当院における診断結果とプロカルシトニンの傾向

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当院における診断結果とプロカルシトニンの傾向
◎鈴木 裕介 1)、増川 浩範 1)、久保 清夏 1)、森川 潤也 1)
社会福祉法人恩賜財団済生会 大阪府済生会野江病院 1)
【目的】昨年の第 53 回日臨技近畿支部医学検査学会におい
【結果】期間中の 402 例を対象に血液培養を PCT と CRP、
て、我々は他の報告にもあるように PCT(プロカルシトニ
WBC の 3 項目と有意差検定を行ったところ
ン)は偽陽性疾患が多く、臨床所見と合わせ考慮することが
PCT(p<0.0001)、CRP(p<0.1973)、WBC(p<0.1075)となり、血
必要であるとした。日常よく利用される炎症マーカーであ
液培養に対して PCT の有意差がみられた。また、この時の
る CRP と WBC を組み合わせ、診断結果と比較しどのよう
PCT は感度 76%、特異度 46%であった。次に診療科から抽
な傾向を示すか追加検討したので報告する。
出した 227 例を疾患系統別に CRP/PCT を①、WBC/PCT を
【方法】2012 年 1 月~2013 年 4 月に血液培養(2 セット)と
②としたとき、敗血症①0.06~42.37 ②0.38~675、胆道系疾
PCT、WBC(白血球数)、CRP を同日に測定した 402 例を対
患①0.21~94.8②3.3~810、呼吸器系疾患①0.38~141.7
象とし血液培養と PCT(ng/mL)、CRP(mg/dL)、
②3.5~1410、泌尿器系疾患①0.02~86.8 ②2.24~790、膠原病
WBC(×10^2/μL)の有意差検定を行った。この内の 227 例(救
①0.7~66.1 ②38.33~1140 となった。
急集中治療科、血液内科、消化器内科、小児科の対象群)を
【結語】胆道系疾患の中には、胆管炎が多く PCT が高い傾
抽出し CRP/PCT、WBC/PCT を求め、主たる診断結果と比
向を示すものの CRP/PCT はあまり低くなかった。逆に呼吸
較・検討した。PCT 測定はスフィアライト・ブラームス
器系疾患は PCT が低い傾向があるが胆道系疾患と同様に
PCT(和光純薬工業)、血液培養は BactecFX システム
CRP/PCT はあまり低くなかった。敗血症の中でも重症度の
(BD 社)、白血球数は XE-5000、XE-2100(シスメックス社)、
高い敗血症性ショックの場合は CRP/PCT(0.06~0.89)となり
CRP 測定は BM6070、BM6050(日本電子社)を用いた。有意
全て 1 を下回る傾向がみられた。
差検定は JMP9 の Wilcoxon 検定にて行った。
大阪府済生会野江病院 06-6932-8600(内線 1207)