分散型エネルギーインフラへの取り組みについて 中東情勢や世界

分散型エネルギーインフラへの取り組みについて
平成 26 年 5 月 22 日
総務省
栃木県
経済的な背景
中東情勢や世界的な金融緩和等
による原油価格の高騰
【A 重油価格】
2011 年当初:約 75 円/ℓ
2014 年当初:約 95 円/ℓ
我が国の産業活動に打撃
【製造業に占める
エネルギーコストの割合】
2001 年度:平均約 4.5%
※震災以降、増加傾向
エネルギーコストの抑制のため、
重油等からガスへの転換が有効
【一次エネルギー価格】
A 重油:約 2,200 円/GJ
LNG:約 1,600 円/GJ
一方、東日本大震災の影響により
電気料金も高騰
【電気料金】
2013 年における企業向け電
気料金:2010 年比 25%上昇
「分散型エネルギーインフラ」プロジェクト
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分散型エネルギーインフラへの取り組みについて
エネルギー施策からのアプローチ
地域活性化からのアプローチ
東日本大震災による計画停電等
の経験から、エネルギーの安定
供給に課題
東日本大震災以降、多様なエネル
ギーの供給体制の構築が求めら
れている
【震災の影響】
【本県のエネルギー施策の方針】
震災直後の停電軒数:約 57 万軒(東
・分散型エネルギーの促進
電管内で最高)
・再生可能エネルギーの導入拡大
県内全域の停電復旧:2 日 12 時間後
・省エネルギーの推進
計画停電軒数:330 万軒
これらの事業により、県内産業の
振興及び新規雇用の創出が見込
まれる
本県のエネルギー施策の方針と
して、昨年度『とちぎエネルギー
戦略』を策定
【本事業による県内経済への
波及効果】
【本県のエネルギー施策の方針】
施設建設時:約 100 億円
・分散型エネルギーの促進
施設運用時:約 30 億円/年
・再生可能エネルギーの導入拡大
・省エネルギーの推進
新規雇用者の定住により、新たな
マーケットが生まれ、地域の活性
化につながる
使用電力量の多くを他県に依存
する本県は、分散型エネルギーを
推進
【対象工業団地の位置付け】
「産業」、「教育」、「居住」が機能
【本県の電力自給率】
的に結びついた「宇都宮テクノポ
2011 年度:約 17%
リス地域」の中心的役割
「分散型エネルギーインフラ」プロジェクト
天然ガスによる地域コージェネレーション施設により、エネルギーコストを削減
しつつ、地域活性化につなげる
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事業の全体像
本事業の目的
本事業は将来的に人口減少と少子・高齢化が見込まれる本県において、内陸
型産業団地における地域エネルギー供給システムの設立を核として、人づく
りと安心・成長・環境の好循環を生み出すことによって魅力ある地域づくり
に貢献することを目的とする。
【人づくり、地域づくり※1】
課題
・地域産業の活性化に資する雇用機会を創出し、人材を育成する
・地域コミュニティの魅力を向上させ、より良い暮らしづくりをする
実現されること
・県外からの企業進出や新規産業の新興による雇用機会の創出、育成
・地域エネルギーセンターを活用したエリアマネジメント事業による地域コミュニティの強化
循環
循環
【とちぎづくり重点戦略※1】
【安心】
【成長】
課題
課題
・電力供給力向上による
・国内外の環境変化に対応
災害時の安定的なエネルギ
課題
【環境】
・2020 年度までに 2005 年
度比 CO2「4.7%※2」削減
できる産業構造の構築
ー確保(電力自給率の向上) ・農業従事者の継続的な確保
・再生可能エネルギーの
有利活用
導入効果
導入効果
導入効果
・災害時に防災拠点へ
・安価なエネルギー調達
・地域エネルギーセンター
電気、熱エネルギーを
供給する
による企業競争力の強化
・先端技術を駆使した次世代
農業システムの構築
による省エネルギー、
CO2 削減
・下部インフラとの連系に
よる再生エネルギーの有
効活用
地域エネルギー
供給システム
※1 参照:栃木県重点戦略「新とちぎ元気プラン」
※2 参照:栃木県地球温暖化対策実行計画追補版
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平成25年度
分散型エネルギーインフラプロジェクト導入可能性調査
調査結果の概要
1.事業の概念
 工業団地の一画に地域エネルギーセンターを建設、クリーンな天然ガスコジェネレーションから供給される電気
と熱を工業団地内需要家に面的供給して有効利用することにより、低コストで安定的なエネルギー供給を実現
 県内の工業団地の中から、需要家のエネルギー需要特性や地域発電所建設用地の有無等を考慮し、「清原
工業団地」を検討対象として選定
エネルギーセンターのイメージ
2.調査の進め方
 清原工業団地内の各事業者及び公共施設(一部、団地外を含む)を対象に、エネルギー需要量に関するアン
ケート調査を実施 ⇒ 事業者 27 件(約 70%)、公共施設 9 件(全件)から回答受領
 アンケート回答をもとに、工業団地における電力、熱需要を推計し、発電規模の異なる3ケース(85,800kW、
39,000kW、163,800kW)を設定してモデル試算を実施。さらに、需要家の定着状況や電力単価等の条件を
変化させたケースを複数設定
 エネルギーセンターと周辺地域との連携について検討
 需要家研究会を通じて工業団地内需要家から意見を収集、事業内容への反映を検討
3.地域との連携
 防災拠点へのエネルギー安定供給 ・・・ 防災拠点となる公共施設(体育館、市民センター、水処理施設等)
や住宅への非常時電力供給を検討。公共施設の平常時電力需要合計は 1,000(kW)程度、十分に供給可。
 地域エネルギーマネジメント ・・・ エネルギーセンターで各需要家の電力、蒸気使用量等をリアルタイムで把
握、コジェネを最適に制御。徐々に対象需要家範囲を広げ、デマンドレスポンス等をより効果的に実施。
 農工連携 ・・・ 栃木県農業大学校及び近隣農場での熱(温水)利用のポテンシャルについて検討。コジェネ
排熱(温水)は十分に余裕があり、農業の新規立地にも期待
 波及効果 ・・・ エネルギーセンター建設及び運用に係る費用をもとに、本県の産業連関表に基づいて試算
⇒ 発電規模 85,800(kW)の場合、建設時で約 100 億円、運用時で約 30 億円の波及効果
4.今後の展開
 清原地区エネルギーセンターを中心とした段階的な面的展開として、3 つのステップを想定。
 2014 年以降の検討スケジュール(案)は、以下のとおり。今年度の調査結果を踏まえ、より詳細な事業化検討
や需要家の合意形成、事業主体の検討等を経て、2017 年度の供用開始を目指す。
年度
2013
2014
2015
2016
2017
2018
基本検討(導入可能性調査)
詳細検討(マスタープラン策定)
今後、マスタープラン策定の中で検討
事業化計画・詳細設計・施工・供用開始
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信頼性の高い
中圧ガス配管
天然ガス
パイプライン
STEP1
産業用需要家
■ 再生可能エネルギーとの連携
により、更なる事業収支向上
と、環境負荷低減へ
■ 農工連携による農業の生産
性向上&雇用促進により、
地域農業の活性化へ
STEP2
地元産業の活性化
省エネ
省CO2
太陽光発電
■ 熱融通による
農工連携
■ 地元農産物
の販売
農業施設
木質バイオマス
再生可能エネルギー
急速充電施設
(電気自動車)
周辺災害拠点施設
災害に強い街づくり
体育館、市民センター等の
近隣公共施設
災害拠点施設
地域電力ネットワーク
地域熱ネットワーク
下部インフラ
■ 大規模コジェネ
■ エネルギーマネジメント
システム
地域エネルギーセンター
地域エネルギー供給システム
■ 省エネ・省CO2・省コストなエネルギーを安定的に供給
(BCP機能向上&企業競争力向上)
■ 災害拠点施設への電力供給による災害に強い街づくり
急速充電施設
(電気自動車)
さらに複数の産業団地へ本事業モデルを
展開し、以下3点を推進していく。
■ ネットワーク型コンパクトシティ
■ エネルギー地産池消
■ 国全体のエネルギーコスト削減
「人づくり」と、「安心」「成長」「環境」
の好循環を生み出すことによって
魅力ある「地域づくり」へ。
地域エネルギー供給システムの設立
により、県外からの企業進出や新規
産業の振興による雇用機会の創出・
人材の育成を推進
LRT
交通システム
魅力ある「地域づくり」へ
住宅団地
■ 電力ネットワークの拡大による
エリア防災機能の強化
■ 住民の環境意識向上
■ 地域コミュニティを発展させ、
地域産業に関する教育の普及
や産業関連連携など広域に
わたるエリアマネジメントを実現
STEP3
内陸型産業団地を核としたスマートエネルギーネットワークによる循環型地域活性化モデル