平成22年度全国高等教育研究所等協議会

FD 関連研修会 参加報告書
主催
全国高等教育研究所等協議会
企画名称・テーマ
平成 22 年度全国高等教育研究所等協議会
開催日時<会場>
平成 22 年 8 月 11 日(水)<比治山大学>
参加者所属
社会福祉学部 社会福祉学科
参加報告
1. 研修会の趣旨
高等教育研究の推進及び普及並びに加盟研究機関相互の交流の促進を図るために
2008 年に発足した「全国高等教育研究所等協議会」加盟機関が一堂に会し、昨年度ま
での活動状況、今年度の課題、今後の展望等について相互に報告し、討論を深めるため
に会議および講演会を開催した。
2.研修会の概要
2-1 加盟機関の報告
桜美林大学
大学教育開発センター、関西学院大学
高等教育推進センター、関西
国際大学 高等教育研究開発センター、京都産業大学 教育支援研究開発センター、
東海大学
教育研究所、比治山大学
高等教育研究所、佛教大学
教授法開発室、
龍谷大学 大学教育開発センター
2-2 全体討論
2-3 講演 潮木守一 桜美林大学名誉教授 「点検評価から自己診断への進化」
3.本学の FD 活動における検討課題
今回、協議会に集まった加盟機関は規模や学部構成においてそれぞれ特色をもち、大
学組織における機関そのものの性格・機能も異なることから、必ずしも本学教授法開発
室(以下、室と略)の課題そのものと合致しないこともあったが、具体的な活動への取
り組みにおける諸課題には共通するところもいくつかみられた。
第 1 に組織上の位置づけについてであるが、大学評価を含む IR 機能をも併せ持つ機関
においては、トップダウン機能が求められている半面、すべての構成員の理解と主体性
を促す上ではボトムアップの仕組みも必要で、その融合的な運用の困難さが指摘された。
本学のように教学部の下にある室においては、ルーティーン業務の遂行の際に、構成員
に協力を仰ぐのみで、強制力を発揮することはできない。この課題を乗り越えるために
は、学部レベルでの議論を喚起し、自発性に期待するほかはない。その意味で、室員の
選出については室長からの個別依頼ではなく、学部選出にしていく必要があるのではな
いか。
第 2 に大学評価への対応の一環としても、IR 機能をいかに確立するのかという問題が
あげられる。いうまでもなく、IR は大学経営戦略を立てる際に不可欠なものであるが、
ここでいう IR はそれにとどまるものではなく、学生支援に有効な IR 機能をも包含する。
本学で取り組んでいる FD 活動の結果も含め学生の個別情報をとりこみながら、学部単
位、大学全体の動向を把握し、数年先を見通した大学運営戦略をたて、在学生への教育
効果をあげていくようなしくみをいかに作っていくのかの検討である。本学においてこ
れを検討する際には、教授法開発室・教育開発課を超えたレベルの事務機構で臨むこと
が不可欠であろう。
第 3 に多様な FD 活動を具体的な授業改善に結び付けていく方策についてである。授
業アンケートや各種の調査等については、IR の素材とはなりえても授業改善にダイレク
トにむすびつけるのは困難であるのは各機関の共通課題であるようだが、新任教員研修
会、教員研修会、教育プログラム開発支援制度等は教員が授業改善に主体的に取り組む
契機となりえている。現在、本学では新任教員研修等に取り組めていないが、「京都 FD
開発推進センター」主催の研修への参加奨励等で対応している。今年度秋学期に向けて、
新任教員を対象としたワークショップやアンケート、意見交換の場をもつことも検討す
べきであろう。また、各学部における独自の取り組みに対して財政的支援を行い、その
成果を全学的に共有する場をもつことも効果的だと考えられる。
第 4 に講演で指摘された点であるが、7 年に 1 度の認証評価制度をどう積極的に受け
止め、できるだけ効率的に対応し、かつその成果を効果的に学内で共有することの必要
性についてである。本講演については、残念ながらタイトルから期待していたような内
容は語られなかったが、基本的なこととして、日常的なデータ蓄積の必要性、得られた
データを認証評価にも、学内戦略策定にも活用できるようなものにしていくことの重要
性、全国動向のみならず地域におけるライバル大学のデータをベンチマークとして位置
づけ、入試戦略、経営戦略に役立てていくことの必要性が指摘された。本学室において
も、調査活動の結果等を定量化する方向で蓄積することも必要であろう。
以上