コネクティビティの高まりがもたらす変革 - The Economist Insights

コネクティビティの高まりがもたらす変革
アジアのビジネスリーダーが模索する新たな時代への対応
ザ・エコノミスト・インテリジェンス・ユニット報告書
[エグゼクティブ・サマリー]
協賛:
コネクティビティの高まりがもたらす変革
アジアのビジネスリーダーが模索する新たな時代への対応
目次
本報告書について 2
はじめに
3
1. 対応準備の重要性
5
7
人材獲得戦略はさらに積極化
2. 対応の阻害要因
8
収益性の高い企業にとって、
データのスピード・複雑性は新たな課題
9
サイバーセキュリティへの対応
9
おわりに
11
© The Economist Intelligence Unit Limited 2014
1
コネクティビティの高まりがもたらす変革
アジアのビジネスリーダーが模索する新たな時代への対応
報告書に
ついて
「コネクティビティの高まりがもたらす変革」は、
●調査対象者の約半分(49%)は、年間 5 億米
ザ・エコノミスト・インテリジェンス・ユニット
ドル以上の収益がある企業に所属している。回答
(EIU)が Cisco の協賛の下で作成した報告書だ。
者の所属業界は 19 にわたっており、特に割合が
アジア太平洋地域における “コネクテッドネス”
多いのは製造(15%)
・金融サービス(14%)
・
の高まりをうけ、企業がどのような姿勢を示して
IT やその他テクノロジー(11%)などのセクター
いるのか、そしてどの程度対応準備ができている
だった。
のかといった点について検証することを目的とし
●回答者の多くは、経営全般(46%)・戦略およ
ている。
び事業開発(36%)
・マーケティングおよびセー
本報告書の内容は、2014 年 5 〜 7 月にかけ
ルス(25%)などを主な職務としている。
てアジア太平洋地域の 11 カ国を拠点とする企業
役員 532 名を対象としたアンケート調査に基づ
今回は、上記アンケート調査と併せてデスクリ
いて作成された。
サーチも行われた。本報告書内で示される金額
は、全て米ドル換算で表示している。本報告書の
●調査対象者の約半数(49%)は、C レベル役員
作 成 に あ た っ て は、Kim Andreasson が 執 筆、
をつとめており、そのうち CEO は 165 名。全
Charles Ross が編集を担当した。本報告書の内
ての回答者はアジア太平洋地域を拠点としており、
容はザ・エコノミスト・インテリジェンス・ユニッ
特に割合が多いのはインド(15%)・オーストラ
ト(EIU)が独自に作成したものであり、その調
リア(14%)・中国(14%)・日本(10%)・韓
査結果や見解は必ずしも協賛企業の見方を反映す
国(10%)といった国々だ。
るものではない。
“コネクテッドネス(connectedness)”の定義について
本報告書内で使われている“コネクテッドネス
データ量の増加、そして二極分化するビジネストレン
(connectedness)”という言葉は、インターネッ
ドやテクノロジー、知識の深化がもたらす機会を活用
トあるいは相互接続でつながった状態にある人や端末
する企業の能力といったテーマを検証する。
の数が、過去に例を見ないほど増加した状態を意味す
る。本書では、コネクテッドネスの向上により生じる
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2
コネクティビティの高まりがもたらす変革
アジアのビジネスリーダーが模索する新たな時代への対応
はじめに
アジア太平洋地域のインターネット・ユーザー
ネスがもたらす潜在メリットの活用に向けた投資
数は、過去 10 年内でほぼ 4 倍に増加した(2005
がビジネスの成否を左右すると考えている。自社
年の 3440 億人から 2014 年の 13 億人) 。 同
の人材・プロセス・テクノロジーの変化対応力が、
地域におけるビッグデータの市場規模も、その半
コネクテッドネスを活用するために重要だという
分程度の期間で 4 倍に達することが予測されてい
記述に同意した回答者も、ほぼ同様の割合を占め
る(2012 年の 5 億 4800 万米ドルから 2017
た(図 1 参照)
。
年の 23 億 8000 万米ドル) 。そして企業は、イ
しかし、思い描いた理想が常に実現するとは限
ンターネット・コネクティビティ(接続性)の拡
らない。今回の調査結果によると、アジア太平洋
大やテクノロジーの進化といったトレンドを、顧
地域を拠点とする多くの企業は、このトレンドを
客の理解力向上や自社の人材・プロセス改善につ
活用すべく投資を行っている。しかし、全ての企
なげる機会を模索している。
業で同様の効果が上がっているわけではないよう
競争が激化する市場では、“コネクテッドネス”
だ。また、
新たな機会の活用を模索する経営幹部が、
の活用が市場での差別化要因となることも多い。
コネクテッドネスの向上がもたらすリスクを軽視
本報告書の作成に際して実施されたアンケート調
する傾向も見られる。
1
2
査の結果によると、アジア太平洋地域を拠点とす
る回答者 5 人のうち 4 人以上は、コネクテッド
図1:変化への対応力は重要
企業がコネクテッドネスの向上を活用する上で、人材・プロセス・テクノロジーを変化に
対応させる能力は重要ですか?
(回答者の割合:%)
重要でない
わからない
11%
3
%
重要だ
86%
1
ITU World
Telecommunication/
ICT Indicators database
(注:2014 年のデータは予測値)
2
International Digital
Corporation (IDC):
http://www.idc.com/
getdoc.jsp?containerId=
AP2670103V
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コネクティビティの高まりがもたらす変革
アジアのビジネスリーダーが模索する新たな時代への対応
アジア太平洋地域におけるコネクテッドネス:5つの重要なトレンド
コネクテッドネスの活用は、ビジネスの成否を左右
する要因だ:今回調査対象となった企業役員は、コ
ネクテッドネスの活用に向けた積極投資の姿勢が、
企業の成功と失敗を分ける要因となると考えてい
る。
を含む)が、その他回答者よりも多く見られた。
企業による変化への対応準備が、人材獲得競争の激
化につながる国もある:ベトナムをはじめとする新
興国市場の企業は、競争相手からの人材引き抜きを
積極的に行う傾向がある。
対応準備が整っていないと考える企業はごく少数:
アジア太平洋地域は新たなコネクティビティ時代へ
の対応準備が整っていないと考える回答者は、全体
アジア太平洋地域では進化のスピードにギャップが
生じている:同地域には、企業が意思決定に反映さ
の3分の1にとどまっている。
せるため消費者データへのアクセススピード向上に
Cレベル役員は、コネクテッドネスがもたらす収益
ンフラの不備により、消費者とコミュニケーション
拡大の可能性に高い関心を示している:今回の調査
を図る能力自体が阻害されている市場も見られるよ
では、コネクテッドネスの向上がさらなる収益拡大
うだ。
取り組む市場も存在する。その一方で、電気通信イ
の機会をもたらすと考える経営幹部(Cレベル役員
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コネクティビティの高まりがもたらす変革
アジアのビジネスリーダーが模索する新たな時代への対応
1
対応準備の重要性
コネクテッドネスをどの程度重要と考えている
た。また、ほぼ全員の回答者(93%)が、コネク
かは、所属する業界によって異なるようだ。その
テッドネスの向上によりイノベーションの可能性
潜在価値を活用するために、自社の人材・プロセ
が商品・サービス分野で高まるという見方に同意
ス・テクノロジーを変化に対応させる能力が重要
している。一方、収益向上機会の拡大につながる
だと答えた回答者は、データが重要な役割を果た
と答えた役員(C レベル役員を含む)は 37%で、
す IT・テクノロジー(51%)、ヘルスケア・製薬・
同様の回答をしたその他の企業役員の割合(22%)
バイオテクノロジー(50%)といったセクターで
を上回った。しかし両者はともに、その結果生じ
多く見られる。一方、建設・不動産(28%)や製
た投資利益の価値を評価するのは困難だという見
造(33%)といった従来型セクターでは、その割
方を示している(図 2 参照)
。
合が比較的少なかった。
コネクテッドネスの向上がもたらす最大のメ
ではこの機会を最大限活用するため、経営リー
リットとして回答者が挙げたのは、消費者データ
ダーはどのような変革を視野に入れているのだろ
へのアクセスや消費者行動に対する理解の向上
うか?
(42%)だ。次いで多く挙げられたのは、商品・サー
テクノロジー分野で、現在の最重要トレンドと
ビス力の向上(39%)、内部効率の向上(37%)だっ
して挙げる回答者の割合が最も多かったのはモバ
図2:コネクテッドネスの向上がもたらすメリットについて、回答者の見方は大枠で一致
Cレベル役員とその他役員の見解は?
(回答者の割合:%)
Cレベル役員
その他役員
コスト削減
50%
内部効率の向上
40%
商品・サービス力の向上
30%
20%
収益の拡大
10%
消費者理解の向上
0%
イノベーションの拡大
コンプライアンスの向上
透明性の向上
不正行為・悪用の発生率低下
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コネクティビティの高まりがもたらす変革
アジアのビジネスリーダーが模索する新たな時代への対応
イル端末だ。しかし、この結果は今後変化する可
所属企業は 5 つのうちどの分野で潜在メリット
能性が高い。
を追求するかという質問に対し、最も多くの回答
今回の調査結果によると、回答者は今後 3 年間
者(49%)が挙げたのは、従業員の生産性向上だ
でテクノロジー投資の重点がビッグデータやアナ
(例:より少ないマン・アワーで同じ成果を達成す
リティクスに移行すると考えているようだ(図 3
ること)
。特にこの回答が多く見られたのは、シ
参照)
。特にデータの重要度が高い、専門的サービ
ンガポール(69%)やオーストラリア(58%)
、
ス(53%)や IT・テクノロジー(47%)、金融サー
フィリピン(58%)といった地域だ。しかし、経
ビス(43%)といったセクターでは、建設・不動
営リーダーは目標の実現が容易とは考えておらず、
産(35%)や製造(39%)などの従来型セクター
従業員の生産性を課題として挙げた回答者の割合
(24%)は 2 番目に多かった(最も多かったのは
よりもその傾向が明らかだった。
一方で、モバイル端末への追加投資を今後 3 年
顧客体験の 25%)
。
間で行うとした回答者は、33%にとどまっている。
ビジネスプロセスの分野では、部門間コーディ
この結果は、コネクテッドネスが成熟段階にさし
ネーションの向上を挙げる回答者が多かった
かかりつつあることの反映だろう。顧客とのつな
(38%)。しかし利益性の高い企業では、経営体制
がりを模索する初期段階から、もう1つのメリッ
の上部・下部間のコーディネーション向上(38%
トである顧客データの蓄積に重点がシフトしつつ
vs 25%)や意思決定の一元化(20% vs 12%)
あるのだ。
を挙げる回答者が、その他企業と比べて多かった。
この流れが影響を及ぼすのは、テクノロジーの
こうした結果から垣間見えるのは、新たな現実へ
分野だけではない。組織内で人材・プロセス面の
の適応を模索する企業が直面する課題の複雑さと、
改善を図る必要性も高まるだろう。
変化への対応に近道はないという現実だ。
図3:情報への投資
コネクテッドネスの向上に対応するため、現在そして今後3年間に企業が投資を行う
テクノロジー・トレンドとは?
(回答者の割合:%)
現在
今後3年間
33%
クラウドコンピューティング
41%
41%
ビッグデータ・アナリティクス
17%
17%
モノのインターネット
モバイル端末
33%
ソーシャルネットワーク
20%
17%
サイバーセキュリティ
ソフトウェア・ディファインド・
ネットワーク(SDN)
36%
44%
24%
21%
8%
7%
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コネクティビティの高まりがもたらす変革
アジアのビジネスリーダーが模索する新たな時代への対応
人材獲得戦略はさらに積極化
2に上っている。それとは対照的に、前者を優先
企業は、新たなテクノロジーや業務、ビジネス
た(図 4 参照)。今回の調査では、市場をリード
プロセスなどの分野で、コネクテッドネスの向上
する企業の間で積極的なアプローチをする傾向が
への対応準備を進めている。そして経営リーダー
強く見られた。収益力の高い企業とその他企業を
は、そのために求められる知識やスキルを従業員
比べた場合、今後 3 年間で競合企業からの人材引
が身につける必要性を認識している。この傾向を
き抜きを行うとした回答者が、前者では後者の約
反映するように、3 年後の雇用方針が今と変わら
2 倍に上っている(21% vs 12%)
。
するベトナムの経営リーダーは、3分の1を占め
ないと答えた調査対象者は、わずか 11%にとど
まった。しかし、スキル不足を補うために企業が
とる方策は、市場によって異なる。
回答者の多く(53%)は、人材の内部育成を最
適な方策と考えているようだ。例えば、競合企業
からの人材引き抜き(7%)よりも、内部育成を
優先するオーストラリアの経営リーダーは3分の
図4:人材獲得戦略は国によって大きな差が見られる
コネクテッドネスの向上に対応するため、今後3年間に企業が注力する人材戦略(回答者の割合:%)
海外からの人材雇用
12%
オーストラリア
10%
10%
53%
12%
15%
インドネシア
7%
56%
13%
14%
マレーシア
46%
29%
3%
67%
9%
9%
53%
6%
25%
韓国
べトナム
39%
24%
日本
タイ
45%
22%
インド
シンガポール
64%
7%
中国
フィリピン
競合企業からの人材引き抜き
内部人材育成の強化
52%
29%
8%
61%
16%
20%
32%
44%
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コネクティビティの高まりがもたらす変革
アジアのビジネスリーダーが模索する新たな時代への対応
2
対応の阻害要因
コネクテッドネスの活用を模索する企業は、組
国によって大きな開きがある。しかし今回の調査
織内外で数多くの課題に直面している。
では、消費者のネット・コネクティビティ拡大を
“外的” な阻害要因として最も多くの回答者
課題として挙げた回答者の割合が 4 番目にとど
(40%)が挙げたのは、技術インフラ・技術標準
まった。理由の1つとして考えられるのは、そも
だ(図 5 参照)
。だが結果の詳細を見ると、日本
そもインフラ整備が不十分な市場では、消費者の
(26%)をはじめとする先進国と、タイ(55%)
・
コネクティビティに対する企業の期待が低いこと
インド(49%)
・べトナム(48%)のような新興
だ。しかし、コネクテッドネスがもたらす機会を
国では回答者の割合に差が見られる。こうした差
活用する準備ができていると答えた企業の間では、
が生じる理由の1つは、既存インフラの質だろう。
消費者のネット・コネクティビティを課題と考え
しかし、このギャップを解消出来れば、新興市場
る回答者が倍増した。先進的な企業が現在のトレ
には大きな機会が眠っているという見方もできる。
ンドを最大限活用するためには、この課題の解消
が必要なのかもしれない。
アジア太平洋地域内のインターネット普及率は、
図5:ネット接続という課題
コネクテッドネスの向上を活用する際の阻害要因とは?
(回答者の割合:%)
人材:従業員のテクノロジー・スキル
財務:収益機会
人材:リモート接続・モビリティ
32%
28%
15%
財務:予算編成
プロセス:商品・サービスの開発
21%
26%
21%
37%
テクノロジー:データ分析
40%
プロセス:ビジネスプロセス管理
(例:内部効率)
テクノロジー:インフラストラクチャ・標準
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コネクティビティの高まりがもたらす変革
アジアのビジネスリーダーが模索する新たな時代への対応
収益性の高い企業にとって、
データのスピード・複雑性は
新たな課題
分析(32% vs 39%)の際の情報抽出を課題と
考える回答者は少なかった。
サイバーセキュリティへの対応
コネクテッドネスの活用をつうじて意思決定力
コネクテッドネスの向上がもたらす機会の活用
の向上を図る際の “内部” 課題として多く挙げられ
に必要なのは、対応準備を整えることだけではな
たのは、データの複雑性(32%)、コスト・資金
い。それにともなって生じるリスクへの対処を誤
調達(34%)、組織文化(34%)、従業員のスキ
れば、大きな損失につながる恐れがある。
ル不足(32%)などの項目だ(図 6 参照)。しか
メディアを賑わせた数々な事件を受け、サイバー
し収益性の高い企業では、組織文化を主な課題と
セキュリティは企業・政府の課題として近年ます
して挙げる割合(29%)が比較的少なかった(そ
ます重要視されるようになっている。今回の調査
の他企業では 40%)。また収益性の高い企業で
では、アジア太平洋地域を拠点とする企業役員の
は、データ量(24% vs 14%)やデータの複雑
4分の3が、セキュリティ上の課題はコネクテッ
性(40% vs 32%)を、意思決定力向上の課題
ドネスの向上を最大限活用する際の足かせになる
として挙げる割合がその他企業と比べて多かった。
という記述に同意した。
おそらく前者は、後者によって挙げられたような
その一方で、サイバーセキュリティを今後 3 年
初期段階の障害をある程度克服し、次の段階でも
間の主な投資分野として挙げた回答者は、全体の
たらされる課題に直面しているのだろう。
わずか5分の1にとどまっている。またアジア太
収益性の高い企業では、情報への適時アクセス
平洋地域では、サイバーセキュリティを最も重要
を最大の課題として挙げる割合(48%)が多いと
でないテクノロジー・トレンドの1つと見なす回
いう調査結果からも、この見方の正しさが裏付け
答者が多く見られた(図 3 参照)
。これは大きな
られる(その他企業では 37%)。一方こうした企
損失につながりかねない憂慮すべき傾向だ。
業では、データ活用(30% vs 37%)やデータ
図6:収益性と課題の関係
直面する課題は、企業の収益性によっても異なる
(回答者の割合:%)
収益性の高い企業
その他企業
組織文化
40%
組織のコネクティビティの不足
データ量
29%
24%
拠点とする国のインフラ不備
22%
技術標準の欠如
16%
18%
14%
15%
14% 13%
30%
15%
23%
24%
規制
26%
リスク
40%
32%
23%
25%
30%
39%
データの複雑性
35% 従業員のスキル不足
25%
経営チームの認識不足
28%
プロセスの欠如
コスト・資金調達
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コネクティビティの高まりがもたらす変革
アジアのビジネスリーダーが模索する新たな時代への対応
米国の大手企業を襲ったサイバー攻撃には、多
すべてのセクターでデータへの依存度が高まる
くの注目が集まった。しかしマイクロソフトが、
現在、アジア太平洋地域でサイバーセキュリティ
2014 年にサイバー攻撃による最大の損失を被る
を軽視する傾向が見られるのは懸念材料だ。コネ
と予測するのは、アジア太平洋地域の企業だ(推
クテッドネスの向上が世界規模で進む中、セキュ
計 1380 億ドル) 。
リティの確保は優先事項の1つと見なされなけれ
同地域でサイバーセキュリティ軽視の傾向が見
ばならない。
3
られる理由の1つとして考えられるのは、関係者
の認識不足だ。例えば、データの重要性が高い金
融サービス(49%)や専門的サービス(40%)
といったセクターでは、建設・不動産(31%)や
製造(29%)といった従来型セクターよりもデー
タ侵害を懸念する回答者の割合が多かった。
Microsoft: http://www.
microsoft.com/apac/news/
PlayItSafe.aspx
3
© The Economist Intelligence Unit Limited 2014
10
コネクティビティの高まりがもたらす変革
アジアのビジネスリーダーが模索する新たな時代への対応
おわりに
アジア太平洋地域を拠点とする企業は、コネク
今後の動向を考える上で憂慮すべき事態といえる。
テッドネスの向上がもたらす機会を認識している。
収益性のレベルなどによって、対応の進み具合に
情報社会がもたらすメリットを最大限活用する
は差が見られる。しかし、データを重視するビジ
ためには、民間セクターと公共セクターが連携し、
ネス体制へのシフトは、全ての企業にとって優先
ICT インフラやインターネット普及率の拡大を図
事項だ。
る必要がある。グローバルなビジネス環境で競争
こうした取り組みが遅々として進まない理由の
に打ち勝つための機会を今捉えることは、どの企
1つは、優先事項の順位づけを行う意識の不足だ。
業にとってもきわめて重要な課題なのだ。 特にコネクテッドネスの向上がもたらすサイバー
セキュリティのリスク拡大を軽視する傾向が見ら
れること(とりわけ従来型セクターの企業)は、
© The Economist Intelligence Unit Limited 2014
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本報告書に記載された情報の正確を期すためにあらゆ
る努力を行っていますが、
ザ・エコノミスト・インテリジェン
ス・ユニットは、第三者が本報告書に記載された情報、
見解、調査結果に依拠することによって生じる損害に
関して、一切の責任を負わないものとします。
LONDON
20 Cabot Square
London
E14 4QW
United Kingdom
Tel: (44.20) 7576 8000
Fax: (44.20) 7576 8500
E-mail: [email protected]
NEW YORK
750 Third Avenue
5th Floor
New York, NY 10017
United States
Tel: (1.212) 554 0600
Fax: (1.212) 586 1181/2
E-mail: [email protected]
HONG KONG
6001, Central Plaza
18 Harbour Road
Wanchai
Hong Kong
Tel: (852) 2585 3888
Fax: (852) 2802 7638
E-mail: [email protected]
GENEVA
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1206 Geneva
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