№107 2016.5.26 『わたぼうしの人生』 酒匂キリスト教会 牧師 勝俣慶信 【今週のみことば】 聖書箇所 ヨハネの福音書 21:20-25 「あなたは、わたしに従いなさい」(ヨハネの福音書 21 章 22 節) これは、一つのお話しです。 ある日、イエス様は三つの花にこう言いました。 「あなたは、 今のあなたを造られた神様のすばらしさを、思いっ切り人々に 伝えなさい。 」 一つ目の花はバラでした。 バラは思いました。 「私は、私の鮮やかな色と、甘い匂いで多 くの人に神様の情熱的な愛を伝えましょう。 」バラは、バラ園に咲き誇り、まるで天国のよ うな美しさを通し多くの人々に神様のすばらしさを伝えました。 二つ目の花は、 「やまぼうし」という木の花です。やまぼうしは思い ました。 「わたしは、真っ白い十字架の花。だから、私を見る人は、イ エス様の十字架を思い出し、聖さを感じることでしょう。 」やまぼうし は、山登りに来た人々に、十字架の聖さを、思い切り伝えようとしまし た。 三つ目の花はタンポポです。 でも、タンポポはイエス様から声をかけられた時、こう答えま した。 「私は、地面にへばりついて咲いているだけ。誰も私のこ となど気にしません。それだけではありません。時々、犬や猫が おしっこをひっかけて行き、自動車が通れば埃まみれ。ゴミも投 げ捨てられていくのです。こんな私が、とても神様の素晴らしさ を伝えるなんてできません。 」 イエス様はタンポポに言われました。 「あなたを造ったのはい ったい誰なんだい?」タンポポは答えました。 「神様です。でも、神様は私をバラや、やま ぼうしのようには造られませんでした。 」 するとイエス様は「あなたは、わたしに従いなさい。そして、あなたのままで私のこと を知らせなさい。 」 しばらくするとバラは色が変わり、バラ園の人がみんな花を摘んでしまいました。 やまぼうしの花は終わり、赤い実をつけたかと思うと、もう誰も見向きもしなくなりま した。 タンポポは、汚れっばなしだったのに、黄色い花が終わったと思ったらグングン背が伸 び始めました。 「あれー、おかしいなー。体が軽くなって伸びていく。 」 するとイエス様が言いました。 「あなたが背負ってきた全ての重荷を私が全部引き取った。 あなたの中から罪も汚れも取り除いて聖め、代わりに私のいのちを注いだのだよ。だから あなたは軽くなり新しくなった。 」 雨上がりのきれいな朝、タンポポは水たまりに写った自分の姿を見てびっくりしました。 黒ずんだ黄色だったはずなのに、真っ白なフワフワの姿に造りかえられているではありま せんか。 主は言われました。 「今からあなたに風を吹き込みます。あな あな たは私に従いなさい。自分を丸ごと風に乗せ、私の愛といのち たは私に従いなさい。 を伝えなさい。 」 ペテロをはじめ、イエス様の弟子たちは最初、 「よし、私はバラのように鮮やかな大輪を 咲かせよう」とか、 「やまぼうし」のように十字架の聖さを現そうなど、やればできると考 えました。けれども、イエス様が十字架にかけられた時、弟子達は全員、花が散らされる ように逃げてしまいました。彼らの心はボロボロに引き裂かれ自責の念でいっぱいでした。 けれども、イエス様を三度も否んでしまったペテロに向かい、イエス様は三度、 「あなた は私を愛しますか」と問うてくださり、彼の罪が帳消しにされていることを自覚させてく ださり、 「あなたは私に 」と招き続けてくださいました。そけは、 「あなたは私 「あなたは私に従い 私に従いなさい。 従いなさい。 」 を否定して逃げた。にもかかわらず、私はあなたを愛している。私は十字架であなたの罪 を全て担い、あなたの罪と重荷は取り除かれている。 」という主からのメッセージであった のです。 全ての罪が帳消しにされ、身も心も軽くされ、新しいいのちと霊が注がれました。 ペテロは、タンポポのわたぼうしのように真っ白にされ、聖霊の風に乗って遣わされて 出ていきます。 そして、かつては「私こそバラだ。私こそやまぼうしだ。私こそ立派で、力があり、優 秀だ」と誇っていたペテロが次のように言う人に変えられます。 「金銀は私にはない。しかし、私にあるものをあげよう。主イエス・キリストの名によ って歩きなさい。 」(使徒の働き 3:6) イエス様によって、プライド(高慢)も、競争心も、自責の念も全て取り除かれ、イエス様 によって遣わされていったペテロは、 「私には誇れるものなど何もありません。でも、私に ある、一番すばらしいものをあげましょう。それは、生けるキリストです。このお方を心 に信じ、ここから新しいいのちを注がれて、立って歩かせていっていただきなさい。 」その ように、彼は、イエス様の愛と霊といのちとを、信仰をもってお裾分けしていく人に造り かえられていきました。 本当にバラ色の人生とは、わたぼうしのように造りかえられ、軽くされ、神様の愛だけ を受けて飛んでいける人生なのです。そして、それは信じ求める人すべてに与えられてい くのです。 「あなたは、わたしに従いなさい」主の御声があなたの上にも響いています。
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