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当院透析患者の脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)と過
体重の関連性について
児島中央病院 臨床工学科1)、
児島中央病院 透析センター2)、児島中央病院 外科3)
○藤原 香1)、岡本博行1)、清水浩介2)、中川文子2)、田邉秀幸3)
【目的】当院、慢性維持透析患者における週初めの透析前体重が、基礎体重(DW)
から増加率5%以上を過体重(以下過体重群)とし、それ以外を非過体重群として、
脳性ナトリウムペプチド(BNP)との関連性を調べ検討した。
【対象と方法】当院、慢性維持透析患者144名(男性86人、女性58人)、平均年齢70.4歳、
平均透析歴6.7年を対象に、過体重群と非過体重群に分類し、透析前BNP、DMの有無、
心胸比、透析前収縮期血圧、透析歴との比較検討を行った。
【結果】透析前BNP、DM、心胸比との比較をすると関連性はみられた。過体重群の
BNPとDM、心胸比、非過体重群のBNPと心胸比に関連性はみられたが、非過体重群
のBNPとDMに関連性はみられなかった。また、透析前収縮期血圧、透析歴との関連
性はみられなかった。
【考察】BNP高値の透析患者は概ね心拡大を伴っており、また狭心症、心筋梗塞既往
者で何らかの心疾患の合併を有している。DM、心胸比とは関連性はみられるも有意
とは言い難い。透析前収縮期血圧高値の透析患者との相関はみられなかった。過体重
群との関連性を調べたが、どの項目においても明らかな相関は認めていない。これは、
DWとの設定の問題もあり、過体重で心拡大を有する患者と過体重で心拡大のない患
者との比較検討を必要としたが、各々の検査時期が一定でないことより、結論を出す
ことはできなかった。
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当院透析患者におけるイオン化 Ca の動態
医誠会 都志見病院 臨床工学部1)、
医誠会 都志見病院 内科2)、医誠会 都志見病院 泌尿器科3)
○中野賢治1)、松本 優1)、中山航平1)、野村知由樹1)、田村芳生1)、
正木洋治2)、木村邦彦2)、石津和彦3)
目的
今回我々は、当院の全維持透析患者の全血イオン化Ca(i-Ca)濃度と血清総Ca(T-Ca)
濃度及び血清アルブミン濃度(Alb)を測定し、関係を検討したので報告する。
対象及び方法
当院にて維持透析管理中の患者83名を対象に、透析前後のi-Ca,PH,T-Ca,ALb濃度を
測定し関係について検討を行った。
結果
i-Ca,PH,T-Ca,ALb値すべてに於いて透析後有意な増加が認められた。i-CaとT-Caは、
透析前及び透析後においてそれぞれ正の相関が認められた。i-Caと血清補正Caは透析
前及び透析後においてそれぞれ相関は認められなかった。透析前後において、i-Ca濃
度では上昇群が79.5%、T-Ca濃度では上昇群が84.3%、血清補正Ca濃度においては上
昇群が68.7%であった。
透析前i-Ca値と透析前後のi-Ca濃度の差(Δi-Ca)との間には負の相関が認められた。
透析前後のCaイオン化率は有意な変化を認めなかったが、Caイオン化率とPHは、
透析前後においてそれぞれ負の相関を認めた。
結語
透析患者のCa値管理は血清補正Ca値のみに依存せず、できるだけイオン化Ca値も
測定した活用が望ましい。
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血液側および透析排液側から求めた尿素クリアランス K の
比較検討
岡山理科大学大学院 理学研究科 応用物理学専攻1)、
角田医院2)
○森本悠真1)、尾崎眞啓1)、中川益生1)、堀 純也1)、林 国人2)
【はじめに】Kt/V =-ln[C(t)
/C(0)
]の式において,人体を1プールモデル(CB
B
B
= CD)と考えるとln C(t)
をtに対して片対数表示にすることで,右下がりの直線が
D
得られる。その回帰直線の傾きが-K/VとなりKを算出できる。今回は,2症例に対
して透析排液側から求めたKDと血液側から求めたKBについて検討した。
【方法】症例1 PES-13SEα,QB:200 ml/min,QD:500 ml/min,除水速度920 ml/h,
DW:62.00kg 症例2 PES-17SEα,QB:200 ml/min,QD:500 ml/min,除水速度
1120 ml/h,DW:38.8kgの条件で4hのHDを実施し,経時的にサンプリングした血液
および透析排液中の尿素窒素(UN)を測定した。
【結果】両症例ともに t < 30 minと t > 30 minで異なる回帰直線が得られた。症例1
は,t < 30 minにおいてKB = 609 ml/min,KD = 522 ml/minであった。また,t > 30
minにおいては,KB = 159 ml/min,KD = 167 ml/minであった。症例2は,t < 30
minにおいてKB = 266 ml/min,KD = 194 ml/minであった。また,t > 30 minにおい
ては,KB = 124 ml/min,KD = 127 ml/minであった。
【考察】回帰直線の傾きから求めた t < 30 minにおけるK値は t > 30 minの場合に比
べてKB,KDともに高値を示したが,この原因については現在検討中である。また,
症例1および2ともに t > 30 minのKB値とKD値が近似値を示した。これは血液側か
ら濾過されたUNが膜に吸着することなく透析液側に移行していることを意味してい
る。以上のことから血液側か透析液側のUN濃度を3点以上測定すればKB = KDの値
を求めることができるといえる。
P--4
透析終了後および返血終了後における BUN,β2-MG,α1-MG
濃度の時間変化
岡山理科大学大学院 理学研究科 応用物理学専攻1)、
医療法人清陽会 ながけクリニック2)、医療法人雄栄会 角田医院3)
○藤中正樹1,2)、林 国人3)、堀 純也1)、尾崎眞啓1)、中川益生1)
【目的】BUNは透析終了後に濃度が上昇することは一般的に知られている。今回,β2-MG
とα1-MGにおける透析終了後の濃度変化について調べた。
【方法】症例1はQB 200 mL/min,QD 500 mL/min,QF 18.7 mL/min,症例2はQB 180
mL/min,QD 500 mL/min,QF 8.7 mL/minの 条 件 で と も に 4 時 間 のHDを 行 っ た。
BUN,β2-MG,α1-MGについて透析終了時,返血後0分,5分,10分,15分の濃度変
化を測定した。また,透析終了時と返血後の除去率を比較した。
【結果】返血から15分後の濃度上昇率は,症例1ではBUN 35.9%,β2-MG 76.2%,α1-MG
21.3%となり,症例2ではBUN 20.0%,β2-MG 54.1%,α1-MG 12.7%となった。返血前と
返血後の除去率の変化は症例1ではBUN 73.5%→67.3%,β2-MG 73.2%→67.2%,α1-MG
22.6%→22.5%となった。症例2ではBUN 79.3%→77.4%,β2-MG 84.0%→82.4%,α1-MG
38.2%→41.4%となった。
【考察】症例1,2ともにBUN,β2-MGではHt補正をしなくても透析終了後に濃度は上昇
したが,α1-MGは濃度が低下した。これはplasma refillingにより希釈されたためと考え
られる。しかし,α1-MGをHtで濃度補正を行うと,症例1,2ともに濃度が上昇した。
したがって,α1-MGにおいても返血後より物質の移動がおこっていると考えられる。
【結語】今回の結果から,BUN,β2-MG,α1-MGにおいて,返血直後から濃度上昇が認
められた。したがって,除去率を比べる際にはサンプリングのタイミングを合わせる必要
がある.また,返血直後にBUN,β2-MGの濃度が上昇していることより,今後,返血の
際にダイアライザー内に濃縮されていた物質が体に返されることを調べていく必要がある.
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当院における採血手技と透析効率の比較・検討~ slow flow
sampling 法をもちいて~
医療法人 いきいき.クリニック
○見正保子、池田みゆき、船越裕行、藤原加代、別府昌子、横木広幸
【はじめに】
透析を適切に処方する為には、治療効率を客観的指標で評価する必要がある。当院で
も、患者に適した透析治療が行えているかの指標としてKt/Vを用いている。
Kt/Vに影響する要因として再循環がある事を、小野らの推奨するslow flow sampling
法で学んだ。今回当院で現在行なっている採血手技の検討を行なったのでこれを報告
する。
【方 法】
①対象患者は、脱血、返血を共にシャント血管1本ラインでの穿刺している12名。
②同一人物で透析後採血をQB100ml/min直後のものをA郡、QB50ml/min、30秒後の
採血をB郡とした。
③各 1本ずつ採取し、BUNとCrの値を測定しKt/Vの値を算出、A郡、B郡の値に違
いがあるかを確認した。
④参考データとして、穿刺部位の間隔・向き、静脈圧、血流量、終了1時間前の再循
環率値を測定した。
【結 果】Kt/V値12名の各誤差は0~0.1となった。
平均Kt/V値はA郡2.01、B郡1.98であった。
統計学的t検定を用いて有意差があると判定できた。
【まとめ】この結果を元に当院での採血手技を今後検討していくこととする。
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