2015年度 留学のてびき - 慶應義塾大学国際センター

ⅩⅡ. 派遣交換留学生 留学体験記
交換留学
クィーンズランド大学(オーストラリア)
羽鳥 徳郎
法学部法律学科 (派遣時 2 年、現在 3 年)
留学期間
┃
2013 年 2 月∼ 2013 年 11 月
履修科目数 ( 各学期 ) ┃ 前期:4 科目、後期:4 科目
大学の中庭でリーディング
未定です。第 2 学年後期末試験終了直後に交換留学を開始しましたが、幸い両親のサポートがあった
帰国後の進路
ことと、自分自身、卒業後に大学院進学をするか就職をするかまだ決めかねていることもあり、焦る
ことなく 4 年半かけて学部を卒業しようと考えています。
遡及進級はしていません。遡及進級をして就職活動を行うためには留学期間終了直後(2013 年 11 月頃)
遡及進級しましたか?
に帰国しなければいけないという状況でしたが、折角の機会だったので、オーストラリアに 2014 年 1
月まで滞在しました。友人達が就職活動をする中で少し焦りを感じましたが、割り切ってオーストラリ
アに長く滞在することを決めました。
大学入学当初は漠然とアメリカやイギリスに留学しようと考えていましたが、環境ボランティアなど
どのように留学先を
選びましたか?
を通じて興味をもった「自然環境保護」についてより学問的に修めたいと思い、その分野に力を入れ
ている大学を探しました。調べていくうちに、オーストラリアが国として Ecologically Sustainable
Development を掲げており、オーストラリア国立大学やクィーンズランド大学が環境分野の研究・教
育に注力しているということを知り、それらの大学での交換留学を志願することに決めました。
クィーンズランド大学(UQ)はオーストラリアの魅力を目一杯詰め込んだ大学です。大学や街の雰囲気
はとても開放的で、ゴールドコーストなどのビーチにも日帰りで行ける距離にあります。人も開放的で、学
生はもちろん教授を含めた職員の方々もフレンドリーで心の距離がとても近いです。僕が初めてサッカーに
参加した時も快く受け入れてくれましたし、教授も親身になって進路相談に乗ってくれました。
UQ のあるブリスベンは一年を通して温暖で、冬も大学のパーカーがあれば十分です。僕は勉強に行き詰
まった時にもこの開放的な環境のおかげで気分を切り替えることができました。
加えて、世界中の人々が混ざりあい、多様な文化に触れられる刺激的な環境であるということも付け足し
ておきたいと思います。ちなみに、僕はイタリア、中国、ナイジェリア、ハイチ、モーリシャスからの留学
生と 6 人で一つ屋根の下楽しく過ごしていました。
留学期間中は何でも自分次第です。分野横断的にどんな授業でもとることができるし、フリータイムには
勉強したって、昼寝したって、ピクニックに行ったっていい。休暇中には友達と旅行にも行ける。お気づき
の方もいるかもしれませんが、実は慶應にいても基本的には同じです。違ったのは、周りにいる人々と環境
と何より自分の心構えでした。僕はひたすら自分の好きなことを勉強して、価値観の異なる友人たちから色々
なことを学びました。環境管理分野で国境を超えて活躍する準備はできているか、ということを「見極める」
ために。10 人いれば 10 通りの留学生活があります。あなたはどうして留学したいのでしょう。明確な目的
がある人も、まだぼんやりしている人も、このチャンスはあなただけのものです。よかったらオーストラリ
アの魅力たっぷりの UQ も検討してみてください。
ナイジェリアとハイチ出身の友達と寮にて
仲の良い友達と
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クィーンズ大学(カナダ)
戸所 健一
経済学部 (派遣時 3 年、現在 4 年)
留学期間
┃
2012 年 9 月∼ 2013 年 5 月
履修科目数 ( 各学期 ) ┃ 秋学期:3 科目 春学期:4 科目
食事会後の寮のロビーにて
帰国後の進路
就職活動中
遡及進級しましたか?
しませんでした。留学後の 5 ∼ 9 月にカナダ、中南米を旅行したかったので夏採用を受けなかったためです。
どのように留学先を
選びましたか?
まず留学先を選ぶ軸として 1、英語圏、2、多様なバックグラウンドと関われる、3、少人数、4、ビジ
ネスの学部が強い、5、アジア人が少ない、これらがありました。
1.大学入学時、全く出来なかった英語を勉強してきたので英語をこのまま伸ばしたいという思いがあ
りました。ただ、今は帰国生も増えてきているので、留学一年では彼らの英語力に追いつくのは難し
いと思います。そのため第二外国語で差をつけるという手も将来的には効果的かもしれません。
2.将来世界で仕事がしたいという漠然な思いがあったので、多様なバックグラウンドと関わる経験が
したいと考えていました。カナダは母国語が 2 個あり、それぞれの民族の特徴を活かしている国です。
クィーンズ大学も多くの留学生を受け入れていました。 3.留学に行った何人かの先輩方からお話を聞く中で、田舎で少人数の大学の方が私には合っていると
考えたからです。このような大学の良い所は週末に現地学生が家に帰らないので友達が出来やすい所
です。クィーンズ大学のあるキングストンは本当に田舎です。
4.より実践的な授業が受けたかったのでビジネスの学部が強い所を選びました。クィーンズ大学のビ
ジネス学部はカナダで一番だと言われています。
5.今は留学といっても留学先で多くのアジア人がいる場合が多いです。もちろん同じアジア人同士仲
良くする事は非常に重要ですが、アジア人が少ない状況というのも体験してみたかったのでそのよう
な場所を選びました。クィーンズ大学は留学生もヨーロッパからの学生が多いです。
以上 5 点からカナダ、クィーンズ大学、ビジネス学部が私にとって最適な選択でした。
学生生活、留学がすべてではありません。他に打ち込めるものがあれば留学はしなくてもいいと思います。
でも本当に考え抜いて、行きたいと思えるようになれば、行った方が後悔も少なく、行ってからも楽しいと
思います。私自身も体育会に入るかとても迷い、結果、留学の道を選んだ事に全く後悔はありません。
留学を希望するのなら、まず英語の苦手な人は英語を勉強して下さい。そして英語をクリアしたら、なぜ留
学したいのか?なぜその国なのか?なぜその大学なのか?なぜその学部なのか?これらを明確にすると志望動
機が明確になるでしょう。もし留学に行ける事になれば最低限の準備をして下さい。
でも、正直日本で準備できるのはここまでです。留学先に行ったら予想と全然違う環境かも知れないし、
思っているほど自分という人間が強くないかも知れません。私は中高大一貫でずっと周りに友達がいた経験
から、イギリス人に話しかけても無視された時はショックでした。でも、自分なりに工夫した事で最終的に
一番仲良くなったのは一人のスコットランド人でした。このように残念ながら軽い差別は存在します。特に
クィーンズ大学は white university と言われるほど白人率が高く、現地の中学校・高校を一緒に過ごしてきた
カナダ人学生が大学に多いので、彼ら全体的にはそれほど友好的ではありません。実際私たち慶應生も、キャ
ンパスで見かける外国人留学生に自分から話しかける事は皆無でしょう。私も本当に仲の良いカナダ人の友人
は 5 人ほどだと思います。しかしこの 5 人と出会えた事はとても大きな財産になると思っているので、みなさ
んも諦めずに色々な人と話して下さい。私は本当に仲の良いと言える友達を少数でもいいから作るのが留学を
楽しむポイントではないかと思います。また、自分の大きな目標、留学終了までの目標、留学前期の目標と長・
中・短期で目標を設定すると頑張れると思います。
私が寮を出る前夜、皆が私の服を着ているパーティーにて
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留学生とキャンピングカーを借りて、カナダのロッキー山脈を周っている所
交換留学
ブリンマー大学(米国)
松口 佳奈枝
経済学部 (派遣時 3 年、現在 4 年)
留学期間
┃
2012 年 8 月∼ 2013 年 5 月
履修科目数 ( 各学期 ) ┃ 秋学期:3 科目、春学期:4 科目
伝統行事 May Day にて友人たちと
帰国後の進路
就職活動中
遡及進級しましたか?
していません。時間をかけて将来について考えたかったからです。
どのように留学先を
リベラルアーツカレッジで読み書きディスカッションの技術を磨きたい、女性のキャリアやリーダー
選びましたか?
シップについて考えたい、といった動機だったので、ブリンマー大学は絶好の留学先でした。
ブリンマー大学は、小規模リベラルアーツカレッジのため、知名度こそ低いですが、津田梅子の留学先で
あったり、ハーバード大学の総長の出身校であったりと、歴史ある名門校です。リベラルアーツかつ女子大
という独特な大学ですが、その分非常に魅力的なポイントがあります。まず、面倒見の良さがあげられます。
学業面でも生活面でも、相談役のスタッフや学生がたくさんおり、気軽に相談することができます。また、
授業はほとんどが 15 人程度の少人数クラスで、教授との個別面接が必須であったりします。次に、小さな
キャンパスで寮生活であるため、すぐに友達ができます。大学独自の伝統行事もあり、結束感の強い大学で
す。最後に、留学の目的を阻害する要因がないことです。日本人が非常に少ない地域で、女子大なので、日
本人とばかり過ごしてしまったり、煩わしい男女問題に巻き込まれる心配がありません。他にも、美しいキャ
ンパスや NY や DC へのアクセスの良さ、私立故の多様で多才な学生との交流など、書ききれないほどの魅
力があります。
留学生活は楽ではありませんでしたが、自身の成長と、もう一つの Home を得ることができました。私は
3 つの目標をたてて留学にのぞみましたが、全て達成できたと思っています。また、友人の家族と NY を観
光したり、親友の家に泊めてもらったり、教授の家族とクリスマスを過ごしたり、Home away from home を
感じる思い出がたくさんありあます。
最近、資金や英語力といった理由で留学を諦める後輩が多くいることを残念に思います。私は帰国生では
ないですが、勉強して TOEFL のスコアを上げました。また、教育ローンを組んだので返済中です。でも、
それ以上の経験をさせていただいたと確信しています。もし少しでも留学に関心があるなら、チャレンジす
ることを勧めます。相談や質問などございましたら Facebook やブログ経由で、いつでもお待ちしております。
伝統行事 Lantern Night にてホールメイト(寮のグループ)たちと
「ホグワーツ」のようと有名な美しいキャンパス
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WHU オットー・バイスハイム経営大学(ドイツ)
三宅 規之
環境情報学部 (派遣時 3 年、現在 4 年)
留学期間
┃
2012 年 8 月∼ 2013 年 4 月
履修科目数 ( 各学期 ) ┃ 各学期 5 教科ずつ
スポーツ大会でバレーボールの試合に参加
帰国後の進路
遡及進級しましたか?
どのように留学先を
選びましたか?
就職活動中
していません。留学生向けのキャリアフォーラムは国内外でありましたが、時間をかけて多くの業界・
会社の中から自分にあった一社を見つけたいと考え、日本で 12 月から就職活動を始めたためです。
将来グローバルに活躍したいと考え留学を決意しました。数ある協定校の中でも①世界各国から多く
の留学生が集まり、②英語で経営の授業を履修でき、③第二外国語として履修していたドイツ語も学
べるという条件が完璧にそろっていた WHU を留学先として選びました。
留学という未知の世界に飛び込むことには勇気がいります。自分は外国で暮らしていけるのか?言語は?
友達は?勉強は?その壁を乗り越えられるかどうかは留学中のその人の努力にかかっています。だからこそ
不安になるのかもしれません。私も、世界を舞台に働くことへのぼんやりとした憧れを胸に、海外で生活で
きるのかという不安を抱いて出発しました。しかし留学を終えた頃には世界で働くことへの憧れは意志に、
海外での生活に対する不安は自信に変わり、大きく成長して帰国することができました。一緒に留学してい
た友達の多くもそうでした。だからみなさんにも勇気を出して一歩踏み出してほしいと思います。
WHU についても紹介します。私の留学していた WHU はドイツにありますが、ドイツ語の能力に関係
なく①世界トップレベルの留学生と一緒に②英語で③経営学を学びたい人にはおすすめします。授業はもち
ろん、留学生・ドイツ人学生との日常会話、書類からメールにまで英語が使われています。実際留学生はド
イツ語ができない人の方が多かったように思います。一方ドイツの学校なのでドイツ語の授業やドイツ人学
生との交流などドイツ語を話す機会はいくらでも作ることができます。留学生が多いためか手続きの際のオ
フィスの方の対応、授業における先生の対応が留学生に対してとても丁寧だったことも印象的でした。また、
ビジネススクールですのでビジネスに関連するイベントや超一流企業による講演なども頻繁に開催されま
す。授業にもゲストスピーカーとして企業の方がよく来られます。こんなにも貴重な経験ができるのはこの
交換留学のプログラムならではだと思うので、是非 WHU での留学を考えてみてください。
留学生お別れパーティ
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寮の部屋(Hoehrer Str.34b single room)
ⅩⅢ. 派遣交換留学生 就職活動記
交換留学
三井物産株式会社
相良 昂志
法学研究科政治学専攻 (派遣時修士 2 年、2014 年 3 月卒業)
2012 年 9 月∼ 2013 年 5 月
留学期間
┃
留学先大学
┃ 香港中文大学(中国)
履修科目数 ( 各学期 ) ┃ 各 5 科目
教授宅でのクリスマスパーティにて激論中
遡及進級しましたか?
していません。修士 2 年からの留学につき、遡及進級は本来より考えていませんでした。
就職活動の開始時期は?
2013 年 5 月
内定はいつ頃もらいましたか?
2013 年 7 月
留学が進路・就職先等に与え
た影響はありますか?
あります。
第一に、特定の目標に対し、対策、実行、実現する経験ができたことです。留学を実現することはもとより、
留学先でも現地学会での発表など特定の目標を持った活動を行いました。決して簡単ではない以上の目
留学はどのように就職
に役立ちましたか?
標を達成した経験は就職活動において評価されたポイントでした。第二に、アイデンティティの醸成に
役立ちました。海外経験は日本では決して意識することがない、「自分が日本人の代表として見られる」
機会であると思います。以上の経験は「自分は日本人としてどう振る舞えば良いのか、何を発言するべ
きか」ということを考える上で重要でした。就職活動及び社会人は「自分は何者か」を問われる機会で
あり、それを考えることができる方法の一つが留学であると思います。
私自身のスケジュールで言えば、不利な点は就職活動において最も求人が多い、1月から4月までの間
留学が就職に不利に働い
たと思ったことはありま
すか?また、それをどの
ように克服しましたか?
に就職活動が不可能なことでした。以上の点に関しては、使える資源を最大限に用いて目標を達成する
より他に方法はないと思います。例えば、留学生を専門とする就職エージェントを利用する、就職に使
えるネットワークを作ること、
(例えば、私は人材会社でアルバイトをした経験から人事部の行動原理を
聞ける立場にいた)などが挙げられます。とはいえ、近年は通年採用を企画している企業も多く、かつ
てほど不利ではありません。また、夏採用も求人は少ないものの倍率は春期と変わりません。故に、重要
なのは時期ではなく、留学で多くのことを学ぶこと、それを論理的に説明できることであると思います。
私は修士の大学院生であるため、学部生の留学経験とは異なるであろうことを踏まえてもらいたく思います。
香港中文大学を選択した理由ですが、私の専門は中国の政治ですので、香港という中国に位置しながら自由
な言論が可能な場所を選ぶのは自然な選択でした。巨大な大学なので、
特徴は様々です。ウェブサイトを確認し、
自己の関心と照らし合わせて自分にとって向いているかを考える事をおすすめします。不満は香港の中心地か
ら遠い点です。遊ぶには不便であることをご承知ください。
留学において大切なことは目標をもつことだと思います。私が留学計画書に書いた目標は①学会発表②現地
のコースでの中国研究③中国語・英語④ネットワークの構築です。例えば④を達成するために修士のコースに
通年で参加し、クラスメートとの交流に努力しました。議論を求められるため、拙い英語では苦しいこともあ
りましたが、結果的に今でも研究の資料を融通し合うなど、実際に使えるネットワークを築きました。また三
田会などを利用し、現地の日本人社会にも入り込み、彼らから社会人としての常識を学びました。
目標を持たないなら、留学する意味はゼロです。他の留学生の中には、ずっと家に引きこもり、日本人とし
か交流しなかった人もいます。お金の無駄ですので、遊ぶことにしか興味がないなら旅行してください。
とはいえ、
遊ぶことも大事です。週末は香港の繁華街にクラスメートと飲みに行きました。生の語学を学ぶチャ
ンスであるし、日本では体験できない遊びがたくさんあります。この機会も無駄にしないことをおすすめします。
香港中文大学の中国政治に関する資料
参加した修士コースのカザフスタンへの研修旅行
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ビーコン コミュニケーションズ株式会社
近藤 まり子
法学部政治学科 (派遣時 2 年、2014 年 3 月卒業)
2011 年 8 月∼ 2012 年 5 月
留学期間
┃
留学先大学
┃ カリフォルニア大学バークレー校(米国)
履修科目数 ( 各学期 ) ┃
3 ∼ 4 科目
毎日同じ授業を受ける友人たちと
遡及進級しましたか?
しました。一年でも早く社会に出たいと思ったからです。
就職活動の開始時期は?
3 年生の 10 月頃です。
内定はいつ頃もらいましたか?
2013 年 1 月∼ 4 月。内定先は 2013 年 3 月下旬です。
留学が進路・就職先等に与え
く働く職種を重視していました。それが自分が一番満足して力を発揮していける進路の決め方だと感
多分にあります。留学先のバークレーで出会った友人達は皆自分の専門分野を持って、会社名ではな
た影響はありますか?
じ、私は職種別で採用してくれる会社を中心に受け、外資系広告代理店の戦略プランナー職として採
用された会社に最終的に決めました。
どの分野の仕事がしたいのかを身をもって知ることができました。1 年生で出願・2 年生で留学した私は、
留学はどのように就職
に役立ちましたか?
まだ学部ゼミにも入っておらず関心が定まっていませんでした。国際政治とメディアとに漠然と興味は
ありましたが、留学中、第二言語で沢山の課題と議論をこなさなければならないという壁によって、本
当に興味のある分野を見つけられました。メディアの授業はどんなに課題があっても楽しめたので、こ
ちらだと確信することができました。
留学が就職に不利に働い
たと思ったことはありま
すか?また、それをどの
ように克服しましたか?
特にありません。
交換留学を選ぶということは、大学生活のうち一年間の過ごし方を決めるということです。そして留学中、
異なる人々や環境の中でもみくちゃにされ、その人の人格は様々な影響を受けると思います。その精錬され
た人格をもって、就職活動とその先のキャリアに臨むことができることこそが大きな財産なのだと思います。
例えば私は、留学先のバークレーで嫌というほど「寛容であること」を学びました。能力でも学歴でも、トッ
プの大学で上を見ればキリがない。また人種も入り混じり、リベラルな校風で、同性愛もヒッピーも受けい
れる大学。そんな中で物怖じすることを忘れ、どんな人に出会っても壁を作らないようになりました。そこ
で柔軟に自分の個性を発揮するという経験をしていたので、就職活動は恐くありませんでした。
面接で話すことに困らない、コミュニケーション能力が向上する、人脈ができる……それらの要素も就職
活動においては重要なことだと思います。しかし、留学を通して得られる大きな財産は人格そのものへの影
響なのではないかと思います。そうした環境に身を置くことができるという意味で、交換留学に行くことを
強くおすすめします。
ただし、それは日本の友人たちや家族、留学先での友人たちや教授、そして派遣して下さる国際センター
に支えられてのことでした。心からの感謝の意を表するとともに、これから留学しようとする後輩のみなさ
んを応援しています。
寮のキャンプ
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メキシコ旅行
交換留学
独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)
井上 尚貴
経済学部 (派遣時 3 年、2014 年 3 月卒業)
2011 年 9 月∼ 2012 年 8 月
留学期間
┃
留学先大学
┃ ロンドン大学ロイヤルホロウェイ(英国)
、後期:8 単位(4 科目)
履修科目数 ( 各学期 ) ┃ 前期:8 単位(4 科目)
東日本大震災祈念のためにロンドンで活動した Candle Night イベント
就職活動のために遡及進級はしませんでした。留学したのが 3 年の時で留学中は勉強等、留学生活に集中したかったこともあり、1 年
遡及進級しましたか?
遅らせてじっくりと就活することにしました。また、経済学部では留学しても 4 年で卒業可能ですが、進級・卒業単位などの面でかな
りタイトになるので 4 年で卒業したい場合は計画的に行う必要があると思います。
(就活をすると授業に出られないことも多くなるため)
就職活動の開始時期は?
他の学生と比べて始動がやや遅かったと思います。留学から帰国後の 10 月末にボストンキャリア
フォーラムに参加しましたが、本格的に就職活動を開始したのは 12 月からです。
内定はいつ頃もらいましたか?
ボストンキャリアフォーラムで 1 つ内々定をいただきましたが、現在の内定先には通常選考後の 4 月中旬にいただきました。
留学が進路・就職先等に与え
非常に大きな影響があったと思います。元々海外で働ける機会のある仕事をしたいと考えていました
た影響はありますか?
が、具体的にどんな職種かを考えるうえで留学中の体験は大きな判断材料となりました。
留学はどのように就職
に役立ちましたか?
留学が就職に不利に働い
たと思ったことはありま
すか?また、それをどの
ように克服しましたか?
自分が実際に海外での生活を体験し、また周りの学生のレベルや考え方を知る過程の中で、より明確にどのような形で自分が日本と海外を
繋げたいかを考えるようになりました。また、様々なバックグラウンドの人たちと交流する中で、働き方には多様な選択肢があることも学
びました。実際に就職活動中には留学先での勉強や留学中に行った活動等を中心に話をし、それなりに評価してもらえたと思っています。
留学での経験は就職活動中にプラスに働くことがほとんどですが、やはり就職活動の時期が周りより一年遅れ
てしまったために情報収集や就活仲間を見つけるのに苦労しました。もちろん、すでに就活を終えている友達
から前年の就活の様子を聞くことはできましたが、やはり内定が決まってしばらく経っているためか、どうも
他人事のような感覚を受けました。毎年状況は少しずつ変わりますし、実際に一緒に就活する仲間が少ないこ
とは各企業のリアルタイムでの選考状況を知ったり、スケジュールを立てたりするなどの面で不安がありまし
た。そのため、できるだけネットや説明会で出会った就活生と話をして情報を集めることに力を入れました。
「世界で戦うのは生半可なものではない」留学を通してそのような考えを抱きました。もちろん、日本でも優秀な学生
はたくさんいます。ただ、世界には「自分のため・家族のため・国のため」に死に物狂いで勉強し、より良い仕事に就き、
自分のビジョンを実現させようと熱心な人たちがたくさんいました。私は、留学先のディスカッションの授業や普段の
会話の中で、そういった人たちの熱意や真摯さに圧倒されてしまったことが数多くありました。そのような環境の中で
自分自身も必死に勉強したのを覚えています。また、現地で活躍されている日本人の方々にも大きな刺激を受けました。
私も世界を舞台に戦いたいのであれば、そのような人材にならなければと強く感じましたが、同時に自分はまだまだ未
熟であるとも感じました。
留学中には日本でできない様々な挑戦をする機会がたくさんあります。目の前の生活や勉強で忙しいこともあります
が、できるだけ多くのことにトライしてみて欲しいと思います。新たな自分の興味を見つけることができるかもしれな
いし、後でその経験が活きてくるかもしれません。私自身、留学を通して学んだことが数多くあります。そのような留
学中の経験や、留学中に感じた想いは、将来自分が何をしたいかを考える上で必ず役に立ちますし、就職活動を行う際
にも大きな指針となります。みなさんには充実した留学生活と悔いのない就職活動を行ってほしいと思います。
所属していた大学のテニス部のメンバーと
休暇を利用して参加したフランスでのボランティア活動
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