地理誌叢 Vol.50 No. 1 pp.157∼163 (2008−11) 地理教育におけるフィールドワーク 牛 込 裕 樹 * 1.はじめに 2.地理教育におけるフィールドワークの 位置づけ 2008 年 3 月に告示された中学校新学習指導要 領は,方法知を重視した内容から,内容知をこれ までより多く盛り込んだ内容に変化している. フィールドワーク 1) 現在フィールドワークという言葉は,地理学の みでなく,さまざまな分野で使用され始めている に関連する中項目「身近な が, ここでは, 地理学および地理教育における 地域の調査」においては,「地域社会の形成に参 フィールドワークという用語の使用について整理 画しその発展に努力しようとする態度を養う」と したい. いう一文が加えられ,フィールドワークが単に視 浮田編( 2005 )によると,フィールドワークと 点や方法を身につける目的だけの調査ではないこ は,「研究室内での活動を指すデスクワークと対 とがこれまでよりも強調されている.社会科の目 比される」ものであるとしている 3 ).また,日本 標は「公民的資質の基礎を養う」ことであり,ま 地理教育学会編( 2006 )によると,地理学におけ た,学習指導要領改訂の趣旨にも,「地域の発展 るフィールドワークとは, 「研究者が直接地域に に貢献しようとする態度を養う」という目的が記 出かけ,観察・計測・聞き取りなどの手法を用い されている.このことからも,自らの暮らす地域 て研究資料を収集する調査活動」と説明されてい について理解を深め,さまざまな人々と接点をも る.これに対し,地理教育の分野においては,こ ちながらおこなうフィールドワークの学習効果 れよりも広義にフィールドワークという用語を定 は,社会科において必要不可欠なものであると考 義している. える 2). 地理学においてフィールドワークは,「野外調 本稿では,地理教育におけるフィールドワーク 査」と訳されることが多いが,地理教育において の定義や位置づけをおこなった上で,実際にどの は,「地域調査」という言葉が用いられる場合が ようなフィールドワークが実践されてきたか実践 多い.この両者の違いについて,「地域調査」と 事例を紹介するとともに,その課題点を析出し, は,文献調査など屋内における作業も広く含む意 今後の地理教育におけるフィールドワークのあり 味が込められており,野外での調査のみを指すも 方について検討する. のではないという指摘が多くされている 4 ).これ また,フィールドワークは,小・中・高等学校 は,地理学におけるフィールドワークと地理教育 のそれぞれの段階で行われており,研究事例もそ におけるフィールドワークの役割が必ずしも同一 れぞれに存在するが,本稿ではおもに中学校にお ではないからである. また, 地理教育において ける取り扱いに焦点を当て,検討をおこなった. は,教育という営みを前提とするため,「子ども キーワード:フィールドワーク,身近な地域,地理教育 * 大妻中野中学校・高等学校 ─ ─ 157 地 理 誌 叢 第 50 巻 第 1 号(2008) たちの地域での体験に基づいた調査・学習活動全 5) が用いられるようになった.この変化について山 般をさす」 とされている.すなわち地理教育で 口( 2002 )は,「目的概念か方法概念かという議 は文献や統計資料の収集に加え,巡検,社会科見 論からすると,方法概念が重視されていったこと 学や農業体験などもフィールドワークの範疇に含 を意味」するとしている.このことを踏まえて山 まれ,より広義にとらえるという特徴がある. 口は,「郷土の発展に貢献しようとする態度の育 地理教育においてフィールドワークを広義にと 成が必要であり,「地域」という概念では,この らえる理由は,その学習が単に方法知を習得する ような態度的・主体的側面が不十分であり,「郷 ためのものではないということを意味している. 土」という概念の復活を期待する」としている. フィールドワークの実践は,単に調査手法などの 「身近な地域」の学習におけるフィールドワー 方法知の習得が目的なのではなく,地域社会との クは,山口の指摘の通り,方法知が重視された内 つながりを創出するという大きな役割を担ってい 容となっているが,「身近な地域の発展に努力し る.現代の核家族化の進行や地域社会との接点の ようとする態度を育てる」7 ) ということも示され 希薄化は大きな社会問題になっているが,このよ ている.調査手法に関しては,学習指導要領解説 うな社会においてさまざまな地域の人々と出会 に読図や統計分析,アンケート調査などが示され い,交流できる機会をつくることが地理教育にお ている 8)が,具体的な実施方法は,現場の教員に けるフィールドワークの大きな意義のひとつに 任されている部分が多い. なっている. 4.フィールドワークの実施形態 3.学習指導要領におけるフィールドワー クの取り扱い 地理教育におけるフィールドワークの実施に関 しては,これまでの実践報告や研究報告から,以 地理教育におけるフィールドワークの重要性や 下のような分類ができる. 課題は, 古くから取り上げられており, 実践報 ①社会科地理の授業時間内におこなわれるもの. 告,方法論ともに,年代を問わず,多くの研究や ②総合的な学習の時間の中でおこなわれるもの. 報告の蓄積がみられる. ③学校行事に組み込まれておこなわれるもの. 昭和 30 年代まで, 中学校における「身近な地 ①は,最もオーソドックスな形態である.山鹿 域の学習」は, 「地域」ではなく「郷土」という言 ( 1960 )は,その実施方法として,学習のはじめ 葉で表現され,単に方法知の習得という側面だけ に予習的意味でおこなうもの,ある単元における ではなく,自らが生活する郷土をみつめ,愛着を 授業計画内の中間におこなうもの,学習の最後に もつことが大きな目的として掲げられていた 6 ). 実際の観察を通して立証しようとするものの 3 つ しかし, 当時の郷土の学習は小学校にまかせら の方法があるとしている.その中でも山鹿は,あ れ, 「中学校における郷土の学習は等閑視される る単元における授業計画内の中間におこなうもの 傾向にあった」と山鹿(1960)は指摘している. について,ある程度学習が進んでから野外調査を 山鹿は, 「郷土の学習が地理的なものの見方や おこなうことで,生徒の観察が精密におこなうこ 考え方を養う基礎となり,また生徒の発達段階に とができ,また,調査の後にもう一度教室で学習 応じて指導の観点や深さが異なってくるのである できるので,調査をやりっぱなしにせず,有効に から,中学校においてもそれに合致した郷土の指 活用できるとし,最も学習効果の期待できる方法 導がおこなわれなければならない」という考えを であると指摘している. 示している.昭和 44 年版中学校学習指導要領か らは「郷土」という言葉に代わり,「身近な地域」 しかし今日, 授業時数内においてフィールド ワークに割ける時間が多くとれないのも現実であ ─ ─ 158 地理教育におけるフィールドワーク る.そのような現実に即して,簡便なフィールド 村 野( 2000 ) は, 校 外 学 習 の 中 で お こ な う ワークの事例の提示もみられる. たとえば宇野 フィールドワークについて実践事例をもとに検討 ( 2006 )は,地理学習や地域に興味をもたせる目 している.村野の実践では,フィールドワークを 的で, 2500 分の 1 の地図を持って現地に出かけ, 重視した修学旅行のあり方を検討し,中学校 1 年 五感で体感したことを教室でまとめるという, 1 次から 3 年次までの各学年で,それぞれの段階の 時間完結型のフィールドワークを提案している. 校外学習でフィールドワークを設定し,他教科と また,さらに地域にフィールドワークへ出る前段 連携しながら内容の深いフィールドワークを実践 階として,学校内におけるフィールドワークを提 している. 示している.このようなフィールドワークの実施 校外学習にフィールドワークを取り入れる際の 事例は,現在の学校の諸事情を考慮に入れ,多く 課題としては,現地での指導体制が挙げられる. の学校で実現できる可能性が高い方法として大い 事前学習は,地理の授業時間等を利用して,各ク に参考になるといえる. ラスの統一性をもたせられるが, 現地での指導 ②の総合的な学習の時間の中でおこなわれるも は,生徒数などとの関係で,地理教員がすべて説 のに関しては,八田( 2008 )の実践事例が参考に 明や指導ができる状況であるとは限らない場合が なる.中学校では現行の学習指導要領より,「総 多い.現地での指導は,引率教員全体にゆだねら 合的な学習」の時間が設置されたが,八田は,国 れることになるのである.したがって校外学習に 9) 語科と連携し ,総合的な学習として「地理巡検」 おけるフィールドワークは,大規模校には不向き を実施している.その方法は,おもにそれぞれの であると考えられる. 教科の時間を活用しながら読図学習などの事前学 習を 1 ヶ月ほど進め,その学習をもとに,学校周 辺の地理巡検をおこなうというものである. 5.フィールドワーク実施をめぐる課題 本章では,フィールドワーク実施上の課題(阻 総合的な学習としておこなわれるフィールド 害要因)について,篠原(1994,2000)の報告や日 ワークは,年間のカリキュラムの中に組み入れら 本大学地理学会でおこなったアンケート調査結果 れるため,事前学習にも十分な時間がとれ,野外 報告をもとに検討する. 観察も充実したものになると考えられる.また, 篠原は, 小・ 中・ 高・ 大学の各段階における 総合的な学習は, 「文字通り教科の枠を超えて多 フィールドワークの実態と課題について,教員に 面的な見方をし, その力を養えるのが目的であ 対してアンケート調査をおこない, フィールド る.しかしその学習は教科の学習と密接に結びつ ワークをおこなわない(おこなえない)理由につ いており,教科の学習を総合的な学習に生かし, いて分析している.その理由として小・中・高の また,総合的な学習での成果を教科の学習に生か 各段階に共通しているのは,「意義は認めるが時 すというサイクルが大切である」と八田は指摘し 間がとれない」, 「生徒児童の交通事故が心配であ ている. る」の二点である. このことを踏まえて八田は, 「総合的な学習で また,日本大学地理学会は,日本大学文理学部 おこなうフィールドワークは,事前学習や野外で 地理学科および日本大学大学院地理学専攻の卒業 の観察を通して得た成果を教科に還元できる重要 生・修了生で中・高の教員になっている者を対象 な学習」であると指摘している. にアンケート調査をおこなっている 10 ).その結 ③の学校行事に組み込んでおこなう事例は,修 果を見ると,野外調査および巡検を実施している 学旅行などの際に取り入れられている場合が多 校数は,中学校で 33 校中 8 校,高等学校では 73 い. 校中 1 校のみという結果が示されており,フィー ─ ─ 159 地 理 誌 叢 第 50 巻 第 1 号(2008) ルドワークの実施校は極めて少ない.中学校にお おける野外実習の不足,教育現場における野外調 ける野外調査の阻害要因としては,「授業時数の 査に関する研修システムの不確立,文教予算の不 減少に対して学習事項が多いことから時数を確保 足などが,野外指導に自信のない教員を増加させ できない」, 「安全対策」の二点が挙げられている. ているという指摘をしている. また,高等学校における野外調査の阻害要因には, これらの指摘のなかで「教育現場における野外 「時間的制約が大きい」,「休業時間,土曜日・日 調査に関する研修システムの不確立」について 曜日・祝祭日を利用できない」,「学校の協力体制 は,近年,大学や各種の研究会において現職教員 が得られない」,「生徒の関心が得られない」の四 対象の巡検や研修が多く企画され始め,研修機会 点が挙げられており,篠原の報告とほぼ同様の課 が増加しているのも事実である.たとえば,千葉 題が挙げられている. 県高等学校教育研究会地理部会は,野外調査技術 校務や生徒指導に関わる時間の増加が,教材準 研修会を年 1 回おこなっている.また,2007 年に 備の時間を圧迫し,通常の授業準備にも多くの時 発足した全国地理教育学会では,年に数回,地理 間を避けない状況に陥っている教員が多いのは事 教育巡検という名称で,首都圏を中心にではある 実である.生徒の安全に関しては,交通事故の危 が地理教育をテーマにした巡検を企画している. 険に加え,生徒児童を狙った凶悪な犯罪が増加し さらに国士舘大学では,2001 年より中・高社会科 ているという状況を考えると,フィールドワーク 教員のためのワークショップを年 1 回開催し,地 を実施する際の安全確保は最重要課題である.さ 域調べの方法の講義や, 実際に野外実習をおこ らに,このような現在の状況は,生徒を校外に連 なっている.また,日本大学地理学会では,おも れて行くこと自体を困難にしている.実際に野外 に教職についている卒業生を対象に巡検を開催す へ出ることを考えたとき,時間の制約と安全面の るなど,現職教員に教材を研究する機会を提供し 問題の指摘は地理教員のみの努力では解決できな ている.このほかにも大学の地理学教室や学会, いものであり,学校全体や地域で解決策を探って 研究会主催で巡検等がおこなわれており,現職教 いく必要があると考えられる. 員のフィールドワークに関するスキル不足を補う 安全面の課題に関しては,松岡( 1992 )の実践 機会は増えつつあるといえる 11). が参考になる.松岡は,野外観察の有効性を生か 次の課題としては,現職教員が,このような研 しつつ課題を克服する方法として,自作ビデオに 修の機会を活用できる状況にあるか否かである. よる「身近な地域の学習」を実践している.その 研修や学会活動への参加が,校務の増加やそれぞ 実践を通じて松岡は,生徒が毎日生活する場所を れの学校の諸事情で困難な場合も多く,せっかく 対象にしてビデオ教材を作成することで,野外観 の研修機会を活用できない教員が多いのも事実で 察と同じような成果が得られると分析している. あり,教員の教科教育に対するスキルアップを目 安全面や時間的制約などの課題の多くは,教員 的とした研修への参加が促進されるようになるこ 自身の努力のみでは解決できないものが多いが, 教員自身の研鑽で解決できる点もあると考えられ る. 6.フィールドワークをおこなえる教員の 養成 とが望まれる. 7.これからのフィールドワーク 地理教育においてフィールドワークの必要性は 誰もが認めるところである.本章では,これまで の地理教育におけるフィールドワークの成果や課 フィールドワークの実施を阻害する要因として 前章に挙げたものの他に,篠原( 2000 )は大学に 題を踏まえた上で,これからのフィールドワーク の方向性について検討する. ─ ─ 160 地理教育におけるフィールドワーク 教材として共有化されていくことが必要であると これまで地理教育におけるフィールドワークの いえる. 研究,実践は,授業内でおこなわれるもの,総合 的な学習の時間の中でおこなわれるもの,学校行 山鹿( 1960 )は郷土の学習において, 「実際に 事に組み込まれておこなわれるものなど,様々な 作られた各地の指導例が多く紹介され,相互に研 形態と実践事例があるのは前述したとおりであ 究,討議されることが必要であろう」という考え る.しかし現実には,安全面や時間的制約,教員 を示している.今後は,フィールドワークの実施 のフィールドワークに関するスキルの問題などか 例が広く公開され,指導例が蓄積されていくこと ら,実施していない学校が多いのも事実である. で諸課題を克服し,フィールドワークの実施を活 発にしていく必要がある. このような状況を鑑みると,これからはまず, どの学校でも実現可能なフィールドワークの方法 また,フィールドワークを実施しやすい環境に を検討していく必要があると考える.フィールド ある場合は,地理教育におけるフィールドワーク ワークの実施は,指導のできる教員の存在と各学 の位置づけにもあるように,方法の習得だけでな 校の諸事情や教員配置に左右される面が大きいと く子どもたちの地域での体験に基づいた調査や学 考えられる. たとえば 1 学年のクラス数の多い 習に重点を置く必要があると考える. さらに,フィールドワークの成果を発表できる 中学校では,複数の教員で 1 学年の地理の授業を 分担しておこなうことも珍しくない.中学校は, 場を設けることが,学習意欲や達成感を感じさせ 高等学校に比べ各教員間における授業内容の統一 る上でも必要であると考えられる. 性が求められる場合が多いため,各教員間で授業 全国中学校地理教育研究会では,「フィールド 内容を綿密に確認する必要がある.その結果,と ワークインジャパン」という行事を催し,生徒の くに,地理を専門としない教員と分担して授業を フィールドワークの成果を発表できる機会を与 おこなうような場合は,フィールドワークの実施 え,フィールドワークの楽しさと,やりがいを披 が難しくなってしまう.このような場合は,宇野 露する場を提供している.今後は,このような活 ( 2007 )の事例のような 1 時間完結型の簡便な 動の裾野が広がり,それぞれの学校の置かれた状 フィールドワークならば,比較的計画しやすいと 況に合ったかたちで実施されたフィールドワーク 考えられる.また,フィールドワークに割ける時 の成果を発表できる環境を整えていく必要もある 間が少ないという現状からも,簡便に実施できる と考えられる. フィールドワーク教材の研究が今後の課題である (2008 年 9 月 30 日受付) と考えられる. さらに, 実施されたフィールド (2008 年 10 月 20 日受理) ワークが,その方法や目的も含め,誰もが使える 注 1) フィールドワークという言葉は学習指導要領に 2) フ ィ ー ル ド ワ ー ク の 意 義 に つ い て は, 桜 井 明記されてはいないが,本稿では,地理学にお ( 2001 )や寺本他( 2003 ),星野他( 2004 ),相澤 けるフィールドワークの定義の部分を除き,す (2006)などで言及されている. べて地理教育で用いている広義の意味での 3) 最新地理学用語辞典では, 「フィールドワーク」 フィールドワークとして使用している. また, について,さほど厳密な定義はないとも記され 参考文献等で「野外調査」, 「地域調査」と記され ている. ている場合も,上記の意味でのフィールドワー 4) 戸井田( 2007 )は,小林浩二編( 2007 )の中で, クと解釈し,用語を使用している. 「地理教育で地域調査は,野外調査(=フィール ─ ─ 161 地 理 誌 叢 第 50 巻 第 1 号(2008) 有無についての項目があった.その結果は,安 ドワーク)と必ずしもイコールではな」く,「野 外調査をも含む,より広い概念として位置づけ 孫子他( 2005 )にまとめられている.また,この られてきた」と指摘している. アンケート調査を基に小林( 2005 )は,高等学校 5) 日本地理教育学会編(2006)p.202 による. における野外調査の阻害要因についてまとめて 6) 昭和 33 年版学習指導要領の内容には,「郷土に おり,校務の増加とともに,地理的な視点や方 法を,野外調査を通じて身につけさせるための 関する理解と関心を深め, 広い視野に立って, 授業時間の不足を指摘している. 郷土の発展に努力しようとする態度を養う」と記 されている. 11) 現職教員への研修機会の提供も重要な課題であ 7)「平成 10 年版学習指導要領解説−社会編−」によ るが,篠原( 2000 )は大学における野外実習の不 る.また,平成 20 年 7 月に示された「新中学校学 足も原因であると言及している.また,田中他 習指導要領解説−社会編−」では, 「地域社会の形 ( 2008 )は,日本大学地理学科における研究活動 成に参画し」という言葉が付け加えられている. をまとめ,野外実習(巡検)の回数や行き先等に 8)「平成 10 年版学習指導要領解説−社会編−」による. ついて分析をおこなっている.過去の野外実習 9) 具体的には,身近な地域の自然に深く関わって の実施状況を整理し,実施数や実施内容を定期 いる文学作品の解説や創作の背景について国語 的に検証していく作業が,野外実習の不足や内 科で取り扱い,社会科(地理)でその作品に関連 容の偏りを防ぐことにつながるのではないかと する 場 所 の 地 形図学習や現地での観察をおこ 考えられる.また.卜部( 2005 )は,地理教員が なっている. 大学時代に役立ったと感じた講義・実習につい て分析し,フィールドワークの重要性を指摘し 10) アンケート調査は地理教育全般にかかわるもの ている. であり,その中の一部にフィールドワーク実施 参考文献 誌叢, 46(2) ,28−39. 相澤善雄(2006) 『地理授業研究』古今書院. 安孫子知広・石坂克己・小林正人・宮地忠幸( 2005 ) 地理教員アンケートからみた地理教育の現状と 桜井明久(2001) 『地理教育学入門』古今書院. 篠原重則(1994)中学校社会科学習「身近な地域」の授 課題.地理誌叢,46(2) ,2−27. 業実態と教師の意識.新地理, 42(1) ,18−31. 井上征造・相澤善雄・戸井田克己( 1999 ) 『新しい地 篠原重則( 2000 )地理教育における野外調査の実態と 理授業のすすめ方―見方・考え方を育てる―』古 今書院. その際構築への提言.新地理, 47(3・4) ,132−141. 田中絵里子・森田 圭・沼尻治樹・西尾和彦・山登一 浮田典良編(2005) 『最新地理学用語辞典』原書房. 輝(2008)日本大学地理学科 80 年の歴史と研究活 宇野彰人( 2006 )五感で多面的・多角的にとらえる地 動にみる地域的特徴―卒業研究・巡検・学術発表 による分析結果から―.地理誌叢,49(1),66−80. 域性.澁澤文隆編『再発掘・心を揺さぶる地理教 材 1』古今書院, 96−97. 寺本 潔・井田仁康・田部俊充・戸井田克己( 2003 ) 宇野彰人( 2006 )学校をフィールドにした調査活動. 澁澤文隆編『再発掘・心を揺さぶる地理教材 1 』 『地理の教え方』古今書院. 戸井田克己( 2007 )フィールドワーク指導の課題.小 古今書院, 102−103. 林浩二編『実践地理教育の課題』ナカニシヤ出版, 卜部勝彦( 2005 )地理教育において中学・高等学校教 員が役立ったと認識する大学の地理学専門科目. 222−236. 日本地理教育学会編( 2006 )『地理教育用語技能事典』 地理誌叢,46(2) ,40−49. 帝国書院. 小林浩二編(2007) 『実践地理教育の課題』ナカニシヤ 八田二三一( 2008 )中学校の「総合的な学習」を生か 出版. した地理巡検の実施.地理教育研究, 1 号, 9−18. 小林正人(2005) 「地理教育アンケート」にみる高等学 星野 朗・岩渕 孝・大野 新・小林 汎・田代 博 校地理教育の現状と地理教育観の類型化.地理 編( 2004 ) 『地理教育をつくる 50 のポイント』大 ─ ─ 162 地理教育におけるフィールドワーク 『中学校学習指導要領』. 文部省(1969) 月書店. 松岡路秀( 1992 )中学校社会化地理的分野における自 文部科学省( 2004 ) 『中学校学習指導要領(平成 10 年 作ビデオによる「身近な地域」の実践.新地理, 40(1), 21−28. 12 月)解説―社会編―』大阪書籍. 山鹿誠次( 1960 )中学校における郷土学習の展開―長 村野芳男( 2000 )野外観察・調査を主体とした校外学 野県岡谷市の例―.地理,5(8) ,135−140 習と地理教育.新地理,47(3・4), 150−157. 山口幸男(2002) 『社会科地理教育論』古今書院. 文部省(1958) 『中学校学習指導要領』 . Hiroki USHIGOME* : Fieldwork in Geographical Education Key words : field work, local area, geographical education * Otsuma Nakano Junior & Senior High School ─ ─ 163
© Copyright 2024 Paperzz