前のページ 次のページ グリーンレポートNo.441(2006年3月号) シリーズ 農薬のドリフト低減対策 その3:水田・野菜・畑作物のドリフト低減対策 北村 禎 全農 肥料農薬部 農薬技術・安全課 ❶必ずDL粉剤を使用する。 ❷風が弱くてもドリフトすることが 型の機械では、前回述べた基本的対 クはそれほど高くないと思われる。 トよりも後作への影響が懸念される。 あるので、風のないときに散布する。 ❸風を利用した流し散布は避ける。 たとえば、水稲育苗ハウスで育苗後 ❹朝露のある時間に散布すると、少 に向けて散布するなどの注意が必要 に野菜などを栽培する場合、施用時 である。 に地面にこぼれた農薬や、潅水で漏 しでもドリフトの可能性が減る。 ❺動力散布機の操作に注意する。粉 出した農薬が、後作に残留する可能 剤散布に広く使用されるパイプダス では、噴霧量が多いため、とくに草 性も否定できない。薬剤をていねい タ(写真−1)では、あまり長いホ 丈の高い作物に散布する場合はドリ に処理するとともに、ハウス全面に ースは避ける。 フトが大きくなる可能性がある。そ 水田のドリフト低減対策 水稲の育苗箱処理剤では、ドリフ 策をとっていれば、ドリフトのリス ただし、圃場の境界付近では、内側 セット動噴など大型の動力噴霧機 ビニールシートを敷くなど十分に注 また、近接して収穫時期に近い野 のため、基本的対策に加え、ドリフ 意されたい。一方、中後期の粉剤や 菜などが栽培されている場合は、粒 ト低減ノズルなどを使用することが 液剤による本田防除では、ドリフト 剤や近接作物にも登録(基準値)が 望ましい。とくに、近隣に収穫間近 対策が必要である。 ある農薬の使用を検討することも重 の作物がある場合は、散布を遅らせ 要である。 るか収穫を早めることも考慮に入れ 粉剤は、細かい粒子の少ないDL (ドリフトレス)粉剤が主流になって 液剤散布には、到達力のある散布 いるが、その平均粒径は0.020∼0.025 ノズル(畦畔ノズル)が使用される 大面積の圃場では、効率的な散布 ㎜であり、散布液の粒子より小さい。 ことが一般的であるが、風に注意す 法としてブームスプレーヤ(写真− また、稲体の間に吹き込まれた粉剤 るとともに、むやみにノズルの角度 2)が使用されている。これは細か 粒子が、しばらく株間をただよって を上げたり、振り回したりしないこ い散布粒子を発生するノズルが使用 いるため、風によって二次的にドリ とが必要である。 されており、高圧で使用されること フトすることがある。 粉剤散布時のドリフト対策として は、つぎのような事項を徹底するこ とが重要である。 野菜・畑作物のドリフト低減対策 るとよい。 が多い。そのうえ、ノズルの数も多 くなっているため、ドリフトが発生 野菜・畑作物では、液剤散布が主 しやすい。条件によっては、ドリフ 流となっているが、背負動噴など小 トが数十mに達することもある。こ 写真−1 パイプダスタによる粉剤散布 写真−2 ブームスプレーヤによる散布 18
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