FD 関連研修会 参加報告書 主 催 企 画 名 称 ・テーマ 国立教育政策研究所 高等教育研究部 国立教育政策研究所 科学研究費助成事業 TUNING Workshop―学位プログラムの体系化に向けて 開催日時<会場> 平成 25 年 12 月 9 日(月) 早稲田大学国際会議場 参 加 者 所 属 文学部 英米学科 参加報告 1.研修会の趣旨 欧州では、欧州高等教育圏の確立をめざすボローニャ・プロセスの実質化を図る目的で、 大学が自主的に参加する「チューニング」の取り組みが 2000 年より行われている。「チュー ニング」とは、専門分野ごとに学生に身につけさせようとする能力(コンピテンス)の枠組を 定義し、大学の自律性や多様性を尊重しながらコンピテンス枠組に則した学位プログラム を構築する方法や手続きのことである。このチューニングについての理解を深め、学位プロ グラムの体系化が課題となっている日本の大学において、チューニングが援用できるの か、その可能性を議論するために開催されたワークショップである。なおこのワークショップ は一般公開ではなく、大学教育改革やカリキュラム改編に携わる者を対象としたものであ る。 2.研修会の概要 チューニングの取り組みを先導してこられた、オランダ・フローニンゲン大学ローベルト・ワ ーヘナール教授によるチューニングの解説と、歴史学分野におけるチューニングによる学 位プログラム開発の実例紹介の二つがワークショップの中心であった。また、一橋大学にお けるチューニングの事例を松塚ゆかり教授が、カナダ・オンタリオ州におけるチューニング の事例をメアリー・キャサリン・レノン氏(オンタリオ州高等教育質保証カウンシル上級研究 アナリスト)が、それぞれ紹介した。 チューニングの基本としては、社会的なニーズに応える学位プログラムを構築することで ある。プログラムの開発は教員の仕事であるが、雇用者や学生(学友会ではない)の意見も 取り入れている。専門的な能力も必要であるが、汎用的な能力も養われるようなプログラム が必要である。たとえば、昔は歴史学専攻の学生は歴史の教員となったが、現在では 10% の学生しか教員にならず、他の職業に就いている。その意味では歴史学に関する能力の 養成だけはいけない。リーダーシップやチームで協働するといった能力の養成もプログラム の中に含まれうるのである。 3.本学の FD 活動における検討課題 本学は人文学系の学部・学科が中心であり、卒業生の大半がその専門分野の専門家に なるということは考えられない。その意味では学位プログラムの構築においては、専門分野 の知識・能力だけではなく、雇用者の求める能力の養成も視野に入れる必要があるだろう。 チューニングでは汎用的な能力については 30 以上の項目が列挙されているが、その全て を網羅する必要はなく、どの能力をプログラムに組み入れるかは各分野で選択することにな る。本学でもディプロマ・ポリシーが策定されているが、やや抽象的な感が否めない。もっと 細部にわたる具体的な能力を項目として設定し、それぞれの能力がどこでどのようにして養 われ、また、その養われた能力がどのような形で、またどのような尺度で測定されるのかを明 確にしていく必要があるのではないかと考える。
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