:10 年) ★定年後引き続き雇用される有期雇用労働者 → 定年後引き続き雇用されている期間 この特例を受けるためには、専門的知識等をもつ有期雇用労働者や定年後引き続いて雇用される有期雇用労働者に ついて、雇用管理に関する特別の措置について、都道府県労働局長の認定を受ける必要があります。 ■有期雇用特別措置法施行後1年間の無期転換ルールの特例に関する認定件数 都道府県労働局長による認定件数:3,287 件(平成 27 年 4 月 1 日~平成 28 年 3 月 31 日) 無期転換ルールの特例に関する認定件数(平成27年4月1日~平成28年3月31日) 平成27年 4月 116 5月 202 6月 267 7月 340 8月 311 9月 259 10月 309 11月 277 12月 288 平成28年 1月 260 2月 282 3月 376 合計 3,287 5.キャリアアップ助成金の拡充 厚生労働省では、いわゆる非正規雇用の労働者(有期契約労働者、派遣労働者等)の企業内でのキャリアアップなどを 促進するため、正社員化(正社員転換、無期転換、多様な正社員転換等) 、人材育成、処遇改善などの取組を実施した事業 主に対する助成制度として、キャリアアップ助成金制度を設けています。 平成28年度から、キャリアアップ助成金が拡充されていますが、詳しくは、来月のパートナーニュースで特集を組み ご紹介したいと思います。非正規雇用労働者を正規雇用等に転換しようとお考えの方は、キャリアアップ助成金をご活用 ください。キャリアアップ助成金にご興味のある方は、営業担当までお問い合わせください。 派遣法改正法の概要 ~派遣労働者のキャリアアップ支援等で派遣先が講ずべき措置~ 1.派遣労働者のキャリアアップ支援 派遣元事業主は、雇用している派遣労働者のキャリアアップを図るため、①段階的かつ体系的な教育訓練(派遣 労働者のキャリアアップに資する教育訓練)、②希望者に対するキャリア・コンサルティングを実施する義務があ ります。派遣労働者のキャリアアップについては、派遣先の協力が重要であることから、派遣法では、派遣先は、 派遣元事業主が教育訓練の実施に当たって希望した場合には、派遣労働者が教育訓練を受けられるよう可能な限 り協力し、また必要な便宜を図るように努めなければならないと定めています。その他派遣労働者のキャリアア ップ支援として、派遣先が講ずべき措置として以下のように規定されています。 (1) キャリアアップ支援に必要な情報の提供 派遣先は、派遣元事業主から求めがあったときは、派遣元事業主によるキャリアアップ支援に資するよう、 派遣労働者の職務遂行状況や、職務遂行能力の向上度合などの情報を提供するよう努めなければなりません。 (2) 雇入れ努力義務 派遣先は、以下の場合には、受け入れていた派遣労働者を雇い入れるよう努めなければなりません。 ・ 派遣先の組織単位の同一の業務に、同一の派遣労働者を継続して 1 年以上受け入れており、 ・ 派遣元事業主から、その派遣労働者を直接雇用するよう依頼があり、 ・ 派遣終了後に、引き続き同一の業務に従事させるために労働者を雇用しようとする場合 (3)正社員の募集情報の提供義務 派遣先は、以下の場合には、受け入れている派遣労働者に対して、派遣先の事業所の募集情報を周知しな ければなりません。 ・ 派遣先の同一の事業所で同一の派遣労働者を継続して 1 年以上受け入れており、 ・ その事業所で働く正社員を募集する場合 なお、提供方法は、事業所への掲示等に加え、派遣元事業主を通じて行うことも可能です。 全国転勤の総合職の募集情報など、派遣労働者に応募資格がないものまで周知する必要はありません。 (4)労働者の募集情報の提供義務 派遣先は、以下の場合には、受け入れている派遣労働者に対して、正社員に限らず、派遣先の事業所の 労働者の募集情報を周知しなければなりません。 ・ 派遣先の同一の組織単位の業務に、継続して 3 年間受け入れる見込みがある派遣労働者について、 ・ 派遣元事業主から、その派遣労働者を直接雇用するよう依頼があり、 ・ その事業所で働く労働者(正社員に限らない)を募集する場合 ※周知した募集情報の内容は、記録・保存することが望まれます。 2.安全衛生に関する措置 派遣元事業主は、派遣労働者の安全衛生に関する措置を実施するため、派遣労働者に対して雇入れ時等の安全衛 生教育等を実施することになっていますが、派遣先は、派遣元が、派遣労働者の安全衛生に関する措置を実施で きるよう、以下のように必要な協力や配慮をしなければなりません。 ・ 派遣元事業主が派遣労働者に対して雇入れ時・作業内容の変更時に適切に安全衛生教育を行えるよう、派遣 労働者が従事する業務に関する情報を派遣元事業主に積極的に提供する ・ 派遣元事業主から雇入れ時・作業内容の変更時の安全衛生教育の委託を依頼された際は、可能な限り応じる よう努める ・ 派遣元事業主が、健康診断等の結果に基づいて、派遣労働者に就業上の措置を講じる際は、必要な協力を行 う。
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