人生の転機 市職員としての生き方を学んだ8日間(ポートランドでの国外

人生の転機 市職員としての生き方を学んだ8日間(ポートランドでの国外調査)
兵庫県神戸市
黒子 裕司
◆はじめに
週末学校へ申し込んだ動機。それは、自分自身が居住地とは違うまちに勤めているが、
そのまちを心底愛したい、地域住民の幸せを考えながら仕事をしたい、給料をもらい淡々
と仕事をこなすサラリーマン公務員になりたくないとの想いからだった。
そして週末学校で、毎回学ぶことは新鮮で衝撃的だった。ただ、学んでいることは至極
“当たり前”のことなのかもしれない。公務員としてうまく仕事を回していく中で忘れて
しまった、あえて忘れていた “当たり前”を再発見しつつある。
◆砂上の楼閣
8 月末のポートランドの国外調査の前、
「私の政策
提言」を考えていた。何となくのイメージはあるが、
漠然としたもので、フワフワしたものだった。砂上
の楼閣というべきか、言葉はきれいかもしれないが、
魂のこもったものではなかった。色々と突っ込まれ
ると、もろく崩れ去るものだった。そんな「私の政
策提言」を胸にポートランドへ旅立った。
ポートランドでの国外調査の私の目的は 2 つ、 ①住民自治が進んでいるのはなぜか、
②その理由に行政の仕組みに答えがあるのか否か、を明らかにすることだ。
◆ポートランドの住民自治(市民活動)
ポートランドに到着して 2 日目、グループごとに市内探索を実施。私たちは自転車で市
内3か所を回り、7組12人にインタビューをし
た。①行政に満足しているか、不満があるか、②
地域活動に参加しているかどうか、③参加し始め
たきっかけなどを聞いた。インタビューした人は
皆、真摯に丁寧に答えてくれ、市民活動や行政に
対する意識の高さを感じ取ることができた。そし
て、それぞれが病気や子育てなどをきっかけに自分でできる範囲で地域活動を始めていた
のだ。また行政への思いは、行政が一方的に決めつけたことには不満があり、市民の声を
良く聞いてくれると感じている点は満足であるとのことだった。
私のグループは、意識の高い人と多く出会ったが、他のグループは市民活動に無関心な
人も多かったとの意見もあった。住民自治が進んでいると言われるポートランドでも、全
員の意識が高いわけではない。ごく当然のことではあるが、理想郷を思い描いていた私は
少し残念に思った。
また、ポートランドでの研修期間中は市民活動家として活躍している多くの方と出会う
機会があり、色々と会話をさせていただいた。共通しているのは、①情熱がある、②多く
のパートナーがいる、③幅広い問題意識を持っている、④失敗してもあきらめない、⑤行
政職員とは信頼関係を結ぶことを望んでいる、ことだった。皆何らかのきっかけがあり、
その問題に取り組み、失敗してもあきらめずにやり
続けることで、多くの人と出会い、より深く・幅広
い活動へつながっていく、市民活動家へとスパイラ
ルを繰り返すことを学んだ。
ただ、ポートランドの市民や市民活動家の意識の
高さは素晴らしいと思う反面、神戸市民でも同様の
活動をしている人は、たくさんいるため、違いはあ
まりないのではないかとも感じた。
◆ポートランドの住民自治(行政の仕組み)
ポートランドの人口は約58万人。基礎自治体の規模としては大きく、住民と行政との
距離が遠いのではないかと仮説を立てた。ただ、市民や市民活動家へのインタビューを聞
く限り、行政とのアクセス、行政職員への信頼もあり、距離の問題ではないと感じた。特
に、行政職員が一方的な説明ではなく、目的を持って市民の声を聞き、その声を活かして
課題解決をしていく場合の満足が高いと感じた。職員一人ひとりが市民と対話を繰り返し、
信頼関係を構築していくことが、住民自治につながっているのではと思う。
また、行政職員から政策について説明を受ける機会が多くあった。どの職員も政策の立
案段階で市民の意見を聞き、アイデアを生かすことを意識していた。ただ、仕組みとして
自分の自治体に比べて特段優れているという点は感じられなかった。やはり住民自治を推
進する魔法の仕組みはないようだ。
◆まちを知る、現場を体験する
今回のポートランドの国外調査では、デジタル
カメラを片手に200枚程度の写真を撮影した。
普段なら絶対に取らない街の風景を撮り、後で見
ると街に対する思い出・愛着が湧いてきた。自転
車や徒歩で街を回ったり、市民インタビューをし
たり、色々な料理を食すことで、たった8日間だ
ったがポートランド堪能することができた。翻っ
て、自分が勤めている街・神戸をどれだけ意識的に味わったことがあったのかと考えた。
通勤の往復だけで魅力を発見していなかったことに気付いた。まずはカメラを片手に色々
なものを撮ることから始めたいと思う。そして、市民との会話を楽しむ、そんな市職員で
ありたいと誓ったのだった。
◆市民とともに成長する職員リーダー
今回の国外調査で学んだこと。それは自分が市民とともに成長する職員リーダーとなる
決意。行政として市民の声を聞き、仕事をしていくことは正直大変なことも多い。悩み・
苦労が付きまとう。個人的な信頼関係を構築していくこともしかりだ。そこをあえて、一
歩踏み出し、色々な困難にもくじけず、やり続ける覚悟を得た。そして、全国の同じ想い
を持つ自治体職員という仲間も得た。また、その想いを応援してくれるサポーターも得た。
今までとは違う市職員としての生き方を学んだ8日間だった。
さぁ色々な市民と会話を楽しんで行こう♪
今回の国外調査に関わって頂いた全員にありがとうと伝えたい。
Thank you
very
much!