2014一橋の微積分問題

 大学入試問題演習:微分・積分 (数 II)
数学で大切なこと、それは粘り強く考える習慣をつけること。
担当 : 野村
年 組 番氏名 一橋大学の微積分問題 (1996 ∼ 2013)
2
第 1 章 微分・積分
1.1
重要事項のまとめ
1. 解と係数の関係
1 : 2 次方程式 ax2 + bx + c = 0 (a =
\ 0) の解を α、β とすると、
°


α + β =


αβ =
問 証明せよ。
2 : 3 次方程式 ax3 + bx2 + cx + d = 0 (a =
\ 0) の解を α、β 、γ とすると、
°


α + β + γ =





αβ + βγ + γα =







αβγ =
2. 基本対称式の変形
(β − α)2 = (α + β)2 − 4αβ の変形は、この分野では頻出事項。
3. 恒等式
\ 0) と g(x) = mx + n とする。放物線 y = f (x) と直線 y = g(x) が異
f (x) = ax2 + bx + c (a =
なる 2 点 P、Q で交わり、その交点の x 座標をそれぞれ α、β とする。
このとき、f (x) − g(x) = a(x − α)(x − β) となる。
\ 0) と g(x) = mx + n とする。3 次関数 y = f (x) と直線 y = g(x)
f (x) = ax3 + bx2 + cx + d (a =
が点 P で接し、点 Q で再び交わり、その交点の x 座標をそれぞれ α、β とする。
このとき、f (x) − g(x) = a(x − α)2 (x − β) となる。
y = f (x)
y = f (x)
y = g(x)
P
Q
Q
y = g(x)
P
A
α
β
x
x
α
β
3
問 3 次方程式 x3 − 3x − k = 0 の解を α、β 、γ とする。このとき、(k − α)(k − β)(k − γ) の
値を k を用いて表せ。
問 曲線 y = x3 − 3x2 と、x = α におけるその曲線上の接線との交点の x 座標を β とする。β
を α を用いて表せ。
B
4
4. 放物線と直線で囲まれる図形の面積
問 y = ax2 + bx + c (a > 0) と直線 y = mx + n が異なる 2 点 P、Q で交わり、その交点の
x 座標をそれぞれ α、β とする。放物線と直線によって囲まれる図形の面積を求めよ。
Q
P
α
C
β
5
5. 円と放物線の位置関係
2 点で接する
4 点で交わる
3 点で交わる
2 点で交わる
(y の値が重解)
(
x2 + y 2 = 1
問 次の円と放物線
が共有点を持つ条件を求めよ。
y = x2 + k
交わらない
1 点で接する
6. すべての実数 x に対して、不等式 ax2 + bx + c > 0 が成り立つ条件
a > 0 かつ D < 0 と決めつけてはいけない。
2 次不等式とは限らないので、a = 0 かつ b = 0 かつ c > 0 の場合もあり得る。
7. 方程式 f (x) = k (定数) の実数解の個数
1 : y = f (x) − k を微分し、その増減を直接調べる。
°
(
y = f (x)
2 : f (x) = k の実数解 ⇐⇒
°
のグラフの交点の x 座標と考える。
y=k
2 で考えた方が分かりやすいが、問題によっては °
1 が良いときもある。
°
D
6
8. 単調増加関数・単調減少関数の性質
y = f (x) が単調増加関数とする。このとき、α 5 β ⇐⇒ f (α) 5 f (β)
y = f (x) が単調減少関数とする。このとき、α 5 β ⇐⇒ f (α) = f (β)
y
y
f (β)
f (α)
f (β)
f (α)
O
α
β
x
O
x
α
β
9. 直線や曲線の通過領域
問 t が実数のとき、y =
E
3 (x − t)2 − t2 − 1 が通過する領域を xy 平面上に図示せよ。
4
7
1.2
実践演習
1996
y 軸上の点 (0, a) を中心とする半径 r の円は、放物線 y = 1 x2 と異なる 2 つの点で接する。す
2
なわち 2 つの共有点を持ち、おのおのの共有点で、円に引いた接線と放物線に引いた接線が一致
する。
(1) このような円が存在する r の範囲を求めよ。
(2) a を r で表せ。
(3) r = 2 のとき、円と放物線とで囲まれる部分の面積を求めよ。
1997
2
平面上に放物線 y = x − 5x + 6 と直線 y = kax − a2 − 5a がある。
(1) すべての実数 a に対して、放物線と直線が異なる 2 点で交わるような定数 k の範囲を求めよ。
(2) (1) で求めた範囲にあって、放物線と直線で囲まれる部分の面積が a によらず一定になるよう
な定数 k を求めよ。
1998
放物線 y = x2 上の点 A(a, a2 ) における接線 ` と、点 B(b, b2 ) における接線 m との交点を C
とおく。ただし、a < b とする。
(1) 2 直線 `、m と放物線 y = x2 とで囲まれる部分の面積 S を a と b で表せ。
(2) 点 C が放物線 y = 1 x2 − x − 2 の上を動くときの面積 S の最小値を求めよ。
2
1999
(1) 曲線 y = x3 と直線 y = 3x + a が異なる 3 点で交わるような a の範囲を求めよ。
(2) a が (1) の範囲を動くとき、3 つの交点を A、B、C とし、点 (a, 4a) を D とする。3 つの線
分の長さの積 DA·DB·DC の最大値を求めよ。
2000
c を正の定数とし、f (x) = x3 + 3x2 、g(x) = x3 + 3x2 + c とする。直線 ` は点 P(p, f (p)) で曲
線 y = f (x) と接し、点 Q(q, g(q)) で曲線 y = g(x) と接する。
(1) c を p で表せ。
(2) 直線 ` と曲線 y = f (x) の P 以外の交点を R とする。2 つの線分の長さの比 PQ : QR を求
めよ。
F
8
2003
f (x) = x3 − x2 − x − 1、g(x) = x2 − x − 1 とする。
(1) 方程式 f (x) = 0 はただひとつの実数解を α をもつことを示せ。また、1 < α < 2 であること
を示せ。
(2) 方程式 g(x) = 0 の正の解を β とする。α と β の大小を比較せよ。
(3) α2 と β 3 の大小を比較せよ。
2004
a は実数とし、f (x) = x3 + ax2 − 8a2 x、g(x) = 3ax2 − 9a2 x とする。
(1) 曲線 y = f (x) と y = g(x) の共有点 P において両方の曲線と接する直線が存在する。このと
き P の座標を a で表せ。
(2) 次の条件 (i) および (ii) をみたす直線 ` が 3 本存在するような点 (u, v) の範囲を図示せよ。
(i) ` は点 (u, v) を通る。
(ii) ` は曲線 y = f (x) と y = g(x) の共有点 P において両方の曲線と接する。
2005
a を定数とし、x の 2 次関数 f (x)、g(x) を次のように定める。
2
f (x) = x2 − 3、g(x) = −2(x − a)2 + a
3
(1) 2 つの放物線 y = f (x) と y = g(x) が 2 つの共有点をもつような a の範囲を求めよ。
(2) (1) で求めた範囲に属する a に対して、2 つの放物線によって囲まれる図形を Ca とする。Ca
を a で表せ。
(3) a が (1) で求めた範囲を動くとき、少なくとも 1 つの Ca に属する点全体からなる図形の面積
を求めよ。
2006
3
a、b を正の定数とする。関数 y = x − ax のグラフと、点 (0, 2b3 ) を通る直線はちょうど 2 点
P、Q を共有している。ただし、P の x 座標は負、Q の x 座標は正である。
(1) 直線 PQ の方程式を a と b で表せ。
(2) P および Q の座標を a と b で表せ。
(3) ∠POQ = 90◦ となる b が存在するような a の値の範囲を求めよ。ただし、O は原点とする。
2007a
a を定数とし、f (x) = x3 − 3ax2 + a とする。x 5 2 の範囲で f (x) の最大値が 105 となるよう
な a をすべて求めよ。
G
9
2007b
放物線 y = ax2 + bx (a > 0) を C とする。C 上に異なる 2 点 P、Q をとり、その x 座標をそれ
ぞれ p、q (0 < p < q) とする。
(1) 線分 OQ と C で囲まれた部分の面積が 4OPQ の面積の 3 倍であるとき、p と q の関係を求
2
めよ。ただし、O は原点とする。
(2) Q を固定して P を動かす。4OPQ の面積が最大となるときの p を q で表せ。また、そのと
きの 4OPQ の面積と、線分 OQ と C で囲まれた部分の面積との比を求めよ。
2009
(1) 任意の角 θ に対して、−2 5 x cos θ + y sin θ 5 y + 1 が成立するような点 (x, y) の全体から
なる領域を xy 平面上に図示し、その面積を求めよ。
(2) 任意の角 α、β に対して、−1 5 x2 cos α + y sin β 5 1 が成立するような点 (x, y) の全体から
なる領域を xy 平面上に図示し、その面積を求めよ。
2010
a を実数とする。傾きが m である 2 つの直線が、曲線 y = x3 − 3ax2 とそれぞれ点 A、点 B で
接している。
(1) 線分 AB の中点を C とすると、C は曲線 y = x3 − 3ax2 上にあることを示せ。
(2) 直線 AB の方程式が y = −x − 1 であるとき、a、m の値を求めよ。
2011
xy 平面上に放物線 C : y = −3x2 + 3 と 2 点 A(1, 0)、P(0, 3p) がある。線分 AP と C は、A と
は異なる点 Q を共有している。
(1) 定数 p の存在する範囲を求めよ。
(2) S1 を C と線分 AQ で囲まれた領域とし、S2 を C 、線分 QP、および y 軸とで囲まれた領域
とする。S1 と S2 の面積の和が最小となる p の値を求めよ。
2012a
a を 0 以上の定数とする。関数 y = x3 − 3a2 x のグラフと方程式 |x| + |y| = 2 で表される図形
の共有点の個数を求めよ。
H
10
2012b
定数 a、b、c、d に対して、平面上の点 (p, q) を点 (ap + bq, cp + dq) に移す操作を考える。た
\ (1, 0, 0, 1) である。k を 0 でない定数とする。放物線 C : y = x2 − x + k 上の
だし、(a, b, c, d) =
すべての点は、この操作によって C 上に移る。
(1) a、b、c、d を求めよ。
(2) C 上の点 A における C の接線と、点 A をこの操作によって移した点 A’ における C の接線
は、原点で直交する。このとき、k の値および点 A の座標をすべて求めよ。
2013
原点を O とする xy 平面上に、放物線 C : y = 1 − x2 がある。C 上に 2 点 P(p, 1 − p2 )、
Q(q, 1 − q 2 ) を p < q となるようにとる。
(1) 2 つの線分 OP、OQ と放物線 C で囲まれた部分の面積 S を p、q で表せ。
(2) q = p + 1 であるとき、S の最小値を求めよ。
(3) pq = −1 であるとき、S の最小値を求めよ。
I
11
1.3
ヒントと解答
1996
y についての 2 次方程式が正の重解を持つ。
(1) r > 1
√
(3) 3 3 − 4 π
3
2
(2) a = r + 1
2
1997
連立して D > 0。その結果は 2 次不等式とは限りません。a によらず ⇐⇒ a についての恒等式。
(1) 2 5 k < 13
6
(2) k = 2
1998
C を (x, y) として、条件から S を x で表して考えるとよい。
√
6
(1) 1 (b − a)3
(2)
12
2
1999
A(α, 3α + a)、B(β, 3β + a)、C(γ, 3γ + a) として考える。
√
160 30
(1) −2 < a < 2
(2)
9
2000
R(r, f (r)) とすると、f (x) − ` = (x − p)2 (x − r)。g(x) と ` の Q 以外の交点の x 座標を t とすると、
f (x) + c − ` = (x − q)2 (x − t)。|q − p| : |r − q| = 1 : x として、x 求める。
(1) c = −4(p + 1)3 (ただし、p < −1)
(2) 2 : 1
2003
(1) は f (x) の増減を調べる。(2) は f (β) の符号を調べる。(3) は g(α2 ) と g(β 3 ) の大小比較。
(1) 省略
(2) α > β
(3) α2 < β 3
2004
直線が 3 本存在 ⇐⇒ a の 3 次方程式が 3 つの異なる実数解をもつ。
³
´
(1) P(a, −6a3 ) ただし、a = 0 のときは、g(x) = 0 (2) v 4 u3 + v < 0 の示す領域。図は省略。
9
となるので、除外する考えもある。
2005
y = g(x) の通過領域を考える。
(1) −3 < a < 3
(2)
4 (9 − a2 ) 32
27
√
(3) 4 5
2006
P で接して、Q で交わることを示し、3 次方程式の解と係数の関係利用。x = b2 とおくと、x の 2
次方程式となり、x > 0 の実数解を持つ条件を求める。
(1) y = (3b2 − a)x + 2b3
(3) a = 4
3
(2) P(−b, ab − b3 )、Q(2b, 8b3 − 2ab)
J
12
2007a
a を場合分けして、増減表で考える。f (2) と極大値のいずれかが最大値。a = −3, 105
2007b
b > 0、b = 0、b < 0 のいずれの場合も同じ計算であることを確認。OQ と C で囲まれた面積を S、
OP と C、PQ と C をそれぞれ T、U とすると、4OPQ は S − T − U 、− a (β − α)3 を利用。
6
q
3
(1) q = 3p または q = p
(2) p = 、4OPQ : S = 3 : 4
2
2
2009
(1) は合成してから。(2) は cos α、sin β それぞれの最大・最小を考える。
√
(1) グラフ省略。 4 π + 3
(2) グラフ省略。 8
3
3
2010
A、B の x 座標を α、β とおき、解と係数の関係利用。C も直線上。
(1) C(a, −2a3 ) になる。
(2) a = 1、m = 3
2011
(1) 1 5 p < 2
(2) p = 2 − √1
2
2012a
原点対称から、x = 0 または x 5 0 のどちらかで考える。
√
√
√
√
6
2 3
6
2 3
05a<
、
< a のとき、2 個。a =
、
のとき、4 個。
3 √ 3
3
3
√
6
2 3
<a<
のとき、6 個。
3
3
2012b
(1) (a, b, c, d) = (−1, 0, 2, 1)
µ√
√ ¶ µ √
√ ¶
2
2
2
2
1
(2) k = 、
, 1−
、 −
, 1+
2
2
2
2
2
2013
(1) 1 (q − p)(p2 + pq + q 2 + 3)
6
(3) 4 (p = −1、q = 1)
3
K
(2) 13 (p = − 1 、q = 1 )
24
2
2