標準化の手順

標準化の手順
(独)産業技術総合研究所(AIST)
計量標準総合センター(NMIJ)
高辻 利之
計量標準
• 正しい測定値が得られているかを保証する
– きちんと校正された測定機を使って
• 国家標準に対してトレーサブルな状態で
– きちんとした手順で測定して
– きちんと不確かさが分かっている状態
• いわゆるトレーサビリティー制度
– 日本では計量法に基づくJCSS制度
• NMIJ/AISTは国家標準の開発・整備・供給を担当
工業標準
• JISやISO等の規格
– 製品の互換性を確保(JIS規格による分類:製品規格)
– 公平かつ信頼性のある検査方法を提供(方法規格)
– 単位等(基本規格)
• 二つを混同しないように
– このコンソーシアムで目指しているのは工業標準
デジュール標準とデファクト標準
• デジュール標準
– 公的な開かれた手続きによる標準
• JIS,ISO等
• フォーラム規格
– 開かれた手続きによる標準
• 工業会規格
• 例:DVD
• デファクト規格
– 企業連合等による標準.最終的には市場が決める.
• VTR:ベータ vs VHS
• パソコン用OS:Windows vs Mac
• 携帯電話:GSM vs PDC
JIS規格の制定
• JIS規格は,「鉱工業品」に係る国家規格
• 日本工業標準調査会(JISC)
– 主務大臣:経済産業大臣
– JIS規格の制定等の付議を受け,調査審議し,答申
• JISCホームページ
– http://www.jisc.go.jp/
• JISの検索等,いろいろ使えるホームページ
– 27名の委員,会長は岡村正氏((株)東芝取締役会長)
国際・国家標準化の枠組み
国際標準化機関
(国際標準化機構,国際電気標準会議)
政策
経済産業省
基準認証ユニット
産業技術総合研究所
ISO,IEC
1国1機関
(ISOはスイスの単なる1企業)
日本工業標準調査会(JISC)
JIS審議団体
JIS
ISO/IEC国内審議団体
この両者はほぼイコール
日本工業標準調査会(JISC)
日本工業標準調査会(JISC)
標準部会
専門委員会
環境・資源循環
専門委員会
消費者政策特別委員会
分野別技術
国際システム
国内システム
知的基盤整備特別委員会
新時代における規格・認証
制度のあり方特別委員会
適合性評価部会
専門委員会
JISマーク制度
管理システム
分野別技術専門委員会
• 全部で26の専門委員会
– (1)土木技術,(2)建築技術,…,(14)機械要素技術,…,
(16)計量計測技術,…,(26)基本技術
• 役割
– JIS案の審議
– それぞれの分野の国際標準及びデファクト標準等の動向
を踏まえた標準化戦略をまとめる
• 「機械要素技術」における標準化戦略
http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g10831i1j.pdf
機械要素技術専門委員会
• 委員
– 委員長 大園成夫 東京電機大学教授
– 委員 10名(高辻も委員)
• 対象分野
–
–
–
–
–
–
1.機械分野の基本的事項
2.ねじ及び締結部品
3.機械部品及び作業工具
4.配管部品関係
5.水道用器具関係
6.工具関係
• 長さ計測機器は過去の経緯によりこの委員会で審議
JIS規格の制定
• 2つの原案作成方法
– 国(主務大臣)がJIS原案を作成
• 「法第11条」に基づく原案作成.多くは民間団体への委託事業.
– 利害関係人(民間団体等)がJIS原案を作成
• 「法第12条」に基づき,国(主務大臣)に申し出る.
– 今後は,法第12条申し出を主流化.国自らは必要最低限
の原案作成に関与.
• 単位,高齢化・身障者関連,戦略分野,等は11条提案
• 提案団体
– 11条:日本規格協会,工業会,学会.戦略分野は公募.
– 12条:だれでも提案できる.
JISの制定プロセス
JISの審議
部会
専門委員会
民間自主作成申し出
(12条)
付議
答申・制定
官報公示
(原案作成委託)
JIS原案
国による原案作成
(11条)
(産業界,企業)
(主務大臣)
(日本工業標準調査会)
(主務大臣)
主務大臣:経済産業大臣,厚生労働大臣,国土交通大臣,文部科学大臣,農林水産大臣
JIS規格の例
表紙の裏にこのような情報が載っている.
規格の最後に委員会の名簿が載っている.
規格を売っているのは日本規格協会(JSA).JSAの責任で解説をおまけにつけている.
合本やJISCのホームページには解説はついていない.
JIS規格の種類
• JIS(フル規格)
– いわゆるJIS
• TS(Technical Specification)
– JISよりもランクが落ちる.JIS/TSではない.
– 規約(Normative)
• TR(Technical Report)
– 情報文書.JIS/TRではない.
– 参考(Informative)
• 作成に当たって
– JISは3者(利害関係者,中立者)で構成される委員会で
審議.TSとTRもそのほうが望ましいが,少し緩い.
本コンソーシアムで作る規格
• 何を作るか
– 可能であればISO.
• 現在JISをISOに整合化させる努力を続けている.
• ISOで作れる見込みがないか時間がかかるものはとりあえずJIS.
• 提案方式
– 基本的に12条提案になるが
• 基準認証研究開発事業とうまく切り分け・リンクさせて11条提案も
可能かも.
国際・国家標準化の枠組み
国際標準化機関
(国際標準化機構,国際電気標準会議)
政策
経済産業省
基準認証ユニット
産業技術総合研究所
ISO,IEC
1国1機関
(ISOはスイスの単なる1企業)
日本工業標準調査会(JISC)
JIS審議団体
JIS
ISO/IEC国内審議団体
この両者はほぼイコール
ISO組織図
総会 年一回開催
理事会
中央事務局
理事国18カ国
事務総長以下163人で構成
技術管理評議会
(TMB)
適合評価委員会
(CASCO)
標準物質委員会(REMCO)
発展途上国対策委員会
(DEVCO)
専門委員会(TC) 188
TC213
消費者政策委員会
(COPOLCO)
分科委員会(SC) 550
作業グループ(WG) 2,175
WG10
ISO/TC 213/WG 10
• TC213:GPS規格について審議
(Geometrical Products Specifications:製品の幾何特性仕様)
– Chairman: Dr. Per Bennich (Denmark)
– P-member: 22, O-member: 29
– http://isotc213.ds.dk/
• WG10:三次元測定機について審議
– Convener: Mr. Johan Dovmark (Denmark)
– Expert: 40∼50
• 高増(東京大学),古谷(東京電機大学),阿部(ミツトヨ),荒井
(東京精密),高辻(産総研)
国内対策委員会
• TC 213の国内対策団体は日本規格協会
– JISの審議団体とイコールのことが多い
– 常設の委員会
– JISを作るときはこの委員会にメンバーを追加して臨時に
JIS作成委員会を結成
– WGの構造はISOと同じではなく,WG 10はG 3が担当
– メンバー
•
•
•
•
TC 213委員長:大園成夫 東京電機大学教授
G 3委員長:高増潔 東京大学教授
G 3幹事:古谷涼秋 東京電機大学教授
G 3委員:阿部(ミツトヨ),大澤(産総研),小倉(ミツトヨ),亀井(工
業会),桑田(桑田事務所),小林(小坂研),高辻(産総研),真下
(群馬県),町井(ニコン),吉田(東京精密),鰐淵(東京貿易)
ISO規格作成プロセス
STAGE1 新規業務項目提案(NWIP)
投票
賛成多数
STAGE2 エキスパートのコンセンサス形成
WD
CD
投票
STAGE3 TC/SCでのコンセンサス形成
賛成多数
STAGE4 DIS投票
DIS
賛成多数
STAGE5 FDIS投票
FDIS
STAGE6 国際規格の出版
賛成多数
暫定規格の例(ISO/DTS 15530-4)
投票用紙の例
その他のISO規格
• ISO/TS,ISO/TR,ISO/PAS等
–
–
–
–
JISの場合,TSとTRには頭にJISが付かない
TS: Technical Specification
TR: Technical Report
PAS: Publicly Available Specification
• TSやTRの場合,投票回数が少ない
• Fast track制度
– メンバー国で既に規格になっている等,条件を満たしたも
のはステージ4からスタートできる
– ISO-CENのウィーン協定
国際比較の重要性の増大
• 経済のグローバル化が進展
– 互換性の確保
• 技術競争の激化
– 標準獲得による優位性の確保.標準の戦略的利用.
• 貿易障壁をなくすとの国際的合意
– WTO/TBT協定(1995年1月発効)
• World Trade Organization/Technical Barrier to Trade
• ユーザ・メーカ双方への利便
– ユーザ:製品の比較における透明性
– メーカ:自社製品の優位性証明,技術開発への利用.
終わり
• メーカ・ユーザ双方に喜ばれる規格作りを目指して
• コンソーシアム(クラブ)活動へのご協力をお願いし
ます.