第5章 対流熱伝達の基礎

第5章 対流熱伝達の基礎










伝熱工学の基礎: 伝熱の基本要素、フーリエの法則、ニュートンの冷却則
1次元定常熱伝導: 熱伝導率、熱通過率、熱伝導方程式
2次元定常熱伝導: ラプラスの方程式、数値解析の基礎
非定常熱伝導: 非定常熱伝導方程式、ラプラス変換、フーリエ数とビオ数
対流熱伝達の基礎: 熱伝達率、速度境界層と温度境界層、層流境界層と
乱流境界層、境界層厚さ、混合平均温度
強制対流熱伝達: 管内乱流熱伝達、円柱および球の熱伝達、管群熱伝達
自然対流熱伝達: 垂直平板自然対流熱伝達、密閉層内自然対流、共存対
流熱伝達
輻射伝熱: ステファン-ボルツマンの法則、黒体と灰色体、輻射率、形態係数
凝縮熱伝達: 鉛直平板膜状凝縮、凝縮数、水平円管膜状凝縮、滴状凝縮
沸騰熱伝達: 沸騰曲線、気泡力学、沸騰熱伝達率
第5章 対流熱伝達
ニュートンの冷却則
(Newton’s law of cooling)
実験的な事実: (熱移動量)∝(温度差)
Q A  Tw  T 
比例定数を h とすると、
Q
 hTw  T 
A
ここで、h W
m2  K

ニュートンの冷却則
(Newton’s law of cooling)
は、熱伝達率 と呼ばれる。
h →大: 流体と物体間の熱移動能力→大
熱伝達率
熱伝達率は物性値ではない!
流速、圧力、表面形状によって変化する
対流熱伝達
高温発熱体表面を流れる空気の流速によって熱移動が異なる!
なぜ?
温度境界層
ニュートンの冷却則と熱伝達率
熱伝達→熱伝達率の予測
熱移動量(Newton’s Law of Cooling):
Q  hAT  Tw 
予測
(1) 流れ場の予測
→運動の法則、速度境界層
(2) 流れの場の中で成り立つエネルギー収支
→温度場
(3) 加熱面と流体間の熱伝達率の予測
粘性流
ニュートンの粘性則
(せん断応力) 
F
V

A y
比例定数: 
F
V

A
y
V
  
y
平板に沿う速度境界層の変化

:速度境界層
u   0.99  u
平板の場合
u x
5
層流境界層から乱流境界層への遷移:   5  10
5
6
( 10 ~ 2  10 :表面粗さに依存)
レイノルズ数
慣性力:
粘性力:
u
u
u ~ u 
l
x
u
   u 
 
 ~  2
~
y y  y 

レイノルズ数=慣性力/粘性力
=
u
u
l  u l
u


2
平板に沿う層流境界層
流体要素に対する運動方程式
質点に対するニュートンの第2法則: F=ma
↓
流体要素に対する運動方程式:
(力)=(ある検査体積を通過する質量流量)×(速度)
(仮定)
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
流体は非圧縮性
定常
y 方向に圧力変化なし
粘性係数一定
y 方向の粘性せん断応力を無視
(x 方向の運動量変化)+(y 方向の流動による x 方向の運動量変化)
=(検査体積に働く力)+(粘性せん断応力の和)
流体要素
流体要素に働く力
(x 方向の運動量変化)
=(右側面から流出した運動量)—(左側面から流入した運動量)
2
u 

  dy  1   u 
dx      dy  1  u   u
x 

(y 方向の流動による x 方向の運動量変化)
=(上面から流出した運動量)—(下面から流入した運動量)

v 
u 
  dx  1   v  dy  u 
dy      dx  1  v   u
y

y

(圧力の和)
P 

P  dy  1   P 
dx  dy

x



P
dxdy
x
(粘性せん断応力による正味の力)
=(上面に働くせん断応力)—(下面に働くせん断応力)
 u
 u   u  
u


 dxdy



      dy   dx  1  
 dx  1
2
y
y
 y y  y  
2
層流境界層に対する運動方程式
せん断応力と圧力による力の和を検査体積に流入する
X方向の運動量の和と等しいとおくと、
2
 
  

u 
v 
u 
2
   u  dx  dy  u dy      v  dy  u  dy  dx  uvdx 
x 
y 
y 
 
  

P
 2u
dxdy   2 dxdy

x
y
2
 2
u
 u  
2
左辺 =  u  2u x dx   x dx   dy  u dy


 

u
v
v v
2
  uv  v dy  u dy   dy   dx  uvdx
y
y
y y


よって
 u v 
 2u
P
u
u
 2
u  v  u     
y
x
y
x
 x y 
質量保存則
質量の保存則より
x 方向で考えると (流入した質量)—(流出する質量)=0
u
dxdy  0
x
x, y 方向の質量の保存を考えると、
u v

0
x y
(連続の式)
物性値一定のもとでの層流境界層に対する運動方程式
u
u
P
 2u
u  v     2
x
y
x
y
von Karman による層流境界層方程式の近似解法
(仮定)
(1) y 方向成分(流れに垂直)は無視
(2) 検査体積は常に速度境界層を含むように設定
検査体積から流出する運動量
面1を通して流入する質量 :
H
0
面1を通して流入する運動量:
udy
H
0
u  udy
面2を通して流出する質量、運動量:
H
0
u 

  u  dx  dy
x 

H
0
u dy  dxd  u dydx
A – A 面を通過する質量:
A – A 面を通過する運動量:
2
H
0

2
d H
0 udy dx
dx
d

  0H udy dx   u
 dx

結局、検査体積から流出する運動量は:
d H 2
d H
0 udy dx    d 0H u  u  udy dx  u 0H udy dx
0 u dy dx  u
dx
dx
x

 dx


境界層運動量積分方程式
P 
P




dx

H


Hdx
P
H
P


圧力によって働く力:
x 
x

u


dx


dx
粘性によって働く力:
w
y
(検査体積内の運動量の増分) = (検査体積に働く力の和)


u H
P
 d H








udy
dx


Hdx   w dx
u
u
udy
dx





0
0
x
x
 dx

1 2
ベルヌーイの式より P  u = 一定 であるから
2
u
P
u
P
 u   0
  u 
x
x
x
x
 H
u
 0 u  u   udy   
x
y
y 0
平板に沿う速度境界層
“境界層内の運動量積分方程式”
d 
u
  u  u   udy  
dx 0
y
y0
左辺:速度がu∞からu(y)に減速されることに要する力
右辺:壁での粘性によるせん断応力
境界層内速度分布
異なる位置yにおいて速度分布u(y)は相似であると仮定する
u y   C 1  C 2 y  C 3 y 2  C 4 y 3
速度分布が満足すべき境界条件は
y  0 : u(0)=0
: u(δ)=u∞
y
u :
y
0
y
y0
 2u
:2  0
y
以上より、速度境界層内の速度分布は
u y  3  y 
  
u
2 
1 y
 
2 
3
境界層積分方程式の解
以上より
 3  y  1  y  3 

u 
  u 1       
u  u  u  1 
u 
 2    2    

また
 u  u 
u

y
y
y0
y0
 3 1 3 y2 
3 u
  u      


3
2

2

2 


従って、境界層運動量積分方程式は
d 
u
  u  u   udy  
dx 0
y
y0
3
3



 
d
3
y
1
y
3
y
1
y
3 u











2



1
dy

u













0
dx 
2    2      2    2    
2 
d 140 



dx 13 u
速度境界層厚さ

x
0
140 
  d 

13 u
 x 
ここで

x


x
0
dx
280
x

13
u 
u  x
Re x 

4.64
Re x
とおくと速度境界層厚さは、
ニュートンの冷却則と熱伝達率
熱伝達→熱伝達率の予測
熱移動量(Newton’s Law of Cooling):
Q  hAT  Tw 
予測
(1) 流れ場の予測
→運動の法則、速度境界層
(2) 流れの場の中で成り立つエネルギー収支
→温度場
(3) 加熱面と流体間の熱伝達率の予測
エネルギー方程式の導出
エネルギー保存則
左面より流入するエネルギー  下面より流入するエネルギー
 下面より熱伝導によって運ばれるエネルギー  粘性力による仕事 
 右面より流出するエネルギー  上面より流出するエネルギー
 上面より熱伝導によって運ばれるエネルギー
2
 u 
T
dx     dxdy
c p Tudy  c p Tvdx  k
y
 y 

T 
u 
T  
v 

 c p  T 
dx  u 
dx  dy  c p  T 
dy  v 
dy  dx
x
x
y
y










 T  2T 
dy  dx
 k 

2

 y y
  u v   T

 u 
T 
 2T
 dxdy  k
   dxdy  c p T      u
v
dxdy

2





y
x
y
x
y

y
 
 

 

2
エネルギー方程式
連続の式より
だから
u v

0
x y
 u 
T
 2T
T
c p u
 c p v
 k 2    
x
y
y
 y 
2
いま、温度伝導率(Thermal Diffusivity)を
k

c p
と定義すると、
T
T
 T

v


x
y
 y 2 c p
2
u
T
T
 2T
u
v

x
y
y 2
 u 
 
 y 
2
壁面近傍での温度分布
0.99T∞
熱伝達率の導出
壁面近傍での速流体速度=0であるから、壁面から
流体への熱移動は熱伝導のみによって伝えられる。
q    k
T
y
y0
一方、ニュートンの冷却則により、
q   hTw  T  だから
hTw  T    k
h  k
T
y
T
y
y0
Tw  T 
y0
すなわち、熱伝達率hを求めるためには、
壁面の温度勾配を知ればよい。
境界層内での温度分布
境界層内での温度分布を
T(y)=C1+C2y+C3y2+C4y3
とおくと、この式が満足すべき境界条件は、
y=0 : T(0)=Tw
 2T
0
y 2
y=0
:
y=t
: T(t)=T∞
y=t
:
T
0
y
であるから、境界層内での温度分布は、
T  Tw
3 y
 
T  Tw 2   t
 1 y
  
 2t



3
熱伝達率の評価
境界層内の温度分布:
T  Tw
3 y
 
T  Tw 2   t
 1 y
  
 2t



3
 3 1 3 y2 
T

 T  Tw 

3 
y
 2 t 2 t 
T
y
 T  Tw  
y0
3
2 t
熱伝達率は、
h k
T
y
Tw  T   3  k
y0
2 t
温度境界層厚さ  t がわかれば、熱伝達率が評価できる。
ニュートンの冷却則と熱伝達率
熱伝達→熱伝達率の予測
熱移動量(Newton’s Law of Cooling):
Q  hAT  Tw 
予測
(1) 流れ場の予測
→運動の法則、速度境界層
(2) 流れの場の中で成り立つエネルギー収支
→温度場
(3) 加熱面と流体間の熱伝達率の予測
エネルギー積分方程式
→ 温度境界層厚さの導出
エネルギー保存式
仮定として、    t とすると、エネルギー収支式は、
対流によって流入する エネルギー   粘性力による仕事   壁からの熱移動 
 対流によって流入する エネルギー 
であるから
面1より流入するエネルギ ー  0H udy  c pT
面2より流出するエネルギ ー  0H udy  c pT 
面AA'より流出するエネルギ ー   
 x
H
0
2





u
H
粘性力による仕事    0    dy   dx


 y 
壁からの熱移動    k T
y
 dx
y 0
 H

0 udy  c p T dx
x
udy dx   c pT

エネルギー積分方程式
2





u



H
H
H
0 udy dx c pT   0    dy dx  k T
0 c p uTdy  
y
 x



 y 
 0H c p uTdy 
 H

0 c p uTdy dx
x
“エネルギー積分方程式”
T
 H
  H  u  


dy
dx




0 T  T   udy  


0
x
c p 
y

 x 
2
粘性散逸項を無視することにすると
d  H
   T




T
T
udy


dx  0
y
y 0
y 0
dx
y0
エネルギー積分方程式の変形


T
d H
T  T   udy  

0
dx
y y  0

T  Tw  Tw  T 
 T  Tw 
u 
d  H




T
T
u
dy



  w
T  Tw 
dx  0
u 
y
y 0
d  H
T  Tw   u  0  1  T  Tw
dx  
T  Tw
ここで
  u  
  T  Tw
   dy   T  Tw    
y  T  Tw
  u  
u y  3  y  1  y 
    
u
2  2 
T  Tw 3  y  1  y
    
T  Tw 2   t  2   t
3



3


 y 0
エネルギー積分方程式の解法
>tの仮定より、積分の上限はH→tでよい
(なぜならば、y>tではT=T∞)
T  Tw   u 
T  Tw
d  t 

1


0
dx  
T  Tw
  u
  
  u
∞=T∞-Twとすると
d   t  3  y  1  y
   u   0 1     
dx   2   t  2   t
 
3
  3  y  1  y  
  
      
y  2   t  2   t  

 y0



3
   T  Tw
 
 dy    T  Tw  
 
 y  T  Tw
  3  y  1  y  3  
        dy 
  2    2     
よって、
2
4
3   t    3  
d   3   t 
   u      
   
280      2  t
dx   20   



 
  y0
エネルギー積分方程式の解法
ここで、=t/とおくと
   u 
d  3 2
3 4   3  



  

dx   20
280   2 
仮定より、>t、よって<1だから
はに比べて小さいので
d
3
3  
   u 
 2 
dx
20
2 
 
u 
  

2
2






x  
10 
x
を解けばよい。境界条件は、
x=x0 : t=0 ⇔ =
ここで

 140 


x 13 u
であるから
かつ
2 
280 x

13 u
エネルギー積分方程式の解法
より、解くべき式は
 3  4 x 2
となる。ここで
d 13 

dx 14 
d 1 d 3


dx 3 dx
2
であるから、
4 d 3 13 

  x
3 dx
14 
3
この微分方程式の解は、
3


13    x0  4 
3
 
1 
14    x  


エネルギー積分方程式の解法
今、プラントル数 Pr    を定義すると、
 
3
13
Pr
14

1
3


x
1   0  
  x  


t
1
Pr

 1.026
3
4
1

3
1
3
3


4
x
1   0  
  x  


1
3
エネルギー積分方程式の解法
今、プラントル数 Pr    を定義すると、
 
3
13
Pr
14

1
3


x
1   0  
  x  


t
1
Pr

 1.026
3
4
1

3
1
3
3


4
x
1   0  
  x  


ここで、速度境界層厚さは、

4.64

x
Re x
1
3
熱伝達率とヌッセルト数
h
3 k 3 
 k  
2 t 2  t
  x 1
      
    x 
1

1
3 3 


1
3 
 x0  4   Re x2 1
3
 k 1.026  Pr 1      

2 
x
x
4
.
64
    

 

 1
3
3

1
1 
k
  x 4 
h  0.332   Pr 3  Re x2  1   0  
x
  x 


ヌッセルト数: Nu  hx k
3


4
x
   
Nu  0.332  Pr  Re  1   0  
  x 


1
3
1
2
x

1
3
ヌッセルト数
熱伝達による熱移動
h  T


Nu 
熱伝導による熱移動
T
k
k
L
hL
プラントル数

Pr 


動粘性係数
温度伝導率
(例)
空気、He、H2、O2、N2:
水蒸気
:
水
:
油
:

速度境界層厚さ
温度境界層厚さ
Pr ~ 0.7
Pr ~ 1.0
Pr  13 ~ 5
Pr  47100 ~ 276
Pr の意味
(1) 温度境界層厚さと速度境界層厚さの比に
関係するパラメータ
(2) 与えられた境界層外の流れ場に対して、どの程度
厚く温度、速度境界層が発達するかを示す指標
膜温度
一般に、壁温と主流温度は異なり、温度分布が生じる、
この壁温と主流温度の違いによって発生する物性値の
違いを考慮するため、以下の式で計算される膜温度を
Tw  T
用いるのが普通である。
Tf 
2
平均熱伝達率
次式よって求められる熱伝達率は、
板の前線からの距離xによって変化
する局所的な値である。
1
1
Nu x  0.332  Pr  Re x 2
3
hx  x
Nu x 
k
x=0からx=Lまでの熱の移動を求めるためには、x=0からx=Lの
区間での熱伝達率を求めておかなければならない。すなわち、
L
hx dx

h 0L
 dx
0
平均熱伝達率
h
1
1
0.332  Pr 3  Re 2 
L
0
k
dx
x
L
0 dx
1
1
1
k  u x  2
3 L
  0.332  Pr 0  
 dx
L
x   
1
2
1
1
u
k
L  2
3   
 0.332   Pr  
 0 x dx

L


1
u
k
3   
 0.332   Pr  

L
 
1
2
2 L
u L
k
3  
 2   0.332  Pr  

L
  
1
1
2
h  2 h x  L
円管内の層流熱伝達
熱伝達率hは
 T 
q  hTw  Tb   k 

 r  r  r 0
 T 
h  k

 r  r  r 0
Tw  Tb 
混合平均温度(Bulk Temperature)
Tb 
r0
0   2r  dr  u  c pT
r0
0   2r  dr  u  c p
分子: 管断面の全エネルギー流量
分母: 質量速度と比熱の積の積分値
→ ある点での流れのもつ全エネルギーを表す温度
“Mixing-cup temperature”
「ある容器に流体を貯めて、平衡温度になった時の温度」
に等しい。
dr
円管内の温度分布を表す式
q
環状の円管要素内のエネルギー収支は、
dqr   2r  dr   uc pT
 dqr  dr
T 

  2r  dr   uc p  T 
dx 
x 

q
r
r
dx
r+dr
ρ(2πrdr)ucpT
であるから
T
  2r  dr   uc pT
r
 T    T  
T 

dx 
  k  2 r  dr   dx 
 
 dr    2r  dr   uc p  T 
x 

  r  r  r  
 k  2r  dx 
より
1   T  1 T
u
 
r
r r  r   x
ただし

k
  cp
円管内の温度分布の導出
円管内の温度分布は、
1   T  1 T
u
r
 
r r  r   x
T
なる式を、
=一定 の仮定
x
のもとで解くことによって
得られる 。
dr
q
q
r+dr
ρ(2πrdr)ucpT
r
r
dx
円管内の力の釣り合い
力のバランスを考えると、
P  r 2    2r  dx   P  dP r 2
dP
2
 
dx
r
一方、ニュートンの粘性則
によって、
du
  
dr
円管内の流速分布
dP 2 du
 
dx r dr
r0
1 dP r0
r du  2 dx r rdr
1 dP  r02  r 2 


u r0   u r  
2 dx  2 
1 dP 2

r  r02 
u r  
4  dx
管中心での速度がu0だから、u(0)=u0
1 dP 2
r0
u 0   
4  dx
2
r
u r  u r 

 1   
u 0  u0
 r0 
流速分布をエネルギー式に代入
  2 
1   T  1 T
r 

 u0 1    
 
r
r r  r   x
  r0  
これを解けば温度分布T(r)が求められる。
  
r
1 T
  T 

 r  r r dr    x  u0  1   r 


  0

2

 rdr

 r2
r 4 
T 1 T

r
 C1
 
u

r  x 0  2 4r02 
r
T 1 T
r 3  C1

 
u


r  x 0  2 4r02  r
r
C1
T
1 T
r 3 

 r dr    x  u0   2  2 dr   r dr
4r0 

 r2
1 T
r 4 

u

T 
 C1 lnr   C 2
 x 0  4 16r02 
円管内の温度分布
T
0
r
温度に対する境界条件、r=0:
、T=T0
より、
C1=0、C2=T0であるから、
 r2
1 T
r4 
  T0
温度分布は、T    u0  
2 
 x
 4 16r0 
3 u0 r02 T
壁面温度は: Tw  T r0   16    x  T0
2
u
r
7
混合平均温度: Tb   0 0  T  T0
96  x
温度勾配:
T
r
r  r0
u0 r0 T


4 x
円管内層流熱伝達率の評価
 T 
u0 r0 T
k

k

 r  r  r0
24 k
4
x


h


2
Tw  Tb
7  u0 r0 T 11 r0
 3




 16 96   x
いま、ヌッセルト数:Nu 
d0=2r0だから、 Nu 
hd 0
k
48
 4.364
11
1
2
Nu  0.032  Re  Pr
(参考)平板の場合 :
1
3
問題5-1
拡大管(Diffuser)の中を20(℃)の水が、10(kg/s)の割合
で流れている。管の内径は、入り口断面で3.0(cm)、出
口断面で9.0(cm)である。摩擦のない流れとして、出入
り口での静圧上昇を計算しなさい。
ただし、ベルヌーイの法則
P1 
1 2
1
u1  P2  u22
2
2
が成り立つとし、水の密度を1000(kg/m3)する。
ベルヌーイの法則:
P1 
解法の方針5-1
1 2
1
u1  P2  u22
2
2
出入り口での静圧上昇は、ベルヌーイの法則より
1 2 1 2  2
P2  P1  u1  u2  ( u1  u22 )
2
2
2
出入り口での速度は、質量速度を、G ( kg / s ) とすると、
連続の式
G
G


u
,
u
G  A1 u1  A2 u2
より
1
2
A
A
また
A1 
d
4
2
1
,
A2 
d
1
2
2
4
であるから、
  G   G 
2
2
 

P2  P1  ( u1  u2 )  
2
2  A1   A2 
2


2



2
問題5-2
内径1 cmの円管に油が、流量0.14 kg/sで流れている。油は、入口より一
様な速度で流入するものとし、速度助走区間を求めよ。さらに、管摩擦係
数 fを用い、十分に発達した流れの区間における管軸1 m当たりの圧力
損失を求めよ。なお、油はニュートン流体とし、密度r=860 kg/m3、粘度
m=0.0172 Pa・sとする。なお、速度助走区間は以下の式で記述できる。
Lu d  0.05Red :層流(Red≦2300)
Lu d  10:乱流(Red>2300)
また、管摩擦係数λfは以下の式で記述できる。
64
f 
:層流(Red≦2300)  f  0.3164 Red 1 4:乱流(Red>2300)
Red
また、長さl [m]当たりの圧力損失は以下で表される。
l 1 2
p   f
u
d 2
問題5-3
27℃で1atm(=1.0132×105Pa)の空気が平板に沿って
2m/sの流速で流れている。平板の前縁からの距離が
20cmにおける境界層厚さを計算せよ。ただし、空気の
ガス定数は287J/kgKであり、27℃における粘性係数は
1.98×10-5kg/msである。
問題5-4
問題5-3の流れにおいて、平板が全面にわたって
60℃に加熱されているとする。このとき、平板前縁
から20cmまでの間の長さにおいて奪われる熱量
を求めよ。ただし、奥行きz方向については単位厚
みを考えよ。
ただし、以下の値を使用してよい。
  17.36  10 6 ( m 2 / s )
k  0.02749( W / m  K )
Pr  0.7
C p  1.006 ( kJ / kg  K )
解法の方針5-4
いま、レイノルズ数、ヌッセルト数は、
Re 
u x
Nu x 


hx x
 0.332 Re 1 / 2 Pr 1 / 3 
k
であるから、熱伝達率は
hx  Nu x
k

x
ここで、平均熱伝達率は、この2倍であるから、
h  2  hx 
よって 奪われる全熱量は、
Q  hATw  T  
問題5-5
単位体積当たりの発熱量がQの熱源が一様に分布した厚さL
の平板がある。片面は断熱されており、もう一方の面は、温度
T1の流体と熱交換している。この流体と板壁面との熱伝達率
をhとするとき、板内部の温度分布を記述する式を求めなさい。
ただし、この平板の熱伝導率をkとする。
問題5-6
単位体積当たり発熱する熱量が、0.35[MW/m3]の平板壁があ
る。片面は断熱されているが、もう一方の面は、93[℃]の流体
と熱交換している。流体と壁との間の熱伝達率を570[W/m2・K]、
平板壁の熱伝導率を21[W/m・K]、平板壁の厚さを7.5[cm]とし、
壁内部の最高温度を計算しなさい。
問題5-7
200Aの電流が、長さが1m、直径3.0mmのステンレス
鋼製針金中を流れる。ステンレス鋼線は、 110℃の液
体に浸されており、熱伝達率は、4[kW/m2/K]とする。
ステンレス鋼線の中心温度を求めなさい。ただし、ステ
ンレス製の針金の熱伝導率を k=19[W/m・K]とし、鋼
の比抵抗を70[μΩ・cm]とする。
問題5-8
図に示すように、長さ6 cmで幅50 cm
の平板上を温度20 ºCの空気が速度
20 m/sで流れている。平板表面が一様な
温度60 ºCに保たれる時、その表面(片面)
からの単位幅当たりの放熱量はいくらか。
ただし、40 ºCにおける空気の動粘度を
1.70×10-5 m2/s、熱伝導率を
0.0272 W/(m・K)、プラントル数Pr=0.711
とし,熱伝達率には平均熱伝達率 h を用いること.