建築ジャーナル5月号に四居家主屋、土蔵が掲載

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遠景
外観
アプローチ
外観
内観
四居家土蔵再生
数年前に主屋(現在は、長浜市観光インフォメーションセンター)の再生工事の設計を
傾いていた。柱の破損の度合い(範囲)
については、レジストドリルに相等する方法で、そ
担当して工事は完了し、引続き隣接する土蔵をガラス作家の展示館として再生することに
の深さと高さを詳細に調査している。各部位の破損の度合い、又修復の方法は、設計図
なった。
書に詳細に記載され、不測の破損箇所は発見されず工事を完了している。工事の期間
西にある既存入口は修復して残し、展示館としてのアプローチは東にあるポケットパーク側
中、土蔵内にあった箪笥の中から往時の小判が発見され、マスコミを賑わしている。現在
に新設している。新たなエントランスは、伝統的な土蔵の入口の形式を踏襲するのは避け、
その小判は隣接する曳山博物館にて展示されている。2間×3間の小さな建築であるが、
ポケットパーク内に設置されたガラスの黄金屏風に呼応するモダンなデザインとしている。
大規模な建築である曳山博物館の横で大きな存在感を発している。細部まで造り込まれ
この事例は長浜市発注の公共工事であり、施工者は設計図書と仕様書に基づく競争
た質の高い歴史建築物を残すことで生まれる町の豊かさとその意義を実感している。
(島田廣巳)
入札によって決定されるため、我々設計者には詳細な修復仕様書の作成が発注者より
求められることになる。再生工事における修復仕様書の作成、又破損部分の表現の難
しさを感じながら現況調査は徹底して行っている。
土蔵の外壁、柱の破損は激しく、過半の柱脚は蟻害を受け欠損し、建物は南東へ大きく
所 在 地 滋賀県長浜市
建 築 主 長浜市
構造・規模 木造 平屋
延 床 面 積 21.69㎡
施 工 大栄テクノ
竣 工 2014 年
公共建築特集[滋賀県篇] 一級建築士事務所 匠
工房
外観
座敷
アプローチ
庭
四居家住宅復元
四居家は間口 5 間半、奥行 7 間の比較的大きな町家である。四居家の建築
年代は、部材の古さや構造形式から18 世紀はじめと推定され、湖東、湖北
地方における最古級の町屋遺構とされている。
復原内容については、『四居家住宅復原整備に向けての基本計画策定の
ための調査報告書』
(京都府立大学大学院教授 工学博士 大場修編著
2005 年)に基づいて決定され、その文化的価値を損なわないよう配慮され
たものとなっている。
外観の両妻に揚げる卯建の復原については、近くの町家にある形状を調査
し決定している。また、古い町家の店構えであるバッタリ床机と蔀戸、桔ねあ
げ大戸についても、近隣にある町家の類例を参考に形式を決定している。
このような本格的な町家の復原は、私達にとって初めての経験であり、現場
でのディテール決定において右往左往するその時々に、大場先生の御教示、
御指導をいただいて完成している。また、現場担当者の熱意にも支えられ、
精緻な仕上りとなっている。
完成後は湖北観光情報茶屋として、湖北の観光情報の発信拠点として活用
されている。 (島田廣巳)
土間
所 在 地 滋賀県長浜市
建 築 主 長浜市
構造・規模 木造 平屋
延 床 面 積 192.51㎡(1 階:141.16㎡ つし:51.35㎡)
施 工 長住建設
竣 工 2010 年