地域おこし協力隊　₃年の任期を終えて「地域おこし協力隊」は、平成21年に国が創設した制度で、人口減少や高齢化が進む地方が都市の住民など、地域外の人材を受け入れ、おおむね₁年以上₃年以下の期間、農林漁業の応援や特産品の開発などいろいろな地域活動に特　集従事してもらいながら、定住・定着を図り、地域力の維持・強化を図る仕組みです。本市でも、平成24年₄月から過疎地域の指定を受けている島しょ部に、12人の隊員が移り住み、活動を行ってきました。このたび任期が満了する第 ₁期の卒業生₈人のうち、定住を決断した₅人の地域おこし協力隊の皆さんに、活動を振り返り、定住を決めた理由などを伺いました。宮窪の「宝」を多くの人に伝えたい宮窪　協力隊の活動を振り返ると地域の人に恵まれたことでこれまでやってこられたと思います。特に「浜のマルシェ」、「昭和のみやくぼ写真展」などの活動を通じて、多くの方とつながりができたことが財産です。私の地元も海と山が近く自然の多い地域だったので、宮窪にはすぐなじむことができ、心地よく暮らすことができました。また、地域の暮らしの中にある人と自然との関わり方や人の温かさに魅了されたことが、定住を決意した理由です。４月からは、地元や近隣地域の食材を使った飲食事業を始める予定ですが、しまなみ海道や四国を訪れるサイクリストや旅行者へ観光情報なども提供しながら、地域の魅力を伝える拠点として、発展させていきたいと考えています。また、地域の方にも気軽に立ち寄っていただけるような、オープンな場所にしていきたいと思っています。よしえ川崎　良重さん（兵庫県神戸市出身）地域への愛や誇りが「かっこいい生き方」上浦　協力隊の活動などを通して、上浦の文化や歴史に触れ、だんだんと「誇り高く温もりのある場所」だと感じるようになりました。₃年間の活動を振り返ると、愛媛大学の学生を対さかり象とした「自然体験活動企画合宿」や、移り住んだ盛集落で、よそ者としては初めて獅子舞をさせていただいたことが印象に残っています。獅子舞が終わった時に「よくやった。これでおまえもここの集落の一員だ」と言われすごく感動しました。それから、ここに住んで認めてもらおうと思うようになりました。地方で暮らす方は時代の変化の中でも「地域への愛や誇り」を失わずに生きています。そのような生き方が「かっこゆうや鍋島　悠弥さん（大阪府豊中市出身）いい」と思い、定住を決意しました。今後は農家民宿の運営やグリーン・ツーリズム体験活動を通じて、今まで以上に地域に根ざして生きていきたいです。鍋島隊員鍋島隊員川崎隊員大山祇神社で結婚式をあげました ―2― 昭和のみやくぼ写真展自然体験活動企画合宿川崎隊員松本隊員ロコバスでの移動カフェ大三島産かんきつ類食べ比べ（東京都）大三島のかんきつ類を通じて島の魅力を発信したい大三島　大三島は季節ごとにさまざまな行事がたくさんあり、そこに行けば誰かと知り合えました。そのおかげで多くの仲間もでき、協力隊の活動では、知り合った仲間とともに移動販売車「ロコバス」での移動カフェや、美術館などでの出張カフェ、東京で大三島産のかんきつ類の食べ比べイベントなどを行いました。大三島はいいところですが、地元の人にはそれが当たり前になっている。そこで外への情報発信役を私が担うことができればと考え、定住を決意しました。今後はインターネットを通じて、大三島産かんきつ類を各地へ PR、販売したり、移動カフェも継続していきたいです。かんきつ類をきっかけに大三島を知ってもらい、そして訪れてもらいたいと思っています。かな松本　佳奈さん（東京都世田谷区出身）関前が好きでたまらない　この思いとともに地域で生きる関前　赴任前から島に降り立った瞬間に「ここだ」と一目ぼれした関前諸島。この地で任期終了後に生活するには起業しかないと考えていました。そこで「ひめっこプリン」などの土産物開発や、「茜色のブログ」を毎日更新し情報発信を行い、関前諸島のホームページ「きないやせきぜん」を制作運営。集いの拠点「まるせきカフェ」の整備や、農業生産法人の設立も成果の一つです。今後はネット販売などにも取り組みます。関前は面積が小さく、農業だけで食べていくことが難しい。その少ない土地でも、カフェで提供する前提で農業に取り組む₆次産業化であれば実現可能です。これらの活動により移住希望者への最低限の基盤は整えられたと思います。今後は移住相談なども行い地域にもっと人を呼び込んでいきたいです。鍋島隊員しの成田紫乃さん・晶彦さん（東京都文京区、東京都新宿区出身）成田晶彦・紫乃隊員成田隊員農業体験活動の様子関前で31年ぶりの結婚式まるせきカフェでの歌の会 ―3― 特　集浜のマルシェ　島の名物がズラリ松本隊員