SURE: Shizuoka University REpository http://ir.lib.shizuoka.ac.jp/ Title 水性ビニルウレタン系接着剤の接着性(第2報) : 乾湿 状態における接着性と接着剤の物性 Author(s) 滝, 欽二; 水町, 浩; 山岸, 祥恭 Citation 木材学会誌. 25(3), p. 216-224 Issue Date URL 1979-05 http://hdl.handle.net/10297/4601 Version publisher Rights Copyright © 日本木材学会 This document is downloaded at: 2015-01-31T18:51:54Z 21 6 [木材学会誌 Vo l . 25 ,No. 3 ,p . 21 6-2 24(1 97 9)( 論文) ] 水性 ビニル ウレタン系接着剤の接着性( 第 2報) 乾 湿状 態 におけ る接 着性 と接着剤 の物性 *l 滝 欽 二* 2 ,水町 浩* 3 ,山岸祥恭* 2 Bondqua l i t yorPVAi s oc ya na t eRe a c t i ve Re s i nAdhe s i v e s( Ⅰ Ⅰ ) Rel at i on bet ween bond qual i t y atdr y and wets t at e andphys i calpr oper t i esorcur ed r es i nf i l m s*l Ki nj iTAKI*2,Hi r os hiMI ZUMACHI*3 and Yos hi yas u YAMAGI S HI*2 PVAdi i s oc ya na t er e a c t i ver e s i na dhe s i ve s( KoyoSang yoCotKR7700r es i n)wa sus e dt o bonds e v e r a lwood l a mi na t i onsa nd t o ma kec ur e dr e s i nf i l ms ,t owhi c hwa sa ppl i e dt he t e ns i l et e s ta nda l s ot hev is c oe l a s t i cme a s ur e me nt . Re s ul t sobt a ne i da r ea sf ol l ows : 1)Be c a us ec ur e dr e s i nf i l ms ,whi c hc ons i s tma i nl yofpvA pol yme r ,ha v eawat e ra bs or ba T g( t e mpe r a t ur eofE' 'pe a kofPVA po l yme rphas e)a ndMOEoft he ma r eaf f e c t e d bi l i t y, c ons i de r a bl ybymoi s t ur ec ha ng e s ・ 2)The r e f or e,t hebondqua l i t ya f t e rc yc l i ct r e a t me nt ss howe ds omee xt e ntofde c r eme nta t we ts t a t ei nc ompa r i s onwi t ht hei ni t i a ldr ys t at et e s t , butt hi sr es i nha dar e ma r ka bl er ec ov e r y ofbot hs t r e ng t ha ndwoodf a i l ur ebydr yi ngf r om wets t a t e ・Thi sr e c ove r yofbondqua l i t y i sac ha r a c t e r i s t i cofPVAdi i s oc ya na t er e s i na dhe s i v e s ・ 3) Amount sofha r dne rAB a dde dt or e s i nf or mul a t i onsi nnue nc edl a r ge l yt her e c ove r yof bondqua l i t y,a ndt hemor eha r dne rAEwa sa dde d,t hemor et hi sr e c ov e r ybe c amer e mar ka bl e ・ y状態 とwe t状態の場 PVA-イソシアネート系接着剤の接着性能試験によると, この種の接着剤 は dr 合で接着性がかなり異なると言われている。 この問題を究明す るため, ここでは硬化 した接着剤 (光群 産業 KK,KR-7 7 00)フ ィルムの物性を検討 し,さ らに フィルム引張試験を実施 した。 (1)合板,挽材 二枚張,厚単板積層板のいづれの接着において も, レゾルシノール接着剤 とは異なり,we t状態か らdr y 状態になると接着強 さ,木破率 とも常態 と同 じ程度,またはそれに近 くまで回復 す る。 (2)接着剤の粘 弾性的性質によると, この接着剤は連続相の吸水性 ポ リマー ( PVA)が 接着剤の ガラス転移温度l動的 粘弾性に大きく影響する。( 3)接着剤フ ィルムの引張試験の結果による と, フィルム抗張力は we t状態 では d r y状態の 5 0帝程度 となるが,伸長皮は逆に大 きくなる。 ( 4)この接着剤は処理後の dry状 態の 接着強さには浸演処理温度, くり返 し処理の影響はほとん どみ られず,水分の可逆的 な出入 りが接着性 やフィルム抗張力に影響する。 1. 緒 言 ポ リビニルアル コール (PVA) イ ソシア ネ- ト系接着 lRe c e i v e dse pt e mbe r20,1978. 本報の一部は第 2 8回 日本木材学会大会 (1 9 78年 4月, 名 古屋)で * 発表 した。 Fa c ul t yof Ag r i c u l t ur e,s hi zuokauni v e r s l t y,Shi z uoka・ *3現私 東京大学農学部 Fa c ul t y ofAg r i c ul t ur e , TokyoUni ve r s l t y,Bunkyo ku,Tokyo・ *2静岡大学農学部・木材接着学研究室 刺-水性 ビニルウ レタ ン接着剤-の接 着 性 に関する研究 の-環 として,前報 ')では架橋密皮 と接着性について論 じた。その結果次 のことが得 られた。架橋 剤添加割合 に よ って架橋密 皮が異な る一連 の ものが得 られ,被着体 が 木材のはあいは少 量の架橋剤添加で も木部破断を大 き く 生ず るため,架橋 密度 と接着強 さとの間に有意な関係 は 1 97 9年 3月1 21 7 水性 ビニル ウレタ ン系接着剤の接着性 ( 第 2報) 認め られ なか った。 またアル ミニウム板の接着では架橋 煮 沸 処 理 :4hr煮沸 ( we t ) -60℃,2h r乾燥 ( d r y) 0 密度の増 加 とともに接着強さは増大す るが,ある程度以 上記 の前処理 をしたあと,島津オー トグラフ 5 00Sを 上になると却 って低 下す る。 使用 し,荷重速度 1 2mm血 i nで引張せん断試験を した。 この接 着剤は主剤 に水溶性 の P VAおよび SBRラテ ッ なお,前処理条件の中の ( we t ) ,( dr y)とはそれぞれ各 クスなどが用い られ, ジイソシア ネー トと反応 して架橋 処理後の儒れた状態,乾いた状態で 引張せん断試験 を行 構造を形成 して不溶化す るが,架橋 密度如何によって水 ったことを示 し,結果のところで述べ る図 と対応させた。 分の影響 をかな り受 けるもの と思 われ る。 2. 1. 2 厚単板の接着 本 鞘で は合板のみな らず,厚 単板や挽材二枚張の接着 供試材 を試み, その乾湿状態における接 着性, な らびに特徴 的 KK.イサオ製作所 によるロータ リレースむ きし た比較的良好な厚単板を用いた。 な性質 を示す この接 着剤の物性 を明 らかにするため接着 レッ ドメランチ ( Re dmera n t i,Shoreaspp・ ) 剤 フ イ ルムの粘弾性特性 を測定 し, さらに接着剤 フ ィル 全乾比重 0 . 5 6,含水率約 10卑 ムの機械 的性質の測定にフ イ ルム引張試験 を実施す るこ カブール ( Ka p ur,Dryobat a no psspp・)全乾 とに よ りこの ビニル ウレタン接着剤の接着性について検 比重 0 53,含水率約 1 0肇 討 した 0 メソクラン ( Me nkul a ng,Tarri e t ia s pp・ ) 坐 乾比重 0 . 5 9,含水率約 1 29 を 2. 実 験 方 法 大きさ 厚 さ×帽 ×長さ :8r r mX250r m XIO OOr r mの 2. 1 木 材 の接 着 厚単板 の同一樹種同志を裏割れが内側になるように して 2. 1 . 1 挽材二枚合わせ接着 供試 材 Tab l e2の条件で, ボル トナッ ト式の治具に入れて厚単 Asa m,Mangi fera s pp・)全乾 比 重 アサム ( 6 板積層板を製造 した。接着試片 は, 厚さ X幅 ×長 さ 1 0 . 5 6,含水率約 1 0多 m x20m X20 0m の 大きさの試片を各条件 10回準 ( Sel a nga nba t u,Sho r e aspp・ ) 全乾比重 0 . 85,含水率約 1 0帝 備し, フランス規格に準 じ,一つの接着面積が 2 0m nX セ ランガ ンバ ツー 試験 片 の大 きさ 厚 さ×幅×長さ :5r r mX2 0r r mX150 r m 2 0Trm となるようにダブ ルカッ トしたO 前処理条件 4hr煮沸- 60℃,2 0hr乾燥- 4hr煮 沸 ( we t ) -6 0 r Tab l elの接着剤配合で各条件 5組接着 し,圧締解圧 H. 室内で 1週間 コ ンデ ィショニングし 後 20℃,65帝R. r m x15r r m のダブルカッ ト式 て,-つの接着面積が 20r (合板の フ ランス規格の変型)の試験片を作成 した。 前処理条件 ℃,20hr乾燥 ( dr y)0 .1 . 1と同様である。 引張試験方法 は 2 Ta bl e2. Gl uec ondi t i onofl a mi na t edt hi c kve ne e r l umbe r s . Res i n we t )- 60℃, 冷水浸演処理 :20℃,冷水 4hr浸演 ( res i n ca t a l ys t ( wei g加 par t s) 2hr乾燥 ( dr y)0 温水浸液処理 :70℃,温水 4hr浸潰 ( we t )- 60℃, KR-770 0 1 0 0 AE 5 2hr乾燥 ( dr y)a Ta bl el・ Gl uec ondi t i onoft wopl yl umbe r s ・ Resi n Vi n ytUr et ha ne ( KR-7700) Res or ci nol ( J-600 0) 1 00 1 00 resi n c at al ys t AE (wei ght par t s) 5 ,15 ,25paraf ol ma l dehyde 10 press ur e, t or quewre nc b ( kg. c m) 1 400 -15 00 pr ess t i me ( br) 2 4 2 . 1. 3 合板 の製造 供試材 l e3に示すo 供試材をTab 大 きさ 縦 ×横 :45c mX45c mの単板をTab l e4の条 g 蛋 l / ue (3 0 sp r ea d c m) 2 15 -20DGL 件でホ ッ トプ レス接着 し, J ASA型試験片を各条件 1 0 個準備 した。 前処理条件 t or p q ( r u k e ewr g s . s c u m) r e e nc h presst i me ( hr ) 70-80 24 4時間煮沸くり返し処理 こ4hr煮沸-60℃,20hI ・ 乾燥 -4hr煮沸 ( we t ) -20℃,1wee kc o ndi t i o ni ng( dr y) 。 36時間連続煮沸 :3 6hr連続煮沸 ( wet ) 2 0℃, 1we e k 21 8 滝 欽二 ,水町 [ 木材学会 誌 Vol .2 5 ,No. 3 浩 ,L L l 岸祥恭 Ta bl e3・ Pr ope r t i e sofv e ne er s ・ Bo t a ni c al t hi c kness de p仇 o fc bec k Sho1 . e aS PP. 3 . 2 62 Ta bl e4・ Pr e pa r e dc ondi t i onorpl ywoods ・ s KR-7700 Rei n r e s i ncatalyst ( we i g h tpar t s) 1 00 AE 1 0 g l ues pT ead g/( 3 0c m) 2 p r es st emp.( ℃) pr ess t i me 「 ー由 9 「 島津 オ - トグ ラフ 50 0Sに,2k gの ロー ドセルを取 り付 nで試験 した。伸長度 はフ ィルム け, 引張速度 5m /mi に鉛筆で印を付 け,その標点距離を 2c m とし,上下 の標 0 点 を二つの読 み取り顕微鏡 を用いて測定 したO測定 は 2 40 ℃,659 bR. H.恒温恒湿 内で行 ったo試 片数 は各条 件 5 1 00 片 と した。 また, フ ィル ム試片の前処理 を施 した ものも 1 併せ て試験 した。なお,前処理は下記の よ うに連続 して 行 い,途 中取 り出 して試験 した。 前処理条件 c o ndi t i o ni ng( dr y)0 7 2時間連続煮沸処理 :7 2hr連続煮沸 ( we t )- 20℃ 2 0℃,冷水 4hr浸債 ( we t )- 60℃,20hr抱腹( dr y ) - 70℃,温水 4hr浸 潰 ( we t)- 60℃, 20hr 乾 燥 1wee kc o ndi t i o ni ng( dr y)a ( dr y)- 煮沸 4hr( wet )-60℃,20hr乾 燥 ( dr y)0 2. 2. 2 飽 和塩茶気によ る吸水処理 と フ ィルム抗 張力 引張試験方法は 2 .1 .1と同様である。 2 . 2 接 着 剤 フ ィル ム の引 張 試 験 2 . 2. 1 架橋剤添加割合 と各温度吸水乾燥処理 とフ ィ ルム抗張力 供試 接 着剤 KR-77 0 0 1 00部 剤 KR-7700 主 1 00部 剤 架橋剤 ( AE) 1 0,3 0部 (重巌比) 接 着 供試接 着剤 20℃恒温室 内で ,Tab l e5に示 した各 種塩類 の飽 和溶 液を調整 して デシケータ法 によ って吸水 させたフ ィルム 架橋剤 ( AE) 0 , 3 ,5 ,1 0,2 0, 30 ,40醇 (重量比) . 2 .1と同様 にして引張試験 を した。 を2 厚さ 3m の テフロン坂 上で,上記の割合で調合 した 接着剤をよく撹拝 し, フ ィルムアプ リケ一夕を使用 して 接着剤フィルムを作成 した 。 1日室温放置後,テフロン 6mmHgで 5日間 減 板よりフィルムを刺 し,60℃・-7 . 0 5-0 . 0 7r r m で あ る. 圧乾燥 したO フ ィルムの厚 さは 0 Fi g・ 1のよ うなダンベル型のフィルム引張試片を作成 し, 蛙蔓 Ta bl e5・ Me t hodofhum i di t yc ondi t i onl n笛l n . de s i c c at or( 20℃) Sol ut i on ZnC1 2 Re l a t i veh umi di t y (%) 1 0 . 0 q. CaC 1 .6a 32 . 3 望 q. Ca( NO思)2.4a 56 q. CuCl2.2a NaCl 68 . 5 75 . 8-78 . 3 KCl 8 5-86 . 3 2. 3 動 的 粘 弾 性 の測 定 2 ・ 2 ・1と同様な架橋 剤割合で作成 した接着 剤フ ィル ム T mX30r r m の大 きさ の 切片に し, 前報 1) と同様 に を 2r して動 的粘弾性 を測定 した。 また,一部飽和塩類に よ り 吸水 させた接着剤 フ ィルムの粘 弾性 も併せて測定 した0 3. 結果 および考察 ( mm. ) Fi g・1・Te ns i l et e s ts pe c i me n( dumbbe l lt ype ) ofc ur e dr e s i nf i l ms . 3・ 1 木 材 の接 着試 験結 果 Fi g・ 2は挽 材二枚合わせ接着 の結果で ある。硬化 温 度 o n t r ol は常態試験を 表 わ は中温の 40℃ とした。図中, c 1 9 79年 3月] ぎ 塁 5 : el P it . 聖コ一 ! ?IP O q J u 禦 ; ;[日 .I ノ ー? I ・〝・ 〟〝.i. . I 血 こ n . ' M'( 了 .ら 0 ( " こ 50 菩l S㌔ PaL l 1010! l e J56uaL I S 己 c mt r o I2 0 o C I OO o C we t d , y w. T O . C d , , we t也 , y T r e a t me nt Fi g・2・Fa l loft he adhes i v es t r engt h oft wopl y l umbe r sbyt r e at me nt( KR7700r es i n) ・ ⑳ 21 9 水性 ビニル ウレタン系接着剤の接着性 ( 欝 2報 ) :As am, ○ :Sel ang anbat u we td r y we t d r y wet dr y' Tr ea t me nt ・3・Bond qual i t y ofPVAi s oc yanat er e ac t i v e Fi g r e s i n bonded t wo pl yl umbe r s( KR7700 %, r es i n) ・Ca t a l ys t( AE,we i ghtpa r t s ) 0 :5 ◎ :15%,⑩ :25 % L, we dr yは 2 .1 .1で述べたよ うに試験片 が we t状 t , dr y状態o jそれぞれ結果を示す0 7サ ム, セ ランガ ont rolに ンバ ツー とも接着強 さ残存率 および木破率 は c 億 , 比べ鬼も 理 後の we t状態 ではかなり低下す るが,co ndi t i o n - i ng後の dr y状態 になると c o nt rolと同程度 まで回復 し て い る。 まず接着強 さにつ いてみ ると, セ テンガンバ ツ ont rolの 30-50肇の残存率であった ーは wet状態では c ものが , dr y状態では 60-1 00碑 まで回復 し, アサムで は処 理温度 にかか わ らずwe t状態で約 55帝の残存率であ y状態 では co nt r olの 90卑以 上 まで回復 して った が, dr い る0 本破率 について も同様の傾向がみ られ, セ ランガ 00肇あ った も の が we t状 態 で は ンバ ツーで は常態 で 1 15-20肇 とかなり低 下するが dr yになれ ば再び 1 00帝 , に回復す る。 Fi g・ 3は架橋 剤 添 加魔を変えた結果で・前報 l)で も一 部述 べたが,接着強 さにお よぽす架橋 剤 添 加割 合の影響 y状態では 5-25部添加 ともほ は常態 および処理後の dr とん ど差異は認め られず, 木破率 も全て 1 00帝で 5部添 C 7 0 0 C I O Oo C T c c n t r o12o we td r y wet d r y ∼b e td r y Tr ea t men t 0 Fi g・4・Bond qua l i t y ofr e s or c i nolr es i n bonde d yophen十6000 t wopl yl umbe r s( As a m,Pl . c ur l ngt empe r a t ur eO ‥20o C, r e s i n) ○ :l oo℃ t状態では架 加で も十 分な接着強 さを示す。 しか し, we タン接着剤で接着 した もの と同 じ処理を施 したo Fi g・ 4 橋 剤 添加の効果が明 らかに現われ,接着強 さ,木破率 と のアサムでは ビニルウ レタン接着剤のはあい と同様に前 5恥 も 5艶添 加が最 も小 さく,次いで 1 t状態 に比べ, dry状態の方が大 きい接着強 処理後の we 25部 と添加最 の試験 の架橋剤添加 0℃, 1 00℃とも同様 さが得 られ,また接着硬化温度が 2 割 合 で は 25部添 加 の はあいが接着性能 は-番良いO し な傾向を示す。アサムは比重 は中庸であるが・防腐剤の か し, いづれ の架橋剤添加割合で も接 着強 さ,木破率 と 注入は しやすい緋 もwe t状態 か らdr yになる こ とに よ って回復性が存在す 剤 の木材中への浸透は大 きい。 とくに硬化温度が高い方 る こ とが 見 られ るo が接着剤の粘度は低 くな り,木材中-の接着 剤の浸透は が 多 くな るほつれて大 きくなる。 こ Fi g・ 4 -5は比較 のために用いた レゾルシ ノール接着剤 )といわれ るほど吸水性 に富 み7接着 00℃硬化で は浸透過度のためか より早 く生 じるので, 1 (大 日本 イ ンキ, プ ライオーフェン ト 60 0日)の結果で, 接着は良好でなく, 20℃硬化 よりも接着強 さは低下 した 20℃)と 1 00℃で行い,ビニルウ レ 接 着 硬化 温度 を常温 ( g・ 5の比重が非常 に大 きいセ ラン と思われ る0-万, Fi 220 滝 欽二 ,水町 浩,山岸祥恭 [木材学会誌 Vol .25,NoB3 班 ) l!巾 (% 0 n IPOO 享 PL BI ( .・ ・ J , G jJ50 王 BuaJ1S PUO血 モ o nt r o1 2 0 o C 70o C W o C wet d r y wet d r y wet d r y Tr eat ment Fi g・5・Bond qua l i t y ofr e s or c i nolr es i n bonde d t wopl yl umbe r s( se l a ng anba t u,pl yophe n 十6000r e s i n) ・c ur i ngt e mpe r at ur eO:20℃, ○ :loo℃ ガ ンバツーではwe t状態 とdr y状態の接着強 さ,木破率 はアサ ムのばあいと異なって , C o nt r qL wet dr y Tr e at ment Fi g・6・Bondqual i t yofl am i nat edt hi ckvenee r l umber s( KR7700r e s i n) . ⑳ Ka pur, ⑩ Redmerant i, OMenkul a ng 1 00℃処理を除 き, dr y 状態の方がwe t状態よりも接着強 さが低い。また 20℃硬 化 ( ○印)よりも 100℃硬化 (⑳印)の方が明 らかに接着 " 碍 三 r "J 0℃硬化のばあいでは前処理条件の浸 性は良 いO: tくに 2 液温度が蒔くなるにつれ dr y状態 ,we t状態 とも処理後 の接着強さ服 大 きくなっている。 これ はいわゆる レゾル J P -O u 瓜 シノール接着剤の処理による後硬化が生 じた結果 と考え られ る。 硬化温度が 1 00℃のときには 20℃硬化のばあい I 前処理温度が高 くな るにつれ処理 後の接 着強 と反対 に,す さは低下 してい る。 つまり, 20℃硬化の ときは接着剤の 完全硬化が期待で きな頼 こ のため,その後の処理で硬 化 が促 進【 され 接着性 も「 時的 に増 大す る。それ に比べ 1 0叩 硬化の ときは完全硬化 した. と考え られ るO レゾル t シJ J ル接着剤はビニルウ レタシ接着剤 と異な り we , F ig ・ 7 ・ W: we t D' ・ dr y Bond q u a l i t y fpl ywoo d s( KR-7700r e s i n) . 0 リe l t ong, ◎ :L a uan o 状態 か ら1 , dr y状態になっても接着強 さ,木破率 に-質 し しくな るに したが って接 着強 さ,木破率 とも低 下が大 き た傾 向は現われ無かった。 くなるが,we t状態- dr y状態 では明 らかな回復性 の存 Fi g・ 6は厚単板積層板の材質 に関す る研究 B)の中の, t状態で接着強 さが低下 して 在が認め られ るOなお, we 接着性能試験 の結果である。前述のアサム, セ ランガ ン も,比較に加 えた ラワンでは J AS規格 の合板 の-類試験 J AS集成材規格 に準 じた くり返 し処 バツP . lと同様 に,・ に十 分合格す る値が得 られて いる。 ビニル ウ レタ ン接着 理を施 した後 の, we t状態 における接着強 さは 常態 の 剤 は ミズナラの厚板 の常温接着試験で接 着強 さの回復性 45-50 劇 こ低 下 するが,. その 後の dr y状態 では常態 の が存在すると報告 6)され 即欄 ,30-40kg/c m2の接着強 さを示 し,回復性の存在 験 にお いて接着強 さの低下 は ほとん ど可逆的で あ り,湿 が認 め られる。 、 Fi g・ 7ノ ほ合板にはあまり用い られていない南洋材の ジ ェル トンのロータ リ単板を使用 した・ 合 板 の接 着 試 験 結 0℃・ よ した0 4時間煮沸 くり 果4 ) で ある〇 ・硬化温度は 10 返し, 36時間連続煮乱 72時間連続煮沸 と ,条件 が厳 また蒲生等 も合板 の耐久性試 った状態か ら乾燥 する こ とによって接 着強 さは ほぼ初期 値 まで回復す ると述べて い る6 ) 0 3 . 2 接 着 剤 フ ィル ム の動 的 粘 弾 性 前 述のように, この ビニル ウ レタン接 着剤 は dr y状態 wet状態で接着強 さ,木破率が大いに異 なる性質 を持ち, 1 9 79年 3月] 水性 ビニルウ レタ ン系接着剤 の接 着性 ( 第 2報 ) 221 かつ,We t状態 か ら dr y状態 になれ ば接着強 さ,木破率 21と同様 に,ゴム状髄 刺 (KR-7700)は前報 1)の KR-1 と も回復するとい う他の接着剤には見 られない接着剤で 70-200℃)で貯蔵 弾性 率 E' の増 加が見 ら 域 (こ こで は 1 あ るOそ こで , この特異甘性質を示す接着剤の物性 を検 れ るが, これ は一般 の架橋 ポ リマーの粘弾性的特徴 と一 討す るため接 着剤 フ ィルムの動的粘 弾性 を測 定 した。測 致す る 7)0 1 0Hzとした。 Fi g・ 8は架橋 剤添加割 合を 定 周波数 は 1 重合度 や ケ ン化 度 また SBRな どの 充填剤 の配合割合が 変 えた ときの動的粘弾性 の結果の一部を示す 。 この接 着 異T A -る。 KR-77 00とKR-1 21は主剤で ある PVAの Fi g・9は接 着 剤 フ ィルムが乾 燥 した状 態 の もの と, Tab 一 e5に示 した デ シケー タ中 に入れた飽 和塩蒸気 によ り吸水 させ た もの,す なわ ち d r y状態 とwe t状態の測定 l l 結 果で ある。 この ビニ ルウ レタン接着剤は ガ ラス転移温 皮 (Tg)の 高 いポ リマ ーか ら成 る連続相の 中に, も う一 8 7 8 ∧ U O ( q L U U J S a L ^ p). . u I、.山ー つ Tgの低 い ポ リマーか ら成 る相 が 分 散 した 構 造 (分散 相 )にな っている と推 定で きる。 分散 相 の 成 分は SBR と思 わ れ るが, これは吸湿性 は麺いため フ ィルムの吸水 0-S o℃)にその ガラス転移域 率 によ らず ほぼ同 じ位 置 ( が表 われ てい る。 したが って, この温皮域 で試料 の弾性 率 EJは一 旦低 下す るOその衡 連続 相の Tg において弾 性 率は再 び大 きく低下するが,連続相 は吸水性 ポ リマー (PVA)でで きて いるため 高湿側 のTgは吸水率 に強 く依 存す る。 この粘弾性測 定は空気 中で昇温 させなが ら測定 してい るので,測 定中 にフ ィル ム試料 は乾燥 して しまい, 弾性 率 の吸水依存性を正確 に求 める ことは配難 であ るが, 2 0 5 0 1 00 1 5 0 2 00 Tempe r al ur e( o C) Fi g・8・Dyna i cvi m s c oe l as t i cpr ope r t i esofc ur ed r e s i n f i l ms wi t h va r i ous f or mul a t i ons ・ ( KR7700r e s i n) 0 E O 吸水率 が大 きいほどTgが低 くな るとい う一応の傾 向は認 め られる ( Fi g・ 9,dr y状態 -KCl 塩蒸気中一Ca SO.塩蒸 気 中 )O もLT試料 が完全 に濡れた状態であれば,このTg は室温 またはそれ以下にな るものと想像 され る。 この連 .1の接着強 さや木破率 に大 続 相のポ リマ ーの吸水性が 3 きく関係 し,we t状態 では吸水 して 可塑化 され接着性が T V C I 5 ' o T emper at u r e( Oc) Fi g・9・Dynami cv i s c oe l as t i cpr ope r t i esofc ur edr es i nf i l ms . wi t hva r i oushum i di t yc ondi 亡 i oni ngs( KR7700r e s i n) 222 滝 欽二 ,水町 息 山岸祥恭 [ 木材学会 誌 Vo l . 25 ,No . 3 係を d ry状態 ,we t状態すべてについてプ ロ ッ トしたも 低下 す る と考 え られ るQ 3. 3 接 着 剤 フ イル ムの 抗 張 力 と伸 長 度 3 . 2よりこの接 着剤 フ ィルムは水分の影響 を強 く受け, ので ある。架橋剤添加 0醇の もの を除 くと, この接着剤 フィルムは PV A繊 維 と同様 に抗 張力 が大 きい と伸長産 弾性率などの接着剤の物性 が異 な るこ は小 さい とい う関係 がある8 ) o こ0 )抗 張力 と伸 長皮の関 とが は っき り した。 そ こでさ らに この接 着剤 フ ィルムの y状態 ,we t状態 とも同 じ負の指数 曲線 をとるも 係は dr ガ ラス転移温風 機械的性 質をみ るため フ ィル ムの 引張試験を実施 した。 Fi g・ 1 0は 架 橋 剤 の添 加率 と フ ィルム杭脹 九 伸長度 tとは 20℃水中 に2日間浸噴後, の関係 を 示す 。図中の we y状感 のと言え,架橋密度の小 さい接着 剤 フ イルムは dr で も伸長皮は大きく,逆 に抗 張力は小 さくなる。 各温度浸偵 くり返 し後 の 乾湿状 態 の結果 を Fi 針1 2に 表面 の水 分を折紙で軽 く吸取 りす ぐに引張試 験を した結 示した。図の左端か ら順次連続 して処理 を施 した 。E o ℃ 果であ る。架橋剤を添加 した これ らの接着剤 フ ィルムは 水中 -1 00℃煮沸水中 で 処理 した ものは 多 少 の バ ラツキ 水に浸演す る と軟化 し,黄白色 だ ったものがやや黒 っぼ はあ るが,浸潰温度にかかわ らず いづれ もほとん ど同じ く見 えるが, 水にはほとん ど溶解 しないO この溶解性 に 程度 の抗 張力の低 下お よび回復を示す 。 この回復値は常 ついては別 に報告する。dr y状態 ( ○印 ),wet 状態 ( ㊨ 態の ばあいとほ とん ど変わ らな い 。 この こ とか ら,処理 印)ともに架橋 剤添加率が 10帝程 度 まで は添 加亀が増す 浸潰温度が この接着剤 フ ィルムの抗張 力に与え る影響は につれて フ ィルム抗張力は急激 に増 大す るが,そ の後は 添加量が増 えて も抗張力は余 り大 き く1 3 :らな い。 これ と は逆 に, フ ィルムの伸長度は架橋剤添加 量が少 ないほど 大き くな るO と くに we t状態 では架橋剤添加巌が少 ない 00帝以上 の伸長度を示す。伸長皮の大 きい理 由は架 と1 橋剤添加量が少 ない と架橋密度 も小 さくな り,相 対的に t状態 におけ 柔軟性 を持 つためで ある と考え られ る。we るフ ィ/ レム抗張 力は d r y状態に比べて小 さく, 50-60% 程匪 しか ない o Fi g・ 11はこれ らの抗張 九 伸長皮 の関 ( IOOu先 !1 OPBuo73 )U (。 J. Fi gl11 ・ Re l a t i onbet we e nt het e n. s i l es E r e ngt ha nd e l ong a t i onofc ur edr es i r lf i l ms( KR7700 r e s i n) ・○:dr y,◎: we t ● Fi g ・10・ Thet ens i l es t r e ngt ha nd e l ongat i on of c ur e dr e s i n mmsa tdr y andwe ts t a t e O,△ :dr y, ( KR7700r e s i n) ・ ,▲ :we t Ua ト aT!S .S 的 u 6 B a J 王 1 0 20 30(○ / 。 ) Ca l a l y St / Re L Si n c c nl T q 12 0 o C 7 00C I O O o C we td r y wet d r y we td r y Tr e a t me nt Fi g・12・ The ・t e ns i l es t r e ng t hofc ur e dr e s i nf i ms l a tdr ya ndwe ts t a t ea f t e rc yc l i ct r e a t me nt s ・c a t a l ys t( AE,we i h tpar g t s ) :10 % 1 97 9年 3月] ほ とんど見 られず, また くり返 し連続処理による影響 も な いと考え られ ,これは前述の木材の接着性能試験結果 と類似 している。せん断接着強 さと抗張力とは異質であ Tabl e6・ St a t i ct e ns i l e modul us( MOB)ofr e s i n f i l r nsc al c ul at e df r om s t r e s s _ s t r a i nc u r ve ( 20℃) . るが,低下,回復 の傾向がよ く一致する。 KR-7700 dr y we t KCl 汀pd y °e /c r 謹 d y ne /c mB dy °e /C 次に種 々の飽和塩溶液による フ ィルムの吸水性 と抗張 九 2 2 3 水性 ビニル ウ レタ ン系接着剤の接着性 (第 2報) g・1 3は相対湿度 と接 伸長皮の 関係を検討 した 。Fi 着 剤 フィルムの吸水率の関係を示す。温度は 2 0℃である。 この関 係は一般 の PVAの 吸水性 と同様 8)に,相対湿度 (2 0) ( 85) ( 5 7) % 9 . 2×1 09 5 . 9×1 08 2 . 8×1 0比 AE(wei h tpar g t s ) 3 1 03 . 6×1 09 4 . 3×1 08 1 . 3×1 0浅 が増せば吸水率 もわずかづつ増 大 し,85%以上で急激に ()perce nt: el o nga t i on 吸 水率が大きくな る。架橋剤添加藍が多いほど架橋密度 は増 大す るので水分の吸収は少 な くなり,吸水率 は全体 動的粘弾性 の測定結果か らほwe t状態の弾性率 は測定 に低 くなってい る。Fi g・1 4はその ときの フ ィルム杭張九 上明 らかにで きなか った。そこで フィルム引張試験の応 伸 長皮を示す。わずかな吸水によっても抗張力や伸長皮 l e6は カーひずみの 関係か ら引張弾性率を求めた。Tab に 大 きな変化を もた らす。we t状態では吸水 して軟化す フィルム の ポアソン比を 0 . 5と仮定 し, 簡単に算 出した るが ,dr y状態にな って水分子 が除かれれば再び抗張力 静的 引張弾性 率を示す。表中のwe tとは 2日間冷水浸潰 を 取 りもどす と考え られ る。 した もので, そのときの吸水率は約 8%.KCl塩蒸気に よる吸水 は約 1 1 帝であった。ただ しフ ィルムは前述 した C O nU 2 るので,儒れた フ イ ルム試料は測定中に少 しは乾燥 して 30 しま うが,各試片の代表的なものを選んで計算 した。 フ 20 09か ら 1 08 dy ne /c m 2に 1ケタ以上小 的引脹弾性率は 1 10 ごua}uOU aJ nlS! 〇三 4 0 (㌔ ように 20℃,6 5酵R. H. 恒温恒温室内で引張測定 してい い。 ィル ムが儒れた状態 にf j : れば乾燥 した状態に比較 し,静 さくな り,wet状態の弾性率は dr y状 態 の 1 /1 0しかな 4 .結 2 0 40 6 0 8 0 1 0 0 Rel a t i vehumi di t y( o / . ) 論 乾湿状態に おけるビニルウ レタン接着剤 ( KR-77 0 0) Fi g・1 3・ Rel at i onbe t ween r e l a t i v el l umi di t ya nd moi s t ur ec ont e ntofc ur ed r e s i nf i l ms . c at a l ys t( AE,we i g htpar t s ) 0 ・ 10 %, ● :30 % の接 着性能試験,および接着剤フ イJ レムの動的粘弾性の 測定 の結果,次のことが得 られた。 1) 合板な どの接着試験では レゾル シノール接着剤 と t状態か らdry状態になるに従い,接着披 き 異な り,we および木破率 は回復する。 2) 架橋剤添加量を増せば接着強さ,木破率 ともwe t (% )uo!lPBuot3 状態 での低下割合が小 さくな る。 3) 連続相のポ リマー ( PVA)が 吸水性を持つため水 分の影響を受け易 く,吸水率によって接 着剤の帯 が変化 し,弾性率が減少す る。 4) 木材の接着強 さ,木破率と同様に,接着剤 フィル ムの抗張力は we t状態からdr y状態になることによって 回復 し,浸潰処理混乱 くり返 し処理の影響 はほ とんど み られ ない。 5) フ ィルム引張試験 によると,wet状態では dr y状 /1 0以下である。 態に比較 し,静的引張弾性率は 1 Fi g・1 4・ Re l at i onbet we en moi s t ur ec ont e nta nd t e ns i l es t r e ng t h of c ur ed r e s i nf i l ms ・ AE,wei g htpa r t s )10 % c a t a l ys t( 謝 辞 この研究を進めるにあたり,供試接着 剤を提供 してい 22 4 滝 欽二 ,水町 浩 ,山岸祥 恭 [木 材学 会 誌 Vol . 25 ,No. 3 ただ い た光洋虚 業 KK,大 日本イ ンキ KK, また厚 単板 3) 滝 :未発表 o j製造 および試料の提供を受 けた KKイサ オ製 作 所浜北 4) 山嵐 工場 な らびに実験 を援助 していただ いた 静岡大学農学 部 5) 木 材用 新開発接 着剤 の性能 調査 委 員会 :合板 工数 木 材接 着学研究室の舶 威 久技官,周研 究室 の学 生 に謝 意を表 します。 文 献 1) 私 水W J, 山岸 :木材誌, 24,4 ,23 7( 19 78) 2)須藤 彰 司 :南洋 榔 地球 HJ . 版 (昭 45) 滝 :未発 表 ^、 禦 . ・ 97. ∼l m9 78 , ) ∼ ,..州 . . . . . 小冊 " ー^_ _ ∼ . 一 人仙 ル 6) 蒲生, 片岡 :第 1 4回接 着研 究会 発 表会 講演集 ,p. 1 3(19 76) 7) L. 氏. NI ELSEN (小 野 木訳 ):高 分子 と複合 材料 の 力学 的性質 ,化学 同人 ( 1 978) 8) ク ラ レ :ク ラ レポバ ール 資 料
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