光の3原色・絵の具の3原色 青森・野呂茂樹 **************************************************** 【光の 3 原色】 【3原色ライトで実験】 CD/DVDの自然光や照明などの反射光や虹 (つくり) では、きれいに色づいた帯(連続スペクトル)を見 3 LED ラ イ ト ( ダ イ ソ ることができますが、光に色がついている訳ではあ ー:懐 中 電 灯 No.46)の レ りません。色は私たちの感覚です。人間の目の奥の ン ズ の 上 に 、赤 色・緑 色 ・ 網膜には、暗くなると明暗に反応する桿体細胞と明 青色のセロファン(文房 るいとき反応する3種類の錐体細胞(赤錐体、緑錐 具店のものが適します) 体 、青 錐 体 )と が あ り ま す 。私 た ち が 感 じ る 色 と は 、 を貼り付けます。 3種類の錐体細胞の興奮の度合いの組み合わせに (実験1) 伴う脳神経回路の興奮の様相です。 ①(暗い部屋で)白紙などの白いス 光には色がついていませんが、一般には、暗い部 クリーン(白紙)にライトを近づけ 屋で白いスクリーンを照らしたとき、例えば、赤色 照らすと、3色の別々の円が映りま が見えるときの光を赤(色)の光といっています。 す。 ②少しずつスクリーンから遠ざけて 光の波長 いくと、部分的に重なった3つの円 ←短 →長 ができます。重なった部分に新しい 色ができます。 青錐体の感度 緑錐体の感度 赤錐体の感度 ③ さらに遠ざけると、ほほ3つの 円は重なり白い円になります。 ④このままで、指を使って1つのラ 紫色 青色 緑色 黄色 橙色 赤色 空色 イトを覆います。 赤を隠すと緑+青→空色、緑を隠すと赤+青→赤紫 色感覚 色、青を隠すと緑+赤→黄色になります。 (実験2) スクリーンの前に小物体を置き、1つの色を覆い、 私たちが赤色に感じる光の波長は赤錐体の感度 2色の光で照らします。 が最もよい付近ではなく緑錐体の感度がなくなる ①赤を覆うと、スクリーンは緑+青→空色になりま (青錐体の感度もない)波長付近、緑色に感じるの す。そして、物体の後ろ側の全く光のこない部分は は青錐体と赤錐体の感度が小さい波長付近、青色に 黒い影(本影)が、その両側には2つの光源からの 感じるのは(赤錐体と緑錐体の感度が小さい)青錐 一方の光を受ける部分に受ける光によって一方に 体の感度が一番よい波長付近です。このため、赤 緑色の、反対側に青色の影(半影)が現れます。 色・緑色・青色の組み合わせで全ての色を作ること ②緑を覆うと、スクリー ができます(TV/パソコンなどのカ ラ ー デ ィ ス ンは赤+青→赤紫色にな プ レ ー は 赤 色・緑 色・青 色 の 発 光 体 の 集 ま り で す )。 ります。物体の本影は黒 黄色に感じる波長は赤錐体と緑錐体が同程度の 色、半影は赤色と青色で 感度になる付近です。ま す。 た、緑錐体と青錐体の2 ③青を覆うと、スクリー つだけが強く感じる波長 ンは緑+赤→黄色になり 領域はないので純粋に空 ます。物体の本影は黒色、 色に感じる波長領域は存 半影は緑色と赤色です。 在しません。 【色セロファンで見ると】 (実験3) 【絵の具の 3 原色】 例えば、青い絵の具、は自然光の中の青い光を反 カラー印刷のチラシに赤色・緑色・青色などのセ 射(透過)し、他の波長の光を吸収します。したが ロファンを載せると、見える絵・文字とよくは見え って、絵の具を混ぜていくといろいろな波長の光が ない絵・文字があります。 吸収され、黒くなっていきます。 絵の具の三原色は青色と赤色と黄色ともいわれ ますが、正しくは空色と赤紫色と黄色です。 白(自然光)=青+緑+赤 空色=白-赤=青+緑 赤紫色=白-緑=青+赤 黄色=白-青=赤+緑 なので 空色+赤紫色=白-赤-緑=青色 空色+黄色=白-赤-青=黄色 赤紫色+黄色=白-緑-青=赤色 (実験4) 空色+赤紫色+黄色=白-赤-緑-青=0(黒) 白い紙に赤鉛筆で描いた絵・文字を赤色セロファ ンを通して見ると見にくくなり、緑色や青色のセロ ファンでは黒っぽく見えます。 *理由 白い紙は全ての光を反射します。絵の具・インク は赤い光を反射します。 【ナトリウムランプ】 道路やトンネルの照明などに橙黄色(遠くからは オレンジ色に見え、近くからは黄色に見える)のナ 赤色フィルターは赤い光を通します。 トリウムランプが用いられることがあります。 紙からの反射光も絵の具・インクからの反射光も このランプの光では色の違いの判断はできませ 赤い光なので、区別がつけにくく(見えにくく)な んが、私たちの網膜は緑 - 橙の範囲の光に対し敏 ります。 感なので、照明の有効範囲が広くなることやコント ラストが高まり物体の存在がはっきり見えるから です。 【信 号 機 の色 】 道路に設置されている信号機の色は、「赤・黄・ 青い絵の具・インクは赤の光を吸収するので、反 緑」です。信号の色は、国際規格で「赤・黄・緑」 射光はほとんどなくなります。紙からは赤い光が反 は交通に使う信号に、「青・白」は航空信号に使わ 射されるので、赤色に黒い絵・文字が見えます。 れます。 ところで、なぜ「赤・黄・緑」の三色なのでしょう か。いろいろ理由はありますが、心理学的な要素も 加わって、次のようにいわれています。赤色は一番 遠くからでも見える(判断できる)色です。だから 一番重要な「止まれ」に、青色は赤色の次に遠くか ら見える色で心理学的に安心する色であることか ら「進んでもよい」、黄色は雨や霧の中でも一番よ く見える色(小学生の帽子や傘、レインコートが黄 色なのはこのため)だからといわれています。 信号機の色は、「赤・黄・緑」なのに、呼び方は 「赤・黄・青」です。 緑信号なのに、青信号と呼ぶのは日本だけです。 1930 年( 昭 和 5 年 )、日 本 に 初 め て 信 号 機 が 設 置 さ れたときはまだ、青信号を法令的には緑色信号と呼 んでいました。これをなぜか新聞や人々は青信号と 呼びだしたのです。日本語の「青」の範囲は広く、 「青いリンゴ」や「青々とした山」や「青菜」など 緑色のものを「青」と呼ぶ場合が多く、色の三原色 「赤・黄・青」からも、緑色の信号も青信号と呼ば れるようになったとの説もあります。「青色信号」 と い う 呼 び 名 が 一 般 的 に な っ て き た こ と か ら 、 1947 年 に 法 で も「 青 信 号 」と 呼 ぶ よ う に な っ た そ う で す 。 横向きの信号では左から青・黄・赤の順、縦の信 号では上から赤・着・青です。横タイプの信号は、 一部が道路脇の看板や、街路樹で隠れてしまっても、 危険を知らせる赤が見えるように、縦タイプはたく さん雪が降る地方に多く、雪がたくさん積もっても、 一番上に赤が見えるようにとの理由からです。 使われる光源も白熱電球からLEDに変わりつ つあります。LEDの消費電力が少ないことも理由 ですが、LEDの方が色の判断がしやすいからでも あります。電球の場合では色を出すために色ガラス で覆われています。電球が点灯しているときは色ガ ラスの色が明るく見え、消えているとき電灯からの 光がないので暗く見えるのですが、消えているとき 太陽の強い光が当ると反射光が色づいて見え、電球 が点灯していないかどうか判断しにくいときがあ ります。LEDの場合色ガラスが不要なので反射に よるトラブルを少なくすることができます。 【参考HP】 ・「FNの高校物理」 http://fnorio.com/index.htm ・「3原色ライト」のつくりは広島・土肥健二さん から教えていただきました。
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