繰り返し検出を用いた 局間キャリア位相非同期型の基地局連携方式に関する検討 A Study on Iterative Receiver for Base Station Cooperations under Inter-Node Carrier Phase Asynchronous Environments 原冰 衣斐 信介 三瓶 政一 Bing YUAN Shinsuke IBI Seiichi SAMPEI 大阪大学 大学院工学研究科 Graduate School of Engineering, Osaka University P/S … IFFT … S/P CP. Ins. P/S … IFFT … S/P CP. Ins. BS2 CP.: Cyclic Prefix Ins.: Insertion BS: Base Station IFFT: Inverse Fast Fourier Tranform Info.: Information S/P: Serial to Parallel P/S: Parallel to Serial 図 1: 送信機構成 Mapper ∏ Demap. CP. Del. SC/MMSE CP. Del. Demap. ∏−21 ∏1 −1 1 Channel Decoder λE [c(i)] λp [d(j)] Info. Bits Mapper ∏ 2 Del.: Deletion Demap.: Demapper E λ [c(i)]: Decoder Extrinsic LLR λp [d(j)]: Info. Bits Posterior LLR Hard Decision 図 2: 受信機構成 表 1: シミュレーション諸元 Num. of BS Tranmission Modulation FFT(Subcarrier) Size 2 OFDM QPSK (Gray Mapping) 128 subcarriers 10-path Rayleigh Channel Model with Equal Path Gain Turbo Code Code Length=256 bits Channel Encoder Code Rate= 1/2 Gen. poly. [1, 17/15]oct Max-Log-Map Channel Decoder with Jacobin Logarighm Iteration=4 Interleaver Random SC/MMSE Turbo Equalizer Equalizer Iteration=4 Channel Estimation Perfect 0 10 -1 10 MRC LLR Combining -2 10 BER が施される.提案方式は,受信機において,同一の情報ビットが到来するにも関わらず, 異なるインターリーバが施された符号ビット系列を同一ではなく異なる独立なシンボル系 列とみなすことを特徴とする.したがって,MIMO 通信路において同一周波数を共用す るサブキャリア間で干渉を引き起こすと考えることができる.このチャネル間干渉を抑圧 しつつ,所望信号を抽出するため,各サブキャリアごとに SC/MMSE (Soft Canceller with Minimum Mean Square Error ) ターボ等化を適用する [2].フィルタの出力に対し,受信 側の変調方式に基づいて軟復調を行う.軟復調器から出力される 2 つの異なる LLR (Log −1 Likelihood Ratio) 系列は,デインターリーバ (Π−1 1 と Π2 ) により,同一情報源から生成され た符号ビット系列に対する LLR となる.本稿では,独立性を有する 2 つの LLR 系列の合 成を考え,同時確率を算出する.さらに,合成された LLR 系列は,通信路復号器に入力さ れ,MAP (Maximum A-Posteriori ) 検出により信頼性の向上した復号器出力外部 LLR 系列 が得られる.この外部 LLR 系列に異なるインターリーバが施され,軟変調器に入力され, 送信シンボルの軟判定値が生成される.軟判定値系列は事前情報として,SC/MMSE フィ ルタに入力され,干渉抑圧に活用される.この処理を複数回数繰り返し,情報ビットの信 頼性を向上させた後,復号器出力事後 LLR の硬判定を行うことで,高い符号化利得の獲得 が期待できる. Channel ∏ Encoder 2 P/S … FFT … S/P 2. 局間キャリア位相非同期連携 MIMO システム 本稿では,説明の便宜上,連携する基 地局数を 2 局とし,それぞれ送信アンテナ 1 本を保持するものとする.そして,セルエッ ジに位置する単一ユーザが受信アンテナ 2 本を保持する 2 × 2 の連携 MIMO システムを 考える.基地局連携による送信機構成を図 1 に示す.端末に送信される情報ビットは,両 送信機にて同一の通信路符号化が施され,異なるインターリーバ (Π1 と Π2 ) により,独立 性を有する 2 つの符号ビット系列が生成される.そして,この符号ビット系列が変調され た後,異なるシンボルが得られる.それらのシンボルには IFFT を施された後,CP が付加 され,OFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplexing) シンボルとして送信される. 次に受信機構成を図 2 に示す.周波数選択性フェージング通信路を経由した OFDM シン ボルは受信機において加法性ガウス雑音が付加される.受信機では CP の除去および FFT Info. Bits P/S … FFT … S/P ことで高精度な局間キャリア位相同期を取り,キャリア同期が確立されている複数の基地 局から,プリコーディング技術などによって同相化された信号を同時送信することでダイ バーシチ効果を高め,受信 SNR を最大限に改善するよう連携同期送信を行う [1].しかし ながら,この連携送信を実現するには,フィードバック回線を巧みに活用する閉ループ型の システム構成が必要となる.また,位相同期精度の低下により連携効果が著しく劣化する. そこで,本稿では,BhNW による局間キャリア位相同期を実施することなく,受信機端末 において繰り返し検出を適用することで,高いダイバーシチ利得を補償しつつ,高い符号 化利得を獲得する基地局連携方式を提案する. BS1 Channel ∏ Encoder 1 Mapper Mapper 1. まえがき 次世代セルラシステムの下り回線において,セルエッジにおける受信 SNR (Signal to Noise power Ratio)低下および同一チャネル干渉増加による通信品質劣化の改善 を目的とし,基地局連携 MIMO (Multiple Input Multiple Output) システムの適用が精力的 に行われている.このシステムでは,各基地局を BhNW (Backhaul NetWork) に接続する -3 10 -4 10 提案方式の有効性を示すため計算機シミュレーションを行っ た.シミュレーション諸元を表 1 に示し,図 3 に送信 SNR に対するビット誤り率(BER: -5 10 -3 -2 -1 3 4 0 1 2 Bit Error Rate)特性を示す.比較対象として,完全な局間キャリア位相同期により受信 ㏦ಙ SNR [dB] SNR が最大となるようなビームフォーミングを施し,受信機では MRC (Maximum Ratio 図 3: BER 特性による比較 Combining) 合成した方式を同時に示す.図 3 より,BER=10−5 に着目すると,MRC 合成 方式より約 1.0 [dB] の改善がみられる.これは,提案方式を用いることで,複雑な閉ループシステムを用いず局間キャリア位相同期 を取らなくとも,受信機における繰り返し検出により,実効的に空間ダイバーシチ効果が得られる上,各基地局で独立のインタリー バが適用できることで符号化利得も獲得できるので,BER 特性の改善に有効であることを示している.以上より,提案方式を用いる ことで低複雑度でセルエッジの通信品質を効率的に改善できると言える. 3. 計算機シミュレーション 4. まとめ 本稿では,セルエッジにおける通信品質を改善するため,複雑な局間キャリア位相同期型の基地局連携方式に対し,局間 位相同期を取らず高い符号化利得が得られる非同期型の基地局連携方式を提案した.提案方式は,異なるインターリーバを介した独 立な送信シンボルに対し,受信機における繰り返し検出を行うことで,高い符号化利得を獲得することが可能である. 参考文献 [1] S. Berger,and A. Wittneben, “Carrier phase synchronization of multiple distributed nodes in a wireless network, ”in Proc. SPAWC’07, Helsinki,pp.1-5,Dec. 2007. [2] S.Suyama,H.Susuki,and K.Fukawa,“An OFDM receiver employing turbo equalization for multipath environments with delay spread greater than the guard interval,”in Proc. VTC’03,Korea,vol.1,pp.632-636,Apr.2003.
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