円管内における粒体の水力輸送 (第 7 報): 流動様式と付加圧力損失内容

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円管内における粒体の水力輸送(第7報) : 流動様式と付加
圧力損失内容の変化について
奥田, 教海; 山岸, 英明
室蘭工業大学研究報告.理工編 Vol.10 No.3, pp.419-425,
1981
1981-11-30
http://hdl.handle.net/10258/3727
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Journal Article
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Muroran Institute of Technology
円管内における粒体の水力輸送
第 7報流動様式と付加圧力損失内容の変化について
奥田教海・山岸英明
HydraulicTransportofSolidsinPipes
Part7
.FlowPatternsofSphere-WaterMixtureFlowsandVarious
FactorsofAdditionalPressureLossesaboveThoseof
ClearWateronly
KyokaiOkudaandHideakiYamagishi
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.
1.まえカずき
問題名の第 6報 1)で報告した実験の結果を更に検討し,観測された流動様式ごとの諸値を輸送
管内の全圧力損失に関連させて考え,水のみの場合の圧力損失に上積みされる付加圧力損失が,
粒子の転動摩擦,
粒子の衝突による速度変動に基づく抗力,流体と粒子の平均速度差から求め
られる抗力などから構成きれること,
およびそれらが全圧カ損失を占有する割合が流動様式ご
とにどの様に変化するかということについて,
実験値にある推定を加えて解析したので,それ
らについて報告する。この解析の基礎には,第 5報 2) で報告した粒子のランダム運動過程を考慮
に入れている。上述の観測された諸値というのは,管内濃度,管内濃度比分布,水と粒子の速
(
3
1
)
4
2
0
奥田教海・山岸英明
度比,粒子と管の直径比,粒子ブルード数,粒子レイノルズ数などを指す。
I
I
. 実験装置と実験方法
詳細は第 6報を参照されたい。図 -1には実験装置全体の平面図を示す。①④は観測点で,各
点では図 -2に示す管断面内の水平な層を粒子が通過する頻度を求め,その値より各層の濃度
比分布を計算した。
④
四
ー
ー
ー
・
・
‘
ー
ー
四
ー
4
図 -1 実験装置
- -5層
一
ー 4層
一
ー 3層
・
一
回 2層
1
ー
ー
1層
図 -2 断面内側定位置
I
I
I
. 全力損失内容の解析
水力輸送の全圧力損失は,次式に示すような諸項から構成されるものと考える。
(1.全圧力損失項)= (
2
. 粒子転動摩擦項)+ (
3
. 粒子速度変動抗力項)
+ (4. 全粒子抗力項)+ (5. 水のみの圧力損失項)
(1)
管内濃度が高い場合,管下部における粒子が相互に摩擦し,そのための圧力損失が考えられる
が,後に述べる計算法に従えば,本報告の実験例では微小で、あることが解ったので省略する。観
測きれた諸値と,他の研究者の実験式から,妥当な仮定を置いて式(1)の各項を数値的に見積
り,更に(1)の
2, 3, 4項については粒子のランダ、ム運動過程を考慮、して,それらの事象が
確率的にある割合しか起らないと仮定して,確率的係数 P
2,P
3,P
4をそれぞれ掛けることとした。
(
3
2
)
円管内における粒体の水カ輸送
4
2
1
第 7報
流動様式ごとの実験例を選び出し,式(1)を次のような計算式により数値化し, 3
個以上の測定
方程式を立てて最小自乗法により P
2,P
3,P
4を求める。それらが求められたならば更めて 2,3,
4項の値を求め, 1項内を占有する 2, 3,4,5項の割合が計算される。次の式は一般化する
ために各項をそれぞれの実験の場合の粒子の重量で割って無次元化しである。
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dx),
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w
(2)
C:管内粒子濃度, CDS1 流速が変動するときの粒子抗力係数,CDS2 :管内定常流の粒
記号
子抗力係数, Cv :吐出粒子濃度,D:管径, d:粒子(球)直径, !:転がり摩擦の腕(図-
4
),g:重力の加速度, k:係数, L:管長,n 管長 L=D内の球数,均:図 -6の (
D
/
6
区)xLの中の球数,
ρ2,t3,ρ
4 .それぞれ 2, 3, 4項の確率的係数,d
P
/命:圧力損
失,U 管内平均流速,t
も:平均粒子速度,Uj図 -6の D/6区内の流速,的:向上内の粒
子速度, γ:比重量, θ:図 -5の粒子堆積角, ρ:密度,
。
i:全圧力勾配, 加水のみの圧力勾配, s 粒子, w:水
添字
ー凶HM
ド
"
、p
h41-4
式 (2)の各項の誘導は次の通りである。
nHVFhd
唱ZA
(1) 全圧力損失項:
(
π/4)D2L(φ/
批);である。 こ、で(ゆ/批)i
は図 -3の D
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dC
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sの値を修正し
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sの値3) より求める。
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1
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1
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0
の Cvは
,
)去+1}
C
v=1/
{
(~ -1
た
。
(2) 粒子転動摩擦項:
図 -4に示す転がり摩擦の考え方より
F mg!/(d/2)
二
とすれば,粒子転動摩擦項は
k
.(
π/6).d3n.(ρsρ )g'2!/d
出
(
3
3
)
φの中
4
2
2
奥田教海・山岸英明
F
寸ト
f
図 -4. 転がり摩擦
図ー
5
. 管底に堆積している球群
となる。浮遊粒子が管底に堆積したと仮定したとき管壁に接触する粒子数を図 -5により計算
C・(D/d)Sを考慮すれば,浮遊状態で接触粒子数の nに
し,L=D内の粒子数 n= (3/2)・
対する割合は
{2 ¥ {d,
¥(
{D
8 ,
k=ρ
2
.~ 3~Cハ万 J l\ d- 1 Jz一 +q
1
¥
1
)
(3) 粒子速度変動抗力項:
/7乗則より求め,粒子速度
図 -6に示す D/6区ごとに流速と粒子速度を考える。流速は 1
は,平均速度比 u
s
/
uの値より各区ごとに想定し,半数の粒子は衝突によりその速度の 95%に減
速されると仮定する。その速度とその区の流速の差より粒子速度変動抗力項を求めると,
~+nj"
PS. CDS!. (
7
r/4)d2.(
P
w
/
2
)
.
(Uj-USj)2
となる。
流速分布
(4) 全粒子抗力項:
濃度比分布
管断面の区分
前項の外に,全区の粒子に対して,流れと粒子
の平均速度差に関する粒子の抗力を考えると,
ρ
4・CDs2・n
(π
/
4
)d2.(ρ /
2
)・(U-Us)2
却
となる。
(5) 水のみの圧力損失項:
国 -6
. 粒子速度変動抗力項の計算
π
(/4) D2L.(
φ/命)加である。
以上を式(1)の形にまとめ,両辺を n (
1
C
/6) d
S
y
sで割って無次元化すると,式(2)が得
られる。Co
s
!
=
2
.
0, CDS2=1
.5
,/=d/4 と仮定すれば,実験結果より,式(2)の各項の
値があ, /
J
s
,
P
4を除き求められる。
(
3
4
)
円管内における粒体の水力輸送
4
2
3
第 7報
I
V
.計 算 結 果
採り上げた実験例は,
(1)低濃度管底流
(C=1
.5-4.8%) 18例
(2)高濃度管底流
表 ~1
分類
(C=8.2-10.9%) 6例
(3)低濃度部分流
(C=2.1-7.7%) 12例
i
j
l
[
5
]
確率的係数
P
2
P
3
0
.
5
5
8
0
.
7
8
8
0
.
4
7
0
0
.
9
3
8
0
.
7
4
3
0
.
0
6
3
0
.
0
3
3
0
.
0
1
7
P
4
O
.
~0.033
~0.084
(4)低濃度均一流
(C=2.8-6.8%) 1
0例
(5)高濃度均一流
。
OIl-A
A
T
-
t
o
FBEEトEEE﹄
各項の割合%
各項の割合の見方
1
0
0
?よ
∞ o
(C=12.5-14.2%J 4例
、
、、
、
4
。
r
"
,
5
デ4
1
5
1
0
F
r
o
図一 7
.低濃度管底流 c
=1. 5~4.8%
I
D
O
各項の割合%
5
0
。
1
0
1
5
丹d
2
.
0
図 - 8低濃度部分流, C=2.1~7.7%
(
3
5
)
。
0
.
0
8
6
。
1I
l
1
0
.
1
1
3
4
2
4
奥田教海・山岸英明
1
0
0
各項の割合%
$
0
。
20
阪
F
r
d
25
図 -9 低濃度均一流,
30
C=2.8-6.8%
-管底流
高濃度均一流
0部分流
高濃度管底流
。均一流
割合%
低濃度管底流
。
低濃度部分流
5
F
r
d
低濃度均一流
。
3
国一 1
0 粒子転動摩擦項の割合
である。最小自乗法による計算の結果,確率的係数は表 -1のように求められた。この九九九
の値を用いて更めて各項の値を出した。各項の全圧力損失項内に占める割合を求め図示したも
0である。
のは,図 7ー図 1
0
),また
転動摩擦項の割合は,管底流,部分流,均一流へと遷移するに従い小さくなり(図 1
管内濃度の高い場合は大きくなることが解る。
また (2J
, (3J
, (5Jの場合,
3, 4項に負の値が出ていることは,粒子がランダム運動
を行っていることを考慮すれば,粒子と流体との聞に運動量の交換が行われているものと考え
られるが, これについては, なお今後検討を要する。
(
3
6
)
円管内における粒体の水力輸送
v
.ま
と
4
2
5
第 7報
め
粒子浮遊状態の観測から付加圧力損失の内容の変化を,いくつかの妥当な仮定をおくことに
より,求めることができた。水力輸送管内の粒子流動機構を探る一知見としたい。
6年 5月 2
0日受理)
(昭和 5
文 献
1) 奥田教海,山岸英明ー室蘭工業大学研究報告, 9,(
2
)5
3
5(
1
9
7
7
)
2) 奥田教海室蘭工業大学研究報告, 8,(
3
)6
7
1(
1
9
7
6
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I
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3
7
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