電源Vol.25 - リニアテクノロジー

の
今月
電源
vol.
25
nt IC
特集
IC(
PM
M
wer
e
gem
ana
)
Po
ユーザ製品の付加価値を高める、リニアテクノロジーの
4つのハイパフォーマンスアナログICプロダクトユニット
Signal
Conditioning
Power
Mixed
Signal
パワー
High
Frequency
ミクストシグナル
高周波
シグナル・コンディショニング
チャージポンプ DC/DC コンバータ
スイッチング・レギュレータ
ワンストップ
絶縁電源向けコントローラ
リニア・レギュレータ( LDO )
電源コントローラ
PMIC /バッテリチャージャ
モニタ/制御/スイッチ
ホットスワップ
マイクロ・モジュール
アナログの IC
―― 61
アンダーサンプリングとスペクトラム[2]
サンプリング周波数( F S )が、信号に含まれる最高周波数
( f MAX )の 2 倍以下( f MAX > 1/2FS)となる場合をアンダー
サンプリングと呼び、エイリアスを生じるため一般には用いま
せん(同誌10月号の TimelyNews 電源 Vol.24、その1参照)
。
図3
さまざまに応用でき、 はサンプリング周波数の高調波
を利用した例です。
FS−FO FO−FS
図1
一方、アンダーサンプリングをうまく利用することもでき
FS+FO
FO
fMIN
源信号
図 1 は、サンプリング周波数( F S )を、信号の最低
ます。 周波数( f MIN )より低くした時のスペクトラムです。サンプ
0
リング周波数が、信号の上限周波数以下になると折り返し
成分が現れ始め、最低周波数( f MIN )を下回ると源信号と
同じ形で同じ向きをしたスペクトルが形成されます。これを
周波数
FS
源信号のスペクトラムがシフト
図2
目的外
フィルタで切り出せば、高い周波数( F O )の信号をシフト、
(FS−FO ’
)
即ち周波数変換された低い周波数( F O−F S )の信号として
扱えます。その際、変換されたスペクトラムが他と重なら
図 1 も、スペクトラムを
ないようにすることがポイントで、 0
高い 周波数に集中させて重なりが生じない 様に描いてい
FO−FS
FO ’ FS
FO
周波数
目的とする信号
ます。ちなみに一般の無線通信信号や受信機のIF信号などは、
この要件を満たします。アンダーサンプリングによる周波数
図3
変 換では、アナログの 周 波 数 変 換 同 様に、サンプリング
周波数から見て目的信号と反対側に同じ周波数差を持つ
信号が存在すると、目的信号と同じ周波数に変換されます
図 2 。したがって、事前に目的外の周波数成分(イメージ)
を排除しておく必要があります。アンダーサンプリングは、
、LT、LTC、LTMは、リニアテクノロジー社の登録商標です。
Bat-Track、PowerPath、Thermal Regulation、LINEAR EXPRESSは、リニアテクノロジー社の商標です。
その他の商標は、該当の会社のものです。
0
FO−3FS FS
2FS
目的とする信号
3FS FO
周波数
話題 の 製品
PMIC(Power Management IC )の特長
リニアテクノロジーの
PMICの特長
リニアテクノロジーは、バッテリチャージャ、PowerPathTM、DC/DCコンバータを結合したものをPMICと位置づけています。
例えば、Thermal RegulationTM、入力電流制限とACアダプタ保護、スタンドアロンなどの機能をすべて搭載したリニアまたは
スイッチング方式のバッテリ・チャージャと、USB電流制限対応入力、ACアダプタ、バッテリの3電源を条件に沿ってシームレス
に切り替えるPowerPathコントローラ、高効率な同期整流式降圧/昇圧/昇降圧スイッチング・レギュレータや常時オン回路用
のリニア・レギュレータ、サーミスタ入力などの機能が、わずか3mm×3mmから4mm×7mmのQFNパッケージに凝縮されて
います。動作は、基本的にスタンドアロンでマイクロコントローラは不要です。
電源と電池の電流ルートを賢く制御するPowerPath
ACアダプタ・USB・電池・負荷の4者を接続し切り換える新たなトポロジー。中間電圧バスの概念が、電池と負荷を分離して
低損失と高効率充電を同時に実現。従来は電池と負荷が常時接続されていたので、電池と電源の電位差による損失増大、
電流の振り分けに伴う充電の非効率、完全放電した電池では充電が進むまで回路が動作しないなどの問題がありました。
コントローラの負担を軽減します。
また、PowerPathはスタンドアロンで動作し、
■ PowerPath概念図
AC
AC
アダプタ
アダプタ
USB
AC
アダプタ
USB
IDEAL
USB
LOAD
LOAD
IDEAL
IDEAL
Li-Ion
Li-Ion
Case 1
ACアダプタ(主電源)からの供給時
Case 2
USBのバスパワー使用時
電源と負荷を接続し、電池は分離して充電する。
負荷は電源電圧(中間バス電圧)に保たれる
ので高効率。電池が完全放電していても負荷
回路は即時に動作。
電流制限を介してバスパワーと負荷を接続。
Case1と同様に負荷はバスパワー電圧に保たれ
るので高効率。バスパワーに余力がある場合
は電池を充電し、不足する場合は電池からも
必要量を供給する。
LOAD
Li-Ion
Case 3
電池だけの動作時
電池から負荷に直接給電。理想ダイオードを
通じて接続するので低損失。
熱設計不要、最大レートでの充電を可能にするThermal Regulation
チャージャは充電電流により発熱するので、周囲温度の
サーマル・レギュレーション制御時の周囲温度と充電電流
上昇を見込んで最大電流を抑えるワーストケース設計が
一般的でした。サーマルレギュレーションは、IC 内部に
温度検出・電流制御ループを設けることで、従来の電流
制限領域まで踏み込んだ大電流充電を可能にすると同時
最大充電領域
*Thermal Reguration:US 特許番号 No.6,522,118
制御領域
最大
に、高温時の電流を安全な値に制御。高速充電と安全を
同時に実現します。
従来の標準的な設計法
(ワーストケース設計)
では、周囲温度に関わら
ず、A点を最大電流値と
設定せざるを得なかった。
サーマル・
レギュレーション
充
電
電
流
ワーストケース設計での
デッドゾーン
A点
サーマル・レギュレーションなしの充電電流
(ワーストケース設計)
周囲温度
コントローラに負担をかけない
スタンドアロン
最大
充電レートを最大化する
入力電流制限とACアダプタ保護
スタンドアロン・チャージャとして「バッテリ低下時の充電
電流制限機能付きのチャージャでは、バッテリの充電電流
調整(トリクル充電)」
「低電圧ロックアウト」
「自動再充電」
モニタとは別に入力の電流を監視・制限するので、AC
「充電状態インジケータ」
「電源検出」などの機能を搭載
アダプタの過負荷を防ぎ充電レートを最大にします。また、
しています。
電池の温度を監視して過熱から守るサーミスタ入力も
備えています。
データシートと評価サンプルについては、当社Webサイトまたは販売代理店にお問い合わせください。
電源
25
PMIC(Power Management IC)
®
LTC 3576
USB On The Go対応、双方向の昇圧/降圧 PowerPath搭載
PMIC( Power Management IC)
● USB
On The Go対応 PowerPathコントローラ
・スレーブ時、双方向降圧レギュレータが、V BUS 5Vからシステム電圧を生成(降圧動作)
・ホスト時、双方向降圧レギュレータが、昇圧レギュレータとして動作。バッテリから、VBUS 5V、500mA maxを生成
・外付けNチャネル MOSFET のボディダイオードによる、起動時 過電圧保護機能
・USB On The Go V BUS短絡保護機能
● パワーマネージャ
・Bat-Track TM適応出力制御機能
・USBまたはACアダプタの電流制限をプログラム可能( 100mA/500mA/1A )
・フル機能リチウムイオン/ポリマー・バッテリ・チャージャ
・最大充電電流:1.5A
● DC/DC
・2.25MHzトリプル高効率降圧スイッチング・レギュレータ
USB On The Go対応
( I OUT:1A/400mA/400mA )
・常時オンLDO( 3.3V/25mA )
・I 2Cまたは個別イネーブルの V OUT制御
● 38ピン 4mm×6mm
双方向
[新開発]昇圧/降圧
PowerPath搭載
QFN表面実装パッケージ
6V∼60V入力
車載バッテリ、
FIREWIRE など
高電圧DC/DC
USB OTG
外部 高電圧
降圧コントローラ
過電圧保護
USB or
ACアダプタ
(5V)
負荷へ
USB適合
双方向
昇圧/降圧
レギュレータ
実際のサイズ
オプション
0V
Li-Ion
電池
CC/CV
バッテリ
チャージャ
Charge
Enable
Controls
I 2C
LTC3576
3.3V/25mA
常時ON LDO
6
2
1
0.8∼3.6V/400mA
高効率
降圧レギュレータ 2
0.8∼3.6V/400mA
3
0.8∼3.6V/1A
RST
LTC3576ブロック図
■ リチウム・イオン/ポリマーバッテリ・チャージャ付きPMICラインナップ
品番
PowerPathトポロジ
インタフェース
LTC3576
NEW LTC3586
LTC3555/-1/-3
LTC3556
NEW LTC3567
LTC3566
NEW LTC3577
LTC3557/-1
LTC3455
NEW LTC3558
LTC3559/-1
双方向スイッチング
I 2C
スイッチング
―
スイッチング
スイッチング
I 2C
I 2C
I 2C
スイッチング
―
―
リニア
I 2C
リニア
―
リニア
―
―
―
―
―
600mA、400mA×2
600mA、400mA×2
600mA、400mA
400mA
400mA×2
NEW
スイッチング
降圧
1A、400mA×2
400mA×2
1A、400mA×2
400mA×2
―
―
―
1A
1A
1A
―
―
―
―
―
LDO
20mA
20mA
25mA
25mA
25mA
25mA
150mA×2
25mA
―
―
コントローラ
0.4A
―
―
―
―
―
昇降圧
昇圧
―
―
1A
0.8A
―
―
パッケージ(mm)
4×6 QFN-38
4×6 QFN-38
4×5 QFN-24
4×5 QFN-28
4×4 QFN-24
4×4 QFN-24
4×7 QFN-44
4×4 QFN-28
4×4 QFN-24
3×3 QFN-20
3×3 QFN-16
リニアテクノロジー・タイムリーニュース
LTC3576
NEW
vol.
話題 の 製品
LTC3586
昇圧、昇降圧と2 個の降圧 DC/DCを搭載した
高効率 USB パワーマネージャ
パワーマネージャ
Bat-TrackTM適応出力制御機能と「瞬時オン」動作付き高効率スイッチングPowerPathTMコントローラ
USBまたはACアダプタの電流制限をプログラム可能(100mA/500mA/1A)
フル機能リチウムイオン/ポリマー・バッテリ・チャージャ
最大充電電流:1.5A
内部 180mΩ理想ダイオードと外付け理想ダイオード・コントローラがバッテリ・モードで負荷に給電
バッテリから給電時の無負荷消費電流が少ない(<30µA)
DC/DC
デュアル高効率降圧 DC/DC(IOUT:400mA/400mA)
USB/WALL
高効率昇降圧 DC/DC(IOUT:1A)
4.5V TO 5.5V
高効率昇圧 DC/DC(IOUT:800mA)
レギュレータはすべて2.25MHzで動作
TO OTHER
LOADS
USB COMPLIANT
STEP-DOWN
REGULATOR
CURRENT
CONTROL
高さの低い 38ピン4mm×6mm×0.75mm QFN パッケージ
CC/CV
BATTERY
CHARGER
OPTIONAL
0V
CHARGE
LTC3586は、
リチウムイオン/ポリマー・バッテリ向けの高度に
集積されたパワーマネージメントおよびバッテリチャージャ・
デバイスです。負荷の優先順位付けを自動的に行う高効率な
電流制限付きスイッチングPowerPathマネージャ、バッテリ
チャージャ、理想ダイオード、4個の同期整流式スイッチング・
レギュレータ( 降圧2個、昇降圧と昇圧各1個 )を内蔵して
います 。特にUSBアプリケーション向けに設計されており、
スイッチング・パワーマネージャによって最 大 入 力電 流を、
USBアプリケーション向けには100mAまたは500mA、AC
アダプタ駆動アプリケーション向けには1Aに制限します。
+
T
LTC3586
EN
DUAL HIGH EFFICIENCY
BUCKS
4
3.3V/20mA
ILIM
0.8V TO 3.6V/400mA
3
MEMORY/
CORE µP
2.5V to 3.3V/1A
I/O
SYSTEM
5V/800mA
AUDIO/
MOTOR
2
HIGH EFFICIENCY
BOOST
RTC/LOW
POWER LOGIC
0.8V TO 3.6V/400mA
1
2
HIGH EFFICIENCY
BUCK-BOOST
MODE
Li-Ion
ALWAYS ON LDO
4
FAULT
▲ 高効率 PowerPath マネージャ、2個の降圧、昇降圧および昇圧
LTC3558
降圧および昇降圧レギュレータ付き
リニアUSB バッテリ・チャージャ
バッテリチャージャ
スタンドアロンUSBチャージャ
1 本の抵抗でプログラム可能な充電電流:最大 950mA
HPWR 入力により、プログラムされた充電電流の 20%または100%を選択
NTC入力により、温度規定充電が可能
USB (4.3V TO 5.5V)
タイマ終了機能を内蔵
VCC
不良バッテリの検出
1µF
スイッチング・レギュレータ(降圧および昇降圧)
出力電流:レギュレータ1 個当たり最大 400mA
2.25MHz の固定周波数動作
省電力の Burst Mode 動作
BAT
PROG
1.2V AT 400mA
SW1
CHRG
HPWR
4.7µH
FB1
SWAB2
SUSP
DIGITAL
CONTROL
SINGLE
Li-lon CELL
(2.7V TO 4.2V)
10µF
NTC
高さの低い 20ピン3mm×3mm×0.75mm QFN パッケージ
LTC3558は、
デュアル高効率スイッチング・レギュレータ付き
USBバッテリ・チャージャです。複数の電源レールが必要な
1セル・リチウムイオン/ポリマー・ベースのハンドヘルド・アプリ
ケーションに給電するのに最適です 。バッテリ充電電流は
PROGピンとHPWRピンによってプログラムされ、BATピンから
最大950mAを供給可能です。CHRGピンにより、充電プロ
セス中にバッテリの状態を継続的にモニタできます 。また、
内蔵タイマにより、チャージャ終了を制御します。1個当たり
最大400mAの出力電流を供給し、
リチウムイオン/ポリマー・
バッテリの全範囲で90%を超える効率で動作するモノリシック
同期整流式降圧および昇降圧レギュレータを内蔵してします。
+
PVIN1
PVIN2
1.74k
LTC3558
MODE
324k
10pF
649k
2.2µH
3.3V AT 400mA
SWCD2
VOUT2
EN1
324k
22µF
121k
33p F
EN2
FB2
105k
GND
EXPOSED
PAD
10µF
15k
330pF
10pF
VC2
▲ USB チャージャ+降圧レギュレータ+昇降圧レギュレータ