「バイオ炭を利用した土壌管理」で低環境負荷農業を展開する Developing low external input agriculture by “soil management using biochar” (農学研究院/連合農学研究科・生物生産科学専攻)田中治夫*・Vicheka Lorn (農学研究院/農学府・国際環境農学専攻) 及川洋征・木村園子ドロテア *連絡先 E-mail:[email protected] 1.バイオ炭とは バ イ オ 炭 (Biochar)は、生 物資材を材料とし て作製され、作物の 活性化や栽培環境 改善に効果のある 炭化物をさします。 われわれは、東南アジアにおいて低環境負 荷農業を展開するため、その環境創成に、バ イオ炭施用による土壌管理技術の開発を目 指しています。 図 1. バイオ炭 バイオ炭を土壌に施 すと、①多孔質なため 通気性や保水性などの 物理性が改善される、 ②微生物のすみかを増 やしVA菌根などの増殖 が容易になり微生物性 が改善される、③炭に 含まれるアルカリ分に より酸性土壌が中和さ れ化学性が改善される 図 2. バイオ炭 など、作物生産に対す 作製風景 る効果が期待されています。 図 3. カンボジア王立農業大学での バイオ炭を用いたトマト栽培試験 現在、カンボジア王立農業大学の協力を得 て、もみ殻やヒマ ワリヒヨドリ(雑 草)などの地域バ イオマスを活用し たバイオ炭の施用 効果を調べていま 図 4. バイオ炭を用いて す。 栽培したトマト 2.低環境負荷農業の展開 表1. .もみ殻くん炭およびヒマワリヒヨドリから作製したバイオ炭と堆肥・化学肥料を施用した場合の トマトの生育と土壌の化学性への効果 (カンボジア王立農業大学の圃場で行った例) RH RH CR CR CR RH +堆肥 +化学肥料 +堆肥 +化学肥料 ± ± ± ± ± + ト 根長 マ ト 収量 全バイオマス量 pH 土 電気伝導率 壌 土壌有機物量 硝酸態窒素 ± + ± ± ± ± + + ± ± ± ± + + ± ± ± ± ± + + ± ± ± + + + ± ± + + + + + ± ± RH:もみ殻くん炭、 CR:ヒマワリヒヨドリから作製したバイオ炭 +:対照区に比べて効果が認められたもの、 ±:対照区に比べて効果が認められなかったもの
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