101

平成 25 年度電子情報通信学会東京支部学生会研究発表会
講演番号: 101
DFT-Precoded OFDMを用いるMIMO多重における
巡回シフトを用いる参照信号多重の影響
B-5
Effect of RS multiplexing Using Cyclic Shift for MIMO SDM for DFT-Precoded OFDMA
†
森 千尋
††
†
川村 輝雄
佐和橋 衛
Chihiro Mori†, Teruo Kawamura††, and Mamoru Sawahashi†
†
††
東京都市大学 知識工学部
株式会社 NTTドコモ
†
††
Tokyo City University
NTT DOCOMO, INC.
4. 計算機シミュレーション評価
図 3 に 4 x 4 及び 8 x 8 の MIMO SDM を用いたときの,RS 多重法に着目
した場合の指数減衰チャネルモデルにおける Root mean square (r.m.s)遅
延スプレッドrms に対する平均 BLER が 10-2 を満たすために必要な所要
平均受信 Signal-to-Noise power Ratio (SNR)特性を示す.図より,4 x 4
MIMO SDM の場合,rms が 0.1 s から 0.4 s 程度まで増大すると所要平
均受信 SNR は,周波数ダイバーシチ効果の増大に起因して若干低減して
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参考文献
[1] 3GPP TS36.211 (V8.9.0), Dec. 2009. [2] D. C. Chu, IEEE
Trans. Inform. Theory, vol. 18, pp. 531-532, July 1972. [3] 3GPP
R1-050822, Aug. 2005. [4] J. Wang and S. Li, Proc. PIMRC2007,
Sept. 2007. [5] A. Stefanov and T. Duman, Proc. IEEE
VTC’99-Fall, Sept. 1999. [6] P. Robertson, et al., Proc. ICC’95,
June 1995.
RS (4th block)
 Method 1
CS only
CS
#1
RS (11th block)
CS
#2
CS
#1
CS
#NTX
CS
#2
CS
#NTX
Despread for CS
Despread for CS
Coherent averaging
 Method 2
Combination of
CS and OC
CS
#1
CS
#NTX / 2
CS
#1
CS
#NTX / 2
Despread for CS
Despread for CS
Despread for OC
図 1. CS を用いる RS 多重法
#NRx
#1
1st stage
CP
deletion
Subcarrier
de-mapping
Receive
antennas
LMMSE
filter
De-inter
leaver
Channel
Estimation
DFT
Interference
canceller
LLR
calculation
IDFT
Max-Log-MAP
decoder
Generation of
soft-symbol
estimates
Interleaver
Nitrth stage
Max-Log-MAP
decoder
LMMSE
filter
Recovered bit
3. MIMO送受信部構成
本稿では,各送信アンテナから異なるチャネル符号化ブロックを送信す
る.従って送信ストリーム数はNTxに等しい.チャネル符号化には,符号
化率R = 1/2,拘束長4ビットのターボ符号を用いた.変調方式は16QAM
とした.送信帯域幅は10 MHz (サブキャリア数は300) とした.送信及び
受信アンテナ数NRxが等しい場合の特性を評価した (NTx = NRx = 4及び8).
MIMO SDMの信号分離には,ターボソフト干渉キャンセラ (SIC: Soft
Interference Canceller) [4]を用いた.図2にターボSICの構成を示す.多重
法1あるいは2の受信RSは逆拡散後,各サブキャリアのチャネル応答を重
み付き同相加算平均することにより,各サブキャリア位置のチャネル応
答を推定した.多重法1では,さらに2 RSブロック間で等重み同相加算平
均を行うことにより,多重法2では,2 RSブロックでOCの逆拡散を行う
ことにより,各サブキャリア位置の最終的なチャネル応答を求めた.タ
ーボSICにおいて,初回繰り返しループではFFT処理後の信号に,2回目
以降の繰り返しループでは,他送信ストリームの受信シンボル推定値を
受信信号から差し引いた後の信号に対して,線形平均2乗誤差最小
(LMMSE: Linear Minimum Mean-Square Error)フィルタにより残留他送信
ストリーム干渉を抑圧した.NRx受信ブランチのLMMSEフィルタの出力
信号を合成した信号と全ての送信ストリームの受信シンボルレプリカの
合成候補との2乗ユークリッド距離を計算した.そして最小2乗ユークリ
ッド距離から事後対数尤度比 (LLR: Log-Likelihood Ratio)を計算した[5].
事後 LLRを デイ ンタリーブ後, Max-Log-MAP (Maximum A Posteriori
probability)復号器[6]に入力した.ターボSICの最終繰り返し以外のループ
では,符号化ビットの事後LLRから各送信ストリームの軟判定シンボル
推定値を生成した.最終繰り返しループでは,Max-Log-MAP復号器出力
の事後LLRを硬判定することにより,送信ビット系列を再生した.
5. まとめ
本稿では,計算機シミュレーション評価により,
DFT-Precoded OFDMA を用いる 8 x 8 MIMO SDM に
おいて,CS のみを用いた RS 多重法では,rms / TCS が
5 - 10%程度に増大した場合に ICI に起因して所要平
均受信 SNR が増大することを示した.また,CS 及び
OC を併用する RS 多重法は,ICI に起因する所要平均
受信 SNR の増大の抑圧に有効であることを示した.
FFT
2. チャネル推定のための参照信号 (RS)多重法
本稿では,Long-Term Evolution (LTE)の上りリンクのサブフレーム構成を
仮定する. 1 ms長 のサブフレーム内の 第4及び 11番目の Fast Fourier
Transform (FFT)ブロックにチャネル推定用のRSを多重している.MIMO
SDMでは,受信部における信号分離のために送信アンテナ固有のRSが必
要である.図1に本稿で用いたCSを用いるRS多重法を示す.CS多重では,
マルチパス干渉 (MPI: Multipath interference)の影響を小さくするために,
時間シフトの自己相関が小さいメリットを有するZadoff-Chu系列[2]を巡
回シフトした系列[3]を用いる.本稿で用いる第1の多重法は,CSのみを
用いる方法で,送信アンテナ数NTxに対応するCS数の巡回シフト多重を
行う方法である.CSのみを用いる多重法では,CS数の増大に伴い,CS
長TCSが短くなる (周波数領域の拡散帯域幅が増大する) ため,MPIに起因
するコード間干渉 (ICI: Inter-code interference)が増大する.第2の多重法で
は,CS及び2 RSブロック間の直交カバー (OC: Orthogonal cover)を併用す
る.RSの各FFTブロック内ではNTx / 2のCS多重を行うため,TCSが短くな
ることによりICIの影響を緩和できる.
いる.4 x 4 MIMO SDM の場合は TCS が長いため,rms
が 1 s 程度までの環境では,CS 多重された RS の ICI
の影響は非常に小さいことがわかる.一方,8 x 8
MIMO SDM の場合には,rms / TCS が 5 - 10%程度以上
に増大すると RS の ICI の影響が大きいことがわかる.
4 CS 及び OC を用いる場合には 8 CS の場合に比較し
て,ICI を低減できるため所要平均受信 SNR の増大
は低く抑えられている.
図 2. ターボ SIC のブロック構成
20
Required average received SNR
at average BLER of 10-2
1. まえがき
本稿では,DFT-precoded OFDMAを用いるMultiple-Input Multiple-Output
(MIMO) Spatial Division Multiplexing (SDM)における巡回シフト (CS:
Cyclic shift)を用いる参照信号 (RS: Reference Signal)多重のブロック誤り
率 (BLER: Block Error Rate)に与える影響を計算機シミュレーションによ
り評価する.
4 CS + OC
8 CS
2 CS + OC
4 CS
19
18
16
15
8 x 8 MIMO SDM
16QAM, R = 1/2
Exponentially-decayed
channel model
fD = 5.55 Hz
17
4 x 4 MIMO SDM
0
0.2
0.4
0.6
0.8
R.m.s delay spread, trms (µs)
1
1.2
図 3. RS 多重法に着目した場合の r.m.s.遅延スプレッ
ドに対する所要平均受信 SNR 特性
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