日本一で飾った花道と連覇への新しき道のり 2014年、プロ野球の頂点に立ったホークスは秋山幸二前監督に最高の花道を飾った。そして2015年、工藤公康新監督を迎えて新生ホークスは再び頂点を目指す。苦しみぬいた末の栄冠 2014年月日、ヤフオクドーム。ホークスにとって、この日がレギュラーシーズン 2 じた。年ぶりのリーグ優勝を決める一打をの最後に松田宣浩のサヨナラヒットで幕を閉番は、同点のまま延長戦にもつれ込み、最後ホークスが勝てば優勝、敗れればバファローズに優勝への道が大きく開ける世紀の大一争ってきた宿敵、バファローズだ。目の相手は、シーズン半ばからリーグ優勝を最終戦だった。開幕戦から数えて144試合 10 放ったヒーローは、歓喜の輪の中で泣き崩れた。やがて歩み寄った秋山幸二監督の目にも、明らかに光るものがあった。「選手、監督を通して、一度も経験したことのないプレッシャーでした」と、秋山監督は勝利監督インタビューで本音を吐露した。シーズンを振り返ってみると、ホークスはレギュラー陣が相次いで故障に見舞われた。でんぶエース・攝津正は右肩の痛みに苦しみ、内川聖一は右臀部を痛め年ぶりに出場選手登録を外れた。さらに、松田と本多雄一は指を骨 3 折し、長谷川勇也は右足首の重い捻挫で走る Zaikai Kyushu / FEB.2015 121 3 ことすらままならなかった。それでも、最後まで優勝争いに踏みとどまることができたのは、大型補強によって厚みを増した選手層があったからにほかならない。投手では、中田賢一（前ドラゴンズ）、スタンリッジ（前タイガース）がと 37 もに勝をマークすると、サファテ（前ライオンズ）は守護神としてセーブを記録した。打者では、李大浩（前バファローズ）が、シーズン全試合で番に座り続けたことで、周りの打者が大きなプレッシャーを抱えずに済んだ。さらに明石健志や吉村裕基が離脱者の穴を埋め、今宮健太、柳田悠岐、中村晃といった生え抜きの若手選手もハツラツとしたプレーを見せた。強力な投手陣を中心としたバファローズの健闘に苦しめられ、月には思わぬ大失速も 14 経験したが、最後にものを言ったのは、やはりチーム力だった。秋山監督の花道を飾れクライマックスシリーズのファイナルステージ開幕を翌日に控えた月日。チームに大きな衝撃が走った。秋山監督の辞任が発表されたのだ。メディア報道が先行する形で行われた突然の辞任会見を受け、選手たちの結束力は 10 9 4 11 「常勝軍団となり福岡の文化と認められる存在めざす」理想のプロ球団の定義は、人によってさまざまだろう。私は、理想福岡ソフトバンクホークス〝一体化〟だと考える。選手とフロ社長兼オーナー代行とする球団に近づく最良の方法は後藤芳光ント、球団職員とフロント、選手とファン、それぞれが一つの目的達成に向けて努力すること、言い換えれば、チームのベクトルを合せることも一体化の一つだと言える。では、その達成すべき目的とは何か。パ・リーグ制覇、そして日本一であり続けることである。さらにその先には、ソフトバンクが球団を継承して以来掲げるスローガン「目指せ世界一」を達成するという目標もある。この目標を達成するためには、選手とフロントの関係が12球団で最も良好でなければならない。選手が野球に集中でき、試合で最高のパフォーマンスを演じられ、最高の結果を得られる環境の整備が重要なのは言うまでもない。そのためには、向上が必要だと言える。「ホークスは九州の球団」だという認識は確実に深まっている。ホークスという存在がさらに浸透するには、文化というレベルにまで高める努力が必要だと考えている。分かりやすく例えるならば、辛子明太子のような存在である。辛子明太子と言えば、日本中の誰もが博多の名産品だと知っている。「博多の名産品は」と聞かれて、多くの人の頭には最初に辛子明太子が浮かぶだろう。この双方向性こそが文化として定着している証しだと言える。ホークスも、福岡、そして九州から連想される最初の存在になれるような球団を目指していく。誕生して10年という節目のシーズンを3年ぶりの日本一という最高の形で締めくくることができ、日本球界に新たな歴史の1ページを刻めたことは球団にとって大きな喜びだった。しかし、工藤新体制のもと既に新しいシー福岡ソフトバンクホークスと福岡、さらには九州の一ズンは始まっている。九州のことが大好きな選手たちホークスという球団がファンから愛される存在でなけファンに伝えられるよう、失敗を恐れることなく何事体化も必要だと考える。もちろん、選手はもちろんればならない。愛され続けるためにはブランド価値のによる熱いプレーや感動のシーンをこれからも多くのにも果敢にチャレンジしていきたい。 Zaikai Kyushu / FEB.2015 122 より一層高まった。そして舞台は福岡へ。甲子園に負けじと、全力で後押しするホークスファンの声援が、ーブで虎打線を封じ込んだ。選手たちに大きな力を与えてくれた。「秋山監督を日本一の監督にする」。そのためにも、クライマックスシリーズで敗退するわけにはいかなかった。同シリーズも第戦の大隣の好投、第戦の中村のサヨナラホームラン、そして第戦の攝津の意最終戦までもつれ込んだものの、大隣憲司の大車輪の活躍もあって、ホークスはSMBC 地と松田の決勝打。ここでも激戦のパ・リー日本一を争う相手は、セ・リーグの優勝チーム、ジャイアンツに４連勝して波に乗るタイガースだった。 4 山監督は「全日程を終えて、なおかつ日本一たです」と語れば、花道を飾ってもらった秋っていましたから、それが達成できてよかっ選手会長の松田が「とにかく（秋山）監督を日本一の監督にしたいと、選手全員が思グを制したチーム力がタイガースを圧倒した。 5 たタイガースを見事にかわしたのが、武田翔初戦は、その勢いと敵地、甲子園の雰囲気に飲み込まれての完敗。第戦、勢いを増し 3 という最高の結果を出せてホッとしています。 Zaikai Kyushu / FEB.2015 123 日本シリーズ2014へと駒を進めた。パ・リーグ優勝を決めたのは選手会長、松田の一振りだった太のピッチングだった。縦に大きく割れるカ昨年11月の優勝祝賀パレードには、前回を上回る約35万人（主催者発表）が詰め掛けた 2 投手も野手も含めて、みんなが人でもある。い」と熱く語った。強さを継続して、常に強いチームを目指したケガをしないことが何よりも大切工藤監督が何よりも大切にするのが「ケガをしない身体作り」だ。「選手にとって日でも長くユニフォームを着ることは大切なこと。そのために何が必要かを考えて、ケガをしない身体を作ってほしいですね。チームとして戦力が落ちるのは、やはりケガ人が出たとき。コンディションを整え、身体を作るための周りのサポートをより強固にしていきたいと思っています。そのために、コーチも選手の目線に立って、一つずつできることをやっていってほしいです」その言葉は、まさに故障者続出で苦しんだ年シーズンの戦いとオーバーラップする。戦力的に十分な顔ぶれがそろうホークスが、ケガをしない体づくりを徹底すれば、まさに無敵と言えるだろう。〝工藤の教え〟は、既に多くの選手にも伝わり、故障を経験した選手たちも「身体のケアについて少しでも話を聞きたい」と期待の声を寄せている。また、工藤ホークスの誕生によって、コーチ陣の顔ぶれも大きく変わった。イーグルスで岩隈久志投手や田中将大投手を育てた佐藤義則投手コーチをはじめ、工藤監督とともに筑波大学大学院に通った吉井理人投手コーチが加入。また軍のコーチには、かつてホークスで活躍した佐々木誠氏が就任するなど、レギュラー陣の成長から若手の育成まで、楽 124 Zaikai Kyushu / FEB.2015 持っている力を全試合にぶつけてやってくれました」と選手を讃えた。シリーズ前に辞任を発表しながら、日本一の胴上げをされたのは、長いプロ野球の歴史の中でも秋山監督が初めてだった。それだけ選手たちには強い思いがあった。リーグ優勝、クライマックスシリーズ突破、そして日本一。秋山監督は、地元ファンの目の前で三度に渡る胴上げを味わい、静かにユもしれませんが、１日１日成長できるよう」を継承することが決まり、「日本一の工藤監督にプロ野球での指導者経験こそ 81 14 ニフォームを脱いだ。工藤ホークスの誕生ッチした指導ができる人。（選手としての）経ない。しかし、王貞治会長は「今の時代にマ督の誕生だ。ので、投手だけでなく野手も技術面だけでは月日、年シーズンからホークスを率いる新しい指揮官が発表された。工藤公康監ライオンズの黄金期を支え、ホークスに移籍後は九州移転初優勝に貢献。その後も、ない相談ができる頼もしい監督」と全幅の信着している。つした。背番号は秋山前監督が背負っていた就任会見で工藤監督は「ボク自身も不安がないわけではありません。力は足りないか引退後は解説者として活躍しながら、筑波大学大学院に入学して本格的にトレーニン「に精進して野球に取り組みます」とあいさグやコンディショニングの勉強を続けた知識今や日本球界の左のエースの代名詞として定験があるし、肉体に対する理論をもっているジャイアンツ、ベイスターズ、ライオンズで 29 ライオンズ時代から背負った背番号「」は、 47 頼を寄せている。 15 投げ続け、年間も現役選手を続けた左腕。 1 1 3 11 2015年シーズンは工藤新監督のもと連続日本一を目指すしみな布陣となっている。競争はフラットではないーテを組み上げるのか。る。宮崎市内では初の実施となった連続日本一を目指すホークスの歓迎パレードが、キャンプイン前日の月日に行われ「ボクはチャンスを与える人間。上にあの選手がいるかのパレードでは、市中心部の橘通り沿いに約年前らダメだろうとは思ってほし万2000人（主催者発表）が詰め掛けた。 31 心にやらなければいけないこやはり実績のある選手を中競争はフラットではないです。して回目の春季キャンプがスタートする沿道を大きな拍手と歓声が包むだろう。そ今回も、宮崎県庁をスタート、ゴールとするくない。ただ、正直にいうと、 3 1 月日、連続日本一に向けた新たな戦いが宮 4 とは事実。でも、若い選手はそれを乗り越えなければいけないんです」松坂も「球団側から若い選手の壁になってくれと言われました。そのつもりで、乗り越えるべき壁になりたい」と語る。年シーズン、壁となるレギュラー陣と、それを乗り越えようとする若手が一丸となるさらに補強という面では、年ぶりに日本球界に復帰する松坂大輔が加わった。かつてとができるだろう。ことで、ホークスは再び日本一に登りつめるこクを見て不安に思っている方には、にしておいてください。また、ここ数年のボ「たくさんの期待をしていただいていると思うので、それにしっかり応えます。楽しみホークスのキャンプ地としても定着している。 2003年秋からキャンプを実施する宮崎市の「生目の杜運動公園」は今やすっかりキャンプ地として定着した宮崎松坂の加入によって、ただでさえ激しい先発ローテ争いはさらにです」ている。日本一効果もあり、今春も県内外かトなども来場者の楽しみの一つとして浸透しが設置されるほか、特産品のふるまいイベンスポット「ホークスビレッジ」や足湯コーナー配なかったと思ってもらえるはず加熱するだろう。投手出身の工ら多くの来場者でにぎわうことが予想される。公園内の特設会場では、県内グルメと土産の年シーズンが終わるころには心会見で力強く語った。「平成の怪物」の異名をとった右腕は、入団 15 藤監督が、開幕時にどのようなロ 12 1 崎市で始まる。 Zaikai Kyushu / FEB.2015 125 15 2 毎年、県内外から多くの見物客が訪れる宮崎キャンプ 9 「平成の怪物」松坂も新たな戦力として加わった株式会社株式会社株式会社井上　久行代表取締役社長　大橋エアシステム木村　聡福岡支店長 SMBC日興証券筒井　俊英代表取締役社長英進館石村　僐悟代表取締役社長　株式会社石村萬盛堂ホークス日本一アキラ水産株式会社代表取締役社長安部　泰宏アサヒ緑健株式会社代表取締役社長古賀　良太アシュラン株式会社代表取締役社長　東　孝昭株式会社アネムホールディングス会長兼社長肥川　正嗣二連覇へき株式会社田島　力男代表取締役副社長株式会社ひサニクリーン九州前川　道隆代表取締役社長西部ガス興商竹内　博史執行役員九州統括本部長キリンビールマーケティング株式会社あ水嶋　章陽理事長学校法人国際学園九州医療スポーツ専門学校 !! こ 126 Zaikai Kyushu / FEB.2015 ※ 社名 50 音順で掲載しています山九株式会社執行役員九州エリア長　早川　陽一株式会社ジェーシービー九州支社支社長株式会社近藤　清新日本製薬正興ITソリューション株式会社代表取締役社長株式会社有江　勝利積水ハウス九州営業本部長赤松　大介ゼンリン株式会社代表取締役社長髙山　善司代表取締役社長　後藤　孝洋株式会社ゼンリンプリンテックス代表取締役社長株式会社田中亮一郎代表取締役社長第一交通産業高田　哲一株式会社ストーンマーケット代表取締役社長株式会社中村㤗二郎正晃代表取締役社長印　正哉太宰府天満宮宮司　西高辻信良地工株式会社代表取締役社長宮崎　辰哉テレビ宮崎株式会社代表取締役社長株式会社渡邊　道徳 TOTO 代表取締役社長喜多村　円豊川設計事務所株式会社代表取締役社長豊川　裕子 Zaikai Kyushu / FEB.2015 127 ※ 社名 50 音順で掲載しています福岡ソフトバンクホークス宮崎協力会宮交ホールディングス代表取締役社長株式会社株式会社菊池克賴宮崎ガス代表取締役社長塩月　光夫宮崎放送株式会社代表取締役社長株式会社春山　豪志米良電機産業代表取締役社長米良　充典レイメイ藤井株式会社代表取締役社長藤井　章生 128 Zaikai Kyushu / FEB.2015 株式会社戸敷正会長宮崎市長福岡ソフトバンクホークス歓迎パレードin宮崎　月日開催福岡中央銀行株式会社株式会社井手　敏文代表取締役社長マリンハイドロテック井川　英治代表取締役社長株式会社ホークスタウン杉原　仁代表取締役社長　株式会社フランソア末松　修頭取 31 西日本プラント工業代表取締役社長株式会社溝辺　哲ネッツトヨタ福岡代表取締役社長金野　誠にしけい株式会社代表取締役社長　折田　康徳ピエトロ株式会社代表取締役社長株式会社村田　邦彦フェニックスリゾート代表取締役社長松永　裕文 1 福岡ソフトバンクホークスは、若手の台頭とベテランがかみ合う堂々とした戦いぶりで日本一を達成。新シーズン連覇へ向けて工藤新体制がスタートし、2 月からは宮崎キャンプが始動します。福岡、九州各地のホークスファンはもちろん、経済界も熱い声援を送ることが、今後の〝常勝軍団〟への支えとなり、地域の活性にもつながります。本誌「財界九州」も、九州を盛り上げる福岡ソフトバンクホークスのさらなる活躍を期待し、誌面を通じて応援してまいります。広告 129 Zaikai Kyushu / FEB.2015