危険予知活動の充実

20121120
近年、危険予知活動(KYK)が形骸化し、マンネリ化しているのではと問題提起される事が
多い。例えば、高所作業に対して予測される災害は常に「墜落」であり、対策は常に「安全帯使
用」になってしまうし、運搬作業であれば、「つまづき転倒」であり「足元注意」になってしま
う。はたして本当に災害をイメージしたのか、対策を真剣に検討したのか疑わしい危険予知活動
がまかり通っています。様々な災害の発生原因や作業場所の状況をイメージしなければ、その危
険予知活動はますます形骸化し、マンネリ化してしまうと考えます。 今回改めて、基本に戻り
危険予知活動について考えてみたいと思います。
① 危険予知活動の目的
危険予知活動の目的は、「労働災害の防止」であることは言うまでもないが、現場の安全施工
サイクルで毎日実施されている危険予知活動は、
1)
労働災害の発生原因を先取りし、
2)
現場や作業に潜む危険性または有害性を自主的に発見し、
3)
その除去・低減対策をたて、
4)
一人ひとりが危険に対する感受性や集中力、そして問題解決力を高める
活動であり、作業員の不安全行動による労働災害防止のためには欠かせない活動であり、目的と
している。
② 危険予知活動の効果
危険予知活動を毎日繰り返し実施することで次のような効果が期待できる。
1)
作業員の安全に対する参画意識が、芽生える。
2)
危険に対する感受性や集中力が高まる。
3)
問題解決力が向上する。
4)
安全対策を自分で決定し、自分で実施することから責任感が強くなり、良好な安全管
理が出来る。
③ 現地で危険予知活動を行っていますか?
作業の行なわれる場所で危険予知を行うことのメリットは、作業と災害を具体的にイメージし
やすいことにあります。離れた場所で危険予知を行った場合は、必要なイメージがつかみにくい
ものです。3現主義「現場で」「現物を」「現実に」足を運び確認することが大切です。
特に1人KYでは確実に実行させて下さい。(一般に行われているグループでの危険予知活動も
3現主義の取り込みを考えていきましょう。)
④ 危険予知活動を1日1回で終わらせていませんか?
その日の作業内容や作業場所が変わったり、作業そのものが1つでない時など、危険予知活動
はその都度行う必要があります。にもかかわらず、1日1回の危険予知で終わらせている現状が
あります。それで安全といえるのでしょうか?
20121120
⑤ 危険予知活動とは
ヒューマンエラー事故防止のために
人間はエラーする (人間の行動特性)
人間は欠陥だらけ
錯誤・錯覚・不注意・省略・近道 ⇒ 誤操作・誤判断・誤作業
見間違い/聞き間違い/言い間違い/思い違い/覚え間違い/やり間違い
KY(危険予知)活動とは 人間の行動特性に基づくヒューマンエラー事故防止に焦点を当てた実践活動
知識もある。 技能もある。 当然、対策を知っているし、できるはず。
① 危険を危険と気付かず、やらなかった。
② ついウッカリして、ボンヤリしていて、やらなかった。
③ はじめから「やる気がない」のでやらなかった。
⇒
⇒
⇒
感受性を高める
集中力を高める
実践への意欲を高める
KYT 〔危険予知トレーニング〕 が目指すもの
危険を危険として気付く感受性をミーテイングで鋭くし、危険に対する情報を共有し、解決する。
問題解決能力を向上させる
指差呼称で集中力を高める
KYシートを使ったKYTの進め方
1
K Y T 4 ラウンド法 では
要 領
手 順
危険予知訓練の趣旨、目的及 ● わかりやすく簡単に説明する
びその進め方を説明する
● しゃべりやすい雰囲気にする
危険予知シートを全員に配り、
2
作業の状況を簡単に説明する
●
現状把握
リーダーはシートの状況を読み上げる
質問は、シートの状況文と図
から判断できる範囲に限る(不
明な点は各自考えてもらう)
1
書記を1名選び、出た意見を黒
適任者がいない場合は、現場 R
3 板あるいは用紙に記入しても ●
係員が行っても良い
らう
「どんな危険が
ありますか?」
について、ブレーンストーミン
グ方式で討議を進める
4
●
ブレーンストーミング方式の進
め方を説明する出た意見は、
そのまま書記に書かせる
時、バランスを崩して落ちる
書記は発言の通り記入する
(出た意見については、その場で
可否を討議しないこと)
本質追求
① 問題と思われる項目 → ○印
○印項目 → 2項目程度に しぼり込み ② ⇒ ◎印・アンダーライン
参加者全員から意見が出るよ R ③ 危険のポイント → 指差唱和
リーダー:「危険のポイント ∼なので∼になる ヨシ!」
● うにリードする
●
行動面の危険に対する意見
が出るようにリードする
“危険要因”と引き起こされる“現象(事故の
型)”について参加者が発言する
「∼なので、∼になる」
「∼して、∼になる」
「∼なので、∼して、∼になる」
必ず事故の型で言い切る
例: ∼から身を乗り出して○○を取り付ける
2
→ 全員 「 ∼なので ∼になる ヨシ!」
出された危険について
● 行動面の対策を重点にあげる 3
「あなたなら、どうしますか?」
5
● 出た対策も書記に書かせる
を討議する
R
対策樹立
危険のポイントに対する具体的で実行可能
な対策
→ 各 3項目程度
まとめ
6
●
討議結果をまとめ、再確認す
る
目標設定
① 1∼2項目程度にしぼり込み
→ ※・アンダーライン=重点実施項目
重点実施項目
→ チーム行動目標設定
②
R
チーム行動目標
→ 指差唱和
③
4
リーダー:「 ∼して ∼しよう ヨシ!」
→ 全員 「 ∼して ∼しよう ヨシ!」
指差呼称項目設定 ⇒ ○○ ヨシ!!
(それを確認することで安全が確認できる項目)
20121120
⑥ 具体例
右図のような作業をすると想定し、KYの実施例
を4ラウンド法で作って見ました。
クレーンで単管と桟木を同時に荷上げしています。
実際のKYとは違いますが、ポイントは、
① 出来るだけ具体的に
② 全員の意見を聞いて
③ どんな些細な事でもあげてみて
④ 出来る対策を立てる
● 指差呼称悪い例
手元ヨシ⇒当たり前 足元ヨシ⇒当たり前
手足元ヨシ⇒ 〃 周囲確認ヨシ⇒周囲の何を
安全帯使用ヨシ⇒どんな場合
玉掛けヨシ⇒確認ポイントを具体的に
危険のポイント
重 可 危
大 能 険
性 性 度
玉掛けする時、玉掛ワイヤーが切れ
て、吊荷が作業員の上に落ちる
5 3
Ⅳ
行
動
目
標
誰
が
私達はこうする
①玉掛けワイヤーの吊角度は、60度以内と
する
②玉掛けワイヤーの作業開始前点検を実施
し、決められた色のテーピングをする
玉
掛
者
玉
掛
者
・
職
長
①介錯ロープを使用し、吊荷から3m以上
荷揚げしている時、上空で吊荷が足
場に触れ、荷崩れし、作業員の上に
落ちる
荷揚げしている時、作業員が吊荷に
気を取られ、足元のバタ角につまづ
き転倒する
指差呼称項目
◎ 離れる
5 4
3 4
Ⅴ
Ⅲ
②吊荷を結束し、荷崩れしないようにする
③異なる材料を一緒に吊らない
④作業指揮者を配置し、作業状況を監視する
合
図
者
・
職
長
①地切終了後は、吊荷から3m以上離れ合
図する
②作業指揮者を配置し、作業状況を監視す
る
介錯ロープを使用し、吊荷から3m以上離れる ヨシ!
● 「重大性」「可能性」の見積もり基準
受傷程度の重篤性
重大性の判断基準
ポイント
災害発生の可能性(頻度)
可能性の判断基準
ポイント
極めて重大
死亡及び障害を伴う災害
5
確実である
危険有害要因に継続的に接する
5
重症
長期入院、長期休業災害
4
可能性が高い
危険有害要因に(1回/1日以上)接する
4
中症
入院する必要の休業災害
3
可能性がある
危険有害要因に(1回/1日∼2日)接する
3
軽症
治療は通院でよい災害
2
可能性が低い
危険有害要因に(1回/2日∼3日以下)接する
2
軽微
治療を必要としない災害
1
極めて可能性が低い 注意していれば災害にならない
1
● 「評価」の判定基準
危険性・有害性の評価
危険度 除去・低減対策の検討基準
25・20 使用停止
Ⅴ
〈最優先〉直ちに作業を中止し改善する
16・15 使用停止
Ⅳ
〈最優先〉直ちに作業を中止し改善する
12∼5 使用停止
Ⅲ
〈優先〉直ちに作業を中止し改善する
4・3 是正勧告
Ⅱ
〈優先〉優先的に改善する
2・1 指導
Ⅰ
残留リスクに応じて対処する
*
H19.10本社安全資料の
改訂
文責:中尾