物理学 I (力学)4 回目: 運動の法則+運動方程式

今日の内容
物理学 I (力学) 9 回目:
力積と運動量・物体の衝突

「仕事とエネルギー」の復習

力積と運動量


中野武雄
2011年6月5日


運動方程式の時間積分→運動量の変化=力積
作用反作用の法則と内力・外力
質点系の重心と全運動量
2物体の衝突問題



1次元の衝突と反発係数
反発係数と運動エネルギーの保存
重心を用いた衝突問題の解析
運動量と運動方程式


定義: p  mv


dp d 
dv

 mv   m  ma
dt dt
dt
より、運動方程式は

dp 
F
dt
この両辺を時間で積分すると

t 2 dp
t2 
t1 dt dt  t1 Fdt
力積と運動量
ベクトルの時間積分?
t 
運動量の変化=力積

dp
 t2 dp x    t2 dp y  
dt  
dt ex  
dt e y
dt
 t1 dt 
 t1 dt 


 p x (t 2 )  p x (t1 )ex  p y (t 2 )  p y (t1 )e y


 p (t 2 )  p (t1 )

t2 
I   F dt と定義すれば、
t1



p (t 2 )  p (t1 )  I
t 2  t1
と置くと:
n



F (t1 )t  F (t1  t )t    F (t1  (n  1))t
n 1 
t2 
  F (t1  it )t   F (t ) dt
デカルト座標系で



F (t )  Fx (t )ex  Fy (t )e y と成分表示できるなら
t2 
t2
t2


 F (t ) dt   Fx (t ) dt ex   Fy (t ) dt ey 
t1
 
t1

t2
t1
n  t1
t 0
i 0
t1


運動量の変化は、与えられた力積に等しい
1
運動量保存則

全運動量の保存
物体1

dp

 0 より、p は時間によらず一定。
dt



第三法則よりF12   F21、よって
t2 


p1 (t 2 )  p1 (t1 )   F12 dt
力を及ぼしあう2物体
作用反作用の法則より、運動量の和は不変。
物体1

F12
t1
t2 


p2 (t 2 )  p2 (t1 )   F21dt
t1




より、 p1 (t 2 )  p1 (t1 )   p2 (t 2 )  p2 (t1 )





p1 (t 2 )  p2 (t 2 )  p1 (t1 )  p2 (t1 )

F21 物体2
質点系の全運動量保存


全運動量 P   pi


重心と全運動量

F21
i
m1  m2    m5   mi  M
2

K3
3
F35
4

F21
i

F12
内力:質点間に働く力
→作用反作用の法則より
1
2質点で運動量変化は
キャンセル
外力:外部から質点に働く力
→キャンセルできないので、
力積ぶん運動量が変化


F21 物体2

F12
力の働いていない物体

F53
5
K5

m 
重心ベクトル RG   i ri
i M
これを用いると全運動量は



dr
dR
P   mi i  M G
dt
dt
i
また


d 2r
dP
  mi 2i  K i
dt
dt
i
i
2

F12

K3
1
外力が0なら全運動量(=重心の運動量)は不変
3
F35
4

F53

K5
5
2物体の場合の重心

重心は2物体を
結ぶ線上にあり、
それぞれの質
量に反比例して
内分した点とな
る。
m1

r1
O
2物体の衝突

r2
m2



m r  m2 r2
RG  1 1
m1  m2
2
直線上の2物体の衝突
(1次元の衝突)
衝突における運動量保存
2物体が同じ直線上を進行して
衝突の際の相互作用が、
2物体の
相互作用力のみであるとすれば、
運動量保存の式は
m1v1  m2 v2  m1v'1  m2 v'2
なので、




m1v1  m2 v2  m1v '1  m2 v '2
衝突後
v1 '
v2 '
速度ベクトルの x 成分のように
基本の関係となる。
正負の値を取り得る)
簡単な例(v2=0, e =0)
はねかえり係数(反発係数)
衝突前の v1 , v2 が既知でも、
v2  0 なので運動量保存の式は
m1v1  m2 v2  m1v'1  m2 v'2
衝突前
v1
だけでは v'1 , v'2 の値は決定しない。
m1v1  m1v'1  m2 v'2
v2
v1
となる。また e  0 であるので
v2  0
衝突後の相対速度は0、すなわち
はねかえり係数 e を、衝突前後の
v'1  v'2
衝突後
v1 '
v'1 v'2 
v ' v ' 
   1 2 
v1  v2 
v1  v2 
簡単な例(v2=0, e =1)
となる。また e  1 より
v1  v2 'v1 '
これらを連立させて解けば、
m  m2
2m1
v1 '  1
v1 , v2 ' 
v1
m1  m2
m1  m2
このとき
m1
v1
m1  m2
となる。
(なお e は 0  e  1の範囲となる)
運動量保存の式は同じく
m1v1  m1v1 ' m2 v2 '
v2 '
v'1  v'2 
これを与えれば解ける。
となる。
v2
となる(ただし v1 , v2 , v'1 , v'2 は
これが衝突現象の分析における
e
v1
する場合。
全運動量保存より
 
 
p1  p2  p '1  p '2
相対速度の比と定義する。
衝突前
衝突、再び同じ直線上で運動
v1
v2  0
非弾性衝突
衝突前後の運動エネルギーの和
1
1
1
1
2
2
2
2
K  m1v1  m2 v2 , K '  m1v'1  m2 v'2
2
2
2
2
を計算してみる。
v2  0, e  0 の例では
K
1
2
m1v1 ,
2
2


1
m1  m2  m1 v1   1 m1v12 m1  m1 K
2
m

m
2
m1  m2 m1  m2
2
 1

よって K '  K  非弾性衝突
K'
3
弾性衝突
重心の運動と衝突
v2  0, e  1の例では
2

1  m  m2  1  2m1
K '  m1  1
v1   m2 
v1 
2  m1  m2  2  m1  m2 

2

1
v1
2
2
m1 m1  m2   4m2 m1
2 m1  m2 2
2


重心 X G 
2
 重心の速度VG 


VG
衝突後
v2 '
v1 '
VG
重心速度・相対速度による
運動エネルギーの表記
いま相対速度として
衝突前 v
R
v1
K
v2
1
1
2
2
m1v1  m2 v2
2
2
2
 1 

1 
m2
m1
m1 VG 
vR   m2 VG 
vR 
2 
m1  m2  2 
m1  m2 
1
1 m1m2
2
2
 m1  m2 VG 
vR
2
2 m1  m2
2

m2
v1  VG 
vR
m1  m2
m1
vR
m1  m2
v2
速度は衝突前後で不変。
相対速度と衝突
v2  VG 
v1
m1v1  m2 v2
m1  m2
よりVG  V 'G , つまり重心の
よって K '  K  弾性衝突
を定義すると、
衝突前
運動量保存
m1v1  m2 v2  m1v'1  m2 v'2
1 m1v1
m1  m2 2  4m1m2  1 m1v12
2 m1  m2 2
2
vR  v1  v2
m1 x1  m2 x2
m1  m2
VG
衝突後
v1 '
v 'R
v2 '
よって e  1ならば K  K ' であることがわかる。
となる。よって e  v' R / vR
VG
によって v1 ' , v'2 も決まる。
おまけ:相対座標による運動方程式
  
rR  r1  r2 を定義すると、





d 2 r1 F12 d 2 r2 F21 
F12 



,



dt 2
m1 dt 2
m2 
m2 
2式を辺々引いて

d 2 rR  1
1 
1 
 F12  F12
 
dt 2  m1 m2 

物体1
よって相対速度の運動方程式


d 2r
 2R  F12
dt
を解けば 2 物体の運動が決まる。
なお  
m1m2
は換算質量と呼ばれる。
m1  m2
参考:2次元(3次元)の衝突問題
重心系で考えると考えやすい。要するに


vR  v ' R
衝突
の関係を与えれば衝突問題は解ける。

F12

F21 物体2
・ 剛体球の衝突なら、衝突角を与える
・ 2 体間ポテンシャルによる衝突なら、
衝突パラメータ+角運動量保存の関係
などを使う(詳細知りたい人は、web に
ある江沢先生の参考書などを参照下さい)

RG
b

vR
4