テーブルゲームのしおり

テーブルゲームのしおり
<はしがき>
かつて筆者が「世界のゲーム」というクラブ活動を主催したとき、テキストとして書いたものを、増補・
再編集してみました。
第一章「テーブルゲーム編」では、欧米で広く知られているのに日本では遊ばれないゲームや、かつて日
本で遊ばれていたのに消滅してしまったゲームを収録しました。そういったマイナーなゲームをあえて取
り上げることで、古い遊びの中に、知らなかった新鮮さを発見してもらおうと願ったのです。
ドミノ ポーカーダイス
盤双六 チェス 軍人将棋
ミル
地方札
第二章「トランプ編」では、おなじみの神経衰弱やババぬきなどはごく簡単な記述にとどめ、そのかわり
ホイストやスコパなど、簡単で面白いのに、なかなか日本ではプレイする人が少ないゲームも収録しまし
た。少ない紙面でけっこう欲張った内容になっています。
基本のトリックゲーム ホイスト 絵札取り ハーツ
ナポレオン ハイ・ロー・ジャック シュナプセン
ラミー スコパ ドロー・ポーカー ブラック・ジャック
神経衰弱 ババぬき 七ならべ ページワン エイト
ダウト 大富豪 スピード 豚のしっぽ
第三章「花札編」は、かなり悩みながら書きました。花札は、地方によってルールが異なるからで、市販
されている花札本のとおりにプレイしている人は、むしろ少数派だと思われるのです。そこで、なるべく
基本はシンプルに、やさしいルールを工夫してみました。
基本の花合わせ
一二四
百落ち
第四章「資料編」は、筆者が集めた乏しい研究資料の中から、本書に関わりのあるものを収録しました。
<テーブルゲームのおきて>
・ゲームは、戦いではなく社交の場。楽しい雰囲気で。
・勝ってもいばらないこと。負けてもおこらないこと。
・道具は、全部あるかどうか必ず数えてから片付けて。
テーブルゲームのしおり(2012 年 8 月版)一ノ瀬武志 著
1
第一章
テーブルゲーム編
ドミノ
ドミノは中国が起源という説があり、シルクロードを通ってヨーロッパへ、そして大航海時代を経て、中南
米などでも盛んに行われているようです。特に夏のビーチなど、屋外で遊ぶのにも適しています。日本では、
もっぱら「ドミノ倒し」だけが知られていますが、ぜひゲームとして遊んでみてください。
(1)牌の配り方(9から人数を引いた数だけ配る、とおぼえましょう。
)
2人なら7枚ずつ。
3人なら6枚ずつ。
4人なら5枚ずつ。
5人なら4枚ずつ。
残った牌は、わきに裏向きのまま寄せておきます。
(2)始め方
を持っている人が最初に出します。いなければ
を持っている人。それもいなければ
、
もなければ配り直しです。
、
、
を持っている人。
、
(3)牌の出し方
プレイは時計回りの順番でおこないます。自分の番がきたら、同じ目どうしがつながるように1枚出します。
両端どちらにつなげてもよいです。
(4)出せない場合
わきに裏向きに寄せてある牌から、出せるものを引くまで引き続けます。
裏向きの牌が残り2枚になったら、もう引かずに以後はパスをします。
(5)終わり方
誰か一人が牌を出し切ったら上がりです。ほかの人は、手に残った牌の目の数を合計し、マイナス点としま
す。誰も上がれなければ、全員にマイナス点がつくことになります。
(6)記録
マイナス点を紙に記録し、何回戦かおこなって、優勝者を決めましょう。たとえば「誰かがマイナス 100
点に達したら終了」などと決めておこなうとよいでしょう。
ポーカーダイス
ポーカーは、アメリカ生まれのトランプゲームですが、それをサイコロで行うのが「ポーカーダイス」です。
酒場のカウンターなどでおこなわれる“大人の遊び”です。
2
・人数
・道具
2~5人くらい。
ダイス5個。
ダイスを振るのに使うカップ。(なくてもプレイ可能ですが、あるとかっこいいです。)
(1)ダイス5個を振ります。
(2)振りなおしたいダイスをいくつか選んで、一度だけ振り直すことができます。なるべく高い役ができるよ
うに振り直しましょう。
(必要がなければ、まったく振り直さなくてもよいです。
)
基本は以上ですが、しかしこれだけでは単純すぎますし、役を知らない人はプレイできません。そこで少し
アレンジしてみたいと思います。チップを一人 10 枚ずつと、次のような紙を用意しましょう。
ファイブ
Five Dice
フォー
Four Dice
フルハウス
Full House
スリー
Three Dice
ツーペア
Two Pairs
ワンペア
One Pair
ノーペア
No Pair
プール
Pool
(ファイブが最も強く、ノーペアが最も弱い役です。ほかに、ストレートという役を採用する場合もあります。)
(3)振ってできた役のところにチップを1枚置き、次の人の番になります。
(4)全員が振り終わって、いちばん強い役を作った人が勝ちです。置かれたチップを全部もらいます。
(5)もし、いちばん高い役を作った人が2人以上いたら、引き分けでチップは全部「プール」へ移動します。
(本
来のルールでは、役が同じならば数が大きいほうの勝ちとなるのですが、ここでは引き分けとします。
)
(6)プールにあるチップは、次回に勝った人が全部もらいます。こうして 10 回戦をおこない、いちばんチップ
を取った人が優勝です。
(もし 10 回戦が終わってもプールにチップが残っていたら、もう1回戦おこなっ
てください。
)
ミル
水車の形をしたゲーム盤を使います。9個ずつの駒を使うので、ナイン・メ
ンズ・モリス(Nine Men’s Morris)という名でも知られています。古代エジプト
で生まれた、たいへん古い歴史を持つゲームです。
人数:
道具:
2人。
ボードと、駒9個ずつ(計 18 個)。自作は難しくないと思います。
(1)交互に、9つの駒を置いてゆきます。
このとき、線上に自分の駒が3つ並んだら「ミル」といって、相手のミルに
なっていない駒をひとつ取り去ることができます。
3
(2)9つを置き終わったあとは、駒を線にそって動かします。
このときも、線上に自分の駒が3つ並んだら、相手のミルになっていない駒
をひとつ取り去ることができます。
たとえば左の図のような場合、黒は駒を行ったり来たりさせて、白をどんど
ん取り除くことができてしまいます。こうならないように、じょうずに駒を置
いてゆくことが大切です。
(3)駒が残り2つになったら負けです。
※「ホッピング」といって、駒が残り3つになったら、一手で好きな場所へ跳べるというルールもあります。
盤双六
古代オリエントで生まれ、ギリシャ・ローマに伝わってルールが整えられ、やがて世界中に広まりました。
「バックギャモン」「トリックトラック」「ナルド」「タブラ」など、各国でいろんな名前で呼ばれています。
日本には飛鳥時代に伝わり、一千年以上にわたって盛んに遊ばれました。クレオパトラ、カエサル、楊貴妃、
マリーアントワネット、聖武天皇、紫式部、大岡越前など、歴史上の人物も愛好したようです。
人数:
道具:
2人。
盤と、駒 15 個ずつ(計 30 個)。サイコロ2個。サイコロを振るために使う筒(なくても可)。
自作するのは難しくないと思います。
●「積み替え」と呼ばれる簡単なルール
(1)盤の一方の端に、15 個ずつの駒をすべて置きます。駒は重ねて積むと
よいでしょう。
(2)サイコロ2個を振って、出た目によって駒を進めます。2個の駒を
別々に動かしてもよいですし、1個の駒を2度動かしてもよいです。
(3)全部の駒を、早く反対側の端に移したほうが勝ちです。ただし、ちょ
うど端に止まらないと、あまった分だけ跳ね返って進むことになります。
●「本双六」と呼ばれる本格的なルール
・2個のサイコロを振って、駒を早く自陣に入れたほうが勝ちです。
駒の初期配置
黒の進行方向
白の進行方向
・サイコロの目にしたがって、2個の駒を動かしてもよいですし、1個の駒を2度動かしてもよいです。
4
(目の合計数で動かすのではありません、よく注意してください。)
・サイコロの目にしたがって動かすことができない場合は、一回休みになります。
(動かすことができるのに、パスするのはいけません。)
・相手の駒が2個以上ある場所には止まれません。
・相手の駒が1個だけならば、はじき出してそこへ止まることができます。
・はじき出された駒は、盤の中央線に置きます。次の手番でサイコロの目にしたがって敵陣の中へ復帰させな
ければなりません。
1~6の目にしたがって復帰できる。
これでは2が出ないかぎり復帰できない。
・はじき出された駒があるうちは、他の駒は動かすことができません。サイコロの目が悪くて復帰できない場
合は、一回休みの状態になります。
●「バックギャモン」と呼ばれる米国式のルール
本双六とほとんど同じですが、次の点が違います。
・第1手は、二人いっしょにサイコロを1つずつ振り、大きい目のほうが先手となります。このときのサイコ
ロの目は、そのまま先手のものとして使われます。(なお、ゾロ目の場合は振りなおします。
)
・以降は、本双六と同じようにプレイしますが、ゾロ目のときは駒を4度動かすことができます。つまり、最
大4つの駒を動かすことができるのです。
・細かい禁則が2つあります。
- 両方の目を使って動かせるのに、片方の目しか
使えないような動きをしてはならない。
- 大きいほうの目を使って動かせるのに、小さいほう
の目だけで動かしてはならない。
この例で「2・5」の目が出た場合。黒Aを動
かせば「2・5」の両方を使うことができるの
に、黒Bを動かすと「2」しか使うことができ
ません。
この例で「3・2」の目が出た場合。黒Aは動けま
せんので、黒Bを動かすしかありませんが、このと
き、小さいほうの「2」の目で動かしてはいけない
のです。
・「ベアオフ」といって、駒を自陣に集めたら、すべて盤から上がらせるまで続けます。
(ベアオフ中に駒がはじき出された場合、ベアオフは一時中断することになります。)
5
目にしたがって盤から上がらせる。
もし6や5が出たら、4を上がらせる。
・ポイント制です。先にベアオフを完了したほうが「1ポイント勝ち」。その時点で、相手が1つもベアオフ
していなければ「2ポイント勝ち」
。相手が1つもベアオフしておらず、しかも自陣や中央線に相手の駒が
残っていれば「3ポイント勝ち」になります。ポイントを紙に記録し、何回戦かおこなって優勝者を決めま
す。「5ポイント先取」とか「7ポイント先取」などと決めておこなうのがよいでしょう。
・
「ダブリング・キューブ」という新しいルールがあります。自分の優勢が決まっているとき、キューブの「2」
を出して、
「これ以上ゲームを続けたいなら、ポイントを2倍にしよう。」という提案をするのです。相手が
負けを認めればそこでゲームは打ち切り、相手がキューブを受け取ればゲーム続行になります。キューブを
受け取った人が、逆に4倍を提案することも可能で、一回提案するごとに倍になります。(最大で 64 倍。)
チェス
インドで生まれたゲームが、ペルシャを経由してヨーロッパへ伝わり、チェスになりました。将棋と違い、
「取ったコマを使うことができない」というルールのためか、なかなか日本では普及していません。
<駒の並べ方と動かし方>
<ポーンの特別な動き>
6
<チェック>
キングが、次に取られてしまう状態を「チェック」といいます。チェックされたキングは、必ず逃げるか、
防がなければなりません。次のような動きは反則です。
①チェックされたのに、ほうっておくこと。
②わざとキングが取られるようにすること。
③相手がチェックに気づいていないからといって、キングを取ってしまうこと。
これらの動きは無効となり、駒を戻してやり直すことになっています。
<チェックメイト>
キングが、どこにも逃げられない状態を「チェックメイト」といいます。ゲーム終了となります。
<投了>
チェックメイトになる前に、自分に勝ち目がないと思ったときには、
「負けました」と言って、終わりにす
ることができます。これを「投了」といい、いさぎよいこととされています。
<引き分け>
次の場合は、引き分けになります。
①まったく同じ手順が3回続けて現れたとき。
②お互いの合意によって、引き分けとしたとき。
③ステイルメイト。
ステイルメイト(Stalemate)とは、動かせる駒がひとつもなく、チ
ェックされていない場合のことです。たとえば右の例で、もし黒の手番
なら、キングはどこにも動けず、ほかに動かせる駒もないので、引き分
けです。
<キャスリング>
キングを安全な場所へ移すことを「キャスリング」といい、次の2つの動きを一手で行うことができます。
①キングが、ルークの方向へ2つ動く。
②ルークが、キングの反対側へ飛ぶ。
キャスリングは、次の条件をすべて満たしていないと、できません。
①キングとルークの間に、駒がないこと。
②キングもルークも、まだ一度も動いていないこと。
③チェックをかけられていないこと。
④キングが通るマスにも、チェックがかけられていないこと。
<さいころチェス>
初心者が、いきなり本格的なルールでやるのは大変ですし、時間もかかります。そこで、駒の動きに慣れる
7
までは、サイコロを使って数分で勝負がつくルールでやってみましょう。(古代インドでは、実際にサイコ
ロを使って競技していたようです。
)
(1)サイコロ1個をふって、出た目の回数だけ、駒を動かすことができます。
(2)キングを取られても構いません。
(3)全滅したほうが負けです。
(なお、動かせる駒がないときは、ステイルメイトではなく「パス」をします。)
軍人将棋
日露戦争の頃から昭和まで、男の子たちの間で盛んに遊ばれていたようですが、軍人の階級を知らない世代
が増えたためか、平成に入ると製造されなくなってしまったようです。普通の将棋と違って“公式ルール”と
呼べるものはなく、駒の種類も数もさまざまでしたが、ここでは小型(15 枚編成)・中型(23 枚編成)を例
にして説明します。
<競技方法>
(1)軍人将棋は行軍将棋とも呼ばれ、競技者2人、審判1人の計3人で遊びます。
(2)競技者は、相手に知られないように、自陣に駒を伏せて(立てて)配置します。
(3)交互に駒を動かし、突入口から敵陣に攻め込んで、敵の駒に重ね合わせます。
(4)審判は、重ね合わせた駒を双方の競技者に見えないように見比べ、強いほうの駒を残し、負けたほうの駒
を盤から取り除きます。もし駒が同じ強さならば、双方とも盤から取り除きます。
(5)審判は必ず正直・公平にして下さい。取り除いた駒は、競技が終わるまで、何の駒か知られないようにし
て下さい。
(6)競技が進んで、早く敵の総司令部を占領した方が勝ちです。ただし総司令部を占領できるのは、大将・中
将・少将・大佐・中佐・少佐に限ります。そのほかの駒が総司令部に入っても、占領したことになりません。
(7)全滅したり、動かせる駒がなくなったときは、負けになります。
<駒の種類>
【小型 15 枚編成】 【中型 23 枚編成】
①地雷(2)
①地雷(2)
②大将(1)
②大将(1)
③中将(1)
③中将(1)
④少将(1)
④少将(1)
⑤ヒコーキ(1) ⑤ヒコーキ(2)
⑥タンク(2)
⑥タンク(2)
⑦大佐(1)
⑦大佐(1)
⑧中佐(1)
⑧中佐(1)
⑨少佐(1)
⑨少佐(1)
⑩工兵(2)
⑩大尉(2)
⑪スパイ(1)
⑪中尉(2)
⑫軍旗(1)
⑫少尉(2)
⑬騎兵(1)
⑭工兵(2)
⑮スパイ(1)
⑯軍旗(1)
四角で囲んだところが総司令部。
<駒の強さ>
駒の強さは上記①~⑯の順です。ただし、
(1)地雷は、勝っても爆発したと見なされ、取り除かれます。
(2)ヒコーキは、飛べるので地雷に勝ちます。
(3)工兵は、解体除去ができるので地雷に勝ちます。
(4)スパイは大将に勝ちます。
(5)軍旗は、後ろに置かれた駒と同じ強さになります。後ろに駒がなければ最弱となります。
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<駒の動かし方>
(1)地雷・軍旗は動けません。また、突入口に置いてはいけません。
(2)ヒコーキに限り、ほかの駒を飛び越えることができ、突入口を通らずに敵陣に入ることができます。なお、
前後に何マスでも動けますが、左右は1マスしか動けません。
(3)タンク・騎兵は、前に1マスか2マス、左右・後ろに1マス動けます。
(4)工兵は、前後左右に何マスでも動けます。
(5)上記以外の駒は、前後左右に1マス動けます。
<その他>
(1)地域によっては、地雷を総司令部に置いてはいけないというルールや、軍旗を最下段に置いてはいけない
というルールもあるので、競技前に確認合意しておきましょう。
(2)審判がいないときは、攻撃を受けたほうの人が駒を見て、負けた駒を取り除く、という方法をとるとよい
でしょう。
地方札
戦国時代、南蛮船によってトランプが日本に伝えられ、やがて日本風のデザインに変化し、広く遊ばれまし
た。昭和の中頃まで製造されていたようです。左から「一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、馬、切」
と呼ばれ、4つのマークは上から「パウ」「イス」「オウル」「コップ」と呼ばれます。
かつては、日本各地にさ
まざまな地方札があっ
たのです。
これは赤八と呼ばれる
近畿地方の札。一には
「竜」が、十・馬・切に
は「従者・騎士・王侯」
が描かれているのです
が、デザインが崩れて分
かりづらくなっていま
す。
ここでは、「よみ」という遊び方を、ファミリーゲーム風にアレンジして紹介します。
<よみ>(2人~6人くらい)
例えば場札が八だったら、九、十、馬、切、というように、数上がりにつながる札を出してゆき、手札を早
く終わらせた人が勝ち、というゲームです。
(1)親を決め、手札として6枚ずつ配り、場札として1枚さらします。残りは山札とします。
(2)親から順番にプレイします。場札につながる札があれば出すのです。
・「一」は化け札といい、何の代わりにもなります。(鬼も、化け札として使います。)
・「二」は付け打ちといい、二の後に二を続けて出しても良いです。
・「切」のあとは、好きな札を出すことができます。例えば、馬、切、四、五、というように出してよいの
です。
・連続した札は、一回の手番で出すことができます。
・出せる札がないときはパスをします。出せる札を持っているのにパスをしても構いません。全員がパスを
したときは、最後に出した人が、山札を一枚めくって新しい場札にし、続行します。
(3)誰かが手札を出し終わったら「上がり」で、プレイ終了です。誰も上がれなかったときは引き分けです。
※普通の上がりは1ポイント、一手で6枚出して上がった場合は2ポイントとし、碁石などをやりとりする
と、より楽しめます。
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第二章
トランプ編
・カードを配る人を「ディーラー」と言います。ディーラーの決め方にはいろいろあり、たとえば(A)各自一
枚ずつ引いて、最も強いカードの人がなるという方法、(B)誰でもよいので、全員に1枚1枚表向きに配っ
てゆき、最初にJが当たった人がなるという方法、(C)ジャンケンなどで決める方法、などがあります。
・二回戦目以降は、(A)前回の勝者がディーラーになるという方法、(B)順番に交代でディーラーになるという
方法、などがあります。
・ディーラーの左どなりの人を「エルダー」と言います。カードを配るときは、エルダーの分から時計回りに
配ります。プレイも、エルダーから時計回りです。したがってディーラーの手番は最後になります。
基本のトリックゲーム(2~5人)
“トリック系”と呼ばれる競技はたくさんありますが、まずは基本部分だけで遊んでみましょう。
(1)手札として 10 枚ずつ配ります。残りは山札とし、その一番上をめくって「切り札表示カード」とします。
(2)最初はエルダーが、手札の中から1枚表向きに出します。これを「台札」と言います。
(3)時計回りに、ほかの人も1枚ずつ出します。
・台札と同じマークのカードがあるならば、必ず出さなければなりません。(これをマスト・フォローと言い
ます。嘘のないように、紳士的におこなわねばなりません。)
・台札と同じマークのカードがなければ、何を出しても構いません。
(4)全員1枚ずつ出そろったところで、一番強いカードを出した人がカードを獲得します。これを「トリック
を取る」と言います。
【切り札のマーク > 台札のマーク > その他のマーク】
・同じマークの中では、ランクが高いカードが勝ちになります。
【A>K>Q>J>10>9>8>7>6>5>4>3>2】
・獲得したカードは、何回トリックを取ったか分かるように積み重ねておきましょう。
(5)トリックを取った人が、新しい台札を出して、(3)から繰り返します。
(6)手札が終わったところで一回戦終了です。取ったトリック数を紙に記録し、何回戦かおこなって優勝者を
決めます。伝統的には「7ポイント先取」とか「11 ポイント先取」などと決めておこないます。
ホイスト(4人競技)
のちに「ブリッジ」の母体となった、正統派のゲームです。ホイスト(Whist)とは「しっ、黙って!」と
いう意味で、自分の手の内をしゃべったりするのはマナー違反です。
(1)二対二のパートナー戦ですので、味方どうしで向き合って座ります。
(2)手札として 13 枚ずつ配ります。このとき、ディーラーの手札の最後の1枚は、いったん表向きにし、「切
り札」として見せてから手札におさめます。どのマークが切り札なのか、全員しっかり見ましょう。
(3)あとは、「基本のトリックゲーム」のようにプレイを進めます。
(4)手札が終わったところで一回戦終了です。パートナーで取ったトリック数を合算します。全 13 トリック中、
過半数である7回を取ったチームが「1ポイント勝ち」となります。以下、8回なら2ポイント勝ち、9回
なら3ポイント勝ち・・・となります。
10
(5)ポイントを紙に記録して、何回戦かおこない、優勝チームを決めます。
絵札取り(2~7人)
明治の頃、外国の遊びだったトランプのルールを、日本風にアレンジしたものと思われます。
(1)人数によって、使うカードの枚数を調節します。2人なら 52 枚全部、3人なら 51 枚、4人なら 52 枚全部、
5人なら 50 枚、6人なら 48 枚、7人なら 49 枚。抜き取るのは「2」のカードがよいでしょう。
(2)手札として4枚ずつ配り、残りは山札とします。切り札表示カードはなく、一回戦ごとに「クラブ→ダイ
ヤ→ハート」の順に、切り札が変わっていきます。スペードは切り札になりません。
(3)あとは「基本のトリックゲーム」のようにプレイするのですが、以下の点が違います。
・スペードのAは「オールマイティー」と呼ばれ、最強となります。
【オールマイティー > 切り札のマーク > 台札のマーク > その他のマーク】
・取ったカードの中から絵札(K・Q・J)だけ抜き出して、手元に並べておきます。
・トリック1回ごとに、山札からカードを1枚ずつ補充し、常に手札が4枚になるようにします。補充は、ト
リックを取った人から時計回りにおこないます。
・山札を使い切ったあとは、手札が終わるまでプレイします。
(4)プレイが終わったら、絵札の枚数をポイントとして記録します。あるいは、K=20 点、Q=10 点、J=5
点、として計算し、記録する方法もあります。何回戦かおこなって、優勝者を決めましょう。
ハーツ(3~5人)
マイナス点をとってはいけない“あべこべゲーム”です。
(1)人数によって、使うカードの枚数を調整します。3人なら 51 枚、4人なら 52 枚全部、5人なら 50 枚。抜
き取るのは「2」のカードがよいでしょう。
(2)カードを全員に配りきって、「基本のトリックゲーム」のようにプレイしますが、以下の点が違います。
・切り札はありません。したがって、カードの強さは【台札のマーク > その他のマーク】となります。
・取ったカードの中からハートだけ抜き出して、手元に並べておきます。
(3)プレイが終了したら、獲得したハートの枚数を、マイナス点として記録します。ただし、ハートを 13 枚す
べて集めると逆転勝利になり、他の人にマイナス 13 点がつくというルールもあります。何回戦かおこなっ
て、優勝者を決めましょう。
ナポレオン(4人~6人)
ナポレオンと呼ばれるゲームには、多くのバリエーションがありますが、ここでは2つ説明します。
(1)手札として5枚ずつ配り、残りは使いません。つまりトリックは5回だけです。
(2)エルダーから、5回のうち何回勝てそうか宣言してゆきます。これを「ビッド」といい、ビッド2~ビッ
ド5の範囲で、前の人よりも高い宣言をしなければなりません。勝ち目がないと思う人は宣言をパスします。
(3)最も高い宣言の人が「ナポレオン」になります。
(全員パスしたときは、ディーラーがビッド1でナポレオ
ンになります。)ほかの人は「連合軍」になります。
(4)ナポレオンは、自分に有利なマークを切り札として指定してから、最初の台札を出します。あとは「基本
のトリックゲーム」のようにプレイします。
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(5)プレイ終了後、ナポレオンが宣言よりも多くのトリックを取ったら、宣言数をポイントとして記録します。
宣言に達しなかったときは、宣言数をほかの人のポイントとして記録します。なお、ナポレオンがビッド5
を達成したときは、ポイントが2倍になります。何回戦かおこなって、優勝者を決めましょう。
<別の方法>(日本式ナポレオン)
(1)手札としてすべてのカードを配りきるのですが、端数のカードは裏向きにしておきます。
(2)絵札を何枚取れそうか、エルダーから宣言します。絵札はK・Q・Jの計 12 枚というルールと、A・K・
Q・J・10 の計 20 枚というルールがあり、いずれにせよ、その半数以上を宣言するのが良いでしょう。前
の人よりも高い数で宣言しなければなりませんが、勝ち目がないと思う人はパスしてもかまいません。
(3)最も高い宣言をした人がナポレオンになります。ナポレオンは、端数のカードをもらって、いらないカー
ドを捨てることができます。また、
「副官は○○のカードを持っている人」と指名し、パートナー戦にする
ことができます。(副官に指名されても、知らん顔でいてください。)副官なしで戦うこともできます。
(4)ナポレオンは、自分に有利なマークを切り札として指定してから、最初の台札を出し、あとは「基本のト
リックゲーム」のようにプレイします。取ったカードは、絵札だけ抜き出して、手元に並べておきます。
(5)プレイが終わったら、ナポレオンと副官の絵札数を合算して、宣言以上ならナポレオンと副官に1ポイン
トずつ。宣言以下なら他の人に1ポイントずつが与えられます。紙に記録し、何回戦かおこなって優勝者を
決めます。
※ほかにも、正ジャック(切り札のJ)
・裏ジャック(切り札と同色のJ)
・マイティー(スペードのA)とい
った特殊札を設けるなど、ローカルルールが非常に多いゲームです。
ハイ・ロー・ジャック(2人競技)
特に英米で遊ばれる、軽快な2人競技です。「セブン・アップ」などとも呼ばれます。
(1)ディーラーは手札として6枚ずつ配ります。残った札の一番上を「切り札表示カード」として開きます。
(2)エルダーは、
「この切り札表示カードでよい」と思ったら、そのままプレイに入ります。エルダーが「拒否」
したときは、ディーラーが3枚ずつ手札を配り、新しい切り札表示カードを開きます。エルダーがまた「拒
否」したら、そのたびにディーラーはこれを繰り返します。もし、山札を使いきっても切り札が決まらない
ならば、この回は流れとなり、初めからやり直します。
(3)エルダーが「拒否」しても、ディーラーが「ギフト」と宣言すれば、配り直しをせずにプレイを始めるこ
ともできます。このときは「ギフト」としてエルダーに1ポイントが贈られます。
(4)余分な手札を捨てて、6枚にします。つまりトリックは6回だけです。なるべく切り札や、強いカードを
残すとよいでしょう。
(5)エルダーが最初の台札を出し、あとは「基本のトリックゲーム」のようにプレイします。マスト・フォロ
ーの原則に従うのですが、ただし「切り札はいつでも出してよい」ということになっており、他のゲームと
は違うので注意してください。
(6)プレイ終了後、取り札を調べます。
【ハイ】
切り札の中で、一番高いカードを取った人に1ポイント。(Aとは限りません。
)
【ロー】
切り札の中で、一番低いカードを取った人に1ポイント。(2とは限りません。
)
【ジャック】切り札のJを取った人に1ポイント。(Jが使われなかった場合はポイントなし。)
【ゲーム】 A・K・Q・J・10 を多く取った人に1ポイント。(同点の場合はポイントなし。)
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・本来は、A=4点、K=3点、Q=2点、J=1点、10=10 点という計算をするのですが、面倒ならば「A・
K・Q・J・10 の枚数が多いほうに1ポイント」というルールでよいでしょう。
・ハイとジャックが同じカード、というようなこともありますが、そのときは両方のポイントが得られます。
(7)ポイントを紙に記録します。
「正」の字を書いて記録するとよいでしょう。何回戦かおこなって優勝者を決
めます。普通は7ポイント先取です。
シュナプセン(2人競技)
「六十六(独)」「ベジーク(英仏)
」「ピノクル(米)」など、多くの発展形があり、欧米では広く遊ばれて
いる本格派の競技なのですが、計算が複雑なため、残念ながら日本では遊ぶ人がほとんどいません。
(1)使用するのは、A・10・K・Q・Jの計 20 枚です。たったこれだけのカードで、濃密なゲーム展開になり
ます。カードの強さは、Aの次が 10 なので注意してください。
【A > 10 > K > Q > J】
・カードの点数は「A=11 点、10=10 点、K=4点、Q=3点、J=2点」です。
・最終トリックを取ったほうにボーナスとして 10 点が加算されます。
・点数の総計は、ボーナスを含めて 130 点ですので、その過半数である 66 点を取ると勝ちになります。
(2)手札として5枚ずつ配ります。残りは山札とし、一番上のカードをめくって、山札の下に半分見えるよう
に入れます。これが切り札表示カードですが、山札の最後の1枚としてゲームにも使用します。
(3)エルダーが最初の台札を出し、あとは「基本のトリックゲーム」のようにプレイするのですが、以下の点
が違います。
・トリック1回ごとに、山札からカードを1枚ずつ補充し、常に手札が5枚になるようにします。補充は、ト
リックを取った人からおこないます。
・自分が台札を出す番のとき、手札に同じマークの「K・Q」がそろっていたら、
「マリッジ」という役で 20
点になります。相手に2枚とも見せたあと、どちらか1枚を台札として出します。なお、切り札のマリッジ
は倍の 40 点です。
・山札があるうちは、マスト・フォローの原則にしたがう必要はなく、自由にカードを出すことができます。
山札がなくなったら、以後はマスト・フォローの原則にしたがい、マリッジも認められません。
(4)プレイ中は、いつも自分の点数を把握しておき、66 点に達したところで「ストップ」を宣言すれば、ただ
ちに1ポイント勝ちになります。このとき、相手が半数(33 点)に達していなければ2ポイント勝ち、相
手が無得点だったら3ポイント勝ち、とします。
・ただし、ストップを宣言したのに 66 点に達していなかったら、罰として相手に2ポイントとします。
・どちらもストップを宣言しないまま最後までプレイしたときは、点数の多いほうに1ポイントとします。
(5)ポイントを紙に記録し、何回戦かおこなって、優勝者を決めましょう。伝統的には7ポイント先取、また
は 11 ポイント先取です。
※本来のルールでは、取った札は裏向きに重ねて、プレイ中に見てはいけないことになっています。つまり、
しっかり暗算していないとストップをかけることができないという、ハードな頭脳戦なのです。
※さらに、次のような細かい規則もあります。
・切り札のJを持っていたら、自分が台札を出す番のときに、切り札表示カードと交換することができます。
・自分の手札だけで勝てると判断したら、「クローズ」と宣言して、山札を閉じてしまうことができます。以
後はマスト・フォローの原則に従い、マリッジも認められません。ボーナスの 10 点も加算されません。
・クローズを宣言したにも関わらず、66 点に達することができなかった場合は、罰として相手に2ポイント
とします。
※簡単ルールとして、「A=10 点、10=10 点、K=5点、Q=5点、J=5点」でおこなうと計算しやすい
でしょう。この場合、ストップの宣言は 80 点です。
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ラミー(2人競技。4人まで可)
特に米国で人気があり、
「ジン・ラミー」
「セブン・ブリッジ」など“ラミー系”の遊び方の基本になります。
(1)手札は 10 枚ずつ配ります。残りは山札として積んでおき、1枚めくって捨て札とします。
(3~4人で遊ぶこともあります。そのときは手札を7枚ずつにします。)
(2)プレイは、山札または捨て札から1枚取り、いらない札を1枚捨てるのです。捨て札は表向きに、一ヶ所
にまとめておきます。
(3)1枚取って1枚捨てるまでの間に、以下のことができます。
・メルド
同じランクの札が3枚以上そろったら、さらすことができます。また、同じマーク3枚以上のつながった札
ができたら、さらすことができます。これを「メルド」と言います。なお、このゲームではAとKはつなが
りません。Aは常に1と見なします。
・レイオフ
「付け札」とも言います。自分や相手がさらしているメルドに、付け足すことができるのです。
(メルドやレイオフをしたあと、捨て札を忘れてしまうことが多いので気をつけましょう。
)
(4)こうして、早く手札をなくしたほうが勝ちです。相手側は、残った手札をマイナス点として計算します。
・A=1点、2~10=数字どおり、J・Q・K=10 点として計算します。
・もし、メルドもレイオフもせずに上がれたら、「ラミー」といって相手のマイナス点が2倍になります。
・だれも上がらないうちに山札が終わってしまうこともあります。そのときは全員にマイナス点がつきます。
あるいは、捨て札をひっくり返して山札にし、続行するというルールでもよいでしょう。
(5)マイナス点を紙に記録し、何回戦かおこなって、優勝者を決めましょう。
スコパ(2~4人)
イタリアの伝統的なゲームです。札と札を合わせて釣り上げるようなゲームですので、“フィッシング系”
と呼ばれます。点数計算や細かいルールを、少し易しくアレンジしてみました。
(1)K・Q・Jを除いた 40 枚を使います。手札を3枚ずつ配り、場札を4枚さらし、残りは山札とします。
(2)プレイは、まず手札から1枚を場に出し、合わせられる札があれば合わせて取ります。
・手札から出したカードと、同じ数字のカードは、合わせて取ることができます。
・手札から出したカードと、合計が等しくなる複数枚のカードは、合わせて取ることができます。
・何も取ることができない場合は、ただ場に出すだけです。
・プレイ中、場札を空にしたときは、「スコパ」といってポイントになります。取り札を1枚横向きにして、
スコパの回数をカウントしておきます。
(3)こうして3巡すると手札がなくなりますので、また3枚ずつ配って続行します。手札も山札もなくなった
ら一回戦終了です。場札は少し残ります。
(4)ポイントを記録します。「正」の字を書いて記録するとよいでしょう。
【カード】取った札の枚数が多い人に1ポイント。(同数がいるときはポイントなし。)
【ダイヤ】取ったダイヤの枚数が多い人に1ポイント。(同数がいるときはポイントなし。)
【セブン】ダイヤの7を取った人に1ポイント。(取った人がいなければポイントなし。)
【スコパ】場札を空にするたびに1ポイント。
(これは競技中にカードを1枚横にしてカウントします。
)
(5)こうして何回戦かおこない、優勝者を決めます。普通は7ポイント先取とか、11 ポイント先取です。
14
※このゲームは反時計回りにプレイします。これが日本に伝わって「花札」になったため、花札競技も反時計
回りでおこなうのです。
ドロー・ポーカー(2人~6人くらい)
チップを取り合うゲームは“ギャンブル系”と呼ばれ、ほかに「ブラック・ジャック」などがあります。
<ポーカーハンド> 弱い順です。
1.ノーペア(役がない状態。)
2.ワンペア
3.ツーペア
4.スリーカード
5.ストレート(5枚が数つながりになること。2-A-Kという“Aをまたぐつながり”は不可。)
6.フラッシュ(5枚とも同じマークになること。)
7.フルハウス(スリーカードとワンペアの複合。)
8.フォーカード
9.ストレートフラッシュ(ストレートとフラッシュの複合。)
10.ロイヤルストレートフラッシュ(A-K-Q-J-10 のフラッシュ。)
※ほかに、ジョーカーを入れてファイブカードを認めているルールもあります。
※ポーカーハンドが同じときは、まず役の部分を比較し、ランクの高いほうが勝ちです。それも同じなら、
役以外のカードを比較し、ランクの高いほうが勝ちです。それも同じなら引き分けとします。
(1)参加料を場に置きます。「チップ1枚」などと決めておきましょう。そして手札を5枚ずつ配ります。
(2)1回目の賭けをします。エルダーから宣言してゆきます。
【コール】賭けを開始することです。あるいは、前の人と同額のチップを賭けることです。
【レイズ】前の人よりもチップの額を上げることです。
【ドロップ】勝負を下りることです。それまで賭けたチップは戻ってきません。
・レイズがあった場合、それまでにコールした人も、不足分を賭けてコールするか、ドロップするかします。
(3)ドロップした人は手札を伏せます。他の人は、手札から交換したいカードを裏向きに捨てて、同数のカー
ドをもらいます。交換は、ひとり1回だけです。(まったく交換しなくても構いません。)
(4)2回目の賭けをします。コール・レイズ・ドロップのいずれかを宣言します。
(5)チップがそろったところで、手札を見せ合い、もっとも高い役だった人がチップを総取りします。一人を
除いてみんな下りてしまったときは、手札を見せる必要がなく、勝ちとなります。
(6)このゲームは切りがないので、たとえば「何時まで」というように時間を決めておこなうとよいでしょう。
<ジャックポット> このルールを採用すると、たまったチップが一度に動くので、より楽しめます。
・1回目の賭けのとき、Jのワンペア以上がない人は、賭けを始めることができず、パスをします。
・誰か一人がコールしたら、パスした人もコール・レイズ・ドロップを宣言できるようになります。
・全員がパスだったときは、新たに参加料を置いて、カードをはじめから配り直します。
※なお、近年ではドロー・ポーカーではなく、
「セブンカード・スタッド」や「テキサス・ホールデム」など
“7枚のカードの中から5枚選んで役を作る”というルールのほうが主流になっています。
ブラック・ジャック(2人~6人くらい)
ディーラー対プレイヤーで行います。「ディーラーは5回交代」などと決めて行うのもよいでしょう。Aは
1点か 11 点と見なし、K・Q・Jは 10 点、他のカードは数字通りで、合計が 21 点に近いほうが勝ちです。
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(1)プレイヤーは好きな枚数のチップを賭けます。(チップの上限を決めておきましょう。)そしてプレイヤー
には表向きに2枚配り、ディーラーには表向きに1枚・裏向きに1枚配ります。このとき、2枚のカードで
21 点ができていたら「ブラック・ジャック」という役で、それ以上カードをもらう必要がありません。
(2)プレイヤーは、必要なだけカードをもらうことができます。カードが欲しいときは「ヒット」、いらないと
きは「スタンド」と宣言するのです。22 点を越えたらパンクで、賭けたチップは直ちにディーラーに没収
されます。
(3)プレイヤーのプレイが終わったら、ディーラーは裏向きの1枚を公開します。このとき 16 点以下ならば、
17 点以上になるまでカードを引き、17 点以上ならばもう引くことはできません。
(つまり機械的にプレイ
するだけです。)ディーラーがパンクしたときは、パンクせずに残ったプレイヤー全員の勝ちになります。
(4)ディーラーとプレイヤーの点数を比べ、負けたプレイヤーのチップは没収し、勝ったプレイヤーには賭け
と同数のチップを与えます。ブラック・ジャックで勝ったプレイヤーには2倍のチップを与えます。引き分
けのプレイヤーには賭けたチップを戻します。
ミニゲーム集
日本で特にポピュラーなゲームを選んでみました。「神経衰弱」などを除き、ほとんどが“手札を早く終わ
らせた人が勝ち”というゲームであり、“ゴー・アウト系”と呼ばれています。
●神経衰弱
(1)札をよくまぜ、テーブルの上に裏向きに広げます。
(2)どれでも2枚めくって、同じランクのカードなら取ることができ、そのときは、続けてプレイできます。
違っていたら、2枚とも元に戻し、次の人の番になります。
(3)すべてのカードがなくなったところで終了です。取ったカードの枚数が多い人が勝ちです。
●ババぬき
(1)ジョーカーを入れ、よくまぜた札を、全員に配りきります。
(2)ペアになっているカードを場に捨て、残った手札を扇子のように広げて持ちます。
(3)隣の人の手札から1枚引いて、もしペアができたら場に捨てます。そして次の人に、自分の手札から1枚
引いてもらいます。
(4)こうして、最後までジョーカーを持っていた人が負けになります。
●七ならべ
(1)よくまぜた札を、全員に配りきります。次に、7のカードを持っている人は場に出し、縦一列に並べます。
(2)場札につながる札を、1枚ずつ出してゆきます。出せないときはパスをします。
(3)こうして、早く手札がなくなった人が勝ちです。
※パスを3回までに制限したり、ジョーカーを入れるなど、ローカルルールがいろいろあります。
●ページワン
(1)手札として4枚ずつ配り、残りは山札とします。切り札はありません。
(2)一人が台札を出し、他の人は同じマークの札を出します。ないときは、出せる札を引くまで山札から引き
続けます。
(3)一番高いカードを出した人は、使った札をテーブルのすみに片付け、新しい台札を出します。
(4)これを(2)から繰り返すのですが、手札があと一枚になった人は「ページワン」と宣言しなければなりませ
ん。これを忘れたら、山札から5枚引かされます。
(5)早く手札を終わらせた人が勝ちです。
●エイト(アメリカン・ページワン)
(1)手札として5枚ずつ配り、残りは山札とし、山札から1枚めくって台札とします。
(2)台札と同じマークか、同じランクのカードを、手札から1枚ずつ出してゆきます。
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・出せないときは、出せる札を引くまで山札から引き続けます。
・8はオールマイティーで、何の代わりにもなります。8を出した人は、好きなマークを指定します。
(3)早く手札が終わった人が勝ちです。ただし8で上がることはできません。
※地方ルールがいろいろあります。
【J】ジャンプ。次の人は一回とばされます。
【Q】クイックターン。逆回
りになります。
【2】ドロー2。次の人は山札から2枚引かされます。ただし2を出せば引かされずに済み、
さらに次の人が計4枚を引かされることになります。
※ほかにも、3のカードを「ドロー3」とするルール、手札が残り1枚になったら「ページワン」と宣言し、
それを忘れると5枚引かされるルール、手札の数字の合計が台札と同じになったら、一度に出して上がるこ
とができる「ドボン」というルール、などがあります。
●ダウト
(1)よくまぜた札を、全員に配りきります。端数も配りきって構いません。
(2)1・2・3・・・というように、数を宣言しながらカードを裏向きに出してゆきます。同じランクの札は、
一度にまとめて出しても構いません。13(K)の次は1(A)がつながります。
(3)出されたカードが嘘だと思った人は「ダウト」と宣言します。嘘を見破られた人は、場に出ているカード
を全部手札に加えなければなりません。もしそれが本当のカードだったら、ダウトを宣言した人が、場に出
ているカードを全部手札に加えなければなりません。
(4)こうして、早く手札を終わらせた人が勝ちです。
(みんな終わるまで続けるのはつらいので、誰か一人が終
わったら終了としたほうが良いです。)
●大富豪(大貧民)
(1)よくまぜた札を、全員に配りきります。
(2)一人が台札を出し、以降は「前の人よりも高いランクのカード」を出してゆきます。
・このゲームでは、なぜか2が最高ランクとなっています。
【2>A>K>Q>J>10>9>8>7>6>5>4>3】
・パスは何回でもできます。全員がパスするまで何周でも続け、最後にカードを出した人が、今出ているカー
ドをわきに片付け、新しい台札を出して続行します。
・新しい台札を出すとき、同じランクのカードが複数あったならば、まとめて出すことができます。そのとき
は、他の人も同じ枚数で、カードを出さなければなりません。なお、4枚まとめて出したときは「革命」と
いい、カードの順位が逆転するルールもあります。(つまり3が最も高いカードになります。
)
・「階段」といって、同じマークで3枚以上の数つながりを、台札として出せるルールもあります。
(3)こうして、早く手札を終わらせた順に「大富豪・富豪・平民・貧民・大貧民」と呼ばれます。
※二回戦目からは、プレイの前に、大富豪と大貧民の間で2枚ずつ、富豪と貧民の間で1枚ずつ、カード交換
を行うというルールもあります。このとき、貧民・大貧民は最も高いカードを差し出さなければなりません。
●スピード
(1)2人競技です。赤と黒に分けた 26 枚ずつを、手札として裏向きに持ち、各自の手元に4枚を表向きになら
べて場札とします。
(2)「せーの」という掛け声で、場の中央に台札を二人同時に出します。
(3)手元の場札の中から、数上がりや数下がりで台札につながるカードを“早い者勝ち”で重ねていきます。
マークは関係ありません。自分の台札だけでなく、相手の台札に重ねることもできます。なお手元の場札は、
いつでも4枚になるように手札から補充します。
(4)2人とも出せなくなったときは、
「せーの」の掛け声で、手札から新しい台札を同時に出します。手札がな
いときは、手元の場札から1枚を台札として出すことになります。
(5)早く手札・場札がなくなった人が勝ちです。
●豚のしっぽ
(1)すべてのカードを裏向きに「C」の字のように広げます。
(2)どれでも1枚引いて、表向きに中央に出してゆきます。前の人のカードと少しずらして重ねるとよいです。
(3)前の人のカードと同じマークが出たら、そのカードを全員で一斉に叩きます。手が重なりますが、このと
き一番遅かった人が、中央のカードを全部もらいます。なお「お手つき」も同様のペナルティーとします。
(4)一番カードを多く取った人が負けです。
17
第三章
花札編
まずは、札の点数をおぼえましょう。
二十点札
十点札
五点札(短冊札)
カス札(1点とする地方と、0点とする地方があります。
)
どの札が何月を表しているか、だんだんにおぼえるとよいでしょう。
札を配ったり、プレイを始めたりする人のことを「親」といいます。ジャンケンで決
めてもよいですが、正式には一人1枚ずつ札を引いて、最も若い月を引いた人が初回
の親になります。親から反時計回りでプレイするのが原則です。
次回からは、勝った人が親になります。(引き分け・同点の場合は、親または親に近
い席順の人が次回の親になります。
)
18
基本の花合わせ(3人競技)
(1)親は、手札と場札を配ります。
手札を7枚ずつ配り、場札を6枚さらし、残りは山札として積んでおき
ます。これを「手七・場六」と言います。
(このとき、同じ月の札が3枚出たら「一引き」といって、ひと重ねにして取れる
ようにしておきます。4枚出たときは「場四」といって、親の取り札にします。な
お、場四は配り直しにする地方もあります。)
(2)親からプレイを始めます。
まず、手札を1枚出して、同じ月の札があれば合わせて取ります。
次に、山札を1枚めくって、同じ月の札があれば合わせて取るのです。
(合う札がなければ、場に捨てることになります。)
取った札は、二十点札・十点札・五点札・カス札に整理し、手元に並べて置
きます。ほかの人からも見やすいように並べましょう。
(3)こうして反時計回りの順でプレイし、手札が終わったところでプレイ終了です。取り札を計算します。
(4)カス札を1点とする地方では基準点を 88 点、カス札を0点とする地方では基準点を 80 点とし、基準点か
らの点差を+-で紙に記録します。
たとえば基準点を 80 点とした場合、
100 点取ったA氏は、+20
75 点取ったB氏は、- 5
65 点取ったC氏は、-15
合計が±0 になることを確かめながら記録しましょう。
(5)勝者が次回の親になり、何回戦かおこなって優勝者を決めましょう。たとえば6回戦とか、12 回戦などと
決めて行うとよいでしょう。
カッコの中には累計点を書いてゆきます。この例では、
6回戦が終わった時点で、A氏が 30 点で優勝です。
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一二四(3人競技)
かつての「八八」という競技から派生した、とてもスピーディー
な遊び方です。まず、各自の持ち点として碁石などを配りましょ
う。たとえば一人 10 枚ずつあれば充分です。
(1)手七・場六に配り、親から反時計回りにプレイします。プレイ中に次の出来役ができたら、そこで打ち切
って、ほかの2人から碁石をもらいます。
●四光
●赤短
●青短
○猪鹿蝶
四光ができたとき。
碁石4枚ずつもらいます。
四光以外ができたとき。
碁石2枚ずつもらいます。
何もできなかったときは、取り札の点数で勝った人。(目勝ち)
碁石1枚ずつもらいます。
目勝ちが2人同点のときは、碁石1枚ずつを敗者からもらいます。3人同点のときは引き分けです。
(2)勝った人が次回の親になり、何回戦か行います。たとえば「碁石をすべて失った人が出た時点で終わり」
という取り決めで行うとよいでしょう。あるいは「何時まで」と時間を決めて行うのもよいでしょう。
※はじめに場札をさらしたとき、二十点札があったら「大場」といって、得点を2倍とするルー
ルもあります。「大場」と書いた札を自作して、目印として置くと分かりやすいでしょう。
※出下り[でおり]を行えば、4~6人で遊ぶこともできます。
・札は、人数にかかわらず手七・場六に配ります。
・親から反時計回りに「出る」か「下りる」か宣言してゆきます。下りる人は、手札を山札に戻します。
・もし親が下りたならば、次の席の人が親になります。
・出る人が3人に達しないときは、あとの席順の人が強制的に出て、必ず3人になるようにします。これを
「3人しばり」といいます。
・出る人が3人に達したら、あとの席順の人は強制的に下ろされます。下ろされる人が、どうしても出たい
場合は、「追い賃」を回して、誰か代わりに下りてもらいます。
追い賃
碁石1枚。ひとり回すごとに1枚ずつ加えてゆく。
・追い賃は、
「出る」と宣言した人へ反時計回りに回します。
・追い賃が回ってきたら、もらって下りてもよいですし、下りないならば追い賃を加えて、次の席へ回しま
す。誰も下りなければ、回した本人がもらって下ります。
※手十・場八に配れば、2人で遊ぶこともできます。
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百落ち(2人競技)
簡単な二人競技です。100 点を目指して勝負するので「百落ち」と呼ばれます。
(1)手八・場八に配り、親から交互にプレイします。手札が終わったところでプレイ終了です。
(山札や場札が
少し残ります。)
(2)2人の点差を、勝者の得点として記録します。(敗者にマイナス点は付けません。)
(3)勝者が次回の親になり、(1)から繰り返します。得点を累計してゆき、先に 100 点に達したほうが優勝です。
カッコの中には累計点を書いてゆきます。この例では、A氏が先に 100 点を
越えたので、A氏の優勝になります。
※出来役を採用すると、より楽しい競技になるでしょう。たとえば1役できたら 30 点、2役できたら 60 点、
3役できたら 90 点・・・とするのもひとつの方法です。何の役を採用するか、よく相談しましょう。
例: 赤短・青短・猪鹿蝶は、1役につき 30 点とする。
四光は2役、五光は3役として扱う。
※出来役があった場合、まず点数分の取り札を相手に捨てさせます。
(もらうのではありません。)
そのあとで、互いの札を相殺[そうさい]すれば、2人の点差が出ます。
たとえば、A氏とB氏の取り札が、左図のようだったと
します。
A氏には青短の役ができているので、B氏に点数分の札
を捨てさせます。
(この例では、1役を 30 点としています。)
そして、互いの札を相殺してゆけば点差が残ります。こ
れを紙に記録するのです。
(この例では、A氏が 15 点となります。)
21
第四章・資料編
ゲーム用のドミノは厚みがなく、テーブルに立てて置くことはできませんので、手に持ってプレイするのです
が、手の小さい日本人ですと、少し大変かも知れません。
左は「ダブル・シ
ックス」と呼ばれ
る 28 枚の標準的な
セット。
右は「ダブル・ナ
イン」と呼ばれる
55 枚のセット。
ダイスカップとポーカーダイス。「A、K、Q、J、10、9」が六面に描かれています。
右はポーカーチップ。玩具店で売られている家庭用と、本格的なカジノ用。
ミルは、単体ではなく複合製品として売られているのを、ときどき見かけます。
この例は、ミルのほかに、「チャイニー
ズ・チェッカー」や「ソリティア」など
を同梱したセット。
左は日本の盤双六。かつては嫁入り道具のひとつだったようです。
中はトルコのボード。イスラム圏らしい幾何学模様がほどこされていて、美しいです。
右は西洋のバックギャモン・ボード。アタッシュケースの内側に、道具類が収まるようになっています。
22
チェスとチェッカーが同梱されたセット。白と黒に塗り分けられたボードは、もともとチェッカーというゲー
ムのためのもので、それがチェスに流用されるようになったのだそうです。
軍人将棋。小型 15 枚編成、中型 23 枚編成、大型 31 枚編成。将棋盤は、ルールなどが書かれた紙製のものが
一般的で、折り目のしわしわの上で我慢しながら遊んだものです。
駒の形が不ぞろいだったり、ス
タンプが曲がっていたりと、粗
末な作りですが、それもまた昭
和の玩具の味わいです。
19 世紀ごろのトランプ。われわれがよく知っているクラブ・スペード・ダイヤ・ハートの4つのマークは、
フランスが起源なので「フレンチ・スート」と呼ばれています。52 枚構成で、ホイストなど 13 トリックをお
こなうゲームに適しています。
23
イタリアの地方札。棍棒・刀剣・貨幣・聖杯が描かれており、「ラテン・スート」と呼ばれます。
40 枚構成で、スコパなどは本
来このようなカードで遊ばれ
ます。8が従者、9が騎士、
10 が王です。
なお、イタリアには地方札が
たくさんあります。この例は
トレント地方のもので、ラテ
ン・スートが描かれています
が、地方によってはフレン
チ・スートのところもあるよ
うです。
日本の地方札は、何が描いてあるか分かりづらいものが多いのですが、これは着色前の「骨刷り」と呼ばれる
もので、ラテン・スートが日本風に変化したものだと分かります。10 が従者、11 が騎士、12 が王です。
戦前の花札道具。かつて、お座敷などで花札が盛んに遊ばれていたころの品です。花札や碁石などの道具類が
ぴったり収まるように、無駄なく設計されています。
左は和風の仕込み箱。
右は洋風の仕込みカバン。芸
者さんや舞妓さんの持ち物
だったようです。
24