光の3原色・絵の具の3原色

光の3原色・絵の具の3原色
青森・野呂茂樹
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【光の 3 原色】
【3原色ライトで実験】
CD/DVDの自然光や照明などの反射光や虹
(つくり)
では、きれいに色づいた帯(連続スペクトル)を見
3 LED ラ イ ト ( ダ イ ソ
ることができますが、光に色がついている訳ではあ
ー:懐 中 電 灯 No.46)の レ
りません。色は私たちの感覚です。人間の目の奥の
ン ズ の 上 に 、赤 色・緑 色 ・
網膜には、暗くなると明暗に反応する桿体細胞と明
青色のセロファン(文房
るいとき反応する3種類の錐体細胞(赤錐体、緑錐
具店のものが適します)
体 、青 錐 体 )と が あ り ま す 。私 た ち が 感 じ る 色 と は 、
を貼り付けます。
3種類の錐体細胞の興奮の度合いの組み合わせに
(実験1)
伴う脳神経回路の興奮の様相です。
①(暗い部屋で)白紙などの白いス
光には色がついていませんが、一般には、暗い部
クリーン(白紙)にライトを近づけ
屋で白いスクリーンを照らしたとき、例えば、赤色
照らすと、3色の別々の円が映りま
が見えるときの光を赤(色)の光といっています。
す。
②少しずつスクリーンから遠ざけて
光の波長
いくと、部分的に重なった3つの円
←短
→長
ができます。重なった部分に新しい
色ができます。
青錐体の感度
緑錐体の感度
赤錐体の感度
③
さらに遠ざけると、ほほ3つの
円は重なり白い円になります。
④このままで、指を使って1つのラ
紫色
青色
緑色
黄色
橙色
赤色
空色
イトを覆います。
赤を隠すと緑+青→空色、緑を隠すと赤+青→赤紫
色感覚
色、青を隠すと緑+赤→黄色になります。
(実験2)
スクリーンの前に小物体を置き、1つの色を覆い、
私たちが赤色に感じる光の波長は赤錐体の感度
2色の光で照らします。
が最もよい付近ではなく緑錐体の感度がなくなる
①赤を覆うと、スクリーンは緑+青→空色になりま
(青錐体の感度もない)波長付近、緑色に感じるの
す。そして、物体の後ろ側の全く光のこない部分は
は青錐体と赤錐体の感度が小さい波長付近、青色に
黒い影(本影)が、その両側には2つの光源からの
感じるのは(赤錐体と緑錐体の感度が小さい)青錐
一方の光を受ける部分に受ける光によって一方に
体の感度が一番よい波長付近です。このため、赤
緑色の、反対側に青色の影(半影)が現れます。
色・緑色・青色の組み合わせで全ての色を作ること
②緑を覆うと、スクリー
ができます(TV/パソコンなどのカ ラ ー デ ィ ス
ンは赤+青→赤紫色にな
プ レ ー は 赤 色・緑 色・青 色 の 発 光 体 の 集 ま り で す )。
ります。物体の本影は黒
黄色に感じる波長は赤錐体と緑錐体が同程度の
色、半影は赤色と青色で
感度になる付近です。ま
す。
た、緑錐体と青錐体の2
③青を覆うと、スクリー
つだけが強く感じる波長
ンは緑+赤→黄色になり
領域はないので純粋に空
ます。物体の本影は黒色、
色に感じる波長領域は存
半影は緑色と赤色です。
在しません。
【色セロファンで見ると】
(実験3)
【絵の具の 3 原色】
例えば、青い絵の具、は自然光の中の青い光を反
カラー印刷のチラシに赤色・緑色・青色などのセ
射(透過)し、他の波長の光を吸収します。したが
ロファンを載せると、見える絵・文字とよくは見え
って、絵の具を混ぜていくといろいろな波長の光が
ない絵・文字があります。
吸収され、黒くなっていきます。
絵の具の三原色は青色と赤色と黄色ともいわれ
ますが、正しくは空色と赤紫色と黄色です。
白(自然光)=青+緑+赤
空色=白-赤=青+緑
赤紫色=白-緑=青+赤
黄色=白-青=赤+緑
なので
空色+赤紫色=白-赤-緑=青色
空色+黄色=白-赤-青=黄色
赤紫色+黄色=白-緑-青=赤色
(実験4)
空色+赤紫色+黄色=白-赤-緑-青=0(黒)
白い紙に赤鉛筆で描いた絵・文字を赤色セロファ
ンを通して見ると見にくくなり、緑色や青色のセロ
ファンでは黒っぽく見えます。
*理由
白い紙は全ての光を反射します。絵の具・インク
は赤い光を反射します。
【ナトリウムランプ】
道路やトンネルの照明などに橙黄色(遠くからは
オレンジ色に見え、近くからは黄色に見える)のナ
赤色フィルターは赤い光を通します。
トリウムランプが用いられることがあります。
紙からの反射光も絵の具・インクからの反射光も
このランプの光では色の違いの判断はできませ
赤い光なので、区別がつけにくく(見えにくく)な
んが、私たちの網膜は緑 - 橙の範囲の光に対し敏
ります。
感なので、照明の有効範囲が広くなることやコント
ラストが高まり物体の存在がはっきり見えるから
です。
【信 号 機 の色 】
道路に設置されている信号機の色は、「赤・黄・
青い絵の具・インクは赤の光を吸収するので、反
緑」です。信号の色は、国際規格で「赤・黄・緑」
射光はほとんどなくなります。紙からは赤い光が反
は交通に使う信号に、「青・白」は航空信号に使わ
射されるので、赤色に黒い絵・文字が見えます。
れます。
ところで、なぜ「赤・黄・緑」の三色なのでしょう
か。いろいろ理由はありますが、心理学的な要素も
加わって、次のようにいわれています。赤色は一番
遠くからでも見える(判断できる)色です。だから
一番重要な「止まれ」に、青色は赤色の次に遠くか
ら見える色で心理学的に安心する色であることか
ら「進んでもよい」、黄色は雨や霧の中でも一番よ
く見える色(小学生の帽子や傘、レインコートが黄
色なのはこのため)だからといわれています。
信号機の色は、「赤・黄・緑」なのに、呼び方は
「赤・黄・青」です。
緑信号なのに、青信号と呼ぶのは日本だけです。
1930 年( 昭 和 5 年 )、日 本 に 初 め て 信 号 機 が 設 置 さ
れたときはまだ、青信号を法令的には緑色信号と呼
んでいました。これをなぜか新聞や人々は青信号と
呼びだしたのです。日本語の「青」の範囲は広く、
「青いリンゴ」や「青々とした山」や「青菜」など
緑色のものを「青」と呼ぶ場合が多く、色の三原色
「赤・黄・青」からも、緑色の信号も青信号と呼ば
れるようになったとの説もあります。「青色信号」
と い う 呼 び 名 が 一 般 的 に な っ て き た こ と か ら 、 1947
年 に 法 で も「 青 信 号 」と 呼 ぶ よ う に な っ た そ う で す 。
横向きの信号では左から青・黄・赤の順、縦の信
号では上から赤・着・青です。横タイプの信号は、
一部が道路脇の看板や、街路樹で隠れてしまっても、
危険を知らせる赤が見えるように、縦タイプはたく
さん雪が降る地方に多く、雪がたくさん積もっても、
一番上に赤が見えるようにとの理由からです。
使われる光源も白熱電球からLEDに変わりつ
つあります。LEDの消費電力が少ないことも理由
ですが、LEDの方が色の判断がしやすいからでも
あります。電球の場合では色を出すために色ガラス
で覆われています。電球が点灯しているときは色ガ
ラスの色が明るく見え、消えているとき電灯からの
光がないので暗く見えるのですが、消えているとき
太陽の強い光が当ると反射光が色づいて見え、電球
が点灯していないかどうか判断しにくいときがあ
ります。LEDの場合色ガラスが不要なので反射に
よるトラブルを少なくすることができます。
【参考HP】
・「FNの高校物理」
http://fnorio.com/index.htm
・「3原色ライト」のつくりは広島・土肥健二さん
から教えていただきました。