中野智紀

第 17 回日本在宅医学会大会
シンポジウムテーマ
開催日
シンポジスト
シンポジウム「在宅医療と ICT」
2015 年 4 月 25 日(土)
ふりがな
講師情報
ご芳名
ご所属
部署
抄録集・ホームページ掲載用原稿
姓
時間
なかの
中野
13:40-15:10
収容人数
名
150 名
ともき
智紀
社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス東埼玉総合病院
在宅医療連携拠点推進室“菜のはな”
役職
室長
演題名(80 字以内)
地域包括ケアシステム幸手モデルと日本版 regional EHR“とねっと”
ご略歴(300 字以内)
獨協医科大学卒業(平成 13 年)。社会医療法人 JMA 東埼玉総合病院地域糖尿病センター・在宅医療連携拠点
事業推進室勤務。糖尿病学会認定指導医・専門医。名古屋市立大学非常勤講師、埼玉県在宅医療リーダー,
北葛北部医師会在宅医療・地域包括ケア担当理事、NPO 法人埼玉利根医療圏糖尿病ネットワーク理事,埼玉
利根保健医療圏地域医療連携推進協議会(とねっと)事務局,埼玉県糖尿病協会理事、内閣官房 IT 戦略本部
の医療情報化に関するタスクフォース構成員を歴任。第 5 回プライマリケア連合学会地域ケアネットワーク
優秀賞受賞。
講演概要(1000 字以内)
これまで埼玉県幸手市および周辺地域における地域医療における問題の中心は医師不足に代表される医療
資源の不足であった。この問題を解決するため、当地域では地域の医療機関が機能分化し、互いに協力して
診療にあたる「地域完結型医療」を推進してきた。強固なヒューマンネットワークの構築、地域医療を支え
る人材の育成、地域の医療機関ごとの特色を活かした機能分化、施設を越えた種々の地域連携パスの普及を
進めた。平成 23 年度には、埼玉利根保健医療圏地域連携推進協議会が発足し、翌年には地域医療 IT ネット
ワークシステム「とねっと」の稼働も開始され、本邦で初めて二次医療圏単位で医療情報をリアルタイムに
共有できる体制を実現するまでに至った。
とねっとは、「集中型」の情報連携方式を採用しており、我が国で初めての二次医療圏 EHR(Electronic
health record)といえる。平成 26 年 12 月現在、利根二次医療圏内 119 施設の医療機関と既に 2.3 万人の住
民が登録しており、文字通り地域医療情報基盤として無くてはならないインフラになりつつある。既に、利
根医療圏で活動する全ての救急車には、とねっとの情報を共有できるタブレット端末が配備されており(と
ねっと救急システム)、160 件を越える救急患者の迅速な搬送に活用されている。
埼玉県幸手市では、地域医療 IT ネットワークシステム「とねっと」を在宅医療および地域包括ケアにお
いて活用している。とねっとは在宅医療だけでなく、外来、入院などの医療、保健、患者・家族、救急隊な
ど、生まれてから亡くなるまで、生涯にわたる住民のライフコースに沿った継ぎ目の無い情報共有を実現す
るだけでなく、主に慢性疾患や老年期のリスク等の重症化予防などの疾病管理にも活用が広がっている。例
えば、地域住民との協働により認知症徘徊問題や、小児アレルギー対策など、地域レベルの課題を解決する
為にも活用されている。一般的な医療 IT ネットワークは医療機関同志の情報共有を目的としており、病気を
有する「患者」しか加入することができない。一方、とねっとは二次医療圏内に暮らす全ての「住民」を対
象としている。地域包括ケアの時代において、これらは大きな違いをもたらす可能性がある。
この仕組みの導入により、医師を頂点としたピラミッド型のチーム医療から、患者を中心とした、地域レ
ベルのフラットな多職種恊働へと変化してきている。