資料(PDF形式

[欠測のあるデータの解析]
欠測のあるデータの解析について、以下の 4 テーマを設定する。1 人につき 1 テーマ
を選択いただき、産官学で検討を行う。なお、テーマによっては SAS や R などの統計
ソフトをインストールした PC を持参することで、より詳細な議論が可能になることが
想定される。
(SAS については、University Edition(無償)も公開されている)。
テーマ 1:LOCF の妥当性と代替手法の検討
対象:現在 LOCF を主に使用しているが、その妥当性に不安を感じている方、もしく
は、他の手法を導入したいが、導入に苦労することが予想される/現在苦労している方
内容:応答変数に欠測のある経時データの解析において、LOCF (Last Observation
Carried Forward)は日本では現在までよく使用されている。一方で、NAS レポート
(NRC, 2010)や EMA ガイドライン(2011)を始めとして、使用するには注意が必要であ
ることも広く知られるようになってきている。そこで、本テーマでは LOCF の基本的
な性質、推定が妥当になる状況を整理した上で、(1)どういう状況で使用が適切/不適
切か、 (2)LOCF を不適切と判断した状況では、どういう代替手法が考えられるか、(3)
代替手法を導入する場合、社内の説得・SAP の記載等において、どういう点に注意を
すればよいか、について議論を行う。
テーマ 2:デザインから結果の解釈までの流れ
対象:欠測の発生することが想定される臨床試験について、計画・実施の全体で必要と
なる検討事項について整理したい方
内容:応答変数に欠測の発生することが想定される臨床試験を計画・実行する際に、検
討すべき項目は極めて多岐にわたる。そこで、本テーマでは架空の事例をもとに、デザ
インから解析までの流れを整理すると共に、疑問点や詳細の検討が必要な点について議
論する。なお、議論の叩き台として、日本製薬工業協会主催の欠測のあるデータに関す
るシンポジウム(2015 年 2 月 12 日開催予定)における、慢性疼痛を対象とした架空の
事例の検討資料を用いる予定である。そのため、本テーマを選択する場合、当該シンポ
ジウムに参加するか、シンポジウムの配布資料を事前に入手しておくことが強く推奨さ
れる。
テーマ 3:統計手法の検討
対象:欠測のあるデータの解析について、
「どういう手法を使えば良いか」「SAS や R
でどう実行するか」の知識はある程度あるものの、数理的・数値的な点も含め、十分な
検討ができておらず、理解を深めた上で使用したい方
内容:応答変数に欠測のある経時データの解析の際、複雑な解析手法が用いられること
が多い。特に、様々な仮定(検証不可能なものも含む)をしたもとでのみ、妥当性が示
されている手法も多い。そこで、本テーマでは、(1)MMRM の例数設計、(2)MAR を主
解析とした場合の感度分析、を検討する。特に(1)では、理論的・数値的な検討を、(2)
では主解析 1 つに対する「標準的な感度分析 1 セット」の特定や、主解析で有意差が得
られず感度分析で有意差が得られた場合の解釈、について検討を行う。なお、当日プロ
グラムを実行しながら議論することも考慮に入れており、指定したプログラムをインス
トールした PC を持参することが望ましい。
テーマ 4:Estimand の検討
対象:Estimand という用語について最低限の知識はあるものの、厳密な定義や実際の
臨床試験でどのように使っていけばよいか、について曖昧さが残っており、理解を深め
たい方
内容:特に応答変数に欠測のある臨床試験において、
「推定対象」を意味する”Estimand”
をより適切に特定し、評価することが重要視され始めている。NAS レポート(NRC,
2010)や Mallinckrodt 氏の書籍 (2013)でいくつかの例に関して定義や主張が述べられ
ているものの、それぞれについて(特に日本において)妥当性と必要な検討事項が十分
に検討されているとは言い難い。そこで、本テーマでは (1)Estimand の定義の検討、
(2)検証試験で efficacy estimand を主要な estimand とすることの妥当性 、(3)申請ま
でに検討すべき estimand と市販後に検討すべき estimand 、について議論を行う。