有機薄膜トランジスタによるアクティブマトリクス駆動 有機

特集
部品・材料・物性
有機薄膜トランジスタによるアクティブマトリクス駆動
有機 EL パネル
Active Matrix Organic Light Emitting Diode Panel using Organic Thin Film Transistors
中 馬 隆,大 田 悟,原 田 千 寛
Takashi
Chuman,
Satoru Ohta, Chihiro
Harada
吉 澤 淳 志,宮 口 敏,佐 藤 英 夫
Atsushi
Yoshizawa, Satoshi Miyaguchi,
Hideo
Satoh
田 辺 貴 久,土 田 正 美
Takahisa Tanabe,
要
旨
Masami Tsuchida
有機半導体としてペンタセンを用いた有機 T F T を開発し,同一基板上に有
機 T F T 素子と有機 E L 素子を配した有機 E L パネルのアクティブマトリクス駆動に成功し
た。画素数は 8 × 8 であり,各画素は選択トランジスタと駆動トランジスタとで駆動さ
れている。このパネルにおいて,アナログ駆動方式による 1 6 階調表示を確認した。
Summary
By using organic thin-film transistors with pentacene as the active organic layer, an
active matrix organic light emitting diode panel has been developed. The number of pixels in the panel
is 8 x 8, and each pixel is driven by switching and driving transistors. W e confirmed the display of 16
gray scales by means of an analog driving method.
キーワード :
有機 T F T ,ペンタセン,有機 E L ,五酸化タンタル,アクティブマト
リクス駆動
1. まえがき
E L 素子の報告 ( 1 ) 以来,有機 E L の研究が加速さ
次世代のフラットパネルディスプレイとし
れ,1 9 9 7 年の秋にはパイオニアから世界初の
て注目を集めている有機 E L ディスプレイ
緑単色ドットパッシブマトリクス駆動ディスプ
(Organic electroluminescent display)は,
レイが市場に導入された。その後,主にカース
発光層厚がサブミクロンオーダーである薄型
テレオのメインパネルや携帯電話のサブディス
面発光,D C 低電圧駆動自発光ディスプレイで
プレイを主力商品として,パッシブマトリクス
あり,視野角が広い,コントラストが高い,応
駆動タイプの有機 E L ディスプレイが各社から
答速度が速いなど, L C D ( L i q u i d
製品化されている。
Crystal
D i s p l a y ) にはない特長を有している。
これを第一世代とすれば,2 0 0 3 年に S K ディ
1 9 8 7 年の K o d a k による高輝度,高効率有機
PIONEER R&D Vol.15 No.2
スプレイが製品化した低温ポリシリコン T F T
- 62 -
(LTPS Thin Film Transistor)によるアクティ
と言われていたが,I D T e c h ( 4 ) やカシオ計算機 ( 5 )
ブマトリクス駆動デジタルカメラ用ディスプレ
が a - S i T F T を用いた有機 E L ディスプレイを開
イや,パイオニアが製品化した赤色燐光素子を
発し,移動度 1 c m 2 / V s 程度でも十分に有機 E L 素
用いた携帯電話用サブディスプレイなど第二世
子の駆動が可能なことが証明された。また,有
代のキーワードはアクティブマトリクス駆動と
機 E L 素子も燐光発光材料の出現により,今まで
燐光素子といえる。
より低電流で高輝度発光が可能となった ( 6 ) , ( 7 ) 。
そして第三世代はフレキシブルディスプレイ
これらの開発の進展に伴って,シリコン半導体
と な る 可 能 性 が 高 い 。有 機 E L に お い て デ ィ ス
の代わりに炭素骨格を基本とした有機化合物を
プレイをフレキシブル化するための課題は,水
半導体層として用いた有機 T F T でも,アクティ
分などのアウトガス,熱,紫外線対策,そして
ブマトリクス駆動有機 E L ディスプレイが実現で
何よりも曲げても素子が壊れないことである。
きる可能性が高くなった。
これまで,プラスチック基板による有機 E L デ
シリコン系 T F T は工程が複雑で,2 0 0 ℃以上
バイス作製に関して数件の報告 ( 2 ) , ( 3 ) があるが,
の高温プロセスを行う必要があるのに比べ,有
それらはいずれも単なるテストピースか,T F T
機 T F T は蒸着や印刷などの手法を用いて,低温
を用いないパッシブマトリクス駆動方式であっ
プロセスで大面積に作製可能であり,コストも
た。そのため,プラスチィック基板上に容易に
低く抑えることができるため,第三世代のフレ
作製でき,曲げても壊れることがない T F T が熱
キシブル有機 E L ディスプレイの駆動に最適な
望されている。
T F T といえる。
2 . 有機 E L ディスプレイの駆動方式
3 . 有機 T F T の構造
有機 E L ディスプレイの駆動方式としては,
図 1 に各種有機 T F T 構造を示す。( a ) はトップ
パッシブマトリクス駆動とアクティブマトリク
コンタクト型の有機 F E T ( F i e l d
Effect
ス駆動に大別される。パッシブマトリクス駆動
T r a n s i s t o r ) であり,有機半導体膜を平面上に
とは,走査電極とデータ電極の交差する画素に
成膜できるため均質で特性の良好な膜が得られ
対応し,線順次に走査電極を選択しながら,ラ
やすい。ただし,上部のソース電極とドレイン
インごとに有機 E L 素子を駆動する方式である。
電極成膜にはフォトリソグラフィ技術が使用で
対してアクティブマトリクス駆動とは,画素ご
きないため,成膜エリアに開口部を設けたシャ
とに能動回路を有し,それにより電流供給を行
ドウマスクによるパターニングとなっており,
う駆動方式である。
電流を多く流すために必要なソース / ドレイン
アクティブマトリクス駆動では画素ごとに電
電極間の微細化が困難である。( b ) はボトムコン
流を制御できるため,映像の 1 フレーム間を連
タクト型有機 T F T であり,ソース / ドレイン電
続的に発光させることができる。このため,有
極のパターニングにフォトリソグラフィ技術に
機 E L ディスプレイの低消費電力化および有機
代表される微細加工技術を用いることができる
E L 素子の長駆動寿命化というメリットがある。
ため,有機 T F T 素子の微細化が可能であり,高
しかし,液晶と違って電流注入型素子なので 1
精細ディスプレイ用途に適しているが,逆に半
画素にスイッチングトランジスタとドライビン
導体材料の均質化の点ではやや劣る。その他に
グトランジスタの最低 2 個のトランジスタが必
も( c ) トップ&ボトムコンタクト構造 F E T ( 8 ) や
要となる。
(d)縦型静電誘導トランジスタ(SIT) ( 9 ) などの新
以前は移動度の低いアモルファスシリコン
規構造も提案されている。
TFT(a-Si TFT)では有機 EL 素子を駆動できない
- 63 -
我々は,量産性などを考慮し,ボトムコンタ
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アクティブレイヤー
アクティブレイヤー
ドレイン
ソース
ドレイン
ソース
ゲート
ゲート
基板
基板
ゲート絶縁膜
ゲート絶縁膜
(a) トップコンタクト型
(b) ボトムコンタクト型
Top-Contact
Bottom-Contact
アクティブレイヤー
ソース
アクティブレイヤー
ドレイン
ドレイン
ソース
ゲート
基板
基板
ゲート
ゲート絶縁膜
(d) 縦型静電誘導トランジスタ
(c) トップ&ボトムコンタクト型
Static Induction Transistor
Top & Bottom-Contact
図 1 有機TFT各種構造
Fig.1
Structures of Organic-TFT
クト型有機 T F T によるアクティブマトリクス駆
てボトムコンタクト構造有機 T F T を開発した。
動有機 E L パネルを試作し,有機 T F T の可能性
さらにその有機 T F T と有機 E L 素子とを同一基
を検証した ( 1 0 ) 。
板上に組み込むプロセスを開発し,アクティブ
マトリクス駆動で有機 E L 素子を発光させた。
4. ペンタセンを用いたボトムコンタ
以下にそのデバイス構造と作製手順を示す。
クト型有機 T F T
4.1
画素構造
TFT
図 3 に画素部の回路構成および構造写真を示
と同等もしくはそれ以上である有機半導体とし
す。スイッチングトランジスタ( S w - T F T ) とド
て知られている。図 2 に示すのはペンタセンの
ライビングトランジスタ( D r - T F T ) の 2 つの有機
分子構造である。我々はこのペンタセンを用い
T F T を並列に配置し,その横に有機 E L 素子を設
ペンタセンは,その半導体特性が a - S i
けた。また,メモリコンデンサとして容量 6 0 p F
のものを設置した。ドットサイズは 1 m m × 1 m m
であり,有機 EL 画素の開口率は 27% である。有
機 T F T のチャネル長は 1 0 μ m ,チャネル幅はス
図 2
Fig.2
ペンタセン分子構造
Structures of Pentacene
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イッチングトランジスタ( S w - T F T ) が 4 0 0 μ m ,
ドライビングトランジスタ( D r - T F T ) が 6 8 0 μ m
- 64 -
である。
4.2
て発光材料に使用した。
画素作製法
次に作製方法を図 5 に示す。基板は厚さ 0.7mm
図 4 に画素の断面構造を示す。有機 T F T はボ
の無アルカリガラスを使用した。洗 浄 し た ガ ラ
トムコンタクト構造であり,有機半導体として
ス基板上にタンタル( T a ) をマグネトロンスパッ
ペンタセンを使用している。また,ゲート絶縁
タで成膜し,ゲート電極,キャパシタンスライ
膜として五酸化タンタル( T a 2 O 5 ) を使用してい
ン( V c a p ) ,スキャンライン( V s c a n ) となるよう
る。T a 2 O 5 は比誘電率が 2 3 以上と非常に高いた
なパターンをリアクティブイオンエッチング
め,スレッショルド電圧( V t h ) の減少と相互コ
( R I E ) で形成する。この T a パターンの一部に陽
ン ダ ク タ ン ス の 増 加 が 期 待 で き る 。有 機 E L 素
極酸化を行うことによって T a 2 O 5 膜を形成する。
子は低分子系材料を使用しており,緑の燐光材
この T a 2 O 5 膜がゲート絶縁膜であり,同時にス
料であるイリジウム金属錯体をドーパントとし
トレージキャパシタの誘電体層となる。陽極酸
Vscan
Dr-TFT
Vss
Vcap
OLED
Storage
Capacitor
Vdata
Dr-TFT
Sw-TFT
Sw-TFT
OLED
Storage
Capacitor
パネル仕様
Vk
・パネル画素数:8 × 8
・画素ピッチ:1 m m □
・開口率:2 7 %
・W/L: Sw-TFT:400 μ m/10 μ m
Dr-TFT:680 μ m/10 μ m
(b) 顕微鏡写真
(a) ピクセル回路図
図 3
画素の回路構成と構造写真
Fig.3
Circuitry & Structure of a pixel
Al
ソース電極
(Cr/Au)
10 μ m
ペンタセン
ドレイン電極
(Cr/Au)
Li2O
陰極
電子注入層
Alq 3
電子輸送層
BAlq
ホールブロッキング層
CBP:Ir(ppy) 3
a-NPD
CuPc
IZO
発光層
ホール輸送層
ホール注入層
透明陽極
ガラス基板
ゲート絶縁膜
(Ta 2 O 5)
図 4
Fig.4
ゲート電極
(Ta)
緑色発光
画素の断面構造
Cross section of the Organic-TFT & the OLED
- 65 -
PIONEER R&D Vol.15 No.2
化では,化成液として 1 . 5 w t % のアジピン酸ア
画素として完結する。
ンモニウム水溶液を使用した。陽極酸化後の
4.3
Ta および Ta 2 O 5 の膜厚はそれぞれ 100nm,150nm
画素中の有機 T F T の特性を評価することは困
である。
有機 T F T の特性
難であるため,評価用の有機 T F T 素子を同一基
その後,有機 E L 素子の陽極として透明導電成
板上に設け,それを評価した。今回作製した有
膜であるインジウム亜鉛酸化物(IZO)をマグネト
機 T F T の代表的な半導体特性を図 6 および図 7
ロンスパッタ法で形成,パターニングする。
に示す。図 6 が H M D S 処理有の半導体特性のグ
次にソース / ドレイン電極,データライン
ラフで,図 7 が H M D S 処理無しの半導体特性の
(Vdata),電源ライン(power supply)となる金
グラフである。左側のグラフは横軸にゲート電
属膜として,クロム(Cr) を接着層とした金(Au)
圧( V g ) , 縦軸にドレイン電流( I d ) をとった,
をマグネトロンスパッタ法で形成し,リフトオ
I d - V g のグラフであり,ドレイン - ソース間電
フ法を用いてパターニングを行う。
圧( V d s ) は - 1 5 V である。右側のグラフは横軸に
ペンタセンの成膜を行う前に,基板前処理と
Vds,縦軸に Id をとった,各 Vg に対する Id-Vds
して T a 2 O 5 膜上に疎水基を設けるため,ヘキサ
のグラフである。今回の有機 T F T は P 型の半導
メチルジシラザン( H M D S ) 処理を行う。その後,
体特性を示した。H M D S 処理無しに比べ,H M D S
ペンタセンを真空蒸着法で 5 0 n m の厚さで成膜
処理有の方のドレイン電流がより多く流れ,ス
する。この時,メタルマスクを用いて S w - T F T
レッショルド電圧が低電圧側にシフトしている
上と D r - T F T 上に分けて成膜する。
ことが分かる。
最後に有機 E L 素子を真空蒸着にて成膜し,
また,飽和領域におけるドレイン電流 I d は
Ta
1
ガラス基板
Ta 2o 5
Ta
2
ガラス基板
Ta 2 o 5
3
IZO
Ta
ガラス基板
Cr/Au
Ta 2o 5
4
Ta
IZO
ガラス基板
5
ペンタセン
Cr/Au
Ta 2 o 5
IZO
Ta
ガラス基板
ペンタセン
Cr/Au
Ta 2o 5
6
Ta
有機EL素子
IZO
ガラス基板
図 5
アクティブマトリクス有機ELパネルの作製工程
Fig.5 Process of the active matrix OLED Panel
PIONEER R&D Vol.15 No.2
- 66 -
以下の式より導かれることが知られている。
スレッショルド電圧を表す。これから算出した
2
Id=(1/2)(W/L)μ・C(V G − V T ) H M D S 処理有無の素子特性の比較データを表 1
ここで,W はチャネル幅,L はチャネル長,μ
に示す。
4.4
の静電容量,V G はゲート・ソース間電圧,V T は
図 8 に,試作した有機 T F T アクティブマトリ
0.012
-1e-5
0.01
-1e-6
0.008
-1e-7
0.006
-1e-8
0.004
-1e-9
0.002
-1e-10
10
0
-6e-6
-4e-6
Vgs=-5V
0
2e-6
0
-4
-12
-16
(b) Id vs. Vds
H M D S 処理無しの T F T 特性
Characteristic of Organic-TFT without HMDS
-1e-3
0.014
-1e-4
0.012
-1e-5
0.010
-1e-6
0.008
-1e-7
0.006
-1e-8
0.004
-1e-9
0.002
0
-10
-4e-5
Drain current (A)
Fig.6
| Drain current |1/2 ( A 1/2 )
図 6
0
-20
Vgs=-15V
-3e-5
Vgs=-10V
-2e-5
-1e-5
Vgs=-5V
0
Vgs=0V
1e-5
Gate-source voltage (V)
( Drain-source voltage :-15V )
0
図 7
Fig.7
-4
-8
-12
-16
Drain-source voltage (V)
(a) Id vs. Vgs
表1
-8
Drain-source voltage (V)
(a) Id vs. Vgs
10
Vgs=-10V
-2e-6
Gate-source voltage (V)
( Drain-source voltage :-15V )
-1e-10
Vgs=-15V
-8e-6
0
-20
-10
8×8ドットアクティブマトリクスパネル
-1e-5
Drain current (A)
0.014
-1e-4
| Drain current |1/2 ( A 1/2 )
-1e-3
Drain current (A)
Drain current (A)
は移動度,C はゲート絶縁膜の単位面積あたり
(b) Id vs. Vds
H M D S 処理有りの T F T 特性
Characteristic of Organic-TFT with HMDS
H M D S 処理有無の素子特性比較
Table1 The typical characteristic of the Organic-TFTs
㪟㪤㪛㪪ಣℂ᦭䉍 㪟㪤㪛㪪ಣℂή䈚
⒖േᐲ㩿㪺㫄 㪆㪭㫊㪀
㪇㪅㪉
㪇㪅㪇㪋
䉴䊧䉾䉲䊢䊦䊄㔚࿶㩿㪭㪀
㪄㪊
㪄㪍
㪌
㫆㫅㪆㫆㪽㪽㩷Ყ
㪈㪇
㪈㪇 㪋
㪉
- 67 -
PIONEER R&D Vol.15 No.2
クス駆動 8 × 8 素子有機 E L パネルの全体写真
駆動条件は,フレーム周波数 60Hz,Duty 比 1/60
を,また図 9 に実際の発光状態の写真を示す。
で,階調表示方式はアナログ表示である。この条
件下におけるパネル輝度は 4 0 0 c d / m 2 であり,1 6
階調のアナログ表示が確認できた。また,各画素
均一な輝度で発光しており,有機 TFT の特性のば
らつきが小さいことが確認できた。
次に,こちらこれらの条件で駆動させた素子の
発光強度を図 1 0 に示す。上のラインがスキャン
パルスを,下のラインが発光強度を表す。本駆動
条件における選択期間は 0.28msec であり,発光,
非発光を繰り返している。この選択期間において
発光強度が維持されていることから,この駆動条
図 8
8 ×素子有機 E L パネルの全体写真
件でのアクティブマトリクス駆動を確認できた。
Fig.8
Picture of 8x8 OLEDs Panel
(a)全点灯
(b)部分点灯
(c)16 階調
Whole lighting
Partial lighting [P]
16 gray scales
図9
8 × 8 素子有機 E L パネルの発光パターン
Fig.9
Image of active matrix driven 8x8 OLEDs
図 10
Fig.10
PIONEER R&D Vol.15 No.2
駆動素子の発光強度
Stability of emission intensity
- 68 -
Satoh,T.Tanabe,Y.Okuda,M.Tsuchida,
5 .まとめ
SID 04 DIGEST 5.1,45 2004)
以上述べたように,第三世代の有機 E L ディス
プレイとして,有機 T F T によるアクティブマト
筆
者
紹
介
リクス駆動有機 E L ディスプレイの可能性を示し
た。今回紹介した有機 E L パネルは画素数,画素
中 馬
隆 ( ちゅうまん た か し )
技術開発本部 総合研究所 表示デバイス
サイズや作製工程もまだ実用化レベルのものと
研究部。主な経歴:有機系色素を用いた追記
はほど遠く,課題も多い。しかし有機 T F T の研
型光ディスク,電子放出素子の研究開発,有
究は現在,材料メーカーを含めて各社が注目し
機 E L を用いた 3 D ディスプレイの研究を経
て,現在,有機半導体の研究に従事。
ているテーマでもあり,今後急速に開発が進展
していくと考えられる。数年後には,薄型軽量
大 田
悟 ( おおた さ と る )
技術開発本部 総合研究所 表示デバイス
でフレキシブルなアクティブマトリクス駆動有
研究部。主な略歴:入社以来,有機半導体の
機 E L ディスプレイを実用化できるよう有機 T F T
研究に従事。
原 田
のさらなる性能改善を図って行きたい。
千 寛 ( はらだ ち ひ ろ )
技術開発本部 総合研究所 表示デバイス
研究部。主な略歴:入社以来,有機半導体の
参
考
文
献
研究に従事。
(1)C.W.Tang,S.A.VanSlyke:Appl.Phys.
吉 澤
技術開発本部 総合研究所 表示デバイス
Lett.,51,913,(1987)
(2)J.K.Mahon,J.J.Brown,P.E.Burrows,
研究部。主な略歴:コンパクトディスク,有
G.
機系色素を用いた追記型光ディスク,電子
L.Graff,M.E.Gross,M.Sullivan,Proceedings
of
Display
Works
放出素子の研究開発,有機 E L を用いた 3 D
2000,(2000)
(3)A.Sugimoto,A.Yoshida,T.Miyadera,
ディスプレイの研究を経て,現在,高性能有
S.
機デバイスおよび有機半導体の研究に従事。
Miyaguchi,Proceedings of The 10th International Workshop on Inorganic and
Organic
淳 志 ( よしざわ あ つ し )
宮 口
敏 ( みやぐち さ と し )
技術開発本部 総合研究所 表示デバイス
Electroluminescence(EL'00),
研究部。主な略歴:磁気ヘッドの開発,光集
365-366,(2000)
積回路の研究開発を経て,現在,有機 E L ディ
(4)T.Tsujimura et al.,SID 03 DIGEST 4.1,
スプレイの研究開発に従事。
6(2003)
(5)T.Shirasaki,R.Hattori,T.Ozaki,K.
佐 藤
英 夫 ( さとう ひ で お )
Sato,M.Kumagai,M.Takei,Y.Tanaka,S.
技術開発本部 総合研究所 表示デバイス
Shimoda,T.Tano,Proceedings
研究部。主な経歴:生産技術センターにて,
of
10th
International Display Workshops, AMD4/
ロボット,画像認識などの自動化機器の開
OEL5-5,1665,(2003)
発,電子放出素子の研究開発,有機 E L を用
いた 3 D ディスプレイの研究を経て,現在,有
(6)M.A.Baldo,S.Lamansky,P.E.Burrows, M.
機半導体の研究に従事。
E.Thompson,S.R.Forrest,Appl.Phys.
田 辺
Lett.75,4(1999)
貴 久 ( たなべ
たかひさ)
(7)T.Tsutsui,M.J.Yang,M.Yahiro,K.
技術開発本部 総合研究所 表示デバイス
Nakamura,T.watanabe,T.Tsuji,Y. Fukuda,
研究部。主な略歴:磁気記録技術および光
T.Wakimoto,
ディスク記録技術の研究開発を経て,現在
S.Miyaguchi,Jpn.J.Appl.
有機半導体の研究に従事。
Phys.Vol.38,1502,(1999)
(8)T.
Kamata
et
al.,
Proceedings
of
土 田
SPIE., 5217, 133, (2003)
正 美 ( つちだ
まさみ)
所属:技術開発本部 総合研究所 表示デ
(9)K.Kudo,D.X.Wang,M.Iizuka,S.
バイス研究部。主な略歴:ホーム用 A V 機器
Kuniyoshi,K.Tanaka,Thin
の開発・ 設計を経て,1 9 9 4 年より有機 E L ディ
Solid
Films,
331,51(1998)
スプレイの研究開発に従事。
(10)T.Chuman,S.Ohta,S.Miyaguchi,H.
- 69 -
PIONEER R&D Vol.15 No.2