AVP RIA ネオ「ミツビシ」検査結果の解釈について

AVP RIA ネオ「ミツビシ」検査結果の解釈について
以下、
AVP RIA ネオ「ミツビシ」:本法
AVP RIA「ミツビシ」
:旧法
名古屋大学大学院医学系研究科
監修:糖尿病・内分泌内科学 教授 大磯
とします。
ユタカ
本法による検査結果の解釈にあたって、次の 2 点をご注意ください。
1. バゾプレシン分泌低下症(中枢性尿崩症)治療薬デスモプレシン(DDAVP)投与中患者では、
検査結果が高値になることがあるため使用できません。
2. 本法の定量下限値は 0.8pg/mL です。(旧法は 0.2pg/mL)
▶ 本法と旧法の相関性
本法、旧法の相関性試験の結果、低濃度検
体の測定値に乖離が見られました。(図 1)
図 1. 全患者における本法・旧法の相関性
16
一方、DDAVP 投与患者について、高張食
塩 水負荷試 験における血漿浸 透 圧と血漿
AVP 濃度の本法と旧法の比較を行ったとこ
ろ、
(本法は旧法に比べ、高値であるものの)
本法、旧法とも値の変動はありませんでした。
(表 1)
16
y=0.76x+1.43(y=本法)
r=0.865
n=124
14
本法(pg/mL)
12
10
10
8
6
4
2
0
y=0.96x+0.34(y=本法)
r=0.993
n=64
14
12
本法(pg/mL)
原因の解明を行ったところ、バゾプレシン分
泌低下症(中枢性尿崩症)治療薬デスモプ
レシン(DDAVP)との交差反 応が 確認さ
れたことから、DDAVP 投与患者の検体を
除外し、DDAVP 未投与患者検体のみとし
た相関性試験を行った結果、良好な相関性
を示しました。(図 2)
図 2.DDAVP 未投与患者検体のみの本法・旧法の相関性
8
6
4
2
0
2
4
6
8
10
旧法(pg/mL)
12
14
0
16
0
2
4
6
8
10
旧法(pg/mL)
12
14
16
表 1. DDAVP 投与患者の高張食塩水負荷試験における血漿浸透圧と血漿 AVP 濃度の本法・旧法比較
負荷前
血漿浸透圧(m0sm/kg)
負荷 60 分後
負荷120 分後
293±5
306±6
313±6
本法(pg/mL)
2.4±1.26
2.2±1.13
2.2±0.76
旧法(pg/mL)
0.3±0.40
0.3±0.36
0.4±0.63
(平均値 ±SD : n=12)
▶ DDAVP 未投与新規患者における高張食塩水負荷試験( 0 分、60 分、120 分)
DDAVP 未投与新規患者 6 検体において検討を行った結果、
本法・旧法で同等の結果が得られました。
12
正常範囲
: 検体 - 1
: 検体 - 2
▲ : 検体 - 3
● : 検体 - 4
× : 検体 - 5
* : 検体 - 6
◆
■
(図は「バゾプレシン分泌低下症(中枢性尿崩症)の診断と
治療の手引き(平成 22 年度改訂)」* に従い血漿浸 透圧
(mOsm/kg)を血清ナトリウム濃度(mEq/L)で示して
います)
* 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 間脳下垂体機能障害に関する調査研究班 平成22年度 総括・分担研究報告書 2011年3月31日改訂
AVP(pg/mL)
10
●
●
8
6
本法
旧法
*
*
4
*
*
2
×
×
×
■
*× ▲
* ■
135
140
0
125
130
▲
×
×
■
■
●
●
▲
▲
■
■
●
●
▲
▲
◆
◆ ◆
◆
145
150
◆ ◆
155
160
165
170
血清Na(mEq/L)
以上から、DDAVP 未投与患者においては旧法同様に診断が可能であると考えられますが、DDAVP 投与患者
においては測定値の高値化が起こることがある点にご注意いただくため、本法の添付文書中に DDAVP 投与
患者における注意を追加記載しています。
(添付文書)
● 重要な基本的注意
デスモプレシン(略名:DDAVP)投与患者では、検査結果が高値になることがあるため使用しないこと。
製造販売元
(本社)〒108-8559 東京都港区芝浦 4-2-8 TEL. 03(6722)5710
URL http://www.medience.co.jp/
1C1311KWC-01 2013年11月作成
バゾプレシン分泌低下症(中枢性尿崩症)の診断の手引き
Ⅰ.主 症 候
口 渇
多 飲
多 尿
Ⅱ.検 査 所 見
1.尿量は 1 日 3,000 mL 以上。
2.尿浸透圧は 300 mOsm/kg 以下。
3.バゾプレシン分泌:血漿浸透圧(または血清ナトリウム濃度)に比較して相対的に低下する。
5% 高張食塩水負荷(0.05 mL/kg/min で 120 分間点滴投与)時には、健常者の分泌範囲
(注1)から逸脱し、血漿浸透圧(血清ナトリウム濃度)高値下においても分泌の低下を認める。
診
AVP(pg/mL)
断
の
血清Na(mEq/L)
流
(*作図時の参考のため近似式を示す)
4. バゾプレシン負荷試験(水溶性ピトレシン 5 単位皮下注後 30 分ごとに 2 時間採尿)で尿量
は減少し、尿浸透圧は 300 mOsm/kg 以上に上昇する。
5. 水制限試験(飲水制限後、3%の体重減少で終了)においても尿浸透圧は 300 mOsm/kg を
越えない。ただし、水制限がショック状態を起こすことがあるので、必要な場合のみ実施する。
れ
注 1.参考文献:1) 日本内分泌学会誌 62:608-618,1986.
2) 綜合臨牀 56 ( 増刊 ) :1572-1578,2007.
◇ 参考所見
1. 原疾患(下表「バゾプレシン分泌低下症(中枢性尿崩症)の病因」)の診断が確定していることが特に続発性
尿崩症の診断上の参考となる。
2. 血清ナトリウム濃度は正常域の上限に近づく。
3. MRI T1 強調画像において下垂体後葉輝度の低下を認める。但し、高齢者では正常人でも低下することがある。
診 断
診断基準 : 上記Ⅰ(主症候)と、Ⅱ(検査所見)の少なくとも1 ∼ 4 を満たすもの。
病型分類
中枢性尿崩症の診断が下されたら下記の病型分類をすることが必要である。
1.特発性中枢性尿崩症:画像上で器質的異常を視床下部−下垂体系に認めないもの。
2.続発性中枢性尿崩症:画像上で器質的異常を視床下部−下垂体系に認めるもの。
3.家族性中枢性尿崩症:原則として常染色体優性遺伝形式を示し、家族内に同様の疾患患者があるもの。
表)バゾプレシン分泌低下症(中枢性尿崩症)の病因
鑑別診断
多尿を来す中枢性尿崩症以外の疾患として次のものを除外する。
1.高カルシウム血症:血清カルシウム濃度が 11.0 mg/dL を上回る。
2.心因性多飲症:高張食塩水負荷試験で血漿バゾプレシン濃度の上昇を認め、
水制限試験で尿量の減少と尿浸透圧の上昇を認める。
3.腎性尿崩症:バゾプレシン負荷試験で尿量の減少と尿浸透圧の上昇を認め
ない。定常状態での血漿バゾプレシン濃度の基準値は1.0 pg/mL 以上となっ
ている。
・特発性
・家族性
・続発性:視床下部−下垂体系の器質的障害
リンパ球性漏斗下垂体後葉炎
胚細胞腫
頭蓋咽頭腫
奇形腫
下垂体腺腫
転移性腫瘍
白血病
出典:厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 間脳下垂体機能障害に関する調査研究班
平成 22 年度 総括・分担研究報告書「バゾプレシン分泌低下症(中枢性尿崩症)の診断と治療の手引き(平成 22 年度改訂)」
* 2011 年 3 月 31 日改訂
リンパ腫
サルコイドーシス
ランゲルハンス細胞組織球症
結核
脳炎
脳出血
外傷・手術