K E N C H I K U T O K YO Vol. 50 | No. 599 2014 09 T O K YO S O C I E T Y O F ARCHITECTS & BUILDING ENGINEERS 建 築 東 京 CONTENTS 01 オープン・カフェ 岩井 國臣 木の文化と山を守ろう! 02 うごき 小林 博人 ベニアハウスという建築行為への介入 06 近代化遺産のカタチ 136 増田 彰久 旧弘前市立図書館 08 建築むしめがね 159 下村 純一 メメ・ファシスト 12 東京建築士会だより 平成26年定時総会議事録 平成26年度事業計画 平成25年度決算及び平成26年度予算 16 編集後記/執筆者紹介 インフォメーション <広告目次> 表 2 /建築資料研究社 P 15 /新日本法規出版 表 4 /総合資格学院 OPEN CAFÉ 木 の 文化 と山 を 守ろう! 都市防災不燃化協会 会長 岩井 國臣 日本は山国である。国土面積の約 70%が山だという国は世界でも珍しい。そし て、日本の登山の歴史はとても古く、世界に類を見ないほどである。西洋では、山 は悪魔の住むところとして近代まで近寄る人は少なかったようであるが、わが国の 場合、縄文時代にすでに山頂で祭祀が行われていた。また縄文時代は日々の生 活においても霊山を崇めながら生活していた。石器時代の狩猟生活を考え合わ せてみれば、日本人の山との関わりあいは相当に古い。 縄文時代の霊山信仰は、仏教や神道などの宗教 、哲学的思想と結びついた りしながら、近世中期以降には観光的要素も加わって、カタチを変えては現代に まで日本の民族宗教として展開してきている。この間の経緯については、宮家準 (「霊山と日本人」)が多角的な視点から論じている。 山が荒廃している。切り捨て間伐が常態化し山の生態系が壊れている。これ は由々しきことだ。日本の場合 、山は日本の風土の基本をなすものである。それ が荒廃するということは、日本の風土が壊れることであり、故郷(ふるさと)が喪失 するということである。それはとりもなおさず世界に誇りうる日本文化が消えていく ということであって、日本が世界平和のために大いなる貢献をするなどということ は夢のまた夢になってしまうのではないだろうか。しかし、今ならまだ間に合う。早 急に国民的な議論を巻き起こして各方面にアッピールしていきたいものだ。 故郷(ふるさと) を喪失させてはならない。故郷(ふるさと) を喪失するということ は、佐伯啓思が言っているように、日本国民がニヒリズムに陥りかねないという問 題も含んでおり、これはまさに国是に関する重大問題でもある。 文化とは、中西進によれば、心の世界に関する教養の総体のことだが、日本は 間違いなく 「 木の文化 」の国である。わが国の「 木の文化 」については、小原二 と「法隆寺を支えた木」 ( 1978 年、NHK 郎の「木の文化」 ( 1972 年、SD 選書) ブックス)に詳しい。わが国は、スギやヒノキなどの針葉樹を中心に、その特性を 生かした建築技術を発達させ、さまざまな木工技術を蓄積してきた。それらの技術 によって桂離宮に見られるような美の極致とでもいうべき木造家屋も造ったが、そ ういうわが国の優れた建築技術は一般住居のいたるところに生かされている。庶 民の住宅でも実に美しく、畳や障子などといったいになって心休まる居住空間と なっている。そればかりではない。ご神木というものの存在を見ても判るように、わ が国民には木に対して「信仰心」とでもいうべき心情を育ててきた。建物にしろ家 具にしろインテリアにしろ、木には私たちの心を安らかにする力を秘めているよう に思われる。 以上のような基本認識に立ち、私たちは、木材の付加価値を高めて、林業 の復活を図ると同時に、都市における不燃化を図るという目的から、平成 24 年 、 「 一般社団法人・都市防災不燃化協会 」を設立して活動を開始した。国土交 通省 、全国自治会では木造密集市街地の不燃化対策をはじめとして、 「 都市防 災不燃化促進事業 」の取り組みが始まっている。私たちは、そうした社会的ニー ズに応えるために、正しい不燃化の知識と技術の普及を図り、もって、より安心 安全な環境整備に貢献していく覚悟である。そして、山を守り、山村を守り、木の 文化の復活を図って参りたい。どうか皆様方のご指導とご鞭撻を心からお願い申 し上げる次第である。 2014.09 KENCHIKU TOK YO 01 ベ ニアハウスという建 築 行 為 へ の 介入 慶應義塾大学大学院教授/株式会社小林・槇デザインワークショップ代表 : 小林 博人 建築との距離感 離れ、やがて竣工して施主の手に渡るときに るとき、そこに簡易な建築施工方法の導入 は、スケッチをしながら自分の頭の中で思い の意味があることを思う。専門的な職人技を 建築設計の実務を通して得られる知見 描いていた空間と比べると随分と当初の思 極力シンプルな形で施 工に取り入れられれ は広く、建築家は社会の様々な要請に応 いとは異なった物として自分から距離のある ば 、他の人の手に委ねずに自分たちの手の えるべくその知識や経験を生かし日々創作 ものになっていってしまっていると感じること 内で家ができる。この単純な発想をできるだ 活動を行っている。私もその一人であるし、 が多々あった。 けシンプルに実現することが建築家と建築 、 現 在もその思いに拠って立つところが多 そんな中 、前述した建築家の職能とは何 い。3 年前の3月、しかしその思いが揺らぎ なのかを考えさせられる機会に遭遇したので 崩れたと実感した瞬間があった。自らの思 ある。そこで建築設計から施工 、そしてその 設計者は建築部材の種類や数の指定は いとは裏腹に、建築家の横暴 、薄情 、無 建物が使われていく全過程を一つの流れと もとより、施工の方法からその手順までを入 責任 、そして利己主義 、そのように人の目 考え、竣工後も利用者と共にその経過を見 念に検討し決定する。利用者はその手順に に映っていたことを知ったときには、今まで 守ることのできる仕組みの在り方を考えるに 従って施工を行うことで専門的な知識がなく の考えや、これから如何に建築設計を続け 至った。設計者が施工により深く介入し、利 とも建築のプロセスを理解し、建築の隅々ま たらいいのか正直迷い、逡巡した。 用者も施工に介入する。そしてそこで共有さ でその仕組みを理解することができる。この また同時期 、今まで分業を当然と考えて れた時間や空間、知恵や技術が建物竣工後 両 者のオーバーラップする作 業 工 程を通し いた建 築の一 連の流れの中の設 計と施 も継続されることによってより建築と人とのつ て、今までに無かった設計者と利用者との間 工、そして維持・補修に疑問を感じていた。 ながりが強くなり建物自体の品質も保持され の新しい関係が構築されるのではないか。 これらの役割分担の中で自分は建築家な やすいといういい循環の構想である。ここか のだから建築の設計を担当しているという らベニアハウスという一つのシンプルな建築 思いが強かった。意匠設計が専門である の仕組みが発想された。 の手に渡り、その内に様々な技術者の手 ベニアを用いた建築 ベ ニ ア( 桂 剥 きされ たシ ート 状 の 木 ので当然ではあるものの 、実施設計が終 わり施工が始まる段階から建築は施工者 利用者と建築をより近づけることにつながる と考えられる。 設計者、利用者の施工への介入 材 )を重 ねて 作られる合 板あるいは L V L ( Laminated Veneer Lumber )は、エ を経て建築という物が出来上がっては来る 設計者が施工にどのように介入するか、利 ンジニアウッドと呼ばれる変形の少ない木質 ものの 、徐々にその建 築は自分の手から 用者をどのように施工に介入させるかを考え 形の面材である。これらは工業製品として流 fig. 02 | 柱・梁の組立て fig. 01 | ノッチ同士の挿入により作られる立体 fig. 03 | ポリカーボネート及び塗装による外装仕上げ 02 KENCHIKU TOK YO 2014.09 V E N E E R H O U S E 布していることから先進国では安価に手に入 り、加工もし易い。そして間伐材の使用を促 す素材としても有利であり、森林の育成や木 材資源の再認識にも貢献する素材としての 意味も大きい。また、東北各県では木材産業 が盛んであり、特に宮城県石巻市には多くの 合板工場があり地域の特徴ある産業として fig. 04 | 地元漁師による自前施工 の認知度も高い。そこで環境問題や地域産 業振興を視野に入れ、ベニアに依るエンジニ アウッドの材料を中心的に用いた建築を目指 すこととした。 それぞれの板にノッチと呼ばれる切り込み を入れ 、2 枚の板を双方から差し挟むことで 立体を組み立てて行く構法は、3 次元の空間 を2 次元の面から簡単に作り上げる方法とし て一般的である。この手法を用いることで専 門的な知識のない人間にでも容易に建築の 施工が可能となる方法を模索した。そして近 fig. 05 | マニュアルの活用 fig. 06 | 日常的な漁業活動の場作り 年のデジタルファブリケーションの技術を応 用することで更に正確で簡便な建築に進化 前網浜ベニアハウス(VH-2) 見込まれ、将来注目されるプレカット手法であ させる方法を検討している。 ( fig. 01 ) 宮城県石巻市前網浜 る。そして建設の全ての工程と手順を「 建設 以下ベニアハウスの国内外の実例を通し て得られた発見や課題を紹介する。 倉庫・集会所/約 100㎡/ 2013 年 3月竣工 前網浜ベニアハウスは、津波で道具や船 マニュアル 」にグラフィカルに図示し、設計 図面を解読せずとも簡単に建設の過程を理 の全てを失った漁業関係者の倉庫兼集会所 解できる仕組みを導入した。これにより、建設 として計画され、その施工は彼ら漁師自身の の手戻りがなくなったこと、そしてそれまでの 南三陸ベニアハウス(VH-1) 手によって行われた。建設開始当初全く新し 過程を知らないその場に居合わせた建設要 宮城県南三陸町歌津 い構法に戸惑い、インストラクターなしには工 員が即座に次の工程を理解できる仕組みが 集会所/約 100㎡/ 2012 年 5月竣工 事が進まない場面も散見されたが 、やがて要 できた。作業の内容を分節的にでも理解でき 南 三 陸 ベニアハウスは 、地 域に未 整 備 領を得るにつれ共同して迅速に組立てを行う る仕組みは作業効率を上げ 、その場に応じ だった集会所を作ることを目的に、実際に津 ようになっていった。そして竣工時には工事 た建設プロセスに順応しやすい。 波を受けた被災合板を活用し、三六板( 910 に参画していた人間ほど愛着を持ってこの建 また、 インターネットのソーシャルネットワーク ×1820mmボード)を455mmのモジュール 築を受け入れ、自らの「 家 」であるという認識 ( SNS )の利用による工程の公開により関 に従って分割して、それらを井型に組んで柱 が共有された。共同して建設することによる 係者や興味をもつ人たちに工事の進捗を随 と梁のボックスを作り軸組ラーメン構造の建 建物への高い意識の醸成が見られ 、またそ 時伝えることができ、臨時に人工の必要な際 築とした。外壁はポリカーボネートの波板と塗 の行為によってコミュニティ再編が促されると の良好な宣伝ディバイスになった。 ( fig. 04, 装という2 種類である。柱寸法が異なる壁の いうプロジェクトの意義が確実に得られた建 05, 06 ) 列を8 列 並べて立 体を構 成するこの建 築で 築となった。 ミャンマー・マノヘリ村ベニアハウス(VH-3) は、似た形状・寸法の部材が多く部材の管理 V H - 2 では部 材のプリカットをC N C ルー システムもできていなかったため、幾度となく ター( Computer Numerical Control 部材を取り違え組み立て直しを行わざるを得 Router )を用いて行った。近年普及しつつ なかった。主に学生と、地元でこの施設を運 あるデジタルファブリケーションの技術を導入 マノヘリ村ベニアハウスは、ミャンマーの 営する主体となるボランティアの人達の手に することでより簡便に正確な切り出しが可能 エーヤワディ管区マノヘリ村にて集落住民と よって施工され、集会施設として建設された。 となれば、小規模なラボがあるだけで先端的 地元 YMCAとともに建設された児童のための な建築の施工が比較的容易に可能になると 学習センターである。建設と建設後の運営を ( fig. 02, 03 ) ミャンマー・パテイン市マノヘリ村 学習センター/約 60㎡/ 2013 年 2月竣工 2014.09 KENCHIKU TOK YO 03 V E N E E R H O U S E 通じて、民主化・グローバル化により都市との VH-2 に比べより部材の種類を絞れたこと、 仮設として使用することを想定した部材のス 格差が広がる地方集落の衛生環境や教育機 また地元の材料を仕上げ材として積極的に トックを考えたときにも有 効であり無 駄のな 会などの様々な生活環境の向上 、またコミュ 取り入れたことに依る。新たな工法とヴァナ い保管計画を可能とする。 ニティ強化に寄与することを目的としている。 キュラーな建築との融合の意味を学んだ。 ボホール島にはJICA( 独立行政法人 国 VH-3では、部材種類数を極力減らし、よ 建設開始当初から子供達は足繁くこの工 り容易に建設できるようデザイン及び建設工 事現場に遊びに来た。自分が一部にでも建 ファブリケーションを行えるファブラボがあり、 際協力機構 )の支援で建設されたデジタル 程の更なる簡便化を図った。VH-1, VH-2 設に参加したという自負は、子供達にここを そこの CNC ルーターを用いてプレカットされ と比べ主構造で約半分の 21 種類の部材で 自分の居場所だと思わせる力を与えた。建設 た部材の組み立てによって建設を行うことと 構成することができた。電気の得られない現 を通して建築と人との関係を作ることは、そ した。この建築では、VH-1からVH-3までの 場では、ハンマーとのこぎりのみの限られた の建築に対する愛着や当事者意識を醸成さ ジョイントの方法とは異なり、ビスや釘を使わ 道具で施工が行われた。また、構造には合板 せる。そして建築を長い間大切に使おうとい ずとも接続のできる楔(くさび )を用いた伝統 を使用する一方 、仕上げには竹やトタンなど う気持ちを育む。 ( fig. 07, 08, 09 ) 的木部材接合の開発を行っている。ルーター の現地で最も用いられている材料を使用する によって正確に切り取られた穴に第三の部 ことで、地域に溶け込み、後々メンテナンス 材である楔をはめ込むことによって結節する フィリピン・ボホール島ベニアハウス(VH-4) の容易な建築の建設を行った。 建設に先立ち地域の子供達を集めて10 分の1の模型を作るワークショップを行った。 フィリピン・ボホール島 保育園/約 40㎡/ 2014 年 8月竣工予定 仕組みである。昨年暮れ地震により甚大な 被害を受けたフィリピン・ボホール島の一部 住民組織のための保育施設として計画され 子供達はワークショップを通して部材の組み 合板のより新しい組み立て方法による部 ており、その後はハイアン台風により同様に 立て方と立 体として建ち上がる仕 組みを理 材 種 類 数 1 0 種 類ほどのベニアハウスであ 被害を受けたパナイ島ロハスにて一般住宅 の建設を計画している。 解し、また家を作ることの楽しさを体験した。 る。同じ形状の部材を屋根、壁、床などへ共 そしてその翌日から建 築の組み立てに取り 通に使用することができれば 、よりその部材 これらの先にベニアハウスが目指すべきこ 組み、常時 8 名ほどの学生と児童そして地域 の汎用性が高まる。これは建設プロセスを単 とは、インストラクションを行う人間が建設の の住民が参加して、約 3 週間という短工期で 純化し短縮することにつながるのみならず、メ ために現場に立ち会う必要がなく、送り届け 約 60㎡の建築を完成させた。これはVH-1, ンテナンスで一部修繕を行う場合や 、応急 られたパッケージを開けるとその中にマニュア ルとともにプレカットされた部材があり、その 家に住むことになる人間が数人掛かりで組み 立てていけば自分たちで容易に家を建設する ことができるというシナリオである。設計者は 利用者が建設することを見越して部材の設 計のみならず組み立ての順序まで決め、それ を説明するマニュアルを作る。利用者はイン ストラクターはいなくとも自分たちの力だけで fig. 07 | 建築の仕組みを考えるワークショップ fig. 08 | 子供参加による建設の様子 建設の全てを担うことができる。二者の間に は物理的な距離はあれど「 協働 」して建設を 行なうことになる。これにより建設のための専 門知識や人件費は必要とならず、コストを抑 えることができるのみならず、自分の愛着を持 ち隅々までよく知った家ができるはずである。 ( fig. 10, 11 ) 不燃技術の導入による多層建築への挑戦(VH-5) 以上の低層簡易建築としてのベニアハウ スに加え、不燃木の技術の応用による高層 fig. 09 | オープニング 04 KENCHIKU TOK YO 2014.09 ベ ニアハウスという建 築 行 為 へ の 介入 fig. 10 | 1/1モックアップ製作 fig. 11 | フィリピンでの建築予想図 木造建築を構想している。ホウ酸を原料とし た水溶性の溶剤を圧力をかけて含浸・乾燥さ せることによる木材の不燃化技術を応用する と、今まで燃えるということが原因で使用が限 定的であった木質系素材のより広範な利用を fig. 12 | 木造14階建て建築の構想 見込むことができる。この技術が国土交通省 の定める二時間耐火の大臣特認を得ることを 想定し、建築基準法に準じた木造建築物の れからの日本の都市のための新しい街づくり 可能性を検討している。LVLパネルが二時間 のメッセージが込められている。 ( fig. 12 ) は更なる検証が必要である。不燃化につい ては、外部での不燃材の利用は水溶性とい 耐火認定を受けると建設可能となる14 階建 う処理方法から溶剤が溶け出す。これらを抑 木造建築物は、パネル同士のジョイントに木 えるため、外部使用時には、木材の上から塗 組みの工法を用い、金属に依存した既往の パネル工法を越える新しい建築工法の開発と 今後の課題と展望 装あるいはガラスなどによる外気からの保護 が必要となる。外気に晒されても性能を保持 なる。日本の伝統建築である五重塔が示すよ 合板を主体的に用いた建築の可能性を検 うに、木造の高層建築物は、その柔軟さや軽 討するにあたり、克服しなければならないいく 本来日本の都市は木造建築によってその 量さによってRC 造の建築と比べ地震力の影 つかの課題はある。合板は薄いベニアを積 姿を形作ってきた。防災という観点から木材 できる不燃技術の開発が待たれる。 響を受けにくい。さらに、木材パネルをインテリ 層して作られている人工材であることから、経 は徐々に都 市の建 築から遠ざかっていった アに使用することで、木が呼吸することによる 年変化によってそれらの層が剥離する弱点 が 、木質系素材に関わる様々な先端技術を 空気調整機能を活用することも可能である。 がある。接着剤の質の的確な選択によりよ 導 入し、新たな建 築 工 法を追 求することに LVLを用いた建築は、構造材・仕上げ材・断 り耐用年数を向上しなければならない。また、 よって、より安全に健康に、そして日本古来 熱材を兼ねているため、通常多くの工種を必 面の直交方向に対してはビスは有効に機能 の伝統を生かした建築づくり、都市づくりを再 要とする鉄骨造の建築に比べても、時間とコ するものの、面と平行する方向には引き抜き 興することができるのではないだろうか。建築 ストの圧縮につながるというメリットを持つ。 に弱い 。これを改善するための木製クリップ を人に近づける、そのような活動が引き続き 伝統的な木造建築の知恵と新たな建築技 や楔の方式を検討しているが、その強度がビ できればこれからの建築設計の方向性がよ 術を合体した新しい木造建築物の創造は、こ スや釘に代わるに足るものであるかについて り明らかになるように思う。 2014.09 KENCHIKU TOK YO 05 東 京建 築士 会だより 目録に基づき決算報告をし、以下の通 後 の 会 員 減を起 因とする本 会 の 財 政 り説明を行った。 状 況を鑑 み 、経 費 削 減 の 努 力により 平 成 2 5 年 度 決 算としては 、経 常 収 ● 平成 26 年定 時 総 会 議 事 録 [日 時]平成26年6月11日(水) 午後3時~4時15分 [場 所]本会会議室 (東京都中央区晴海1-8-12 オフィスタワーZ棟4階) [出 席 者]正 会 員 6 , 0 5 7 名 のうち 、出 席 者 1,309名(内、委任状1,251名) 定 足 数 1 0 分 の 1 以 上( 6 0 6 名 )、 議決数過半数(304名) [議 事] (1)平 成 2 5 年 度 事 業 報 告 及び 平 成25年度決算承認の件 会議の経過 1.開 会 開会に先立ち 、中村会長より挨拶があり、 昨 年 就 任 時に防 災 、環 境 、まちづくりを テーマに掲げ 、防災委員会 、省エネと建築 文化、支部設立特別委員会を立ち上げたこ と、さらに建築士を守り、かつ育てる態勢 づくりを行っていることなどが報告された。 定款第16条第1項に基づき 、中村会長が 議長に就任した。 引き続き本日の出席状況について出席者 58名 、委任状による出席が1,251名 、計 1,309名であり、正会員総数6,057名の 10分の1(606名)を超え、定款第18条第 1項によりこの総会が有効に成立すること を報告し、開会を宣した。 益で約26,801万円 、経常費用で約 27,707万円 、当期経常増減額は△ 約906万円 、正味財産期末残高は 、 約8,026万円である。 経 常 収 益として は 、前 年 度 より約 ● 1,880万円の減である。 会 費 収 益は厳しい 経 済 状 況 の 中で 前 年 度 より会 員 数 の 減 少 により約 11,692万円 、なお正会員の会費収 益は約350万円減少した。事業項目 議長は定款第20条第2項に基づき 、本日 の出席正会員の中から坂井映二・松川淳子 の両氏を議事録署名人に指名した。 (1)平 成 25年 度 事業報告及び平成25年 度決算承認の件 況について 、植野監事より、半期毎に 小林監事・柴山監事・出塚公認会計士 と共に監査した結果として 、以下の通 り報告があった。 財務諸表は、会計帳簿の記載金額と ● 一致し、法人の財政状況を適正に表 示しているものと認める。また、業務 は年度当初に予定した事業計画に基 は約 7 8 5 万 円 、刊 行 物 等 事 業は約 づき、適切に執行されている。なお、 1,592万円、会報等発行事業は会報 理 事 の 職 務 執 行に関する不 正 行 為 広告料等で約1,119万円であった。 又は法令若しくは定款に違反する事 建築士制度育成事業の講習会関係 実はないと認めた。 において実 務 講 習 会で約 1 , 3 0 0 万 円の収益減である。また 、雑収益と 議長は、議場に対して第1号議案について して約317万円があった。 意見等を求めたが 、特に発言は無く、引き 経常費用としては 、約27,707万円 続き承認を求めたところ、満場異議無く承 であり、事業項目別費用では 、建築 認された。 ● 士制度普及事業は約9,451万円、建 築士育成事業は約3,178万円、刊行 物等事業は約1,398万円、会報等発 行事業は約6,865万円であった。建 築 士 制 度 育 成 事 業 の 講 習 会 関 係で 約1,100万円削減、会報等発行事業 の会報発行関係で会員数減により約 300万円とそれぞれ削減となった 。 また管 理 費にお いても約 6 5 0 万 円 の削減である。費用全体では 、事業 関 係 の 収 益 減による費 用 減に伴 い ある。 当 期 経 常 増 減 額は△ 約 9 0 6 万 円と ● なり、経常外増減もなく一般正味財 産増減額も同額 、前年度と比較する と約 5 0 6 万 円 余り赤 字 幅 は 縮 減と 財政的には 、現在 、大きな負債も無 ● いが 、運営資金面を含め 、財務全体 としては 、厳しい状況が続くと予想 される。 4.報告事項 (1)平 成26年度事業計画及び平成26年 度予算 平成26年度事業計画について 、可児 副会長より、議案書に基づき主たるも の( 重点事項 )について以下の通り説 明があった。 本年度は、重点施策と事業活動項目 ● との関連性をより明快にすることを 目的に事業計画を策定した。 内容としては 、建築士の資質・能力 向上を図り、建築士の権利を擁護す ることを目指す 。そのために社会貢 献に資 する責 任 ある体 制 の 構 築を 行い 、地域の健全な発展に寄与する ことを目的に活動する。また会員増 強のための各施策を取り入れる。 重点施策として、下記5項目を掲げ 、 積極的に諸事業を展開する。 *重点施策 議長は第1号議案について事務局に報 本 会 の 基 本 的な財 政 基 盤は会 費 関 告を求めた。 係であるので会員増強と絡め 、事業 1. 建築士法に基づく業務 平成25年度事業報告について 、鴛海 の 柱 の 一つである実 務 講 習 会 の 積 2. CPD・専攻建築士制度運営 専務理事より別添の「 平成26年定時 極的な実施による収益維持 、費用面 3. 委員会活動の推進及び強化 総会議案書」 ( 以下[議案書]という)に では新 規 事 業を含めた事 業 展 開 の 4. 会員施策 基づき事業活動項目別、特に会員に向 合理化 、管理費・固定費を含めた更 5. 東京都をはじめとする自治体の けて行った事 業を中 心に会 務 の 概 要 なる費用の縮減に努めたい。 建築・まちづくり行政と連携し た情報交流や施策への協力 報告を行った。 12 平成25年度の本会の業務・財産の状 別 収 益では 、建 築 士 制 度 普 及 事 業 なった。 3.議 事 続いて議長は監事に監査報告を求めた。 は約11,154万円 、建築士育成事業 前 年 度より約 2 , 3 8 0 万 円 の 削 減で 2.議事録署名人の指名 当初予定より、赤字幅の縮減が図られ た」旨の説明があった。 続いて、平成25年度決算について、内 可児副会長( 財務担当 )より、 「 法人改 野主幹より、議案書の平成25年度貸 革に伴い 、帳票類等も変更になり、よ 予算(案)については、内野主幹より議 借対照表・正味財産増減計算書・財産 り実体性のある財務諸表となった 。今 案書に基づき説明を行った。 KENCHIKU TOK YO 2014.09 予算の作成にあたっては 、事業計画 ● ( 案 )の事業活動項目に基づき科目 平成 26 年度 事 業 計 画 5)会員を顕彰し育成する方策の実施 を設定し、内容については前年度見 本会は、建築士の資質・能力向上を図り、建築 5 東 京都をはじめとする自治体の建築・まち 込決算を参考に、また本会の財政状 士の権利を擁護することを目指す 。そのため づくり行政と連携した情報交流や施策への 況を考慮し費用の削減に努め各事業 に社会貢献に資する責任ある体制の構築を行 協力 科目の内容を十分加味して編成し、 い 、地域の健全な発展に寄与することを目的 1)東 京都被災建築物応急危険度判定員の 総額で収益・費用共に28,200万円 に活動する。 の予算とした。 今般 、建築士免許の偽造や建築業務における 収益については、会費収入は前年度 ● 並みとし、厳しい経済情勢ではある が、会費納入率の維持に努めたい。 事業においては、建築士制度普及事 ● 業 の 建 築 士 免 許 登 録 業 務 関 係 、特 に二級建築士の合格者減 、また 、東 京 都との 業 務 委 託 契 約である応 急 危険度判定員養成・登録業務関係で は、今年度はデータベースの作成が なく、従来の委託内容になり、建築 士 免 許 関 係と共に収 益 減を見 込 ん 建築士の処分など、建築士の社会的な信頼を 建築士育成事業では、今年度は関ブ ロ青 年 大 会 が 東 京 で 開 催されるた め そ の 開 催 運 営 関 係 費を計 上して いる。他の事業は 、それぞれ実績に 沿った予算とした。 費用については 、各事業とも前年度 ● の実績を参考に試算した 。なお各事 業共通費については、配賦割合の見 直しを行いより実態に近づけた 。ま た 管 理 費につ い ても ほとんどの 科 目で極力経費を抑え 、事業費・管理 費・固定費( 人件費等 )で前年度より 1,300万円余を削減した予算とした。 士の信頼回復を目指し、社会的な責務の遂行 と社会貢献活動を推進する。 これらの活動並びに本会の設立目的に沿った 諸事業の推進に当たっては 、建築士の創意と 力を結集し、優れた成果をあげることにより、 社会から信頼され、会員にとって誇りにできる 魅力ある建築士会としての姿を示す。 そのため 、次の5項目を重点施策として掲げ 、 積極的に諸事業を展開する。 [重点施策] 1 建築士法に基づく業務 1)指 定登録機関及び定期講習等の円滑な 業務遂行 2)建 築士の資質・能力向上のための研修 の実施 3)法改正等の情報提供の充実 2 CPD・専攻建築士制度運営 1)建 築士会継続能力開発( CPD )制度及 び専攻建築士制度の一層の推進と定着 2)C PD・専攻建築士制度の運営整備及び 各専攻分野の研修制度の推進 事業計画・予算概要の説明後、議長は、 活動について種々ご協力を願いたい 、 3 委員会活動の推進及び強化 1)良 好な景観形成 、環境 、ストックに配慮 なお予算については会員減・事業収益 した建 築 の 創 出 などまちづくり活 動 の 減を踏まえ引 締めて試 算した旨 の 発 活性化 言後 、事業計画及び予算については 、 総 会では報 告 事 項になる旨 の 説 明 が あり了承された。 2)防 災・減災に対応した安全・安心な社会 の構築に向けた建築士の連携活動 3)本 会の主旨に賛同した支部の設立及び その地域貢献活動への支援 議長は 、以上で本日の議事の審議及び報 告事項は全て終 了したので閉 会すること を告げ、午後4時15分閉会を宣した。 事業活動項目 Ⅰ 建築士制度普及事業 1. 建築士試験の運営業務 (1)一 級・二級・木造建築士試験の受付 及び試験の実施 2. 建築士免許登録業務 (1)二 級・木造建築士免許登録・閲覧業 務の実施 (2)一 級建築士免許登録等窓口業務及 3)社会への建築士の専門性のアピール強化 新たな事業及び魅力ある建築士会の 制度の協力 損ねる状況において 、建築士会は更なる建築 でいる。 ● 養成・登録の運営 2)東 京都建築物液状化対策アドバイザー 4)建 築士の権利を擁護するための施策の 実施 5)熟 練技術の継承と年代間の交流の推進 6)関 東甲信越建築士会ブロック会青年建 築士協議会「東京大会」の開催運営 び閲覧業務の実施 (3)建 築 士 免 許 関 係 事 務に関する受 託 協力 3. 建築士制度運営業務 (1)建 築士会継続能力開発( CPD )制度 の実施 (2)建 築士会専攻建築士制度及び関連 研修の実施 4. 講習運営業務 (1)建 築士定期講習の実施 (2)建 築士のための総合研修の実施 (3)法 規関連実務講習の実施 5. 被災建築物応急危険度判定員養成・登 録業務 (1)養 成講習の実施 (2)登 録・更新業務の実施 Ⅱ 建築士育成事業 1. 展示事業の実施 (1)住 宅建築賞の実施 (2)住 宅課題賞の実施 2. 委員会企画事業の実施 調査研究及び見学会・講演会・説明会・研 修会・講習会・懇談会・設計競技等の開催 企画 ①法 改正(建築士法・公益法人法)に伴う 業務並びに建築士の業務・職能・倫理 に関する調査研究及び企画 担当委員会: 「 企画委員会 、総務・財 ● 4 会員施策 前記 平成26年6月11日、この議事録を作成 1)会員相互の交流の充実 し記名押印する。 2)ホ ームページの刷新及びシステム整備 による情報発信の強化 一般社団法人 東京建築士会 議 長 : 中村 勉 ㊞ 議事録署名人 : 坂井 映二 ㊞ 議事録署名人 : 松川 淳子 ㊞ 3)会 員サービス、会員データベース、広報 等の一層の充実 4)会 員増強並びに退会防止に向けた方策 の実施運営 務委員会、会員委員会、建築相談委 員会、青年委員会」 ②建 築士の資質・能力向上のための調 査研究及び企画 担当委員会: 「制度運営委員会、事業 ● 委員会 、見学委員会 、青年委員会 、 女性委員会、住宅建築賞委員会、環 境委員会」 2014.09 KENCHIKU TOK YO 13 ③建 築士の実態・会員制度の調査研究 及び企画 (1)建 築士の地域貢献の活動への支援 2. 被災建築物の診断に関する行政協力 (2)東 京 都 建 築 物 液 状 化 対 策アドバイ 3. 友好団体との連携 4. 日本建築士会連合会との連携 ザー制度への協力 担当委員会: 「会員委員会」 ● ④も の・まち・くらしづくりに関する調査 建築士協議会「東京大会」の開催運営 研究及び企画 担当委員会: 「まちづくり委員会 、青 5. 関東甲信越建築士会ブロック会への協力 (3)関 東甲信越建築士会ブロック会青年 Ⅶ その他 ● 年委員会、女性委員会」 Ⅲ 刊行物等事業 ⑤住 まい づくりに関する調 査 研 究 及び 担当委員会: 「建築相談委員会、住宅問 5. 建築基準法に基づく諸法令用紙・表示 6. 製図用品・事務用品等の頒布及び斡旋 1. 月刊「建築東京」の編集・発行 (正会員特別割引) 2.[建築士]の会員頒布 担当委員会:「情報委員会」 ● の構築 板等の頒布(正会員特別割引) Ⅳ 会報等発行事業 ⑦会 員への情報発信及び会報の編纂 ⑧防 災・減 災 対 策と建 築 士 の 連 携 体 制 等)制度の推進 4. 図書の頒布及び斡旋(正会員特別割引) (3)建 築関係図書の編集・監修・発行 題委員会、青年委員会、女性委員会」 担当委員会: 「法規委員会」 3. 団体生命保険・傷害保険(共済補償制度 (2)建 築関連法令集の監修 ● ● 2. 本会加盟店の正・準会員優待割引 (1)東 京都建築安全条例の発行 企画 ⑥建 築関係法令の調査研究及び企画 1. 会員相互扶助の実施 1. 刊行物の発行・監修 7. その他、会員サービスに関すること Ⅴ 会員施策 1. 建築士会全国大会への参加促進支援 担当委員会: 「防災委員会」 ● 2. 会員の表彰 ⑨会 員の増強施策 3. 会員名簿の発行 担当委員会: 「 会員増強対策特別委 ● 4. 会員グループへの支援 員会」 3. 情報化社会への対応・ホームページに Ⅵ 関係機関との連携 よる情報発信及び企画 1. 国・東京都・その他関係方面に対する献 4. 地域貢献活動の推進及び支援 策連携 平成25年度決算及び平成26年度予算 【平成25年度決算】 ( 単位:円) ( 1 )経 常 収 益 受取入会金・受取会費 受取助成金・受取協賛金 運用益 建築士制度普及事業収益 建築士育成事業収益 (2)経常費用 117,424,200 850,000 32,547 111,545,081 7,859,700 刊行物等事業収益 15,923,491 会報等発行事業収益 11,197,000 雑収益 経常収益計 (A) 建築士制度普及事業費 94,518,618 建築士育成事業費 31,786,294 刊行物等事業費 13,984,877 会報等発行事業費 68,654,733 管理費 68,131,335 経常費用計 (B) 277,075,857 当期経常増減額 (A) ー (B) △ 9,064,069 資 産 負 債・正味財産 流動資産 固定資産 84,497,421 147,527,315 流動負債 固定負債 正味財産 14,430,649 137,333,441 80,260,646 合 計 232,024,736 合 計 232,024,736 3,179,769 268,011,788 【平成26年度予算】 ( 単位:千円) ( 1 )経 常 収 益 受取入会金・受取会費 ◎平成26年度予算について (2)経常費用 118,050 建築士制度普及事業費 82,677 受取助成金・受取協賛金 300 建築士育成事業費 62,842 運用益 101 刊行物等事業費 16,748 建築士制度普及事業収益 会報等発行事業費 50,768 建築士育成事業収益 24,900 管理費 68,965 刊行物等事業収益 18,100 経常費用計 (B) 会報等発行事業収益 11,000 雑収益 経常収益計 (A) 106,900 282,000 ①建築士制度普及事業 ● 建築士試験 ● 建築士免許証 ● CPD ・専攻建築士制度 ● 講習会事業 ● 応急危険度判定員養成 ・登録業務 ②建築士育成事業 ● 展示事業 (住宅建築賞・住宅課題賞) ● 委員会企画事業 ● 地域貢献活動事業 ③刊行物等事業 ● 従来の出版会計 (収益事業) 2,649 282,000 事業活動項目別の大科目として、建築士制度普及事業・建築士 育成事業・刊行物等事業・会報等発行事業の4つに分類。 当期経常増減額 (A) ー (B) 0 ④会報等発行事業 ● 会員関係 ※平成26年定時総会議案書をご希望の方は、本会事務局迄お越し頂ければお渡し致します。 14 KENCHIKU TOK YO 2014.09 EDITORIAL VIEW 編 集 後 記 “ 建築における木材の新たな活用可能性の 展望 ”について都市防災不燃化協会・岩井 会長に「OPEN CAFÉ」を、また小林博人氏 に“べニアを用いた復興住宅へのチャレンジ” “ 不燃木材の応用による高層木造建築の可 能性”について「うごき」に特集頂きました。 いま我が国では戦後植林した杉・ヒノキな どの木材が伐採期( 30~50年生 )を迎える 一方、国内市場が縮小し、構造的な「林業の 衰退 」が進行しており、 「 林業の再生 」が叫 ばれています 。こうした現状に対して 、 「木 材活用促進への新技術 」として「 木材不燃 化 」の実現と、それに伴う「 木材の多様な建 築材としての利用拡大 」への取り組みが始 まっています 。こうした「 木材不燃化を通じ て国内産木材の消費が促進すること」は、こ れまでの「林業の課題」 K E N C H I K U T O K YO 第5 0 巻/第 9 号 ■ 編集 N OTE 今月は「木材の不燃化技術の進化」による 建 築 東 京 09 通 巻 59 9 号 クタールとされ、 「間伐」も出来ぬまま放棄 2014 年9月10 日発 行 定価 /7 72円 された森林の荒廃が進んでいる。 こうした状況を打破し、大きな可能性を切 り開くものとして期待されています。 国も2009年に「 森林・林業再生プラン」 を打ち出し「 森林の有する多面的な機能の 持続的発揮」 「 林業・木材産業の地域資源創 造型産業への再生 」 「 木材利用・エネルギー 利用( バイオマス等 )拡大を通じた低炭素社 会への森林・林業の貢献 」という3つの基本 理念の実現に向けて動き始めました。 「 木材不燃化への技術促進 」は「 建築のデ ザイン・構造」に新たな創造性をもたらすとと もに、 「我が国の林業の再生」 「 国土保全」へ の重要なテーマの一つでもあります。こうし た多面的な意義を持った活動である点に注目 し、その展開を見守っていきたいと思います。 ①木 材 価 格の低 水 準 化に伴う林 業 従 事 者 斉藤 博 発 行 人:高橋 孝一郎 発 行 所:一般社団法人 東京建築士会 の減少/林業就業人口は1970年以降 、 〒104-6204 5年毎に約2万人のペースで減少、林業就 東京都中央区晴海1-8-12 業者は約4万7千人(2005年)、しかもそ の4分の1が65才以上と高齢化している。 ②労 働力不足のため成木伐採期に来ている オフィスタワーZ 4F [ TEL ]03-3536-7711 [ FAX ]03-3536-7712 [E-mail][email protected] 日本の人工林・1000万ヘクタールに対し 制 作: (株)ケシオン て、維持管理できる森林面積が160万ヘ 〒107-0062 東京都港区南青山6-11-1 ■ 執 筆者PRO FILE 岩井 國臣(いわい くにおみ) 1938年2月5日生まれ。1962年京都大学卒業、同年建設省(現国土交通省)へ入省。1993年、河川局局長 に就任。翌年、財団法人河川環境管理財団理事長、その後、1995年、参議院に当選。参議院議員を2期務め た後 、2007年から、一般社団法人国土政策研究会会長 、また、2010年から一般社団法人都市防災不燃化 スリーエフ南青山ビル 7F 情報委員長:斉藤 博 委 員:臼田 哲男 岡本 博 観音 克平 小林 剛士 協会会長を兼務、旭日重光章を受勲し、現在に至る。 駒見 宗信 小林 博人(こばやし ひろと) 千葉 修嗣 1961年生まれ。建築家、小林・槇デザインワークショップ(KMDW)代表、慶應義塾大学大学院教授 三原 斉 柴峯 一廣 京都大学 、ハーバード大学大学院デザインスクール( GSD )で、建築設計・都市デザインを学び 、日建設計 、 ノーマン・フォスター事務所を経て2003年よりKMDWを主催し設計の実務を行う。2004年よりスキッドモ ア・オーウィングズ・アンド・メリル(SOM)日本代表。 編 集:川村 哲也 梅津 洋佑 日本の「 町(ちょう)」に関する研究でGSDからデザイン学博士号 。同校で2000−2003年特別研究員 。 2010 、2011年MITにて客員准教授 。慶應・MITで新しいサステイナブルコミュニティ再生の手法を研究 。 2012年カリフォルニア大学バークレー校で客員研究員。建築の社会的貢献について研究。 16 KENCHIKU TOK YO 2014.09 http://www.tokyokenchikushikai.or.jp/index.htm スマートコミュニティ時代の 建築物情報化セミナー 3単位 [日 時]9月26日(金)14:00~17:20(受付開始13:30) [場 所]東京建築士会会議室 マンション防災と首都直下地震 “逃げないでとどまる”在宅避難の時代へ [会 期]10月31日(金)まで。 10:00~18:00(金曜日19:00まで) [定 員]100名(定員になり次第締切) [受 講 料]本会正会員5,000円 一般8,000円 (テキスト代・消費税込み) 詳細は、別紙挟み込み又は本会ホームページをご参照ください。 銀座建築デザイン大学vol.2 モザイクタイルの美と用 &「カップマルタンの 休憩小屋」見学会 3単位 chapter01:講義【タイルの世界、モザイクの宇宙】 chapter02:ワークショップ【クラッシュタイルでネームプレート制作】 chapter03:見学会【カップマルタンの休憩小屋 原寸レプリカ】 [日 時]10月4日(土)13:00~16:30 [場 所]ものつくり大学 中央棟C1070 (埼玉県行田市前谷333 番地) 日・月・祝日休館 [会 場]AGC studio(中央区京橋2-5-18 京橋創生館1・2階) TEL:03-5524-5511 http://www.agcstudio.jp [入 場 料]無料 サスティナブルecoデザインと福祉の国 ~スウェーデン・デンマークの旅~ [旅行期間]11月2日(日)~11月9日(日) [旅行代金]¥488,000 [訪 問 地]ストックホルム、マルメ、コペンハーゲン [訪 問 先]森 の 斎 場( 世 界 遺 産・アス プ ル ンド+レヴェレンツ )、 夏の家(アスプルンド)、スウェーデンのバイオマスエネ ルギー利用のeco街づくり、聖Mark ’ s教会ほか秀作建 [定 員]100名(申込先着順/定員になり次第締切) [受 講 料]本会正会員・準会員2,000円 一般3,000円 学生1,500円 (消費税込み) 詳細は、別紙挟み込み又は本会ホームページをご参照ください。 住宅問題委員会連続セミナー 第1回 マンション大規模修繕 ~100年持たせる再生シ ナリオ~ 3単位 [日 時]10月31日(金)13:30~16:30(受付13:00~) [場 所]東京建築士会会議室 [定 員]100 名(定員になり次第締切) [参 加 費]本会正会員・準会員6,000円 一般8,000円 (テキスト代・消費税込み) 詳細は、別紙挟み込み又は本会ホームページをご参照ください。 住宅課題賞2014 [建築系大学住宅課題優秀作品展 ] 参加大学:36大学45学科 [会 期]11月4日(火) ~11月21日(金) 土・日・祝日休館(15日(土)は開館) 10:00~18:00(最終日16:00まで) [会 場]ギャラリー エー クワッド (江東区新砂1-1-1 竹中工務店 東京本店内1F) TEL:03-6660-6011 http://www.a-quad.jp 築(レヴェレンツ)、コペンハーゲンのシェアハウスほか 日本の近未来を予感させる世界を堪能します。 [企 画]一般社団法人エコハウス研究会 代表理事 丸谷 博男 [主催・問合せ]株式会社トラベルプラン 担当 酒井 春生 TEL 03-3561-5050 E-mail [email protected] http://www.travelplan.co.jp 一般財団法人住総研 出版助成募集 住関係分野における研究の発展や研究者育成の観点から、将来の 「 住生活の向上 」に役立つ内容で 、社会的要請及び学術的に質の高 い研究成果や若手研究者による、未発表の出版に要する経費の一部 を助成します。 [応募期間]平成26年8月1日~平成27年1月31日 [助 成 額]1件あたり80万円(税込) [助成件数]2~3件程度 詳細は、一般財団法人 住総研 出版助成担当宛[E-mail]kenkyu@ jusoken.or.jp または、 [ TEL ]03-3484-5381にお問い合わせく ださい。 会員優待割引加盟店追加のお知らせ : 日建学院 この度 、 ( 株 )建築資料研究社様にご協力を頂き、本会会員の方は各 種の資格・検定講座を割引で受講頂く事ができるようになりました。 [入 場 料]無料 対象講座等詳細は本会HPをご参照ください。 関連イベント 「住宅課題賞」公開審査 審査員による選出・審査、賞決定、審査員講評、入賞者インタビュー insurance.html [日 時]11月15日(土)13:00~17:00 [会 場]竹中工務店 東京本店2F Aホール [審 査 員]委 員 長 : 植田 実(編集者・建築評論家) 委 員 : 貝島 桃代(アトリエ・ワン/筑波大学准教授) 吉良 森子(アムステルダム設計事務所主宰) 島田 陽(タトアーキテクツ) 谷内田 章夫(谷内田章夫/ワークショップ) 司会進行 : 佐々木龍郎(佐々木設計事務所) [入 場 料]無料 [定 員]150名(申込先着順) http://www.tokyokenchikushikai.or.jp/service/ 平成26年度 住宅省エネルギー技術講習会 (9・10月開催分) 詳細 : 東京都防災・建築まちづくりセンター TEL 03-5466-2103 http://www.tokyo-machidukuri.or.jp/machi/shoene/koushuukai2014.pdf 2 0 2 0 年までに新 築 住 宅における改 正 省 エネ ル ギ ー 基 準 適 合 率 100%達成を目標に、平成24年度より地域の木造住宅生産体制を 担う大工工務店・設計者を対象とした「 住宅省エネルギー技術講習 会」を 開催しています。 はCPDの認定単位数 認定研修では会場受付の名簿に記名ください。CPDシールの配付はありません。 本会主催の催し物は、FA X 、E-mail にてお申込ください。[ FA X]03-3536-7712 [ E-mail][email protected]
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