2焦点ラインスキャンカメラ

2焦点ラインスキャンカメラ
株式会社ブルービジョン
当社は、
プリズムによる分光を用いた特殊カメラ、専用レンズの製造販売を行っている。
本稿では、プルズム分光技術を使用し、可視領域で異なる2面に焦点を結ぶようにラインセンサを
配置した2焦点ラインスキャンカメラ
(写真1)および専用レンズについて紹介する。
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開発の経緯と技術的特長
透明物体の表面と裏面の画像を同時に取得す
る、また、凹凸のある製品、部品の形状、キズな
どの同時判別には何らかの工夫が必要である。1 個
のセンサでは奥行き方向の異なった面に同時に焦
点を合わせることは困難だからである。光学的に十
分な被写界深度を確保する方法もあるが、距離情
報が得にくい問題もある。何らかの方法で異なった
焦点面の画像を得るには表1の方法が考えられる。
本カメラでは、被写体から反射または透過して
表 1 各種異焦点検出方式
異なった焦点面の撮像方法
特 長
複数のカメラを使用し、
簡単に構成できるが、
光軸を合わせる
異なった焦点面情報を得る。 ことは困難。
光学的に被写界深度を
深くとる工夫を行う。
深度、
光源の工夫により達成が
可能。
時間軸でOI長を可変し、
異なったOI長の撮像が簡単にできる
異なった焦点面情報を得る。 が、機構系の工夫が必要。
OI長とは、被写体から撮像面
までの距離をいう。
プリズム分光技術にて異なる 分光技術にて簡単に達成できるが、
焦点面を同時に撮像する。 専用レンズが必要である。
きた入射光をプリズムにて分光し、焦点面に配置
するラインセンサの位置を異なった位置に配置す
1.1 製品仕様
ることにより 2 焦点画像を得ている。
表 2 は、本製品の仕様である。
被写体からの入射光はビームスプリッターにて
2 つの像に分離される。プリズムからの射出光は、
画素サイズ 7μm、4,096 画素の可視光用ラインセン
サに結像してフォトンから電気信号に変換される。
この 2 つのセンサを光軸方向の異なった位置に配
置することにより 2 焦点画像の撮像を得ている。
そ れ ぞ れ の 信 号 は、DSNU 補 正、PRNU 補 正、
シェーディング補正、Gain 制御、露光制御、黒レ
ベル制御等がされたのちカメラリンク信号として出
写真 1 2 焦点ラインスキャンカメラ
eizojoho industrial
力する。図1は、ラインセンサの分光特性である。
April 2014︱51