家族法の フロンティア

特集
家族法の
フロンティア
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
6
夫婦別姓
窪田充見
再婚 禁止 期間(待婚期間)
前田陽 一
親子関 係 不 存 在確認訴訟
法
法学
学教
教室
室
JJuunnee 22001166 NNoo..442299
神戸大学教授
立教大学教授
木村敦子
京都大学准教授
家族
法のフロンティア
特
家族法のフロンティア
特集
集
近時,広く生活者に切実な関心を呼び起こす
使のみならず,離婚後も含めた多様な夫婦関係
家族法関連の裁判例が次々と現れているが,そ
下での共同関与および子の主体性・自立支援と
れらは直ちに立法論に展開している点が特徴的
いう視点から素描する。
である。本特集では重要論点につきそれぞれの
専門家に最前線からの報告をお願いした。
本山論文は,非嫡出子相続分に関する最大決
平成25・9・4民集67巻6号1320頁およびこれを受
窪田論文は,夫婦別姓をめぐる立法の試みや
けた民法改正に至る経緯を跡づけ,この変革も
最大判平成27・12・16判時2284号38頁を素材と
その一歩にすぎない,非嫡出子と嫡出子との間
しつつ,夫婦の氏についての法的な問題の所在
の不平等の克服という遠い道のりを展望する。
を分析し,
「氏とは何か」という根本への問いに
青竹論文は,遺留分制度に関し,その負の側
誘う。
前田論文は,再婚禁止期間に関し,
〈余裕を
面を意識する近時の学説実務の状況を踏まえ,
この制度を迂回する法的諸手段の長所短所を評
見て間をとった〉起草者の考え方から,嫡出推
価した上で,近時の廃止論・縮小論の帰趨を占
定制度そのものの見直しへと至る学説史の展開
う。
の中に,最大判平成27・12・16判時2284号20頁
宮本論文は,遺産共有の法的性質論につき最
およびそれを受けて現在審理中の民法改正案
判平成26・2・25民集68巻2号173頁等に至る判
を位置づける。
例および学説の展開を跡づけた上で,金銭債権
木村論文は,親子関係不存在確認訴訟の制
の相続に関する近時の動向が,法制審議会で進
度設計につき,嫡出推定・否認制度のみならず,
行中の立法作業を含め,合有説に親和的な方向
認知制度も視野に入れて検討する。特に最判平
を示すとする。
成26・7・17民集68巻6号547頁を踏まえ,子の身
いずれも講学上の前提的な知識の整理から説
分関係の法的安定性等,子の具体的な利益を考
き起こし,裁判例の丁寧な解説も含まれるもの
慮すべきとする。
であるので,家族法再入門の機会として味読し
小池論文は,親権法の現状および課題を,児
て頂ければ幸いである。
童虐待や濫用的財産管理といったその不適切行
Ⅳ
親権
Ⅴ
非嫡出子の相 続 分
Ⅵ
遺留分 制度
Ⅶ
遺 産共有
(森田
小池
修)
泰
九州大学教授
本山
敦
立命館大学教授
青 竹美 佳
大阪大学准教授
宮本誠子
金沢大学准教授
June 2016 No.429
法学教室
7