2012 年度後期 2014 年度後期(5 セメスター実施) アート生成現場での実習体験を重視するパリ芸術高等学院(IESA)との ゼミ間国際交流プログラム ―学部間交流、大学間交換留学制度の構築をめざして 教育インキュベートプログラム 応 募 用 紙 申込日 2013 年度/種別 2013 海外語学研修(研修先) 前期 8 月 年度 IESA 交換留学(Paris) 前期 6/29-7/20 年 5 月 7 日 所属ゼミ 担当教員署名 在学番号 15AR003 生 氏 名 伊津野 栞 ローマ字 (姓) パスポート表記 IZUNO 大学院研究科 学部学科 研究テーマ (西暦年月日) 年 (名) SHIORI 研究科 国際文化 学 部 専攻 国際文化 学科 課程 表象文化 コース 年次 3年次 黒人映画にお ける黒人文化の表 象 とその変 化 ∼ネグリチュードとクレオールの視点から∼ (仮) 外国語(会話) (語学力スコア等) 現住所 電話番号 (携帯) EMAIL アドレス (パソコン) EMAIL アドレス (携帯) 滞欧中の連絡先 (帰省先住所) *書式の枠がこの頁を超えないように記入する。 1 教育インキュベートプログラム IESA における研究&交流計画書 研究&交流 テーマ フランスにおけるブラックカルチャーの現状 ∼ネグリチュードが生まれた原点に迫る∼ 研究&交流計画 (研究&交流の目的・意義)今回の語学研修では、文化面に関して、フランスの人々の黒人文化(ブラックカルチャー)に対する意 識を知ることと、現地のブラックカルチャーの性質や現状を調べ、考察を深めることを目的としている。1930 年代前半に、「ネグリチ ュード(黒人性)」という黒人文化運動を牽引したエメ・セゼールは、フランスの植民地下にあったマルティニーク島(北アフリカ)出身 の黒人である。この運動は、1950年代のアメリカの公民権運動や南アフリカの反アパルトヘイト闘争など、20 世紀の黒人解放運動 に多大な思想的影響をあたえた。ネグリチュードは「黒人であることを肯定し、それを誇りにする」ことを意味し、前述の運動の総称 以外に、黒人の自覚を促す標語や、黒人文化の価値を積極的に認めようとする思想を示す言葉としても使われている。私が知りたいの は、なぜフランスと同じ多民族・移民国家であり、さらに世界経済の中心でもあったアメリカより先に、フランスでこのような運動が 起きたのだろうか、という点である。それを知るためには、フランスにおける黒人文化が、他文化といかに同化・統合・融合している のかを実際に調べ、その特質を考察する必要があるだろう。また、映画を通した視点からも黒人文化を考察したいと考え、1,2 年次は アメリカの黒人映画について研究してきた。今後はフランスの黒人映画についても研究し、その上でアメリカとフランスにおけるブラ ックカルチャーの地域的問題を考察していきたい。そのためにも、内容をフランス語でより理解できるよう、在学中にフランス語検定 準 2 級をとるつもりである。以上の点から、現地で本場のフランス語に触れ、フランス文化を学ぶことは、非常に意義があると考えて いる。 (研究&交流の具体的方法)フランスは地理的にヨーロッパの中心にあたることから、元々多くの移民が流れこむ移民国家であった。 特に、18 世紀から 20 世紀にかけては多くの植民地(主に北アフリカ)を所有し、大量の黒人の移民を受け入れている。彼らが持ち込ん だ文化は、フランス本来の文化や他の移民たちの文化との同化・融合・統合を繰り返し、新たな文化を作り上げてきた。アメリカでも 植民地時代には同様の流れがあったのであるが、その同化の仕方、黒人文化のありかたに「違い」があったため、アメリカより先に黒 人思想が生まれたのではないか、と考えている。黒人文化の現状と、それに対して現地の人々はどう意識しているかを調べることで、 その差異を求められるのではないだろうか。そのために、語学面もしっかり学習する必要がある。①研修前:6 月にフランス語検定 3 級を受験するので、積極的に勉強し、研修時には 3 級取得状態にする。現地のクラス分けでは上位クラスに入れるよう準備をしておく。 ②1 週目:授業には積極的に参加する。現地の大学生、特に旧植民地出身(できればセゼールと同じマルティニーク出身だと好ましい) の人々に、黒人文化や黒人性についての調査、アンケートをフランス語で行う。③2 週目:現地でのプログラムに積極的に参加し、フ ランス文化に触れる。黒人文化のみに焦点を当てるのではなく、他文化の中で黒人文化がいかに同化しているのか、現在の黒人文化が 現地の人々にとってどういう役割を果たしているのか、どういう意味があるのかについて調査、考察を行う。また、現地の大学生だけ でなく、町の人々の黒人文化に対する意識調査も行う。④3 週目:研修プログラムのリヨン観光とは別に、個人でリヨンまで足をのば す。映画の都リヨンでの黒人映画の地位、または役割を調査するためである。特に、アメリカでは映画に黒人を一定数以上登場させな くてはならないという規則があるが、フランスではどうなのか、という点について調査する。また、1,2 週目に行った調査をもとに考 察をまとめ、現地の大学生と議論を行いたいと考えている。白人と黒人の対立というのは今でも多少残っているものであるが、だから こそ、白人でも黒人でもない「日本人」という第三者の立場を利用して、白人と黒人両者からの考えを聞きたい。 「白人からみた黒人文 化」と、 「黒人からみた黒人文化」を比較することで、フランスにおける黒人文化の現状、そしてそのありかたを知ることができるはず だ。④研修後:研修での調査を元に、フランスにおける黒人文化の現状やありかたについての考察を行う。また、フランス映画を積極 的に鑑賞し、黒人文化の現地での現状と映画での描かれ方の違いについても考察し、卒論テーマについての考察を深める。 期待される成果 黒人文化に興味があることと、 「映画はその時代の社会的・政治的背景が顕著に反映される芸術」という考えから、1,2 年次では黒人映 画を研究することで彼らが抱えてきた人種的問題を考察してきた。その上で、エメ・セゼールのネグリチュード、つまり「黒人性」は 重要な思想であると考えている。ネグリチュードは、現在の黒人のアイデンティティの原点だと私は思うからだ。黒人は、奴隷制、そ して現在に至るまでの黒人差別という強烈な歴史を持っている。彼らの文化は常に他の文化と同化・融合・統合を繰り返し、特に植民 地時代には、労働力として植民地に移住させられたことによって自分たちの文化を知らないまま育つ者が生まれた。彼らはクレオール と呼ばれ、やがてクレオールという言葉は植民地の生活世界そのものを指すようになる。つまり、クレオールというのは本来の自分た ちの文化が他の文化によって支配された状況下で生まれた、新しい社会だと考えている。エメ・セゼールの生まれ育ったマルティニー ク島も、フランスの植民地であった。他の文化に支配される自分の文化をみて、セゼールは何を感じたのだろう。そこにネグリチュー ドが生まれた原点があるのではないだろうか。ネグリチュードの原点に迫ることで、わたしの卒論テーマの考察をさらに深めることが できるだろう。語学面に関しては、在学中にフランス語検定準 2 級を取るための一歩にもなる。また、日本のような単一文化社会と、 フランスのような異文化の入り混じった社会とでは、他の文化に対する意識がそもそも違うのではないか、そのことが研究をすすめて いく上で妨げになるのではないか、という懸念がある。その点に関しても、今回の研修でその差異を感じ取ることができれば、異文化 の映画を研究していくうえでは大きな手助けになるはずだ。 *書式の枠がこの頁を超えないように記入する。 2
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