マーケティング101 顧客を創り企業を創る 2015 磯野 誠 鳥取環境大学 マーケティング 101 ー 顧客を創り企業を創る 目的 このノートは、マーケティングに関心のある人に、その基本的な考え方を提供しようとするものです。 1.マーケティングの思考 経営におけるマーケティングの役割とは・マーケターの役割とは: 顧客を理解し、その価値を創ること。そしてその事業を成長させること。 マーケターとは、経営組織の中で顧客理解と顧客価値創造のリーダーとなる。 ※営業、販売とは異なる。 経営においてマーケティングが必要とされる理由とは: 顧客にとって価値のあるものを創らなければ、企業は利潤を上げることもできず、存続できない。 顧客価値を創るためには、その顧客が何に価値を見出すのかを理解しなければならない。その顧客とは、 自分ではない他者。本来、他者のことは、理解し難い。 また顧客が見出す価値とは、競合(競合事業(製品・サービス))の働きかけによっても影響される。 その理解し難い他者であり、競合に影響を受ける顧客を理解し、価値を創るために、それを専門的に担う マーケティングが必要とされている。 2.マーケティング・プロセス(顧客価値創造のプロセス) いかに顧客価値を創るか S → R&E → WHO(S&T) → WHAT(C&D) → HOW(P&D) → I → C 戦略目標設定 → 調査 → 顧客の定義 → コンセプト定義 → 展開計画 → 実行 → 評価 1.戦略目標を設定する 2.R&E:業界、競合、自分、顧客市場を理解する 3.WHO(S&T):対象とする顧客を設定し、彼らのことを理解する 4.WHAT(C&D):コンセプトを定義する or ブランドプロミスを設定する 5.HOW(P&D): (1)いかに伝えるか、(2)いかに届けるか、を考える 6.I:実行する 7.C:評価・修正する 3.顧客理解とニーズ仮定・検証の方法 顧客・市場調査とそれからの知見をもとにしてニーズを仮定、検証する ー顧客定性調査:ニーズの探索、ニーズの仮定づくり(こんなニーズがあるのではないか) 例:インタビュー(グループ、対面、深層など)、観察など ー顧客定量調査:1.顧客市場の傾向把握(例:健康に関心のある20代女性はどれ程いるのか) 2.仮定されたニーズの検証(例:このニーズは本当にありそうなのか)、PI 例:アンケート調査など Contact 磯野 誠 鳥取環境大学経営学部 准教授 鳥取県鳥取市若葉台北1−1−1 Tel/Fax: 078-813-9115 [email protected] www.makotoisono.com 4.価値を創るためにすべきこと S(Strategy):戦略目標として、次を設定・確認する: ーこの経営・事業の最終的な目標とそれを達成するための基本的な戦略とは何か ーこの経営・事業の領域はどう定義されるか R&E (Resource & Environment):資源・環境分析として、次を理解しておく: −事業が位置する業界・市場の状況、競合となるもの −自社の力、自分の強み、自分ができること −この業界・市場の一般的な顧客 ーどんな顧客、ニーズがありそうか(市場機会) WHO(S&T) (Segmentation & Targeting):顧客の定義として、次を考える: −この事業(製品・サービス)の周りにどのようなタイプの顧客がいるのか、どんなニーズか −この事業(製品・サービス)の顧客とは、どのような人であるべきか、どんなニーズがあるのか (S&T の背景)人は皆、違う。誰にとっても価値があるものを創るのは不可能。従って特定の人のみを「顧 客」と定義し、その人にとっての価値を理解し、それを実現する。 WHAT(C&D) (Concept & Design):事業のコンセプトを定義する −この事業(製品・サービス)は、その顧客、ニーズに対して何を提供するのか その顧客にとっての便益・意味とは(「もの」と「こと」、機能と情緒を考える)(価格含む) その顧客にとっての便益・意味の表現(デザイン) 差別化ポイント:その事業(製品・サービス)のみが提供できるもの 同質化ポイント:他の事業(製品・サービス)が提供できて、そのブランドも提供できるもの あるいは、WHAT(BP)(Brand Promise) :事業のブランドプロミスを定義する ーこのブランドは、その顧客に対してどのようなイメージ(意味、連想、印象)を提供するのか ブランドプロミス:そのブランドが提供しようとする、顧客にとっての憧れ、夢、世界観 ブランドメタファー:そのブランドとは例えるなら____のようなもの 差別化ポイント:そのブランドのみが提供できるもの 同質化ポイント:他のブランドが提供できて、そのブランドも提供できるもの HOW(P&D) (Promotion & Distribution):いかに伝えるか、いかに届けるかについて、次を作成する: −いかにそれを顧客に伝えるか(宣伝方法(ネット、マスコミ、口コミなど)、キービジュアル) −いかにそれを顧客に届けるか(小売(ネット含む)、配送方法) あるいは、HOW(BE)(Brand Expression) :ブランド表現(顧客ブランド経験)として、次を作成する: ―ブランドを知る場面(CM、ポスターなど) キービジュアル含む ―ブランドを買う場面(店頭、パッケージ、接客など) ーブランドを使う場面(商品・サービス中身、使用中など) ーブランドを伝える場面(口コミなど) I (Implementation):実行する C (Control):評価と修正として、市場に出したもの・ブランドを分析する −誰が買っているのか(誰がその価値を見出しているのか)、どこで買ったのか、何で知ったのか) −今後、誰に、どうやってその価値を伝え、提供していくべきか S:戦略目標 顧客価値実現フレーム R&E:環境・資源分析 業界、競合 一般的な顧客の傾向 自社 市場機会 WHO=S&T:顧客 対象とする顧客・ニーズ WHAT=C&D:コンセプト&デザイン 便益・意味( 「もの」と「こと」 ) (機能と情緒) 対象としない顧客・ニーズ デザイン 価格 差別化ポイント HOW=P&D:伝え方、届け方 伝え方 同質化ポイント 届け方
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