産業技術総合研究所 ガス標準研究室の活動

発表番号1
産業技術総合研究所
ガス標準研究室の活動
- 標準物質開発と国際比較 ー
産業技術総合研究所 計測標準研究部門
ガス標準研究室
下 坂 琢 哉
2014年1月31日(金) 標準ガスクラブ
ガス標準研究室のメンバーと主な分担
JCSS基準物質
高純度ガス、
メンバー
ゼロガス
下坂琢哉
室長、高純度酸素、(ゼロガス)
渡辺卓郎
高純度メタン・プロパン、VOC:GC
松本信洋
青木伸行
CO・CO2・NO・SO2等高純度無機ガス
温暖化ガス、ホルムアルデヒド
動的発生法
安藤美和子 大気観測用CO2
高田佳恵子 テクニカルスタッフ
温暖化ガス
CF4, C2F6, SF6,
NF3
動的発生法の開発
ホルムアルデヒド
ホルムアルデヒド標
準ガス発生法
大気観測用標準ガス
CO2, CO, CH4, O2 /Air
有機標準液
アクリロニトリル・
スチレン
2
ガス標準研究室の業務
大気, 室内空気観測用
温室効果ガス(大気)
CO2/Air, CO/Air, CH4/Air, N2O/Air, O2/Air
温室効果ガス(半導体)
(CF4・C2F6・SF6)/N2, NF3/N2
JCSS, JIS
室内環境
HCHO/N2
黒字:整備済
赤字:未整備
燃料ガス
零位調整ガス
NOx用, SO2用, LNG成分用, (温暖化ガス種用)
LNG熱量計算用(純ガス)
基準物質(純ガス)
CO, CO2, SO2, O2, NO, NH3
品質検査用
低濃度O2/N2, 低濃度N2/Ar
CH4, C3H8
C2H6, n-C4H10, iso-C4H10,
n-C5H12, iso-C5H12, (neo-C5H12),
n-C6H14(メタン希釈)
装置の紹介(天秤)
小型容器用精密天秤
最大秤量値:2 kg
最小読み取り:0.01 mg
繰り返し性: <0.1 mg
1万倍程度までの高希釈倍率が可能
新大型容器用精密天秤
最大秤量値:26 kg
最小読み取り:1 mg
繰り返し性(カタログ値): 2~3 mg
新
旧
小型用・新大型用天秤を用いることで、より
高精度な標準ガスの調製を試みている
産業技術総合研究所 第3期標準整備計画
https://www.nmij.jp/info/planning/
・第3期:2010年度~2014年度まで
・2013年度以降の新規標準物質
2013年度: 窒素希釈酸素標準ガス(10 µmol/mol)
NF3校正サービス(4 µmol/mol ~ 10 µmol/mol;窒素バランス)
2014年度: ホルムアルデヒド校正サービス(数µmol/mol)
・来年度、産総研第4期の標準整備計画を策定予定
会員の皆様に、標準ガスなどに対するご要望をお聞きすることに
なると思います。その時はよろしくお願いします。
JCSS 標準ガス用基準物質(高純度ガス)
物質名
供給開始
現行CRMの有効期限
(開発年度)
次ロット開発予定年度
一酸化窒素
NMIJ CRM 3401
Mar.2003
―
要研究開発
二酸化硫黄
NMIJ CRM 3402
Mar.2003
2015/3/31 (2009)
2014:第2ロット
メタン
NMIJ CRM 4051
Mar.2006
2017/3/31 (2009)
2013:第3ロット
プロパン
NMIJ CRM 4052
Mar.2006
2020/3/31 (2010)
2014:第2ロット
二酸化炭素
NMIJ CRM 3407
Mar.2007
2015/3/31 (2007)
2013:第2ロット
一酸化炭素
NMIJ CRM 3406
Mar.2008
2018/6/30 (2013)
酸素
NMIJ CRM 3404
Mar.2007
2017/3/31 (2012)
アンモニア
NMIJ CRM 3405
2014以降
―
塩化ビニル
NMIJ CRM 4041
Mar.2006
―
1,3-ブタジエン
NMIJ CRM 4042
Mar.2007
―
ゼロガス 窒素
NMIJ CRM 340x
2014以降
―
ゼロガス 空気
NMIJ CRM 340x
2014以降
―
アクリロニトリル
NMIJ CRM 4040
Mar. 2004
2016/3/31 (2009)
スチレン
NMIJ CRM 4055
Mar. 2009
2017/3/31 (2008)
詳しい情報は、https://www.nmij.jp/service/C/に掲載されています。
6
標準物質・校正サービス(混合ガス)
標準物質
標準物質名
供給開始年
度
現行CRMの有効期限 (開
発年度)
SF6,CF4混合標準ガス(排出レベル)
NMIJ CRM 4403
2005
2020/3/31
SF6,CF4混合標準ガス(高濃度)
NMIJ CRM 4404
2008
-
C2F6,CF4混合標準ガス(0.5%)
NMIJ CRM 4405
2008
-
SF6,C2F6,CF4混合標準ガス(0.5%)
NMIJ CRM 4406
2010
2020/3/31
亜酸化窒素/窒素標準ガス(高濃度)
NMIJ CRM 3403
2005
-
窒素希釈酸素(10µmol/mol)
NMIJ CRM 3408
2013(予定)
2016/3/31
詳しい情報は、https://www.nmij.jp/service/C/に掲載されています。
校正サービス
対象成分/マトリックス
NF3/N2
ホルムアルデヒド/N2等
濃度
供給開始予定年度
4 µmol/mol~10 µmol/mol
2013
1 µmol/mol~10 µmol/mol (予定)
2014
NMIJに直接依頼。https://www.nmij.jp/service/P/calibration/に掲載予定。
新規CRM・校正サービスの紹介
窒素希釈酸素(10 µmol/mol)
CRM番号 : NMIJ CRM 3408-a
調製方法 : 質量比混合法(4段希釈)
認証値 : 調製濃度
不確かさ : 0.19 µmol/mol (k = 2)
(調製・妥当性確認・安定性・圧力依存性の各不確かさを合成)
その他 : 約0.5 µmol/molのアルゴンが含まれている
NF3校正サービス
NF3標準ガス
(7 mmol/mol)
校正器物 (4 µmol/mol~10 µmol/mol)
CCQM GAWGの報告
・2013/4/15~16 @ パリ
Chair Jin Seog Kim, 他40名強
参加NMI:NMISA, IRMM, NPL, IPQ, CEM, BIPM, BEV, MKEH, UBA,
IAEA, NPLI, NOAA, BAM, CENAM, VNIIM, CMS, LNE, METAS, NPLI,
NIST, I.N.RI.M, NMIA, SMU, VSL, FGI, KRISS, NML-SIRIM, NIM
日本からは、上原 伸二(CERI), 秋間(CERI),加藤健次(NMIJ),下坂が参加
・2013/11/4~7 @ 南アフリカ
Chair Jin Seog Kim, 他30名弱
参加NMI : NPL, VSL, NMIA, NMI, BIPM, Bangladesh, CENAM, KRISS,
NMISA, NIST, INMETRO, Kenya, BAM, VNIIM, INRIM
日本からは、上原 伸二(CERI),加藤健次(NMIJ),下坂が参加
国際比較とは
・各国の計量研(NMI)間での技能試験
Key Comparisonと試験的な技能試験であるPilot Study
・Key Comparisonの結果は、BIPMのHPで公開
Appendix D; http://kcdb.bipm.org/AppendixD/default.asp
・国際比較の結果が各NMIの校正測定能力(CMC)の根拠
各NMIのCMCは、BIPMのHPで公開されている
Appendix C; http://kcdb.bipm.org/AppendixC/default.asp
計量標準の国際相互承認協定(CIPM MRA)により、各NMIの
CMCに基づいた校正証明書等は、他国でも同等と認められる。
測定能力と調製能力
国際比較には、標準ガスの調製能力についての比較と、
測定能力についての比較の2種類がある。
調製能力
測定能力
試料
(仲介器)
幹事NMI
各NMIが調製した標準ガスを、
幹事NMIが同等性を評価する。
幹事NMI
幹事NMIが同等な標準ガスを調製し、
各NMIが定量する。
最近の国際比較
CCQM-K93(120µmol/molエタノール/N2の調製能力)
・幹事NMI:NPL
参加NMI:NPL, CERI, INMETRO, IPQ, KRISS, LNE,
MKEH, NIM, NIST, NMISA, SMU, VNIIM, VSL
・KCRV : 各NMIの報告値から決定
・浮力補正・容器内面への吸着を考慮していない結果の
取り扱いについて協議を行った。
CCQM-K82:
大気濃度レベル 空気希釈メタンについての調製能力
・幹事NMI : BIPM
参加NMI : NMIJ, NPL, NOAA, NIST, KRISS, NIM,
VNIIM, VSL, CEM
・1800 nmol/mol と 2200 nmol/molの空気希釈メタンを調製し、
BIPMが高精度な分光手法(CRDS)で同等性を評価した。
CRDSは、マトリックス効果があるので、マトリックスの組成比は、
空気と同じ組成であることが課せられていた。
CH4 : ± 10 nmol/mol
N2 : 0.77849 mol/mol ~ 0.78317 mol/mol
O2 : 0.20776 mol/mol ~ 0.21111 mol/mol
Ar : 8.865 mmol/mol ~ 9.799 mmol/mol
CO2 : 360 µmol/mol ~ 400 µmol/mol
・質量比混合法の調製と希釈ガス中のCH4測定がポイント
CCQM K84:大気濃度レベルの空気希釈COの測定能力
・幹事NMI : KRISS
・参加NMI : NIST, NMIJ, NIM, VNIIM, NPL, KRISS, LNE, FMI, JRC,
WMO: NOAA, EMPA
・配布試料:350 nmol/mol CO in synthetic air
Carbon monoxide : 350 nmol/mol
Argon : 0.93 %mol/mol
Oxygen : 21 %mol/mol
Nitrogen : balance
・配布試料の安定性に問題が生じた
CO濃度が上昇
容器内面処理はされていなかった
KCVRの不確かさは、数nmol/molとなると思われる。
CCQM-K101 : 窒素希釈酸素(10 µmol/mol)の測定能力
・幹事NMI:NIM
・参加NMI:LNE, BAM, CERI, NMIJ, KRISS, VSL, VNIIM, SMU,
NMISA, NPL, NIST
・配布試料:10 µmol/mol O2 in N2 (約40 µmol/molのArを含む)
SMUからのレポートと試料の返送を待っているため、Draft Aはまだ出ていない。
各NMIの測定法は、電気化学セル、GC-PDHID、GC-MS等であった。
NMIJはGC-TCDで測定した。
CCQM-K90 : 窒素希釈ホルムアルデヒドの測定能力
・幹事NMI : BIPM
・参加予定NMI : NMIJ, KRISS, NPL, NIST, VSL, VNIIM, NIM
・配布試料:2 µmol/mol ホルムアルデヒド in N2
・スケジュール:試料の発送は、2014年7月~9月、
レポート提出は、2014年10月~12月
・BIPMは、パーミエーションチューブで標準ガスを発生
磁気浮遊式天秤を用いてパーミエーションチューブからの発生量を定量
ホルムアルデヒド原料として、パラホルムアルデヒド・トリオキサンを用い
た時の濃度を比較している。
CCQM-K111 : 窒素希釈プロパンの測定能力
・幹事NMI : VSL
・参加NMI : VSL, CERI, KRISS, NPL, NIST, VNIIM, NMISA, INMETRO
・配布試料:1000 µmol/mol プロパン in N2
・スケジュール:2014年3月発送、2014年7月レポート提出を予定
参加NMIが、各地域(アジア・ヨーロッパなど)での幹事NMIとなり、各域内で
の国際比較を行う
APMP.QM-K111: (CCQM-K111のAPMP版)
・幹事NMI : CERI
・スケジュール:2014年9月発送、2015年1月レポート提出を予定
CCQM-K112 (Biogasの組成分析)
・幹事NMI:VSL
・参加予定NMI: VSL, NPL, BAM, LNE, VNIIM, INMETRO, SMU,
KRISS, Colombia, CENAM?, IPQ?, CEM?
・配布試料:N2(10%), CO2(40%), O2(0.5%), H2(1%),
エタン(0.04%), プロパン(0.01%), メタン(44.5%)
・スケジュール:2014年6月発送、2014年11月レポート提出を予定
CCQM-K1?? (LPGの組成分析)
・幹事NMI:NPL
・配布試料:エタン(2%), プロパン(63%), プロペン(9%), iso-ブタン(8%),
n-ブタン(14%), 1-ブテン(3%), iso-ペンタン(1%)
・気相があると、不純物濃度が使用量に依存する
気液間の分配定数が1ではない
定圧シリンダに配布試料を充填する予定
CCQM-K118 (天然ガスの組成分析)
・幹事NMI:BAM
・参加予定NMI: NIST, NPL, NMIJ, KRISS, VSL, BAM, NMIA,
VNIIM, NIM, NMISA?
・配布試料 : (C2-C6, N2, CO2, H2, He)/CH4
・スケジュール:2015年5月発送、2015年11月レポート提出を予定
Component
Methane
Ethane
Propane
iso-Butane
n-Butane
iso -Pentane
n-Pentane
neo-Pentane
n-Hexane
Nitrogen
Carbon Dioxide
Hydrogen
Helium
Mixture 1: Low Calorific
Value Natural Gas (%
mol/mol)
78.85
0.75
0.30
0.20
0.20
0.050
0.050
0.050
0.050
12.0
4.0
3.0
0.50
Mixture 2: LNG (%
mol/mol)
87.87 %
9.7 %
1.96 %
0.16 %
0.14 %
0.02 %
0.01 %
0.12 %
0.02 %
-
CCQM-K1??(大気観測用CO2標準ガスの調製能力)
・幹事NMI:BIPM
・参加予定NMI: NIST, NPL, NMIJ, KRISS, NOAA, VNIIM, NIM
・WMO-GAW Data Quality Objectives :
CO2濃度 : ±0.1µmol/mol
δ14C-CO2: ±1 ‰
δ13C-CO2 : ±0.01 ‰
δ18O-CO2: ±0.05 ‰
・過去の国際比較
(CCQM-K52)
CCQM-K1??(大気観測用CO2標準ガスの調製能力)
CCQM-Kxx.a
CO2/air (380 μmol/mol to 480 μmol/mol)
マトリックスガス : 各濃度は大気中の濃度±0.02%の範囲内
CCQM-Kxx.b
CO2/air (380 μmol/mol to 800 μmol/mol)
マトリックスガス : 各濃度は大気中の濃度±0.2%の範囲内
測定方法:
BIPMは、CRDS、GC、FT-IR、マノメトリック法で、各NMIからの試料を測定
同位体比測定についての国際比較は、2019年を予定
その他予定されている国際比較など
・CCQM-K116:10 µmol/mol 水/窒素の測定能力
幹事NMI:NPL
NMIJは参加予定
・大気濃度レベルO2/(N2+Ar)
NMIJが提案しているが、参加希望NMIは少ない。NISTとのbilateral?
CCQM 2014 in Japan
・日時:2014年10月14日~16日(予定)
14日~15日 : WG会議(内部者のみ)
16日午後 : Workshop(一般)
同時通訳あり(予定)
・場所:つくば国際会議場
つくば駅より徒歩10分 (http://www.epochal.or.jp/index.html)
・企業展示ブースを企画しています
・案内HP:NMIJの英語HPにリンクを作る予定
https://www.nmij.jp/english/
計量標準「標準物質」の整備計画
https://www.nmij.jp/request/2014/
○ 経済産業省では、「知的基盤整備特別委員会」において取りまとめられた中間
報告に基づき、省内に設置された「新たな知的基盤整備計画及び具体的な計
量標準の整備及び利用促進に関する検討会」(以下検討会)において、平成2
5年度から10年先までを見据えた計量標準の整備計画を取りまとめました。
2014年度まで:低濃度酸素、NF3標準ガス校正、エタノール標準ガス
2017年度まで:炭化水素類系高純度標準ガス
2022年度まで:CH4/空気(大気組成)標準ガス、CO/空気(大気組成)標準ガス
N2O/空気(大気組成)標準ガス 、CO2/空気(大気組成)標準ガス
○ 整備計画のニーズ調査(2014年度)
今回のニーズ調査では、主に以下(1)・(2)に該当するニーズを対象
(1)「昨年提出されていない新たなニーズ」
(2)「昨年提出されたニーズであって、整備・供給を行わないと判断されたもので
あるが、昨年調査時点(1年前)と比較してユーザーニーズ・重要性等に
大きな変化が生じたもの」
回答・問い合わせ:cal-request-ml@aist.go.jp
ご清聴ありがとうございます