December 2007

Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
ISSN 1348-5474
December 2007
第6巻 第1・2号
Journal of Japanese Society for Extremophiles
巻頭言 ……………………………………………………………
2
編集委員会より …………………………………………………
3
特別寄稿 …………………………………………………………
4
研究最前線 ……………………………………………………… 11
学会参加報告 …………………………………………………… 15
極限環境微生物学会研究奨励賞受賞研究 …………………… 17
原著論文 ………………………………………………………… 25
シンポジウムミニレビュー …………………………………… 45
学会誌投稿規程 ………………………………………………… 83
会則・細則 ……………………………………………………… 85
運営体制 ………………………………………………………… 87
1
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
巻頭言
図鑑活用の薦め
(酒の字を背景に)
緒方 靖哉
地球上で発見された生物はそれぞれの特徴によっ
て分類され、名前即ち学名が付けられている。学名
の基本単位は「種」であるが、
「属名」を示さなけれ
ば生物の「種」を表示することはできないので、命
名の際、中心に位置づけるのは「属」になる。
「属」
の上位に「科」を、
「科」の上位に「目」というよう
に連続的で包括的な分類の階級が進化系統学的に制
定されている。分類が体系づけられた生物のグループ
では図鑑が作られている。筆者は、
“微生物”を表看
板に、
“昆虫”を裏看板に掲げて人生を歩んでいるの
で、これら小さき生き物の学名と分類に特別に親し
みを感じている。そして、これらに関連する図鑑を
座右の書にしている。図鑑には分類階級の明瞭な検
索ガイドがまとめてあり、さらに学名の由来や意味、
形態や生息地をはじめ諸性状が実に要領よく記載さ
れている。図鑑は役に立つ上に、眺めるだけでも非
常に楽しい。筆者は、微生物関係では、キノコ図鑑
を子実体の造形美とキノコ狩りでの利便性で愛用し、
また変形菌類図鑑には不可思議な生活環と子実体の
神秘的な美しさに引かれる。虫の方は主としてカミ
キリムシ等の甲虫を採集しているので、甲虫図鑑を
2
木本図鑑と一緒に寝床にまでも持ち込んで愛読して
いる。図鑑は夢の中で、憧れの珍品種との出会いを
誘ってくれる。
最近、国際ウイルス分類命名委員会(ICTV)の 8th
ICTV Report(ELSEVIER、2005 年)を見ているが、
図鑑としても利用できると思えるようになった。筆
者は、1984 年以来、ICTV の原核生物ウイルス分科会
のメンバーとして、これまで出版された ICTV Report
が進化し続けるのを見てきた。8 報は、2000 年出版
の 7 報に比べ、より鮮明になった写真やカラー図の
格段の増加と多数の「種」の掲載に伴い、ページ数
が著しく増えたことにまず驚きを隠し得ない。また、
多数のウイルスのゲノム解析が進み、遺伝子構造や
ゲノム構造が解明され、分子系統図或いは系統樹が
各種ウイルスで記載されており、ウイルス種間、属
間、科間の類縁性が明確になっている。
原核生物のウイルスでは、特にアーキアのウイル
スで、7 報までの 4 科に 1 新科と科未定の 1 新属の
追加があったのが目を引いた。宿主共々の研究の進
展がもたらした結果と推察され、これからも変わっ
た形態や性状を持つ新種の発見が期待される。また、
マスコミに度々登場し、世の中を騒がせている次の
ウイルスの所属や類縁関係、諸性状などを検索した:
新型肺炎 SARS ウイルス(以下 V と略)
、新型脳炎ニ
パ V、新型出現やタミフル問題絡みのインフルエン
ザ V、老人泣かせのノロ V、毎年1億人以上に下痢症
を引き起こすロタ V、今でも5万人が被害者になっ
ていたのかと驚かされる狂犬病 V、毎年夏になると
登場する西ナイル熱 V、相変わらず猛威を振るって
いるレトロ V、時々登場する C 型肝炎 V、大流行の兆
しを見せる麻疹 V、
(ヒトばかりでなく)ゴリラで大
流行のエボラ出血熱 V、高病原性鳥インフルエンザ V、
コイヘルペス V 等々。検索が容易で、利用し易くな
っている。図鑑化が進めば、さらに多くの人が利用
するようになり、抗ウイルス剤や治療法の開発に繋
がる福音書になると確信している。
(緒方靖哉:崇城大学・生物生命学部・教授、九州
大学名誉教授)
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
編集委員会より
連載企画のお知らせ
極限環境微生物学会
編集委員長 石井 正治
極限環境微生物学会では、学会員諸氏に、ご自身
が対象としている極限環境ばかりでなく、他の極限
環境に関しても積極的に知識を積み重ねて戴くこと
で、幅広い視野に立ったそれぞれの研究展開が可能
となることを祈念しております。また、そのために
は、極限環境を教科書的に理解するだけでなく、そ
うした環境を長年対象としてきた諸氏に極限環境の
一つ一つの説き明かしをお願いするのが一番の近道
と判断するに至りました。
そこで、最初に高塩濃度環境を取り上げ、好塩菌
の世界的権威でもあり、本学会の立ち上げ期から学
会運営等にも深く関わって戴けている亀倉先生に、
「塩と好塩菌」と題した特集を何回かにわたって連
載して戴けるようにお願い申し上げました。
宜しくご愛読のほど、お願い申し上げます。
Exportadora de Sal, S.A. de C.V. (Google Earth より)
ESSA の塩田は約 750 万トンの生産能力を持ち、太陽エネルギーを利用して海水を蒸発さ
せる天日製塩という環境に優しい製造方法により生産しています。(三菱商事 HP より)
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Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
特別寄稿
「塩と好塩菌」-其の1好塩菌研究所
亀倉
正博
て関心を抱いたのを覚えている。日本にも若狭湾近
く三方五湖のうち水月湖や、鹿児島県甑島(コシキジマ)
の貝池など汽水と海水が相をなしているなど小規模
の塩湖はたくさんあるであろう。しかし本稿ではこ
の後、塩濃度が海水の数倍濃い環境を主な対象とす
る。
国内で使われる塩には輸入天日塩、輸入岩塩、国
内で精製された特例塩と 3 種類あるが、輸入塩は大
部分メキシコ、オーストラリア、インド、中国の天
日塩である。国内では昔からの揚浜・入浜式塩田は
1972 年以降(ほぼ)完全に姿を消し、大部分イオン
交換膜と電気エネルギーを利用して海水からかん水
を採り真空式蒸発缶で煮詰める製塩法に代っている。
財団法人塩事業センターの統計によると塩の需要は
家庭と飲食店で年間 29 万トン、業務用で 900 万トン
あり、供給量は輸入塩 810 万トン、国内産 140 万ト
ンである(平成 18 年度)。塩は調味料、醤油味噌醸
造など NaCl のまま利用するのは勿論のこと、ソー
ダ工業では電気分解により Na は苛性ソーダに Cl は
塩素ガスにし、そこから派生する化学物質は我々の
生活のありとあらゆる分野で使われている。
はじめに
筆者は 1971 年キッコーマン(株)に入社し 3 ヶ月
の研修後(財)野田産業科学研究所に出向、大西 博
主任研究員のグループに配属され、2006 年 10 月ま
で 35 年間好塩菌と付き合ってきた。定年後も研究活
動を続けている私に今回本誌編集委員から何か書く
ようにとの機会が与えられた。本会会員の中で好塩
菌、あるいは好塩性生物を研究対象としておられる
方は少ないので、基礎的なことにも触れながら塩(シ
オ)、好塩性(微)生物、そのタンパク質などに係わ
る話題を提供したい。本稿では特に断らない限り塩
は食塩 NaCl を指す。
海水
なぜ海水の主成分が NaCl となったのか?現在の
大洋海水の塩分濃度の総和は場所により若干の違い
はあるものの 34-36 g/L であり、その内 NaCl は 78 %
を占め、K+と Mg2+の塩が 18 %、3.5 %が CaSO4、
残りの 0.5 %を HCO3-、 Br-、F- 等が占める。地球
が形成された初期の段階で炭酸イオンを大量に含ん
だ水により火成岩の成分が溶かし出され、マグマか
ら供給される塩素イオンとの高温高圧条件下での化
学反応の結果として、Na+と Cl-が残されていくとい
う壮大なシナリオについては MacIntyre による解説
15)
を参照されたい。過去の海水はもっと薄かったの
かそれとも濃かったのか。32 億年前の海水は今の
1.5-2 倍濃かったが、20 億年前の海水は現在と変わ
りなかったという説もある。MacIntyre の論文以降の
新説、あるいは深めた論文があるのかどうか今回改
めて探したが分らない。ご存知の方はお教え頂きた
い。
好塩菌とは
冷蔵技術が普及するまで食品の保存法として乾燥
とならんで塩蔵が重要だったことからも分かるよう
に、高濃度の塩は生物一般にとって極限環境である。
醤油は塩濃度 18%、通常の雑菌は生えることが出来
ない。しかしヨルダンの死海やアメリカ・ユタ州の
大塩湖(ダイエンコ)など塩が高濃度に存在する環境に
は逆にこの塩を必要とする微生物、好塩菌が棲息し
ている。最もよく増殖できる塩濃度が 0.2-0.5 M のも
のを低度好塩菌、0.5-2.5 M を中度好塩菌、2.5 M 以
上を高度好塩菌と分けることがあるが、中度以上の
塩要求性を示すものを好塩菌と呼ぶことが多い。特
に飽和食塩下でも増殖できる赤橙色をした高度好塩
菌は、高塩濃度を要求するのみでなく菌体を低張液
に曝すと直ちに破裂溶菌して死滅する。1971 年
Halobacterium halobium の紫膜にバクテリオロドプ
シンが発見され一躍有名になり、1978 年からは古細
菌の一翼を担うことになった。
塩の種類と量
現在世界中で年間約 1 億 8 千万トンの塩が生産さ
れているが、その 3/4 は世界中に存在する岩塩層や
塩湖などの塩資源から採られていて、約 1/4 が海水
から造る天日塩(テンピジオ)である。塩湖の明確な定
義はないようだが、塩含量(ここでは全イオン含量
を指す)が 3 g/L 以上のものとすることが多いよう
だ。3 g/L といえば海水の約 1/10 で薄いようにも思
うがこの濃度以上から舐めるとショッパイと感ずる
そうだ。中国には内モンゴルはじめ各地に 1,000 を
越す塩湖(3.5 g/L 以上)があるといわれているし、
世界中塩湖だらけだ。野田に来て好塩菌の仕事を始
めた頃、南極にバンダ湖という数メートルの氷に覆
われた高濃度の塩湖があるという事をラジオで聴い
好塩性酵素を探索
筆者は配属後「好塩性の酵素を探索し好塩性の機
構を調べる」という研究テーマを与えられた。大西
は醤油酵母の研究で確固とした業績を上げた後、
4
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
風力で濃縮され 13 に区切られた塩水池を傾斜に沿
って順次濃い池に流れて行く。グーグルアースでポ
インタを 27° 54’ 12’’ N、 114° 01’ 21’’ W 近辺にもっ
てくると其々の池がはっきりみえる。約 3 倍に濃縮
されたところで炭酸カルシウムが、4 倍で硫酸カル
シウムが沈殿する。最終結晶池で沈降した食塩層が
15-20 cm になった時点で大型ブルドーザー(グーグ
ルでは 2 台見える)で収穫し洗浄、野積みして不純
物を除去し塩として出荷する。純度は乾燥重量で
99.7%以上である。
さて塩濃度が上がるにつれそこに棲息する(微)
生物の相も変化していく。Pseudomonas、 Vibrio な
どの海洋細菌からはじまり、次に Flavobacterium、
Alcaligenes などに属する中度好塩菌注4)にとって替
わられる 13)。実は天日塩田の生物相の管理は世界基
準品質注5)の天日塩を生産する上で非常に大切なこ
とである。緑藻 Dunaliella は有機物の減少、菌体内
色素 β-カロチンによる太陽熱吸収により塩水の温度
を上昇させ水分蒸発促進という点で塩田管理にとっ
ては好ましい存在ではあるが、増えすぎると菌体か
ら出てくる炭水化物の影響で硫酸カルシウムの沈降
が阻害され塩の品質に悪影響を及ぼす。中間塩濃度
の池では特に brine shrimp アルテミア(Artemia)によ
る塩水中の有機物の微小粒子の分解、ドナリエラ個
体数のコントロールに必須だそうである 2)。最終的
に食塩が結晶沈降する直前の池では高度好塩菌が主
になるため赤く染まり、太陽熱を吸収し 40 数度まで
温度が上がり水分蒸発が促進され塩の結晶が析出す
る。飽和に近い塩濃度の結晶池が赤く染まることは
世界中の大小天日塩田でも観察されるところである。
ゲレロネグロの塩田からは’Haloarcula californiae’
GN という高度好塩菌が分離されている。
1963-1965 年にかけてカナダ・オタワの国立研究所
で N Gibbons 、 M Kates 、 DJ Kushner ら と 共 に
Halobacterium の研究を行った最初の日本人である。
まず大西が高度好塩菌についての知見をまとめた総
説 19)を精読し、早速種々菌体外酵素を探索し、醤油
製造に使う天日塩から単離した Bacillus sp. No. 21-1
がプロテアーゼを生産することを見出し、同じく天
日塩から単離されていた好塩性アミラーゼ生産菌を
Micrococcus halobius sp. nov.と命名した注1)。次に若
い醤油諸味から単離した Micrococcus varians subsp.
halophilus 注2)が生産する好塩性が顕著なヌクレアー
ゼを精製、海岸の砂から分離した別の好塩性ヌクレ
アーゼ生産菌を Bacillus halophilus sp. nov.と命名し
た注3)。だがこの時は中度好塩菌だけで高度好塩菌に
は出会わなかった。また好塩性機構の解明には手も
足も出なかったが、この研究テーマは未だ続行中で
ありこのシリーズの後半で取り上げる。
市販の天日塩にいる高度好塩菌
実験の合間に古い文献を読み進み、塩蔵、食卓塩
として使われる天日塩が高度好塩菌はじめ多くの好
塩菌にまみれていることが 1880 年頃には明確に認
識されていたと知った。腸チフス菌、結核菌などが
発見されていた頃である。1966 年後半に執筆された
であろう好井の総説 24)の中に「本邦で今までに高度
好塩菌の分離された例はほとんど見当らない。
・・本
邦でも高度好塩菌の出現は時間の問題と思われる」
とあった。好井の予言通り 1968 年に大阪府大の大亦
正次郎らが、スペイン産の岩塩から培地を赤色に混
濁する菌3株を分離し、その内高度好塩菌 R-113 株
の性質を報告していた 18)。日本人が分離した最初の
高度好塩菌である。その後石田祐三郎(1970 年)、堀
江(1974 年)、東條(1977 年) 等により輸入天日塩から
高度好塩菌を分離したとの報告が続いた。いつか高
度好塩菌を使ってみたいものだと、筆者は秘かに思
った。岩塩中の好塩菌につては次回に詳述する。
天日塩田とそこに棲息する生き物
さて天日塩とは広大な塩田に海水を引き込み約 2
年かけて水分を蒸発させ最終的に結晶した塩である。
筆者はまだ実物を見たことがないが日本から空路ア
メリカ・サンフランシスコに渡るとき湾の南端に赤
色になった塩田が見えるそうだ。Cargill Inc. (以前は
Leslie Salt Comp.)の天日塩田だ。グーグルアースで簡
単に探すことが出来るが、美しいピンクや赤に染ま
っている。
メキシコ・バハカリフォルニア半島のゲレロネグ
ロにある塩田 Exportadora de Sal は 1954 年創業、年
間 750 万トンの生産能を持つ世界最大規模の塩田 9)
で、メキシコ政府鉱業振興局が 51%、三菱商事が
49%の株を保有しているそうである。まずポンプで
最初の池にくみ上げられた海水は、その後太陽熱と
5
好塩性動物アルテミアと好塩性繊毛虫鞭毛虫
上で触れたアルテミアは世界中の塩湖に棲息して
いる体長 10 mm にもなる、節足動物門甲殻綱 Artemia
属のれっきとした動物である。Artemia 属には 12 種
以上報告されており、各塩湖に独自の種が棲息して
いるといわれていが、大塩湖に棲む種が A. salina な
のか A. franciscana なのかはっきりしない。アルテミ
アは日本にも観賞用あるいは稚魚の餌として大塩湖
などから輸入されており、一時シーモンキーして持
て囃されたそうであるが、シー、海にはいない。淡
水湖には棲息しておらず、高濃度塩存在下で生きて
ゆける極めて珍しい極限環境動物であり、特に卵は
乾燥に強く、クマムシ、ネムリユスリカの幼虫など
のクリプトビオシスと同様トレハーロースが関与し
ているとされているが 11)、異論もあるらしい。
上で述べたように天日塩田では高品質の塩を生産
する為アルテミアの個体数とその活性を管理するこ
とが特に重要で、総合的に判断して場合によっては
数を増やす為ローカルの、あるいは別株の卵を播種
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
することもある。新規に開拓された天日塩田には操
業中の塩田から種を導入する 22)。海では他の生き物
に食べられて生きていけないという性質のため、人
為的、あるいは渡りの習性をもつ水鳥による伝播で
広がる。
写真でしか知らなかったアルテミアに筆者が初め
て出会ったのは 2006 年 7 月。筆者の共同研究者の一
人 Madalin Enache が住むルーマニアの首都ブカレス
トから車で 2 時間ほどのスラニックという村がある。
地下の巨大な岩塩鉱床で有名なところだがこれにつ
いては次回ふれる。地表に露出した岩塩を掘り出し
た跡の窪地に出来た塩湖がある。一つは飽和に近い
塩濃度の Bride Cave(写真 1)。Madalin が立ってい
るのは岩塩の上。それまで岩塩といっても所詮は塩
の塊、と思っていた筆者には、
『地下から地表に出て
から少なくとも 150 年間』雨風にさらされてもまだ
残っている白い岩塩は驚異だった。
写真 1
ているのか?高濃度塩存在下で生きる繊毛虫、鞭毛
虫の報告はこれまでに無いと思う。興味津々である。
大塩湖の岸辺にはハエ brine fly がいることはよく知
られているが塩水の中で生きているわけではないの
でここでは触れない。
バアスベッキングが残した謎
古い文献を色々読み進むうちに Baas-Becking の解
説論文 1 ) の中で次のような箇所に遭遇した。The
oldest Chinese treatise on pharmacology and
pharmacognosy is the Peng-Tzao-Kan-Mu, which may
be translated as the man-plant-classification. そしてこ
の書物の Volume XI, “Stones”, part of book V, devoted
to description of 20 kinds of salt and 27 additional kinds
という項に”An embankment is made and ditches to
draw clear sea water. It is left for a long time until the
color becomes red. If the south wind blows with force
during summer and autumn the salt may grain overnight.
If the south wind does not come all the profits are lost.
(Mr. T Hashimoto による英訳)”との記述があり(下
線は筆者)、この赤色は好塩菌を指しているとの事。
さらにバアスベッキングは”Peng-Tzao-Kan-Mu dates
back, according to some authorities, to about 2700 B.C.”
と述べていた。彼はオランダ生まれの生物学者で、
好塩性藻類 Dunaliella や Artemia などの研究をきっか
けに地質地球生物学の分野で活躍された方だ 20)。こ
の解説論文は多くの好塩菌研究者により頻繁に引用
されているが、なかには”This treatise, written about
2700 B.C.” 、 “a Chinese treatise some 5000 years
old”、 ”a Chinese treatise 4000 yeas ago”、”5000 年前
の製塩術に関する中国の文献”という風に引用する
人もいるが、その書籍の正体は誰一人として書いて
いない。中国の紀元前 2700 年は夏王朝以前の時代で
甲骨文字が生まれる前。さあこの書籍は何だ?
謎解き - 本草綱目に登場していた高度好塩菌
縁があって筆者は 1982 年 9 月から 1985 年 9 月ま
で、オタワ大学に移っていたクッシュナー、ケイツ
両先生の研究室で好塩菌の仕事を発展させる機会を
得、初めて赤い高度好塩菌を目の当たりにした。1984
年に中国科学院微生物研究所からやってきた周さん
に、筆者が 10 年以上抱いていた疑問をぶつけたら
Peng-Tzao-Kan-Mu は 新 し い 標 記 法 で は Ben Cau
Gang Mu と書くということを教えてもらった。その
後オタワ日本人会でお話する機会がありこの話を出
したら「Ben Cau Gang Mu は本草綱目じゃないです
かね」との示唆を頂いた。本草綱目が中国明時代の
李時珍(1518-93)の書だということは知っていたが
2700 B.C.とは結びつかない。
ずっと頭の隅にこびりついていたが、1987 年 1 月
10 日に「中国古文字と殷周文化―甲骨文・金文をめ
ぐって」という公開シンポジウムが開かれることを
写真 2
隣接するもうひとつは Shepherd Bath は塩濃度が
15 %、近づくとなんと無数の Artemia salina がいた
(写真 2)。ブライドケイブには高度好塩菌しかいな
いと思っていたが、本稿執筆にあたり確認したら『確
かに Artemia はいない。が、泥から繊毛虫の Prorodon
sp.、Coleps sp.や底生鞭毛虫の Colpodella sp.が分離さ
れたことがある』との返事。高度好塩菌を餌に生き
6
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
新聞で知り、読売ホールに出かけて講演を聞いた後
資料も買ってきた。悩んだ末 1 月 22 日、講師のお一
人で「殷人の観念世界」というお話をされた東大・
東洋文化研究所の松丸道雄教授にバアスベッキング
の論文のコピーを同封して手紙でお尋ねしたところ、
2 月 2 日付けでお返事を戴き、
「本草綱目に間違いな
い。何故 BC2700 の本とされるに至ったのかあれこ
れ想像したがどう考えてもわからない。見当がつき
かねる」とのことだったが、先生の捺印済みの図書
室閲覧申請書を同封して戴いたのには本当に頭が下
がるほど恐縮した。余談だがお返事の最後に「P.S. キ
ッコーマンの茂木友三郎君(当時常務、現会長、筆
者)は上野高校の同期生、お会いの折はよろしく御
鳳声下さい」とあった。世の中は狭い。
早速東洋文化研究所に出かけ司書の方に事情を説
明して、全五十二巻「本草綱目」の該当する記載が
あるであろう一冊を書庫から出して頂いた。石部第
十一巻金石之五、食鹽という項目の三頁目に「疏鹵
地為畦嚨、而塹囲之。引清水注入、久則色赤。待夏
秋南風大起、則一夜結成、謂之鹽南風。如南風不起、
則鹽失利。
」という記述があるのを確認した(順治十
五年序刊本。一部の文字は略字で置き換えた。点と
丸の挿入は 1975 年発行本草綱目校点本による。下線
は筆者)。バアスベッキングの引用とピタリ合う。
Mr. Hashimoto はこの部分を英訳したのだ。李時珍の
時代に製塩に携わっていた官吏が赤い色が高度好塩
菌に由来することを知っていたとは思えないが、天
日塩の製造過程で塩水が赤くなる現象を記載した最
古の書籍であることは間違いない。長年の疑問が解
決した。
《頼ってきた後輩は暖かく迎えること》
。松丸先生
に戴いた教えである。古文書複製社から届いたコピ
ーは今も大切に保存している。それにしてもオーソ
リティは何を根拠に 2700 B.C.と言ったのか、これは
いまだ謎だ?
強塩泉の深部塩水は極限環境
「塩」という字を含む地名は多数ある。ソルトレ
イクシティ、ザルツブルグ、日本には塩釜、塩尻、
塩沢、塩原など 30 以上有るそうである。このうち海
岸にあるのは塩釜、塩浜など少数で後は内陸部の地
名だそうだ。なぜ内陸で塩なのか?日本の各地には
塩分を含んだ温泉、塩泉が知られている。大阪の石
仏、愛媛県の別子などの塩泉は新第三紀(二千乃至
数百万年前)の古海水起源であるとされている。塩
濃度が濃い強塩泉として兵庫県の有馬温泉と長野県
の鹿塩(カシオ)温泉が有名だ。前者は海水の 2 倍、後
者は海水並みの塩分を含んでいる。有馬温泉の泉温
は 63-94 ℃と高温だが、塩濃度の高い特異な深部熱
水と天水起源の地下水との混合によってつくられた
ものだとされている 21)。一方鹿塩の塩泉水の塩濃度
に季節変動があることに注目して調査の結果、酒井
7
らは泉源について以下の結論に達した 16)。深部にあ
る高濃度塩水が上昇してかなり大きな裂罅(レッカ)に
貯留している。さらに上昇する過程で、2 種類の循
環水により希釈され地表に湧出する。一つは集水域
に降る雨水に直接由来する地下水と、もう一つは雨
水が地下深く浸透し岩石と十分反応した水、とのこ
とである。日本での未踏の高塩極限環境である。さ
て好塩菌がいるのか?
安壽は潮を汲み、厨子王は柴を苅る
森鷗外の小説「山椒太夫」の原拠が説経節「さん
せう太夫」であることは有名であるが、鷗外が主た
る依拠資料とした説経節は江戸時代から伝わる正本
ではなく、「徳川文芸類聚」第八『浄瑠璃』(1914
年発行)所収の「さんせう太夫」と見る説が有力で
あるそうである 6)。子供の頃「安寿と厨子王」とい
う絵本を読んだ記憶が在るが、安壽が一所懸命に日
に三荷、杓で桶に汲んだ海水と厨子王がこれも日に
三荷山で苅った柴が製塩の為に使われたとは、文献
5)
に接する 1 年ほど前まで思い至らなかった。慌て
て講談社の復刻版「安寿姫と厨子王丸」を買って読
み直した。
高濃度では極限環境であるが、塩は人の生活にと
って欠かせない。日本での製塩の歴史は筆者のよく
するところではなくまた本論の範囲を超えるので、
多数ある詳しい文献 7)を読まれることをお勧めする。
後述の能登の塩田との係わりがあるのでここでは、
土器製塩、藻塩焼き、揚浜式、入浜式、そして現在
のイオン交換膜電気透析法、と変遷してきたことに
触れるだけに留めたい。諸外国の製塩の歴史は「塩
の世界史」17)に詳しい。
揚浜塩田、海岸の砂から高度好塩菌
説経「さんせう太夫」は丹後国のかな焼地蔵の由
来を説き広めるためのものだそうだが、同じ日本海
に面した石川県珠洲市仁江(スズシ ニエ)海岸に「石川
県指定 無形民俗文化財 能登の揚浜式製塩」と書
かれた白い柱が立っている。日本で只一箇所、揚浜
塩田で角花 豊さん一家が塩をつくっているところ
だ。能登の揚浜塩田は加賀藩三代藩主前田利常が玄
米一石に付き塩九俵の割合で米を貸し与える制度
「塩手米制」を始めた 1596 年(慶長元年)までさか
のぼるとのこと。臨時製塩措置法により 1959 年(昭
和 34 年)9 月 30 日で国内の塩田が廃止された後も
角花さんだけが製塩を続けている。製塩法の仔細に
ついては財団法人地域創造が運営している「地域文
化資産ポータル」
『石川珠洲市揚げ浜式製塩法』の映
像で紹介されているので是非ご覧頂きたい 8 )。元
(財)ソルト・サイエンス研究財団専務理事橋本壽
夫氏による説明文 10)も併せお読み頂ききたい。
この塩田は 1985 年 10 月掘越先生のグループとレ
スター大学の WD Grant 先生の共同チームが訪れ、
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
の砂も含め 11 箇所から試料採取。帰野後試料を冷蔵
庫に保管した。
そ の 砂 か ら 「 お に ぎ り 型 の 好 塩 菌 」( 1990 年 に
Haloarcula japonica と命名 23))を発見した場所であ
る。国内で分離され名前が付けられた最初の高度好
塩菌である。その当時筆者も、鹿児島大学教授に転
籍した大西が 1980 年に塩のこびりついた海岸の砂
から分離した No. 172 という高度好塩菌(1995 年に
Natrialba asiatica と命名 12))を調べていた時なので
その発表は驚きであった。両者とも菌体を低張液に
曝すと直ちに溶菌死滅する。そんな高度好塩菌が、
雨が降れば直ちに真水になるような海岸や塩田の砂
に何故棲んでいるのだ?「Haloarcula japonica も
Natrialba asiatica もきっと、大雨が降っても、すな
わち砂粒が真水に懸濁されたような状態になっても
真水が入り込まない内部の微小空隙にひそんでいる
のだ。でも極少数だけ。」というのが筆者の 1990 年
以来の結論であった。
バリ島の入浜塩田
1995 年筆者はインドネシアのバリ島のウダヤナ
大学を訪問する機会に恵まれ、その後教授と共に入
浜式塩田に向かった。仁江の塩作りと同じく最後は
かん水を釜で煮詰める方法をとっていた(写真 3)。
写真上の小屋の中に見える炎と写真下の塩水を満た
した石釜。石釜の傍の砂をマイクロチューブに少量
採り、帰国後高度好塩菌用の培地にほんの数粒投入
37 ℃に一週間おいたら濁ってきたので寒天培地に
まいたら、赤、ピンク、ベイジュの3種類のコロニ
ーが確認された。矢張り高度好塩菌が居る!
なお、片平氏の写真集「地球 塩の旅」にバリ島
の自然浜揚浜塩田の紹介がある 14)。同じ島でもこち
らは濃いかん水を火で煮詰めるのではなく、椰子の
木の幹を割って作った台に黒いゴムシートを敷きか
ん水を入れ、天日で濃縮して塩の結晶をとっている
ようだ。
写真 3
仁江の揚浜塩田に再挑戦
掘越グループの発表から 20 年経った 2005 年 11
月 16 日、筆者は休暇をもらい仁江海岸へ向かった。
朝早く電車で野田を出て 14 時頃付いた金沢の案内
所で、もう今日は宿とした国民宿舎木ノ浦荘に向か
うバスは出ませんよと言われ、そんなに僻地なのか
と愕然、宿に電話したら「では大谷行きのバスに乗
りなさい」とのこと。30 分は掛かる距離を大谷まで
国民宿舎のバスで迎えに来てくれたときは正直嬉し
かった(こんなことは他人にはどうでもいいのだが)
。
大谷は松本清張の『零の焦点』で有名な曽々木海岸
の近くだった。翌 17 日始発路線バスで目的地、角花
さんの塩田に到着。事前に連絡せずにブッツケ本番
の訪問だったが、丁度外出するところだったとご当
人が出て来られたのでご挨拶。まず角花家謹製の塩
を一袋買ってから研究の目的をお話し塩田の砂をち
ょっとずつ頂戴することをお願いしたら快諾。海岸
8
砂に無数の高度好塩菌
まずアンピシリン含有 30%塩含有液体培地に 11
個 の 砂サ ンプ ル をマ イク ロ スパ チュ ラ で接 種し
37 ℃にインキュベートしたところ 6 つの砂試料に濁
りを認め、高度好塩菌が居るとの確信を得た。しか
しこの集積培養では一匹いても陽性となるので何匹
いるのか分からない。12 月 26 日 30 %塩含有寒天培
地の中央に砂試料を直接載せ丁寧に広げ 37 ℃にイ
ンキュベートした。直接接種法を取ったのには理由
がある。東洋大学の越後、宇佐美らが関東一都5県
の通常の畑土壌から直接接種法によって増殖至適食
塩濃度が 5~15 %の中度好塩菌株を多数取得したと
いう報告 3)を出した直後だった。
30 日にはまだコロニーらしきものは確認できな
かったが、1 月 3 日、3 つの砂のプレートにピンクの
コロニー確認。30 日後には海岸の砂 3 サンプル以外
塩田の砂全てに高度好塩菌が居ることが明確になっ
た。ただコロニー数は数個から恐らく千個以上まで
色々だった(写真 4)。写真はプレートの 2.3 cm x 3.1
cm の部分を拡大したもので、無数のコロニーが見え
る。一年かけて色々調べ 2007 年 1 月に論文を書いて
投稿したら、案の定編集委員から「試料から微生物
を分離するには適当な液に懸濁してから、その上澄
みを寒天培地に塗布するのが常識だ」との指摘があ
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
4. これらの菌名は 1980 年代前半の知見に基づいて
付けられたものであるので、現在では変わっている
可能性がある
5. 長辺 3 cm 程度、カルシウム含量 0.03 %、マグネ
シウム 0.02 %、硫酸イオン 0.11 %、不溶物 0.17 %、
水分 2-3 %以下
った。確かに常識ではあるが菌の数が少なければ釣
れてこない、と反論し論文を通した 4)。分離菌の奇
妙な性質については次号で説明する。
写真 4
微小な極限環境
ここまで高度好塩菌は高濃度塩環境に棲息する極
限環境微生物として扱ってきた。しかし近年極限環
境にしか居ないと考えられていた微生物が意外な環
境から分離され、また、居るという証拠がどんどん
出てきている。
メタン生成古細菌は培養操作中に微量の空気が入
っただけで死滅する偏性嫌気性であることで有名だ
が、乾いた状態で何十年も室温に置かれた水田土壌
をメタン菌用の培地に投入するとメタンが出てくる、
すなわち偏性嫌気性が細かい土粒の内部で生き延び
ている。
極限環境(微)生物を研究対象としている我々に
とって高熱温泉、熱水鉱床、深海、死海、酸性湖、
湖沼底泥などは、ある程度の大きさの空間と歴史的
時間を兼ね備える典型的な極限環境だし、事実こう
いう環境から分離された生物を研究している方が大
部分であるが、微生物に限れば、微小極限環境空間
を歴史的ではない短い時間で移動しているものも無
視できないのではないだろうか。
ここまで根気よく読んで頂いた方に厚く御礼申し
上げます。ウェブで探せばすぐ出てくる文献は引用
しませんでしたが、疑問、質問がありましたらいつ
でもメールをください。
《頼ってきた後輩は暖かく迎
えること》。勿論先輩もどうぞ。
以下次号に続く…
注
1. 1995 年に Nesterenkonia halobia と再分類された
2. 恐らく天日塩にいたのであろうが、系統学的な研
究は未着手
3. 今年 Salimicrobium halophilum と再分類された
9
文献
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and salt-manufacture. Scientific Monthly, 32: 434-446.
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Kamekura, M. and Usami, R. (2005) Endospore of
halophilic bacteria of the family Bacillaceae isolated
from non-saline Japanese soil may be transported by
Kosa event (Asian dust storm). Saline Systems, 1:8.
4. Fukushima, T., Usami, R. and Kamekura, M. (2007) A
traditional Japanese-style salt field is a niche for
haloarchaeal strains that can survive in 0.5 % salt
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命の間―. 現代化学, 11 月号: 24-25.
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24. 好井久雄 (1967) 食塩と微生物 (1), (2). 日本醸
造協会雑誌, 62: 43-49, 147-152.
連絡先:亀倉 正博
好塩菌研究所
〒278-0043
千葉県野田市清水 677-1
TEL & FAX 04-7125-8007
[email protected]
10
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
研究最前線
超好熱菌の低温適応から考える生命の進化
関西学院大学
理工学部生命科学科
本学会で超好熱菌に興味を持たれる方は多いと思
います。その理由は超好熱菌が原始生命に最も近い
現存する生物だからではないでしょうか?もちろん
超好熱菌は耐熱性酵素の生産菌であり、遺伝子資源
としても有用です。しかし生命誕生のプロセスは依
然謎であり、生命科学における最重要課題はどのよ
うにして生命が誕生したかを解明することにあると
思われます。超好熱菌を研究し、その特徴から原始
生命を予想しようとするのはこの分野に携わる研究
者の自然な発想です。しかし、自然科学は試験管内
で現象を再現してはじめて評価されるため、いろい
ろな結果から導かれる生命誕生のモデルは仮説の域
を出ません。この謎を解くための取り組みはたくさ
んあり、古くはミラーが行った実験が有名です。彼
は原始地球で起こりうる化学反応を再現し、生体を
構成する成分が科学的に作られることを示しました。
その後の化学進化の実験では高温の反応場でヌクレ
オチドやタンパク質が合成され、最近では原始海水
環境でマリグラヌールという細胞に似た構造体も合
成されています。しかし賢人たちの努力むなしく自
律複製能をもつ生命体は作られていません。
(そんな
に簡単では神様の立場が無くなってしまいます。)近
11
藤原
伸介
年、分子系統学者は数学的に生命の起源を考えよう
としています。系統樹の根本に相当する部分に好熱
性の微生物が集まることから生命の起源は好熱菌で
あったと推測しています。化学進化の実験や分子系
統解析の結果が示すように原始生命が超好熱菌であ
ったことはまず間違いないでしょう。では、高温で
誕生した原始生命はどのようにして、多様な環境に
適応し、進化していったのでしょうか?系統樹をよ
く見ると根元は超好熱菌ですが、枝が長くなるにつ
れて生育温度の低い生き物が現れます。これを同じ
目、あるいは同じ属の生物で比較すると興味深い傾
向が見えてきます。
2002年4月に私は関西学院大学で新設された
生命科学科に赴任しました。新設学科だったため本
格的な研究はままならず、パソコンでゲノムプロジ
ェクトの完了した微生物を比較する日々を過ごして
いました。ゲノムを解読する速度は年々加速してお
り、膨大な数の生物でゲノム構造が解明されていま
した。これらを用いて比較していると同じ目では生
育温度の低い生物ほどゲノムサイズが大きく、パラ
ロ グ が増 えて く る傾 向が あ りま した 。 超好 熱菌
Thermococcales 目では Pyrococcus 属と Thermococcus
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
大大学院教授)をはじめ、かつて阪大で同じ研究室
で研究活動を行った高木昌宏先生(現北陸先端大大
学院教授)、森川正章先生(現北大大学院教授)には
多方面でアドバイスをいただきました。また関西学
院大学の博士研究員だった田中丈士さん(現産総研)、
マスード・シディキさん(現クエッタ大教授)
、東端
啓貴さん(現東洋大准教授)には着任して間もない
混乱期の研究活動を支えていただきました。現在は
博士研究員の福田青郎さん、廣本武史さんが研究活
動だけでなく学生達の兄貴分としての役目を果たし
てくれます。補佐員の東内修子さんはあらゆる雑務
を手際よく処理してくれます。東内さんの事務処理
能力の高さにはいつも驚嘆しています。研究室には
12 人の学生が配属されていますが、彼らは生命科学
科の 1 期生から 3 期生です。私としては彼らにも特
殊環境微生物をライフワークとして研究する同志に
なってもらいたいと期待しています。学生達と充実
した毎日ですが、目下最大の悩みは研究費が全く足
りないことです。
属という超好熱菌がいますが、両者に生理学的特徴
に違いはありません。唯一の違いは Thermococcus 属
の生育温度範囲は Pyrococcus 属よりも広く、約 10℃
低い温度でも生育することができることです。また
Thermococcus 属には Pyrococcus 属にはない遺伝子が
いくつかあります。というよりも Thermococcus 属の
ゲノム上には同じ機能を持つと考えられる複数のパ
ラログがいくつも存在しています。そこで
Thermococcus kodakaraensis の細胞をできるだけ低い
温度で培養し、至適温度で培養した細胞と遺伝子の
発現動態を調べてみました。すると生育下限限界の
温度で特異的に発現してくる遺伝子のいくつかは
Pyrococcus 属にはない遺伝子であることがわかりま
した。これらはいずれも前述の Thermococcus 特有の
パラログです。その中には分子シャペロンや RNA
ヘリカーゼ、膜タンパク質が存在しています。現在、
研究室ではこれら遺伝子の機能解析や低温適応にお
ける役割について研究を進めています。
私が本学に着任して 5 年が経ちましたが、研究室
がどうにか機能しているのは運営を支えて下さった
方々のお陰だと思います。恩師の今中忠行先生(京
12
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
研究最前線
NBRC における極限環境微生物資源の維持と提供
(左から内野佳仁、森浩二、島村具仁子、飯野隆夫。NBRC で極限環境微生物に従事する。)
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)
バイオテクノロジー本部、生物遺伝資源部門(NBRC)
微生物資源を研究開発の材料として収集・保存・
提供を行う機関としてカルチャーコレクションがあ
り、NBRC もそのひとつです。製品評価技術基盤機
構(NITE)は、2002 年 4 月に財団法人発酵研究所
(IFO)
から微生物株の保存・提供業務を移管し、NBRC を
開設しました。開設に関しては、本学会誌第2巻の
第1号に「NBRC スタート、幅広い生物遺伝資源の
活用の基盤を目指して」と題して生物遺伝資源部門
長の鈴木より紹介させて頂きましたが、5年目を迎
え、NBRC の収集・保存・提供業務活動はようやく
軌道に乗ってきた感があります。2007 年 11 月現在、
IFO から移管後に NBRC として収集した株数も
4,104 株となり、コレクションとしての充実を目指し、
勇往邁進の日々です。また、NBRC の保存・提供業
務に関して客観的な品質管理システムの構築を目的
とし、2006 年 12 月に日本の微生物株保存機関とし
てはじめて ISO 9001:2000 による認証を取得いたし
ました。これを基盤として、安定的な微生物資源の
保存・提供システムを構築&向上させていきます。
さて、NBRC における極限環境微生物です。そも
そも極限環境微生物とは何か?についての定義とし
て、ヒトを含めた一般動植物が生息できないような
環境下で増殖できる微生物といえます。温泉、海底
13
森
浩二
熱水、地下環境、油田、塩田など、極限環境に相当
する環境は我々の身の回りに数多と存在しているこ
とになりますが、一方で培養可能な極限環境微生物
は非常に少ないのも現状です。NBRC の保有する極
限環境微生物についても、NBRC 全保有株数の数%
に過ぎません(古細菌に限れば 2006 年までに全体の
0.2%、90 株)
。また極限環境微生物の種類・株数に
つ い て も 、 NBRC は Deutsche Sammlung von
Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH (DSMZ)や理
化学研究所(JCM)にまだまだ及ばないのが実情です。
NBRC には高度好塩性古細菌(Halobacterium 属など)、
好熱好酸性菌(Acidithiobacillus 属や Sulfolobus 属な
ど)及び放射線耐性菌(Deinococcus 属)が IFO から
移管されましたが、開設当初の極限環境微生物保有
数は少なく、ごく限られた種類だけでした。とりわ
け系統的に古細菌において多勢を占めるメタン生成
古細菌をはじめとする強い嫌気環境を培養条件に必
要とする偏性嫌気性菌の取り扱い経験がありません
でした。このため、私が NBRC に赴任した 2003 年
よりそれらの取り扱いに必要な設備を整え、メタン
生成古細菌を中心に保存・提供環境を整備し、現在
では様々な極限環境微生物を受け入れ、提供できる
ようになりました。これに伴い、極限環境微生物の
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
す。増殖が観察できないと、培地を疑い、培養条件
を疑い、微生物株の生残性を疑い、更には自分の腕
を疑います。NBRC では、この不安を軽減するため
に、極限環境微生物の生菌(active culture)を分譲する
際には、未植菌の培地を同時に提供し、株の生残を
ユーザーがチェックできるようにしています。また、
極限環境微生物は、それぞれの極限環境微生物の種
類によって培養等のコツがありますので、初めて扱
う微生物種に際して、技術的な相談として執拗にご
質問されることをお勧めします。
NBRC では 2007 年 10 月よりゲノム DNA 分譲を
開始いたしました。これまでは、培養ができないと
微生物株を利用することが不可能であり、この事実
はとりわけ極限環境微生物利用の敷居を高くしてい
ました。一方で、遺伝子工学的手法の発展や微生物
ゲノムや遺伝子の情報の増大に伴い、培養が出来な
くても対象とする微生物のゲノム DNA があれば、
様々な研究が可能な時代となりました。現在、ゲノ
ム DNA の 分 譲 対 象 は Aeropyrum pernix (NBRC
100138T)、Pyrococcus horikoshii (NBRC 100139T)及び
Sulfolobus tokodaii (NBRC 100140T)の3株のみです
が、ご要望に応じて随時分譲対象株を増やしていく
予 定 で す 。 ご 要 望 は NBRC ホ ー ム ペ ー ジ
(http://www.nbrc.nite.go.jp/)までお願いいたします。
近年、微生物資源の利用に関して、生物多様性条
約や植物防疫法、知財権などの様々な規制を知らず
して扱うことは出来なくなりました。新種発表する
際には、基準株に関して異なる国の複数のカルチャ
ーコレクションに寄託し、その証明書の提出が義務
づけられるようになりました。こういった世の中の
流れに答えるために、品質の高い微生物資源の研究
開発推進基盤作りがカルチャーコレクションに求め
られていると感じます。微生物資源の利用に際して
は、様々な情報を付帯し、分譲形態をはじめとする
多様化したユーザーのニーズに応じ、ユーザーがよ
りアクセスしやすい NBRC であることが重要である
と思います。また、微生物資源の提供と利用に加え、
みなさまが利用することで得られた成果をカルチャ
ーコレクションにフィードバックしていただくこと
による株の付加価値向上が、カルチャーコレクショ
ンの充実化に繋がっていくと考えています。
種類及び保有数も増加し、現在では Methanopyrus
kandleri (NBRC 100938T)や Methanothrix thermophila
(NBRC 101360T)など培養が非常に難しいとされる
メタン生成古細菌も提供しています。
様々な極限環境微生物を受け入れるべく間口を広
げましたので、次なる段階として NBRC ユーザーの
増加が課題です。ここで述べるユーザーとは、NBRC
への菌株寄託者と NBRC 株の分譲依頼者に大別でき
ます。NBRC へ菌株を寄託する研究者を如何に増加
させるかについては、NBRC への信頼向上と全カル
チャーコレクションの中における NBRC の特色と別
問題ではないと考えられます。長い実績をもとに獲
得し得る信頼を、開設して5年目、とりわけ実績の
少ない NBRC の極限環境微生物でそれを“うり”とす
ることはできませんが、個々の研究や実績を見せる
ことはできます。海底熱水由来の Oceanithermus
desulfurans (NBRC 100063T)や Archaeoglobus infectus
(Int. J. Syst. Evol. Microbiol. in press)、アサリの消化管
由来の Oscillibacter valericigenes (NBRC 101213T)な
ど、ようやく NBRC としての極限環境微生物に関す
る成果(一部産業技術総合研究所との共同研究含む)
が出始めました。現在投稿中の極限微生物を含め、
今後も NBRC 独自の新規極限微生物株を分離・提供
していくことは、将来的に NBRC のカルチャーコレ
クションのカラーとなり、カラーと成り得た微生物
種に関して確実に維持・培養できる機関として外部
からの信頼を勝ち得ると考えています。
収集した微生物株も利用されなければただのコレ
クションに留まり、学術的基盤かつ社会的に存在意
義のあるカルチャーコレクションを志すうえでは、
NBRC 株を皆様に使っていただくことも重要な使命
です。極限環境微生物は最もユーザーが手を出し難
いものの1つであることは間違いなく、新規ユーザ
ーが急速に増えることはありません。日頃から極限
環境微生物を培養している研究室でも、新たに外部
より分譲された微生物株を確実に増殖させられるこ
との保証はなく、増殖するまで(確実な維持・継代
が確保されるまで)不安がつきまといます。このこ
とは、カルチャーコレクションにて微生物の収集業
務を行う我々も同様で、新規にご寄託頂いた微生物
株を飼い慣らすのに時として多くの時間を費やしま
14
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
学会参加報告
Thermophiles 2007
金井 保
京都大学工学研究科合成・生物化学専攻
ベルゲンの街並み
Korarchaeota のゲノムがモザイク的な特徴を有する
ことが明らかにされた。
Ecology and biodiversity の分野では、Ken Takai 氏
(JAMSTEC)により、彼らが深海底の熱水環境から分
離した Methanopyrus kandleri strain 116 を高圧環境下
(20MPa)で生育させたところ、122℃の高温環境下で
も生育可能であったという結果が報告された。これ
までに報告されている生物の生育上限温度は
Loveley 博士らによる 121℃であり、地球上生命の生
育限界温度がさらに上昇したという今回の発表は、
聴衆の大きな興味を集めた。
Gene expression の分野では、John Reeve 氏(Ohio
State Univ.)が、遺伝子組換えシステムが確立されて
いる超好熱始原菌 Thermococcus kodakaraensis の転
写開始に関わる2種類の TFB パラログの機能につ
いて、その in vitro および in vivo 解析の結果を報告
した。Micheal Thomm 氏(Univ. Regensburg)は、超好
熱始原菌 Pyrococcus furiosus の RNA polymerase を組
換えタンパクによる再構成系を確立し、本システム
を用いた in vitro 解析により、転写開始の各段階にお
ける RNA polymerase 内の様々なモチーフの役割に
ついて報告を行った。
DNA replication and repair の分野では、Stephen Bell
氏(Hutchison/MRC Research Centre)が好酸性超好熱
始原菌 Sulfolobus 属の DNA 複製の分子メカニズムに
ついて、特に MCM DNA helicase の機能メカニズム
第9回国際好熱菌学会(Thermophiles2007)が、
2007 年 9 月 24 日〜27 日にわたり、ノルウェー第2
の都市であるベルゲンのホテル Scandic Bergen City
で開催された。本学会は隔年で開催され、同じく隔
年で開催されている国際極限環境微生物学会
(Extremophiles)と重複しない年に開かれている。
ベルゲンはブリッゲン地区の旧市街が世界遺産に登
録されているなど、ノルウェー有数の歴史的都市で
あり、またフィヨルドや北欧独特の街並みが織りな
す景色が大変美しい印象的な街であった。今回の参
加者は総勢 200 名程度で、欧州からの参加者が多く
を占めた。アジアからの参加者が多かった前回のオ
ーストラリア大会(Thermophiles2005)とは顔ぶれは
大きく異なったものの、活発な議論があちこちで繰
り広げられる光景はいつもと変わらない様子であっ
た。
講演は Karl O. Stetter 氏(Univ. Regensburg)による
Opening lecture で始まった。氏は相変わらずの情熱
で研究を続けている様子で、特に環境サンプルの
enriched culture を用いて行った Korarchaeota のゲノ
ム解析についての結果は大変興味深かった。氏らが
決定したゲノム(全長 1.59Mb、1617 個の ORF が存
在 ) に は 、 始 原 菌 の 中 で も Euryarchaeota と
Nanoarchaeota にしかない FtsZ 遺伝子が存在する一
方で、RNA polymerase のサブユニットはむしろ
Crenarchaeota のホモログと相同性が高いことなど、
15
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
ル ”Thermophile Hunters”)を聴いた後に、参加者は
ポスター会場へと移動し、興味を持ったポスターの
演者に対して直接質問を行うという形式であった。
残念ながら多くの高校生は英語を話すことに不慣れ
な様子であったものの、このような活動をきっかけ
に好熱菌や極限環境微生物の研究分野に興味をもち、
将来我々の仲間となる研究者が増えることを大いに
期待したい。
Closing lecture は Patrick Forterre 氏(Univ. Paris-Sud)
により行われた。氏は始原菌の Reverse gyrase につ
いての詳細な系統学的解析を元に、すべての生物に
繋 が る 共 通 祖 先 (Last Universal Common Ancestor,
LUCA)が超好熱菌であるという従来の学説に疑問
を投げかけた。
次回の本大会は 2009 年の同時期に中国の北京で
開催されること、また 2011 年の大会が米国のイエロ
ーストーン周辺で開催されることが正式にアナウン
スされた。
について報告を行った。また Yoshizumi Ishino 氏
(Kyushu Univ.)は P. furiosus の DNA 複製機構に関し
て、GINS 複合体と MCM DNA helicase との関係に関
する報告を行った。
Physiology の 分 野 で は Georg Fuchs 氏 (Univ.
Freiburg)が、独立栄養生育を行う Crenarchaeota のい
くつかの種で未同定であった CO2 固定回路の全貌に
関する最新の研究成果について報告した。Tadayuki
Imanaka 氏(Kyoto Univ.)は、氏らの長年にわたる T.
kodakaraensis を用いた研究により判明した炭素代謝
の全貌を紹介し、特に Type III Rubisco が関わる新規
な CO2 固定代謝系について報告を行った。
Thermophilic adaptations の分野では、Neil King 氏
(UCLA)が好熱菌タンパクの構造安定化に関わる最
新の知見についての紹介を行った。
今回の学会における興味深い試みとしては、一般
講演の間に地元の高校生を対象とした Public lecture
が開催されたことである。Frank Robb 氏(Maryland
Biotechnology Institute) に よ る 講 演 ( タ イ ト
ポスター会場の様子
16
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
極限環境微生物学会研究奨励賞受賞研究
海底下生命圏の解明にむけた地球微生物学的アプローチ
独立行政法人海洋研究開発機構
高知コア研究所地下生命圏研究グループ
総合国際海洋掘削計画(IODP)等による海底下堆
積物や玄武岩地殻の調査は、地球の約7割を占める
海洋底下でどのように生命が存在し進化してきたか
を探る唯一の機会である。海底下生命圏は、微生物
の生育特性や空間分布において海洋や陸域といった
表層生命圏とは全く性質の異なる広大な暗黒の世界
である。
これまでにアクリジンオレンジによる海底掘削堆
積物内の微生物細胞計数の観察結果から、海底下約
800m までの深度に 1cm3 あたり 105 細胞を超える膨
大なバイオマスが存在していることが報告されてい
る 1)。堆積物の間隙水に含まれる硫酸やメタン等の
濃度プロファイルに基づくモデル分析では、大陸沿
岸や中央海嶺近傍の堆積物で比較的深部まで高い代
謝活性が保持されていることが示されている。しか
しながら、エネルギーフラックスの低い外洋堆積物
などは微生物が存在するにも関わらず、硫酸還元に
代表される微生物代謝活性は極めて低く、海底下生
命圏を構成する微生物群集が地球全体の生物地球化
学的物質循環系に与える影響は、未だに正確に評価
されていない。これまでに、2002 年にペルー沖で行
われた ODP Leg 201 海底下生命圏調査航海を皮切り
に、いくつかの海底下掘削コア試料を用いて微生物
群集構造や系統学的多様性と分布、代謝様式などに
関連する知見が得られているが 2)、広大かつ多様な
海底下空間に、高圧・高温・限られたエネルギー供
給等の極限環境に則した生態系が存在するのかどう
かについて、IODP による深部掘削の実現なしでは
答えを出す事は困難である。海底掘削科学における
生命圏研究の歴史は浅いが、これまでの数百メート
ル規模の限られた数の海底掘削試料の調査によって、
非生物学的な作用によって生じるとされてきた海底
下のエタンやプロパンなどの炭化水素が未知微生物
活動による代謝産物である可能性が同位体地球化学
の側面から示唆される 3)など、これまでの常識を覆
す新しい知見が得られている。さらに 16S rRNA 遺
伝子による多様性解析は、表層生命圏とは異なる未
培養系統から構成される多様な微生物の存在を明ら
かにした 4,5)。それらの未知海底下微生物の生育特性
や代謝速度、生息環境におけるエネルギー収支バラ
ンス等、海底下生命圏に関する基礎的理解を深める
には、地質学や地球化学と微生物学を融合した「地
17
稲垣
史生
球微生物学(Geomicrobiology)」という新しいアプ
ローチを実践する必要がある。
IODP を中心として展開される海底下生命科学の
中で、最も基盤的な調査項目の一つとして、生命と
生息域の限界「Limits of Life and Habitability on Earth」
が挙げられる。地球深部探査船「ちきゅう」は、こ
れまでのアクリジンオレンジによる細胞計数が行わ
れた深度の約 10 倍の海底下約 7000m までの掘削能
力を保持している(写真1)。「ちきゅう」によって
掘削される大深度の海底掘削コア試料は、自然界に
お け る 生 命 の 生 育 限 界 温 度 域 で あ る 100℃ か ら
200℃を十分にカバーしており、地球内部に広がる生
命圏の限界の定義や堆積物に含まれる生体高分子の
伝播・続生プロセス(例えばプレートテクトニクス
による伝播や沈み込みにともなう物質循環等)を知
る上でも極めて貴重な試料となる。海底下のエネル
ギー供給フラックスは、酸化物質に富む表層生命圏
に比べて数オーダー単位で低く、それ故に微生物細
胞の倍加時間や硫酸やメタンといった基質の消費速
度は数百年から数千年の地質学的時間スケールとも
言われている 6)。一方で、これまでに CARD-FISH
による細胞染色の結果や放射性基質を用いたトレー
サー実験等によって、深度数百メートルの海底下深
部でも確かに我々が検出・評価可能な微生物生細胞
と代謝活性が存在することが示されている 7)。また、
たとえエネルギーフラックスの低い外洋の堆積物で
あっても、堆積物に含まれる微量のウランやトリウ
ムなどによる水の放射分解によって、微生物の生命
維持あるいは極めて低い代謝活性を維持するのに必
要な水素などのエネルギー基質が定常的に供給され
ている、といった仮説もある 8)。将来の大深度掘削
によって海底下生命圏の限界を探るためには、生命
活動を規定するいくつかの因子と生命維持エネルギ
ーとのバランスを評価する必要がある。おそらく海
底下において温度という物理的因子が表層生命圏で
認知された範囲内であっても、微生物の生育を支え
る最低限のエネルギー(電子受容体や供与体)と水
を定常的に供給できなければ、そこで生命活動を営
むことは不可能であろう。また、深部の限られた条
件によって定常的な非生物学的エネルギー供給があ
ったとしても、それを生育のために使える能力を微
生物が有していなければ生命圏は存在することがで
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
きない。一方、地球上の海底下深部には、地球の内
部エネルギー(マントル)や陸域の生命活動の影響
を強くうける場所があり、前人未踏の様々な環境セ
ッティングが肥沃な海底下生命圏を育むポテンシャ
ルを有している。環境が生命圏を規定するのであれ
ば、海底下生命圏研究はすべからくその環境を生命
科学の側面から評価する必要がある。
大陸沿岸の海底下には次世代のエネルギー資源と
しても注目されているメタンがハイドレートもしく
はフリーガスの状態で大量に蓄積されている。大陸
沿岸のメタンの炭素同位体組成の多くは−60‰を下
回るほど軽く、微生物代謝による同位体分別効果を
強く受けた産物であると考えられている。一方、海
水からの硫酸が浸透する表層域や玄武岩基盤からの
酸化物質に富む流体の影響を受ける深部堆積物は、
硫酸を電子受容体とした嫌気的メタン酸化反応が起
きている。海底表層のメタン湧出を伴う堆積物では、
硫酸還元菌とメタン酸化アーキアが共役して嫌気的
メタン酸化反応を行うことが報告されているが 9)、
海底下深部の堆積物にみられる硫酸—メタン境界域
において類似の微生物系統の検出は極めて稀であり、
どの微生物種がどのような代謝径路でメタンの酸化
を行っているかは不明である 5)。一方、メタンハイ
ドレートを資源として採取する際に、主要な温室効
果ガスである二酸化炭素を液体または固体として注
入する方法が温室効果ガスの隔離案として一部検討
されている。海底堆積物中における微生物の二酸化
炭素やメタンといった単一炭素化合物や硫酸や硫化
水素等の硫黄化合物の生物地球化学的な物質循環お
よび有機物へのフィードバック作用についての知見
は、近年南部沖縄トラフ熱水活動域で発見された液
体二酸化炭素を胚胎する堆積物環境 10)を除いて、皆
無に等しい。メタンハイドレートを胚胎する海底堆
積物には、ハイドレートを保持しない海域の微生物
群集と比較して異なる未培養微生物種が特異的に生
息していることが環太平洋沿岸のいくつかの掘削コ
ア試料の分析より明らかになっており 5)、その生態
や代謝機能に注目が集まっている。
海底堆積物に含まれる多様な未培養系統微生物の
代謝機能の解明は、海底下生命圏研究における最も
具体的かつ実践可能な研究項目である。未培養系統
であるが故に培養法に依存しないアプローチが有効
であり、その結果が培養による新規微生物資源の探
索に結びつく可能性がある。培養法に依存しないア
プローチとして、環境 DNA を用いたショットガン
メタゲノム解析は極めて有効な手法であるが、多様
性に富む群集でかつ希少種が地球化学的物質循環等
に大きな役割を果たしている場合、必ずしも環境を
正当に評価する情報が得られるかどうかは疑問であ
る。PCR が既知の遺伝子配列に基づくプライマー設
計に依存する一方で、メタゲノム解析は既存の知識
に左右されずに未知生命体の DNA 一次情報を網羅
18
的に獲得する点で優れており、既存の分子系統の定
義を超えた全く新しい生命体の発見や、新規な機能
遺伝子や代謝経路の発見に繋がる可能性を秘めてい
る。しかしながら、圧搾を受けた海底下深部堆積物
からの DNA 抽出は細胞を溶菌する段階でのバイア
スが大きく、さらに細胞外の遊離 DNA の影響を排
除する必要性もあり、決して安くないコストパフォ
ーマンスを考慮すると、定量的な議論や研究の進め
方は慎重に行う必要がある。特異的な微生物系統に
ターゲットを絞った環境ゲノム解析の手法として、
フローサイトメトリー(FCM)やマイクロマニュピ
レーターの活用が挙げられる。堆積物から微生物を
剥離し、FISH などによって細胞を染色し、FCM に
よって一定濃度の細胞数を濃縮できれば、たとえ培
養できない希少な微生物であっても、単細胞(もし
くは単一系統)のゲノム情報や脂質分析、Nano-SIMS
等を用いた炭素や窒素等の同位体組成分析等に供す
る事が可能である 11,12)。また、発現ベクターに GFP
などの蛍光標識タンパク質の遺伝子を組み込み、あ
る特定基質によって機能遺伝子の発現を誘導する基
質誘導型発現遺伝子解析(SIGEX)などの FCM を
活用した手法も、未知海底下環境の物質応答システ
ムを理解し、新規な機能遺伝子を獲得する手法とし
て期待できる 13)。
海底下生命圏を構成する細胞の指標となる生体高
分子(バイオマーカー)の構造解析やトレーサーを
用いた代謝活性の分析は、その感度や分離能力、他
の分析手法との融合や統計学的評価法等において
様々な改良が進められており、定性的なスナップシ
ョットからバイアスレスな定量的議論を展開するニ
ーズに則している。さらに IODP における地球深部
探査船「ちきゅう」の運用により、海底下生命圏研
究のためのプラットフォームの掘削能力や船内分析
機器および試料処理能力が飛躍的に向上している。
一方で、掘削孔内設備を用いた研究や 14)、掘削コア
試料の質を維持するための掘削循環水のコントロー
ルやコンタミネーションの高精度評価法 15)について
も、具体的に検討が進められている。海底下生命圏
の解明は、地球環境変動や固体地球ダイナミクスと
並び、掘削地球科学における三大重要科学項目の一
つとして挙げられている。海底下生命圏の実態と本
質を理解するうえで、
「地圏と生命圏」
、
「ジオシステ
ムとエコシステム」、「惑星科学と生命科学」、「地球
進化と生命進化」といったそれぞれがこれまでに独
立して追究されてきた分野や概念を学際的にリンク
させることが地球微生物学的なアプローチであり、
地球の生命システムを理解する上で必要不可欠な研
究の方向性であると考える。
謝辞
極限環境微生物学会奨励賞を受賞するにあたり、研
究の方向性等について多大なご指導とご支援を賜り
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
8.
ました、独立行政法人海洋研究開発機構極限環境生
物圏研究センターの掘越弘毅先生をはじめ、また、
高井研博士を中心とする同センター地殻内微生物研
究領域の方々に心から感謝申し上げます。
9.
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Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
写真1 地球深部探査船「ちきゅう」
。平成 19 年 10 月より、統合国際海洋掘削計画(IODP: Integrated Ocean
Drilling Program)の南海トラフ地震発生帯掘削で国際運用される。ライザー掘削方式により、海底下 7000m
までの掘削能力を有している。船内には地質学・微生物学・地球化学等の試料処理および船上分析設備が完
備されている。
20
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
極限環境微生物学会研究奨励賞受賞研究
好アルカリ性因子として見いだされたマルチ遺伝子型 Na+/H+対向輸送体と
細菌の pH/塩環境適応に関する研究
独立行政法人理化学研究所
微生物が極限的な環境や変動する外環境に適応す
るためには、「細胞内の恒常性をいかに維持する
か?」が重要な戦略の一つとなる。特に、pH や塩環
境への適応では、異なる細胞内・外の環境を隔てる
細胞表層(細胞壁・細胞膜)が重要な役割を持つ。
私は、細菌の一価カチオン恒常性を支配するマルチ
遺伝子型対向輸送体(アンチポーター)を中心に、
細菌の pH/塩環境適応について研究を進めてきた。
本稿では、マルチ遺伝子型対向輸送体(Sha 輸送体、
他に Mrp, Pha, Mnh, Sno の名称があるがここでは
Sha とさせていただく)に関するこれまでの研究成
果の概要を述べる。
「好アルカリ性因子」として発見された Sha 輸送体
極限環境微生物に属する好アルカリ性細菌は、pH
10-12 のアルカリ環境で良好に生育する(5)。好アル
カリ性細菌の菌体内は pH 8.5 付近に維持されており、
アルカリである外環境に対し菌体内をより中性な環
境に維持するために、能動的な H+取り込み系が必要
となる。一般に、Na+/H+対向輸送体は細菌の pH ホ
メオスタシスに重要であることが知られている。当
研究室では、好アルカリ性 Bacillus halodurans C125
株よりアルカリ感受性変異株を取得し、これを宿主
として好アルカリ性に関わる Na+/H+対向輸送体の遺
伝子クローニングが行われた(3)。こうして発見され
たのが Sha 輸送体である。当時 ORF1 と呼ばれた遺
伝子(shaA に相当)は、膜電位依存性の Na+/H+対向輸
送活性を担っており、アルカリ環境での生育に必須
な pH ホメオスタシス機能を担うと考えられた(3)。
ORF1 にコードされる遺伝子産物は既知の Na+/H+対
向輸送体とは相同性がなく、新規な対向輸送体と考
えられた。後に B. halodurans C125 株の全ゲノム配
列が決定されると、ORF1 は 7 遺伝子クラスターを
構成する 1 遺伝子であることが明らかとなった(16)。
Sha 輸送体〜ユニークなマルチ遺伝子型 Na+/H+対向
輸送体
現 在 Sha 輸 送 体 は 、 Monovalent cation:proton
antiporter (CPA)-3 ファミリーに属するマルチ遺伝子
型の一価カチオン/H+ 対向輸送体として認識されて
いる(15)。このファミリーの特徴は、保存された 7
21
古園
さおり
遺伝子(AB 遺伝子が融合している場合は 6 遺伝子)
にコードされる点であり、このような一価カチオン
/H+対向輸送体は他に例がない。
B. halodurans と同じ Bacillus 属であり、遺伝学的
解析が容易な枯草菌(B. subtilis)において、Sha 輸送体
の詳細な解析が行われている。枯草菌 Sha 輸送体は
mrp(sha)ABCDEFG にコードされ、いずれの遺伝子産
物も疎水性が高く膜タンパク質であると予想される。
mrp(sha)ABCDEFG のうちどの遺伝子を欠失させて
も 著 し い NaCl 感 受 性 を も た ら す こ と か ら 、
mrp(sha)ABCDEFG 遺伝子産物は Na+排出に関わる輸
送複合体を形成すると予想されていた(4, 6, 17)。最
近私たちは、mrp(sha)ABCDEFG 遺伝子産物が実際に
1 つの膜タンパク質複合体を形成することを明らか
にした(7)。ShaA と ShaD は互いに相同な比較的大き
なサブユニットであり、それ以外は 10~20 kDa の小
さなサブユニットである。ShaA, ShaC, ShaD は H+輸
送性の一次トランスポーターである NADH:ユビキ
ノン酸化還元酵素(Nuo)や膜結合型ヒドロゲナーゼ
(Mbh)の疎水性サブユニットと相同性がある。マル
チ遺伝子にコードされる点やタンパク質配列におい
て、Sha 輸送体は酸化還元エネルギーにより駆動さ
れる一次トランスポーターに似た特徴を有するが、
Sha 輸送体が一次輸送活性を持つことは今のところ
明らかにされていない。イオン輸送における各サブ
ユニットの役割は何か、どのサブユニットがイオン
輸送通路を形成しているのか、1 遺伝子型アンチポ
ーターとは異なる輸送メカニズムを有するのかなど、
Sha 輸送体について解明すべきことが多く残されて
いる。
枯草菌 Sha 輸送体の機能解析〜Na+ホメオスタシス
と胞子形成
1995 年に枯草菌の全ゲノム配列が報告され、中性
菌の代表である枯草菌に Sha 輸送体ホモログが存在
することが明らかとなった。1998 年には根粒菌
(Sinorhizobium meliloti)の感染因子として Sha 輸送体
ホモログ(Pha)が報告され(14)、また黄色ブドウ球菌
(Staphylococcus aureus) か ら Sha 輸 送 体 ホ モ ロ グ
(Mnh)遺伝子のクローニングが報告された(4)。こう
して見ると、Sha 輸送体は好アルカリ性菌に特有の
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
因子ではなさそうである。
「好アルカリ性でない細菌
における Sha 輸送体の生物学的意義は何か?」を明
らかにするため、枯草菌や緑膿菌における Sha 輸送
体の機能解析を進めた。
まず枯草菌を対象に Sha 輸送体欠損株を作成し、
生育に及ぼす塩や pH の影響を調べた。Sha 欠損株は
NaCl に対して強い感受性を示す。一方で、NaCl を 1
mM 以下に制限すると、枯草菌にとっては十分アル
カリといえる pH 8 付近で Sha 欠損株の生育は野生株
と変わらない(12)。以上のことから、枯草菌におけ
る Sha 輸送体の役割は、pH ホメオスタシスよりは寧
ろ Na+ホメオスタシスの維持であると結論した(12)。
Sha 欠損株は LB 培地に含まれる塩濃度(約 0.17 M
NaCl)で生育できないことから、”essential genes”とし
て報告されている(9)。
次に胞子形成への関与を調べたところ、Sha 輸送
体は胞子形成過程にも重要な役割を持つことを見い
だした(13)。増殖に影響を与えない低濃度 NaCl 条件
で、Sha 欠損株の胞子形成はほぼ完全に阻害される。
胞子形成阻害は対数増殖期後の NaCl 添加でも認め
られ、阻害をもたらす NaCl 添加時期はいわゆる「遷
移期」に限定されることが明らかとなった。このこ
とは、胞子形成過程におけるこの時期に Na+の影響
を受けやすい分子メカニズムが存在することを示唆
する。その後の解析から、Sha 欠損株では、胞子形
成開始期に誘導される特異的シグマ因子(SigH や
SigB)の活性化が NaCl 依存的に阻害されることを明
らかにした(10, 13)。シグマ因子活性化のどの部分が
Na+の影響を受けているかは明らかではないが、転
写後レベルに作用点があるようである。Sha 輸送体
が担う Na+ホメオスタシスの維持は、定常期シグマ
因子の活性化を含め、定常期移行が正常に進行する
ために必要と考えられた。
緑膿菌 Sha 輸送体の機能解析〜病原性への関与
Sha 輸送体の根粒菌ホモログである Pha 輸送体は、
共生植物への感染に必要であることが報告されてい
る(14)。Sha 輸送体が担う高いホメオスタシス能力は、
細菌の感染、ひいては病原性に重要かもしれないと
考 え 、 日 和 見 感 染 菌 で あ る 緑 膿 菌 (Pseudomonas
aeruginosa)を対象に、Sha 輸送体と病原性との関連
を調べた。
緑膿菌 Sha 欠損株もまた著しい NaCl 感受性を示
したことから、Na+ホメオスタシスの中心的機能を
担うと考えられた(11)。Sha 欠損株と野生株を用いて
マウス感染実験を行ったところ、Sha 欠損株は野生
株よりも低い病原性と感染臓器における定着性を示
した(11)。この結果は、緑膿菌が感染の際に受ける
と予想される Na+濃度変化への適応能力に Sha 輸送
体が寄与していると解釈することができる。
ところで、緑膿菌の病原性遺伝子は定常期に誘導
されるものが多く、その誘導には定常期シグマ因子
22
RpoS やクオラムセンシングが関与する。枯草菌では
Sha 輸送体が定常期移行と関連した事実を考慮して、
現在 Sha 輸送体が病原性に関わるメカニズムを探っ
ている。緑膿菌でも Sha 輸送体欠損により定常期移
行が阻害され病原性遺伝子の発現が低下している可
能性が考えられ、実際にそのことを支持するデータ
が得られつつある。Sha 輸送体は、定常期移行を阻
害し病原性遺伝子の発現を抑制するための分子標的
になりうるかもしれない。また一見関連がないよう
に見える胞子形成と病原性における Sha 輸送体の役
割が、いずれも「定常期移行」という観点から説明
できるかもしれないと考えている。
Sha 輸送体の多機能性
現在、Sha 輸送体はゲノム配列が明らかにされて
いる細菌の約 1/3 に見つかっており、そこには様々
な環境に生息する菌が含まれる。一方、大腸菌を初
めとする腸内細菌にはあまり見いだされない。Sha
輸送体の欠損は、他の輸送体欠損では見られないよ
うな著しい pH もしくは塩感受性をもたらすことが
多い。このことから、Sha 輸送体は一価カチオン恒
常性の中心的役割を担っており、細菌の pH/塩環境
への適応に大きく寄与していることが考えられる。
「好アルカリ性因子」として最初発見された Sha 輸
送体が、pH/塩環境適応に関わる普遍的な因子として
再発見されつつあるように思う。
近年、抗菌物質への感受性(1)、亜ヒ酸酸化(8)、光
合成(2)にも Sha 輸送体が関与することが報告されて
おり、Sha 輸送体が担う pH/Na+ホメオスタシス機能
は好アルカリ性を越えて多様な生物学的意義を持つ
ことが明らかになりつつある。胞子形成や感染性・
病原性を含め、一見相互に関連がないように見える
多様な性質に Sha 輸送体がどのように関わっている
のか、興味が持たれるところである。今後は Sha 輸
送体が持つ多様な生物学的意義の解明を中心に、細
菌の pH/塩環境適応機構における新たな展開を目指
したいと考えている。
最後に、栄誉ある極限環境微生物学会奨励賞受賞
にあたり、大島泰郎先生を初めとする選考委員の諸
先生方、またご指導いただきました工藤俊章先生、
並びに環境分子生物学研究室の皆様に心より感謝の
意を表します。
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Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007), Vol. 6, 25-31
ORIGINAL PAPER
Hamana Ka, Hosoya Ra and Itoh Tb
Polyamine analysis of methanogens, thermophiles and extreme halophiles
belonging to the domain Archaea
a
Gunma University School of Health Sciences , Maebashi , Gunma 371-8514 , Japan.
Japan Collection of Microorganisms, RIKEN BioResource Center, Wako , Saitama 351-0198 , Japan.
b
Corresponding author : Koei Hamana, [email protected]
Phone : +81-27-220-8916, FAX : +81-27-220-8999
Received: December 28, 2006 / Revised: Feburary 15, 2007 / Accepted: Feburary 21, 2007
valuable chemotaxonomic information on the
classification of the domain Archaea ( Archaebacteria )
13-21, 34)
.
Linear tetra-amines, penta-amines and
hexa-amines, and quaternary branched penta-amines, and
a
guanidinoamine,
agmatine,
found
in
the
archaea( archaebacteria ) growing in extremely thermal
or salt environments, are important to stabilize cellular
nucleic acid structure as a major function of the high
basic polyamines. On the other hand, acidic or alkaline
growth conditions seemed not to affect the composition
of the cellular polyamines.
The phylum Euryarchaeota encompassed diverse
lineages including five orders for methanogens, two
orders for non-methanogenic thermophiles, one order for
moderately thermophilic or mesophilic acidophiles and
one order for extreme halophiles 4, 5). Another phylum
Crenarchaeota comprises four orders for thermophiles 4,
5)
. Cellular polyamines of 52 newly validated species
( 61 strains ) belonging to the two phyla of Archaea were
analyzed to evaluate the correlation between the
occurrence of unusual polyamines in them and their
extremophily. Additionally, these polyamine catalogues
serve for the classification of archaebacteria, as a
chemotaxonomic marker.
Abstract Cellular polyamines of 61 archaeal newly
published strains were analyzed by HPLC to evaluate
correlation of polyamine profiles to their extremophily
and chemotaxonomy.
A quaternary branched
penta-amine, N4-bis( aminopropyl )spermidine, was
found in hyperthermophilic Methanocaldococcus and
Methanotorris
belonging
to
the
family
Methanocaldococcaceae but not in the family
Methanococcaceae nor any other methanogenic archaeal
orders. Hyperthermophilic / extremely thermophilic
Palaeococcus, Thermococcus and Pyrococcus of the
order Thermococcales ubiquitously contained the
branched penta-amine. Mesophilic, extreme halophiles
including halo-alkaliphiles, belonging to the order
Halobacteriales, contained a trace of spermidine,
spermine and agmatine. In the phylum Crenarchaeota,
extremely thermophilic Caldisphaera of the provisional
order ‘Caldisphaerales’ contained norspermidine,
spermidine and agmatine, and hyperthermophilic
Pyrobaculum belonging to the order Thermoproteales
contained norspermidine, spermidine, norspermine and
spermine, but not any penta-amines. Within the order
Desulfurococcales, Desulfurococcus and Ignisphaera
contained spermidine, norspermidine, homospermidine,
norspermine and spermine, whereas Aeropyrum
contained caldopentamine and thermopentamine in
addition to these triamines and tetra-amines.
Keywords : archaebacteria, extreme
methanogen, polyamine, thermophile
Materials and methods
Newly published archaebacteria were supplied from
JCM ( Japan Collection of Microorganisms, RIKEN,
Wako, Saitama, Japan ), NBRC ( Biological Resource
Center, National Institute of Technology and Evaluation,
Kisarazu, Chiba, Japan ) and ATCC ( American Type
Culture Collection, Manassas, Virginia, USA )
halophile,
Introduction
Analyses of cellular polyamines have already provided
25
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
N4-aminopropylspermidine, is the precursor of the
branched penta-amine. Branched polyamines have not
been
detected
in
extremely
thermophilic
Methanothermus
species
of
the
order
Methanobacteriales or hyperthermophilic Methanopyrus
species of the order Methanopyrales. Homospermidine
was distributed in the two new Methanosarcina species
of the order Methanosarcinales.
Moderately
thermophilic Methanosaeta thermophila 8) contained
spermidine as the major polyamine and a minor
component corresponding to N4-bis(aminopropyl)
spermidine.
Anaerobic methanogens located in the phylum
Euryarchaeota, though, are phylogenetically divided into
five orders including moderate thermophiles ( growing at
50-65°C ), extreme thermophiles ( 65-80°C ),
hyperthermophiles ( 80-95°C ) and halophiles.
Although spermine, agmatine and / or N4-bis
(aminopropyl)spermidine were rich in methanogenic
thermophiles, their polyamine profiles could not
correspond exactly to the degree of their thermophily.
However, the polyamine profiles serve as a phenotypic
marker at genus and order levels within methanogens.
Considering that N4-bis(aminopropyl)spermidine is
found in members of the family Methanocaldococcaceae,
but not those of the family Methanococcaceae, and this
polyamine occurs ubiquitously in the orders
Archaeoglobales and Thermococcales, it may contribute
to the conferring of hyperthermophily to those marine
coccoid-form euryarchaeotes.
On the other hand,
polyamine profiles of the rod-shaped hyperthermophilic
methanogens were not clearly differentiated from the
mesophilic or moderately thermophilic counterparts.
andcultivated in the liquid media designated by the
culture collections under aerobic or anaerobic conditions.
Medium pH and culture temperature used for optimum
growth are given in Table 1. The archaebacteria at the
stationary phase were harvested by centrifugation. The
pellets of archaebacteria were washed with 0.8% NaCl or
10% NaCl ( for extreme halophiles ) and then
homogenized in equal volumes of cold 1M perchloric
acid ( PCA )( HClO4 ). Extraction with 0.5M PCA was
repeated two times, and therefore recovery of
polyamines from the cell pellets was 100%. The PCA
extracts were subjected to a Dowex 50W column to
concentrate long and branched polyamines 20). Since
polyamines were eluted with 6M HCl from the column,
polyamines in the PCA extracts were completely
concentrated. The whole PCA extracts and/or the
concentrated polyamine fractions were analyzed by
high-performance liquid chromatography ( HPLC ) on a
column of cation-exchange resin in a Hitachi L6000
high-speed liquid chromatograph, developed in our
laboratory 19, 20). Polyamines were detected with the
o-phthalaldehyde reagent.
Molar concentrations of
cellular polyamines per gram of the wet cell pellets,
estimated from the HPLC analyses, are shown in Table
1-4.
Results and discussion
Euryarchaeota
Five methanogenic orders
Fourteen strains ( 11 new species ) of methanogens were
analyzed in this study. Polyamine profiles of some
methanogens reported in our previous studies 14, 18, 19, 34)
are cited in Table 1 for comparison. In the order
Methanobacteriales, a mesophilic Methanosphaera
species and the two moderately thermophilic species of
Methanothermobacter, analyzed here, contained
spermidine and spermine.
Methanobrevibacter
ruminantium as well as Methanobrevibacter arboriphilus
7)
, contained homospermidine and spermine. In the
order Methanococcales, two mesophilic Methanococcus
species analyzed contained putrescine, spermidine,
spermine and agmatine.
A quaternary branched
4
penta-amine,
N -bis(aminopropyl)spermidine,
was
ubiquitously distributed in the two hyperthermophilic /
extremely thermophilic genera Methanocaldococcus and
Methanotorris belonging to the family
Themococcales
The hyperthermophilic / extreme thermophilic order
Thermococcales
comprises
the
three
genera
4, 5)
Palaeococcus, Thermococcus and Pyrococcus
. We
have analyzed polyamines of a Palaeococcus species,
fourteen Thermococcus species and four Pyrococcus
species as reported previously 19, 21).
Polyamine
analyses of another new Palaeococcus species 1) and nine
new Thermococcus species 6, 10-12, 26-28) were
demonstrated in the present study ( Table 2 ). A
quaternary branched penta-amine, N4-bis(aminopropyl)
spermidine and a tertiary branched tetra-amine,
N4-aminopropylspermidine were detected in the all
hyperthermophilic
/
extremely
thermophilic
Palaeococcus, Thermococcus and Pyrococcus species
including newly analyzed species here. The ubiquitous
occurrence of the branched polyamine as the major
polyamine is a characteristic of the thermophilic order.
Methanocaldococcaceae 25, 29, 33). Within methanogenic
archaebacteria , Methanotrris is the second genus
containing the quaternary branched penta-amine as a
major polyamine. A tertiary branched tetra-amine,
26
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
Although T. waiotapuensis and T. zilligii isolated from a
fresh water hot spring possess it at low concentrations,
the other Thermococcus species which were isolated
from submarine geothermal habitats or shore solfatara
contained a large amount of the branched polyamines.
This may be attributed to the low salinity of their
habitats.
Within the phylum Euryarchaeota, branched
penta-amines have been found as a major polyamine in
another hyperthermophilic / extreme thermophilic order
Archaeoglobales, yet have never been detected in
acidothermophiles (moderately thermophilic acidophiles)
belonging to the order Thermoplasmales 17, 21).
Table 1. Cellular concentrations of polyamines of methanogenic euryarchaea
3, diaminopropane; 4, putrescine; 5, cadaverine; 33, norspermidine; 34, spermidine; 44, homospermidine; 333,
norspermine; 3(3)3, N4-aminopropylnorspermidine; 3(3)4, N4-aminopropylspermidine; 343, spermine; 334,
thermospermine;
434,
canavalmine;
3333,
caldopentamine;
3343,
thermopentamine;
3(3)(3)4,
N4-bis(aminopropyl)spermidine; Agm, agmatine; *, not calculated; -, not detected (<0.005); T, type strain; °C, culture
temperature; ATCC, American Type Culture Collection, Manassas, Virginia, USA; JCM, Japan Collection of
Microorganisms, RIKEN, Wako, Saitama, Japan; NBRC, Biological Resource Center, National Institute of Technology
and Evaluation, Kisarazu, Chiba, Japan. Separation of the two tetra-amines (343 and 334, 333 and 3(3)3, and 343 and
3(3)4), make it possible by GC, were difficult by the HPLC used in the present study. ( a ), ( b ), ( c ), ( d ) and ( e ) were
cited from Tanaka et al. 34), Hamana and Itoh 19), Hamana et al. 21), Hamana et al. 20) and Hamana et al. 16), respectively.
Quotation marks indicate that the scientific name has not been validly published.
27
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
Table 2. Cellular concentrations of polyamines of thermophilic euryarchaea
Abbreviations are shown in Table 1.
extreme halophiles. Agmatine, produced in extreme
halophiles, is secreted into supernatant in their cultures 13).
The phylogenetic correlation of a cellular polyamine
profile is not clear within the order Halobacteriales.
Halobacteriales
Polyamines of 87 strains of mesophilic, extremely
halophilic archaebacteria belonging to 16 genera, located
in the order Halobacteriales, have been analyzed 13, 14, 34).
In the previous studies, an appreciable amount of
agmatine was detected in the neutrophilic halobacteria
belonging to the genera Halococcus, Halobaculum,
Haloferax,
Halomicrobium,
Haloarcula,
Halogeometricum,
Halobacterium,
Halorubrum,
Haloterrigena, Natrinema, Natronomonas and Natrialba,
grown in a polyamine-free synthetic medium. All
haloalkaliphilic Natronorubrum, Natronobacterium and
Natronococcus species and a neutrophilic halobacterium
belonging to the genus Halorhabdus, grown in organic
media, contained agmatine in addition to putrescine,
cadaverine, spermidine or spermine as those incorporated
from the growth media.
Thirty newly published strains including several
species belonging to the five new genera Halalkalicoccus
37)
, Halobiforma 22, 36), Halosimplex 35), Halostagnicola 9)
and Natronolimnobius 24), grown in organic media, were
analyzed in the present study ( Table 3 ). Spermidine
and/or agmatine were detected in the five new genera.
Agmatine spread sporadically within the halobacteria
analyzed.
All nine haloalkaliphiles ( growing at
pH9.0 ) lacked a tetra-amine, spermine. Appreciable
amounts of cellular polyamines were not detected in four
haloalkaliphilic species and three neutrophilic
halobacteria. It is suggested that a poor cellular
polyamine level correlates with intracellular high salt
concentration and less binding to nucleic acids in
Crenarchaeota
A new thermophile, Caldisphaera lagunensis,
provisionally assigned in the order ‘Caldisphaerales’,
different from the order Desulfurococcales 23), contained
norspermidine and spermidine as the major polyamines
and tetra-amines ( spermine and / or thermospermine )
and agmatine as the minor polyamine. The occurrence
of agmatine in C. lagunensis is a unique profile within
this phylum.
Aeropyrum camini 30) of the order Desulfurococcales
contained two penta-amines as reported in the present
study. A difference in the contents of spermidine,
spermine and thermopentamine was found between the
two thermophilic Aeropyrum species, A. camini grown at
85°C and A. pernix grown at 90°C. It is speculated that
the production of spermine (343) and thermopentamine
(3343) from spermidine (34) is more dominant than the
production of norspermine (333) and caldopentamine
(3333) from norspermidine (33), in A. pernix at a higher
temperature.
Norspermidine,
spermidine,
homospermidine, norspermine, spermine ( and
thermospermine ) were detected in Desulfurococcus
fermentans 32) of the order Desulfurococcales as well as
three other Desulfurococcus species previously analyzed.
‘Caldococcus noboribetus’ 3) and Ignisphaera aggregans
31)
belonging to this order contained norspermine as a
28
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
the acidothermophilic members ( extremely thermophilic
acidophiles ) of the order Sulfolobales, the occurrence of
branched polyamines has never been reported in hitherto
known members of the phylum Crenarchaeota. Within
this phylum, the occurrence of linear tetra-amines, linear
panta-amines and/or agmatine may contribute to growth
in high temperature environments.
major polyamine. Homospermidine was not detected in
the two species. Branched polyamines were not found
in the four genera of Desulfurococcales.
In the order Thermoproteales, six species of
Pyrobaculum including a non-validated species, ‘P.
calidifontis’ 2) analyzed here, were variable in cellular
concentrations of norspermidine and spermine ( and
thermospermine ), yet their polyamine profiles were
similar to each other as a whole. These Pyrobaculum
species lacked penta-amines.
Since branched polyamines have not been found in
Acknowledgements
We are indebted to JCM, NBRC and ATCC for supplying
bacterial strains.
Table 3. Cellular concentrations of polyamines of halophilic euryarchaea
Abbreviations are shown in Table 1.
Table 4. Cellular concentrations of polyamines of thermophilic crenarchaea
Abbreviations are shown in Table 1
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31
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007), Vol. 6, 32-37
ORIGINAL PAPER
Matsuura Ta, Usami Ra, Yoshida Ha, Hara Hb, and Matsumoto Kb
Characterization of a Novel Esterase YkoN from
Bacillus subtilis Marburg
a
Department of Applied Chemistry, Graduate School of Engineering, Toyo University, 2100 Kujirai, Kawagoe, Saitama
350-8585, Japan
b
Department of Biochemistry and Molecular Biology, Graduate School of Science and Engineering, Saitama University,
255 Shimo-ohkubo, Sakura, Saitama, Saitama 338-8570, Japan
Corresponding author : Kouji Matsumoto, [email protected]
Phone : 81-48-858-3406, Fax: 81-48-858-3698
Received: October 23, 2007/ Revised: October 30, 2007 / Accepted: November 2, 2007
Abstract The product YkoN of the gene of unknown
function, ykoN, of Bacillus subtilis Marburg has the
pentapeptide lipase/esterase motif (Gly-X-Ser-X-Gly),
and thus YkoN is expected to have a lipase or esterase
activity. To characterize the expected enzyme activity the
plasmid having a modified ykoN that include the
sequence for His(x6) tag at its C-terminus of YkoN,
which has 373 amino acid residues, was constructed.
His-tagged YkoN protein of 39 kDa was induced in
Escherichia coli BL21 (DE3) cells harboring chaperon
plasmid pGro7 and purified to near homogeneity by
using
gel
filtration
and
Ni-agarose.
When
p-nitrophenyl-esters of different fatty acid chain length
were examined, the purified YkoN hydrolyzed the esters
of fatty acid with short chain length (4-6 carbon atoms)
preferentially. The esters of fatty acid with longer chain
(C ≥ 10) were hydrolyzed inefficiently. The activity
required no divalent cations and was not affected by
addition of EDTA. The optimal pH for the activity was
from pH 7.4 to pH 8.6. These results indicate that YkoN
is a novel esterase which hydrolyzes the esters of fatty
acid with short chain length.
In order to solve the problems we have started clarifying
the pathways for biosynthesis of the lipids by
identification of the genes involved1,2). Homology search
with the amino acid sequence of known enzymes for
lipid synthesis has shown a lot of possible genes and has
led us to build up an outline of the lipid biosynthesis in B.
subtilis3,4,5,6). Among these the amino acid sequence of
the product (YkoN) of ykoN has a weak homology with
that of ugtP (ypfP) that is responsible for the synthesis of
glucosylated diacylglycerates in this organism5,7),
however, YkoN is found not to be involved in the
synthesis of glucosylated diacylglycerates. The amino
acid sequence of YkoN has a pentapeptide sequence
(Gly-Gly-Ser-Met-Gly) that is compatible with the
Gly/Ala-X-Ser-X-Gly motif of lipase/esterase as those
shown among the microbial lipolytic enzymes, LipA,
LipB, YtpA, and p-nitrobenzyl esterase (PnbA) of B.
subtilis and lysophospholipase L2 (PldB) and Aes of E.
coli 8-14). We have purified His-Tagged YkoN and have
shown that YkoN has an esterase activity. This paper
describes the characterization of the esterase activity of
YkoN.
Key words : Bacillus subtilis, ykoN, esterase, lipids
Materials and Methods
Introduction
The membrane of B. subtilis Marburg contains many
lipids,
glucosylated
diacylglycerates
and
glycerophospho- lipids, and hence its lipid composition
is much more complex than that of E. coli which
contains only three major glycerophospholipids. We are
therefore curious to know why B. subtilis contains so
many lipids and what their physiological roles might be.
Bacterial strains and plasmids
Wild type B. subtilis Marburg was our laboratory stock
and was used for preparation of chromosomal DNA. The
pMutin integration strains for determination of ykoN- and
ytpA-promoter activity were constructed according to the
standard protocol15). Strains of pMutin-integration of lipA
and lipB were kindly provided by Y. Sadaie. Plasmid
pET-21(+) and chaperone plasmid pGro716) were from
32
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
Novagen and Takara, respectively. E. coli BL21(DE3)
was used as the host for expression of YkoN.
Enzymatic assay and p-nitrophenylester substrates
Esterase activity was assayed as described by Eggert et
al.10) with minor modifications. Standard assay
determines the amount of p-nitrophenol released after
hydrolysis of 0.8 mM p-nitrophenyl valerate (pNPC5,
Sigma) in 300 μl of 10 mM Tris-HCl (pH 7.4) containing
0.4% sodium deoxycholate and 0.1% gum arabic at 30ºC
for 10 min. Reaction was terminated by addition of 150
μl of 3 M HCl. The amount of liberated p-nitrophenol
was determined at 420 nm with a Biospec-mini
spectrophotometer (Shimadzu). One unit of esterase
activity was defined as the amount of enzyme that
produces 1 μmol p-nitrophenol per min at 30ºC as
described by Eggert et al.10). The background hydrolysis
of the substrate in the assay mixture without enzyme was
subtracted. The amount of protein was determined by the
method of Bradford with bovine serum albumin as the
standard. p-Nitrophenylesters of propionate (C3),
butyrate (C4), valerate (C5), caproate (C6), caprate (C10),
palmitate (C16), and stearate (C18) were purchased from
Sigma. p-Nitrophenyl myristate (C14) was from MP
Biomedicals, LLC. p-Nitrophenyl laurate (C12) was from
Research Organics.
Cloning of ykoN into pET-21(+) vector
Manipulation of DNA was carried out by the standard
methods. The ykoN DNA fragment was amplified by
PCR with Ex Taq DNA polymerase using primers
5’-gccgaAgctTTGCCATATTTTTTTAGG-3’ with seven
mismatches (lowercase letter) to create HindIII site
(underlined) and 5’-ACTATTCTcgAgTCcCaATTTCAGG-3’ with five mismatches to create XhoI site
(underlined) (synthesized by Espec Oligo, Japan) and the
chromosomal DNA of wild type B. subtilis as the
template. The amplified DNA was digested with HindIII
and XhoI, and then the digested fragment was inserted
into HindIII-XhoI site of pET-21(+) vector, to form the
recombinant plasmid, designated as pET-ykoN, that
produces YkoN fusion protein with 6xHis-tag at its
C-terminus.
Cultivation of E. coli cells and purification of the enzyme
E. coli
BL21(DE3) cells harboring pET-ykoN and pGro7 were
cultivated in 500 ml of Luria-Bertani (LB) medium
containing 20 μg/ml chloramphenicol and 200 μg/ml
ampicillin at 30ºC. At middle logarithmic growth phase,
IPTG (isopropyl-β-D-thio-galactopyranoside) was added
to a final concentration of 10 μM, and incubated at 30ºC
for three hours. The cells were harvested by
centrifugation (5,800 ×g for 20 min at 4ºC) and
suspended in 100 mM Tris-HCl buffer (pH 8.0). They
were treated with lysozyme (10 mg/ml) at 0ºC for 60 min
and disrupted by sonic disintegration at 0ºC at 50%
output (Branson sonifier, cell disruptor 200). Disrupted
cell preparation was centrifuged (5,800 ×g for 20 min at
4ºC) to discard cell debris and the resulting cleared lysate
was subjected to ammonium sulfate precipitation (80%
saturation). The precipitate was dissolved in 2.5 ml of
elution buffer [100 mM Tris-HCl (pH 8.0) containing 1
M NaCl] and subjected to gel filtration chromatography,
using a column (3×100 cm) of Bio-Gel P-100 (Bio-Rad)
equilibrated with the elution buffer. Fractions containing
esterase activity was collected and applied to Ni-NTA
agarose (Qiagen). The agarose column was washed five
times with washing buffer [10 mM Tris-HCl (pH 8.0),
0.1 mM 2-mercaptoethanol and 20 mM imidazole] to
remove nonspecifically bound proteins. His-tagged
YkoN was eluted with the buffer containing 250 mM
imidazole. Purification stage of the His-tagged YkoN
was
monitored
by
SDS-polyacrylamide
gel
electrophoresis followed by Coomassie Brilliant Blue
G250 staining.
Results and Discussion
Lipase/esterase consensus motif of YkoN
To find out the genes involved in lipid metabolism in B.
subtilis, we have conducted a search for genes involved
in lipid synthesis by screening of those which have
homology with amino acid sequence of known enzymes
of lipid synthesis. Among these the amino acid sequence
(373 residues) of the product (YkoN) of ykoN of
unknown function, was found to have a slight homology
(23.9%) with that of ugtP (ypfP) that is responsible for
the synthesis of glucosylated diacylglycerates in this
organism5,7). In spite of the homology and its assignment
to a possible glucosyltransferase in Subtilist (http://
genolist.pasteur.fr/Subtilist)
and
BSORF
(http://bacillus.genome.jp) data bases, disruption of ykoN
with pMutin vector did not change the content of
glucosylated diacylglycerides in the lipid fraction and the
content of glucosylated diacylglycerides depended solely
on ugtP (data not shown). The results suggested that
ykoN is not involved in the glucosylated diacylglycerides
metabolismbut that it is involved in other function. Deep
inspection of the amino acid sequence of YkoN revealed
a pentapeptide sequence (Gly-Gly-Ser-Met-Gly) that is
compatible with the Gly/Ala-X-Ser-X-Gly motif of
lipase/esterase flanked with four hydrophobic residues
(Ile-Ile-Ile-Thr) on the N-terminal side of the motif
33
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
medium at 30°C (in the presence of 0.2% L-arabinose to
induce the chaperon) and at three hours after induction
with an addition of IPTG (10 μM) the cells were
harvested. The harvested cells were treated with 10
mg/ml lysozyme at 0°C for 60 min and subjected to
sonic disruption. The disrupted cell preparation was
centrifuged (5,800 ×g for 20 min at 4°C) to remove cell
debris and the resulting cleared lysate was subjected to
ammonium sulfate precipitation followed by gel
filtration through Bio-Gel P-100 column. The peak
fractions containing the 39 kDa-protein (Fig. 1, lane d)
were collected and subjected to affinity purification with
Ni-NTA agarose. After washing with 20 mM imidazole,
39 kDa-protein was eluted with 250 mM imidazole. The
step of the affinity purification was carried out once
more. By this purification procedure highly purified and
nearly homogeneous preparation of His-tagged YkoN
was obtained (Fig.1, lane e).
(Table 1) as those shown among the microbial lipolytic
enzymes, LipA, LipB, YtpA, and PnbA of B. subtilis,
and PldB and Aes of E. coli 8-14). This suggests that
YkoN has a lipolytic activity, though overall homology
of YkoN with those of the lipase/esterase is not
significant. The pMutin disruption of ykoN, however,
showed no apparent change in growth or lipid
composition of the membranes. The gene was not
induced with inducers of lipase/esterase, including olive
oil, tributyrin, triolein, and several fatty acids as
monitored by the activity of promoter fusion ykoN-lacZ
in the pMutin disruptant on the LB plates containing 40
μg/ml 5-bromo-4-chloro-3-indolyl-β- galactoside. This
phenomenon is different from those of the promoter
activities of lipA, lipB and ytpA, which were induced
with these inducers in the same conditions (data not
shown).
Table 1. Alignment of amino acid sequences of
the segments with a motif conserved among
esterases and lipases of B. subtilis and E. coli.
Amino acid sequences aligned are YkoN (BSORF),
LipA (BSORF), LipB10), YtpA 11) and PnbA/EstB 12)
from B. subtilis, and PldB13) and Aes14) from E. coli.
Fig. 1. SDS-polyacrylamide gel electrophoresis
of purified YkoN.
Lane a, the cell extract of uninduced culture of
Bl21(DE3) harboring pGro7 and pET-ykoN ; lane b,
the cell extract of the induced culture with IPTG;
lane c, molecular weight marker of 100, 70, 50
(thick band), 40, 30, and 25 kDa protein (XL-ladder,
APRO Science); lane d, the peak fraction of
Bio-Gel P-100 column chromatography; lane e, the
eluate with 250 mM imidazole from Ni-NTA
agarose column.
Purification of YkoN
To examine whether YkoN has a lipolytic activity, ykoN
was cloned under T7 promoter of pET-21(+) plasmid
using HindIII and XhoI sequences in the multicloning
site to express YkoN His-tagged at its C-terminus (the
plasmid constructed was named pET-ykoN). This product
expressed after induction of BL21(DE3) cells showed an
apparent molecular mass of 39 kDa (Fig. 1, lane b)
corresponding to the calculated molecular mass (43,322)
of YkoN plus six histidine residues. It had a strong
tendency to form insoluble precipitates during the
purification procedure. We thus introduced chaperon
plasmid pGro7 that expresses GroES and GroEL into
BL21(DE3) cells to increase yield of soluble fraction of
the expressed His-tagged YkoN. The BL21(DE3) cells
harboring pET-ykoN and pGro7 were cultivated in LB
Characterization of YkoN
The esterase activity of YkoN was then examined using
p-nitrophenyl esters of fatty acids. Firstly, preference of
substrate chain length on the rate of hydrolysis was
examined. YkoN hydrolyzed the esters of fatty acid with
short chain length, propionate (C3), butyrate (C4),
valerate (C5), and caproate (C6), preferentially; valerate
(C5) was preferred to the other short chain esters (Table
2). Esters of fatty acids with longer chain, caprate (C10),
laurate (C12), myristate (C14), palmitate (C16), and
34
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
adding zinc ion, 2, 5, or 20 mM to the reaction mixture
the activity was largely reduced to 62%, 44%, and 25%,
respectively. The esterase activity was not inhibited by
addition of EDTA (5, 10 or 20 mM). The results indicate
that YkoN requires no divalent cation for the activity.
YkoN is thus different from lipases which depend on
calcium ion for their activity8, 10, 20). Addition of
monovalent ions, either sodium or potassium chloride,
from 2 mM to 100 mM, did not affect the activity of
YkoN (data not shown).
stearate (C18), were hydrolyzed inefficiently. This result
indicates that YkoN is designated as an esterase, which
hydrolyses esters of short chain carboxylic acids (C ≤12),
rather than as a lipase, which displays maximum activity
toward
water-insoluble
long-chain
(C
≥12)
10,17,18,19)
acylglycerides according to the current definition
.
The catalytic specificity of YkoN is thus different from
those of known B. subtilis lipase/esterase, LipB and
LipA. LipB esterase preferentially hydrolyzes
p-nitrophenyl esters of chain length from C8 to C14, and
LipA esterase hydrolyzes these esters with almost no
preference for chain length9, 10).
YtpA, a
lysophospholipase, hydrolyzes 2-sn-acyl bond of
dimyristoylphosphatidylcholine11).
The
catalytic
speci-ficity of YkoN is thus different from that of this
lyso- phospholipase.
Table 2. Substrate specificity of purified YkoN
toward p-nitrophenylesters of different fatty
acid-chain length.
Fig. 2. Effect of pH on activity of purified YkoN.
The activity of purified YkoN was assayed at
different pH values at 30ºC for 10 min.
Na-phosphate buffer (♦), Tris-HCl buffer (■), or
glycine-NaOH buffer (▲) indicated was used in
place of the buffer (10 mM Tris-HCl pH7.4) of the
standard assay conditions.
Table 3. Effect of divalent cations and EDTA on
activity of purified YkoN.
The activity of purified YkoN was determined in the
standard assay conditions using p-nitrophenylesters
of fatty acid with different chain length.
Optimal pH for the hydrolysis of the p-nitrophenylester was pH 7.4 - 8.6 when Tris-HCl buffer was
used in the reaction mixture (Fig. 2). In phosphate buffer
(pH 6.4-7.8) it showed maximal activity at pH 7.4, and in
glycine-NaOH buffer (pH 8.6-10) it showed maximal
activity at pH 9. YkoN esterase was stable after
incubation at 50°C for 24 hr at pH 7.4 (Tris-HCl buffer)
(data not shown).
The activity of YkoN was not affected by addition of
divalent cations, calcium and magnesium (from 5, 20, to
50 mM) (Table 3). Addition of manganese ion at high
concentrations, 50 or 100 mM, to the reaction mixture
reduced the activity to 79% and 58%, respectively. By
The activity of purified YkoN was determined in the
standard assay conditions in the presence of various
divalent cations or EDTA.
35
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
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structures,
and
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Thus, YkoN is shown to be a novel B. subtilis esterase
which preferentially cleaves p-nitrophenylesters of fatty
acid with short chain length at neutral pH with no
requirement for divalent cations, different from the
known B. subtilis extracellular LipB which preferentially
hydrolyzes the esters of medium chain length of C8-C14
at pH11 and LipA with no preference for the fatty acid
chain length8, 9, 10). What is the role of this novel esterase
YkoN in B. subtilis cells? Prediction with Psort program
(http://psort.nibb.ac.jp) suggests that it is localized on the
membrane due to the short hydrophobic residue stretch
(ten residues) at its N-terminal, though it is suggested to
be
a
soluble
protein
by
Sosui
program
(http://bp.nuap.nagoya-u.ac.jp/sosui). Hence, YkoN is
probably localized on the membranes and it would have
an unknown function of cleaving some esters on the
membrane.
Acknowledgements
We thank Drs. Y. Sadaie and K. Horikoshi for comments
and encouragement. We also thank T. Terayama for his
help in construction of pET-ykoN.
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37
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007), Vol. 6, 38-44
ORIGINAL PAPER
Matsuura Ta, Terayama Tb, Usami Ra, Yoshida Ha, Hara Hb,
and Matsumoto Kb
Involvement of YkoN in production of a new phospholipid in
Bacillus subtilis Marburg
a
Department of Applied Chemistry, Graduate School of Engineering, Toyo University, 2100 Kujirai, Kawagoe, Saitama
350-8585, Japan
b
Department of Biochemistry and Molecular Biology, Graduate School of Science and Engineering, Saitama University,
255 Shimo-ohkubo, Sakura, Saitama, Saitama 338-8570, Japan
Corresponding author : Kouji Matsumoto, [email protected]
Phone : 81-48-858-3406, Fax: 81-48-858-3698
Received: November 5, 2007 / Revised: November 12, 2007 / Accepted: November 19, 2007
phospholipids, phosphatidylethanolamine (PE), phosphatidylglycerol (PG), and cardiolipin (CL), which are
common with those of E. coli, the membrane contains
lysylphosphatidylglycerol (Lys-PG), mono-, di-, and
triglucosyldiacylglycerols, and glycerophosphoglucolipid1). In E. coli cells each of all the three major
phospholipids is shown to be dispensable2). Many of the
B. subtilis lipids, except PG, are also dispensable3,4,5,6).
We are therefore curious to know why B. subtilis has so
many lipids and what their physiological roles might be.
In order to solve the problems we have started clarifying
the pathways for biosynthesis of the lipids by identifying
the genes involved. Homology search with the amino
acid sequence of known enzymes for lipid synthesis has
shown a lot of possible genes and has led us to build up
an outline of lipid biosynthesis in B. subtilis7,8). Among
them the amino acid sequence of the product (YkoN) of
ykoN was found to have a week homology with that of
UgtP (YpfP) that is responsible for the synthesis of
glucosylated diacylglycerates in this organism9).
However, disruption of ykoN caused no change in the
content of glucosylated diacylglycerates in the
membrane. We have recently shown that YkoN has a
lipolytic activity (Matsuura et al., in press). Induction of
ykoN in B. subtilis and E. coli cells produced a new spot
of phospholipid on thin layer chromatogram.
This paper describes the finding of the new
phospholipid in B. subtilis cells in sporulation phase and
discusses its possible source in relation to the lipolytic
activity of YkoN.
Abstract To understand the physiological role of the
ykoN gene of Bacillus subtilis, the gene was expressed
from the IPTG-inducible spac promoter in B. subtilis
cells. When lipid composition of the cells induced for
ykoN expression was examined, a new spot of
phospholipid was found on the thin layer chromatogram.
Induction of ykoN in Escherichia coli cells produced a
similar new spot. The new spot was produced in mutant
E. coli cells lacking cardiolipin or phosphatidylethanolamine, but not in the cells lacking phosphatidylglycerol. The result suggests an involvement of phosphatidylglycerol in production of the new spot.
Examination of the lipid composition during the stages
of B. subtilis growth revealed that the new phospholipid
was produced four hours after cessation of logarithmic
growth, consistent with an increase in the promoter
activity of ykoN in the late stage in sporulation. YkoN
has
the
pentapeptide
lipase/esterase
motif
(Gly-X-Ser-X-Gly), and shows a lipolytic activity
(Matsuura et al., in press). The mutant YkoN (S205A) in
which the central serine residue of the motif is replaced
with alanine produced the new phospholipid in the
amount as small as only 1/10 of the wild type, suggesting
that the lipolytic activity of YkoN is involved in the new
phospholipid production.
Key words : Bacillus subtilis, ykoN, phospholipids
Introduction
The membrane of B. subtilis Marburg cells contains
many lipids. In addition to the three major glycero-
38
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
ykoNmfS (5’-CACAGGGGGCgcTATGGGGGaC-3’),
which in- cludes three mismatches for the altered codon,
and
PETykoNA
(5’-ACTATTCTcgAgTCTCTATTTCAGG-3’). Then the two DNA fragments
were mixed and entire ykoNS205A DNA fragment was
amplified using a primer pair PETykoNS and PETykoNA.
The entire ykoNS205A DNA amplified was inserted into
pET-21(+) to construct pET-ykoNS205A.
Cloning of ykoN and its ykoNΔN allele into
expression vector pRSETA was performed as follow. The
ykoN fragment was amplified using a primer pair
ykoN-S1 (5’-GGAGGgCTagCATGAAAAACATTC-3’),
which starts at 11 nt upstream of the initiation codon, and
ykoN-As3 (5’-GAGCGTTTTCAaGctTTTCGCCTG-3’),
which starts at 112 nt downstream of the termination
codon. The ykoNΔN fragment was amplified using a
primer pair ykoN-S2 (5’-CCTTTgctAGCATTTCCACCG-3’), which starts at 22 nt downstream of the
initiation codon and primer ykoN-As3. These amplified
fragments were inserted into NheI-HindIII site of
pRSETA to form pRSETA-ykoN and pRSETA-ykoNΔN.
Materials and Methods
Construction of bacterial strains and plasmids
B. subtilis Marburg and E. coli strains and plasmids used
in this study are listed in Table 1. The pMutin integration
strain TM001 was constructed according to the standard
protocol10) using pTM040 (pMUTIN2 ykoN). TM001 has
ykoN which is controlled by its own promoter and Pspac
and it also has a disrupted ykoN allele fused to lacZ for
determination of its promoter activity. Construction of
pTM040 was carried out by cloning of ykoN DNA into
pMUTIN2 as follows. The ykoN DNA fragment was
amplified from B. subtilis wild type chromosomal DNA
by PCR with Ex Taq DNA polymerase using a primer
pair HindIII-ykoNS (5’-CCATATGGAAAGGAAACAAGcTTTCATC-3’) (synthesized by Espec Oligo, Japan),
which starts at 117 nucleotide (nt) upstream of the
initiation codon with one mismatch (lowercase letter) to
create the HindIII restriction site (underlined), and ykoNEcoRIA (5’-CCCATTTTgAAtTCCCACC-3’), which
starts at 643 nt downstream of the initiation codon with
two mismatches (lowercase letter) to create the EcoRI
restriction site (underlined). The amplified fragment was
inserted into HindIII-EcoRI site of pMUTIN2 to form
the recombinant plasmid designated as pTM040.
Cloning of ykoN DNA into expression vector pAN18
was performed as follow. The ykoN fragment was
amplified using a primer pair SacI-ykoN (5’-GAACGagCTCCTCAAAATATAG-3’), which starts at 49 nt
upstream of the initiation codon, and ykoN-XbaI (5’CCTGCTCtAGAAAGC-3’), which starts at 66 nt
downstream of the termination codon. The amplified
fragment was inserted into SacI-XbaI site of pAN18 to
form pTM088.
Cloning of ykoN DNA into pSK6 vector was
performed as follow. The DNA fragment was amplified
by using a primer pair NcoI-ykoN (5’-GGATCAACCACTCTCCATggGGAAAGG-3’), which starts at 132 nt
upstream of the initiation codon, and pCold-ykoN
(5’-CTATTCTAgACTCTCTATTTC-3’), which starting
at 14 nt downstream of the termination codon. The
amplified fragment was inserted into NcoI-XbaI site of
pSK6 to form pTM042.
Cloning of ykoN DNA into pET-21(+) to construct
pET-ykoN plasmid was previously described (Matsuura
et al., in press). pET-ykoNS205A, which induces the
mutant ykoN gene whose serine codon at 205 is altered to
alanine, was constructed as follows. Two DNA fragments
including the altered codon were first prepared by using
a primer pair PETykoNS (5’-gccgaAgctTTGCCATATTTTTTTAGG-3’) and ykoNmfA (5’-GtCCCCCATAgcGCCCCCTGTG-3’), which includes three
mismatchesfor the altered codon, and a primer pair
Table 1. B. subtilis and E. coli strains and plasmids.
39
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
examined by thin layer chromatography. A new spot of
phospholipid, with the Rf value between Lys-PG and PE,
was found in the lipid fraction of the induced cells on the
thin layer chromatogram (Fig. 1). Since the molybdenum
reagent spray13) shows up the compounds containing
phosphate ester as blue spots, the new spot contains
phospholipid, and it does not contain carbohydrate
moiety or free amino group as examined with
orcinol-sulphuric acid reagent or ninhydrin spray14),
respectively (data not shown). The new spot is thus
different from any lipid described for B. subtilis cells so
far 1,16).
Culture media and growth of B. subtilis and E. coli
B. subtilis strains were cultivated in sporulation medium
(DSM)11), which contained 0.8% nutrient broth (Difco),
0.1% KCl, 0.025% MgSO4・7H2O, 1.0 mM Ca(NO3)2, 10
μM MnCl2, and 1.0 μM FeSO4. Luria-Bertani (LB) broth
was used for cultivation of both B. subtilis and E. coli
strains. When required, the following supplements were
added to the media (per liter); 20 mg of neomycin (Wako
Pure Chem.), 50 mg of spectinomycin (Sigma), 0.3 mg
of erythromycin (Sigma), 5 mg of kanamycin, 200 mg
ampicillin (Wako Pure Chem.). For induction of plasmid
borne ykoN, 0.2% L-arabinose (Wako Pure Chem.), or
0.1 mM (E. coli) and 1 mM (B. subtilis) of isopropyl-1thio-β-D-galactoside (IPTG) (Wako Pure Chem.) was
added.
Lipid analysis
Lipids were extracted by the method of Ames12). The
lipid fractions were separated by two dimensional
thin-layer chromatography (TLC) on silica gel (no. 60,
Merck, Darmstadt), first (x-dimension) with chloroformmethanol-water (65:25:4 [vol/vol/vol]) and second (ydimension) with chloroform-methanol-acetic acid
(65:25:10 [vol/vol/vol]). In some cases lipids were
separated one-dimensional TLC with the same solvent
system as that used for the y-dimension. Phospholipids
were visualized by uniformly spraying the molybdenum
reagent described by Dittmer and Lester13). Detection of
carbohydrate moiety and free amino group were
conducted with sprays with orcinol-sulphuric acid
mixture and ninhydrin in butanol, respectively, as
described by Christie14). The relative intensity of blue
spot was quantified by using NIH image (Scion, version
4.0.3.2).
Fig. 1. Thin layer chromatogram showing the
production of a new phospholipid in B. subtilis
168 cells in which ykoN was overexpressed.
Cells of wild type B. subtilis and of the strain
harboring multicopy plasmid pTM088 were
cultivated in DSM at 37ºC to late exponential
growth phase in the presence of 1 mM IPTG for 4
hours. Lipids were extracted and TLC was carried
out as described in materials and methods.
Abbreviations:
CL,
cardiolipin;
PG,
phosphatidylglycerol;
PE,
phosphatidylethanolamine; Lys-PG, lysylphosphatidylglycerol.
(1) wild type 168 ; (2) 168/pTM088.
Enzyme assay
β-Galacosidase activity of B. subtilis TM001 cells
cultivated in DSM was assayed according to the method
described by Wang and Doi15).
Overexpression of ykoN in E. coli mutants lacking
specific phospholipids
The effect of expression of ykoN was then examined in E.
coli cells. The gene was induced in E. coli W3110 cells
from araBAD promoter of plasmid pTM042. Three hours
after addition of 0.2% L-arabinose lipid was extracted
and examined by one-dimensional thin layer chromatography. A spot of phospholipid with similar Rf value to
that of the new phospholipid in the induced B. subtilis
cells was also found in the induced E. coli cells (Fig. 2,
lanes 1 and 2). To examine the origin of the new
phospholipid the mutant strains lacking each of three
major phospholipids were used to induce ykoN. The new
phospholipid was produced in the mutant cells lacking
Results and Discussion
Overexpression of ykoN produces a new phospholipid
To understand the physiological role of ykoN, we
constructed a strain with pMutin-disruption of ykoN. The
disruptant showed, however, no apparent growth change
or noticeable alteration in lipid composition (data not
shown). We then induced ykoN from the spac promoter
using multicopy plasmid pTM088. The induction still
from the cells in late exponential growth phase in DSM
at caused no apparent growth change. Lipid was
extracted four hours after addition of 1 mM IPTG and
40
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
PE (strain GN10; Fig. 2, lanes 3 and 4) or CL (strain
SD11; lanes 7 and 8). In the strain S330 that lacks PG,
however, the new phospholipid was not produced (lanes
5 and 6). The result suggests an involvement of PG in the
production of the new phospholipid. This ykoN induction
causes a small alteration of growth rate, suggesting that
production of the new lipid has a small effect on E. coli
cells. Since PG is essential for B. subtilis cells5,6), we
could not examine the effect of PG-deprivation in B.
subtilis. Mutant B. subtilis cells lacking other lipids,
glucosylated
diacylglycerides,
PE,
CL,
or
3,4,5,16,17)
, produced the new phospholipid (data
Lys-PG
not shown). Thus, the production of the new
phospholipid in B. subtilis cells likely involves PG as
well.
Fig. 2. Thin layer chromatogram showing the
phospholipid of wild type and mutant E. coli cells
in which ykoN was overexpressed.
Cells of wild type and the mutant E. coli strains,
GN10, S330, and SD11, harboring plasmid pTM042
were cultivated in LB at 37ºC to late exponential
growth phase with 0.2% L-arabinose for 3 hours.
Lipids were extracted and TLC was carried out as
described in materials and methods. Abbreviations:
CL, cardiolipin; PA, phosphatidic acid; PG,
phosphatidylglycerol; PE, phosphatidylethanolamine;
CDP-DG, CDP-diacylglycerol. (1) W3110; (2) W3110
/pTM042; (3) GN10; (4) GN10/pTM042; (5) S330;
(6) S330/pTM042; (7) SD11; (8) SD11/pTM042.
Fig. 3. Two-dimensional thin layer chromatograms of the phospholipid at different stages of B. subtilis
growth.
Cells of strain TM001 were grown in DSM at 37ºC and growth was followed by measurement of turbidity. IPTG
was not added to this DSM culture as this experiment evaluates the activity of ykoN expressed by its own
promoter, though ykoN of TM001 is controllable by Pspac. Cells were withdrawn at 1-hour intervals (plates a-h) in
the different growth stages (indicated as a-h in Fig. 4) and were subjected to lipid analysis by two-dimensional
TLC. The spots of the new phospholipid are circled. In the bottom-right panel positions of phospholipids are
indicated. Abbreviations: CL, cardiolipin; PA, phosphatidic acid; PG, phosphatidylglycerol; PE,
phosphatidylethanolamine; Lys-PG, lysylphosphatidylglycerol; GPGL, probable glycerophosphoglucolipid ; X,
another phospholipid not described previously.
41
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
might play a specific role in the membranes in the late
stage of sporulation. An apparent delay in the appearance
(at stage f) of the new phospholipid in comparison with
the increase in the promoter activity might be due to a
requirement for accumulation of YkoN or for certain
physiological shift on the membranes for efficient YkoN
action.
Production of the new phospholipid in sporulation
phase
As a fairly large amount of the new phospholipid was
produced after overexpression of plasmid-borne ykoN
(Fig. 1), we expected that the new phospholipid would be
produced from ykoN under its own promoter on the
chromosome under normal growth conditions. We
examined the change of lipid composition of the strain
TM001 at 1-hour intervals from the middle exponential
growth phase without IPTG addition (Fig. 3). In
exponential and early stationary phases the new
phospholipid was not observed (Fig. 3 a-e). In the
sporulation phase, at four hours after cessation of
exponential growth, however, a faint spot that
corresponds to the new lipid was detected (Fig. 3 f). At
five and six hours in late sporulation phase the spot
became darker (Fig. 3 g and h). The content of the new
phospholipid was quite small compared with that
produced by the induction of ykoN on the multicopy
plasmid pTM088 (Fig.1). The presence of this new
phospholipid has not been noticed1,16). It is probably
because the lipid of the cells in sporulation phase has not
been examined. Note that a spot designated as X that has
not been described appeared in the sporulation phase.
Involvement of the lipolytic activity of YkoN in
production of the new phospholipid
YkoN has the pentapeptide lipase/esterase consensus
sequence (Gly-X-Ser-X-Gly) and is shown to have a
lipolytic activity (Matsuura et al., in press). Replacement
of serine residue in the consensus sequence causes
change in the lipolytic activity of LipB18). And hence, a
mutant ykoN gene (ykoNS205A) of YkoN(S205A),
whose central serine residue in the pentapeptide
consensus is replaced with alanine, was constructed and
was induced in E. coli cells. Production of the new
phospholipid with the mutant YkoN was reduced to ca.
1/10 of that with the wild type YkoN (Fig. 5A). The
replacement of the amino acid residue in the
pentapeptide consensus sequence of LipB causes a
change in substrate specificity18), YkoN(S205A) would
also have a substrate specificity change. The reduction in
the production of the new phospholipid might be caused
by this substrate specificity change. This result suggests
that the lipolytic activity of YkoN is involved in the
production of the new phospholipid. Prediction with
Psort program (http://psort.nibb.ac.jp) suggests that it is
localized on the membrane due to the short hydrophobic
residue stretch (ten residues) at its N-terminus, though it
is suggested to be a soluble protein by Sosui program
(http://bp.nuap.nagoya-u.ac.jp/sosui). When a mutant
ykoN gene (ykoNΔN) coding for YkoN that lacks the
N-terminal hydrophobic stretch of ten residues was
induced in E. coli cells, the production of the new
phospholipid was much reduced (Fig. 5B). This might
suggest that YkoN is localized on the membrane and
hydrolyzes an ester bond of phosphatidylglycerol on the
cytoplasmic surface of the membrane. This is a likely
initial step of YkoN action for the production of the new
phospholipid. It should be noted that YkoN is the
esterase which cleaves p-nitrophenylesters of fatty acids
with short chain length preferentially. However, it also
cleaves, albeit inefficiently, the esters of long chain
length which comprises B. subtilis membrane lipids
(Matsuura et al., in press). Thus, the lipolytic activity of
YkoN is likely responsible for the production of the new
phospholipid.
Fig. 4. Promoter activity of ykoN at different
stages of B. subtilis growth.
Cells of strain TM001 were grown in DSM at 37ºC
and growth was followed by measurement of
turbidity. The culture condition is the same as
described in Fig. 3. Cells were withdrawn at 1-hour
intervals in the different growth stage (a-h) and the
β-galactosidase activity was measured as described
in materials and methods. Turbidity in Klett unit (●)
and β-galacto- sidase activity (○) are shown.
The increase of the new phospholipid in late
sporulation phase coincides well with a raise in the
promoter activity of ykoN in sporulation phase as
monitored by the activity of promoter fusion ykoN-lacZ
(Fig. 4). This coincidence suggests that the new phospholipid is produced by the product of ykoN in the late
sporulation phase and further that this new phospholipid
42
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
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removal of N-terminal hydrophobic residues (B).
E. coli BL21(DE3) cells harboring pET-ykoN (a)
pET-ykoNS205A (b), pRSETA-ykoN (c) or
pRSETA-ykoNΔN (d) were cultivated in LB at 37ºC
with 0.1 mM IPTG for 3 hours to late exponential
growth phase. Production of the new phospholipid
was examined as described in materials and
methods. For abbreviations see legend to Fig. 2.
Acknowledgements
We thank Drs. Y. Sadaie, K. Asai, and K. Horikoshi for
comments and encouragement. We also thank Dr. H.
Yoshikawa for plasmid pAN18 and K. Komori and T.
Haraguchi for a part of the experiments with ykoN
disruptant.
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44
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007), Vol. 6, 45-51
MINI REVIEW
環境指標物質としての微生物が生産するテトラエーテル型脂質
Microbial tetraether lipids as an environmental tracer
九州大学
大学院理学研究院
地球惑星科学部門
北島富美雄
Group のアーキアが生産するテトラエーテル脂質を
用いる方法 (TEX86) の 2 つがある。
アルケノン古水温計は広く普及している方法で、
Brassell 2)、山本 34)などのレビューもある。山本 34)に
バクテリアやアーキアは環境の変化に対応して細
胞膜の物性を維持するために膜脂質の組成を変える。 よれば、長鎖アルケノンは図 1. VII.~IX.に示すよう
バクテリアでは温度の変化に伴い、脂肪酸残基の鎖長、 に炭素数が 37~39(堆積物中からは炭素数が 37~42
二重結合の数、メチル側鎖の数などを変える。アーキ
のものが報告されている)で 2~4 個の二重結合
アの場合、膜脂質にエーテル脂質を含むことが知られ
(trans-型の立体配置)を持つ化合物であり、2 位に
ているが、その中にはテトラエーテル型脂質のイソプ
カルボニル基を持つメチルケトンと 3 位にカルボニ
レノイド鎖の部分に五員環を持つものがある(図 1. I.
ル基を持つエチルケトンがある。これらのアルケノン
~VI.)。Sulfolobus 属や Thermoplasma 属などの好熱
はハプト藻綱の Gephyrocapsae 科の Emiliania 属、
性アーキアでは、このイソプレノイド鎖に含まれる五
Gephyrocapsa 属および Isochrysidaceae 科の Chrysotila
員環の数は増殖時の温度が高いほど増大する 5), 30)。こ
属、Isochrysis 属の 2 科 4 属からのみ検出される。ア
ルケノンの生体内での役割や生合成経路は現在でも
の場合も五員環数の変化は細胞膜の物性の維持に関
明らかではない。しかし、Emiliania huxleyi の培養実
係していると考えられている。ところで、膜脂質の持
験から増殖時の水温とアルケノン不飽和指標(Uk37 ま
つこのような性質は膜脂質組成が一種の温度計とし
て利用できる可能性を示唆するものでもある。後述す
たは Uk’37)との間に以下に示すようなよい相関があ
るように、ハプト藻が生産する長鎖アルケノンでは温
ることが見い出されている 21-22)。
度変化に対応して分子中の二重結合の数が変化する
が、この性質は古水温の推定のために利用されている。
Uk37=0.040T-0.0110 (r2=0.989) (1),
実際、過去の温度の推測あるいは実際に温度計を挿す
Uk’37=0.034T+0.039 (r2=0.994) (2)
ことが不可能な場所、たとえば地下深くの温度を推測
するにはこのような間接的な方法を用いざるを得な
ここで、
い。
Uk37=([C37:2Me]-[C37:4Me])/([C37:2Me]
過去の水温を推定する方法としては現在おもに次
+[C37:3Me]+ [C37:4Me])
(3)
の4つの方法が用いられている 17)。①炭酸塩の酸素同
Uk’37=([C37:2Me])/([C37:2Me]+[C37:3Me]) (4)
位体を用いる方法、②炭酸塩中の Mg や Sr 含量の変
化から見積もる方法、③珪藻や有孔虫などの微化石の
種構成と現在の地理分布から作成された種構成を比
また、T は増殖時の水温である。
較して得られた温度変換関数を用いる方法(変換関数
法、モダンアナログ法)、そして以下に述べる、④膜
アルケノン不飽和指標がなぜ水温と相関を持つの
脂質成分による方法である。
かについてもわかっていないが、脂質がより低温にな
るほど不飽和結合(ただし、この場合多くは cis-型の
1.2. 脂質組成を用いた温度計
立体配置)の数を増やして膜の流動性を一定に保つこ
とからアルケノンにも同様の働きがあると想像され
膜脂質による温度推定のおもな方法にも長鎖アル
ている 1)。
ケノンを利用する方法(Uk37 または Uk’37 法)と Marine
1. 温度指標としての膜脂質組成
1.1. 温度変化と膜脂質の組成
45
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
HO
O
O
O
O
HO
OH
5’
O
O
O
O
I. GDGT cy:0
5
HO
O
HO
O
O
OH
Xa.
O
O
O
O
O
OH
Xb.
II. GDGT cy:1
HO
OH
HO
O
O
O
O
O
O
O
OH
O
OH
III. GDGT cy:2
Xc.
HO
HO
O
O
O
O
O
OH
O
O
XIa.
O
HO
OH
IV. GDGT cy:3
O
O
O
O
OH
I.~IV. Isoprenoid-GDGTs
XIb.
HO
HO
O
O
O
O
O
O
V. Crenarchaeol
O
O
OH
XIc.
HO
OH
HO
O
O
O
O
OH
O
XIIa.
O
O
HO
O
O
OH OH
O
O
O
OH
O
OH
OH
XIIb.
VI. GDCT cy:4
HO
OH
O
O
O
O
OH
O
XIIc.
X.~XII. Branched-GDGTs
VII. C37:2Me
O
VIII. C37:3Me
O
Δ8
Δ15
Δ22
OH
O
OH
O
O
Δ29
O
XIII.
IX. C37:4Me
OH
O
VII.~IX. Alkenones
OH
O
XIV.
O
O
XV.
XVI.
図 1. 本文中に述べたエーテル脂質、アルケノンの構造.
I.~IV. アーキアが生産する GDGT(Glycerol Dialkyl Glycerol Tetraether)。cy:0 などは 1 分子中(イソプレノ
イドに分解した場合はイソプレノイド鎖 1 本中)の五員環構造の数を示す。カルジトールの五員環
は数に含めない。
V. クレンアーキオール。Marine Crenarchaeota および陸水に分布するその近縁種が特異的に生産する。
VI. GDCT(Glycerol Dialkyl Calditol Tetraether)。Sulfolobales が特異的に生産する。GDNT と呼ばれることもあ
るが、ここでは GDCT と呼ぶ(本文参照)。
VII.~IX. 長鎖アルケノン。古水温の推定に利用される。
Xa.~XIIc. Branched-GDGT。嫌気性の土壌バクテリアが生産するとされる。
XIII.~XVI. 硫酸還元バクテリア(SRB)が生産するとされるジエーテル脂質の例。
このアルケノン不飽和指標と水温との相関関係は、
冒頭に述べたテトラエーテル脂質の五員環の数と増
殖時の温度との関係に相似である(不飽和結合は低温
ほど増加し、五員環は高温ほど増加するというように
46
傾向は逆であるが)。テトラエーテル脂質における関
係は、はじめ好熱好酸性アーキアである Sulfolobus
solfataricus について見い出されたが 5)、
その後、Marine
Group の Crenarchaeota のテトラエーテル脂質にも同
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
様の性質があることが指摘された 24)。ただし、Marine
Group のアーキアはごく一部を除いて 15)、その大部分
が純粋培養できないのでアルケノンや好熱性アーキ
アの場合とは異なり、培養実験からではなく海底堆積
物から抽出したテトラエーテル脂質の組成とサンプ
ルを採取した地点における年平均表面海水温度
(SST)の比較がおこなわれている(その後、Marine
Group の Crenarchaeota を含む海水のインキュベーシ
ョンの実験も行われている 27))。ここで提案された
温 度 指 標 が TEX86 (TetraEther indeX of tetraethers
consisting of 86 carbon atoms)であり、(5)式で計算され
([IV]などは図 1. I.~V.に示した化合物の含有量をあ
らわす。V’は V. Crenarchaeol の異性体である)、(6)式
で平均表面海水温度と関係づけられる 24)。
TEX86 = ([III]+[IV]+[V’])/([II]+[III]+[IV]+[V’])
TEX86=0.015*T+0.28 (r2=0.92)
(5)
(6)
Marine Group のアーキアは好熱好酸性アーキアで
ある Sulfolobus acidocaldarius とはやや脂質組成が異
なり、Marine Group に特有の crenarchaeol とその異性
体を持つが(図 1. V)、TEX86 はパラメーターとして
crenarchaeol の異性体を含んでいる。この温度計の適
用範囲は 0 oC から 30 oC である。イソプレノイド鎖の
ような炭化水素は比較的年代の古い地質試料中にも
残ることがあり、たとえば白亜紀の Albian 階(~1 億
1200 万年前)から検出されたものも報告されている
16)
。これは、アルケノンの最古のものとほぼ同等の古
さである。テトラエーテル脂質は炭酸塩やアルケノン
が検出されない地層中からも見い出されることがあ
り、たとえば白亜紀中期(~9000 万年前)の北極域
の古水温推定などに利用されている 11)。
また、Marine Group に近縁のアーキアはその後海洋
だけでなく中性・アルカリ性の陸水/陸上温泉中にも
発見されている 19-20)。しかし、陸水に分布するアーキ
アの場合、その五員環の数を決定しているのは必ずし
も温度だけではないようであり、重炭酸塩濃度の寄与
が指摘されている 19)。
以上述べてきたように、TEX86 を用いた温度計はし
だいに普及しつつある。しかし、五員環数の温度依存
性が最初に明らかになったのは好熱好酸性アーキア
の場合であるが、熱水環境におけるテトラエーテル脂
質を用いた温度推定の試みは筆者らによるもののほ
かはあまり見られない。そこで、次の節ではわれわれ
が行った熱水環境でのテトラエーテル脂質温度計の
応用について紹介することにする。
2. 熱水系でのテトラエーテル脂質温度計
2.1. Sulfolobales が生産するテトラエーテル脂質によ
る温度計
われわれは、これまで、好熱好酸性アーキアであ
る Sulfolobales(特に Sulfolobus 属)が生産するエー
テル脂質に着目し、陸上熱水系における堆積時の温
度を推定するための温度計として利用する試みを続
けてきた 13)。この温度計の適用範囲は 65 oC から 80
o
C であり、酸性の熱水環境には Marine Group に近縁
のアーキアが棲息しないところもあることから、陸
上熱水系における温度計として、TEX86 による温度
計とは適用できる範囲が異なるものである。
Sulfolobales は GDGT (Glycerol Dialkyl Glycerol
Tetraether)の他にグリセロール残基の一方がカルジ
トール残基となった GDCT(Glycerol Dialkyl Calditol
Tetraether)を生産する(図 1. VI)。カルジトール残
基は当初ノニトール構造を持つと考えられたため 6)、
この化合物は今でも GDNT(Glycerol Dialkyl Nonitol
Tetraether)と呼ばれることがある。しかし、後にこ
のノニトール構造は誤りであることがわかった 28)の
で、ここでは、GDNT ではなく GDCT と呼ぶことに
したい。GDCT は Sulfolobales が特異的に生産する
28)
。エーテル脂質の持つ五員環数の温度依存性は生
産者によって少しずつ異なると予想されるため、こ
のように分子構造自体に生産者の手掛かりとなる標
識が存在することはこの物質が堆積物中から見い出
された場合、生産者を特定するのに有利である。し
かし、GDCT は分子量が大きく、このままの形では
分析しにくいため、HI/LiAlH4 処理を行ってイソプレ
ノイドに分解しなければならない。これは、時間と
手間がかかるうえに、より多くのサンプル量も必要
とする。一方、GDGT は、分子構造そのものから生
産者を特定することはできず、生産者に関する他の
情報を必要とするが、分解を行うことなしに HPLC
でより容易に分析できる点では有利である。特にエ
ーテル脂質の含有量の少ないサンプルや多数のサン
プルを処理しなければならない場合にはこちらのほ
うが向いている。われわれは、GDCT を用いた場合
と GDGT を用いた場合、それぞれについて、熱水系
において活用できる温度計の開発を試みた 13-14)。
2.2. GDCT 温度計
テトラエーテル脂質のイソプレノイド中の五員環
数は平均環化率という指標を用いて示される。平均
環化率(Average cyclization)は次の式で表される 5)。
Ac =(%Monocyclic isoprenoid + 2×%Bicyclic
isoprenoid + 3×%Tricyclic isoprenoid
+ 4×%Tetracyclic isoprenoid ) / 100 (7)
同じ株の生産物であっても GDGT と GDCT では
平均環化率の温度依存性が異なっている。文献上の
データからだけでは全エーテル脂質の環化率と温
度の関係式しか計算できなかったため、われわれは
47
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
Sulfolobales を 65、70、75、80 oC で定常期まで培養
し、新たに GDCT の平均環化率と温度の関係式を
求めた。分析は、DeLong et al. 4)を一部改変した方
法で GDCT をイソプレノイドに分解し、GC-MS を
用いて行った。また、鹿児島県霧島温泉の 3 ヶ所(八
幡地獄、湯の野地獄、銀湯)で表層堆積物を採取し
た。それぞれの試料からエーテル脂質を抽出し、全
エーテル脂質の平均環化率と GDCT のみの平均環
化率を求めた。これを全エーテル脂質の環化率と温
度の関係式および GDCT の平均環化率と温度の関
係式に当てはめ、それぞれ独立に古水(地)温を計
算した。その結果、湯の野地獄では、全脂質で 76.0℃、
GDCT で 77.6℃、八幡地獄では、全脂質で 73.9℃、
GDCT で 71.9℃、銀湯では、全脂質で 51.9℃、GDCT
で 64.2℃となった。全エーテル脂質から推定した古
水(地)温と GDCT から推定した古水(地)温は、
銀湯を除く 2 つの地点(八幡地獄、湯の野地獄)で
は 2oC 以内で一致した 13-14)。これは、GDCT による
温度計の有効性を示すものである。
2.3. GDGT 温度計
前節で述べたサンプル中、銀湯から採取したサン
プルについては、ばらついた温度しか得られなかっ
た。これは、過去にこの地域の温度が変動したこと
を反映するのかもしれないと考え、コアサンプルを
採取して時系列的により詳細に調べることにした 14)。
この場合、得られるコアサンプルは量的に限られて
いるので GDGT 温度計を適用することにした。
Sulfolobales の 65、70、75、80oC の培養物の全脂質
抽出物をメタノリシスし、Schouten et al.24)の方法に
従い HPLC で分析した。Sulfolobales と Marine Group
では脂質組成が異なり、Sulfolobales は crenarchaeol
およびその異性体を生産しないため、TEX86 をその
ままの形で使うことはできない。そこで、GDGT 1
分子当たりの環化率(イソプレノイド鎖 1 本当たり
の環化率と区別して C*で表す)を定義し、これと温
度の関係を調べたところ、イソプレノイド鎖 1 本当
たりの平均環化率と温度の場合と同様に直線的な正
の相関が見られたのでその回帰式を求めた。
また、銀湯で採取したコアサンプルを縦に 2 分割
した後、さらにその一方を 3 cm ずつに分割し、それ
ぞれから脂質を抽出した。この抽出物をメタノリシ
ス後、HPLC-APCI-MS で分析したが、Marine Group
に特有の crenarchaeol とその異性体は検出できなか
っ た た め 、 こ こ に は Marine Group に 近 縁 の
Crenarchaeota は棲息していないと考えられる。また、
Sulfolobales 以外の陸水における代表的な好熱性ア
ーキアであり、やはりイソプレノイド鎖に五員環を
持つ Thermoplasma の培養をここで採取した熱水か
ら試みたが増殖は確認できなかった。従って、この
地点から得られる GDGT は、ほぼ Sulfolobales 由来
48
と考えられる。
また、コアサンプルのアクリジンオレンジ染色に
よる全菌数計測を行ったところ、コアサンプル内の
生菌からの GDGT の寄与は、計測された全球菌数を
すべて Sulfolobales の生菌数とみなしても、コアから
得られた全 GDGT 抽出物の 1/100 以下と見積もられ
たため無視できると考えられる。
そこで、HPLC により GDGT を分析して古水(地)
温を求めた。銀湯のコアでは、15 cm 以深で 77oC 以
上という高い推定温度が得られ、これは過去の地熱
活動の活発さを示すものであると考えられる。また、
9 から 12 cm の部位で推定温度の低下、また、15 か
ら 18 cm の部位で TOC(全有機態炭素)の低下が見
られるとともに、この下の部位より上層で堆積物の
粒度が粗くなっていることから、まず堆積環境の変
化が起こり、続いて温度が降下したことが示唆され
た 14)。ここで推定された温度の変化は堆積相や TOC
の変化と少なくとも矛盾はしない。
3. テトラエーテル脂質の様々な環境指標としての
応用の拡がりと課題
3.1. 五員環を持つテトラエーテル脂質を生産する好
熱好酸性アーキアの分布
Sulfolobales は陸水に分布する好熱好酸性アーキ
アである。したがって、この菌が生産する脂質の分
布は、Marine Group の Crenarchaeota の場合とは異な
り、地域的に限定されているとも予想される。しか
し、五員環を持つテトラエーテル脂質を生産する好
熱好酸性アーキアの分布は今まで考えられていたよ
りはもう少し広いらしい。たとえば、脂質そのもの
ではないが、国際深海掘削計画(ODP)で採取され
た海洋コアから Sulfolobus の rDNA が見い出されて
いる 10) 。また、最近、偏性好熱好酸性のアーキア
(Aciduliprofundum boonei)が深海底熱水噴出孔からは、
はじめて単離されている 23)。このアーキアは五員環
を持つテトラエーテル脂質を生産する。したがって、
酸性の熱水系におけるテトラエーテル脂質温度計は
海洋を含めもう少し広い範囲で利用できるかもしれ
ない。
3.2. バクテリアが生産する五員環を持つテトラエー
テル脂質
超好熱性バクテリアである Aquifex 属はバクテリ
アであるにもかかわらず、エステル型ではなくエー
テル型脂質を膜脂質に持つことが以前から知られて
いた 9)。最近、エステル型脂質を持つそのほかのバ
クテリアもエーテル脂質を生産していることがさか
んに報告されるようになってきた。最初に報告され
たのは、海底の冷水湧出帯からで、ここでのエーテ
ル脂質(図 1. XIII.~XVI.)の生産者は硫酸還元バク
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
テリアと推定された 18)。また、Lost City 型海底熱水
噴出孔周辺にも、硫酸還元バクテリア - メタン生成
アーキア共生体が棲息し、バクテリア型のエーテル
脂質が報告されている 12)。そのほか、土壌バクテリ
アにもエーテル脂質を生産するものがある 3), 31-33)。
これらのバクテリアが生産するエーテル脂質にはジ
エーテル型もテトラエーテル型もある。バクテリア
のエーテル脂質は、アーキアのエーテル脂質のイソ
プレノイド鎖の部分がイソプレノイドではない炭化
水素である(図 1. X.~XVI)。さらに、Aquifex 属を
含めて、すべてのエーテル脂質でグリセロール残基
の C-2 位の立体配置がアーキア型の sn-2,3 ではなく、
バクテリア型の sn-1,2 である 31)。土壌バクテリアの
テトラエーテル脂質(Branched-GDGT と呼ばれてい
る)の五員環数と温度そのほかの環境要因との相関
が調べられた 33)。エーテル脂質を生産している土壌
バクテリアは純粋培養できないので、土壌中のエー
テル脂質組成と年平均気温や土壌の分析データが比
較されている。その結果、この場合、五員環数は温
度よりも pH と相関があるらしいことが報告されて
いる。ここでは、CBT (Cyclisation ratio of Brached
Tetraethers)という指標が提案されているが、CBT は
次の(8)式で定義され、pH との間に(9)式で表される
関係を持つ。
CBT = -log(([Xb]+[XIb])/([Xa]+[XIa])) (8)
CBT=3.33-0.38*pH (r2 = 0.70) (9)
また、炭化水素鎖の C-5、C-5’位がメチル化される
が、その割合は温度と pH の両方に依存すると報告
されている 33)。ここでは、MBT (Methylation index of
Branched Tetraethers)という指標が用いられている。
MBT は(10)式であらわされ、(11)式のように温度、
pH と関連づけられるとされる。ここで MAT は、年
平均気温である。
源のテトラエーテル脂質の流入の程度を見積もる指
標として、土壌バクテリアのテトラエーテル脂質と
Marine Group の crenarchaeol の 比 を 用 い た BIT
(Branched and Isoprenoid Tetraether)index が提案さ
れている 8)。これは、次の(12)式で表される。
BIT = ([Xa+XIa+XIIa]/([ Xa+XIa+XIIa]+[V])
(12)
しかし、最近、土壌中からもイソプレノイド型の
テトラエーテル脂質や crenarchaeol が検出されてい
るため 32)、これらは TEX86 や BIT の値に影響を与え
ることが指摘されている。また Schouten et al. 24)で得
られた関係式は、熱帯域には適用できないと考えら
れたが 25)、Marine Group の Crenarchaeota を含む海水
をいくつかの温度でインキュベートした実験では当
初の関係式がより高温域にそのまま延長できること
が示唆された 27)。テトラエーテル脂質の生産者やエ
ーテル脂質の化学種の違いによって平均環化率の温
度依存性が異なることは既に述べたが、Turich et
al.29)は過去の温度変化と考えられているものには微
生物の群集構造の変化による寄与も考えられること
を指摘している。結局、これらの問題はそれぞれの
場合に応じて個々に補正していくしかないであろう。
以上、現在の状況はまだ混沌としているともいえる
が、環境指標の候補となる有機化合物が、現在活発
に提案されている。もちろん、微生物が生産する化
合物のなかには、環境指標となりうる未知の候補が
まだまだ眠っているに違いない。
4.
謝辞
本稿の執筆の機会を与えていただいた、日本大学
文理学部、為我井秀行准教授をはじめとする極限環
境シンポジウム実行委員会の皆様に深く感謝いたし
ます。また、文中で紹介した研究結果は九州大学大
学院理学府修士の、谷本 大、深山健一、中野美幸
の諸氏、および高知大学海洋コア総合研究センター、
池原 実准教授をはじめとする多くの方々との共同
研究によるものであり、これらの共同研究者の方々
に深く感謝いたします。
MBT=[Xa+Xb+Xc]/( [Xa+Xb+Xc] + [XIa+XIb+XIc]
+ [XIIa+XIIb+XIIc]) (10)
MBT=0.122+0.187*CBT+0.020*MAT (r2 = 0.77) (11)
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しかし、報告されている相関は、必ずしも高くは
ない。
3.3. テトラエーテル脂質温度計の課題
テトラエーテル脂質温度計以前から用いられてい
るアルケノン古水温計にもいくつかの問題点が指摘
されているが 34)、これらはすべてテトラエーテル脂
質温度計にも当てはまる。TEX86 は堆積後の続成作
用の影響を受ける 26)。また、陸源のテトラエーテル
脂質の海洋への流入によっても影響を受ける 7)。陸
49
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
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51
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007), Vol. 6, 52-58
MINI REVIEW
安定同位体を用いた窒素循環研究-微生物機能へのアプローチを目指して
Study on nitrogen cycling by using stable isotope techniques
東京農工大学共生科学技術研究院
木庭啓介
つまり、化合物濃度は循環系のスナップショットを
映し出すだけであり、実際の生元素フローについて
の情報を引き出すのは極めて困難である。そのため、
安定同位体トレーサー(13C や 15N など)を循環系に
添加することで、トレーサーの希釈、濃縮を追跡し、
実際に化合物がどれだけ生成され、どれだけ消費さ
れているかというフローが見積もられてきた。トレ
ーサー添加実験は、トレーサーの添加自体が循環系
を攪乱してしまうために、自然環境でのプロセスを
反映しない可能性もあるが、後述するように化合物
中に含まれる同位体の自然存在比(同位体比)を利
用すると、その化合物が自然の生態系の中でどのよ
うなプロセスを経てきたかを類推することが可能で
ある。例えば微生物のエネルギー獲得様式について
の重要な知見を炭素同位体比が与えることはよく知
られている 45)。このように安定同位体は、トレーサ
ーとして循環系に添加されても、また、自然存在比
の変化からも、物質のフローを追跡するのに非常に
有効なツールである。とくに現場環境での物質フロ
ーについての情報を与えるという点では、極めて貴
重なツールであると言える。
これまで、環境中の微生物群集構造を分子生物学
的な手法で同定し、微生物が持つ機能について、そ
の重要性を確認するのに同位体トレーサーや同位体
自然存在比を併用する試みは、例えば海洋の貧酸素
水塊などの嫌気的環境で盛んに行われてきている 17)。
そのような環境では、メタンが物質循環の中で重要
であるが、メタンは非常に低い炭素同位体比を取る
ことが特徴的であり 27)、この特異的な低い同位体比
が、微生物のもつ機能と物質循環を上手くつなげる
ことを可能にしている。
このようなアプローチは、先に述べた生態系にお
ける物質循環を明らかにするプロセスを、今一度、
より基本に戻したものとも考えることが出来よう。
つまり物質の濃度変化からだけではなく、直接生物
を見つめ、生息している生物、その生物の発揮する
であろう機能から、物質循環を明らかにするアプロ
ーチである。このアプローチが可能になったのには、
微生物の機能についての膨大な知見と、自然界に存
在している微生物の群集構造を分子生物学的な手法
が解析出来るようにしたことが大変大きい。これら
はじめに
健全な生態系、そして生態系機能の維持管理には、
当然ながらその生態系を構成している要素がどのよ
うなものであり、それら構成要素がどのような役割
を果たしているのかを理解することが大変重要であ
る。そして生態系内外を循環している様々な物質は
これらを支える基礎基盤でありが不可欠であり、そ
のため様々な生態系において物質循環研究がなされ
てきている。
ある生態系における物質循環像を描き出すために
は、生態系を構成する生物相と、それらの持つ生態
系機能、たとえば一次生産、呼吸、有機物分解、捕
食などのリストを作り上げ、予想される物質循環プ
ロセスを測定する、というプロセスがとられる。し
かし、生物そのものが持つ多様な機能(エネルギー
獲得、排泄、捕食、移動など)を定量的に物質濃度
変化へと変換し、物質循環へと組み込むことは非常
に難しい。そのため、まずはそれぞれの生物が持つ
機能ではなく、機能が発揮された結果生じる、物質
の濃度変動から、物質のフロー、そして生物の機能
を類推してゆくアプローチが多くとられるようにな
った。たとえば湖沼での一次生産を考えると、様々
な植物プランクトンがそれぞれ生理的な特徴を持ち
つつその機能を担っているが、それら一つ一つの種
についての光合成特性と存在量を求め、積分した上
で湖沼全体での光合成を把握するのではなく、DIC
や DO という共通の化合物の濃度変動から、光合成
速度という生態系機能の速度を求めるというような
考え方である。特に海洋では、例えば植物プランク
トンにおけるレッドフィールド比のような、強力な
関係を利用することで、生物の発揮する機能をうま
く物質循環へと連携してきた。
このように環境中における化合物濃度変動から、
どのように物質が循環しているか、つまり物質のフ
ローを類推してきた。しかし物質の濃度変動情報は
おおよその物質循環像を描くことを可能にはするも
のの、特に回転の速い生元素については、それらの
フローを濃度情報のみで表現することは難しい。例
えばリン酸は自然環境中では常に低濃度であり、そ
の濃度の低さだけを議論するとすればリンの循環が
行われていないという誤った結論に至ってしまう。
52
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
によって物質循環の主役がどのような顔つきをして
いるのかを我々は議論出来るようになってきている。
今後はこのようなアプローチによって、物質循環を
駆動している主役である微生物群集構造と、そこか
ら予想される機能群、そして発揮された機能の結果
としての物質濃度を詳細に比較検討して行くことで、
より良い物質循環の理解が進むはずである。さらに、
物質循環にとどまらず、微生物という対象は、その
扱いやすさによってこれら生態系保全に重要な生物
群集と機能の関係についての基礎的知見を与えてく
れるという点でも、極めて魅力的な研究対象であり
13)
、生態系というシステムを理解する上で、非常に
貴重なモデルシステムを提供出来る可能性があり、
より密接な生態系生態学者と微生物生態学者の関わ
り合いが期待される。
微生物の関与する多くのプロセスは、異なる同位
体が異なる反応速度を持ち、生成物には軽い同位体
が濃縮し、反応物には重い同位体が濃縮することに
なる。
窒素の場合約 99.7%を占める 14N と比較して、
15
N は一般に反応速度がほんの少しではあるが遅い
ために、反応が起きる際に、
「軽い」14N が先に反応
し生成物となり、一方の「重い」15N は取り残され
る形で反応物の中に濃縮する。たとえば脱窒の際に
は、硝酸から 14N の濃縮した窒素が生成し、硝酸に
は脱窒の進行に伴い、15N が相対的に濃縮してゆく
ことになる。この同位体比の変化を同位体分別と呼
ぶが、この同位体分別を利用することで、先に述べ
たように自然界で生じている物質のフローについて
の知見を得ることができ、さらには異なる生物によ
る単一プロセスを分離出来る可能性を秘めている。
例えば有害物質の分解が化学的に行われているのか、
それとも微生物の働きによるのかを分離するために、
この同位体分別の違いが用いられている 24)。同位体
分別の違いは、ある物質が生成されるプロセス(例
えばどのような酵素反応であるか)、そのプロセスの
中での律速状態がどの反応に依存しているかなどに
左右されるため、基本的に異なるプロセスで生成さ
れた物質は異なる同位体比を持つと期待される。た
とえば、既に述べたメタン生成を担う異なる 2 つの
微生物プロセスは、メタンの炭素と水素同位体比を
用いることで分離が可能であり 27)、さらに基質であ
る酢酸のメチル基の炭素同位体比測定 40)によってよ
り定量的な議論が可能となることがよく知られてい
る。また、硫酸還元の際の同位体分別が濃度依存性
を示すことを利用して、岩石中に残されている硫黄
の同位体比より過去の海水硫酸濃度を復元すること
にも利用されている 16)。残念ながら窒素については、
微生物活動と同位体比の関係について、これらのよ
うな明確な議論が出来ていない。これには、窒素安
定同位体比の測定が比較的困難であることが原因と
して考えられる。しかし、最近、微量の窒素化合物
を一酸化二窒素に変換することで、より少量の窒素
での同位体測定が可能となってきた 5)。本総説では、
環境中のアンモニウム・硝酸・一酸化二窒素につい
て、多くの微生物に見られる硝酸呼吸を中心として、
窒素安定同位体比がどのような情報をもたらすかに
ついて紹介したい。
図1 硝酸同位体比の変動パターン
左図は初期 10ppm という濃度と 4‰という同位体を持った硝酸が、-4.1‰の同位体分別を示しながら脱窒
によって消費される時のパターン。濃度減少と共に、同位体比は上昇してゆく。 脱窒の際、硝酸のδ18O
も同様に上昇するが、その上昇パターンは、δ18O が 1 上昇するとδ 15N は 2 倍上昇する 。一方、植物プラ
ンクトンによる吸収同化では 1:1 で上昇し、この上昇パターンの違いで、脱窒と吸収を区別することが可
能ではないかと考えられている(右図)
。
53
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
窒素循環研究における窒素同位体比の利用
残念ながらメタンのように生態系の中で特異的な
同位体比を安定して持つ化合物は窒素循環の中では
見あたらない。しかしアンモニウム、亜硝酸、硝酸、
一酸化二窒素、窒素ガスという窒素循環を形作る物
質は様々な酸化数を取っており、生成・消費が活発
に行われていることから、自然界で窒素同位体比
(δ15N 値)は大きく変動する 23)。すなわちδ15N 値の
解析によって、窒素循環の再構築が可能であると期
待される。
まず環境中の硝酸に着目してみる。硝酸が環境中
で消費されるプロセスとしては様々なプロセスが生
じる可能性があるが 2)、生物による吸収同化、脱窒
が主なものとしてあげられる。脱窒が生じる場合、
硝酸が消費されることで濃度が減少し、その濃度減
少に伴って、硝酸のδ15N 値が上昇してゆくパターン
[K1]が認められる(図 1)20)。この関係を用いること
で、希釈によって硝酸濃度の減少が生じているのか、
それとも硝酸が消費されているのかを判定すること
が可能である。しかし、例えば森林土壌水中の硝酸
が植物によって吸収されているのか、それとも脱窒
によって消費されているのかを判定することは極め
て困難である。Clément et al. 6)では植物のδ15N 値と地
下水中の硝酸のδ15N 値を比較することで、植物によ
る吸収も脱窒による消費も両方が生じていることを
明らかにしたが、定性的な議論にとどまらざるを得
なかった。
近年、硝酸の酸素同位体比(δ18O 値)についても
15
δ N 同様に測定が可能となり 5)、窒素と酸素の 2 軸
で硝酸の挙動を追跡出来るようになってきた(図 1)。
Granger et al.15)による植物プランクトンの純粋培養
での結果では、窒素と酸素の同位体分別の比はほぼ
1:1 であることが分かり、
これは海洋表層で見られた
傾向とよく一致していた 5)。一方脱窒については、
湖水や堆積物など脱窒が卓越している環境での測定
では、窒素同位体分別が酸素同位体分別よりも大き
い(1.4~2:1)という報告が淡水環境で報告されてい
る 25)。つまり、硝酸のδ15N とδ18O を測定し、それら
の変化パターンから同位体分別の比を求めることで、
硝酸が減少しているプロセスが吸収同化によるもの
なのか、脱窒によるのもなのかを判定出来る可能性
が出てきた(図 1)
。この比については、現在様々な
研究が行われ始めており、Singleton et al. 34)では地下
水で約 2:1、河川では Deutsch et al. 10)で 1.7:1、Panno
et al. 30)では 2:1 という値が報告されている。しかし
Ruehl et al. 32)では河川での研究において 0.5~2:1 と
幅広い同位体分別比をとっていることを示し、さら
に脱窒菌の純粋培養では硝酸同化の場合と同様に
1:1 であるという報告があるため 14)、今後さらに様々
な微生物を用いた室内実験や、異なる実環境での検
証が必要である。しかし、硝酸の窒素酸素同位体比
測定によって、硝酸の消費プロセスを分離出来る可
54
能性は極めて高く、今後の展開が期待される。
一方、環境中の一酸化二窒素に注目すると、この
化合物は、好気的環境で独立栄養的に生じる硝化(実
際にはアンモニア酸化の副産物として生成)と、嫌
気的で従属栄養的に生じる脱窒(中間生成物として
亜硝酸還元で生成)という、2 つの相対するプロセ
スに関与している。この 2 つのプロセスは、好気的
と嫌気的、独立栄養と従属栄養という両極端である
にも拘わらず、実際の環境において一酸化二窒素が
どちらのプロセスで生成されているかについては、
未だに判定が困難である。硝化菌(Nitrosmonas
europaea)の純粋培養実験によって 42)、アンモニア
酸化の際に生成される一酸化二窒素が極端に低い
δ15N 値をとることが示されたことを契機に、一酸化
二窒素の同位体比測定によって硝化由来と脱窒由来
の一酸化二窒素の分離可能性が検討され始めた。当
時、海洋では硝化によって一酸化二窒素が生成され
ていると考えられていたが、比較的高いδ15N 値を一
酸化二窒素が持っていたことから、脱窒の可能性が
示唆された 43)。その後さらに Kim and Craig 19)によっ
てδ15N 値だけでなくδ18O 値の測定が行われ、深層で
の一酸化二窒素のδ15N 値、δ18O 値の両方とも高く、
さらにδ18O 値が DO のδ18O 値と平行して上昇してい
ることから、硝化による生成が重要であると示唆し
ている。その後、このような同位体比測定によって、
表層での硝化による一酸化二窒素生成が明らかとな
った 11)一方で、単純な脱窒 or 硝化では海洋の一酸化
二窒素は解釈出来ない場合があること判明した 28)。
その後も、様々な生態系で一酸化二窒素のδ15N と
δ18O の測定が始まり、脱窒による生成と消費、硝化
による生成によってどのように同位体比が変動する
のかについて知見が得られてきている 26, 31)。しかし
残念ながら、δ15N とδ18O の測定を持ってしても硝化
と脱窒を実環境において明確に区別することは非常
に困難である。その原因は、同位体比の変動をもた
らす同位体分別が、基質濃度などの環境要因に応じ
て変化するが、その定式化が進んでいないこと、基
質の同位体比そのものも、基質物質の生成と消費に
応じて同位体比を変化させていることがある。例え
ば、脱窒の際の同位体分別は、基質である亜硝酸濃
度、そして電子受容体である溶存有機態炭素の濃度
に大きく影響を受ける事が知られているし 4)、環境
中では硝化の基質であるアンモニウムも安定ではな
く様々な同位体比を持ってしまう 21, 22)。
新しい同位体比測定(一酸化二窒素の分子内同位体
比測定)とその可能性
東京工業大学吉田尚弘教授の研究室では、一酸化
二窒素の窒素同位体比、そして酸素同位体比だけで
はなく、直線分子である一酸化二窒素の中央と末端
の窒素原子の同位体比の差(Site Preference;SP)の
測定(アイソトポマー測定)を行ってきた 44)。そし
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
て近年、この SP によって硝化由来の一酸化二窒素
と脱窒由来の一酸化二窒素を区別することが可能で
あるとの報告がなされている。
現在報告されている培養実験の結果からは 36-39)、
SP は、様々な菌を培養した結果、基質濃度によって
変化せず、ヒドロキシルアミン酸化で生成する一酸
化二窒素は、33 ‰程度の大きな SP をとるのに対し、
亜硝酸還元で生成する一酸化二窒素は 0 ‰程度の小
さな SP をとると報告されている。なぜこのような
値をとるのか、そしてなぜ通常の窒素や酸素同位体
比とは異なり、SP は濃度依存性がないのかについて
は、まだよく分かっていないが 33, 35)、この安定した
SP は、同位体比の持つ大きな欠点であった同位体分
別のばらつきを解消する、非常に重要な要素である。
さらに、アンモニア酸化の際の SP は、アンモニア
酸化菌(Nitrosomonas europaea、Nitrosospira
multiformis)でも、メタン酸化菌(Methylosinus
trichosporium)でも同等であり、亜硝酸還元の際の
SP はアンモニア酸化菌(Nitrosomonas europaea)で
も、脱窒菌(Pseudomonas chlororaphis、Pseudomonas
aureofaciens)でも同等であった 38)。この結果は、異
なる微生物でも酵素反応が同じようなものであれば、
よく似た SP を持つことを示している。
極言すれば、
ヒドロキシルアミンが酸化されて出来た一酸化二窒
素は、それがアンモニア酸化菌によるものでもメタ
ン酸化菌によるものであっても、またどのような
δ15N 値を基質のヒドロキシルアミンが持っていたと
しても 33 ‰の SP をとる。同様に、亜硝酸がどのよ
うなδ15N 値を持っていても、亜硝酸の還元で生じる
一酸化二窒素は、その還元が脱窒菌によるものでも
アンモニア酸化菌によるものでも、約 0 ‰の SP を
とると考えることが出来る。
脱窒の最終過程である一酸化二窒素還元の際には、
当然同位体分別が生じる 1)。これまで同様、同位体
分別のシナリオにそって、一酸化二窒素の濃度減少
に伴い、反応物である一酸化二窒素には、重い窒素
原子、酸素原子が濃縮するため、そのδ15N 値、δ18O
値が上昇してゆくことが知られている。この場合も、
同位体分別は様々な値をとることが知られており、
どれだけの同位体比の変動が生じるかを予想するこ
とは未だ困難であるが、δ15N とδ18O の変動について
は、ある一定の比をもっており、δ18O はδ15N の変動
の 2.5 倍の変動を示すことが分かってきた 26)。さら
に近年、この一酸化二窒素還元の際に SP がどのよ
うに変化してゆくかが明らかになり 29)、SP はδ18O
の 2 倍、δ15N の 1.1 倍の変化を還元の際に生じるこ
とが示された。SP についても残念ながら同位体分別
係数がいろいろな環境で変化する可能性があるため
に、どれだけの同位体比の上昇が認められるか分か
らない。しかし、複数同位体比の変動を比でとり、
図中でベクトルとして考えることにより、還元され
ているのか、それとも混合しているのかを判定する
ことが出来る。
図 2 一酸化二窒素のアイソトポマーマップ
脱窒によって 0‰(図の D)、硝化によって 33‰と(図の N)いう SP を持った一酸化二窒素が生成される。
横軸はδ 15N またはδ 18O とするが 41)、将来的には基質(硝酸、アンモニウム、DO)との同位体比の差分を
とることで( Δ 15N またはΔ 18O )、基質の同位体比変動の影響を除去することが可能と考えられる。硝化
由来と脱窒由来の一酸化二窒素が混合され(M)、さらに還元される際に、このマップ上である傾きを持っ
て移動するため 29)、このダイアグラムから、硝化由来、脱窒由来、そして還元の有無についての情報を引
き出すことが可能となる。
55
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
い 15N を持つ一酸化二窒素は 11)、非常に大きな同位
体分別を見せる Nitrosomonas europaea42)ではなく、
海洋の Nitrosomonas 属による硝化によって生成して
いる可能性が示唆された。このことは、同位体分別
が同様な機能を持つ微生物の中でも多様性を持つこ
と、逆にその多様性から実際に物質循環を駆動して
いる微生物についての情報を引き出すことの出来る
可能性を示しており、今後、酵素活性などの生理的
特性と同位体分別が密接に関連づけられることによ
り、現場環境で活動している微生物叢をさぐる新た
なツールとなり得る可能性を示唆するものである。
これまで見てきたように、同位体比は微生物の活
動について、様々な情報を提供する可能性を持って
いるものの、実際にはどのような微生物がどのよう
な環境で、どのような同位体分別を発揮するのかと
いう、最も基本的な知見が不足している。今後、物
質循環の研究者と、微生物を扱う研究者がより密接
な関係をとり、この新しいパラメーターをより信頼
性の高いものにするための研究が進むことを大いに
期待する。
今までの知見をまとめると図 2 のようになる。脱窒
で生じる一酸化二窒素は低い SP を持ち、
δ15N とδ18O
は、基質の同位体比と、脱窒の際の同位体分別の影
響を受けた値をとる。同様に硝化の場合も、高い SP
と幅を持ったある値のδ15N(δ18O)とをとる。この
ダイアグラムを利用することで環境中の一酸化二窒
素が硝化由来か脱窒由来かを判定することが可能と
なる(図 2)[K2]。Yamagishi et al. 41)では、北太平洋
東部赤道域とカリフォルニア湾にて、このダイアグ
ラムを利用し、一酸化二窒素の生成に関して、表層
では脱窒より硝化が、一方深層では脱窒が大きく寄
与していることを明らかにした。この結果は、硝化
と脱窒という 2 つの極端なプロセスの重要度につい
て、これまでの濃度測定や同位体測定では明らかに
できない情報をアイソトポマー分析が提供出来るこ
とを示したものであり、今後、様々な環境での応用
が期待される。現在、森林地下水、湖沼、河川など
様々な生態系でこのダイアグラムを用いた一酸化二
窒素の解析が進行中である。
同位体比情報を用いた微生物群集機能へのアプロー
チの可能性
さらに今後の展開として、これまで同位体分別が
ばらつくことが同位体比による解析のネックになっ
ていることを示してきたが、逆にこのばらつきを利
用して、実際のプロセスを担っている微生物につい
ての情報を得られる可能性について言及したい。微
生物による同位体分別は基本的には基質の細胞内外
への輸送における同位体分別と、基質を変換してゆ
く際の酵素反応による分別の積分された結果である。
高等植物の光合成における同位体分別が定式化され
ているように 12)、この同位体分別を利用することで
微生物の生理的状態についての情報が得られないか
と、様々な微生物活性についての同位体分別が求め
られてきた(たとえばメタン生成の際の同位体分別
については Conrad 8)にまとめられている)。さらに近
年では複数の同位体について同位体分別を定式化す
ることで、同位体分別のとりうる最大値を決定した
り 3)、同一元素の異なる同位体についての定式化に
よってより詳細な同位体分別の決定機構を明らかに
したり 18)という試みが続けられており、同位体比と
微生物の生理活性との関連について研究が急速に進
行している。
同位体分別の大きさと、微生物の種類との関連に
ついては、Detmers et al. 9)にて硫酸還元菌の 16sRNA
での系統学的位置と同位体分別についての検討が行
われたが、明確な関連は認められなかった。しかし、
近年アンモニア酸化において、同位体分別と機能遺
伝子のアミノ酸配列による分類との間に非常によい
一致が認められた 6)。この研究で求められた様々な
アンモニア酸化菌のとる同位体分別によって、さま
ざまな海洋表層で観測されている、極端に低くはな
56
謝辞
微生物と物質循環、そして安定同位体というツー
ルがその中にどのように活用可能かについて、常日
頃議論させて頂いている、東京工業大学吉田研究室、
東京農工大学楊研究室、産総研諏訪研究室、そして
京都大学海洋分子微生物研究室の皆様に感謝申し上
げる。また本研究は文部科学省科学技術振興調整費
委託事業「若手研究者の自立的研究環境整備促進」
事業による支援を受けているものである。
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(2007.11.27 受理)
58
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007), Vol. 6, 59-62
MINI REVIEW
土壌生態系での環境細菌ゲノム情報発現
Expression of Bacterial Genome under Soil Environment
東北大学・大学院生命科学研究科
津田雅孝, 西山依里, 宮腰昌利, 永田裕二, 大坪嘉行
1. はじめに
様々な自然生態系から多種多様な生物現象を示す
微生物株が数多く分離され、先人たちは実験室で純
粋培養したこれら微生物をいろいろな角度から検討
することで、個々の生物機能の分子メカニズム、そ
して、システムとしての細胞や同一株集団における
当該生物機能の発現様式の詳細を明らかにしてきた。
その一方で、物理的、化学的並びに生物学的に複雑
な環境要因の大規模な変動に曝される複合生物系の
自然生態系で、研究対象としてきた環境微生物が実
験室で純粋培養したときと同じような様式で生物機
能を発揮しているのかという、シンプルだが最も重
要な問題は手がつけられないでいた。この類の包括
的な研究は、微生物の持つ生物機能を人間が自然環
境で利用するバイオレメディエーションなどをはじ
めとする応用分野において、とりわけ重要である。
そして、生物機能を直接支配する個々の特定遺伝子
の生態系での量的変動や発現などの記載が行われて
きた結果、生態系での遺伝子発現は実験室系の単独
培養時の発現とは異なっていると提唱されるように
なった。ただ、この提唱には曖昧なところがたいへ
ん多く、この原因として、How とか Why という観
点での研究を展開するための手法が不備であったこ
とがあげられる。一方、動植物病原細菌を扱う研究
者は 1990 年代より、感染モデル生物を「培養装置」
と見立て、この環境で菌の生存・増殖に必要な遺伝
子や特異的に発現する遺伝子をゲノムワイドに探
索・解析することで、病原細菌の「培養装置」での
「真の」生きざまを明らかにし、病原性発揮に直接
的並びに間接的に必要な遺伝子群の総合的理解を深
めてきた(1, 2)。このような方向性を持った研究は、
微生物ゲノムの全塩基配列決定が容易になるにつれ、
さらに進展している。他方、環境細菌においては、
土壌などの自然環境を「培養装置」と見立て、本環
境で生存・増殖に必要な遺伝子や特異的に発現する
遺伝子を探索・解析する研究がなかったが、この数
年の間に自然環境での微生物の特定遺伝子やゲノム
全体の発現を解析する手法が急速に確立されてきた
59
(3)。本稿では、土壌環境で実際に機能している遺伝
子をどのように検索・解析するかについて、我々の
最近の研究例(4)を簡単に紹介する。
2. 実験室系での Burkholderia 属細菌のゲノム情報発
現
我々の研究室では、かつては Pseudomonas 属に分
類されていた細菌で、土壌や水圏・植物表面などの
多様な自然環境に常在する好気性 -プロテオバク
テリア Burkholderia multivorans の研究に取り組んで
いる。本菌は、Pseudomonas 以上に環境汚染物質も
含めた極めて多様な有機化合物を炭素・エネルギー
源にできるが、ゲノムが 3.4 Mb と 2.5 Mb、0.9 Mb
の 3 本の環状染色体から構成される点でも通常の環
境 細 菌 と は 大 き く 異 な る 特 徴 を も つ (5) 。 B.
multivorans ゲノムの全塩基配列を決定し、本菌が根
圏土壌生態系で主要炭素源となるリグニンモノマー
系の様々な芳香族化合物の好気的分解酵素遺伝子群
を数多くもつことを確認するとともに、これら分解
酵素遺伝子の多くがプラスミド型の複製・分配装置
を持つ 2.5 Mb 染色体上に多く存在することを見出
した(6)。実験室系での本菌ゲノム情報発現に関して
は、特に本菌の多様な有機化合物分解・資化能に主
眼をおいた研究を実施している。予備的な成果とし
て、本菌では、鉄代謝のグローバルレギュレターで
ある Fur や窒素代謝に関わる RNA ポリメラーゼシグ
マ因子の RpoN の機能が、広範な炭水化物や有機酸、
アミノ酸を炭素源にするために必要である特徴を見
出した。また、ゲノム情報がない類縁種菌株で見出
した PCB 分解酵素遺伝子オペロンの転写制御(7)に
関して、B. multivorans を宿主に用いてさらなる検討
を行ったところ、本菌の二成分シグナル伝達系レス
ポンスレギュレーターBphQ は、グルコースが存在
する時には、複数芳香族化合物を含む多種多様な炭
素・エネルギー源の利用に関与する多くの分解酵素
遺伝子群の転写を抑制するという新規性のあるカタ
ボライト制御系も見出した。
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
図 1. 本研究で用いた IVET の原理
egf はどんな環境での生存・増殖にも必須な遺伝子で、rep はレポーター遺伝子。Ab1 と Ab2 は異なる耐性
遺伝子マーカー。本研究で用いた IVET プラスミドは文献(8)を改変したもので、標的細菌株で複製不可能。
本プラスミド上の egf と rep はいずれもプロモーターを欠く。五角形はプラスミド挿入部位決定用のプラ
イマー。
地を用いて B. multivorans を回収した。回収株の 99%
以上は青色コロニーであり、これらの dapB-lacZ カ
セット上流プロモーターからの転写は土壌でも寒天
培地でも構成的であると想定された。これに対して、
残りの 1%未満の白色コロニーでは土壌特異的に転
写されるゲノム領域に pEN3 誘導体が挿入されたと
推定された。このような約 250 の土壌特異的発現遺
伝子候補として、各種物質代謝(41%)、物質透過系
(20%)、細胞表層成分合成系(6%)に関わる遺伝子が
2/3 を占め、機能未知遺伝子が 1/6 ほどあった。物質
代謝遺伝子にはアントラニル酸や p-ヒドロキシ安息
香酸、フェニル酢酸などの芳香族化合物の分解に関
わる遺伝子が約 2 割を占め、このような植物由来化
合物かその誘導体が接種土壌には多く存在すると推
定された。また、細胞表層成分合成系遺伝子の中に
は菌体外多糖合成酵素遺伝子があり、接種株の土壌
粒子表面や粒子間隙での安定な定着・増殖に菌体外
多糖が必要であろうと推定している。いくつかの「土
壌特異的発現遺伝子候補」について実際の土壌での
候補遺伝子発現を LacZ 活性で測定し、上記の芳香
族化合物分解や菌体外多糖合成に関わる遺伝子の土
壌特異的転写を確認した。ちなみに、土壌特異的発
現遺伝子候補のゲノム上での分布を見てみると、こ
れらは 2.5 Mb 染色体支配の相対的割合が高く、この
ことは、土壌環境適応に対する本染色体の重要性を
示唆するものといえよう。現在、土壌特異的発現遺
伝子候補の機能完全破壊株を作製して実験室系と土
壌での挙動と、両環境での遺伝子発現制御の分子機
構を検討している。
3. 土壌での Burkholderia 属細菌のゲノム情報発現
上記のような実験室系でのゲノム情報発現の検討
と並行して、土壌で特異的に発現する本菌の遺伝子
とこの土壌での生存・増殖に必要な遺伝子の網羅的
取得を、In Vivo Expression Technology (IVET) (図
1)(1)と Signature-Tagged Mutagenesis (STM) (図 2)(2)
と各々呼ばれる遺伝学的手法で実施し、実験室系と
生態系でのゲノム情報発現の違いの検討、この違い
を規定する環境要因の特定、そして、ゲノムの各遺
伝子への当該要因シグナルの情報伝達機構の解明を
目指した研究に取り組んでいる。なお、ひとくちに
土壌といっても多岐多様であることから、共同研究
を行っている福田氏(長岡技科大)・小川氏(静岡大)
と共通の花崗岩質土壌を用いている。
我々が IVET に用いているプラスミド pEN3 (図 1)
では、egf がリジンと細胞壁前駆体ジアミノピメリン
酸(DAP)の合成に必要な酵素遺伝子 dapB で、レポー
ター遺伝子が lacZ である。B. multivorans ゲノム DNA
断片をプロモーターのない dapB-lacZ カセット上流
に挿入した pEN3 誘導体ライブラリーを大腸菌で構
築後、各誘導体プラスミドを B. multivorans の dapB
欠損株ゲノムに相同組換えにより組み込んだ。取得
した B. multivorans 誘導体ライブラリーを滅菌した
花崗岩質土壌に接種したが、本土壌には DAP が存在
せず、原理的には、dapB-lacZ カセット上流のゲノム
領域に存在するプロモーターからの転写が起きてい
る誘導体クローンのみが増殖できることになる。接
種 90 日後にリジンと DAP、X-gal を含む最小寒天培
60
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
図 2. 本研究で用いた STM の原理
最上段に記した五角形はプライマー。左側のプ
ライマーは1種類の「共通プライマー」で、右側
のプライマーはtagごとで異なる「可変プライマ
ー」。[共通プライマー]とn種の[可変プライマー]
を同時に用いたPCRで、n個の特異的増幅断片
の取得が可能。土壌環境で生存・増殖しない菌
株は「回収菌集団」に存在せず、従って、PCR
により本株由来の特異的増幅断片は検出できな
い。詳細は文献(9)を参照のこと。
通遺伝子がないかほとんど認められないことは、病
原細菌でも間接的に示されており(4)、IVET と STM
を併用することの重要さを示唆するといえよう。
我々が用いている STM では、基本的にはトラン
スポゾン挿入変異株ライブラリーから、目的とする
遺伝子に変異がある株を効率よく negative screening
する手法である(2)。我々は Tn5 をベースにした STM
系(図 2)を使い、土壌での生存・増殖に必要な B.
multivorans 遺伝子の取得を行っている。実際には、
tag 部分が異なる 36 種のトランスポゾンを挿入した
突然変異株を合計 7,000 ほど取得し、tag 部分が異な
る 36 のトランスポゾン挿入変異株をひとまとめに
したプールを 200 弱ほど作製した。これらのプール
を滅菌並びに非滅菌の花崗岩質土壌に接種、2 週間
後に回収し、土壌での生存・増殖に必要な遺伝子に
欠損がある 285 株の候補変異株を取得した。この中
には、アミノ酸生合成系の突然変異株も存在し、遊
離アミノ酸のほとんど存在しない土壌ではこれら変
異株が増殖できないことを踏まえると、本 STM 系
は、上記生合成系遺伝子以外の目的遺伝子取得にも
有効と判断している。滅菌土壌で生存・増殖できな
かった 50 の突然変異候補株のうち、15 株は非滅菌
土壌でも生存・増殖できなかった。また、滅菌土壌
で生存・増殖に必要な遺伝子候補として物質取り込
み輸送系やストレス応答に関わる遺伝子が存在し、
用いた土壌では栄養分も少ないとともに様々な物理
的並びに化学的要因による「ストレス」が多く、取
得変異株は土壌環境で生存・増殖できないと推定し
ている。今後は、取得候補株のトランスポゾン挿入
部位の変異が「本当に土壌で生存・増殖に必要な遺
伝子である」ことを検証するとともに、上記のよう
な推定も考慮しながら、各取得変異株の詳細な解析
を進める予定である。現時点では STM での解析例
が少ないこともあるが、土壌特異的に発現する遺伝
子候補と土壌での生存・増殖に必要な遺伝子候補で
共通した遺伝子は認められていない。このような共
4. おわりに
以上のように、IVET と STM は各々の目的にあっ
た遺伝子の取得に有効であるが、それぞれの手法に
は原理的な短所もあり(4)、これらの遺伝学的手法に
よって目的とするすべての遺伝子を洗い出すことは
難しい。我々は、土壌に接種した菌株から全 mRNA
を調製して、マイクロアレイを用いたトランスクリ
プトーム解析をも併用して、土壌での接種菌株の「真
の」生きざまを明らかにしていくことをめざしてい
る。
いつも「同じ」土壌を使うとはいえ、その土壌自
体が細菌にとっては空間的並びに時間的にたいへん
不均一であるとともに、細胞ごとの生理状態もたい
へん不均一であると容易に想像できる。従って、環
境要因と細胞の生理学的要因がともに多様な状況で
ゲノム情報発現を検討するに際して、環境要因に関
しては人工的な模擬土壌や様々な土壌抽出液を用い
たゲノム情報発現の研究が、そして、生理学的要因
に関しては個々の細胞レベルでのゲノム情報発現の
研究が、今後必要になってくるであろう。
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(2007.11.14 受理)
62
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007), Vol. 6, 63-67
MINI REVIEW
PCB分解菌の芳香族分解遺伝子発現の制御と環境応答
Regulation and environmental response of aromatic degradation gene
expression in a PCB degrading bacterium.
長岡技術科学大学生物系
福田雅夫
長岡技術科学大学生物系Rhodococcus sp. RHA1株
は殺虫剤のリンデン(γ-HCH、γ-BHCとも呼ぶ)汚
染土壌から分離されたPCB(ポリ塩化ビフェニル)
分解細菌でビフェニル代謝酵素系を利用してPCBを
共代謝により分解する。PCB分解にかかわる酵素遺
伝子の解析においてビフェニル/PCB分解経路上流
の各ステップで複数のアイソザイムが関与すること
や多くの酵素遺伝子が2つの巨大な線状プラスミド
に分かれてコードされていることから注目を集め、
カナダ政府のプロジェクトとしてBritish Columbia大
学に我々が協力する形でゲノム解析が進められた。
一昨年にDNAシーケンスが完了してアノテーショ
ンを開始し、昨年秋に解析結果を報告することがで
きた1)。その結果、RHA1株のゲノムは7.8 Mbの線状
染色体、1.1 Mb、 0.44 Mb、および0.33 Mbの3つの
線状プラスミドで構成され、全体で9.7 Mbに及ぶ現
時点で細菌最大のゲノムをもつことが明らかになっ
た(図1)。アノテーションでは9,145のORFが見いだ
され、その4割近くが機能未知であった。
ビフェニル代謝系酵素についてはゲノム解析を開
始する前にすでに多数のアイソザイム遺伝子が見い
だされ、遺伝子破壊などで実際に複数のアイソザイ
ムがビフェニルの分解に関与することが示されてい
た。例えばビフェニル代謝の初発水酸化酵素である
ビフェニルジオキシゲナーゼにおいては、BphA,
EtbA, EbdAの3種類の遺伝子セットがあり、EtbAと
EbdAのアミノ酸配列が同一であるため、アイソザイ
ムとしては2種類あることが明らかになっていた。
BphAの大サブユニットをコードするbphAa破壊株と
EtbA及びEbdAの大サブユニットをコードする
etbAa1/etbAa2二重破壊株について分解能の解析をお
こなったところ、両アイソザイムともにPCB分解に
関与すること、塩素置換数の多いPCBの分解では
BphAよりはEtbA及びEbdAの活性が大きく関わって
いることが示唆された(図2)2)。このことは組換え
体として異種宿主で発現させたBphAおよびEbdA遺
伝子セットでも、確認されている3)。
DNAアレイを用いた解析では、ビフェニル/PCB分
解でベンゾエート(安息香酸)とペンタジエン酸を
生じるまでの上流代謝経路において従来の遺伝学的
解析結果を裏付けるとともに、下流のペンタジエン
酸代謝経路の各ステップでも複数のアイソザイムが
発現していることが示唆された(図3)。さらにビフ
ェニル生育時には300を超える遺伝子の転写レベル
が上昇していることが示唆された。安息香酸やフタ
ル酸の生育では転写レベルが上昇する遺伝子は100
をはるかに下回るのに比べ、異常な数の遺伝子の転
写レベル上昇である。しかも、ビフェニル生育時に
転写レベルが上昇する遺伝子の内、192個はエチルベ
ンゼンなどのアルキルベンゼンでも共通して誘導さ
れることが明らかになった。元来、表層の疎水性が
高いRhodococcusにとって、このような疎水性芳香遺
伝子クラスターのビフェニルによる転写誘導が二成
分制御系のBphS1T1により制御されていることをす
でに明らかにしている4,5)。RHA1株にはBphS1T1と
相同性の高いもう一つの制御遺伝子セットBphS2T2
が見出されている。bphS1の破壊株ではビフェニルで
生育できなくなるが、エチルベンゼンによる分解遺
伝子の誘導と生育が認められることから、ビフェニ
ルに対してはBphS2が応答せずBphS1のみが応答す
ること、ビフェニル以外のエチルベンゼンやトルエ
ンなどのアルキルベンゼンならびにベンゼンでは
BphS1T1とBphS2T2が協調して各遺伝子クラスター
の転写を誘導することが示唆されている(図4)。また
BphS1-BphT2間ならびにBphS2-BphT1間のクロスト
ークも認められている。しかしながらビフェニルで
誘導される300を超える遺伝子の転写誘導が全て
BphS1T1およびBphS2T2の支配下にあるとは考えに
くく、これらの遺伝子の転写制御メカニズムに興味
が持たれる。
63
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
図1.RHA1株のゲノム
RHA1株のゲノムは合計9.7 Mbpであり、7.80 Mbpの線状染色体と三つの線状プラスミドpRHL1 (1.12 Mbp)、
pRHL2 (0.44 Mbp)、pRHL3 (0.33 Mbp)で構成される。全体でのG+C含量は67%であった。染色体マップでは、
内側から(1) G+C含量(20 kbごとのG+C)、(2) GCスキュー(5 kbごとの(G-C)/(G+C)量%)、(3) 推定複製起
点、(4) 二次代謝遺伝子とrRNA遺伝子の分布、(5) 順方向(時計回り)の遺伝子、(6) 逆方向(反時計回り)
の遺伝子を示した。プラスミドでは内側から(1) 順方向(時計回り)の遺伝子、(2) 逆方向(反時計回り)の
遺伝子を示している。
図2.RHA1株におけるビフェニルジオキシゲナーゼアイソザイムのPCB分解への関与
RHA1株のビフェニルジオキシゲナーゼの大サブユニット遺伝子では3種類のアイソザイムbphAa, etbAa1,
etbAa2 (以前はそれぞれbphA1, etbA1, ebdA1と呼んでいた)が見いだされており、etbAa1とetbAa2は同一のア
ミノ酸配列をもつ。bphAaと、etbAa1とetbAa2の組をそれぞれ破壊したHDA1とHDB1では、親株のRNA1に比
べてPCB分解能が低下し、両者がともに分解に関与することが明らかになった。ここでは選抜したPCB成分
の混合物を基質に用いて分解能を調べた。図中では塩化ビフェニルをCBと略した。特に高塩素置換体におい
てHDB1での分解能の低下が目立っており、高塩素置換体の分解はetbAa1及びetbAa2の活性に依存することが
示唆された。
64
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
図3.RHA1株におけるビフェニル分解酵素遺伝子のアイソザイムの発現
DNAアレイ解析ならびにノーザンブロット、遺伝子破壊などの解析によりビフェニル代謝時に発現している
ことが示唆されたアイソザイム遺伝子を代謝経路に沿って示した。上段はビフェニルからベンゾエートおよ
びペンタジエン酸を生じる上流代謝経路を、下段はペンタジエン酸代謝にかかわる下流代謝経路を示す。ベ
ンゾエート代謝経路は省略したが、アイソザイム遺伝子の存在は示唆されていない。ビフェニル代謝時に転
写誘導される遺伝子を黒字で、構成的に転写される遺伝子を灰色で示した。bphC5とbphG1はDNAアレイでは
族化合物が表層に入り込んで相当のストレスを与える可能性があり、共通して転写レベルが上昇する遺
ビフェニル代謝時の明確な発現が示唆されていないが、ノーザンブロットや遺伝子破壊でそれぞれ発現や関
伝子の一部はこのようなストレスへの応答に関わると想像される。
与が示唆されている。
ビフェニル/PCB分解経路上流のアイソザイム遺伝子は5つの遺伝子クラスターに配置されており、各
図4.RHA1株におけるビフェニル分解酵素遺伝子の転写制御
ビフェニル分解酵素遺伝子群をコードする5つのオペロンは、二成分制御系に属する2組のBphSTにより
制御されている。BphSは誘導基質を感知するセンサーキナーゼであり、基質存在下でレスポンスレギュ
レーターのBphTをリン酸化して誘導シグナルを伝え、リン酸化されたBphTは各オペロンの転写活性化を
もたらすと考えられている。またBphS1-BphT1間およびBphS2-BphT2間のみでなく、BphS1-BphT2間およ
びBphS2-BphT1間でもシグナル伝達が起こることが示されている。
65
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
図5.RHA1株の土壌中での生育
炭素源として土壌にビフェニルを添加した場合(左側3列)と無添加の場合(右側3列)について、各接種
菌濃度(X軸)における滅菌土壌中でのRHA1株の菌濃度(Y軸)を、1日ごと(Z軸)に測定した結果を
示した。土壌には愛媛県の花崗岩質土壌を使用した。炭素源無添加でも108 CFU/グラム土壌に及ぶ増殖が
認められた。
一方、bphAa遺伝子のプロモーター領域にluxABル
シフェラーゼ遺伝子を連結したリポータープラスミ
ドを用いた解析において、bphAa遺伝子プロモータ
ーからの転写がグルコースにより抑制されることも
見いだしている。Rhodococcusは放線菌の一種でグル
コース抑制のメカニズムが明確になっておらず、興
味をそそられるところである。ビフェニル水酸化酵
素遺伝子(bphAa)プロモーターにおいてBphS1T1に
よる転写誘導を受ける最小領域でもグルコース抑制
がかかることから、BphST制御システムを介した抑
制の可能性も考えられる。DNAアレイを用いた解析
では300近い遺伝子の転写レベルがグルコース存在
下で低下することが示唆されており、包括的な制御
がかかわっていると想像している。
PCB汚染の浄化を考えると汚染土壌にRNA1株を
導入して使用することが想定され、RHA1株の土壌
中での分解遺伝子の発現や応答にも興味が持たれる。
そこで、農業環境技術総合研究所の小川直人博士
(現・静岡大学農学部)らと共同で、RHA1株を滅
菌土壌に接種して培養後、DNAアレイを用いて遺伝
子発現プロファイルを解析することを試みている。
農業環境技術総合研究所のグループが試行錯誤の末、
土壌から直接RNAを抽出する手法を確立した成果
66
である。まずは競合する微生物を排除した滅菌土壌
での実験を進めている。炭素源としてビフェニルを
加えた土壌においてRHA1株は旺盛な増殖がみせる
が、意外にも炭素源を添加していない土壌中でもか
なり増殖することが判明した(図5)。グラム土壌当
たり104 CFUの濃度で接種したRHA1株が、グラム土
壌当たり108 CFU程度まで増えるのである。土壌から
回収したRNAを用いたRT-PCRでは、ビフェニルを
加えた土壌に特異的なbphAa遺伝子の発現が確認で
きた。一方、土壌から回収したRNAを用いたDNAア
レイ解析では、ビフェニルを加えた土壌においてデ
ータを得ることができた。ビフェニルを加えた無機
液体培地で培養したRHA1株から回収したRNAと比
較して、転写レベルの増加した遺伝子が700近くあり、
特に炭素源異化関連遺伝子群、脂肪酸・脂質代謝関
連遺伝子群、転写・タンパク合成関連遺伝子群、細
胞表層関連遺伝子群、輸送・結合関連遺伝子群にお
いて相対的に発現上昇した遺伝子の割合が多いこと
がわかった(図6)。まだ具体的な結論を得るには至
っていないが、土壌から直接調製したRNAでDNAア
レイ解析が可能になった意義は大きいと考えている。
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
図6.ビフェニル添加土壌中でのRHA1株の遺伝子発現
ビフェニル添加土壌中(3日目)とビフェニル添加液体無機培地中での遺伝子発現をDNAアレイ解析により
比較した。ビフェニル添加土壌中では炭素源異化関連遺伝子群、脂肪酸・脂質代謝関連遺伝子群、転写や
タンパク合成関連遺伝子群、細胞表層関連遺伝子群、輸送・結合関連遺伝子群において発現上昇した遺伝
子の割合が多い。
引用文献
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Iwasaki, T., Takeda, H., Miyauchi, K., Yamada, T.,
67
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007), Vol. 6, 68-73
MINI REVIEW
ウイルス研究から見た
海産原生生物ラビリンチュラ類の生態学的多様性
Ecological lilationships among the viruses and thraustochytrids
1: 独立行政法人 水産総合研究センター
2: 甲南大学 理工学部 生物学科
高尾 祥丈 1, 長崎 慶三 1, 本多 大輔 2
瀬戸内海区水産研究所
1. はじめに
2. ラビリンチュラ類とは
ラビリンチュラ類は海洋に生息する直径 5 - 20μm
の無色の原生生物であり、沿岸域において腐食性ま
たは寄生性生物として様々な試料(海水, 底泥, 藻類、
植物、軟体動物の表面など)から普遍的に分離され
る真核生物である。一般に、陸上生態系においては
菌類と細菌類が主要な分解者と考えられているのに
対し、海洋生態系の分解者としては細菌類のみが重
要視されてきた。しかしながら近年、沿岸生態系に
おけるラビリンチュラ類の巨大なバイオマスや不飽
和脂肪酸蓄積能が解明されるとともに、同生物群の
分解者としての重要性が注目されるようになった。
一方、海洋には夥しい量のウイルス(106-109 / ml)
が存在しており、ウイルス感染が宿主生物の現存量
変動に大きく影響していることが明らかとなってき
た。ウイルス感染は、宿主生物を死滅・分解に導く
ことで有光層のエネルギーサイクルからの炭素・窒
素およびその他の栄養塩の漏出を防いでいるという
点で、浅海生態系の維持に大きく貢献していると考
えられている。こうした背景の下、海洋においてウ
イルスが果たす生態学的役割の重要性に関する認識
が着実に高まりつつある。
ごく近年、筆者らはラビリンチュラ類を宿主とす
るウイルスの単離に世界で初めて成功し、それらの
性状を精査した。本稿では、ラビリンチュラ類とウ
イルスについて今日までに得られている知見を概説
するとともに、ラビリンチュラ類感染性ウイルスの
研究から新たに得られた宿主ラビリンチュラ類に関
する生態学的知見について紹介する。
ラビリンチュラ類とは、直径 5 - 20μm の無色の原生
生物であり、クロミスタ界 (3)、あるいはストラメノ
パイル生物群 (13)として認識される系統群に属する
ラビリンチュラ綱の生物の総称である。ストラメノ
パイル生物群は、遊走細胞の前鞭毛に 3 部構造の管
状小毛を生じることで特徴づけられる生物群で、珪
藻や褐藻、ラフィド藻などの黄色の葉緑体を持つ生
物が含まれており、ラビリンチュラ類は卵菌類と共
に、これらの生物が葉緑体を獲得する以前に分岐し
た「起源的生物」とする考え方がある(図 1)。ラビリ
ンチュラ綱はラビリンチュラ科 (Labyrinthulaceae)
とヤブレツボカビ科 (Thraustochytriaceae) の 2 科か
ら構成されており、双方とも細胞を覆う硫酸多糖類
からなる層状の外被構造とボスロソーム(またはサ
ゲノジェネトソーム)と呼ばれる外質ネット射出器
官を共有形質として持っている(図 2)。この外質ネッ
トはミトコンドリアなどの細胞小器官は観察されな
いものの細胞の一部であり、ここで有機物の分解や
吸収を行っていると考えられている。ラビリンチュ
ラ科の生物は紡錘形の細胞をしており、細胞周辺の
複数のボスロソームから伸張した外質ネットの中を
滑走運動により移動する。一方、ヤブレツボカビ科
の生物は球形の細胞をしており、1 つのボスロソー
ムから伸張した外質ネットで基質に付着する性質を
有する。両者はその形状から、かつては黄金色藻類,
粘菌類,原生動物などに分類されていたが、現在で
は上述の共有形質や分子系統解析結果から一つの分
類群として認識され、真菌類(菌界に属する生物)と
は系統を異にする生物群として認識されるに至って
いる。
68
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
図 1. Cavalier-Smith の 6 界説とストラメノパイル生物群の特徴
図 2. ラビリンチュラ類の形態学的特徴
像を明確にするため,詳細な形態形質比較,化学分
類学的形質,分子系統解析を総合的に行った結果,
従来の Schizochytrium 属を,狭義の Schizochitrium 属,
Aurantiochytrium 属, Oblongichytrium 属の3属に,従
来の Ulkenia 属を,狭義の Ulkenia 属, Botryochytrium
属, Parietichytrium 属, Sicyoidochytrium 属の4属に分
割する分類学的な再編成を行った(25, 26)。しかしなが
ら,ヤブレツボカビ科の基準属である
Thraustochytrium 属については,明らかに単系統群で
はないにも関わらず,分類学的処置に至っていない
こと,科,目といった高次分類群の再整理について
も課題が残っているのが現状である。
属レベル以下の分類については、生活史や形態学
的特徴に基づいて分類され、ラビリンチュラ科とし
て 1 属 9 種 (Labyrinthula 属) が、ヤブレツボカビ科
として 6 属 33 種(Althornia 属, Aplanochytrium 属,
Japanochytrium
属 ,
Schizochytrium
属 ,
Thraustochytrium 属, Ulkenia 属) が知られてきた。
Honda ら(5, 6)は、18s rRNA 遺伝子を用いて、ラビリ
ン チ ュラ 類の 分 子系 統解 析 を行 い、 少 なく とも
Schizochytrium 属, Thraustochytrium 属, Ulkenia 属が単
系統群とならないなど、分子系統解析の結果と従来
の分類体系が一致しないことを明らかにした。最近
になって Yokoyama らは,ヤブレツボカビ類の全体
69
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
3. ラビリンチュラ類の生態学的役割
ラビリンチュラ類は、世界中の広い海域に分布し
ており、その生息域は、熱帯・亜熱帯地域のマング
ローブ域から中緯度域の沿岸・汽水域、さらに極域
や深海 (-4000 m)まで及んでいる(15)。ラビリンチ
ュラ類の現存量については、ヤブレツボカビ科の生
物で比較的よく調べられている。北海においては、
松花粉をベイト(餌)として用いた松花粉 MPN 法(4)
により、表層水中に 1~320 cfu / L (cfu: コロニー
形成単位)、底質中に 14,600~73,000 cfu / L ものヤ
ブレツボカビ科の存在がそれぞれ観測された(15)。ま
た、Naganuma ら(8)および Kimura ら(7)は、外被を構
成する硫酸多糖類を標識対象とした蛍光色素を用い
るアクリフラビン染色法(16)を用いて、瀬戸内海にお
ける現存量調査を行った。その結果、本生物群が海
水中に 2.1 x 103-5.6 x 104 cells/ L という高密度で存在
し、その biomass が同海域に存在する浮遊性細菌の
3.5 〜 43 %にも達することを明らかにした。これら
の結果は、ラビリンチュラ類が海洋環境中において
量的に無視できない生物群であることを示している。
さらにラビリンチュラ類は、ドコサヘキサエン酸
(DHA)などの高度不飽和脂肪酸(PUFA)を高濃
度に生産・蓄積する能力を持っている(12)。DHA に代
表される PUFA は魚類の成長に必須であることが知
られており、ラビリンチュラ類は稚魚や動物プラン
クトンにとって有用な栄養源になっているものと予
想される。またラビリンチュラ類は、細菌類よりも
はるかに大きいことから、微小鞭毛虫等の細菌類捕
食者よりも高次の栄養段階に属する生物群に捕食さ
れると考えられる。すなわち、他生物の死骸や環境
中有機物を分解して得たエネルギーを高次栄養段階
の生物に効率よく(直接的に)する伝達すると考え
られ、ラビリンチュラ類は質・量ともに、細菌類に
匹敵する重要な分解者であると考えられている。
しかしながら、ラビリンチュラ類の季節変動に関
する詳細な知見はほとんど蓄積されておらず、その
生理・生態は十分に解明されていないのが現状であ
る。その大きな原因の一つが検出・計数法の問題で
ある。従来、計数には、松花粉 MPN 法、ならびに
アクリフラビン染色法などが用いられてきた。しか
しながら、松花粉 MPN 法では、使用する松花粉の
量に定量性がないこと、松花粉への吸着を含め、培
養条件による選択圧がかかる(与えられた条件下で
全てのラビリンチュラ細胞が増殖可能とは限らな
い)こと等の欠点があり、同法による計数は過小評
価を招く傾向にある。またアクリフラビン染色法の
場合、硫酸多糖をもつ他の生物や海水中のゴミも染
色されること、増殖の盛んなステージに現れる外被
構造の薄い細胞や遊走子は染色されないこと等の問
題がある。ごく最近、筆者らは、既存の検出法に代
70
わる新たな技術として FISH 法を開発したが(19)、ア
クリフラビン染色法とは逆に生理活性の低い細胞の
検出が困難であるため、実際の現場調査に使用する
段階には至っていない。今後、ラビリンチュラ類の
生態特性を解明する上で、定量性・定性性に優れた
計数法の開発が必要不可欠である。
4. 海洋ウイルス
1980 年代の終わりに、海洋には夥しい量(106 - 109
/ ml)のウイルスおよびウイルス様粒子が存在する
ことが明らかとなった(1, 14)。これらの個々のウイル
スの働きを解明することは不可能であるが、ある種
の赤潮の終息時にはウイルスの活動をきわめて明瞭
に検出することが可能である。例えばラフィド藻の
一種 Heterosigma akashiwo による赤潮の場合、その
消滅過程における個体群の減少は驚くほど唐突であ
る。Nagasaki et al.(10)は、H. akashiwo の赤潮個体群の
中に、正常な細胞に混じって、多数のウイルス様粒
子を細胞内に保持した細胞が存在することを発見し
た。さらに、赤潮終息時期にこのウイルス様粒子を
保持した細胞の割合が急激に増加すること(9)、なら
びに海水中の H. akashiwo 感染性ウイルスの密度が
高まること(20, 23)が解明され、H. akashiwo 赤潮の崩壊
にウイルス感染が重大な影響を及ぼしている可能性
が明確に示された。
そ の 後 、 渦 鞭 毛 藻 の 一 種 で あ る Heterocapsa
circularisquama と 1 本鎖 RNA ウイルス HcRNAV(22)
の間にも同様の関係性が発見された。現場調査の結
果、H. circularisquama 赤潮発生時に HcRNAV が特異
的に増加すること、ならびに消滅直前のヘテロカプ
サ赤潮個体群のうち 8 割以上の細胞に HcRNAV 様粒
子が存在することなどが明らかとなり、赤潮の終息
にウイルス感染が大きく関与している可能性が示さ
れた(11, 21)。ウイルス感染が宿主の現存量変動に影響
していることを示す知見は、他の藻類ウイルスやバ
クテリオファージについても報告されている(2, 14)。
さらに注目されるのは、ウイルス研究を通して、
これまで知られていなかった宿主の生理・生態が明
らかになってきていることである。例えば、Tarutani
et al.(20)は複数の Heterosigma akashiwo 株とそれに感
染する DNA ウイルス HaV 株との間で交叉感染性試
験を行い、H. akashiwo 種内にウイルス感受性の異な
る 3 つのエコタイプが存在することを示した。また、
Tomaru et al.(22)は、H. circularisquama と HcRNAV と
の間で同様の試験を行い、H. circularisquama 種内に
も複数のエコタイプが存在することを明らかにした。
さらに、Nagasaki et al.(11)は底泥中に存在するウイル
ス HcRNAV 量が H. circularisquama 赤潮の規模に影
響を与えていることを明らかにした。いずれの場合
にも、ウイルスの生態は宿主のそれと密接に関係し
ている点が共通している。したがって、ウイルスの
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
生理・生態について研究を行うことは、その宿主生
物の生理・生態についても多くの知見をもたらすこ
とに繋がると考えられる。
こうした概念の下、筆者らは、ラビリンチュラの
生理・生態についてウイルス学的側面からの検証を
行なった。その内容について、以下に概説する。
よう、系統学的に異なる 12 株のラビリンチュラ類を
宿主として用いる、できるだけ地理的・季節的由来
の異なる試水からのウイルス単離を試みる、等の工
夫を行ったにもかかわらず、結果的に分離されたウ
イルスが SssRNAV タイプと SmDNAV タイプの 2 タ
イプのみであった。この結果は、日本沿岸域のラビ
リンチュラ類については、少なくとも 2 つの独立し
た宿主—ウイルス系が優占している可能性を示すも
のであり、注目に値する。
5. ラビリンチュラ類感染性ウイルスの分離
宿主生物とウイルスとの関係を明らかにするため
には、まずウイルスを単離し、その性状を明らかに
する必要がある。そのためには、目的とするウイル
スの単離と、繰り返し感染を成立させることが可能
な「宿主–ウイルス」培養系の確立が必要である。本
研究の対象生物であるラビリンチュラ類、とくにヤ
ブレツボカビ科の生物は、1)抗生物質耐性が強く、
比較的容易に無菌化できること、2)単純な組成の培
養液で培養が可能であること、3)株によっては最高
12 g / L / day という高い増殖速度をもつこと(24)、4)
寒天上で培養することができるため、クローン株と
しての単離が容易であること、5)凍結保存による株
の保存が可能であること等、研究対象生物として非
常に好適な性質を有している。筆者らは、2000 年 2005 年にかけて、ヤブレツボカビ科の生物を宿主と
するウイルスの分離を試みた。
6. ラビリンチュラ類感染性ウイルスの現場動態
図 3. ラビリンチュラ類感染性ウイルス
ラビリンチュラ類感染性ウイルスの電子顕微鏡像
A: SssRNAV, B: SmDNAV
その結果、日本各地の海水からラビリンチュラ類
に感染するウイルス 計 152 株(クローン)を確立す
ることに成功した。これらのウイルス株は、その宿
主域と遺伝学的・形態学的特徴に基づき
「Aurantiochytrium sp. NIBH N1-27 株に感染する、小
型球形の1本鎖 RNA ウイルス(SssRNAV:φ25 nm)」
と「Sicyoidochytrium minutum NBRC 102975 に感染す
る、大型の2本鎖 DNA ウイルス(SmDNAV:φ140
nm)」の2タイプに明確に群別された(図 3)
。また、
それぞれのウイルスが宿主とする株はラビリンチュ
ラ内で系統学的に大きく異なる系統群に属しており、
さらに両ウイルスの基本性状は大きく異なることが
明らかとなった(17-19)。ウイルス分離試験に際しては、
できるだけ多様なウイルスを単離することができる
71
ラビリンチュラ類感染性ウイルスの動態を調査す
るために、2004 年および 2005 年に広島市五日市漁
港において現場調査を行った。その結果、やはり、
上述の2タイプのウイルスのみが検出・分離され、
両者は全く異なった動態を示すことが明らかとなっ
た(Takao et al. 未発表)
。具体的には、SssRNAV タ
イプが赤潮発生後の一時期に急増し、その後短期間
で検出限界以下となったのに対して、SmDNAV タイ
プは赤潮発生後もその挙動に大きな変化はなく、調
査期間を通して(低密度ではあるが)継続して検出
され続けた。藻類ウイルスの動態に関する過去の知
見から、宿主とウイルスの現存量の推移には密接な
関係があることが知られている。本研究における
SssRNAV と SmDNAV の動態についても、それぞれ
の宿主の動態を反映したものであったと推察される。
すなわち、SssRNAV の宿主である Aurantiochytrium
sp. NIBH N1-27 株系統群のラビリンチュラ類は、現
場環境中において赤潮発生後に急増し、その急減し
たと考えられる。また一方、SmDNAV の宿主である
S. minutum NBRC 102975 株系統群のラビリンチュラ
類は、調査期間を通じて比較的大きな量的変動を示
さなかったと推察される。これらの結果は、宿主の
生態学的挙動に違いがあることを示唆している。
SssRNAV タイプのウイルスは H. akashiwo 赤潮発生
後に急増した。このことから、SssRNAV の宿主であ
る Aurantiochytrium sp. NIBH N1-27 株タイプのラビ
リンチュラ類は、赤潮発生後期および赤潮終息後に
環境中に出現する衰弱した藻体細胞を積極的に捕
食・分解し、栄養源として利用していた可能性が高
いと考えられる。一方で、SmDNAV タイプのウイル
スは、SssRNAV タイプとは異なり、H. akashiwo の
赤潮に呼応するような動態を示さなかった。このこ
とから、その宿主である S. minutum NBRC 102975 株
タイプのラビリンチュラ類は、その他のより安定し
て供給される有機物を栄養源として利用するグルー
プであると推察される。実際、H. akashiwo に対する
捕 食 ・ 分 解 試 験 で は 、 SssRNAV の 宿 主 で あ る
Aurantiochytrium sp. NIBH N1-27 株と SmDNAV の宿
主である S. minutum NBRC 102975 株では、ウイルス
接種により衰弱した H. akashiwo 細胞に付着・増殖す
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
そして生命が上陸を果たしたのは約 4 億年前のこと
である。海洋におけるウイルスと宿主との密接な関
係の歴史は陸上のそれよりも遙かに長く、海洋は未
だ知られていないウイルスの宝庫であると言える。
今後、さらなる研究努力により、海洋環境中に存在
するウイルスを発見・研究することは、ウイルスの
進化を考える上できわめて重要であるだけでなく、
ウイルス学・海洋生物学・分子生物学といった様々
な学術的視点からもきわめて有意義であると思われ
る。
る細胞数に大きな差が見られ、Aurantiochytrium sp.
NIBH N1-27 株が積極的に衰弱した H. akashiwo 細胞
を栄養摂取源とする様子が観察できた(Takao et al.
未発表)。
これまで、ラビリンチュラ類は分解者として、あ
る程度一様な生態戦略を持つ生物群であると考えら
れてきた。そのため、多様な栄養摂取能力もラビリ
ンチュラ類全体の特徴として理解されてきた。しか
し、本研究の結果から、ラビリンチュラ類の分解者
としての働きは分類群ごとに明確に異なっている可
能性が示唆された。また、赤潮終息後の有機物分解
にラビリンチュラ類が大きく関わっている可能性が
あり、ラビリンチュラ類が沿岸生態系において果た
している分解者としての役割の重要性を改めて示唆
するもの となった。
謝辞
本研究を行うにあたり、多くのラビリンチュラ類
培養株ならびに系統解析データをご提供下さいまし
た横山林香博士(甲南大学大学院自然科学研究科)
、
ウイルスゲノム解析について多大なご指導をいただ
きました京都大学農学部の奥野哲郎教授、三瀬和之
准教授、ならびに現場調査においてご指導とご協力
をくださいました独立行政法人瀬戸内海区水産研究
所赤潮環境部赤潮制御研究室の外丸裕司研究員をは
じめとするメンバー諸氏に、心より感謝いたします。
7. おわりに
上述の仮説は、2 種類のラビリンチュラ類感染性
ウイルスが 同環境中に存在する本来の宿主生物以
外に感染して複製することがないという前提のもと
に立てられたものであり、ウイルスの挙動という視
点から間接的に宿主であるラビリンチュラ類の生態
を推測したスキームである。ラビリンチュラ類の生
態についてより深く理解するためには、分類群ごと
の栄養摂取様態や生理学的特性を明らかにしていく
必要がある。そのためには、ラビリンチュラ類全体
を検出する、もしくは正確な計数を期待できない現
行の検出・計数技術を飛躍的に向上させることが必
須である。筆者らは、ヤブレツボカビ科の生物の大
部分をカバーする FISH 法の開発を行い報告したこ
とはすでに述べたが、今後は系統群 (生態群) 特
異的に検出可能なプローブを用いた標識技術、ある
いは Real Time PCR 法を用いた系群 (生態群) 別
の現存量推定技術の開発を行っていく必要がある。
最後に、海洋ウイルスの多様性についても触れて
おきたい。本稿では詳述しなかったが、本研究で分
離された SssRNAV と SmDNAV はいずれも既知の陸
上ウイルスとも科(family)レベルで異なるきわめて
新規性の高いウイルスであった(17-19)。今日までに知
られているウイルスのほとんどは陸上生物を宿主と
するウイルスであり、とくにヒト・動物・植物に感
染するものを中心として研究が展開されてきた。こ
れらのウイルスが人間の生命活動・産業活動に与え
る影響を考えれば、それは当然のことであろう。し
かしながら、本報で紹介したウイルスや、今日まで
に発見・研究されてきた海洋ウイルスの多様性や生
態学的なインパクトに目を向ければ、ウイルスが海
の生態系を支える微生物に及ぼしている影響力は、
我々の想像よりも遙かに大きく複雑なものであると
考えられる。
海洋に地球初の生物が現れたのは 35-40 億年前、
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Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007), Vol. 6, 74-80
MINI REVIEW
難培養性環境微生物の培養化と微生物種間ネットワークの解析
Cultivation of uncultured microbes and microbial network analysis
産業技術総合研究所 ゲノムファクトリー研究部門
鎌形洋一
(1) はじめに
難培養性微生物という言葉が微生物学の世界で広
く使われるようになったのはここ 10 数年のことで
ある。しかし微生物学に携わる研究者はそれ以前に
培養できない微生物が数多く存在していることを何
も知らなかった訳ではない。どんな環境試料を顕微
鏡で観察して見ても、実に多様な形態や運動性を有
する微生物がそこに存在していることがわかる。し
かし、これらの試料を寒天培地上に接種して出現す
るコロニーを、一つ一つ、つぶさに観察してみたと
しても限られた姿の微生物しか生育しておらず、も
との試料に存在していたはずの”多様な微生物”が寒
天培地の上では忽然と姿を消してしまっていること
に誰しも気づいていた。少なくとも 20 年前までの微
生物学であればここで話が終わってしまっていただ
ろう。実際、培養できない(できなかった)微生物
とは一体何なのかを想像するすべもなかったからで
ある。
しかし 1990 年代前半から微生物学は革命的な変
貌をとげた。20 世紀の最後から今日までの 10 数年
間は端的にいえば微生物を培養することなくその存
在や機能・性質の一端を明らかにすることができる
ようになった時代である。その結果、これまでに知
られている微生物の種類は実際に地球上に存在する
であろう微生物種のほんの一握りであること、そし
て我々が研究のために扱ってきた微生物はもっぱら
たやすく培養できる“特別”な微生物だったことが明
らかになった。とりわけ 16S rRNA 遺伝子配列の情
報蓄積がこれまでまったく知られていなかった膨大
な微生物群の存在を初めて我々に知らしめたのであ
る。
素量は地球上に繁茂している植物が固定している炭
素量にほぼ匹敵すると言われれば多少の想像は可能
になるであろう。
ところで今日性質が解明され、命名されている微
生物は 5,000 種にも満たないほどである。昆虫の 65
万種に比べれば、いかにその数が少ないかがわかる。
同時に、微生物の種の数が昆虫の種の数より少ない
はずはないであろうと思うのは当然である。それで
は一体微生物の種はどれくらいの数だけ存在するの
であろうか?その答えはもちろん誰も持ち合わせて
はいない。ただ 1990 年、16S rRNA 遺伝子による多
様性解析とは一線を画した研究として森林土壌を対
象に、複雑微生物系全体から抽出した全 DNA の解
離曲線の解析結果から微生物種の数を割り出した結
果がある。それによれば土壌 1 グラムには 109 個オ
ーダーの原核生物がいて、種の数はおよそ 10,000 の
オーダーであると推定された 14)。しかし、2005 年
になって 10,000 種というのはひとつひとつの種の微
生物が同じような数だけ存在していると仮定した値
であり、実際には優占種と希少種がいてその種の総
数は 1 グラムの土あたり 1,000,000 種のオーダーでは
ないか、という驚愕すべき報告がなされた 3)。ある
場所の森林土壌 1 グラムあたりの微生物種が
1,000,000 とすれば地球環境全体でいったい何種の
微生物が存在するか、今日の我々の想像を大きく越
えた値であることは間違いない。微生物の種とは何
か、という本質的な点については今なお議論すべき
問題は残しているが、仮に地球上の全微生物種をさ
らに3桁多い 1,000,000,000 種とするだけでも、現在
正確に記述された微生物種は全体のわずか 0.0005%
ということになる。
ではこれらすべてが難培養微生物であるか、と問
われれば、答えはもちろん否である。確かに未知種
の微生物は膨大であるが、未知種の微生物はすなわ
ち難培養微生物ではない。これまでに多くの研究者
によって多くの微生物が分離されてきているが、そ
の一つ一つが正確に同定されているわけではない。
つまり、培養が可能でも分類や同定がなされていな
い微生物もまた膨大なはずである。
もし微生物が 1,000,000,000 種だけいたとして、一
(2) 多くの微生物は未知微生物であり難培養性微生
物である
これまでのさまざまな研究から地球上に存在する
微生物の総数(細胞の数)はおよそ 1030 個のオーダ
ーではないかと言われている 15)。これは地下圏掘削
プロジェクトや多くのフィールドデータから推定し
た値である。この数字自身は通常の感覚では測りが
たいものだが、それだけの数の微生物に含まれる炭
74
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
体どれくらいの微生物がいわゆる難培養微生物だろ
うか?この問いには答えはない。それに答えるだけ
の精緻でかつ膨大な解析はまだ行われていない。ま
たそもそも難培養微生物の定義自体はあいまいなも
のである。今日、難培養微生物は文字通り、通常の
培養では容易に純粋培養や集積培養が困難な微生物
という定義以上のものはない。では通常の培養とは
何か?これは実験者が扱う微生物によって定義はま
ちまちである。世の中に現存する何千何万という培
地の種類とそれに付帯する培養条件すべてを使って
もなお培養できない微生物、というのがより厳密な
“難培養性微生物”の定義であろう。
しかし、微生物の培養のための培地が何千何万あ
るにしても、それら大部分は微生物の生育に必要な
無機塩類、窒素源、そしてエネルギー源かつ炭素源
としての種々の有機物である点では共通であり、し
かもそれらをひとところに混ぜて加えたバッチ式の
培地であることは共通している。さらに純粋分離に
あたってはこれを通常寒天で固めるという点におい
ては世界共通である。すなわち、コッホの助手であ
るペトリが 1880 年代後半にガラスのプレート(いわ
ゆるペトリ・ディッシュ)の中で、培地を寒天で固
まらせたものを用いたのが現代の微生物培養技術の
始まりである 2)。寒天培地の上で1個のコロニーを
釣り上げ、あらためて新しい培地に画線塗抹すると
一つの細胞が増殖して再びコロニーができる。こう
して確立した純粋培養系を単クローンとして維持し、
研究に用いてゆく。この手法の簡便さと確からしさ
に疑いを挟む余地はない。
しかし、この方法にはすべての微生物は単独で寒
天の上でコロニーを作るという暗黙の前提が存在す
る。ところが、一定量の環境試料あたりに含まれて
いる細胞数を計数しておき、それらを寒天培地で培
養して得られるコロニー数と比較すると、歴然とし
た差があることが知られるようになった。例えば海
水を例にとると、全菌数にくらべ実際に寒天培地の
上で生えてくる微生物はわずか 0.1%にも満たない 1)
(表 1)
。
今日の微生物学、特に分子遺伝学は大腸菌に代表
されるような容易に寒天で培養できるような微生物
によってその基礎が築かれた。しかし、大腸菌は“微
生物は培養しやすく研究に便利な生物”という明ら
かに誤った固定観念を植え続けてきたことは確かで
ある。私たちのような微生物生態学に携わる者から
見れば、大腸菌はかなり例外的な微生物である。も
ちろん、大腸菌のようにコロニーをたやすく形成す
る微生物は多数いるが、複雑微生物系全体から見れ
ばごく少数である。
75
表 1. 全菌数に対して寒天培地上で生育可能な
微生物の割合 1)
(3) 難培養性微生物の実体とは
以下にこれまでの研究から見えてきた”難培養微
生物の姿”について概観したいと思う。もちろん別に
さまざまな考え方や分類の仕方があることはご了解
いただきたい。筆者は難培養微生物を分類するとお
およそ以下のようになると考えている。
(i) 生育速度が著しく遅い微生物: 生育の遅い微生
物の多くは平均世代時間が長い上に生育開始までに
要する時間(いわゆる lag time)が長いという特徴を
持つものが多い。大腸菌の実験室での平均世代時間
は 30 分である。筆者らの常識ではこの世代時間はい
わば“非常識な”速さである。これまでに筆者らが扱
ってきた微生物では平均世代時間が 4 日、5 日とい
うのが当たり前である。また生育開始までの lag が
数週間に及ぶものも多い 7,8)。このような微生物では
(基質濃度など培養条件によるが)液体培養で静止
期に達するまで 3 ヶ月近くを要する。実際の環境を
考えると、多くの場合、有機物濃度が常に律速にな
っているが、それでも少しずつ供給されているよう
な場であれば増殖が速くなければならない必然性は
ない。
(ii) 寒天でコロニーを形成しない微生物: そもそも
寒天という”物理化学的な足場”の上でコロニーを作
る微生物のほうが圧倒的に少ないと考えるべきであ
る。自然界における微生物の生育の場は多様であり、
寒天というのはたったその中の一つにすぎない。ゲ
ル化剤を変えることによって生育する微生物もある
が 11)、基本的にこのようなゲル化剤を好まない微生
物は多い。一つの細胞から得たコロニーをもってク
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
cytokine と呼ばれる Resuscitation promoting factor
(Rpf)のような物質の存在を示唆するものである(図
1)。
ローンとして扱うのが微生物学の基本であるが、コ
ロニーを作らない微生物については液体培養による
限界希釈によって純化する方法がとられる。コロニ
ーも形成しない、液体培養もできない微生物は最も
培養が困難な微生物であると言わざるを得ない。
(iv) 濁度として検知できない細胞数レベルで静止期
を迎えてしまう微生物:このような微生物の代表例
はアンモニア酸化細菌、亜硝酸酸化細菌、鉄還元細
菌、硫黄還元菌などである。基質、電子受容体ある
いは生成物の毒性などにより高い基質濃度を用いて
培養できない微生物にその傾向が強い。また、海洋
環境に多いといわれる oligotroph と称される微生物
も同様である。我々は微生物の増殖を濁度でもって
目視で判断することが多いが、濁度が認められるほ
どに生育しない微生物が数多く存在することもまた
事実である。
(iii) 生育に一定以上の細胞濃度を必要とする微生
物:微生物学の基礎は上述のように細胞一つからの
生育を前提としている。したがって寒天培養同様に
液体培養においても理論的に一つの生きた細胞を接
種すれば生育は開始するはずである。しかしながら、
筆者らの経験では 103 から 105 以上の初期接種量が
絶対必須な微生物が確かに存在する。これは N-アシ
ルホモセリンラクトンによるクオーラムセンシング
と同様の効果を持つ生育因子あるいは近年 bacterial
図 1. 難培養性微生物において想定される微生物間(同種間あるいは異種間)での生育のシグナルの受
け渡しの概念図。
I. 同種間で生育に必要なシグナル物質 X を受け渡しすることによって生育の促進がおこる。ここではシグナル
物質の濃度が生育にとって決定的な影響をもたらす。
II. 微生物 (A) が分泌する X(生育因子)によって微生物(B)の生育が著しく促進される。
III. 微生物 (A)が産生する物質 X によって自らの生育が抑制されるが、微生物 (B)がそれを代謝することによ
って X の濃度を下げ、結果的に微生物(A)の生育が促される。
も培養が難しい微生物であると考えられる。その最
大の理由はこれらの微生物は宿主昆虫に極度に依存
した生活環を持ち、宿主とともに共進化したため、
単独で生きてゆくために必要な多くの遺伝子を欠損
させている 10)。極言すればミトコンドリアのような
運命をたどろうとしている微生物であり、もはや細
胞の一器官の様相を呈しているものも多い。
(v) 他の微生物に依存する微生物: 多くの環境微
生物を扱ってきた筆者からみて、異なる微生物間の
相互作用あるいは共生関係というのは、難培養微生
物を理解する上で大変重要な手がかりになると考え
ている。この点については次の章で少し詳しく述べ
る。
(vi) 昆虫や動物などに共生する微生物:昆虫の体内
にはさまざまな微生物が共生しているのはよく知ら
れている事実である。通常一種の昆虫に一種の微生
物が共生しているが、時として複数種の微生物を共
生させていることもある。最もよく研究されている
もののひとつとしてはアブラムシの体細胞に共生し
ている Buchnera と呼ばれる大腸菌と遠縁の微生物
である(図 2)
。似たような細菌はカメムシを初めと
する他の多くの昆虫にも見いだされている。数ある
難培養微生物の中でこれらの微生物群はおそらく最
(viii) そもそも環境中で非優占的な微生物:これは基
本的かつ重要な点であるが、集団において一定の割
合以下しか存在しない微生物は(ある選択圧をかけ
ない限り)
、そもそも原理的に分離培養が困難なだけ
でなく、PCR による遺伝子の検出すら困難である。
76
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
れ て い る 研 究 の 代 表 例 は Symbiobacterium
thermophilum と名づけられた微生物についてのもの
である 6)。この菌の生育は、Bacillus や他の細菌の培
養上清を添加すると著しく促進する。その後の研究
から本微生物は少なくとも、ペプチド性因子、NH4+
で代替できるカチオン、炭酸ガスの少なくとも3種
の因子を要求することが明らかにされている。また、
筆者らは最近、ある種の微生物(A) (Catellatibacterium
nectariphililum)が別種の微生物(B) (Sphingomonas に
類縁の細菌)の生産する物質によって生育が著しく
助長されることを見いだした 12,13)。さらに微生物(B)
の生産物は微生物(A)のみならず、種や属を越えた他
の微生物(C)や微生物(D)の生育を促進すること、さ
らに微生物(C)は属種の異なる微生物(G, F, I, J, K)の
生産物によっても生育促進を受けることを明らかに
した(図 3)
。これらのことは微生物間での物質のや
り取りは我々が想像する以上に複雑多様であり、さ
まざまな微生物間のクロストークが行われているこ
とを強く示唆するものである。
図 2. アブラムシの体内に共生する微生物の
電子顕微鏡写真。
アブラムシには菌細胞と呼ばれる共生細菌を
入れておく特殊な細胞があり、その細胞の中に
は大量の共生細菌がつまっている。宿主昆虫
に強度に依存した微生物であり、取り出して純
粋培養に成功した例はまったくない。
(ii) 種間水素伝達を行う共生微生物:嫌気性微生物
においては種間で主にやりとりされる分子は水素で
ある。図 4 に示すように、多くの嫌気性微生物は物
質の分解過程で水素を発生する(水素発生型発酵微
生物)
。しかし、水素は一定以上の濃度まで蓄積する
と、物質の嫌気的酸化反応そのものを阻害してしま
う。水素発生型嫌気性微生物群はこれを回避するた
めに、発生する水素を速やかに除去する微生物を必
要とする。特に脂肪酸や低級アルコール、芳香族化
合物を分解する微生物にその傾向が顕著である。”
水素除去者”は多くの場合、水素を用いて炭酸ガスを
還元しメタンを作るメタン生成古細菌である。実際
の複雑系を in situ hybridization などの手法で観察す
ると、水素発生を行う微生物を取り囲むように水素
資化性メタン生成古細菌が存在している 4,9)。このよ
うな水素発生型嫌気性微生物(嫌気共生細菌と呼ば
れている)はほとんど例外なく分離培養が難しい。
筆者らはこのような微生物の分離を試みてきたが、
分離にあたっては、水素を消費するメタン生成古細
菌を共存させた共培養を行う。生育が非常に遅いも
のが多く、分離までに長い年月を要するものが多い
5)
。生育が遅い水素生成微生物と水素資化性メタン
菌の共生微生物系の典型的な例を図 5 に示す。ここ
で示されているように、これらの微生物は単に生育
が遅いだけではなく lag time が非常に長いものも多
い。
例えば 109 の微生物数が存在する1グラムの土壌の
小宇宙を想定しよう。ここに 107 個ずつ存在する 99
の優占種と 102 個ずつ存在する 100,000 種類の微生
物がいると仮定する。99 の優占種すべてが液体培養
あ る いは 固体 培 養が 可能 な 微生 物だ と する と、
100,000 種類の非優占種は(特別な選択圧をかけるこ
とによってそれ以外のすべての種が排除できる場合
を除いて)通常の微生物培養手法では培養ができな
いばかりでなく、PCR での検出も、メタゲノムアプ
ローチでも検出が困難である。
(4) 微生物相互作用から見える難培養性微生物
上述したように培養が困難な微生物について思い
を巡らし、またさまざまな試行錯誤をする過程で、
微生物間相互作用あるいは微生物間共生という現象
を明らかにしてゆくことが、難培養微生物の培養化
につながるのではないかと思い至るようになった。
以下に二つの例を挙げ、理解の一助として頂きたい。
(i) 他の微生物が生産する生育因子を必要とする微
生物: 異種微生物間のクロストークと呼べるよう
な現象について精緻な解明が成されている例は意外
なほど少ないが、あらゆる環境が複雑微生物系によ
って成立している以上、異種微生物間のコミュニケ
ーションや生育因子のやりとりはおそらく普遍的な
現象ではないかと思われる(図 1)。このような微生
物は生育に必要な因子を供給する微生物が見つから
ない限り培養は困難である。我が国で古くから行わ
77
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
図 3. ある微生物が作る生育因子が別の微生物の生育を促進する例とその相関図
(1) 微生物 A (Catellatibacterium nectariphililum)を通常のシャーレの上で作った栄養寒天培地にまいた場合、
生育(コロニーの形成)はほとんど認められないが(上の写真)、微生物 B (Sphingomonas 類縁細菌)の培養上清
液(微生物 B を培養した液から微生物の細胞を遠心分離と濾過によって取り除いたもの)を混ぜた場合、コロニー
の形成が認められる(下の写真)。それぞれの写真の右下の囲みはコロニーの様子を拡大したもの。(2) このよう
な実験をいろいろな微生物を用いて試してみると、物質(生育因子)を介した異種微生物間の生育促進相互作用
が見えてくる。この図はそうした異種微生物間のいわばコミュニケーションネットワークを模式的に示したもの。
A,B,C…はそれぞれの種の微生物を示している(文献 12,13 に基づく) 。
図 4. 嫌気性微生物を特徴づける共生関係
多くの絶対嫌気性微生物(A)は物質酸化にともなって水素を生成するが、水素が一定以上の濃度に達すると自
らの生体反応を停止させてしまう。代謝および生育が進行するためには水素除去者としての第二の微生物(B)を
必要とする。この関係を嫌気性微生物共生系と呼ぶ。
78
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
diversity and high metal toxicity in soil. Science 309:
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4. Imachi, H., Sekiguchi, Y., Kamagata, Y., Ohashi, A.
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propionate
in
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association
with
hydrogenotrophic methanogens in a thermophilic
methanogenic granular sludge.
Appl. Environ.
Microbiol., 66: 3608-3615.
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from methanogenic sludges treating wastewater from
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hybridization
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16S
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12.Tanaka, Y., Hanada, S., Manome, A., Tsuchida, T.,
Kurane, R., Nakamura, K. and Kamagata, K. (2004)
Catellatibacterium nectariphililum gen. nov., sp. nov.,
図 5. 生育の遅い典型的な微生物の例
嫌気的条件でテレフタル酸を分解する共生微生
物であるが生育を開始するまでに少なくとも一ヶ
月間ほどの lag time が認められる。詳細は文献 7
を参照されたい。
(5) 再び難培養性微生物とは
上述のように”難培養微生物の姿”について概観し
てきたが、実際のところ本当に培養困難な微生物に
ついては、なぜ培養困難なのか、その答えは未だ持
ち合せていない。ここで紹介した例は、結果的には
何らかの方法で集積・分離・培養が可能だったもの
と、分離も培養もできないが、昆虫の共生体のよう
に昆虫そのものが純粋培養器として機能し、ゲノム
解析を含めた機能推定が可能だったもの、について
示したもので、これらの結果から”難培養微生物の実
体”を推定したにすぎない。ただ、後半で述べたよう
に微生物間コミュニケーションという視点は微生物
の生き様の本質を理解する上で非常に重要な視点で
あるとともに、微生物の培養化の糸口につながる多
くの示唆を与えるものであると確信する。
謝辞
本研究は産業技術総合研究所生物機能工学研究部
門の研究グループならびに長岡技術科学大学の原田
秀樹教授(現東北大学)のグループとともに行った
研究であり、ここに皆様に感謝の意を表します。
文献
1. Amann, R.I., Ludwig, W. and Schleifer, K.H. (1995)
Phylogenetic identification and in situ detection of
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学書院.
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growth. Int. J. Syst. Evol. Microbiol., 54: 955-959.
13. Tanaka, Y., Hanada, S., Tamaki, H., Nakamura, K.
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(2007.11.4 受理)
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Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
学会誌投稿規定
極限環境微生物学会誌投稿規定
1.投稿者の資格
極限環境微生物学会誌(ISSN 1348-5474) (Journal of
Japanese Society for Extremophiles)(以下、本誌とい
う)への投稿は極限環境微生物学会(以下、本学会
という)会員に限る。なお、連名による投稿の場合
には、少なくとも著者の一人が本学会会員でなけれ
ばならない。ただし、日本国以外からの投稿並びに
本学会が寄稿を依頼した場合は例外とする。
け付ける。この場合、極限環境微生物学会ホームペ
ージに掲載されている投稿要領に従うこと。
2.論文の種類
本誌への投稿論文は、極限環境微生物関連分野の原
著論文(通常論文、短論文)
、総説、並びに諸報とし、
いずれも未発表のものに限る。
(1)原著論文 (original papers):極限環境微生物に
関する論文で以下の2つのいずれかに該当する論文。
1)通常論文 (regular papers):極限環境微生物に関
する論文で、それ自体独立した、価値のある結論あ
るいは事実を含む論文。
2) 短論文 (short communications):極限環境微生物
に関する論文で、断片的な結果ではあるが新しい事
実や価値のあるデータを含む短い論文。
(2)総説 (reviews):極限環境微生物のある特定の
研究分野について、簡単な歴史的背景を含め、最近
の進歩を要約し、可能であれば、将来の研究方向性
をも指し示した論文。
(3)ミニレビュー (mini-reviews):総説の内、比較
的短く纏めたもの。
(4)諸報:巻頭言、研究最前線、研究のルーツを
探る、学会関連記事等。
5.論文の審査
投稿された論文の内、原著論文、総説、ミニレビュ
ーの審査には、極限環境微生物学会誌編集委員の内
1名が責任編集委員として関与する。原著論文およ
び総説の審査は、責任編集委員が適宜指名する複数
の査読者によりなされる。掲載の可否に関する最終
判定は、査読者からの査読結果報告に基づき責任編
集委員が行う。その後、編集委員長が著者に審査結
果を通知する。なお、内容・体裁に問題があると判
断された原稿については、著者による修正を求める。
修正を求められた原稿は、2ヶ月以内に責任編集委
員に返送することとし、2ヶ月を過ぎて返送されな
かった原稿は、著者が原稿を取り下げたものとして
処理する。なお、投稿された論文は返却しない。
3.論文の書き方
論文の用語は日本語または英語とし、別途定める「原
稿執筆要領」に従い簡潔に分かりやすく作成するこ
と。総説は原稿30頁以内、通常論文は原稿20頁
以内、ミニレビューは原稿15頁以内、短論文は原
稿10頁以内とする。なお、諸報の頁数に関しては
編集委員会で適宜判断する。
7.別刷り
別刷りは、pdf ファイルとして配布する。
〒113-8657 東京都文京区弥生 1-1-1 東京大学大学
院農学生命科学研究科応用生命工学専攻(東大院農
生科応生工と省略可)極限環境微生物学会誌編集委
員 長 石 井 正 治 ( 電 話 : 03-5841-8258, FAX :
03-5841-5272) (e-mail: [email protected])
6.校正
校正は初稿のみ著者に送付する。到着日より3日以
内に、原稿とともに指定された送付先に返送するこ
と。なお、原著論文ならびに総説に関しては、著者
校正時の文章・図表の追加や削除は一切認めない。
8.著作権
本誌に掲載された論文の著作権は本学会に帰属する。
9.その他
極限環境微生物学会誌投稿規定ならびに極限環境微
生物学会誌論文執筆要領で不明な部分に関しては、
極限環境微生物学会誌編集委員会において適宜対応
する。なお、必要が認められる場合には、文書化を
進めるものとする。
4.論文の受付
論文原稿は諸報を除き、原稿原本の他にコピー3部
を付け、送付状とともに簡易郵便書留として下記宛
に送付すること。なお、オンラインによる投稿も受
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Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
論文執筆要領
極限環境微生物学会誌論文執筆要領
1.一般的事項
(1)テキストファイル形式または Microsoft Word
形式で保存できるワードプロセッサ等を用いて原稿
を作成すること。
(2)タイトルページには、1)論文題名、2)著者名、
3)著者所属機関名、4)ランニングタイトル、5)連絡対
応著者名およびその連絡先住所・電話番号・FAX 番
号・e-mail アドレス、6)キーワード(5語以内)を
明示すること。日本語で作成した論文には、これら
の英語訳を併記すること。
(3)論文印刷には A4 版用紙の片面を使用し、1
行40字(英語の場合には1行60字)
、1頁25行
で印刷すること。イタリック、ボールド、あるいは
スモールキャピタルにする語句がある場合は、それ
ぞれ赤字で下線、波下線、二重下線を記すこと。
(4)略語リストがある場合には、本文第1頁に脚
注として略語の項を設け表記すること。単位系と省
略記号は SI 単位を基本とする。
(5)生物の命名及び記載は International Code of
Nomenclature of Prokaryotes, International Code of
Botanical Nomenclature, International Code of
Zoological Nomenclature に従う。学名が初出の場合は
全部を記載すること。原則として、2回目以降は属
名の頭文字を略号とするが、紛らわしい場合には省
略せずに記載すること。
(6)物質名の表記は以下の規定に従うこと。
1)有機化合物の表記および放射性同位元素による
標識化合物の表記は IUPAC 規定に従うこと。
2)生化学関連事項の命名は IUPAB 制定の命名法に
従うこと。
3)化学式に用いられる記号、略号などは Chemical
Abstracts の用例に従うこと。
(7)論文受理後、完成した本文および図表等の印
刷に必要な全てのファイルを収めた電子媒体を編集
委員長宛に郵送するか、またはそれらのファイルを
e-mail 添付書類として編集委員長宛に送付すること。
2.投稿論文の構成
(1)原著論文は 1)標題、2)アブストラクト、3)本
文、4)引用文献、5)表ならびに図、図の説明文、の
順にまとめること。
(2)標題は論文内容を具体的に表す簡潔なものと
すること。標題の下に著者名、所属機関名、所在地
を書く。著者が複数で、所属機関が異なる場合は、
著者名末尾に上付数字を付けて区別するとともに、
連絡対応著者名を指定すること。
(3)原著論文ならびに総説のアブストラクトは英
語で記述するものとし、通常論文・総説では
200words 以内、短論文では 100words 以内で作成す
ること。
84
(4)通常論文の本文は原則として、緒言、材料お
よび方法、結果、考察(あるいは結果と考察)、謝辞
で構成する。短論文では項目分けをしない。
(5)原著論文ならびに総説では、必要に応じて図
表を用いる。それぞれの図表を挿入したい位置を、
原稿右側の余白部分に指示すること。
(6)文中での文献の引用は、引用文献の項目で整
理した文献番号を用いること。図表の引用はその番
号によること。
(7)脚注が必要な場合には、該当事項の右肩に通
し番号を付け、当該頁の下部に説明文を付けること。
3.引用文献
(1)引用文献は下記の例に準じ、本文中の該当人
名あるいは事項の右肩に 1), 1-3)のように番号を付
し、また、本文末尾の引用文献の項に第一著者のフ
ァミリーネームのアルファベット順に 1., 2., 3., --の
番号を付し一括記載する。Ibid., idem は用いないこ
と。私信、未発表の研究結果、学術雑誌に受理され
る前の論文、抄録が印刷されていない口頭発表など
は引用文献に含めないこと。雑誌の略号は、Chemical
Abstracts Service Source Index (CASSI) 1907-1984
(Cumulative)およびその補遺版により、雑誌名、書名、
年、巻および頁の示し方は下記によること。
(2)雑誌引用のとき
Chuakrut, S., Arai, H., Ishii, M., and Igarashi, Y. 2000.
Characterization of a bifunctional archaeral acyl
coenzyme A carboxylase. J. Bacteriol. 185: 938~947.
(3)書籍引用のとき
児玉徹. 1997. V 近代的な微生物利用工業1.アルコ
ール, pp191~197.児玉徹・熊谷英彦編, 食品微生物学,
文永堂出版
4.表と図およびその説明
(1)表と図は印刷版下を作成すること。
(2)本文を英語で書いた場合には図表も英文で作
成すること。
(3)表と図は一つに対して1頁使う。各頁の右上
に著者名ならびに図の番号を入れること。
(4)表題は表の上部分に書くこと。表の内容説明
文ならびに注は、表の下に記述する。注の表示には
a),b),c)を上付で明記し、記述には a),b),c)を上付にせ
ず用いる。
(5)図の標題ならびに説明文は別紙にまとめて印
刷すること。図の標題の最後にはピリオドを付し、
内容説明は標題の後に改行して記載すること。
(6)写真は明瞭な陽画を必要部数添付すること。
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
学会会則
極限環境微生物学会会則
(名称)
第1条 本会は、極限環境微生物学会(英文名:The
Japanese Society for Extremophiles )という。
(以下本会という)
(目的)
第2条 本会は、極限環境微生物研究の発展に寄与
し、極限環境微生物の研究、教育、利用の
推進に寄与することを目的とする。
(事業)
第3条 本会は、研究発表会及び講演会等の開催、
極限環境微生物学会誌(これまでの News
Letter Extremophiles を発展的に名称変更。英
文 名 : Journal of
Japanese Society for
Extremophiles)の発行、国際極限環境生物学
会等との連携事業、研究奨励賞・ポスター
賞の授与、その他前条の目的を達成するた
めに必要な事業を行う。
(会員の種別等)
第4条
1. 本会の会員は正会員、団体会員および賛助
会員とする。
2. 正会員は極限環境微生物に関する研究に
従事する、または、これに関心を持つ個人
であって、本会の目的に賛同し、定められ
た会費を納めた者をいう。
3. 団体会員は極限環境微生物に関心を持つ団
体(法人等)であって、その団体内の本会
の目的に賛同する代表者を含めて3名以
内の所属者を指名して会員登録を行い、定
められた会費を納めた団体をいう。
4.賛助会員は本会の目的に賛同し、定められ
た賛助会費を1口以上納めた個人または
団体をいう。
第5条 会員は本会が開催する諸事業に参加し、本
会の発行する印刷物、PDF 等の配布を受け
ることができる。
(入会)
第6条 会員として入会しようとする個人または団
体は、本会事務局が定める手続きに従って
申し込みを行い、本会会長による承認を得
なければならない。
団体会員 年額 20,000 円
賛助会員 年額 一口以上
(一口 30,000 円)
(退会)
第8条 会員は会長に届けることによって退会する
ことができる。
(役員)
第9条
1. 本会には会長 1 名、副会長 2 名、評議員若
干名、幹事若干名、会計監査 2 名の役員を
おく。
2. 会長は本会を代表し、会務を統括する。
3. 副会長は会長を補佐し、会長に事故ある場
合には会長の職務を代行する。
4. 幹事は、幹事長、庶務、学術活動、会計、
を分担し、事業計画の立案、事業の実施、
庶務会計、シンポジウムの企画立案、学会
誌発行、国際極限環境生物学会等との連絡
などの本会の事務を行う。
5. 会計監査は本会の会計を監査する。
(役員の選出)
第10条 会長、副会長、評議員は本会の総会にお
いて選出される。
1. 幹事、会計監査は、副会長、評議員以外の
正会員の中から会長が指名し、総会の承認
を受ける。
2. 評議員の任期は2年とし重任を妨げない
が、連続3期を限度とする。但し、会長が
指名する評議員はこの限りではない。
(委員会)
第11条 本会に学会誌編集委員会、研究奨励賞選
考委員会、極限シンポジウム委員会を置く。
各委員会委員の任期は 2 年とするが重任
をさまたげない。
1. 学会誌編集委員会(会長指名の若干名で構
成し、委員長は互選する)は学会誌の編集、
論文審査の任にあたる。
2. 研究奨励賞選考委員会(副会長が委員長を
勤め、学術活動担当幹事と委員長指名の委
員、計 10 名程度で構成する)は本会の研
究奨励賞受賞者を選考する。
3. 極限シンポジウム委員会(会長指名の若干
名で構成し、委員長は互選する)は学術活
動幹事と共同でシンポジウムを企画立案
し、運営をサポートする。
(会費)
第7条 会員は下記の会費を納めるものとする。
正会員
年額 5,000 円
(但し身分が学生である者は年額 2,000 円)
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Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
(評議員会)
第12条 評議員会は会長、副会長、評議員をもっ
て構成する。会長は年1回以上評議員会を
召集し、議長となり、会の重要事項を審議
し総会に提案する。
(総会)
第13条 本会は原則として年1回総会を開き、会
務を協議し議決する。
総会は会長が召集する。
第14条 総会の議決は出席会員の過半数の賛成を
もって行う。
(会計年度)
第15条 本会の事業年度は 1 月 1 日に始まり、同年
12 月 31 日に終る。
(付則)
第16条 本会則の施行および本会の運営について
の細則は総会の議決を経て別に定める。
第17条 本会則の変更は総会の議決を経て行う。
第18条 本会則は、1999年10月19日より
施行する。
2001 年 11 月 29 日改定
2002 年 12 月 1 日改定
2003 年 12 月 1 日改定
2005 年 11 月 7 日改定
2007 年 12 月 1 日改定
学会細則
極限環境微生物学会細則
第8条
評議員会の決議は出席者の過半数の賛成
により成立する。
(退会)
第9条 会長は、会費を3年以上滞納した会員を退
会させることが出来る。
(授賞)
第10条 研究奨励賞・ポスター賞の授賞規定は別途
定め全会員に配布する。
(細則の変更)
第11条 本細則の変更は総会の議決による。
(付則)
第12条 今期の本会事務局は、東洋大学生命科学部
井上研究室(群馬県邑楽郡板倉泉野)内と
する。
第13条 本細則は、1999年10月19日よりこ
れを実施する。
(会員)
第1条 入会を承認された正会員、団体会員、賛助
会員は、所定の会費を速やかに納入する。
(総会)
第2条 総会の議案は副会長、幹事等と共に会長が
作成し、評議員会の議を経た後提出する。
議案には前年度の事業内容及び収支決算、
新年度の事業計画、及び収支予算を含むも
のとする。
第3条 総会は会員の1/10以上の出席(但し委
任状を含む)をもって成立する。
(役員の選出)
第4条 会長、副会長、評議員は会員の選挙によっ
て決められる。会長は選挙によらず評議員
を指名することが出来るが、総会での承認
を必要とする。
第5条 会長は会員の中から少なくとも3名を選ん
で選挙管理委員を委嘱する。選挙管理委員
は選挙事務を行う。
第6条 会長は、評議員会の承認を得て必要な委員
会を作ることが出来る。
(評議員会)
第7条
評議員会は評議員の半数以上の出席(委
任状を含む)をもって成立する。
2002 年 12 月 1 日改定
2003 年 12 月 1 日改定
2006 年 6 月 30 日改定
2007 年 12 月 1 日改定
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Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
運営体制
会長
副会長
極限環境微生物学会運営体制(2008~9 年度)
掘越
弘毅
大島
泰郎
独立行政法人 海洋研究開発機構
共和化工(株)環境微生物学研究所
工藤
俊章
長崎大学
水産学部
評議員(50音順、敬称略)
五十嵐 泰夫
東京大学大学院 農学生命科学研究科
辻井
薫
北海道大学 電子科学研究所
石田 祐三郎
福山大学 工学部 海洋生物工学科
冨田
房男
放送大学 北海道学習センタ−
伊藤
進
北海道大学 創成科学共同研究機構
中川
和倫
愛媛県立 松山南高等学校
伊藤
雅道
横浜国立大学大学院 環境情報研究院
伊藤
佑子
創価大学 工学部 生命情報工学科
中村
聡
今中
忠行
京都大学大学院 工学部 工学研究科
南部
滋郎
魚住
武司
明治大学 農学部 生命科学科
長谷川
遠藤
勲
埼玉県産業技術総合センタ−
半澤
敏
大島
敏久
九州大学大学院 農学研究院
大森
俊雄
芝浦工業大学大学院 工学研究科
日野
資弘
鎌形
洋一
独立行政法人 産業技術総合研究所
古川
謙介
別府大学食物バイオ学科
東洋紡績(株)ライフサイエンス事業部
別府
輝彦
日本大学 生物資源科学部
河原林 裕
独立行政法人 産業技術総合研究所
辨野
義己
独立行政法人 理化学研究所 バイオリソ−ス
倉光
成紀
大阪大学大学院 理学研究科
星野
貴行
筑波大学 応用生物化学系
河野
敏明
明治製菓(株)食料健康総合研究所
松井
裕
児玉
徹
独立行政法人 食品総合研究所
松沢
洋
青森大学 工学部 生物工学科
名古屋大学大学院 生命農学研究科
丸山
正
独立行政法人 海洋研究開発機構
ダイセル化学工業(株)筑波研究所
向畑
恭男
高知工科大学 総合研究所
独立行政法人 製品評価センタ−
森屋
和仁
北海道糖業(株)バイオ事業部
日本大学生物環境科学研究センター
山岸
明彦
東京薬科大学 生命科学部 分子生命科学科
山本
幹男
日本食品化工(株)研究所
東北大学 反応化学研究所
若木
高善
東京大学大学院 農学生命科学研究科
サントリ−(株)品質保証部
渡辺
公綱
独立行政法人 産業技術総合研究所 生物情報
川上
文清
小林
哲夫
小林
良則
小松
泰彦
佐々木 惠彦
坂口
健二
佐上
博
芝
弘孝
菅原
秀明
鈴木 健一朗
東京工業大学大学院 生命理工学部
生命工学科
功
産業医科大学 産業保健学部臨床病態学
日本大学 生物資源科学部
東ソ−東京研究所 バイオグル−プ
アステラス製薬(株)技術本部
生物工学研究所
国立遺伝学研究所 生命情報研究センタ−
独立行政法人 製品評価技術基盤機構
幹事会幹事
幹事長
庶務
会計
井上
明
東洋大学 生命科学部 生命科学
亀倉
正博
好塩菌研究所
シンポジウム委員会
加藤
千明
独立行政法人海洋研究開発機構
委員長
東洋大学 生命科学部 生命科学
東洋大学 工学部 応用化学科
道久
則之
東洋大学 生命科学部 生命科学
晴幸
京都大学大学院 工学部
八波
利恵
東京工業大学大学院 生命理工
石井
正治
東京大学大学院 農学生命科学
平山
仙子
独立行政法人海洋研究開発機構
九州大学大学院 農学研究院
前田
理久
明治大学
産業技術総合研究所
東京大学
論
良純
委員
独立行政法人理化学研究所
宮崎健太郎
古園さおり
独立行政法人理化学研究所
堀川
高品
東洋大学 生命科学部 生命科学
伊藤
会計監査
政博
跡見
宇佐美
石野
学術活動
伊藤
隆
知典
仲宗根
薫
近畿大学 工学部 化学環境工学
湯本
勳
独立行政法人産業技術総合研究所
三輪
哲也
独立行政法人海洋研究開発機構
國枝
武和
東京大学大学院理学系研究科
青木
俊夫
日本大学生物資源科学部
為我井秀行
日本大学・文理学部
秋野
利郎
合同酒精(株)
高瀬
徳光
森永乳業(株)栄養科学研究所
87
大樹
農学部
理学部
Journal of Japanese Society for Extremophiles (2007) Vol.6
編
集
後
記
学会誌 6 巻は、1・2 号合併号となりました。2007 年度は、夏に学会事務局の移転
があり、てんやわんやの 1 年でした。そうした学会運営の忙しさの中で、学会誌
のほうも編集作業が大幅に遅れてしまい、刊行が遅れたことに対し、会員各位に
心よりお詫び申し上げます。学会誌は当学会の生命線でもあります。今後は、こ
うしたことのないよう心し、年 2 号の刊行を死守してまいります。2008 年度も変
わらぬ、ご支援ご鞭撻のほどお願い申し上げます。
なお、本巻は 1・2 号の合併号としたため、シンポジウム要旨集、ならびに年会要
旨集の部分は別冊としました。会員各位のご理解をお願いいたします。
庶務幹事
加藤
千明
編集委員会
委員長 :石井正治(東大)
副委員長:石野良純(九大)
委
員:阿部文快(JAMSTEC)、伊藤隆(理研)、鎌形洋一(産総研)、河原林裕(産総研)、
高品知典(東洋大)、為我井秀行(日大)、中村聡(東工大)、星野貴行(筑波大)、
三輪哲也(JAMSTEC)、湯本勲(産総研)
学会事務局
〒374-0193 群馬県邑楽郡板倉町泉野 1-1-1
東洋大学 生命科学部 生命科学科 井上研究室内
極限環境微生物学会事務局 井上 明
E-mail: [email protected]
学会誌編集
〒374-0113 群馬県邑楽郡板倉町泉野 1-1-1
東洋大学生命科学部生命科学科 応用極限微生物学研究室(高品研究室)
TEL:0276-82-9201 FAX:0276-82-9201 E-Mail:[email protected]
発刊日
88
2007 年 12 月 31 日