微分積分学および演習Ⅱ 演習問題

微分積分学および演習Ⅱ 演習問題 9
2014 年度後期
工学部・未来科学部 1 年
担当: 原 隆 (未来科学部数学系列・助教)
※ 本演習問題は、講義の時間中の問題演習用に使います。
問題 9-1. (重積分の応用: 図形の体積)
xyz 空間内の立体について以下の設問に答えなさい。但し a > b > 0 とする。
(1) 円柱 x2 + y 2 ≤ a2 と平面 z = 0, z = x で囲まれる部分の体積を求めなさい。
(2) 楕円放物面 z = −4x2 − y 2 + 4 と xy 平面で囲まれた部分の体積を求めなさい。
(3) 回転放物面 z = x2 + y 2 と 平面 z = 2x に囲まれた部分の体積を求めなさい。
(4) 二つの円柱 x2 + y 2 ≤ a2 , x2 + z 2 ≤ a2 の共通部分の体積を求めなさい。 (cf. [石原・浅野]
p. 198 例題 2)
(5) 球体 x2 + y 2 + z 2 ≤ a2 と円柱 x2 + y 2 ≤ b2 の共通部分の体積を求めなさい。
(6)∗ 球体 x2 + y 2 + z 2 ≤ a2 と円柱 x2 + y 2 ≤ ax の共通部分の体積を求めなさい。
問題 9-2. (平面図形の重心とパップス-ギュルダンの定理)
xy 平面の有界閉領域 D に対して、
∫
∫
x dxdy
x dxdy
D
xG = ∫D
,
=
(D の面積)
1 dxdy
∫
∫
y dxdy
yG = ∫D
1 dxdy
D
y dxdy
=
D
(D の面積)
D
で定まる点 (xG , yG ) を、D の 重心 barycentre と呼ぶ。このとき、以下の設問に答えなさい。
(
)
a b
(1) 3 点 (−1, 0), (1, 0), (a, b) を頂点とする三角形の重心が
,
となることを示しなさい。
3 (3
)
x1 + x2 + x3 y1 + y2 + y3
∗
(2) 3 点 (x1 , y1 ), (x2 , y2 ), (x3 , y3 ) を頂点とする三角形の重心が
,
と
3
3
なることを証明しなさい。
(3) xz 平面内にある z 軸と交わらない有界閉領域 D に対し、その重心の x 座標を x0 とする。こ
のとき、D を z 軸の回りに回転して得られる回転体の体積 V が V = 2πx0 × (D の面積) で
与えられることを証明しなさい (この主張を パップス-ギュルダンの定理 Pappus-Guldinus
theorem と言う)。
(4) 以下の回転体の体積を求めなさい。但し、z 軸と平行な対称軸を持つ図形の重心の x 座標は、
その 対称軸の x 座標と等しいこと は断りなく用いても良いものとする。
i) 3 点 (4, −1), (4, 1), (1, 0) を頂点とする三角形を z 軸の回りに回転させて得られる回転体
ii) a > b とするとき、円 (x − a)2 + y 2 = b2 を z 軸の回りに回転させて得られる回転体 (回
転トーラス)
iii) 放物線 z = −2(x − 4)2 + 8 と z = (x − 4)2 − 4 で囲まれる領域を z 軸の回りに回転させ
て得られる回転体
1
問題 9-3. (曲面の表面積)∗
曲面の表面積について、以下の設問に答えなさい。但し a > b > 0 とする。
(1) 球面 x2 + y 2 + z 2 = a2 の表面積を求めなさい。
(2) 双曲放物面 z = xy が円柱 x2 + y 2 ≤ a2 によって切り取られる部分の表面積を求めなさい。
(3) 円柱面 x2 + z 2 = a2 が円柱 x2 + y 2 ≤ a2 によって切り取られる部分の表面積を求めなさい
(cf. [石原・浅野] p. 200 例題 3)。
(4) 球面 x2 + y 2 + z 2 = a2 が円柱 x2 + y 2 ≤ b2 によって切り取られる部分の表面積を求めな
さい。
(5) 球面 x2 + y 2 + z 2 = 4 の回転放物面 x2 + y 2 = 2z + 1 より上の部分の表面積を求めなさい。
(6)∗ 球面 x2 + y 2 + z 2 = a2 が円柱面 x2 + y 2 ≤ ax によって切り取られる部分の表面積を求めな
さい*1 。
(7)∗ 円柱面 x2 + y 2 ≤ ax が球面 x2 + y 2 + z 2 = a2 によって切り取られる部分の表面積を求めな
さい。
[ヒント集]
問題 9-1.
先ずは底面 (積分領域) と高さ (被積分関数) をしっかりと設定すること。
(3) 積分領域は回転放物面と平面の交線を xy 平面に正射影したもので囲まれる領域。この領域の
境界の式が知りたければ、二つの式を連立して文字 z を消去すればよい。
(6) 積分の際には 通常の 極座標変換 x = r cos θ, y = r sin θ を用いる。その際、(r, θ) の取り得
る範囲に注意すること (特に 偏角が θ のときに r がどの範囲を動くか を良く観察しよう)。
問題 9-3.
(5) 交線が円になることは図を想像すれば納得出来る筈。球面の式も回転放物面の式も x2 + y 2 を
含むのだから、先ずはこれを消去して 交線の z 座標 を先に求めると解き易いと思います。
(6) 問題 9-1. (6) と全く同様の極座標変換を用いて積分して下さい。
(7) この問題は xz 平面での重積分として立式するのが吉 (つまり被積分関数は y = (x, z の関数)
の形となる)。交線の xz 平面への正射影の式は、問題 9-1. (3) と同様に式を連立させて y を
消去することによって求めよう。
ぱっと見た感じだと、積分領域は { (x, z) | x ≥ 0, x2 + z 2 ≤ a2 } の様に錯覚させられるが、
そうはならない ので注意しよう!!!
*1
ついでに、半球面 x2 + y 2 + z 2 = a2 , z ≥ 0 から二つの円柱 x2 + y 2 ≤ ax と x2 + y 2 ≤ −ax を刳り抜いて出来
きゅうめん
る曲面 (ヴィヴィアーニ の 穹面 Viviani’s solid と呼ばれています) の表面積も求めてみよう。
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