ホーネック氏と奏でるアンサンブルの魅力

ホーネック氏と奏でるアンサンブルの魅力
初めてホーネック氏の演
は演奏側の自己満足や過度な表現とは無縁な、まさに
奏を聴いたのは、留学を考
「音楽の本質そのもの」でした。今回演奏される曲目
えていた 1997 年のことで
は彼の得意とする作曲家ばかりです。妥協のない緻密な
した。当時ウィーンに住ん
練習を経て、きっと美しい音楽が紡ぎ出されることと思
でいた知人のピアニストに
います。どうぞ、お聴き逃しなきよう・・・!
留学について相談したとこ
ろ、知人はホーネック氏の
伴奏もしていたようで、
「素
晴らしいヴァイオリニスト
がいる。ただし弟子は取っ
ていないよ。」との返事でしたが、それがホーネック氏
のことでした。その後すぐ来日した彼の演奏を聴いて、
そのあまりの美しさに会場で涙が流れたのをつい最近
のことのように思い出します。「絶対この人のもとで
勉強したい!」と誓い、幸いにも彼のもとで学ぶこと
が出来たのですが、レッスンにおいても、心情のまま
に紡ぎ出される彼の音楽の純粋な美しさに胸を打たれ
ました。そして演奏者が直面する「楽器」や「技術」
紀尾井シンフォニエッタ東京 リハーサル風景より
といった部分での制約を微塵も感じさせない自然な音
KSTアンサンブル2014 with ライナー・ホーネック
2014年6月10日(火) 開演19時 紀尾井ホール
楽は、まさに「音楽の真髄そのもの」だと思います。
出 演 者
青木高志/ヴァイオリン
市坪俊彦/ヴィオラ、馬渕昌子/ヴィオラ
河野文昭/チェロ、丸山泰雄/チェロ
吉田 秀/コントラバス
金子 平/クラリネット、大澤昌生/ファゴット
丸山 勉/ホルン
楽器を演奏する時、まずぶつかることのひとつに楽
器の持つ物理的な壁があります。楽器そのものの問題
や、弾くための「都合」といった問題もあれば、「心」
の歌を「物」からのものに移し替えるひと手間もあり
ます。 そしてもうひとつ、「技術」の問題。鍛錬の積
曲
目
み重ねが成せるものでもあるわけですが、やはりハー
《フィガロの結婚》より
さらに最も重要とも言えるのが「心」。
「序曲」「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」
《ドン・ジョヴァンニ》より
ホーネック氏がまさに天性とでも言えるかの如く純
「お手をどうぞ」
「みんな楽しく、お酒を飲んで」
粋に歌う「歌」は、彼の「心」の素晴らしさから生ま
な問題など超越した彼の演奏は、心のひだに寄り添う
かのように美しく聴く者の心に届くのです。
過去数回の、紀尾井シンフォニエッタ東京での共演
では、すべてのメンバーがホーネック氏の作り出す極
上の音楽に酔いしれました。そこで生まれてくる音楽
モーツァルト:
オペラ作品のトランスクリプション
(弦楽四重奏版)
ドルとして立ちふさがります。
れるものであると思います。それに加え、先の物理的
ライナー・ホーネック/ヴァイオリン
紀尾井シンフォニエッタ東京メンバー
モーツァルト:
弦楽五重奏曲 第6番 変ホ長調KV614
シューベルト:
八重奏曲 ヘ長調D803
申込・問合 紀尾井ホールチケットセンター
03-3237-0061(10時~18時/日・祝休)
主
協
催
力
公益財団法人 新日鉄住金文化財団
特定非営利活動法人 日本モーツァルト協会