(1月号)(pdf)

今月の情報
①園芸野菜 病害虫防除情報
②堆肥の基礎知識
③「養液土耕栽培」について
注意とお願い
掲載されている農薬登録内容は掲載時点の登録内容です。
農薬を使用する際には、最新の登録内容をご確認ください。
JA全農ちば
平成27年1月
営農販売企画部
営農技術情報集のカラー版や、その他の営農情報は全農ちばHP内営農情報コーナーにて公開中!
全農ちばHP<http://www.cb.zennoh.or.jp/index2.html>
営農情報
平成27年1月
園芸野菜 病害虫防除情報
JA全農ちば
営農販売企画部
1
はじめに
灰色かび病・うどんこ病のような低温性の病害が引き続き発生します。また、微小害虫の発
生も今後増えてくるため、苗床の対策が不足すると春作の害虫多発生に繋がります。
2 施設作物 微小害虫対策(コナジラミ類・アザミウマ類など)
微小害虫対策で重要なのはハウスへの侵入を減らすことです。現在コナジラミやアザミウマは
越冬作型のハウス内やハウス内の雑草・ハウス周辺の雑草に生息しており、育苗ハウス内へ侵入
し増殖します。初期発生量が多ければウイルス病等の被害も甚大になります。害虫の侵入防止対
策が重要ですので、下記の事項を再確認しましょう。
□ ハウス開口部に0.4mm目合いの防虫ネットを張り、出入口は二重になるようにしましょう。
□ 防虫ネット等にほつれが無いか確認しましょう。
□ 黄色粘着版(アザミウマ類対策を主体とする場合は青色粘着版)を吊るし、予察・捕殺を
行いましょう。
□ 前作残渣は、きちんと枯らしてから処分しましょう。
□ ハウス周辺の除草を実施しましょう。
□ ハウス内では、花など害虫が集まりやすい作物の栽培は控えましょう。
①入れない・
持ち込まない
②増やさない
③出さない
人
×
苗
①入れない・持ち込まない
・ハウス開口部に目合い
0.4mm のネットを張る。
・出入口は二重扉にする。
・ハウスに入るときは服をて
いねいに払う。
②増やさない
・殺虫剤による防除。
・黄色粘着板(コナジラミ類)・
青色粘着版(アザミウマ類)を
つるし、予察や捕殺を行う。
・ハウス内と周辺の除草を行う。
③出さない・④繋げない
・栽培終了後はハウスを
締め切り、残渣は枯死
させて処分する。
・次作への間隔を十分に
開ける(約45日間)
農作業安全管理機の巻き込み事故注意!食の安全安心農薬の調合順序は①展着剤②乳剤③水和剤・フロアブルの順。
※ 本資料の無断使用・複写・転載を禁じます JA全農ちば
営農情報
3
平成27年1月
イチゴ[ハダニ類・うどんこ病]
①ハダニ類
越冬したハダニ類の防除が遅れると、春先に多発する原因となりますので、定期的に防除
を実施しましょう。
〇イチゴ ハダニ類 防除薬剤
対象病害虫
ハダニ類
薬剤名
マイトコーネフロアブル
カネマイトフロアブル
コロマイト水和剤
希釈倍数
1000
1000~1500
使用時期
収穫前日
収穫前日
使用回数
2 回以内
1回
2000
収穫前日
2 回以内
備考
天敵へ
影響アリ※1
ダニサラバフロアブル※2
1000
収穫前日
2 回以内
スターマイトフロアブル※2
2000
収穫前日
2 回以内
※1 天敵はチリカブリダニ・ミヤコカブリダニを指す
※2 ダニサラバ・スターマイトは同系統の薬剤なので、連用・多用は避ける
②うどんこ病
適温は 20℃前後で、乾燥と多湿を繰り返すと被害が拡大します。
冬場閉め切っているハウスはうどんこ病の好適な環境になる
ため、多発しやすくなります。
ガッテン乳剤やプロパティフロアブルのような治療効果を持つ
薬剤は発生前~発生初期に使用し、予防剤でうどんこ病が低密度
の期間を長く保つことが上手な薬剤の使い方です。
○いちご うどんこ病 防除薬剤
対象病害虫
薬剤名
希釈倍数
使用時期
使用回数
ベルクートフロアブル
2000~4000 収穫 3 日前
2 回以内
アフェットフロアブル
2000
収穫前日
3 回以内
うどんこ病
ガッテン乳剤※3
5000
収穫前日
2 回以内
プロパティフロアブル※3
3000~4000
収穫前日
3 回以内
トリフミン水和剤
3000~5000
収穫前日
5 回以内
※3 ガッテン乳剤、プロパティフロアブルは多用せず、1作1回の使用に抑える
備考
予防
予防
予防・治療
予防・治療
予防・治療
4 果菜類[灰色かび病] (トマトなど)
果実に付着した花弁・枯れ葉が残っていると、その部位から発生します。そのまま放置せず、
集めてからハウス外へ持ち出し、埋却処理等による処分を行いましょう。
○大玉トマト 灰色かび病 防除薬剤
対象病害虫
薬剤名
希釈倍数
使用時期
ベルクートフロアブル
2000
収穫前日
フルピカフロアブル
2000~3000
収穫前日
灰色かび病 アフェットフロアブル
2000
収穫前日
セイビアーフロアブル 20
1000~1500
収穫前日
ゲッター水和剤※4
1000~1500
収穫前日
※4 ゲッターはトップジンMと同成分を含むので総使用回数に注意。
使用回数
3 回以内
4 回以内
3 回以内
3 回以内
5 回以内
備考
予防
予防
予防
予防・治療
予防・治療
作成者:名雪
農作業安全管理機の巻き込み事故注意!食の安全安心農薬の調合順序は①展着剤②乳剤③水和剤・フロアブルの順。
※ 本資料の無断使用・複写・転載を禁じます JA全農ちば
営農情報
平成27年1月
堆肥の基礎知識
JA全農ちば
営農販売企画部
1.堆肥を有効活用した土づくり
堆肥とは家畜ふんや落ち葉などの有機物を微生物が分解、発酵したものであり、土壌の性質
を改善し地力を高める効果や作物に養分を供給することなど多様な機能を発揮します。土づく
りの一貫として 1 年に 1 回は堆肥を施用しましょう。
2.堆肥の主な効果
①物理性の改善
土壌中で堆肥が分解されることにより、土壌の団粒化が進んで土が柔らかくなります。団粒
構造ができると土壌中の孔壁が増え、通気性と保水性が改善されます。また根の張りも良好に
なり、水分や養分の吸収力が高まります。
②有用微生物の増加
土壌微生物は堆肥中の有機物をエサとするため、堆肥を施用することにより微生物が増殖、
多様になります。それにより土壌の団粒化の促進、腐植含量の増加による保肥力の改善、有機
物の分解促進、有害な病原菌の増殖を抑えることなどの多様な効果が期待できます。
③化学性の改善
堆肥中には窒素、リン酸、カリ、苦土などの肥料成分が含まれています。堆肥を施用するこ
とで基肥肥料の減肥が可能になります。加えて鉄、銅、亜鉛、マンガンなども含まれており、
慣行の施肥では補給することが難しい微量要素の補給も行うことができます。
3.堆肥の特徴
堆肥の特性は、家畜ふんの種類や副資材(オガクズ、稲わら)などの混合の有無によって大
きく異なるので、施用する目的によって種類を選ぶ必要があります。
①植物質主体の堆肥:植物性の堆肥の肥料効果は低く土壌の物理性や生物性の改善を主として
用います。繊維分が多いため分解に時間がかかりますが、効果が持続します。
②鶏ふん主体の堆肥:肥料成分は、牛ふんのほぼ 3~4 倍、豚糞の約 1.5~2 倍含有されていま
す。他の家畜ふんと比べれば石灰、リン酸の含有量が高いことがあげられるので、土壌改良の
ための堆肥では無く、有機質肥料と考えて施用し、多量施用は厳禁です。
(施用量のめやす・・・500㎏/10a)
③豚ふん主体の堆肥:肥料成分は鶏ふんと牛ふんの中間です。鶏ふんと同様に肥料成分を多く
含んでいるため、多量施用には注意が必要です。
(施用量のめやす・・・1000㎏/10a)
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平成27年1月
④牛・馬ふん主体の堆肥:肥料成分は鶏ふんや豚ふんを堆肥化したものより少なく肥効も穏や
かです。肥料効果よりも土づくり的な意味合いをもった堆肥として施用します。
(施用量のめやす・・・2000㎏/10a)
★ 使用用途別に大きく分けると以下のようになります ★
『土づくり的な堆肥 : 植物質 > 牛・馬ふん > 豚ふん > 鶏ふん』
『肥料的な堆肥
: 鶏ふん > 豚ふん > 牛・馬ふん > 植物質』
資料:家畜分と処理物の肥料成分含有量(平均)(農林水産技術会議収集資料 1974 より抜粋)
(単位:現物%)
水分
窒素 リン酸 カリ
石灰
苦土
生
65.4
1.66
2.92
1.79
5.60
0.87
鶏糞堆肥
発酵
61.5
1.40
2.58
1.15
2.55
0.24
乾燥
12.5
3.78
4.59
2.03
8.30
1.29
生
76.6
0.63
0.92
0.28
0.85
0.26
豚糞堆肥
発酵
41.6
1.64
2.83
1.05
生
81.9
0.43
0.38
0.29
0.45
0.18
牛糞堆肥
発酵
72.8
0.67
0.60
0.85
0.63
0.23
乾燥
31.2
1.11
1.72
1.23
※鶏糞堆肥は石灰・リン酸含有量が多いので、過剰施用は避けましょう
4.堆肥施用の注意点
①十分に分解・発酵した完熟堆肥を用いる。
未熟な堆肥は発芽障害、ガス害、タネバエ(病害虫)などの問題が発生しやすくなるので、
必ず完熟した堆肥を用いる。
②過剰な施用に注意する。
堆肥の過剰施用は土壌の養分バランスが崩れます。一度崩れてしまった養分バランスを元の
健全な状態に戻すためには長い年月がかかってしまいます。定期的な土壌診断を行って土壌の
養分状態を確認し、過剰な施用を控えましょう。
③目的に応じて堆肥の種類を使い分ける。
堆肥の成分は種類によって効果が大きく異なります。目的に応じた堆肥選びを行いましょう。
ご 紹 介
~千葉県内で生産されている「家畜ふん堆肥」や「畜産農家」を検索し、
堆肥の成分や販売方法などを
知ることが出来ます。~
千葉県堆肥利用促進ネットワーク
URL:https://www.pref.chiba.lg.jp/chikusan/taihiriyou/kensaku.html
作成:金坂
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平成27年1月
『養液土耕栽培』について
JA 全農ちば
営農販売企画部
1.『養液土耕栽培』とは?
「養液土耕栽培」は、土の良さを活かしながら、養液栽培の施肥の考え方を取り入れた栽培
方法であり、土耕栽培で、液肥を利用し、潅水同時施肥をする栽培です。
施肥方法は、栽培品目や栽培管理などによって変更しますが、基肥を少なくし、肥料と水を
必要な量だけ毎日施用することを基本としています。
2.『養液土耕栽培』の特長
(1)作業の省力化
潅水、施肥の自動化により、労働時間の短縮や作業の軽減ができます。
(2)収量の増加、品質の向上
短縮、軽減された作業時間で他の管理作業ができるため、管理作業の遅れが減少します。
また、液肥により適期に肥培管理できるため、生育後半の成り疲れなどが軽減できます。
適期管理、適期施肥により、収量の増加、品質の向上が期待できます。
(3)肥料コストの低減
液肥により必要な時に必要な分だけ施用するため、適正施肥をしやすくなります。そのた
め、肥料代の低減も期待できます。
(4)生育の均一化
点滴チューブによる均一な潅水施肥により、生育が揃いやすくなります。
3.必要資材
「液肥混入機」および点滴チューブなどの「潅水資材」や「液肥タンク」などが必要になり
ます。また、液肥には、専用肥料をお勧めします。
【設置イメージ】
① 原水フィルター
【液肥混入機】
② 減圧弁
ONSシリーズ
③ 液肥混入機
(OATアグリオ)
④ 液肥タンク
⑤ 攪拌機
液肥混入機は、用途
⑥ 電磁弁
や圃場条件に合わ
⑦ 点滴チューブ
せ、いくつかのタイ
プがあります。
以前からトマト、ピーマン、イチゴなどの果菜類を中心に導入されています。また、土壌病
害等が心配な圃場では、隔離栽培と組み合わせた導入もできます。
近年、大規模化や法人化が進むなかで、作業の省力化や雇用の活用等が重要になっています。
このような課題解決の一つのアイテムとして、是非ご検討ください。
作成:林
農作業安全管理機の巻き込み事故注意!食の安全安心農薬の調合順序は①展着剤②乳剤③水和剤・フロアブルの順。
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