古屋拉致問題担当大臣キーノートスピーチの主なポイント(仮訳) 1. 挨拶 2. ボストンのテロ事件等(および黙禱) 先日のボストンで起きた爆破事件で犠牲になった方々に、心よりの哀悼の意。 オバマ大統 領も述べ た 通り、今回 の事件は 、 罪のない人 々の命を 奪 い、傷つけ るというテロ行為。 我が国に関 係しても 、 本年1月、 アルジェ リ アにおける テロ事件 で 、日本人1 0人を含む多くの方々が犠牲になったところ。 こうしたテ ロ行為は 、 決して許す ことので き ないもの。 我が国は 、 米国をはじ めとする国 際社会と 協 力して、テ ロ撲滅の た めの最大限 の努力を 行 ってきてお り、今後もこれを継続。 拉致事件も、北朝鮮の体制によるテロ行為そのもの。 ボストンおよびアルジェリアでテロ行為の犠牲となった方々のために黙禱。 3. はじめに 本日のシン ポジウム で は、拉致被 害者の御 家 族及び支援 団体代表 等 からスピー チ。 野党民主党 の拉致問 題 対策委員長 である渡 辺 周議員のシ ンポジウ ム への参加自 体、超党派の取り組みを象徴するもの。 4.日本の対北朝鮮政策 北朝鮮によるミサイル発射や核実験は断じて容認できないもの。 日本は、一 連の安保 理 決議に基づ き北朝鮮 に 対し制裁を 行うほか に 、北朝鮮が 拉致問題に 関して誠 意 ある対応を とってい な いことも理 由に、我 が 国独自の制 裁措置を課している。 日本は、北朝鮮との間で、決して協議の扉を閉ざしてきた訳ではない。昨年 11 月には、4 年ぶりとな る政府間協議が開催さ れ、拉致問題について も継続して 協議を行うことで一致したが、その後の北朝鮮によるミサイル発射予告を受け、 協議は延期。 日本は、拉 致、核、 ミ サイルとい った諸懸 案 を包括的に 解決して 、 北朝鮮との 国交正常化 を実現す る 意思を有す るが、ま ず は、北朝鮮 が、こう し た問題の解 決に向けて具体的な行動を取る必要がある。 5. 拉致問題の現状 1970 年代から 80 年代にかけて、多くの日本人が不自然な形で姿を消したが、 これらの事 件の多く に は、北朝鮮 による拉 致 の疑いが持 たれてい る 。日本政府 は、これまでに 17 名を北朝鮮による拉致被害者として認定しているが、この他 1 にも拉致の可能性を排除できない多くのケースがある。 2002 年 9 月、初めて開催された日朝首脳会談において、金正日氏は日本人拉致 を初めて公式に認めて謝罪するとともに、再発防止を約束。北朝鮮側の説明は、 「5 名生存、8 名死亡」というもの。 「生存」とされた 5 名の拉致被害者及びその家族は帰国したが、 「死亡」とされ た 8 名について、北朝鮮から信じるに足る説明は全くなされていない。 例えば、北 朝鮮が、 横 田めぐみさ んや松木 薫 さんの「遺 骨」とし て 提供したも のからは、 本人らの も のとは異な るDNA が 検出。その 他の証拠 も 全く信憑性 に欠ける。 拉致問題は依然未解決であり、拉致被害者は依然救出を待ち続けている。 日本政府は 、拉致問 題 の解決なく して北朝 鮮 との国交正 常化はあ り 得ないとの 方針を堅持 し、認定 被 害者にとど まらず、 全 ての拉致被 害者の安 全 確保及び即 時帰国のた め全力を 尽 くす。また 、拉致に 関 する真相究 明、拉致 実 行犯の引渡 しを引き続き追求していく。 飯塚繁雄氏は、拉致被害者田口八重子さんの兄。田口八重子さんの拉致は、1987 年 11 月に、日本人女性になりすまして大韓航空機を爆破し、115 名の命を奪っ た北朝鮮特 殊工作員 ・ 金賢姫氏の 証言によ り 明らかにな った。金 賢 姫氏は、北 朝鮮において田口八重子さんから日本語を習ったと供述。 増元照明氏 は、拉致 被 害者増元る み子さん の 弟。るみ子 さんは、 恋 人の市川修 一さんとともに、1978 年 8 月に拉致。増元氏は、昨年、欧州議会の公聴会にお いて証言。 小林七郎氏は、1966 年 8 月に失踪した小林榮さんの弟。榮さんは、日本政府に より拉致被 害者と認 定 されている わけでは な いが、日本 の民間団 体 は、北朝鮮 による拉致の疑いがあると考えている。 6. 人権問題としての拉致問題 国連総会は、2005 年以来、北朝鮮人権状況決議を毎年採択。決議は、北朝鮮に おける広範 な人権侵 害 に対し極め て深刻な 懸 念を表明す るととも に 、拉致問題 についても、北朝鮮に対し問題を早急に解決することを強く要求。 本年 3 月、国連人権理事会により新たに採択された決議により、今後調査委員 会が設置され、北朝鮮の人権状況に関する調査が行われる。 北朝鮮によ る日本人 の 拉致は、平 時におい て 、他国民を 連れ去り 、 国家の違法 な活動に協 力するこ と を強要する という、 真 に重大な人 権侵害か つ 国家犯罪で あり、決して許容されるものではない。 拉致被害は 、日本や 韓 国だけにと どまらな い 。米国のN GO「北 朝 鮮人権委員 会」の報告書によれば、北朝鮮による拉致被害者は、14 か国の国民にのぼると される。 同「委員会」は、2004 年 8 月に中国雲南省で失 踪 し た 米 国人 学 生 デイ ビ ッ ド ・ スネドン氏には、北朝鮮による拉致の疑いがあると指摘。 2 この件をどう取り扱うかは、米国政府が判断する問題。 日本におい て拉致問 題 が明らかに なりつつ あ った当初の 段階では 、 政府が日本 人拉致問題 を正しく 認 識し、対策 を打てる よ うになるま でに長い 年 月を要して しまった。 7. 拉致問題解決に向けての展望 拉致問題の解決には、いくつかの重要な条件が満たされることが必要。それは、 第一に、北 朝鮮自身 に 関すること 、第二に 、 国際環境、 そして第 三 に、日本自 身。これら の3つの 条 件について 、現在大 き な変化が生 じつつあ り 、拉致問題 解決の機運が高まりつつある。 北朝鮮自身 に関して は 、昨年、若 い金正恩 氏 が金正日氏 を承継し て 指導者の地 位に就任。 金正恩氏 自 身は、拉致 問題に直 接 関与してい ないと考 え られ、この 点は、拉致問題に関する北朝鮮側での最も重要な状況の変化。 国際環境に 関しては 、 北朝鮮の度 重なる挑 発 行為を受け 、この数 年 、北朝鮮に 対する国際 社会の制 裁 は強化され つつある 。 北朝鮮の唯 一の同盟 国 と言われる 中国も、3 回目の核実 験を受け、北朝鮮への 態度を変化させつつあ るとも言わ れる。北朝鮮に対する国際社会の包囲網が形成されつつある。 日本につい ては、安 倍 政権は、日 本国民の 高 い支持を得 ており、 拉 致問題解決 のための多 くの対策 を 講じている 。日本に お いて、解決 のための 確 固たる基盤 が固められている。 日本は、北 朝鮮に対 し 厳しい姿勢 で臨んで い るが、北朝 鮮が行動 を 改めるのな らば、日本は交渉のテーブルに着く用意がある。 特に、拉致 問題は、 日 本が国家と してその 国 民を最後ま で守り抜 く という自ら の問題であ り、その 解 決のために 、日本は 、 主体的に行 動してい か なければな らない。 核・ミサイ ルといっ た 、北朝鮮を めぐる問 題 は、米国を はじめと す る関係国が 連携して、全てを解決する必要がある。 同時に、自 分として は 、そうした 取り組み の 入り口にお いて、日 本 が、日朝間 のトゲを自 らの手で 抜 く可能性を 模索して い きたいと考 えている 。 そうするこ とにより、 日本とし て も、その他 の関係国 と 一層足並み を揃えて 、 朝鮮半島の 非核化により積極的な協力ができることとなる。 逆に、核・ ミサイル 問 題に大きな 進展があ っ たとしても 、拉致問 題 について大 きな進展が ない限り 、 直ちに再開 されるで あ ろう大規模 な人道支 援 に対し、日 本として積極的に協力することは困難と自分としては考える。 拉致問題を 即座に解 決 すべしとい う要求に 、 これまでに 1千万人 以 上の日本の 人々が署名 。日本政 府 は、拉致問 題解決に 向 けたかくも 強固な国 民 の意志に支 えられている。 日本が主体 的に行動 す る上で、米 国からの 理 解と支持は 最も重要 。 安倍政権の 下で、日米間の信頼関係が再構築され、同盟は強固なものになっている。 先月、訪日したケリー国務長官が、日米外相会談において、拉致問題について、 3 日本の立場 を完全に 支 持しており 、拉致被 害 者家族の気 持ちがわ か る、この問 題について真剣に取り組みたい旨述べたことは、大変心強く感じている。 8. 安倍総理演説および結語 本年 2 月 22 日、ワシントンを訪問した安倍晋三・日本国総理大臣は、CSIS においてスピーチ。安倍総理大臣は、北朝鮮について次のとおり述べている。 「いまやアジア・太平洋地域は、ますますもって豊かになりつつあります。 が、ただひとつ、例外があると付け加えるべきです。その例外とは、もちろ ん北朝鮮です。 核開発に向けた北朝鮮の野望は、容認されてはなりません。核開発、ミサ イル技術開発をあきらめ、拉致したすべての日本国民を解放しない限り、わ が政府は、およそ報奨めいたものを与えるわけにいきません。日本は米、韓、 その他の諸国、そして国連と、倦むことなくともに働き、北朝鮮が野望を実 現するのを阻まなくてはなりません。 わたしの上着の、襟がご覧になれますか。ブルーリボンのバッジをつけてい ます。これには目的がありまして、来る日も来る日も、自分は、1970 年代か ら 80 年代にかけ北朝鮮が拉致した日本人を取り返さなくてはならないとい うことを、自分に思い出させるためであります。」 4
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